JP5395005B2 - 糖化タンパク質の測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、糖化タンパク質の測定方法に関する。
糖化タンパク質としては、糖化ヘモグロビン、HbA1c、糖化アルブミン等があり、これらは、特に、糖尿病の診断や治療における重要なマーカーとなっている。
糖化タンパク質の測定方法としては、例えば、陽イオン交換HPLC法、アフィニティ法、電気泳動法、免疫法及び酵素法等の様々な方法がある。糖化タンパク質は、通常、測定対象のタンパク質に対する糖化タンパク質の割合として算出され、その単位としては、%やmmol/molが広く使用されている。
上記糖化タンパク質の測定方法は、測定値の算出方法によって2つのグループに分けることができる。1つ目のグループとしては、測定対象となる糖化タンパク質の割合を直接求める方法が挙げられる。例えば、陽イオン交換法HPLCを用いたHbA1cの測定方法、アフィニティを用いた糖化ヘモグロビンの測定方法、特開平06−066795号公報(特許文献1)に開示された免疫法によるHbA1cの測定方法、特表2009−544315号公報(特許文献2)に開示された酵素を用いた総糖化ヘモグロビンの測定方法、アフィニティを用いた糖化アルブミンの蛍光検出法等がある。
一方、2つ目のグループとしては、試料中の糖化タンパク質の濃度と、それに対応するタンパク質の濃度とをそれぞれ求め、それらを用いて糖化タンパク質の割合を求める方法が挙げられる。例えば、WO2006−120976(特許文献3)に開示されたタンパク質の切断方法を用いた酵素によるHbA1cの測定方法、特開平01−150857号公報(特許文献4)に開示された免疫法を用いたHbA1cの測定方法、WO2002−006519(特許文献5)に開示された酵素を用いた糖化ヘモグロビンの測定方法、WO2002−061119(特許文献6)に開示された酵素を用いた糖化アルブミンの測定方法、特開平09−105739号公報(特許文献7)に開示されたキャピラリー電気泳動法を用いた糖化ヘモグロビンの測定方法等がある。
正確な測定値を得るためには、いずれの方法においても、適切な校正方法による校正が必要である。校正は校正物質を用いて行われるが、上記のような測定方法の種類によって校正方法が異なる。このため、使用される測定方法によって校正物質に含まれている糖化タンパク質やタンパク質の濃度、割合等を示す表記が異なる。1つ目のグループの測定方法の場合、測定対象となる糖化タンパク質の割合を直接求めることから、校正物質には糖化タンパク質の割合(単位:%やmmol/mol)が表記され、それを用いて校正が行われている。一方、2つ目のグループの測定方法の場合、試料中の糖化タンパク質濃度と、それに対応するタンパク質濃度とをそれぞれ求めることから、校正物質には糖化タンパク質及びタンパク質の濃度(単位:g/L、g/dL、mmol/L、μmol/L等)がそれぞれ表記されており、測定時には、それぞれの濃度を用いて別々に校正を行い、得られた糖化タンパク質濃度とタンパク質濃度とを用いて糖化タンパク質の割合を算出している。
特開平06−066795号公報 特表2009−544315号公報 WO2006−120976 特開平01−150857号公報 WO2002−006519 WO2002−061119 特開平09−105739号公報
そこで、本発明は、試料中の糖化タンパク質の割合を、試料中の対象タンパク質の量と試料中の糖化タンパク質の量とを用いて求めることを含む糖化タンパク質の測定方法において、新たな糖化タンパク質の量の校正方法を用いることを技術的特徴の一つとする糖化タンパク質の測定方法を提供する。
本発明は、試料中の対象タンパク質に対する糖化タンパク質の比率を表す糖化タンパク質値を、前記試料中の対象タンパク質の量と前記試料中の糖化タンパク質の量とを用いて求めることを含む糖化タンパク質の測定方法であって、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正を、校正物質の糖化タンパク質値を用いて行うこと、及び前記校正によって得られた値を、試料の糖化タンパク質の量として使用して前記試料中の糖化タンパク質値を求めることを含む、糖化タンパク質の測定方法に関する。
本発明によれば、新たな糖化タンパク質の量の校正方法を用いた糖化タンパク質の測定方法を提供できる。
本発明は、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正を校正物質の糖化タンパク質値を用いて行うことによって、校正が適切に行われたかを速やかに知ることができ、しいては安定して糖化タンパク質の量の検量線を得ることや、正確な糖化タンパク質の割合を得ることができるという知見に基づく。
糖化タンパク質の測定において、糖化タンパク質の量と対象タンパク質の量とを測定し、得られた糖化タンパク質の量及び対象タンパク質の量から糖化タンパク質の割合を求める方法の場合、糖化タンパク質の量及び対象タンパク質の量は、それぞれ別々に校正した検量線から算出される。
糖化タンパク質の量の測定方法としては、例えば、酵素法、免疫法等があり、これらが一般的に使用されている。酵素法の場合、例えば、糖化タンパク質をプロテアーゼで分解して糖化アミノ酸や糖化ペプチドを生成し、生成した糖化アミノ酸や糖化ペプチドにフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAOD)を作用させて生成した生成物を定量することによって糖化タンパク質を測定することができる。生成物が過酸化水素である場合、生成物の定量は、PODと酸化発色剤を用いて吸光測定する方法や、過酸化水素電極を用いる方法や、過酸化水素の生成の際に減少する酸素の量を酸素電極で測定する方法等によって行うことができる。生成物がFAODとメディエータとを組み合わせて使用して生成したメディエーション物質である場合、生成物の定量は生成したメディエーション物質を直接電極等で測定する方法や、メディエータの減少を測定する方法等によって行うことができる。しかし、上記の方法により糖タンパク質を測定する場合、プロテアーゼやFAOD、POD等といった酵素の劣化や、発色剤やメディエータ等の検出物質の劣化等により、検量線を安定に保つことは困難であり、安定して糖化タンパク質の量を測定することは困難である。
一方、タンパク質(対象タンパク質)の量の測定方法としては、上記の方法とは異なる従来公知の方法等が使用される。一般的なタンパク質の量の測定方法としては、例えば、Bradford法(クーマシーブルー法)、Lowry法(フェノール試薬法)、ビシンコニン酸法(BCA法)、280nmの吸収測定法等が挙げられる。タンパク質がヘモグロビンである場合、例えば、シアンメトヘモグロビン法、SLS法、オキシヘモグロビン法、アルカリヘマチン法、亜硝酸メトヘモグロビン法等が挙げられる。タンパク質がアルブミンである場合、例えば、ブロムクレゾールグリーン法、ブロムクレゾールパープル法、ブロムクレゾールパープル改良法等が挙げられる。上記の一般的な測定方法の場合、一定量の対象タンパク質が示す吸光度は常に安定していることが知られていることから、検量線を非常に安定に保つことができ、安定して対象タンパク質の量を測定することができる。
これらの点から、糖化タンパク質の量と対象タンパク質の量とを測定し、得られた糖化タンパク質の量及び対象タンパク質の量から糖化タンパク質の割合を求める方法の場合、正確な糖化タンパク質の割合を得るためには、安定して糖化タンパク質の量の検量線を得ることができるかが重要になる。
また、糖化タンパク質の濃度と対象タンパク質の濃度との校正が正しく行われているか否かの判断は、これらの校正後に既知の試料(管理血清、コントロール物質等)の測定を行い、得られた結果と既知の試料に表記された糖化タンパク質値とが一致しているか否かを確認することによって行うことができる。得られた結果と既知の試料に標記された糖化タンパク質値とが一致しておらず、校正が正しく行われていないと判断した場合、どの校正が適切でなかったかを確認し、適切な校正を試みる必要がある。しかし、通常、既知の試料では糖化タンパク質値のみが表記され、糖化タンパク質の量や対象タンパク質の量が表記されていない場合が多い。このため、糖化タンパク質の量の校正及び/又は対象タンパク質の量の校正のいずれが適切ではなかったかを知ることは困難である。
これに対し、本発明の測定方法は、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正を校正物質の糖化タンパク質値を用いて行い、該校正によって得られた値を試料の糖化タンパク質の量として用いる。このため、本発明の測定方法によれば、例えば、校正によって得られた値と校正物質の対象タンパク質値を比較することによって、校正が適切か否かを判断でき、その原因が糖化タンパク質の量の校正であることを速やかに理解することができるという効果を奏しうる。また、本発明の測定方法によれば、好ましくは安定して糖化タンパク質の量の検量線を得ることや、正確な糖化タンパク質の割合を得ることができるという効果を奏しうる。
[糖化タンパク質の測定方法]
本発明は、試料中の対象タンパク質に対する糖化タンパク質の比率を表す糖化タンパク質値を、前記試料中の対象タンパク質の量と前記試料中の糖化タンパク質の量とを用いて求めることを含む、糖化タンパク質の測定方法であって、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正を、校正物質の糖化タンパク質値を用いて行うこと、及び前記校正によって得られた値を、試料の糖化タンパク質の量として使用して前記試料中の糖化タンパク質値を求めることを含む糖化タンパク質の測定方法に関する。なお、本発明において、糖化タンパク質は、対象タンパク質が糖化されたものである。
本発明の糖化タンパク質の測定方法によれば、例えば、校正が適切に行われたかを速やかに知ることができる。また、本発明の糖化タンパク質の測定方法によれば、校正の際に複数の値を入力する従来の方法と比べて、校正物質の糖化タンパク質値を入力するだけでよいため、誤入力を低減できる。
本明細書において「糖化タンパク質の量」とは、試料又は校正物質中の糖化タンパク質の割合のことをいい、具体例としては糖化タンパク質濃度が挙げられる。糖化タンパク質としては、例えば、糖化ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、糖化アルブミン、糖化グロブリン等が挙げられる。
本明細書において「対象タンパク質の量」とは、試料又は校正物質中の対象タンパク質の割合のことをいい、具体例としては対象タンパク質濃度が挙げられる。また、対象タンパク質は、糖化されていない非糖化タンパク質のみならず、糖化された糖化タンパク質を含んでいてもよい。このため、対象タンパク質の量としては、試料又は校正物質中の糖化タンパク質と非糖化タンパク質との合計の割合を含み得る。対象タンパク質としては、上記糖化タンパク質に対応するタンパク質が挙げられ、例えば、糖化タンパク質が糖化ヘモグロビン又はHbA1cである場合、対象タンパク質としてはヘモグロビンが挙げられ、糖化タンパク質が糖化アルブミンである場合、対象タンパク質としてはアルブミンが挙げられる。
本明細書において「糖化タンパク質値」とは、対象タンパク質に対する糖化タンパク質の比率を表すものであって、測定対象となるタンパク質の糖化率を示すものである。糖化タンパク質値としては、例えば、ヘモグロビンあたりのHbA1cの割合(HbA1c濃度/ヘモグロビン濃度)、アルブミンあたりの糖化アルブミンの割合(糖化アルブミン濃度/アルブミン濃度)等が挙げられる。
試料としては、例えば、果汁、発酵液、生体試料等が挙げられる。生体試料としては、糖化タンパク質を含むものであればよく、例えば、血液、全血、血液由来物、唾液、髄液、リンパ液、尿等が挙げられる。血液由来成分としては、例えば、血球、遠心分離された血液、血漿、血清、血漿が除かれた血球画分、血球濃縮物、血液又は血球の凍結乾燥物、全血を溶血処理した溶血試料、遠心分離血液、自然沈降血液等が挙げられる。
<糖化タンパク質の量の測定における校正>
本発明の測定方法において、糖化タンパク質の量の測定における校正は、例えば、糖化タンパク質に対応する波長で測定した校正物質の光学測定値と校正物質の糖化タンパク質値とを用いて校正用検量線を作成することを含む。
検量線は、例えば、得られた光学測定値と校正物質の糖化タンパク質値とを用いて最小二乗法等の回帰分析を行うことによって作成することができる。回帰分析としては、例えば、直線回帰等が挙げられる。その他には、2種類以上の複数の校正物質を用い、最小二乗法等で3次回帰、ロジスティック回帰等を行うことにより作成することもできる。なお、検量線の作成は、例えば、特開平9−189695号公報を参照することによっても行うことできる。
検量線を作成するにあたり、校正物質の光学測定値の測定は多重測定を行うことが好ましい。糖化タンパク質値が0である物質(ブランク)と1点の校正物質とを用いて検量線を作成する場合、ブランクと校正物質とのそれぞれについて多重測定を行い、それを最小二乗法等で直線回帰させることによって直線の検量線を得ることができる。また、それぞれの多重測定により得られた値の平均値を求め、それらを直線で繋ぐことによっても作成することができる。ブランク及び2点の校正物質(低値校正物質、高値校正物質)を用いて検量線を作成する場合、ブランク、低値校正物質及び高値校正物質のそれぞれについて多重測定を行い、それを最小二乗法等で直線回帰させることによって検量線を得ることができる。
糖化タンパク質の量の測定における校正において、校正物質として2以上の複数の校正物質を使用してもよい。
光学測定値としては、例えば、吸光度、散乱光測定、反射率、透過率等が挙げられる。
糖化タンパク質の量の測定における校正において、上記光学測定値に替えて、糖化タンパク質に対応する電気化学的な測定値と校正物質の糖化タンパク質値とを用いて校正用検量線を作成することを含んでいてもよい。電気化学的な測定値としては、電流値、電圧値などがあり、これらの変化量や変動速度、変動のプロファイルなどが挙げられる。
糖化タンパク質の量の測定方法は特に制限されず、例えば、公知の方法が使用できる。糖化タンパク質の量の測定方法としては、例えば、酵素法、免疫法、キャピラリー電気泳動法、HPLC法、アフィニティ法等が挙げられ、中でも本発明の方法は酵素法及び免疫法に適している。酵素法及び免疫法としては、上記の方法が挙げられる。
<対象タンパク質の量の測定における校正>
本発明の測定方法において、対象タンパク質の量の測定における校正は、特に制限されず、例えば、公知の方法で行ってもよいし、後述する方法で行ってもよい。
対象タンパク質の量の測定における校正としては、例えば、校正物質の対象タンパク質の量を使用する方法、任意の値を基準値として予め設定する方法、校正物質の対象タンパク質の量を基準値として設定する方法、校正物質の非糖化タンパク質値を基準値として使用する方法等が挙げられる。
校正物質の対象タンパク質の量を使用する場合、校正物質の対象タンパク質の量は、校正物質に記載された対象タンパク質の量(タンパク質濃度)を使用してもよいし、別の校正物質で作成した検量線を用いて糖化タンパク質の校正に使用する校正物質のやい青タンパク質の量を決定して使用してもよい。そして、校正物質の対象タンパク質の量と対象タンパク質に対応する波長で測定した校正物質の光学測定値とを用いて対象タンパク質校正用の検量線を作成すればよい。糖化タンパク質の校正に用いる校正物質が複数ある場合は、いずれか一つの校正物質の対象タンパク質の量を決定すればよい。
任意の値を基準値として予め設定する場合、校正物質の対象タンパク質の量として任意の値を設定し、その設定した値と対象タンパク質に対応する波長で測定した校正物質の光学測定値とを用いて対象タンパク質校正用の検量線を作成すればよい。
このため、本発明の糖化タンパク質の測定方法は、試料中の対象タンパク質の量の測定における校正を予め設定した任意の値を用いて行うこと、及び、前記校正によって得られた値を試料の対象タンパク質の量として使用して前記試料中の糖化タンパク質値を求めることを含んでいてもよい。この場合、対象タンパク質の量の測定における校正は、対象タンパク質に対応する波長で測定した前記校正物質の光学測定値と前記予め設定した任意の値とを用いて対象タンパク質校正用の検量線を作成することを含むことが好ましい。
また、本発明の糖化タンパク質の測定方法は、試料中の対象タンパク質の量の測定における校正を前記校正物質の糖化タンパク質値から得られた非糖化タンパク質値を用いて行うこと、及び、前記校正によって得られた値を前記試料の対象タンパク質の量として使用して前記試料中の糖化タンパク質値を求めることを含んでいてもよい。この場合、前記対象タンパク質の量の測定における校正は、対象タンパク質に対応する波長で測定した前記校正物質の光学測定値と上記非糖化タンパク質値とを用いて対象タンパク質校正用の検量線を作成することを含むことが好ましい。
本発明の糖化タンパク質の測定において、対象タンパク質の量の測定における校正は、糖化タンパク質の量の測定における校正に用いた校正物質を使用することが好ましい。
本発明の糖化タンパク質の測定方法において、対象タンパク質の量の測定方法は特に制限されず、例えば、上述した公知の方法が使用できる。
[校正物質]
本発明は、その他の態様として、本発明の糖化タンパク質の測定方法に用いる校正物質であって、校正物質の糖化タンパク質値が記載された校正物質に関する。本発明の校正物質は、本発明の糖化タンパク質の測定方法に用いることができる。本発明の校正物質によれば、校正物質の糖化タンパク質値が記載されていることから、本発明の糖化タンパク質の測定方法を容易に行うことができる。
本発明の校正物質は、校正の際の誤入力等を低減する点から、例えば、糖化タンパク質濃度、タンパク質濃度等が記載されていないことが好ましい。
校正物質は、糖化タンパク質及び対象タンパク質を含むことが好ましい。また、糖化タンパク質がHbA1cである場合、濃度が異なる2種類以上の校正物質を含んでいてもよい。
[糖化タンパク質測定用キット]
本発明は、さらにその他の態様として、本発明の糖化タンパク質の測定方法に用いる糖化タンパク質測定用キットであって、校正物質と、前記校正物質の糖化タンパク質値が記載された添付文書とを含む測定用キットに関する。本発明のキットは、本発明の糖化タンパク質の測定方法に用いることができる。本発明のキットによれば、校正物質の糖化タンパク質値が記載されていることから、本発明の糖化タンパク質の測定方法を容易に行うことができる。さらに、糖化タンパク質の量の測定の試薬や、対象タンパク質の量の測定の試薬を含む測定用キットであってもよい。
本発明のキットにおいて、添付文書は、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正として、校正物質の糖化タンパク質値を用いて校正を行う方法が記載されていることが好ましい。これにより、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正を容易に行うことができる。
本発明のキットは、さらに、糖化タンパク質の測定を行うための試薬、対象タンパク質の測定を行うための試薬を含んでいてもよい。
本発明のキットは、校正物質として、上記本発明の校正物質を含んでいてもよい。また、本発明のキットは、添付文書が本発明の測定キットの同梱されることなくウェブ上で提供される場合も含みうる。
[検量線の作成方法]
本発明は、さらにその他の態様として、本発明の糖化タンパク質の測定方法に用いる糖化タンパク質の量の校正用検量線を作成する方法であって、前記糖化タンパク質に対応する波長で測定した校正物質の光学測定値を得ること、及び前記光学測定値と前記校正物質の糖化タンパク質値とを用いて糖化タンパク質の量を校正するための検量線を作成することを含む検量線作成方法に関する。本発明の検量線作成方法によれば、上記本発明の糖化タンパク質の測定方法に使用可能な糖化タンパク質の量の校正用検量線を作成することができる。
検量線は、例えば、得られた光学測定値を用いて最小二乗法等の回帰分析を行うことによって作成することができる。回帰分析としては、例えば、直線回帰等が挙げられる。また、検量線を作成するにあたり、校正物質について多重測定を行うことが好ましい。
[検量線作成用プログラム]
本発明は、さらにその他の態様として、糖化タンパク質に対応する波長で測定した校正物質の光学測定値を受け付ける入力処理と、前記校正物質の糖化タンパク質値を受け付ける入力処理と、前記光学測定値と前記校正物質の糖化タンパク質値とを用いて検量線を作成する検量線作成処理とをコンピュータに実行させる検量線作成用プログラムに関する。本発明の検量線作成用プログラムによれば、例えば、上記本発明の糖化タンパク質の測定方法に使用可能な糖化タンパク質の量の校正用検量線を作成することができる。
本発明において、上記プログラムは、例えば、記録媒体に記載された形態であってもよい。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。但し、以下の説明は一例に過ぎず、本発明はこれに限定されないことはいうまでもない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、総ヘモグロビン濃度とHbA1c濃度と用いてHbA1c値を求める方法を例にとり説明する。
<HbA1c濃度及びHb濃度の測定>
まず、試料中のHbA1c濃度の測定及びHb濃度の測定を行い、それぞれについて校正を行う。
<HbA1c濃度>
HbA1c濃度の測定は、公知の方法により行うことができる。
酵素法によりHbA1c濃度を測定する場合、校正物質と、所定の酵素を含むHbA1c測定用試薬とを混合し、HbA1cに対応する波長で吸光度の測定を行う。HbA1c測定用試薬としては、例えば、プロテアーゼ、FAOD、POD及び発色剤を含む試薬等が挙げられる。校正物質と試薬の各成分とを混合させる順序は特に限定されないが、例えば、校正物質とFAOD及びPODを含む試薬とを混合させた後、プロテアーゼ及び発色剤を含む試薬と混合させることにより行うことができる。プロテアーゼとしては、中性プロテアーゼを使用することができる。
得られた光学測定値(吸光度)を用いてHbA1c濃度の校正を行う。HbA1c濃度の校正は、下記の手順により作成したHbA1c濃度校正用検量線を用いて行う。
HbA1c濃度校正用検量線の作成
HbA1cを含む校正物質を準備し、準備した校正物質について、上記試料中のHbA1c濃度の測定と同様に、公知の方法によりHbA1c濃度の測定を行う。
HbA1c濃度校正用検量線を作成するにあたり、校正物質としては2種類の校正物質(低値校正物質、高値校正物質)と、HbA1c値が0である物質(ブランク)とを準備することが好ましい。これにより、より精度よくHbA1c値の測定を行うことができる。低値校正物質としては、例えば、HbA1c値が20〜60mmol/molである校正物質が挙げられる。高値校正物質としては、例えば、HbA1c値が60〜120mmol/molである校正物質が挙げられる。
ブランク及び上記2種類の校正物質のそれぞれについてHbA1cに対応する波長での測定により得られた吸光度と、それぞれの校正物質のHbA1c値(HbA1c濃度/Hb濃度)とを用いて直線検量線を作成する。これにより、HbA1c濃度校正用検量線を得ることができる。本発明において検量線の作成は、校正物質のHbA1c値を用いる以外は、従来のHbA1c濃度の検量線と同様にして行うことができる。
検量線の作成にあたり、校正物質について多重測定を行い、直線回帰により検量線を作成することが好ましい。測定波長は、例えば、使用する発色剤及び反応液の条件等に応じて適宜決定できる。
<Hb濃度>
Hb濃度の測定は、公知の方法により行うことができる。
Hb濃度の測定としてメトヘモグロビン法を行う場合、校正物質と、変性剤を含む試薬とを混合し、メトヘモグロビンに対応する波長(570nm)で吸光度の測定を行う。変性剤としては、亜硝酸カリウム等があげられる。
また、第1試薬として変性剤、FAOD及びPODを含む試薬を使用し、第2試薬としてプロテアーゼ及び発色剤を含む試薬を使用し、まず、校正物質と第1試薬とを混合し、所定の時間経過後にメトヘモグロビンに対応する波長(570nm)で吸光度の測定及びHbA1cに対応する波長で吸光度の測定を行い、ついで第2試薬と混合してHbA1cに対応する波長で吸光度の測定を行うことにより、1つの反応系で、HbA1c濃度とHb濃度とを同時に測定することができる。
得られた光学測定値(例えば、吸光度)を用いてHb濃度の校正を行う。Hb濃度の校正は、特に限られず、公知の方法を用いて行ってもよいし、下記の手順により作成したHb濃度校正用検量線を用いて行ってもよい。
Hb濃度校正用検量線の作成
まず、校正物質のHb濃度の測定を行う。Hb濃度の測定としてメトヘモグロビン法を行う場合、校正物質と、変性剤を含む試薬とを混合し、メトヘモグロビンに対応する波長(570nm)で吸光度の測定を行う。変性剤としては、亜硝酸カリウム等があげられる。
ついで、校正物質のHb濃度として任意の値を設定し、設定した任意の値と得られた光学測定値(例えば、吸光度)とを用いてHb濃度校正用検量線を作成する。検量線の作成は、校正物質のHb濃度として設定した任意の値を用いる以外は、従来のHb濃度の検量線と同様にして行うことができる。
<HbA1c値の算出>
上記のようにしてHbA1c濃度校正用検量線を用いて校正することによって得られた値(以下、「HbA1c測定値」ともいう)と、Hb濃度校正用検量線を用いて校正することによって得られた値(以下、「Hb測定値」ともいう)とを用いて下記式からHbA1c値を算出することができる。
HbA1c値=(HbA1c測定値)/(Hb測定値)×(校正物質のHb濃度として設定した任意の値)
Hb濃度の校正を公知の方法を用いて行った場合は、上記式に替えて下記式からHbA1c値を算出することができる。
HbA1c値=(HbA1c測定値)/(Hb濃度)×(校正物質のHb濃度)
上記の方法によれば、校正する際に、校正物質の糖化タンパク質の量の値を入力するだけでよく、タンパク質の量を誤って入力することがなくなる。
また、糖化タンパク質の量に糖化タンパク質の割合の値が記載されている校正物質を用いることで、適切に校正されたかを速やかに知ることができる。さらには、糖化タンパク質の量の測定値を確認するだけで、糖化タンパク質の割合が正しく測定されているかを知ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、アルブミン濃度と糖化アルブミン濃度と用いて糖化アルブミン値(糖化アルブミン濃度/アルブミン濃度)を求める方法を例にとり説明する。
<糖化アルブミン濃度及びアルブミン濃度の測定>
まず、試料中の糖化アルブミン濃度の測定及びアルブミン濃度の測定を行い、それぞれについて校正を行う。
<糖化アルブミン濃度>
糖化アルブミン濃度の測定は、公知の方法により行うことができる。
GA法により糖化アルブミン濃度を測定する場合、校正物質と、糖化アルブミン測定用試薬とを混合し、糖化アルブミンに対応する波長で吸光度の測定を行う。糖化アルブミン測定用試薬としては、例えば、プロテアーゼ、ケトアミンオキシダーゼ(KAOD)、POD及び発色剤を含む試薬等が挙げられる。校正物質と試薬の各成分とを混合させる順序は特に限定されないが、例えば、まず校正物質とKAOD及び発色剤を含む試薬とを混合させた後、プロテアーゼ及びPODを含む試薬と混合させることにより行うことができる。
ついで、得られた光学測定値(吸光度)を用いて糖化アルブミン濃度の校正を行う。糖化アルブミン濃度の校正は、下記の手順により作成した糖化アルブミン濃度校正用検量線を用いて行う。
糖化アルブミン濃度校正用検量線の作成
糖化アルブミンを含む校正物質を準備し、準備した校正物質について、上記試料中の糖化アルブミン濃度の測定と同様に、公知の方法により糖化アルブミン濃度の測定を行う。
ついで、糖化アルブミンに対応する波長での測定により得られた吸光度と、校正物質の糖化アルブミン値(糖化アルブミン濃度/アルブミン濃度)とを用いて直線検量線を作成する。これにより、糖化アルブミン濃度校正用検量線を得ることができる。本発明において検量線の作成は、校正物質の糖化アルブミン値を用いる以外は、従来の糖化アルブミン濃度の検量線と同様にして行うことができる。
<アルブミン濃度の測定>
アルブミン濃度の測定は、公知の方法により行うことができる。
アルブミン濃度の測定としてブロモクレゾールパープル(BCP)法を行う場合、校正物質と、変性剤を含む試薬とを混合し、ついで発色剤と混合し、アルブミンとBCPとの結合対に対応する波長(600nm)で吸光度の測定を行う。
ついで、得られた光学測定値(例えば、吸光度)を用いてアルブミン濃度の校正を行う。Hb濃度の校正は、特に限られず、公知の方法を用いて行ってもよいし、下記の手順により作成したアルブミン濃度校正用検量線を用いて行ってもよい。
アルブミン濃度校正用検量線の作成
まず、校正物質のアルブミン濃度の測定を行う。アルブミン濃度の測定は、上記試料の測定と同様に行うことができる。
ついで、校正物質のHb濃度として任意の値を設定し、設定した任意の値と得られた光学測定値(例えば、吸光度)とを用いてアルブミン濃度校正用検量線を作成する。検量線の作成は、校正物質のHb濃度として設定した任意の値を用いる以外は、従来のHb濃度の検量線と同様にして行うことができる。
<糖化アルブミン値の算出>
上記のようにして糖化アルブミン濃度校正用検量線を用いて校正することによって値(以下、「糖化アルブミン測定値」ともいう)と、アルブミン濃度校正用検量線を用いて校正することによって得られた値(以下、「アルブミン測定値」ともいう)とを用いて下記式から糖化アルブミン値を算出することができる。
糖化アルブミン値=(糖化アルブミン測定値)/(アルブミン測定値)×(校正物質のアルブミン濃度として設定した任意の値)
アルブミン濃度の校正を公知の方法を用いて行った場合は、上記式に替えて下記式から糖化アルブミン値を算出することができる。
糖化アルブミン値=(糖化アルブミン測定値)/(アルブミン濃度)×(校正物質のアルブミン濃度)
(実施の形態3)
本実施の形態では、糖化タンパク質を、例えば、キャピラリー電気泳動法、HPLC法、アフィニティ法等の方法によって測定する場合を例にとり説明する。
上記の測定方法を用いて糖化タンパク質の測定を行った場合、校正物質の糖化タンパク質のシグナルに基く測定値(例えば、吸光度、傾向度又はこれらの面積など)と、校正物質の糖化タンパク質値とを用いて糖化タンパク質の量の校正用検量線を求め、この検量線を用いて糖化タンパク質の量の校正を行うことができる。
対象タンパク質については、校正物質の対象タンパク質全体のシグナルに基づく測定値を用いて公知の方法により対象タンパク質の量の校正用検量線を作成してもよいし、校正物質の糖化タンパク質以外の対象タンパク質(非糖化タンパク質)のシグナルに基づく測定値と校正物質の非糖化タンパク質の量とを用いて非糖化タンパク質の量の校正用検量線を作成してもよい。非糖化タンパク質の量は、糖化タンパク質値の単位が「%」である場合は、100−糖化タンパク質値から求めることができる。また、糖化タンパク質値の単位が「mmol/mol」である場合は、「1000−糖化タンパク質値」から求めることができる。
上記の実施の形態ではいずれも、糖化タンパク質の量と対象タンパク質の量との双方の校正を行う場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されず、対象タンパク質の量の校正は省略してもよい。例えば、対象タンパク質の量を測定して得られた吸光度等の光学測定値が対象タンパク質の量によって変動しない場合は、得られた光学測定値に一定の係数を乗ずることによって対象タンパク質の量に換算することができる。
また、上記の校正方法を用いた本発明の測定方法において、精度管理用物質として校正物質と同じ対象タンパク質の量とした精度管理用物質を用いることによって、さらに、精度管理を容易にすることができる。すなわち、通常の糖化タンパク質の精度管理用物質は、糖化タンパク質の割合の精度管理に用いるという目的から、糖化タンパク質の量や対象タンパク質の量が重要ではないことから、糖化タンパク質の量や対象タンパク質の量が記載されていない。そこで、校正物質と同じ対象タンパク質の量とした精度管理用物質を用いると、精度管理用物質の測定値は、糖化タンパク質の割合となることから、対象タンパク質の量を測定することなく、正しく精度管理されているかを知ることが可能となる。
以下に、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定して解釈されない。
(実施例1〜3、比較例1)
市販の糖化ヘモグロビンA1c測定キット(商品名:サンクHbA1c、アークレイ社製)を用いてHbA1c値(mmol/mol)(=HbA1c濃度/Hb濃度)を得た。
[検量線の作成]
校正物質として、サンクHbA1cキャリブレータ(商品名、アークレイ社製)を用い、上記測定キットの添付文書に従い、HbA1c濃度の測定及び総ヘモグロビン濃度(Hb濃度)の測定を行い、HbA1c濃度用及びHb濃度用直線検量線を作成した。HbA1c濃度用検量線は、ブランクと低値校正物質とを用いて作成した直線検量線、及び低値校正物質と高値校正物質とを用いて作成した直線検量線の2種類の検量線を作成した。Hb濃度用検量線は、ブランクと高値校正物質とを用いて作成した。
検量線を作成するにあたり、校正物質のHbA1c濃度及びHb濃度として下記表1に示す値を使用した。より具体的には、実施例1及び2では、HbA1c濃度として下記式から得られたHbA1c値(mmol/mol)を用い、Hb濃度として予め設定したHb基準値(実施例1:80.0、実施例2:1)を用いた。実施例3では、HbA1c濃度として下記式から得られたHbA1c値(mmol/mol)を用い、Hb濃度は校正物質に標記されているHb濃度(μmol/L)を用いた。比較例1では、HbA1c濃度及びHb濃度として校正物質に標記されている濃度(μmol/L)をそれぞれ用いた。
HbA1c値=[校正物質に標記のHbA1c濃度(μmol/L)]/[校正物質に標記のHb濃度(μmol/L)]×1000
Figure 0005395005
サンプルとしてヒト全血を用い、上記測定キットの添付文書に従い、HbA1c濃度の測定及び総ヘモグロビン濃度(Hb濃度)の測定をそれぞれ行い、上述の各検量線に基き算出した。57人の検体について測定を行った結果を下記表2に示す。また、得られたHbA1c濃度及びHb濃度を用いて、下記式からHbA1c値(mmol/mol)を算出した。その結果を合わせて表2に示す。
実施例1:HbA1c値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×80.0
実施例2:HbA1c値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)
実施例3:HbA1c値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×高値校正物質のHb濃度
比較例1:HbA1c値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×1000
Figure 0005395005
上記表2に示すように、実施例1〜3は、比較例1と略同じHbA1c値が得られた。すなわち、HbA1c濃度用の検量線を作成するにあたり、HbA1c濃度としてHbA1c値(mmol/mol)を用いても、HbA1c濃度(μmol/L)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。また、Hb濃度用の検量線を作成するにあたり、Hb濃度として、予め設定したHb基準値(仮の値)を使用しても、Hb濃度(μmol/L)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。
また、上記表2に示すように、HbA1c濃度用の検量線を作成するにあたり、HbA1c濃度としてHbA1c値(mmol/mol)を使用することによって、HbA1c濃度の測定結果として、HbA1c値に近い値が得られた。このため、HbA1c濃度としてHbA1c値(mmol/mol)を使用してHbA1c濃度用の検量線を作成することによって、HbA1c値の計算を行わなくても、HbA1c濃度の測定結果からHbA1c値を推定できるといえる。
(実施例4〜6、比較例2)
市販の糖化ヘモグロビンA1c測定キット(商品名:UNIMATE HbA1c、ロシュ・ダイアクノステックス社製)を用いてHbA1c%値を得た。
[検量線の作成]
下記表3に示す5種類の校正物質を用い、上記測定キットの添付文書に従い、HbA1c濃度の測定及び総ヘモグロビン濃度(Hb濃度)の測定を行い、HbA1c濃度用及びHb濃度用検量線を作成した。HbA1c濃度用検量線はロジスティック関数を用いて作成した。Hb濃度用検量線はブランクと校正物質1とを用いて直線検量線として作成した。
検量線を作成するにあたり、校正物質のHbA1c濃度及びHb濃度として下記表3に示す値を使用した。より具体的には、実施例4及び5では、HbA1c濃度として下記式から得られたHbA1c%値(%)を用い、Hb濃度として予め設定したHb基準値(実施例4:135、実施例5:1)を用いた。実施例6では、HbA1c濃度としてHbA1c%値(%)を用い、Hb濃度は校正物質に標記されているHb濃度(μmol/L)を用いた。比較例2では、HbA1c濃度及びHb濃度として校正物質に標記されている濃度(μmol/L)をそれぞれ用いた。
HbA1c%値=[校正物質に標記のHbA1c濃度(μmol/L)]/[校正物質に標記のHb濃度(μmol/L)]×100
Figure 0005395005
サンプルとしてヒト全血を用い、上記測定キットの添付文書に従い、HbA1c濃度の測定及び総ヘモグロビン濃度(Hb濃度)の測定をそれぞれ行い、上述の各検量線に基き算出した。57人の検体について測定を行った結果を下記表4に示す。また、得られたHbA1c濃度及びHb濃度を用いて、下記式からHbA1c%値(%)を算出した。その結果を合わせて表4に示す。
実施例4:HbA1c%値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×135.0
実施例5:HbA1c%値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)
実施例6:HbA1c%値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×校正物質1のHb濃度
比較例2:HbA1c%値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×100
Figure 0005395005
上記表4に示すように、実施例4〜6は、比較例2と略同じHbA1c%値が得られた。すなわち、HbA1c濃度用の検量線を作成するにあたり、HbA1c濃度としてHbA1c%値(%)を用いても、HbA1c濃度(μmol/L)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。また、Hb濃度用の検量線を作成するにあたり、Hb濃度として、予め設定したHb基準値(仮の値)を使用しても、Hb濃度(μmol/L)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。
また、上記表4に示すように、HbA1c濃度用の検量線を作成するにあたり、HbA1c濃度としてHbA1c%値(%)を使用することによって、HbA1c濃度の測定結果として、HbA1c%値に近い値が得られた。このため、HbA1c濃度としてHbA1c値(mmol/mol)を使用してHbA1c濃度用の検量線を作成することによって、HbA1c%値の計算を行わなくても、HbA1c濃度の測定結果からHbA1c%値を推定できるといえる。
(実施例7及び8、比較例)
市販の全自動グリコヘモグロビン測定装置(ADAMS A1c HA−8170、アークレイ社製)を用いて測定を行い、HbA1c値(mmol/mol)を得た。なお、同装置は、陽イオン交換HPLC法を用いてHbA1cの測定を行う装置である。
[検量線の作成]
上記測定キットの添付文書に従い、HbA1c濃度の測定及び総ヘモグロビン濃度(Hb濃度)の測定を行い、HbA1c濃度用及びHb濃度用検量線を作成した。各検量線は、ブランクと校正物質とを用いて直線検量線として作成した。
検量線を作成するにあたり、校正物質のHbA1c濃度及びHb濃度として下記表5に示す値を使用した。より具体的には、実施例7及び8では、HbA1c濃度として下記式から得られたHbA1c値(mmol/mol)を用いた。Hb濃度は、実施例7ではHb値(mmol/mol)を用い、実施例8ではHbA1c以外のHb値(mmol/mol)(=Hb値−HbA1c値)を用いた。比較例3では、HbA1c濃度として校正物質に標記されているHbA1c値(mmol/mol)を用いた。
HbA1c値=[校正物質に標記のHbA1c濃度(μmol/L)]/[校正物質に標記のHb濃度(μmol/L)]×1000
Figure 0005395005
サンプルとしてヒト全血を用いて測定をそれぞれ行い、下記式からHbA1c値を算出した。57人の検体について測定を行った結果を表6に示す。なお、比較例3については、HbA1c濃度の検量線のみを使用してHbA1c値を得た。
実施例7:HbA1c値=(HbA1c濃度)/(Hb濃度)×1000
実施例8:HbA1c値=(HbA1c濃度)/(HbA1c以外のHb濃度)×1000
Figure 0005395005
上記表6に示すように、実施例7及び8は、比較例3と略同じHbA1c値が得られた。すなわち、HbA1c濃度用の検量線を作成するにあたり、HbA1c濃度としてHbA1c%値(%)を用いても、HbA1c濃度(μmol/L)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。また、Hb濃度としてHb値を用いた場合であっても、HbA1c以外のHb値を用いた場合でも略同じ結果が得られた。
(実施例9〜10、比較例1)
市販のグリコアルブミン測定用キット(商品名:ルシカ(登録商標)GA−L、旭化成ファーマ社製)を用いてH糖化アルブミン%値(%)を得た。
[検量線の作成]
上記測定キットの添付文書に従い、糖化アルブミン濃度の測定及びアルブミン濃度の測定を行い、糖化アルブミン濃度用及びアルブミン濃度用直線検量線を作成した。各検量線は、ブランクと校正物質とを用いて作成した。
検量線を作成するにあたり、校正物質の糖化アルブミン濃度及びアルブミン濃度として下記表7に示す値を使用した。より具体的には、実施例9及び10では、糖化アルブミン濃度として下記式から得られた糖化アルブミン%値(%)を用い、アルブミン濃度として予め設定したアルブミン基準値(実施例9:3.5、実施例10:1)を用いた。実施例11では、糖化アルブミン濃度として糖化アルブミン%値(%)を用い、Hb濃度は校正物質に標記されているアルブミン濃度(g/dL)を用いた。比較例4では、糖化アルブミン濃度及びアルブミン濃度として校正物質に標記されている濃度(g/dL)をそれぞれ用いた。
HbA1c%値=[校正物質に標記の糖化アルブミン濃度(g/dL)]/[校正物質に標記のアルブミン濃度(g/dL)]×100
Figure 0005395005
サンプルとしてヒト全血を用い、上記測定キットの添付文書に従い、糖化アルブミン濃度の測定及びアルブミン濃度の測定をそれぞれ行い、上述の各検量線に基き算出した。30人の検体について測定を行った結果を下記表8に示す。また、得られた糖化アルブミン濃度及びアルブミン濃度を用いて、下記式から糖化アルブミン%値(%)を算出した。その結果を合わせて表8に示す。
実施例9 :糖化アルブミン%値=(糖化アルブミン濃度(%))/(アルブミン濃度)×80.0
実施例10:糖化アルブミン%値=(糖化アルブミン濃度(%))/(アルブミン濃度)
実施例11:糖化アルブミン%値=(糖化アルブミン濃度(%))/(アルブミン濃度(g/dL))×校正物質のアルブミン濃度
比較例4 :糖化アルブミン%値=(糖化アルブミン濃度(g/dL))/(アルブミン濃度(g/dL))×100
Figure 0005395005
上記表8に示すように、実施例9〜11は、比較例4と略同じ糖化アルブミン%値が得られた。すなわち、糖化アルブミン濃度用の検量線を作成するにあたり、糖化アルブミン濃度として糖化アルブミン%値(%)を用いても、糖化アルブミン濃度(g/dL)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。また、アルブミン濃度用の検量線を作成するにあたり、アルブミン濃度として、予め設定したHb基準値(仮の値)を使用しても、アルブミン濃度(g/dL)を用いても同様の結果が得られることが確認できた。
また、上記表8に示すように、糖化アルブミン濃度用の検量線を作成するにあたり、糖化アルブミン濃度として糖化アルブミン%値(%)を使用することによって、糖化アルブミン濃度の測定結果として、糖化アルブミン値に近い値が得られた。このため、糖化アルブミン濃度として糖化アルブミン%値(%)を使用して糖化アルブミン濃度用の検量線を作成することによって、糖化アルブミン%値の計算を行わなくても、糖化アルブミン濃度の測定結果から糖化アルブミン%値を推定できるといえる。
本発明の試料分析方法は、例えば、医療分野、臨床検査の分野、糖尿病の治療/予防分野等の様々な分野に有用である。

Claims (8)

  1. 試料中の対象タンパク質に対する糖化タンパク質の比率を表す糖化タンパク質値を、前記試料中の対象タンパク質の量と前記試料中の糖化タンパク質の量とを用いて求めることを含む糖化タンパク質の測定方法であって、
    試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正を、校正物質の糖化タンパク質値を用いて行うこと、
    試料中の対象タンパク質の量の測定における校正を、校正物質の対象タンパク質の量として予め設定した任意の値を用いて行うこと、及び、
    前記糖化タンパク質の量の校正によって得られた値試料の糖化タンパク質の量として使用し、かつ、前記対象タンパク質の量の校正によって得られた値を試料の対象タンパク質の量として使用し、前記試料中の糖化タンパク質値を求めることを含み、
    前記糖化タンパク質の量の測定における校正は、前記糖化タンパク質に対応する波長で測定した前記校正物質の光学測定値と前記校正物質の糖化タンパク質値とを用いて校正用検量線を作成することを含む、糖化タンパク質の測定方法。
  2. 1)試料中の糖化タンパク質の量を求めること、及び
    2)試料中の対象タンパク質の量を求めること、
    3)1)の糖化タンパク質の量と2)の対象タンパク質の量とを用いて、試料中の対象タンパク質に対する糖化タンパク質の比率を表す糖化タンパク質値を求めることを含み、
    前記1)の糖化タンパク質の量の測定における校正を、校正物質の糖化タンパク質値を用い、前記糖化タンパク質に対応する波長で測定した前記校正物質の光学測定値と前記校正物質の糖化タンパク質値とを用いて校正用検量線を作成することにより行い、かつ、前記校正によって得られた値を試料の糖化タンパク質の量として使用し、
    前記2)の対象タンパク質の量の測定における校正を、校正物質の対象タンパク質の量として予め設定した任意の値を用いて行い、かつ、前記校正によって得られた値を試料の対象タンパク質の量として使用する、
    糖化タンパク質の測定方法。
  3. 前記対象タンパク質の量の測定における校正は、対象タンパク質に対応する波長で測定した前記校正物質の光学測定値と前記予め設定した任意の値とを用いて対象タンパク質校正用の検量線を作成することを含む、請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. 試料中の対象タンパク質の量の測定における校正を前記校正物質の糖化タンパク質値から得られた非糖化タンパク質値を用いて行うこと、及び、前記校正によって得られた値を前記試料の対象タンパク質の量として使用して前記試料中の糖化タンパク質値を求めることを含む、請求項1又は2に記載の測定方法。
  5. 前記試料が、生体試料である、請求項1からのいずれかに記載の測定方法。
  6. 前記対象タンパク質が、ヘモグロビン又はアルブミンである、請求項1からのいずれかに記載の測定方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の糖化タンパク質の測定方法に用いる校正物質であって、校正物質の糖化タンパク質値が記載された校正物質。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の糖化タンパク質の測定方法に用いる糖化タンパク質測定用キットであって、
    校正物質と、
    前記校正物質の糖化タンパク質値が記載された添付文書とを含み、
    前記添付文書は、試料中の糖化タンパク質の量の測定における校正として、校正物質の糖化タンパク質値を用いて校正を行う方法が記載されており、試料中の対象タンパク質の量の測定における校正として、校正物質の対象タンパク質の量として予め設定した任意の値を用いて校正を行う方法が記載されている、測定用キット。
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