JP2018195402A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】水位センサを用いることなく、気化部への給水をより適切なタイミングで行なえるようにする。【解決手段】燃料電池システムは、水蒸気を用いて原料ガスを改質ガスに改質して燃料電池に供給する改質部と、水を気化して改質部に供給する気化部と、水を蓄える水タンクと、気化部と水タンクとに接続された水配管と、水配管に設けられ正逆両方向の液送が可能な定量型の水ポンプと、燃焼により改質部および気化部を加熱する燃焼部と、制御装置と、を備える。制御装置は、システム起動時に、水配管内の水が空の状態から水配管内の水の水位が所定水位となるよう水ポンプを一定時間駆動する水位調整制御を行なってから気化部へ給水されるよう水ポンプを制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、水蒸気を用いて原料ガスを改質ガスに改質する改質部を備える燃料電池システムに関する。
従来、この種の燃料電池システムとしては、燃焼部と、気化部と、改質部と、水を溜めるタンクと、タンク内の水を気化部へ供給する供給通路と、供給通路において気化部の入口ポートの直前の水の水位を検出する水センサと、水搬送源としてのポンプと、ポンプを制御する制御部とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池システムは、制御部は、燃焼部の着火前に、ポンプを逆回転させて供給通路内の水をタンクに戻し、供給通路内を空の状態としてから、ポンプを正回転させてタンク内の水を供給通路に供給し、水センサからの検知信号に基づいて供給通路における水の実際の水位を監視しながら供給通路における水の水位を気化部の入口ポートの直前の定位置に調整する。これにより、気化器への給水タイミングをより適切にして、改質水不足による改質部のコーキング(燃料の炭化現象)や、改質水過多による触媒の活性低下(性能低下)を抑制することができるとしている。
特開2012−133915号公報
このように特許文献1記載の燃料電池システムは、気化部への給水を適切なタイミングで行なうために、気化部の入口ポートの直前に水位センサが設けられている。しかし、水位センサは一般に高価であり、燃料電池システムのコスト増を招く。
本発明の燃料電池システムは、水位センサを用いることなく、気化部への給水をより適切なタイミングで行なえるようにすることを主目的とする。
本発明の燃料電池システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の燃料電池システムは、
水素を含む改質ガスと酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
水蒸気を用いて原料ガスを前記改質ガスに改質して前記燃料電池に供給する改質部と、
水を気化して前記改質部に供給する気化部と、
水を蓄える水タンクと、
前記気化部と前記水タンクとに接続された水配管と、
前記水配管に設けられ、正逆両方向の液送が可能な定量型の水ポンプと、
燃焼熱により前記改質部および前記気化部を加熱する燃焼部と、
システム起動時に、前記水配管内の水が空の状態から該水配管内の水の水位が所定水位となるよう前記水ポンプを一定時間駆動する水位調整制御を行なってから前記気化部へ給水されるよう前記水ポンプを制御する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の燃料電池システムは、改質部と、気化部と、水タンクと、気化部と水タンクとに接続された水配管と、水配管に設けられた定量型の水ポンプと、燃焼熱により改質部および気化部を加熱する燃焼部と、を備えるものである。そして、システム起動時に、水配管内の水が空の状態から水配管内の水の水位が所定水位となるよう水ポンプを一定時間駆動する水位調整制御を行なう。水ポンプは、定量型のポンプであるから、水配管内の水が空の状態から水ポンプを一定時間駆動することで、水配管の水位を一定の水位にすることができる。また、水ポンプは、正逆両方向の液送が可能であるから、水ポンプを逆方向に駆動することで、水配管内の水を空の状態とすることができる。この結果、水位センサを用いることなく、気化部への給水前に水配管の水位を所定水位とすることができ、気化部への給水をより適切なタイミングで行なうことが可能となる。
こうした本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、システム停止後に、逆方向の液送により前記水配管内の水が空の状態となるよう前記水ポンプを制御するものとしてもよい。こうすれば、システム停止してから次回にシステム起動するまでの間、水配管内を空の状態とすることができるため、水配管の凍結のおそれがなく、凍結防止用ヒータを不要とすることができる。
また、本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記水位調整制御を行なった後、前記水ポンプの駆動を停止させた状態で待機し、前記燃焼部の着火が開始されてから所定の待機時間が経過したタイミングで、前記水ポンプの駆動を開始して前記気化部への給水を開始するものとしてもよい。こうすれば、気化部への給水を適切なタイミングで行なうことができる。この態様の本発明の燃料電池システムにおいて、前記気化部または前記改質部の温度を検出する温度センサを備え、前記制御装置は、前記気化部への給水を開始した後に前記温度センサにより検出された温度に基づいて前記待機時間を変更するものとしてもよい。こうすれば、次回のシステム起動時において気化部への給水を更に適切なタイミングで行なうことが可能である。更にこの態様の本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記検出された温度が適正範囲のときには前記待機時間を保持し、前記検出された温度が前記適正範囲よりも高いときには短くなるよう前記待機時間を変更し、前記検出された温度が前記適正範囲よりも低いときには長くなるよう前記待機時間を変更するものとしてもよい。この態様の本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記検出された温度が異常範囲にあるときには、システムを停止させるものとしてもよい。こうすれば、燃料電池システムの異常にも対応することができる。
本実施形態の燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。 システム制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 システム制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 システム起動時における改質器温度の変化の様子を示す説明図である。 待機時間更新用マップの一例を示す説明図である。
本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本実施形態の燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。本実施形態の燃料電池システム10は、図1に示すように、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(エア)との供給を受けて発電する燃料電池スタック36を有する発電ユニット20と、発電ユニット20の発電に伴って発生する熱を回収して給湯する貯湯タンク101を有する給湯ユニット100と、システム全体を制御する制御装置80と、を備える。
発電ユニット20は、改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に原燃料ガス(例えば天然ガスやLPガス)を予熱する気化器32と、原燃料ガスと水蒸気とから水素を含む燃料ガス(改質ガス)を生成する改質器33と、燃料ガスとエアとにより発電する燃料電池スタック36とを含む発電モジュール30と、気化器32に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置40と、燃料電池スタック36にエアを供給するエア供給装置50と、改質水タンク57内の改質水を気化器32に供給する改質水供給装置55と、発電モジュール30で発生した排熱を回収する排熱回収装置60と、を備える。これらは、上下に長い直方体状の筐体22に収容されている。
筐体22は、上下2室に区画されており、上段室には、発電モジュール30が配置され、下段室には、原燃料ガス供給装置40やエア供給装置50、改質水タンク57を含む改質水供給装置55、排熱回収装置60などが配置されている。また、筐体22には、吸気口22aと排気口22bとが設けられている。吸気口22a付近には外気を取り込んで筐体22の内部を換気するための換気ファン24が設けられ、排気口22b付近には、可燃ガスの漏れを検出するための可燃ガスセンサ95が設けられている。
改質器33は、セラミックなどの担体に改質触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が担持されて構成され、気化器32から供給された原燃料ガスと水蒸気との混合ガスを水蒸気改質反応によって燃料ガス(改質ガス)に改質する。改質器33の内部には、改質器33の温度を検出するための温度センサ91が設けられている。
発電モジュール30を構成する気化器32、改質器33および燃料電池スタック36は、断熱性材料により形成された箱型のモジュールケース31内に収容されている。気化器32および改質器33は、燃料電池スタック36の上方に配置されている。モジュールケース31内には、燃料電池スタック36の起動や、気化器32における水蒸気の生成、改質器33における水蒸気改質反応に必要な熱を供給するための燃焼部34が設けられている。燃焼部34には燃料電池スタック36を通過した燃料オフガス(アノードオフガス)と酸化剤オフガス(カソードオフガス)とが供給され、これらの混合ガスを点火ヒータ35により点火して燃焼させることにより、燃料電池スタック36や気化器32、改質器33を加熱する。モジュールケース31には、燃焼部34の温度を検出するための温度センサ92が設けられている。燃料オフガスおよび酸化剤オフガスの燃焼により生成される燃焼排ガスは、燃焼触媒37を介して熱交換器62へ供給される。燃焼触媒37は、燃焼部34で燃え残った燃料ガスを触媒によって再燃焼させる酸化触媒であり、燃焼触媒37にはその温度を検出するための温度センサ93が設けられている。
原燃料ガス供給装置40は、ガス供給源1と気化器32とを接続する原燃料ガス供給管41を有する。原燃料ガス供給管41には、ガス供給源1側から順に、原燃料ガス供給弁(電磁弁)42,43、オリフィス44、原燃料ガスポンプ45、脱硫器46が設けられており、原燃料ガス供給弁42,43を開弁した状態で原燃料ガスポンプ45を駆動することにより、ガス供給源1からの原燃料ガスを脱硫器46を通過させて気化器32へ供給する。気化器32へ供給された原燃料ガスは、気化器32を経て改質器33へ供給され、燃料ガスへと改質される。原燃料ガス供給弁42,43は、直列に接続された2連弁である。脱硫器46は、原燃料ガスに含まれる硫黄分を除去するものであり、例えば、硫黄化合物をゼオライトなどの吸着剤に吸着させて除去する常温脱硫方式などを採用することができる。また、原燃料ガス供給管41の原燃料ガス供給弁43とオリフィス44との間には、当該原料ガス供給管41内の原燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ47が設けられ、オリフィス44と原燃料ガスポンプ45との間には、原料ガス供給管41を流れる原燃料ガスの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ48が設けられている。
エア供給装置50は、外気と連通するフィルタ52と燃料電池スタック36とを接続するエア供給管51を有する。エア供給管51には、エアブロワ53が設けられており、エアブロワ53を駆動することにより、フィルタ52を介して吸入したエアを燃料電池スタック36へ供給する。また、エア供給管51には、エアブロワ53の下流側に、当該エア供給管51を流れるエアの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ54が設けられている。
改質水供給装置55は、改質水を貯蔵する改質水タンク57と気化器32とを接続する改質水供給管56を有する。改質水供給管56は、筐体22の下段室に配置された改質水タンク57から上方に延びて筐体22の上段室に配置された気化器32に接続される。改質水供給管56には、改質水ポンプ58が設けられており、改質ポンプ58を駆動することにより、改質水タンク57の改質水を気化器32へ供給する。気化器32へ供給された改質水は、気化器32で水蒸気とされ、改質器33における水蒸気改質反応に利用される。また、改質水タンク57には、貯蔵される改質水を精製するための図示しない水精製器が設けられている。
改質水ポンプ58は、モータ駆動の定量ポンプとして構成されており、ポンプモータの回転方向を切り替えることで正逆両方向の液送が可能である。即ち、改質水ポンプ58は、ポンプモータを正回転方向に駆動することにより、改質水タンク57内の水を気化器32へ向けて送ることができ、ポンプモータを逆回転方向に駆動することにより、改質水供給管56内の水を改質水タンク57へ戻すことができる。改質水ポンプ58は、高いシール性を有し、改質水供給管56における改質水ポンプ58の上方且つ下流側(気化器32側)の水が改質水ポンプ58の下方且つ上流側(改質水タンク57側)へ漏れるのを抑制している。但し、燃料電池システム10の運転を停止した後、長時間が経過すると、改質水供給管56内の水が重力等の影響により微量ずつ改質水タンク57側に漏れ、改質水供給管56内の水の水位が下がることが確認された。
排熱回収装置60は、発電モジュール30から燃焼排ガスが供給される熱交換器62と貯湯水を貯蔵する貯湯タンク101とを接続して貯湯水の循環路を形成する循環配管61を有する。循環配管61には、循環ポンプ63が設けられており、循環ポンプ63を駆動することにより、熱交換器62による貯湯水と燃焼排ガスとの熱交換により貯湯水を加温すると共に加温した貯湯水を貯湯タンク101へ貯湯する。熱交換器62は凝縮水供給管66を介して改質水タンク57に接続されると共に排気ガス排出管67を介して外気と接続されており、熱交換器62に供給された燃焼排ガスは、貯湯水との熱交換によって水蒸気成分が凝縮されて改質水タンク57に回収されると共に残りの排気ガスが排気ガス排出管67を介して外気へ排出されるようになっている。
燃料電池スタック36は、酸素イオン伝導体からなる固体電解質と、固体電解質の一方の面に設けられたアノードと、固体電解質の他方の面に設けられたカソードとを備える固体酸化物燃料電池セルが積層されたものとして構成されており、アノードに供給される燃料ガス中の水素とカソードに供給されるエア中の酸素とによる電気化学反応によって発電する。燃料電池スタック36の出力端子にはDC/DCコンバータとインバータとを含むパワーコンディショナ71を介して商用電源2から負荷4への電力ライン3が接続されており、燃料電池スタック36からの直流電力は、パワーコンディショナ71による電圧変換および直流/交流変換を経て商用電源2からの交流電力に付加されて負荷4に供給される。パワーコンディショナ71から分岐した電力ラインには電源基板72が接続されている。電源基板72は、原燃料ガス供給弁42,43や原燃料ガスポンプ45、エアブロワ53、改質水ポンプ58、循環ポンプ63などの補機類に直流電力を供給する直流電源として機能する。
制御装置80は、CPU81を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に処理プログラムを記憶するROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、書き換え可能な不揮発性メモリとしてのフラッシュメモリ84と、計時を行なうタイマ85と、図示しない入出力ポートと、を備える。制御装置80には、圧力センサ47や流量センサ48,54、温度センサ91〜93、可燃ガスセンサ95などからの各種検出信号が入力ポートを介して入力されている。また、制御装置80からは、換気ファン24のファンモータへの駆動信号や原燃料ガス供給弁42,43のソレノイドへの駆動信号、原燃料ガスポンプ45のポンプモータへの駆動信号、エアブロワ53のブロワモータへの駆動信号、改質水ポンプ58のポンプモータへの駆動信号、循環ポンプ63のポンプモータへの駆動信号、パワーコンディショナ71のインバータやDC/DCコンバータへの制御信号、点火ヒータ35への駆動信号、各種情報を表示する表示パネル90への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。
次に、こうして構成された燃料電池システム10の動作、特に、システム起動時の動作について説明する。図2および図3は、制御装置80のCPU81により実行されるシステム制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、システムの起動が許可されたときに実行される。
システム制御ルーチンが実行されると、制御装置80のCPU81は、システムの起動処理を開始する(S100)。起動処理は、例えば、対応する補機類を順次制御し、起動準備として初期動作、脱硫器46に燃料成分を吸着させて混合ガスの空燃比ずれを抑制する燃料吸着処理、燃焼部34のパージ処理、燃焼部34におけるオフガスの着火処理、水蒸気改質処理などを順次実行することにより行なう。なお、これらの起動処理は、一例であり、燃料電池システム10の構成や補機類の状態等によっては、燃料吸着処理等を省略することもできる。
CPU81は、起動処理を開始すると、初期動作の一つとして、ポンプモータを予め定めた所定回転速度で回転させて改質水ポンプ58の駆動を開始する(S110)。なお、改質水ポンプ58の駆動は、ポンプモータを所定回転速度で回転させるために予め定めたデューティ比でポンプモータを制御することにより行なわれる。そして、一定時間が経過すると(S120)、改質水ポンプ58の駆動を停止する(S130)。S110〜S130の処理は、改質水供給管56内の水の水位を所定水位(例えば、気化器32の入口直前の水位)に調整するための水位調整処理であり、改質水供給管56内の水が空の状態で実行される。上述したように、改質水ポンプ58は、定量型のポンプであり、ポンプモータを一定回転速度で一定時間駆動すると、常に同量の水を送ることができる。したがって、改質水供給管56内の水が空の状態から改質水供給管56内の水の水位が上記所定水位まで到達するのに必要なポンプモータの回転速度(デューティ比)および駆動時間を予め実験などによって求めておくことで、求めた回転速度(デューティ比)および駆動時間でポンプモータを駆動することにより、改質水供給管56内の水の水位を所定水位に調整することができる。これにより、高価な水位センサを省略することができるため、燃料電池システム10のコスト低減を図ることができる。
CPU81は、初期動作や燃料吸着処理、パージ処理を実行すると、次に、オフガスを発電モジュール30内に充満させ点火ヒータ35を駆動してオフガスの着火処理を開始する(S140)。そして、着火処理を開始してから所定の待機時間twが経過するのを待って(S150)、改質水ポンプ58の駆動を開始して気化器32への改質水の供給を開始する(S160)。ここで、待機時間twは、改質水の供給タイミングを定めたものである。待機時間twは、フラッシュメモリ84に記憶され、後述するS240により更新可能とされる。
次に、CPU81は、温度センサ91からの改質器温度を入力して(S170)、改質器温度がピークに達した否かを判定する(S180)。そして、改質器温度がピークに達したと判定すると、そのピーク値を判定温度Tpに設定する(S190)。図4は、システム起動時における改質器温度の変化の様子を示す説明図である。図示するように、改質器温度は、オフガスが着火されると、オフガス燃焼による発電モジュール30の内部温度上昇に伴う改質器33の加熱により上昇し、改質器33に改質水が導入されるとその蒸発により熱が奪われて下降する。そして、吸熱反応である水蒸気改質反応が開始されると、水蒸気改質反応と改質水の蒸発とオフガス燃焼による改質器33の加熱の各要素が釣り合い、安定状態に至る。改質器温度はオフガスが着火されて改質器33に改質水が導入される直前にピークに達し、そのときの改質器温度が判定温度Tpに設定される。なお、S180の判定は、例えば、所定時間毎にその間に温度センサ91により検出された改質器温度の平均値を算出し、前回に算出した改質器温度の平均値が前々回に算出した改質器温度の平均値よりも高く且つ今回に算出した改質器温度の平均値が前回に算出した改質器温度の平均値よりも低い場合に、改質器温度がピークに達したと判定することにより行なうことができる。
CPU81は、判定温度Tpを設定すると、判定温度Tpが改質器高温異常範囲と改質器低温異常範囲とを含む異常範囲内にあるか否かを判定する(S200)。ここで、改質器高温異常範囲は、改質器33への改質水の供給タイミングが遅すぎ、改質水不足により改質器33が異常高温となって改質器33にコーキング(燃料の炭化現象)が生じるおそれのある温度範囲である。また、改質器低温異常範囲は、改質器33への改質水の供給タイミングが速すぎ、改質水過多により改質触媒が活性低下(性能低下)するおそれがある温度範囲である。判定温度Tpが異常範囲内にある(改質器高温異常範囲と改質器低温異常範囲のいずれかの範囲内にある)と判定すると、燃料電池システム10を異常停止すると共に(S210)、表示パネル90に異常が発生した旨の警告表示を行なって(S220)、システム制御ルーチンを終了する。一方、判定温度Tpが異常範囲内にない(改質器高温異常範囲と改質器低温異常範囲のいずれの範囲内にもない)と判定すると、次に、判定温度Tpが適正範囲内にあるか否かを判定する(S230)。ここで、適正範囲は、改質器33への改質水の供給タイミングが適正で、改質水に過不足がなく、改質触媒の反応が良好に行なわれる温度範囲である。判定温度Tpが異常範囲内にないが適正範囲内にもないと判定すると、判定温度Tpと待機時間更新用マップとに基づいて待機時間twを更新してフラッシュメモリ84に保存し(S240)、判定温度Tpが適正範囲内にあると判定すると、S240の処理をスキップする。図5は、待機時間更新用マップの一例を示す説明図である。待機時間更新用マップは、図示するように、判定温度Tpが適正範囲の上限値よりも高いときには高いほど短くなるように待機時間twを更新し、判定温度Tpが適正範囲の下限値よりも低いときには低いほど長くなるように待機時間twを更新するよう判定温度Tpと待機時間twとの関係が定められている。なお、待機時間更新用マップでは、判定温度Tpの適正範囲内は、待機時間twが変更されない不感帯となっている。
そして、CPU81は、水蒸気改質処理を実行すると、発電処理を開始する(S250)。発電処理は、システム要求量(負荷4の負荷指令)を入力し、入力したシステム要求量に応じて原燃料ガス供給装置40とエア供給装置50と改質水供給装置55とを制御することにより行なわれる。具体的には、原燃料ガス供給装置40の制御は、入力したシステム要求量に基づいて原燃料ガス供給装置40が供給すべき目標流量を設定し、設定した目標流量と流量センサ48により検出される流量との偏差に基づくフィードバック制御によりデューティ比を設定し、設定したデューティ比に基づいて原燃料ガスポンプ45のポンプモータを制御することにより行なわれる。エア供給装置50の制御は、原燃料ガスの目標流量に対し所定の比(空燃比)となるようにエア供給装置50が供給すべき目標流量を設定し、設定した目標流量と流量センサ54により検出される流量との偏差に基づくフィードバック制御によりデューティ比を設定し、設定したデューティ比に基づいてエアブロワ53のブロワモータを制御することにより行なわれる。改質水供給装置55の制御は、入力したシステム要求量に基づいて改質水供給装置55が供給すべき目標水量を設定し、設定した目標水量となるようデューティ比を設定し、設定したデューティ比に基づいて改質水ポンプ58のポンプモータを制御することにより行なわれる。
CPU81は、発電処理を実行中に、システム停止が要求されると(S260)、システムを停止すると共に(S270)、システムの停止に伴って改質水ポンプ58を停止する(S280)。そして、改質水供給管56内の水が改質水タンク57側へ戻るよう改質水ポンプ58(ポンプモータ)を逆回転方向に駆動し(S290)、改質水供給管56内の水が空の状態となるのに必要な一定時間が経過すると(S300)、改質水ポンプ58を停止して(S310)、システム制御ルーチンを終了する。このように、システム停止に伴って改質水供給管56内の水を空の状態にしておくことで、次回のシステム起動において、改質水供給管56内の水が空の状態で水位調整処理を実行することができる。この場合、システム停止してから次回にシステム起動するまでの間、改質水供給管56が凍結するおそれがなく、凍結防止用ヒータを不要とすることができる。
以上説明した実施形態の燃料電池システム10は、システム起動時に、改質水供給管56の水が空の状態から改質水ポンプ58を一定時間駆動する水位調整制御を行なう。改質水ポンプ58は、定量型のポンプであるから、改質水供給管56内の水が空の状態から改質水ポンプ58を一定時間駆動することで、水位センサを用いることなく、改質水供給管56内の水の水位を所定水位に調整することができる。また、改質水ポンプ58は、正逆両方向の液送が可能であるから、改質水ポンプ58を逆方向に駆動することで、改質水供給管56内の水を空の状態とすることができる。この結果、水位センサを用いることなく、気化器32への給水をより適切なタイミングで行なうことが可能となる。
実施形態の燃料電池システム10は、システム停止後に、改質水ポンプ58を逆回転駆動して改質水供給管56内の水を空の状態とする。これにより、次回のシステム起動において、改質水供給管56内の水が空の状態で水位調整処理を実行することができる。また、システム停止してから次回にシステム起動するまでの間、改質水供給管56が凍結するおそれがなく、凍結防止用ヒータを不要とすることができる。
実施形態の燃料電池システム10は、水位調整制御を行なった後、改質水ポンプ58の駆動を停止させた状態で待機し、燃焼部34の着火が開始されてから待機時間twが経過したときに、改質水ポンプ58の駆動を開始して気化器32(改質器33)への給水を開始する。また、改質器33に温度センサ91を設け、気化器32への給水を開始した後に温度センサ91により検出された改質器温度に基づく判定温度Tpにより待機時間twを変更する。これにより、次回のシステム起動時において改質水の供給タイミングを適正なタイミングにより近づけることができる。さらに、判定温度Tpが異常範囲内(改質器高温異常範囲と改質器低温異常範囲のいずれかの範囲内)にあるときには、燃料電池システム10を異常停止するから、異常の発生にも迅速に対応することができる。
実施形態では、システム停止後に改質水ポンプ58を逆回転駆動して改質水供給管56内を空の状態にしておくものとしたが、これに限定されるものではなく、システム起動時に水位調整処理の実行に先だって、改質水ポンプ58を逆回転駆動して改質水供給管56内を空の状態にするものとしてもよい。
実施形態では、待機温度更新用マップとして、判定温度Tpに待機時間twを変更させない不感帯を設けるものとしたが、不感帯を設けないものとしてもよい。
実施形態では、待機時間twを更新するものとしたが、待機時間twとして予め定めた一定の時間を用いるものとし、待機時間twを更新しないものとしてもよい。
実施形態では、改質器33の内部に温度センサ91を設け、温度センサ91により検出される改質器温度に基づいて待機時間twを更新するものとしたが、気化器32の内部に温度センサを設け、当該温度センサにより検出される気化器温度に基づいて待機時間twを更新するものとしてもよい。この場合についても、改質器温度を気化器温度に置き換えて、システム制御ルーチンのS170〜S240の処理を実行するものとすればよい。
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、改質器33が改質部に相当し、気化器32が気化部に相当し、改質水タンク58が水タンクに相当し、改質水供給管56が水配管に相当し、改質水ポンプ58が水ポンプに相当し、燃焼部34が燃焼部に相当し、制御装置80が制御装置に相当する。また、温度センサ91が温度センサに相当する。
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、燃料電池システムの製造産業などに利用可能である。
1 ガス供給源、2 商用電源、3 電力ライン、4 負荷、10 燃料電池システム、20 発電ユニット、22 筐体、22a 吸気口、22b 排気口、24 換気ファン、30 発電モジュール、31 モジュールケース、32 気化器、33 改質器、34 燃焼部、35 点火ヒータ、36 燃料電池スタック、37 燃焼触媒、40 原燃料ガス供給装置、41 原燃料ガス供給管、42,43 原燃料ガス供給弁、44 オリフィス、45 原燃料ガスポンプ、46 脱硫器、47 圧力センサ、48 流量センサ、50 エア供給装置、51 エア供給管、52 フィルタ、53 エアブロワ、54 流量センサ、55 改質水供給装置、56 改質水供給管、57 改質水タンク、58 改質水ポンプ、60 排熱回収装置、61 循環配管、62 熱交換器、63 循環ポンプ、66 凝縮水供給管、67 排気ガス排出管、71 パワーコンディショナ、72 電源基板、80 制御装置、81 CPU、82 ROM、83 RAM、84 フラッシュメモリ、85 タイマ、90 表示パネル、91〜93 温度センサ、95 可燃ガスセンサ、100 給湯ユニット、101 貯湯タンク。

Claims (6)

  1. 水素を含む改質ガスと酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
    水蒸気を用いて原料ガスを前記改質ガスに改質して前記燃料電池に供給する改質部と、
    水を気化して前記改質部に供給する気化部と、
    水を蓄える水タンクと、
    前記気化部と前記水タンクとに接続された水配管と、
    前記水配管に設けられ、正逆両方向の液送が可能な定量型の水ポンプと、
    燃焼熱により前記改質部および前記気化部を加熱する燃焼部と、
    システム起動時に、前記水配管内の水が空の状態から該水配管内の水の水位が所定水位となるよう前記水ポンプを一定時間駆動する水位調整制御を行なってから前記気化部へ給水されるよう前記水ポンプを制御する制御装置と、
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記制御装置は、システム停止後に、逆方向の液送により前記水配管内の水が空の状態となるよう前記水ポンプを制御する、
    燃料電池システム。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池システムであって、
    前記制御装置は、前記水位調整制御を行なった後、前記水ポンプの駆動を停止させた状態で待機し、前記燃焼部の着火が開始されてから所定の待機時間が経過したタイミングで、前記水ポンプの駆動を開始して前記気化部への給水を開始する、
    燃料電池システム。
  4. 請求項3記載の燃料電池システムであって、
    前記気化部または前記改質部の温度を検出する温度センサを備え、
    前記制御装置は、前記気化部への給水を開始した後に前記温度センサにより検出された温度に基づいて前記待機時間を変更する、
    燃料電池システム。
  5. 請求項4記載の燃料電池システムであって、
    前記制御装置は、前記検出された温度が適正範囲のときには前記待機時間を保持し、前記検出された温度が前記適正範囲よりも高いときには短くなるよう前記待機時間を変更し、前記検出された温度が前記適正範囲よりも低いときには長くなるよう前記待機時間を変更する、
    燃料電池システム。
  6. 請求項5記載の燃料電池システムであって、
    前記制御装置は、前記検出された温度が異常範囲にあるときには、システムを停止させる、
    燃料電池システム。
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