JP2018198133A - 導電性ペースト、及び立体回路の製造方法 - Google Patents

導電性ペースト、及び立体回路の製造方法 Download PDF

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【課題】低温硬化可能で基材の耐熱性の要求が厳しくなく、簡易な工程かつ低コストで立体回路を形成できる導電性ペースト、及び立体回路の製造方法を提供する。【解決手段】導電性ペーストは、成型体に設けられる導電性ペーストであって、熱可塑性樹脂と、導電性フィラーとを含み、熱可塑性樹脂の軟化点と成型体の成型温度との差が±30℃以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペースト、及び立体回路の製造方法に関する。特に、本発明は、成型体に適した導電性ペースト、及び導電性ペーストの硬化物の立体回路の製造方法に関する。
従来、電気絶縁性を有する熱可塑性の耐熱フィルムを三次元形状に成形した基材と、基材の表面における導電回路形成部分に導電ペーストを塗布して形成した導電コート層と、導電コート層の表面に導体金属を電気めっきして形成した導体めっき層からなる導電回路とで構成されている立体回路基板が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に係る立体回路基板によれば基材と導体金属とを高いピール強度で接合することができる。
また、立体への導電性回路の形成方法としては、成形回路部品(Molded Interconnect Device:MID)やレーザー加工による立体への導電性回路の形成方法、及び立体成型物の表面に直接、導電材料を塗布する方法も知られている。
特開2009−164340号公報
しかし、特許文献1に記載されている立体回路基板は、電気絶縁性を有する熱可塑性の耐熱フィルムを三次元形状に成形して基材を得た後、基材の表面に設けられる導電回路の電気絶縁部に対応する部分に、当該部分の表面を被覆するよう予め三次元形状に成形したマスクを装着し、基材のマスクの非被覆部分である導電回路形成部分に導電ペーストを塗布した後、マスクを取り外すと共に、導電ペーストをキュアして導電コート層を得て、導電コート層の表面に導体金属を電気めっきして導体めっき層を形成しなければならないという、複雑な工程を経なければならない。また、MIDやレーザー加工においては、耐熱性を有する基材を用いることが要求され、様々な基材を用いることができず、かつ、製造コストも高い。そして、立体成型物の表面に直接、導電材料を塗布する方法においては、微細パターンを形成できるものの、大掛かりな設備を要し、大量生産には不向きである。更に、従来技術においては、導電性ペーストの低温硬化を実現することや軽量化を図ることが困難である。
したがって、本発明の目的は、低温硬化可能で基材の耐熱性の要求が厳しくなく、簡易な工程かつ低コストで立体回路を形成できる導電性ペースト、及び立体回路の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、成型体に設けられる導電性ペーストであって、熱可塑性樹脂と、導電性フィラーとを含み、熱可塑性樹脂の軟化点と成型体の成型温度との差が±30℃以下である導電性ペーストが提供される。
上記導電性ペーストにおいて、熱可塑性樹脂の軟化点が、50℃以上であることが好ましい。
上記導電性ペーストにおいて、成型体の成型温度が、80℃以上200℃以下であることが好ましい。
上記導電性ペーストにおいて、導電性ペーストの硬化物の成型体の変形前後の抵抗変化率が、3倍以下であることが好ましい。
上記導電性ペーストにおいて、導電性フィラーの配合量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し、500質量部以上900質量部以下であることが好ましい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記いずれか1つに記載の導電性ペーストを用い、基材の表面に所定形状のパターンを形成するパターン形成工程と、パターンを硬化させる硬化工程と、パターンが設けられた基材を所定の立体形状に成型する成型工程とを備える立体回路の製造方法が提供される。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記いずれか1つに記載の導電性ペーストの硬化物からなる導電回路が提供される。
本発明に係る導電性ペースト、及び立体回路の製造方法によれば、低温硬化可能で基材の耐熱性の要求が厳しくなく、簡易な工程かつ低コストで立体回路を形成できる導電性ペースト、及び立体回路の製造方法を提供できる。
本発明に係る導電性ペーストを用いた立体回路の製造工程の図である。 実施例における成型体の形状の図である。
立体物への回路形成方法において、立体物のエッジや立体物の成型時において伸びる領域に回路パターンを形成する場合、回路パターン自体が伸びる特性を有することが好ましい。したがって、柔軟性を有する導電性の硬化性組成物(例えば、軟化点が35℃等のように低い材料を用いた硬化性組成物)を用いることが考えられる。しかし、本発明者は、このような柔軟性を有する導電性の硬化性組成物を用いて平板状の基材に回路パターンを形成して当該回路パターンを硬化させたのち、回路パターンが形成された基材を所定の型を用いて立体形状に成型すると、立体成型されることに伴って伸長した回路パターンの抵抗の変化率が高いという問題があり、単に柔軟性を有する材料を用いただけでは抵抗の変化率を抑制できないという知見を得た。そこで、本発明者は、係る問題点を解決するために様々な樹脂を検討した結果、成型時の温度と所定の関係を有し、柔軟性を有するものの常温で多少の硬さを有しており、成型時の加熱により伸長する熱硬化性樹脂を用いた場合、抵抗の変化率が低くなることを発見した。具体的には、ベースバインダを構成する熱可塑性樹脂の軟化する温度(軟化点)と、成型体を形成するときの成型温度との差が所定の範囲内になる熱可塑性樹脂を用いれば、導電性ペーストの硬化物に外力が加わり、伸長や屈曲等によって硬化物が変形したとしても、当該硬化物の抵抗の変化率が低くなることを見出した。
すなわち、本発明に係る導電性ペーストは、成型体に設けられる導電性ペーストであって、熱可塑性樹脂と、導電性フィラーとを含み、熱可塑性樹脂の軟化点と成型体の成型温度との差が±30℃以下である導電性ペーストである。
なお、本発明において抵抗の変化率(抵抗変化率)は、導電性ペーストの硬化物に外力を加えて形状を変化させた場合に、形状変化の前後における硬化物の抵抗の変化率である。抵抗変化率は、例えば、基材表面に設けられた状態の所定形状の導電性ペーストの硬化物の抵抗を初期抵抗として測定し、当該基材を成型して得られる成型体表面の成型により形状が変化した当該硬化物の抵抗を変化後の抵抗として測定し、初期抵抗と変化後の抵抗とから算出される。
また、熱可塑性樹脂の軟化点とは、熱可塑性樹脂を加熱した場合に、熱可塑性樹脂が軟化して変形し始める温度である。軟化点は、例えば、メルトマスフローレイト測定機を用いて測定できる。また、成型温度とは、所定の型を用いて所定の基材を立体成型するときの温度である。
<熱可塑性樹脂>
本発明に係る熱可塑性樹脂は、融点又はガラス転移温度以上の温度に加熱した場合、高粘度の液状状態になり、外力により自由に変形すると共に、冷却して外力を取り除いた場合にその時点の形状を保持して硬化する性質を有する樹脂である。本発明に係る熱可塑性樹脂としては、従来公知の様々な熱可塑性樹脂を用いることができる。また、本発明に係る熱可塑性樹脂は、上記の性質を有する限り、反応性官能基を有していてもよい。本発明に係る熱可塑性樹脂は成型温度において柔らかい樹脂であることが好ましく、熱可塑性樹脂の軟化点は、50℃以上であり、80℃以上であることが好ましい。更に、熱可塑性樹脂の軟化点と成型体の成型温度との差は、±30℃の範囲内に入ることが好ましい。係る温度差の範囲に含まれるように熱可塑性樹脂、及び成型温度を選択することで、導電性ペーストの硬化物の成型体の変形前後の抵抗変化率を低くできる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂(例えば、ポリビニルブチラール樹脂等)、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエーテルエステルアミド、酢酸ビニルを構造単位として有する共重合体(酢酸ビニル共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、飽和物であってもよく、不飽和物であってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更に、これら熱可塑性樹脂中にはシロキサン結合、及び/又はフッ素置換基が含まれていてもよい。
<導電性フィラー>
導電性フィラーは、電気導電性を有する材料を用いて形成される。導電性フィラーとしては、炭素粒子、又は銀、銅、ニッケル、金、スズ、亜鉛、白金、パラジウム、鉄、タングステン、モリブデン、はんだ等の金属粒子若しくは合金粒子、又はこれらの粒子表面を金属等の導電性コーティングで覆って調製した粒子等の導電性粒子を用いることができる。また、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、若しくはベンゾグアナミン樹脂から構成される非導電性粒子であるポリマー粒子、又はガラスビーズ、シリカ、黒鉛、若しくはセラミックから構成される無機粒子の表面に金属等の導電性コーティングを施して得られる導電性粒子を用いることもできる。本発明においては、長期信頼性や導電性の観点から、金属粒子を含む導電性フィラーを用いることが好ましく、銀粒子若しくは銀ナノ粒子を含んで構成された導電性フィラーを用いることがより好ましい。
導電性フィラーの形状としては、種々の形状(例えば、球形状、楕円、円筒形、フレーク、平板、又は粒塊等)を採用できる。導電性フィラーは、やや粗いか、又はぎざぎざの表面を有することもできる。導電性フィラーの粒子形状、大きさ、及び/又は硬度を組み合わせて本発明の導電性ペーストに用いることができる。また、導電性ペーストの硬化物の導電性をより向上させることを目的として、導電性フィラーの粒子形状、大きさ、及び/又は硬度が互いに異なる複数の導電性フィラーを組み合わせることもできる。なお、組み合わせる導電性フィラーは2種類に限られず、3種類以上であってもよい。例えば、銀製であってフレーク状の導電性フィラーを粒状等の他の導電性フィラーと併用してもよい。
ここで、フレーク状とは、扁平状、薄片状、若しくは鱗片状等の形状を含み、球状や塊状等の立体形状の銀粉を一方向に押し潰した形状を含む。また、粒状とは、フレーク状を有さない全ての導電性フィラーの形状を意味する。例えば、粒状としては、ブドウの房状に粉体が凝集した形状、球状、略球状、塊状、樹枝状、またこれらの形状を有する銀粉の混合物等が挙げられる。
また、導電性フィラーとして銀を用いる場合、この導電性フィラーは様々な方法により製造できる。例えば、フレーク状の銀粉を導電性フィラーとして用いる場合、球状銀粉、及び/又は塊状銀粉等の銀粉をジェットミル、ロールミル若しくはボールミル等の装置を用いて機械的に粉砕等することで製造できる。また、粒状の銀粉を導電性フィラーとして用いる場合、電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、又は還元法等により製造できる。
本発明の導電性ペーストは、良好な電気導電性を硬化物に発揮させる観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対し、500質量部以上の導電性フィラーを含むことが好ましい。また、導電性ペーストは、導電性ペーストの硬化物が脆くなることを抑制する観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対し、900質量部以下の導電性フィラーを含むことが好ましい。特に、硬化物の十分な伸び物性を確保する観点からは、800質量部以下の導電性フィラーを含むことが好ましい。
<溶剤>
溶剤としては、様々な溶剤を用いることができる。例えば、溶剤として、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールやジエチレングリコールのモノ又はジエーテル、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等の極性溶媒、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のアルコール、及びこれらの混合物を用いることができる。
本発明の導電性ペーストは、熱可塑性樹脂100質量部に対し、100質量部以上1000質量部以下の溶剤を含むことが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明に係る導電性ペーストには、導電性ペーストの導電性や硬化性等の機能を損なわない範囲で、必要に応じ、安定剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、フィラー、破泡剤、イオン交換水、界面活性剤、粘着付与樹脂、増量剤、物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、香料、顔料、染料等の各種添加剤を加えてもよい。
(フィラー)
フィラーとしては樹脂フィラー(樹脂微粉末)や無機フィラー、及び機能性フィラーを用いることができる。フィラーに、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン等で表面処理を施してもよい。樹脂フィラーとしては、有機樹脂等からなる粒子状のフィラーを用いることができる。例えば、樹脂フィラーとして、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂系、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の有機質微粒子を用いることができる。
無機フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ素、含水ケイ素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
機能性フィラーとしては、例えば、特開2016−199668等に記載の断熱性や軽量性等に優れる中空粒子;特開2016−199669等に記載の遮音性、及び制振性等に優れるコアシェル粒子;特開2016−199670等に記載のガスバリア等に優れる層状ケイ酸塩;特開2016−199671等に記載の光反射性フィラー;特開2016−199750等に記載の電磁波遮蔽材等を用いることができる。
<導電性ペーストの製造方法、導電回路>
導電性ペーストは、以下の手順により製造できる。まず、熱可塑性樹脂、及び導電性フィラー、並びに必要に応じて溶剤やその他の添加剤を所定量秤量し、準備する(準備工程)。次に、熱可塑性樹脂、導電性フィラー、及び溶剤を所定の容器に投入し、所定時間撹拌する(混合工程)。これにより、本発明に係る導電性ペーストを製造できる。なお、各工程、若しくはいずれかの工程において、他の添加物を適宜添加してもよい。
導電性ペーストを硬化(例えば、熱硬化)することにより、導電性を有する硬化物が得られる。したがって、所定の対象物の表面に導電性ペーストを用いて所定形状を有するパターンを形成し、硬化させることで、当該対象物上に導電性のパターン(導電回路)が形成される。なお、硬化方法として熱硬化を用いる場合、熱硬化の温度は、例えば、100℃〜120℃である。熱硬化温度は基材の収縮やシュリンクが起こらない範囲で設定すればよい。
そして、本発明の導電性ペーストは、導電性が要求される様々な用途に用いることができる。例えば、本発明の導電性ペーストは、乗用車のハーネスの信号線等に用いることができ、また、電子・電気回路基板の導電性回路自体やジャンパーラインの形成用途、電子機器・電気機器の導通を要する箇所の接着用途等に用いることができる。
<立体回路の製造方法>
図1は、本発明に係る導電性ペーストを用いた立体回路の製造工程の概要の一例を示す。
本発明に係る導電性ペーストを用い、立体回路を製造できる。すなわち、図1の(a)及び(b)に示すように、本発明の導電性ペーストを用い、まず、基材10(例えば、平板状)の表面に所定形状のパターン20を形成する(パターン形成工程)。例えば、スクリーン印刷等の手法を用い、基材10表面に所定形状のパターン20を形成する。続いて、図1(c)に示すように、基材10表面のパターン20を硬化させる(硬化工程)。例えば、導電性ペーストを用いて形成されたパターン20を、基材10を構成する材料に損傷を与えない温度(例えば、100℃)で加熱することで熱硬化させる。これにより、パターン20が硬化して、配線パターン22になる。
次に、図1(d)に示すように、配線パターン22が設けられた基材10を所定の立体形状に成型する(成型工程)。成型方法としては、例えば、真空成型法、圧空成型法、真空圧空成型法、真空熱圧着成型法(TOM成型法)、プレス成型法、プラグアシスト成型法等の加熱成型方法が挙げられる。成型工程においては、成型温度は80℃以上200℃以下に調整される。具体的に、導電性ペーストに含有される熱可塑性樹脂の軟化点と基材を構成する材料に応じて決定される成型温度との差が±30℃以下になるように、成型温度は調整される。
ここで、基材を構成する材料としては、様々な樹脂材料が挙げられる。例えば、基材は、ABS樹脂、AES樹脂、PMMA樹脂、PC樹脂、PP樹脂、PE樹脂、PET樹脂、PVC樹脂等の樹脂材料を用いて構成される。また、基材は、PEI樹脂、PSF樹脂、PEEK樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスチックを用いて形成してもよい。更に、基材は、軟質シート、硬質シート、不織布等、樹脂材料とは異なる材料を用いて複合化されて構成される多層基材等であってもよい。
成型工程を経ることで、パターン20が硬化した導電性を有する配線パターン22を有する立体回路30が製造される。そして、立体の形状に応じ、配線パターン22は、伸長、及び/又は屈曲等の変形が加えられている。
ここで、図1(d)に示すように、立体回路30の突出部の一面30aに形成されている配線パターン22の一部である配線パターン22aは、図1(c)に示すような成型工程前の配線パターン22に比べて成型により伸長している。また、立体回路30の突出部のエッジ部30bに形成されている配線パターン22の一部である配線パターン22bは、エッジ部30bにおいて折り曲げられている。本発明に係る導電性ペーストの硬化物においては、元の硬化物の長さを100%とした場合に200%までの伸長による変形によっても、変形前後における配線パターン(すなわち、導電性ペーストの硬化物)の抵抗変化率を、1倍以上3倍以下に抑えることができる。また、本発明に係る導電性ペーストの硬化物においては、硬化物を折り曲げる場合、120°以下の折り曲げ角度において、変形前後における抵抗変化率を3倍以下に抑えることができる。
<実施の形態の効果>
本発明に係る導電性ペーストは、熱可塑性樹脂の軟化点と成型体の成型温度との差が±30℃以下になるように調整してあるので、導電性ペーストの硬化物を立体成型に用いることで当該硬化物に伸長や屈曲等の変形が生じても、当該硬化物からなる導電パターン若しくは導電回路の抵抗の変化率を低く抑えることができる。すなわち、導電性ペーストの硬化物は、伸び等の変形が生じても導電性を確保できると共に、抵抗の安定性を確保できる。また、本発明に係る導電性ペーストによれば、スクリーン印刷等により基材表面に所定のパターンを形成することができ、かつ、例えば、1mm幅等の太い配線も容易に形成できる。したがって、本発明に係る導電性ペーストによれば、複雑な形状の立体回路を簡単な工程で、かつ、低コストで製造できる。
また、本発明に係る導電性ペーストは低温硬化可能であることから、導電性ペーストが塗布される基材の種類を選ばないので(つまり、基材の耐熱性の要求が厳しくないので)、様々な基材に対し、導電性ペーストを用いたパターンを形成できる。これにより、本発明に係る導電性ペーストによれば、軽量な基材を用いることができるので、立体回路の軽量化を図ることができる。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(実施例1〜5、比較例1〜2)
表1に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、上記「導電性ペーストの製造方法」の説明に則り、導電性ペーストを調製した。具体的に、表1に示す配合割合になるように、熱可塑性樹脂、導電性フィラー、及び溶剤のそれぞれを秤量して準備した。次に、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した。続いて導電性フィラーを加え撹拌機に投入し、2分間撹拌した(回転条件:自転500rpm、公転1000rpm)。これにより、実施例1〜5、及び比較例1〜2に係る導電性ペーストを得た。
表1において、各配合物質の配合量の単位は「質量部」である。なお、「バインダーの軟化点(Tm)」は、熱可塑性樹脂の軟化点(℃)であり、「成型温度(Tf)」は、成型工程における成型温度(℃)である。また、配合物質の詳細は下記のとおりである。
*1:ポリビニルブチラール(商品名:「エスレック BL−S」、積水化学工業(株)製)
*2:ポリビニルブチラール(商品名:「エスレック BL−2H」、積水化学工業(株)製)
*3:ポリビニルアセタール(商品名:「エスレック BX−L」、積水化学工業(株)製)
*4:トリブロックアクリルポリマー(商品名:「クラリティ LA−4285」、(株)クラレ製)
*5:ポリーテルエステルアミド(商品名:「TPAE−31」、(株)T&K TOKA製)
*6:トリブロックアクリルポリマー(商品名:「クラリティ LA−2140」、(株)クラレ製)
*7:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:「ブチセノール20」、KHネオケム(株)製)
*8:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(商品名:「ブチセノール20アセテート」、KHネオケム(株)製)
*9:ジエチレングリコールジエチルエーテル(商品名:「DEDG」、日本乳化剤(株)製)
*10:3−メトキシ−3−メチルブタノール(商品名:「ソルフィット」、(株)クラレ製)
*11:銀フレーク(商品名:「シルコートAgC−201Z」、福田金属箔粉工業(株)製)
(体積抵抗率)
実施例1に係る導電性ペーストを、厚さ100μmのマスキングテープをスペーサーとし、ガラス板上に70mm×100mmのサイズで塗布し、80℃20分間で硬化させた。その後、室温まで冷却し、導電性ペーストの硬化物からなるテストピースを得た。そして、ロレスターMCP−T360(三菱アナリテック製)を用い、このテストピースの体積抵抗率(室温まで冷却直後の体積抵抗率)を測定した。実施例2〜5、及び比較例1〜2に係る導電性ペーストについても同様の測定をした。
(成型後の抵抗変化率)
図2は、実施例における成型体の形状を示す。
実施例1に係る導電性ペーストを用い、平板状の基材(材質:龍田化学株式会社製 アシェラTCA−02、サイズ:600mm×600mm×0.35mm)表面に波型配線のパターンをスクリーン印刷で印刷し、100℃で30分間硬化させ、回路40を形成した平板状の基材を得た。続いて、フィルムの伸長率が20%になる台形型を用いて、100℃で台形状に成型することで伸長率が20%の成型体(図2に示す成型体50)を得た。同様に、上記と同様な平板状の基材を作製し、フィルムの伸長率が60%になる台形型を用いて、100℃で台形状に成型することでフィルム伸長率が60%の成型体(形状は成型体50と同様である)を得た。実施例2、4〜5、及び比較例1〜2についても同様にしてフィルムの伸長率が20%の成型体、及びフィルムの伸長率が60%の成型体を作製した。
また、実施例3については龍田化学株式会社製アシェラTCA−05、サイズ:600mm×600mm×0.35mmを用いて同様にパターンを形成し、130℃で同様にフィルムの伸長率が20%の台形状の成型体、及びフィルムの伸長率が60%の台形状の成型体を作製した。
続いて、各成型体について、成型後(20%伸長)の抵抗変化率、及び成型後(60%伸長)の抵抗変化率を算出した。抵抗変化率は、下記式(1)により算出される値である。
R=[(Ra−Ri)/Ri]×100 (式1)
Rは、抵抗変化率であり、Riは、基材の表面に導電性ペーストの硬化物(つまり、回路40)が設けられた時点での当該硬化物の初期抵抗であり、Raは、回路40が設けられた基材を成型した後の抵抗である。抵抗値は、デジタルマルチメーターKEW 1052(共立電気計器株式会社製)により測定した。
表1を参照すると分かるように、実施例1〜5に係る導電性ペーストにおいてはいずれも、硬化物の体積抵抗率、成型後の抵抗変化率のいずれも良好であった。
一方、比較例1においては60%伸長時の抵抗変化率が大きく、回路としての機能を果たし難くなっていることが示された。また、比較例2においては成型温度に対してベース樹脂の軟化温度が高い(±30℃の範囲にない)ため、成型時の伸びに追従できず断線した。
以上より、実施例に係る導電性ペーストにおいては、良好な体積抵抗率を有すると共に、成型後の抵抗変化率が低いことが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。
10 基材
20 パターン
22 配線パターン
22a、22b 配線パターン
30 立体回路
30a 一面
30b エッジ部
40 回路

Claims (7)

  1. 成型体に設けられる導電性ペーストであって、
    熱可塑性樹脂と、
    導電性フィラーと
    を含み、
    前記熱可塑性樹脂の軟化点と前記成型体の成型温度との差が±30℃以下である導電性ペースト。
  2. 前記熱可塑性樹脂の軟化点が、50℃以上である請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記成型体の成型温度が、80℃以上200℃以下である請求項1又は2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記導電性ペーストの硬化物の成型体の変形前後の抵抗変化率が、3倍以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記導電性フィラーの配合量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、500質量部以上900質量部以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペーストを用い、基材の表面に所定形状のパターンを形成するパターン形成工程と、
    前記パターンを硬化させる硬化工程と、
    前記パターンが設けられた前記基材を所定の立体形状に成型する成型工程と
    を備える立体回路の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペーストの硬化物からなる導電回路。
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