JP2018194453A - 酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンを簡便に測定できるアルブミン測定方法を提供する。【解決手段】含硫アミノ酸を含み、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする酸化型アルブミン形成剤。【選択図】なし
Description
本発明は、酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法に関する。
ヒトアルブミンは、様々な生体機能を有している。そのため臨床検査における血液検査では、血清中に含まれるヒトアルブミンの含有量が日常的に測定されている。血清中のヒトアルブミンの含有量を測定する方法として、ブロムクレゾールグリーン(以下、「BCG」とも記す。)、又はブロムクレゾールパープル(以下、「BCP」とも記す。)等を用いた色素結合法等が知られている。
BCGは血清中のグロブリン等と非特異的に反応することから、よりアルブミンに対する結合特異性が高いBCPを用いたBCP法が従来から用いられてきた。現在ではBCP法を改良した改良型BCP法(以下、BCP法と改良型BCP法の両者を総称して「BCP法等」とも記す。)が広く使用されている。
BCGは血清中のグロブリン等と非特異的に反応することから、よりアルブミンに対する結合特異性が高いBCPを用いたBCP法が従来から用いられてきた。現在ではBCP法を改良した改良型BCP法(以下、BCP法と改良型BCP法の両者を総称して「BCP法等」とも記す。)が広く使用されている。
ヒトアルブミンの生体機能の一つに酸化還元緩衝作用がある。ヒトアルブミンは、血液中のレドックス状態に応じて、還元型アルブミンと、酸化型アルブミンと、2つの状態をとることができる。還元型アルブミンは、N末端から34番目のシステイン残基(以下「Cys−34」とも記す。)が遊離のチオール基(SH基)を有しており、酸化型アルブミンは、Cys−34が遊離のチオール基を有さない。還元型アルブミンは、Cys−34が遊離のチオール基を有することにより、酸化ストレスに起因するヒドロキシラジカル、及び次亜塩素酸イオン等のフリーラジカルと反応して、生体内のフリーラジカルを消去することができる。
生体内のフリーラジカルは、様々な酸化ストレスに起因して発生する。酸化ストレスとしては、代謝処理等の生理的因子;過度の運動、感染、及び炎症等の病的因子;喫煙、紫外線、放射線、及び大気汚染等の外的因子等が挙げられる。アルブミン等による酸化還元緩衝能力を上回る酸化ストレスは、核酸、タンパク質、及び糖等の生体分子を酸化修飾し、生理機能の低下、疾病の発症、及び進行、並びに老化等の一因となることが知られている。例えば、血液透析患者、老年性白内障患者の血清中の還元型アルブミンの含有量は、健常者と比べて低下していることが知られている。
患者の還元型アルブミンが低下している疾患は、上記の疾患の他にも多数あると予想される。そのため、血清中の還元型アルブミンの含有量を正確に測定する技術は、種々の疾患に対する新規治療法の開発等の観点から有意義である。
患者の還元型アルブミンが低下している疾患は、上記の疾患の他にも多数あると予想される。そのため、血清中の還元型アルブミンの含有量を正確に測定する技術は、種々の疾患に対する新規治療法の開発等の観点から有意義である。
血清中の還元型アルブミンの含有量を測定するために、血清中のヒトアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンとに分離して各々を定量する方法が知られている(特許文献1)。特許文献1は、ヒトアルブミンを、還元型アルブミンと酸化型アルブミンとに分離する手段として、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」とも記す。)を使用した還元型アルブミンの測定方法を開示している。特許文献1に記載の方法においては、HPLCによって分離された還元型アルブミンと酸化型アルブミンとが、蛍光、又は紫外線等を利用した検出装置によって定量されている。
しかしながら、特許文献1に記載の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの測定方法は、測定を行うたびにHPLCを用いて還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンを分離しているため、簡便な方法であるとは言い難い。特許文献1に記載のHPLCによる測定方法(以下、「HPLC法」とも記す。)には、熟練した技術が求められる。加えて、一つの試料を測定するのに200μL程度の血清サンプルを必要とし、測定する度に60mL程度もの廃液を生ずる。さらに、HPLC法においては、一度に測定することができる試料の数にも限界があるので、実用的ではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンを簡便に測定できるアルブミン測定方法を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、BCPが、還元型アルブミンよりも、酸化型アルブミンとより強い結合親和性を示すことに着目し、本発明を完成させるに至った。具体的には、予め、血清等の試料を第1の試料と第2の試料とに分けておく。第1の試料には、第1の試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態にする酸化型アルブミン形成剤を添加する。酸化型アルブミン形成剤の添加により、第1の試料中の還元型アルブミンは酸化型アルブミンとして検出される状態にされる。この状態で、酸化型アルブミン形成剤を添加した第1の試料についてBCP法等で測定すると、BCPによる発色により、試料のアルブミン含有量αを知ることができる。
一方、第2の試料には前記酸化型アルブミン形成剤を添加せずに、BCP法等による測定に使用する。第2の試料についてBCP法等で測定すると、BCPで検出されなかった還元型アルブミンに相当する分の含有量が差し引かれたアルブミン含有量βを知ることができる。本発明者は、前記アルブミン含有量αと、前記アルブミン含有量βとの間にある値の差が、当初の試料中に含まれる還元型アルブミンの含有量と相関関係にあることを見出し、本発明を完成させるに至った。
一方、第2の試料には前記酸化型アルブミン形成剤を添加せずに、BCP法等による測定に使用する。第2の試料についてBCP法等で測定すると、BCPで検出されなかった還元型アルブミンに相当する分の含有量が差し引かれたアルブミン含有量βを知ることができる。本発明者は、前記アルブミン含有量αと、前記アルブミン含有量βとの間にある値の差が、当初の試料中に含まれる還元型アルブミンの含有量と相関関係にあることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の構成を備える。
[1] 含硫アミノ酸を含み、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする酸化型アルブミン形成剤。
[2] [1]に記載の酸化型アルブミン形成剤と、ブロムクレゾールパープルと、を備えるアルブミン測定キット。
[3] [1]に記載の酸化型アルブミン形成剤と、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを含む試料とを混合し、混合して得られる混合物のアルブミン量(A)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する第1ステップと、前記酸化型アルブミン形成剤と、前記試料とを混合せずに、前記試料のアルブミン量(B)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する第2ステップと、を含み、前記アルブミン量(A)の値と、前記アルブミン量(B)の値とを基に、前記試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を算出するアルブミン測定方法。
[1] 含硫アミノ酸を含み、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする酸化型アルブミン形成剤。
[2] [1]に記載の酸化型アルブミン形成剤と、ブロムクレゾールパープルと、を備えるアルブミン測定キット。
[3] [1]に記載の酸化型アルブミン形成剤と、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを含む試料とを混合し、混合して得られる混合物のアルブミン量(A)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する第1ステップと、前記酸化型アルブミン形成剤と、前記試料とを混合せずに、前記試料のアルブミン量(B)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する第2ステップと、を含み、前記アルブミン量(A)の値と、前記アルブミン量(B)の値とを基に、前記試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を算出するアルブミン測定方法。
本発明によれば、試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンを簡便に測定することができる。
以下の用語の定義は、本明細書、及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「アルブミン」とは、分子内に35個のシステイン残基(Cys)を有し、その内の17個のシステイン残基についてはシステイン残基同士が分子内でジスルフィド(S−S)結合を形成し、残りの1個のシステイン残基は、N末端から34番目のシステイン残基(Cys−34)であって、遊離のチオール基(SH基)を有するシステイン残基として存在するタンパク質を意味する。
「還元型アルブミン」とは、Cys−34が遊離のチオール基を有し、還元性を示すアルブミンを意味する。
「酸化型アルブミン」とは、Cys−34が遊離のチオール基を有さず、還元性を示さないアルブミンを意味する。
「還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする」とは、還元型アルブミンと酸化型アルブミンとを含む試料中の還元型アルブミンに選択的に作用して、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして公知の手段で検出できるようにすることを意味する。
「試料」とは、特に制限されず、例えば、血液、唾液、涙液、汗等の体液、及び尿等の生体試料;細胞の懸濁液;細胞の破砕液等が挙げられる。「試料」は、生理食塩水等の緩衝液、又は蒸留水等で希釈されたものであってもよい。また、アルブミンの由来は、哺乳類(例えば、ヒト、サル、ウシ、ウサギ、マウス、及びラット等)由来のものであれば、特に制限されない。
「アルブミン」とは、分子内に35個のシステイン残基(Cys)を有し、その内の17個のシステイン残基についてはシステイン残基同士が分子内でジスルフィド(S−S)結合を形成し、残りの1個のシステイン残基は、N末端から34番目のシステイン残基(Cys−34)であって、遊離のチオール基(SH基)を有するシステイン残基として存在するタンパク質を意味する。
「還元型アルブミン」とは、Cys−34が遊離のチオール基を有し、還元性を示すアルブミンを意味する。
「酸化型アルブミン」とは、Cys−34が遊離のチオール基を有さず、還元性を示さないアルブミンを意味する。
「還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする」とは、還元型アルブミンと酸化型アルブミンとを含む試料中の還元型アルブミンに選択的に作用して、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして公知の手段で検出できるようにすることを意味する。
「試料」とは、特に制限されず、例えば、血液、唾液、涙液、汗等の体液、及び尿等の生体試料;細胞の懸濁液;細胞の破砕液等が挙げられる。「試料」は、生理食塩水等の緩衝液、又は蒸留水等で希釈されたものであってもよい。また、アルブミンの由来は、哺乳類(例えば、ヒト、サル、ウシ、ウサギ、マウス、及びラット等)由来のものであれば、特に制限されない。
[酸化型アルブミン形成剤]
まず、本発明を適用した一実施形態の酸化型アルブミン形成剤について説明する。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、含硫アミノ酸を含む。含硫アミノ酸としては、システイン、ホモシステイン、及びメチオニン等が挙げられるが、これらに制限されない。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、含硫アミノ酸を含むことにより、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする。なお、含硫アミノ酸は、ペプチドの形態であってもよい。この場合、例えば2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチドであってよい。かかるペプチドとしては、グルタチオン等が挙げられる。
まず、本発明を適用した一実施形態の酸化型アルブミン形成剤について説明する。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、含硫アミノ酸を含む。含硫アミノ酸としては、システイン、ホモシステイン、及びメチオニン等が挙げられるが、これらに制限されない。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、含硫アミノ酸を含むことにより、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする。なお、含硫アミノ酸は、ペプチドの形態であってもよい。この場合、例えば2〜3個のアミノ酸残基を含むペプチドであってよい。かかるペプチドとしては、グルタチオン等が挙げられる。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤の作用をうけた還元型アルブミンは、吸光度、蛍光、又は紫外線等を利用した検出手段によって酸化型アルブミンとして検出することができる。
吸光度を利用した検出手段としては、BCG、及びBCP等の色素を使用する色素結合法を挙げることができる。BCP等の色素を利用した色素結合法は、色素が試料中のアルブミンと結合して発色することを利用した定量方法である。蛍光、又は紫外線等を利用した検出手段としては、紫外吸光光度検出器、及び蛍光検出器等が挙げられる。なお、酸化型アルブミンは、HPLC法によっても検出することができる。
吸光度を利用した検出手段としては、BCG、及びBCP等の色素を使用する色素結合法を挙げることができる。BCP等の色素を利用した色素結合法は、色素が試料中のアルブミンと結合して発色することを利用した定量方法である。蛍光、又は紫外線等を利用した検出手段としては、紫外吸光光度検出器、及び蛍光検出器等が挙げられる。なお、酸化型アルブミンは、HPLC法によっても検出することができる。
従来の改良型BCP法においては、還元型アルブミンを酸化型アルブミンに酸化するために、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)試薬(以下、「DTNB」とも記す。)が用いられてきた。改良型BCP法においては、DTNBを用いて試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンに酸化させてから、BCPで発色させて測定を行っている。
しかし、本発明者らが検討した結果、DTNBによる酸化では、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンに充分に酸化できているかを確認できなかった。DTNBは、SDSを必須の構成成分としているため、酸化反応後のアルブミンにおける酸化型アルブミンの割合をHPLCで正確に確認することが困難である。そのため、従来の改良型BCP法においては、すべての試料についてDTNBが還元型アルブミンを充分かつ確実に酸化できているとは言い難く、測定値の信頼性、正確性、及び精度に改善の余地があった。
しかし、本発明者らが検討した結果、DTNBによる酸化では、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンに充分に酸化できているかを確認できなかった。DTNBは、SDSを必須の構成成分としているため、酸化反応後のアルブミンにおける酸化型アルブミンの割合をHPLCで正確に確認することが困難である。そのため、従来の改良型BCP法においては、すべての試料についてDTNBが還元型アルブミンを充分かつ確実に酸化できているとは言い難く、測定値の信頼性、正確性、及び精度に改善の余地があった。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、BCP法等において用いられているDTNB等の酸化剤より多くの還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とすることができる。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、DTNBのようにSDSを必須の構成成分としないので、反応後のアルブミンにおける酸化型アルブミンの割合をHPLC法等の公知の測定方法で正確に確認することができる。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、液体であってもよく、液体の酸化型アルブミン形成剤を凍結した固体であってもよく、粉末状であってもよい。液体の酸化型アルブミン形成剤は、含硫アミノ酸を蒸留水等に溶解することにより調製することができる。液体の酸化型アルブミン形成剤に含まれる含硫アミノ酸の濃度は、任意に調節して調製することができる。酸化型アルブミン形成剤が液体である場合、前記含硫アミノ酸の濃度は、アルブミン1gに対して0.1mmol以上となるように溶液を調製することが好ましい。含硫アミノ酸の濃度が前記下限値以上であれば、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出しやすくなる。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤のpHは、4.5〜6.0であることが好ましい。酸化型アルブミン形成剤のpHが前記下限値以上であれば、試料中のアルブミンが酸変性しにくく、試料中のアルブミンを測定する際の精度、及び正確性が優れやすい。酸化型アルブミン形成剤のpHが前記上限値以下であれば、BCPがアルブミンと結合しやすく、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出しやすくなる。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、その他の任意成分として、公知のpH調整剤、公知の緩衝剤、公知の反応安定剤、及び公知の塩を含むことができる。これらの任意成分の濃度は、特に制限されず、本発明の効果を損なわない範囲であれば適宜設定することができる。なお、反応安定剤とは、含硫アミノ酸による試料中の還元型アルブミンを、酸化型アルブミンとして検出可能とする反応の安定性を確保することを目的とする成分である。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを含む試料と混合することができる。本実施形態の酸化型アルブミン形成剤と、前記試料とを混合することにより、前記試料中の還元型アルブミンを、酸化型アルブミンとして検出することができる。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤を用いて、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする際の反応温度は、特に制限されないが、30〜40℃であることが好ましい。反応時間は、特に制限されないが、12〜24時間であることが好ましい。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤を用いて、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする際においては、含硫アミノ酸の濃度を調節することにより、その濃度に依存して酸化型アルブミンを形成することができる。即ち、含硫アミノ酸の濃度を任意に調節することにより、試料に含まれるアルブミン中の酸化型アルブミンの割合を任意に調節することができる。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤を用いて、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする際の反応温度は、特に制限されないが、30〜40℃であることが好ましい。反応時間は、特に制限されないが、12〜24時間であることが好ましい。
本実施形態の酸化型アルブミン形成剤を用いて、試料中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする際においては、含硫アミノ酸の濃度を調節することにより、その濃度に依存して酸化型アルブミンを形成することができる。即ち、含硫アミノ酸の濃度を任意に調節することにより、試料に含まれるアルブミン中の酸化型アルブミンの割合を任意に調節することができる。
[アルブミン測定キット]
次に、本発明を適用した一実施形態のアルブミン測定キットについて説明する。本実施形態のアルブミン測定キットは、試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を測定するための測定キットである。
本実施形態のアルブミン測定キットは、上述した酸化型アルブミン形成剤と、ブロムクレゾールパープル(BCP)と、を備える。本実施形態のアルブミン測定キットは、BCPを備えることにより、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを含む試料中のアルブミンの含有量を測定することができる。
BCPは、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。BCPの市販品としては、SIEMENS社製の「フレックスカートリッジ ALB」等が挙げられるが、特に制限されない。
次に、本発明を適用した一実施形態のアルブミン測定キットについて説明する。本実施形態のアルブミン測定キットは、試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を測定するための測定キットである。
本実施形態のアルブミン測定キットは、上述した酸化型アルブミン形成剤と、ブロムクレゾールパープル(BCP)と、を備える。本実施形態のアルブミン測定キットは、BCPを備えることにより、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを含む試料中のアルブミンの含有量を測定することができる。
BCPは、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。BCPの市販品としては、SIEMENS社製の「フレックスカートリッジ ALB」等が挙げられるが、特に制限されない。
BCPはアルブミンと結合し、アルブミン−BCP複合体を形成する。アルブミン−BCP複合体は、波長600nmに吸光を有する。BCP法等においては、波長540〜750nmの領域の吸光度を測定することによって、試料中のアルブミンの含有量を測定することができる。
BCPは還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンのいずれとも結合できるが、還元型アルブミンよりも、酸化型アルブミンと結合しやすい。BCPは、酸化型アルブミンと結合した場合に発色強度が相対的に強くなりやすく、還元型アルブミンと結合した場合は、発色強度が相対的に弱くなりやすい。
BCPは還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンのいずれとも結合できるが、還元型アルブミンよりも、酸化型アルブミンと結合しやすい。BCPは、酸化型アルブミンと結合した場合に発色強度が相対的に強くなりやすく、還元型アルブミンと結合した場合は、発色強度が相対的に弱くなりやすい。
本実施形態のアルブミン測定キットは、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤を備えているので、試料中の全ての還元型アルブミンを確実に酸化型アルブミンとして検出可能な状態とすることができる。そのため、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤で、試料中の還元型アルブミンの全てを、酸化型アルブミンとして検出可能な状態としてから、BCP法等で測定すれば、試料中のアルブミン含有量を確実に測定することができる。
[アルブミン測定方法]
次に、本発明を適用した一実施形態のアルブミン測定方法について説明する。実施形態のアルブミン測定方法においては、上述した本実施形態の酸化型アルブミン形成剤、又は本実施形態のアルブミン測定キットを用いることができる。
次に、本発明を適用した一実施形態のアルブミン測定方法について説明する。実施形態のアルブミン測定方法においては、上述した本実施形態の酸化型アルブミン形成剤、又は本実施形態のアルブミン測定キットを用いることができる。
本実施形態のアルブミン測定方法は、第1ステップと、第2ステップとを含む。
まず第1ステップと第2ステップを行う前に、試料Xを2本以上の試験管等に分注して、第1の試料と、第2の試料とをそれぞれ準備する。なお、第1の試料と、第2の試料とは、同一の還元型アルブミン及び酸化型アルブミンの組成を有している。
まず第1ステップと第2ステップを行う前に、試料Xを2本以上の試験管等に分注して、第1の試料と、第2の試料とをそれぞれ準備する。なお、第1の試料と、第2の試料とは、同一の還元型アルブミン及び酸化型アルブミンの組成を有している。
まず、第1ステップは、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤と、第1の試料と、を混合する。この操作を行うことにより、第1の試料中の還元型アルブミンが酸化型アルブミンとして検出可能な状態とされる。検出可能な状態とする際には、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤と、第1の試料とを混合して得られる混合物(α)を、恒温槽で反応させることができる。この時の反応温度は、例えば30〜40℃とすることができる。また、反応時間は、例えば12〜24時間とすることができる。
次に、第1ステップでは、混合物(α)のアルブミン量(A)を、BCPを用いて測定する。ここで混合物(α)は、本実施形態のアルブミン形成剤の作用を受けているので、アルブミン量(A)は、第1の試料中のアルブミン含有量を示しているといえる。
アルブミン量(A)は、BCP法等により測定して得ることができる。BCP法等では、発色させた試料の吸光度と試料中のアルブミン含有量との相関関係を利用して、アルブミン含有量を測定することができる。例えば、横軸にアルブミン含有量を、縦軸に発色後の試料の吸光度をそれぞれプロットして別途作成した検量線を使用して、混合物(α)の吸光度(a)を測定し、混合物(α)のアルブミン量(A)を算出することができる。
第1ステップにおいては、第1の試料中のすべての還元型アルブミンが、酸化型アルブミンとして検出可能な状態とされた混合物(α1)を用いることができる。この場合、混合物(α1)の吸光度(a1)を測定することにより、アルブミン量(A1)をより正確に算出することができる。この場合、アルブミン量(A1)は、試料Xのアルブミン含有量をより正確に示しているといえる。
アルブミン量(A)は、BCP法等により測定して得ることができる。BCP法等では、発色させた試料の吸光度と試料中のアルブミン含有量との相関関係を利用して、アルブミン含有量を測定することができる。例えば、横軸にアルブミン含有量を、縦軸に発色後の試料の吸光度をそれぞれプロットして別途作成した検量線を使用して、混合物(α)の吸光度(a)を測定し、混合物(α)のアルブミン量(A)を算出することができる。
第1ステップにおいては、第1の試料中のすべての還元型アルブミンが、酸化型アルブミンとして検出可能な状態とされた混合物(α1)を用いることができる。この場合、混合物(α1)の吸光度(a1)を測定することにより、アルブミン量(A1)をより正確に算出することができる。この場合、アルブミン量(A1)は、試料Xのアルブミン含有量をより正確に示しているといえる。
第2ステップは、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤と、第2の試料とを混合せずに、第2の試料のアルブミン量(B)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する。ここで、アルブミン量(B)は、第2の試料中の酸化型アルブミン含有量を示すともいえる。
アルブミン量(B)は、BCP法等により測定して得ることができる。第2の試料とBCPとを混合して、第2の試料の吸光度(b)を測定することができる。これにより、第2の試料のアルブミン量(B)は、アルブミン量(A)と同様に、BCP法等により第2の試料の吸光度(b)から算出することができる。
アルブミン量(B)は、BCP法等により測定して得ることができる。第2の試料とBCPとを混合して、第2の試料の吸光度(b)を測定することができる。これにより、第2の試料のアルブミン量(B)は、アルブミン量(A)と同様に、BCP法等により第2の試料の吸光度(b)から算出することができる。
第1ステップ、及び第2ステップにおける吸光度の測定に際しては、波長540nm〜750nmの領域における複数の波長について吸光度を測定することにより、当該混合物の濁り、及び発光量の減衰等による測定値への影響を低減することができる。
第1ステップと、第2ステップを行う順番は、特に制限されず、どちらのステップを先に行ってもよい。第2ステップで、第2の試料とブロムクレゾールパープルとを混合したのち、すぐに吸光度の測定を行わない場合には、第2の試料を低温で保管しておき、吸光度測定を行う前に、溶解してから、第2の試料の吸光度(b)を測定してもよい。
第1ステップ、及び第2ステップの操作は、いずれも要手法により手作業で行ってもよいが、自動分析装置等を用いて自動化された方法により行うこともできる。
第1ステップ、及び第2ステップの操作は、いずれも要手法により手作業で行ってもよいが、自動分析装置等を用いて自動化された方法により行うこともできる。
アルブミン量(A)は、試料X中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態としてから、ブロムクレゾールパープルを用いて測定されている。アルブミン量(B)は、試料X中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とせずに、ブロムクレゾールパープルを用いて測定されている。
BCPは還元型アルブミンよりも、酸化型アルブミンと結合して相対的に強く発色しやすい。第2の試料に含まれていた還元型アルブミンの一部は、BCPと結合するが、相対的に弱く発色する傾向にある。一方、混合物(α)中の還元型アルブミンは、酸化型アルブミン形成剤の作用を受ける。そのため、第1の試料に含まれていた還元型アルブミンは、酸化型アルブミンとしてBCP法で検出されやすい。よって、混合物(α)のアルブミン量(A)は、第2の試料のアルブミン量(B)より高い値をとる。
以上より、アルブミン量(A)の値と、アルブミン量(B)の値との差は、試料Xの還元型アルブミンの含有量を反映することができる。具体的には、試料Xの還元型アルブミンの含有量が多いほど、アルブミン量(A)、及びアルブミン量(B)の各値の差は小さくなる。また、試料Xの還元型アルブミンの含有量が少ないほど、アルブミン量(A)、及びアルブミン量(B)の各値の差は大きくなる。
BCPは還元型アルブミンよりも、酸化型アルブミンと結合して相対的に強く発色しやすい。第2の試料に含まれていた還元型アルブミンの一部は、BCPと結合するが、相対的に弱く発色する傾向にある。一方、混合物(α)中の還元型アルブミンは、酸化型アルブミン形成剤の作用を受ける。そのため、第1の試料に含まれていた還元型アルブミンは、酸化型アルブミンとしてBCP法で検出されやすい。よって、混合物(α)のアルブミン量(A)は、第2の試料のアルブミン量(B)より高い値をとる。
以上より、アルブミン量(A)の値と、アルブミン量(B)の値との差は、試料Xの還元型アルブミンの含有量を反映することができる。具体的には、試料Xの還元型アルブミンの含有量が多いほど、アルブミン量(A)、及びアルブミン量(B)の各値の差は小さくなる。また、試料Xの還元型アルブミンの含有量が少ないほど、アルブミン量(A)、及びアルブミン量(B)の各値の差は大きくなる。
本実施形態のアルブミン測定方法は、前記アルブミン量(A)の値と、前記アルブミン量(B)の値とを基に、試料X中の還元型アルブミンの含有量RX、及び酸化型アルブミンの含有量OXの各値を算出する。算出に際しては、アルブミン量(A)及びアルブミン量(B)の各値の差Δと、当初の試料Xに含まれる還元型アルブミンの含有量RXとの間にある相関関係を表す検量線Lを使用することができる。
検量線Lは、例えば以下の要領で作成することができる。検量線の作成に際しては、還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各々の含有量が既知である標準アルブミンを用意する。標準アルブミンとして使用する血清中の還元型アルブミンの濃度は、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンの総和100質量%に対して、80〜90質量%であることが好ましい。
まず、互いに含硫アミノ酸の濃度が異なるn種類の本実施形態の酸化型アルブミン形成剤A1〜nを調製する。含硫アミノ酸の濃度を適宜調節することにより、酸化型アルブミンとして検出可能な状態とされる還元型アルブミンの量を調節することができる。即ち、含硫アミノ酸の濃度を調節し、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤と、標準アルブミンとを混合することにより、酸化型アルブミンとして検出可能な状態とされる還元型アルブミンの量を任意に調節することができる。そのため、本実施形態の酸化型アルブミン形成剤は、検量線Lを作成する際においても有用である。
検量線Lの作成に際しては、酸化型アルブミン形成剤A1〜nのうち、ある酸化型アルブミン形成剤Amについては含硫アミノ酸の濃度を0に調製しておく。また、酸化型アルブミン形成剤A1〜nのうち、他の1つの酸化型アルブミン形成剤AMについては、含硫アミノ酸の濃度を標準アルブミン中の還元型アルブミンの全てが酸化型アルブミンとして検出可能な状態とできる濃度に調製しておく。
次いで、標準アルブミンをn本の試験管T1〜Tnに分注し、含硫アミノ酸の濃度が調節された酸化型アルブミン形成剤A1〜Anを各試験管に添加する。試験管としては特に制限されないが、マイクロチューブ、及び96ウェルプレート等を使用することができる。
濃度が調節された各酸化型アルブミン形成剤を添加することにより、各試験管中の還元型アルブミンの含有量、及び酸化型アルブミンの含有量を任意に調節することができる。ここで酸化型アルブミン形成剤Amを添加した試験管をTmとし、酸化型アルブミン形成剤AMを添加した試験管をTMとする。なお、前記nは特に制限されないが、例えば5とすることができる。
濃度が調節された各酸化型アルブミン形成剤を添加することにより、各試験管中の還元型アルブミンの含有量、及び酸化型アルブミンの含有量を任意に調節することができる。ここで酸化型アルブミン形成剤Amを添加した試験管をTmとし、酸化型アルブミン形成剤AMを添加した試験管をTMとする。なお、前記nは特に制限されないが、例えば5とすることができる。
次に、試験管Tm以外の試験管を恒温槽で反応させる。これにより、各試験管中の還元型アルブミンの含有量、及び酸化型アルブミンの含有量が任意に調節された試験管を準備することができる。恒温槽による反応が終了した後、試験管Tm以外の各試験管の吸光度を測定する。次いで、試験管Tm、及び反応後の各試験管に含まれる還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンをHPLC等の公知の分離方法で分離することにより、各試験管T1〜n中の還元型アルブミンの含有量、及び酸化型アルブミンの含有量をBCP法等によってそれぞれ測定することができる。
試験管TM中のアルブミン含有量に対する酸化型アルブミンの割合は100%である。そのため、BCP法等で試験管TMの吸光度を測定すると、標準アルブミンに含まれていた全アルブミンがBCPと結合して発色した値をとる。そこで、試験管TMの吸光度と、各試験管の吸光度との差を横軸にプロットし、各試験管中の還元型アルブミンの含有量の、各試験管中のアルブミン含有量に対する割合を縦軸にプロットすることにより、検量線Lを作成することができる。
検量線Lは、アルブミン量(A)及びアルブミン量(B)の各値の差Δと還元型アルブミンの含有量RXとの間にある相関関係を表す。よって、検量線Lを用いることにより、アルブミン量(A)の値と、アルブミン量(B)の値とを基に、試料X中の還元型アルブミンの含有量RXを算出し、酸化型アルブミンの含有量を算出する。
検量線Lは、アルブミン含有量(S)が互いに異なる複数の標準アルブミンについて作成することが好ましい。検量線Lの傾きは、標準アルブミンのアルブミン含有量(S)の値によって決定される。アルブミン含有量(S)が異なる複数の標準アルブミンについて、複数の検量線Lを作成しておけば、試料Xのアルブミン含有量(A1)と最も値が近いアルブミン含有量の標準アルブミンの検量線を選択することができる。これによりアルブミン含有量(A1)が互いに異なる複数の試料Xについても簡便に測定することができる。
(作用効果)
以上説明した本実施形態の酸化型アルブミン形成剤によれば、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態としてから、混合物(α)についてアルブミン量(A)を測定できる。試料中の還元型アルブミンと酸化型アルブミンとが混在した状態のまま、第2の試料についてアルブミン量(B)を測定し、アルブミン量(A)との差を求め、検量線Lを用いれば、試料中の還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを測定することができる。そのため、複数の試料について測定する度にHPLCによる分離操作を行う必要がなく、試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンを簡便に測定することができる。
また、本実施形態のアルブミン測定方法によれば、一回の測定を行うに際し、多量の試料を必要とせず、廃液の発生量を削減できる。また、本実施形態のアルブミン測定方法によれば、HPLCを用いた測定方法よりも多数の試料について測定することができる。
以上説明した本実施形態の酸化型アルブミン形成剤によれば、還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態としてから、混合物(α)についてアルブミン量(A)を測定できる。試料中の還元型アルブミンと酸化型アルブミンとが混在した状態のまま、第2の試料についてアルブミン量(B)を測定し、アルブミン量(A)との差を求め、検量線Lを用いれば、試料中の還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを測定することができる。そのため、複数の試料について測定する度にHPLCによる分離操作を行う必要がなく、試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンを簡便に測定することができる。
また、本実施形態のアルブミン測定方法によれば、一回の測定を行うに際し、多量の試料を必要とせず、廃液の発生量を削減できる。また、本実施形態のアルブミン測定方法によれば、HPLCを用いた測定方法よりも多数の試料について測定することができる。
以上説明した、本発明の酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法は、透析導入患者、パーキンソン病患者、及び心筋梗塞患者等の難治療性の疾患患者の血清中の還元型アルブミンの測定に適用することができる。本発明によれば、還元型アルブミンをバイオマーカー等として有効に活用し、上記の難治療性の疾患の新規治療法、及び新規治療薬の開発に利用することができる。
加えて、本発明の酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法は、予後の判定、治療効果の判定、健康状態の管理、並びに輸血に使用されるアルブミン製剤、及び実験用アルブミン試薬の品質管理等に利用することもできる。また、遺伝子改変マウス等を用いた実験系において、特定の遺伝子のノックアウト(ノックダウン)マウスの血清中に対して、酸化型アルブミンを定量的に解析することで各種疾患の病態解析に用いることもできる。
加えて、本発明の酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法は、予後の判定、治療効果の判定、健康状態の管理、並びに輸血に使用されるアルブミン製剤、及び実験用アルブミン試薬の品質管理等に利用することもできる。また、遺伝子改変マウス等を用いた実験系において、特定の遺伝子のノックアウト(ノックダウン)マウスの血清中に対して、酸化型アルブミンを定量的に解析することで各種疾患の病態解析に用いることもできる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されない。また、本発明は特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が加えられてもよい。
例えば、本実施形態では、検量線Lを作製する際に、各試験管Tk中の還元型アルブミンの含有量Rkの割合を縦軸にプロットして、試料X中の還元型アルブミンの含有量RXを算出しているが、各試験管Tk中の酸化型アルブミンの含有量Okの割合を縦軸にプロットして、試料X中の酸化型アルブミンの含有量OXを算出することもできる。
例えば、本実施形態では、検量線Lを作製する際に、各試験管Tk中の還元型アルブミンの含有量Rkの割合を縦軸にプロットして、試料X中の還元型アルブミンの含有量RXを算出しているが、各試験管Tk中の酸化型アルブミンの含有量Okの割合を縦軸にプロットして、試料X中の酸化型アルブミンの含有量OXを算出することもできる。
<実施例>
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
まず、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンの各含有量が未知の患者の血清Xを第1の試料と第2の試料とに30μLずつ分注した。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
まず、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンの各含有量が未知の患者の血清Xを第1の試料と第2の試料とに30μLずつ分注した。
(第1ステップ)
本発明の酸化型アルブミン形成剤として、0.01mol/Lのシステイン溶液10μLを、第1の試料に添加して撹拌した。撹拌後、当該混合物を37℃に保持した恒温槽で24時間反応させた。次に、反応後の混合物溶液10μLを、精製水740μLに添加し、次いでBCP250μLを添加し、37℃で10分間保持して発色させた。その後、波長600nmと、波長700nmの2点で吸光度を測定し、当該混合物(α)の吸光度(a)を得た。
本発明の酸化型アルブミン形成剤として、0.01mol/Lのシステイン溶液10μLを、第1の試料に添加して撹拌した。撹拌後、当該混合物を37℃に保持した恒温槽で24時間反応させた。次に、反応後の混合物溶液10μLを、精製水740μLに添加し、次いでBCP250μLを添加し、37℃で10分間保持して発色させた。その後、波長600nmと、波長700nmの2点で吸光度を測定し、当該混合物(α)の吸光度(a)を得た。
(第2ステップ)
0.01mol/Lのシステイン溶液の10μLを第2の試料に添加せずに、代わりに精製水10μLを、前記第2の試料に添加して撹拌した。撹拌後の溶液10μLを、精製水740μLに添加し、次いでBCP250μLを添加し、37℃で10分間保持して発色させた。その後、波長600nmと、波長700nmの2点で吸光度を測定し、第2の試料の吸光度(b)を得た。
0.01mol/Lのシステイン溶液の10μLを第2の試料に添加せずに、代わりに精製水10μLを、前記第2の試料に添加して撹拌した。撹拌後の溶液10μLを、精製水740μLに添加し、次いでBCP250μLを添加し、37℃で10分間保持して発色させた。その後、波長600nmと、波長700nmの2点で吸光度を測定し、第2の試料の吸光度(b)を得た。
(検量線の作成)
検量線の作成に際して、全アルブミンに対して、酸化型アルブミンの割合が15%であるプール血清を標準アルブミンとして用いた。プール血清を6本の試験管T1〜6に分注した。次に、含硫アミノ酸の濃度が表1に示すように互いに異なる6種類の本発明の酸化型アルブミン形成剤A1〜6を調製し、それぞれを6本の試験管T1〜6に添加した。次に、T2〜6以外の5本の試験管を37℃に保持した恒温槽で24時間反応させた。ここでT1については恒温槽で反応させなかった。
その後、6本の試験管T1〜6から10μLを取出して、精製水740μLに添加し、次いでBCP250μLを添加し、37℃で10分間保持して発色させた。その後、波長600nmと、波長700nmの2点で吸光度を測定し、各試験管の吸光度を得た。
検量線の作成に際して、全アルブミンに対して、酸化型アルブミンの割合が15%であるプール血清を標準アルブミンとして用いた。プール血清を6本の試験管T1〜6に分注した。次に、含硫アミノ酸の濃度が表1に示すように互いに異なる6種類の本発明の酸化型アルブミン形成剤A1〜6を調製し、それぞれを6本の試験管T1〜6に添加した。次に、T2〜6以外の5本の試験管を37℃に保持した恒温槽で24時間反応させた。ここでT1については恒温槽で反応させなかった。
その後、6本の試験管T1〜6から10μLを取出して、精製水740μLに添加し、次いでBCP250μLを添加し、37℃で10分間保持して発色させた。その後、波長600nmと、波長700nmの2点で吸光度を測定し、各試験管の吸光度を得た。
次に、恒温槽で反応させなかった試験管T1と、恒温槽で反応させなかった試験管T2〜6の各試験管について、HPLCを行うことにより、各試験管中の還元型アルブミン及び酸化型アルブミンの含有量を測定した。表1に各試験管中の全アルブミンに対する酸化型アルブミンの割合を示した。
表1に示すように反応後の試験管T6は、試験管中のアルブミン含有量に対する酸化型アルブミンの割合が100%である。よって反応後の試験管T6について測定した吸光度は、プール血清に含まれていた全アルブミンがBCPと結合して発色した値である。試験管T6の吸光度と、試験管T1〜5の吸光度との差を横軸にプロットし、各試験管T1〜6中の全アルブミンに対する酸化型アルブミンの割合を縦軸にプロットして、検量線Lを作成した。
検量線Lを用いて、吸光度(a)の値と、吸光度(b)の値とを基に、血清X中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を算出した。その結果、還元型アルブミンの含有量は2.16g/dL、酸化型アルブミンの含有量は、2.44g/dLであった。また、血清X中の全アルブミンに対する還元型アルブミンの割合は、53.1%であり、酸化型アルブミンの割合は46.9%であった。
一方、HPLC法により血清X中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を算出した。その結果、還元型アルブミンの含有量は2.48g/dL、酸化型アルブミンの含有量は、2.12g/dLであった。また、HPLC法により測定された血清X中の全アルブミンに対する還元型アルブミンの割合は、54.0%であり、酸化型アルブミンの割合は46.0%であった。
以上より、本発明のアルブミン測定方法は、HPLC法と同等の正確性を有していることを確認できた。
一方、HPLC法により血清X中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を算出した。その結果、還元型アルブミンの含有量は2.48g/dL、酸化型アルブミンの含有量は、2.12g/dLであった。また、HPLC法により測定された血清X中の全アルブミンに対する還元型アルブミンの割合は、54.0%であり、酸化型アルブミンの割合は46.0%であった。
以上より、本発明のアルブミン測定方法は、HPLC法と同等の正確性を有していることを確認できた。
Claims (3)
- 含硫アミノ酸を含み、
還元型アルブミンを酸化型アルブミンとして検出可能な状態とする酸化型アルブミン形成剤。 - 請求項1に記載の酸化型アルブミン形成剤と、
ブロムクレゾールパープルと、
を備えるアルブミン測定キット。 - 請求項1に記載の酸化型アルブミン形成剤と、還元型アルブミン及び酸化型アルブミンを含む試料とを混合し、混合して得られる混合物のアルブミン量(A)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する第1ステップと、
前記酸化型アルブミン形成剤と、前記試料とを混合せずに、前記試料のアルブミン量(B)を、ブロムクレゾールパープルを用いて測定する第2ステップと、を含み、
前記アルブミン量(A)の値と、前記アルブミン量(B)の値とを基に、前記試料中の還元型アルブミン、及び酸化型アルブミンの各含有量を算出するアルブミン測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017098840A JP2018194453A (ja) | 2017-05-18 | 2017-05-18 | 酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法 |
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ID=64570334
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JP2017098840A Pending JP2018194453A (ja) | 2017-05-18 | 2017-05-18 | 酸化型アルブミン形成剤、アルブミン測定キット、及びアルブミン測定方法 |
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JP (1) | JP2018194453A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024070994A1 (ja) * | 2022-09-26 | 2024-04-04 | 富士フイルム株式会社 | 測定対象の測定方法 |
WO2024070995A1 (ja) * | 2022-09-26 | 2024-04-04 | 富士フイルム株式会社 | アルブミン測定試薬およびアルブミンの測定方法 |
-
2017
- 2017-05-18 JP JP2017098840A patent/JP2018194453A/ja active Pending
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WO2024070994A1 (ja) * | 2022-09-26 | 2024-04-04 | 富士フイルム株式会社 | 測定対象の測定方法 |
WO2024070995A1 (ja) * | 2022-09-26 | 2024-04-04 | 富士フイルム株式会社 | アルブミン測定試薬およびアルブミンの測定方法 |
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