JP2006064706A - 糖化アルブミンの測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルブミンを含む試料をアルブミンに特異性の高いプロテアーゼにより水解して糖化アミノ酸と非糖化アミノ酸又は糖化ペプチドと非糖化ペプチドを得、両者の比を定量することにより、誤差の少ない糖化アルブミンの測定方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
HbA1cの測定法にはHPLC法、免疫法等が知られているが、方法間で測定しているものが多少異なり国際臨床化学連合(IFCC)による標準化が試みられている(非特許文献1)。IFCCはHbA1c、β鎖N末端のアミノ酸バリンの糖化物をHbA1cと定義した。HbA1cの検量物質としてはヘモグロビンA1cのN末端ヘキサペプチド(糖化、非糖化)が提案され使用されている。
一方糖化アルブミンの場合はアルブミン分子当たり主な糖化部位は少なくとも4箇所存在することが知られており(非特許文献2)HbA1cよりも複雑である。GAの定義及び検量物質(標準品)及び標準測定法は決定されていない。
また、糖化タンパク質は糖とタンパク質が非酵素的に結合したものであるから、一般的に不安定であり液状で供給されているものはない。
これらの困難な点を解決した糖化アルブミンを正確に測定する標準測定法についてはこれまで知られていない。
また、検量物質の表示値の決定に有用である糖化アルブミンの標準測定法を提供することにある。
さらに具体的には、臨床生化学検査における有用なタンパク質糖化率測定用検量物質、それを用いたタンパク質糖化率測定法及び糖化アルブミンの標準測定法を提供し、糖化アルブミン測定値の標準化を容易にすることにある。
1)糖化タンパク質濃度と、糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度及び特定部位の糖化アミノ酸濃度に比例関係が存在すること、さらにこの関係を利用し、適切な表示をした検量物質をおくことにより、各方法間の値の乖離を補正することができること、
2)検量物質の調製時にフィブリノーゲンやグルコース濃度をあるレベル以上に低下させることにより、また安定化剤として非還元糖を処方することにより、飛躍的に検量物質の安定性が向上すること、
3)タンパク質濃度及び糖化タンパク質濃度及び/又は糖化アミノ酸濃度を1つの検量物質に表示することにより、想像以上に検量物質の濃縮の影響を小さくすることができること、を見出した。
1) 糖化タンパク質濃度
2) 糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度
3) 糖化タンパク質1分子当たりの平均糖結合数
4) 糖化タンパク質中の特定の1箇所のアミノ酸の糖化量。
本発明における検量物質は、糖化タンパク質1分子当りの平均糖結合数が1〜3であるもの、あるいは少なくとも、2個の糖化アミノ酸を含む糖化タンパク質が主成分であるものが望ましい。本発明において主成分とは全体の質量の60%以上を占めることを意味する。さらに、タンパク質はアルブミンであるもの、上記特定の1箇所のアミノ酸がアルブミンの525位のリシンであるもの、あるいは525位のリシンの糖化量がアルブミン中の総糖化アミノ酸の糖化量の30%以下であるものが望ましい。またさらに、検量物質はその調製時に、フィブリノーゲン濃度40mg/dl以下、及び/又はグルコース濃度が10mg/dl以下であるもの、安定化剤として非還元糖を含むもの、あるいは液状品であることが望ましい。
1) 糖化タンパク質濃度
2) 糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度
3) 糖化タンパク質1分子当りの平均糖結合数
4) 糖化タンパク質中の特定の1箇所のアミノ酸の糖化量。
上記の方法において、糖化タンパク質1分子当りの平均糖結合数が1〜3である検量物質を用いたり、あるいは糖化タンパク質が少なくとも2個の糖化アミノ酸を含む糖化タンパク質が主成分である検量物質を用いることが望ましい。さらに、タンパク質がアルブミンであるものや、上記特定の1箇所のアミノ酸がアルブミンの525位のリシンであるもの、あるいは525位のリシンの糖化量がアルブミン中の総糖化アミノ酸の糖化量の30%以下であるものを用いることが望ましい。またさらに、検量物質は、その調製時に、フィブリノーゲン濃度40mg/dl以下、及び/又はグルコース濃度が10mg/dl以下であるものを用いたり、安定剤として非還元糖を含むものを用いたり、あるいは液状品を用いることが望ましい。
また、上記測定方法において、プロテアーゼによる水解の後、精製を行うことが望ましく、プロテアーゼの水解反応の生成物が糖化アミノ酸と非糖化アミノ酸である場合は、精製を薄層クロマトグラフィーで行ったり、あるいは生成物が糖化ペプチドと非糖化ペプチドの場合は、逆相液体クロマトグラフィーで行ってもよい。また、このペプチドが主要糖化部位の水解生成物であり、それぞれの糖化ペプチドと非糖化ペプチドとを定量してもよい。
上記糖化アルブミンの測定方法においては、ペプチドが主要糖化部位の水解生成物であり、それぞれの糖化ペプチドを定量するとよい。
またさらに、本発明のこれらの糖化アルブミンの測定方法において、プロテアーゼによる水解反応において、グロブリン選択的なプロテアーゼ阻害剤を共存させるとことが好ましい。このようなグロブリン選択的なプロテアーゼ阻害剤としては、例えば金属イオン、プロテインG、プロテインA、デオキシコール酸、デオキシコール酸アミド、コール酸アミド、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩型陽イオン、界面活性剤、コジカナバリンA、及びベタインが挙げられ、これらから選択される少なくともいずれか1つを共存させることができる。
また、糖化アミノ酸と非糖化アミノ酸もしくは糖化ペプチドと非糖化ペプチドの比を取ることにより測定操作の誤差を限りなく小さくできる。
本発明に使用しうる糖化タンパク質としては、生体内に存在するいかなる糖化タンパク質を対象としてもよいが、具体的にはアルブミン、ヘモグロビンが挙げられる。
本発明に使用しうるタンパク質濃度の測定方法としては、タンパク質濃度が測定できる方法であれば、いかなる方法を用いてもよいが、例えば、クロマトグラフィーを用いて目的とするタンパク質を試料より分離し、分離されたタンパク質を公知の方法で定量すればよく、また直接抗体や発色色素を用いて測定してもよい。
例えば、検量物質の保存安定性を悪くする物質としては、糖化反応を引き起こす還元糖、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等が、また濁りを引き起こす血液凝固系のタンパク質、例えばフィブリノーゲン等が挙げられ、極力除去することが好ましい。除去の程度の確認のためには市販の測定キットを用い、保存安定性を悪くする物質の含有量を測定すればよい。除去の目標は、例えばグルコースであれば50mg/dl以下、フィブリノーゲンであれば100mg/dl以下で、好ましくはグルコースであれば10mg/dl以下、フィブリノーゲンであれば40mg/dl以下であり、最も好ましくは市販のキットで測定限界以下で、実質的にグルコース、フィブリノーゲンを含まないものである。除去の方法としてはグルコースに代表される還元糖のような低分子を除去するには、例えば透析、分子ふるいを用いた低分子除去、クロマトグラフィーを用いた分離等を用いることかできる。フィブリノーゲンの様に凝固に関するタンパク質を除去するには、血液の凝固反応を十分に行うか、カラム法や硫安沈殿、エタノール沈殿、アセトン沈殿等の沈殿法が有効である。
<<プロテアーゼの活性測定方法>>
下記の測定条件で30℃、1分間に1μgチロシンに相当する呈色を示すプロテアーゼ活性度を1PU(ProteolyticUnit)と表示する。
プロテアーゼ溶液を10〜20PU/mlになるように酵素希釈溶液にて溶解し、この液1mlを試験管に取り30℃に加温する。あらかじめ30℃に加温しておいた基質溶液5mlを加え正確に10分後反応停止液5mlを添加し反応を停止する。そのまま30℃30分加温を続け沈殿を凝集させ、東洋ろ紙N0.131(9cm)でろ過を行い、ろ液を得る。ブランク測定はプロテアーゼ溶液1mlを試験管に取り30℃に加温し、まず反応停止液5mlを添加し続いて基質溶液5mlを添加後同様に凝集、ろ過を行う。ろ液2mlを0.55M 炭酸ナトリウム溶液5ml、3倍希釈フォリン試薬1mlを加え30℃、30分反応後660nmの吸光度を測定する。酵素作用を行った吸光度からブランク測定の吸光度を差し引いた吸光度変化を求め、別に作成した作用標準曲線より酵素活性を求める。
約50PU/mlに調整した酵素溶液を希釈し2〜50PU/mlの一連の希釈倍率を持った酵素溶液を作成し上記操作を行い、得られた吸光度変化を縦軸に希釈倍数を横軸にプロットする。一方、L−チロシンを0.2N塩酸に0.01%の濃度に溶解しその1mlに0.2N塩酸10ml加えたものを標準チロシン溶液とする(チロシン濃度9.09μg/ml)。標準チロシン溶液2mlと0.2N塩酸2mlについてそれぞれ上記測定操作を行い、得られた吸光度変化がチロシン18.2μgに相当する。この吸光度変化を前記グラフ上にとり、その点から横軸に垂線を下ろし横軸との交点が10PU/mlに相当する。
これらのグロブリン成分選択的な阻害剤は単独もしくは組み合わせて用いてもよい。
例えば、前記プロテアーゼ−タイプ−XXVIIは、pHが7〜10付近でタンパク質分解活性が強く、反応のpHは7〜10選択できる。またプロテアーゼ添加濃度は実際に使用される反応時間中に被検体液中のタンパク質を十分に分解し得る濃度であればよい。
次に、本発明の実施例を詳しく述べるが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
1)糖化、非糖化アルブミンの精製
血清、血漿(オフクロット血清、フレッシュフローズンプラズマ;ベリタス社製)からアルブミンを松田らの方法(アルブミン測定に於ける標準物質、臨床病理、vol.23, p889−894, 1975)に従い、Euglobulinの除去、リバノールによるアルブミンの沈殿、リバノールの除去、硫安によるグロブリンの除去、DEAEセルロースによるカラムクロマトグラムの手順でおこなった。
続いてホウ酸結合樹脂を30mlの150mMのソルビトールを含むトリス緩衝液(50mM、pH8.5)に懸濁し、4℃にて30分攪拌する。溶液をグラスフィルターでろ過し、ろ液を糖化アルブミン溶液とする。
2)糖化、非糖化アルブミンの値の表示
2−1.タンパク質濃度;
タンパク質濃度はローリー法を用いて決定した。試薬はDCプロテインアッセイ(バイオラッド社製)を用いた。
糖化タンパク質濃度は前記ローリー法及びHPLC法を用い、精製された糖化アルブミンのタンパク質濃度を測定した。HPLC法はHi−AUTO GAA(GAA−2000)(アークレイ社製)を用いて測定した。アルブミンを重量からモルに計算する場合の分子量は66438
(Geisow MJ et.Al.In: Villafranca JJ,ed.Techniques in proteinchemistry.San Diego,CA:Academic Press,1991:576−572)を用いた。
糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度は標準化されたチオバルビツール酸を用いる方法(Analytical Biochemistry,The standardization of the tiobarbituricacid assay for nonenzymatic glucosylation of human serum albumin.118,294−300,1981)及び酵素法を用いて決定した。
アルブミン分解試薬
50mM トリス緩衝液 pH7.6
6mM 4−アミノアンチピリン(同仁化学研究所社製)
2500U/ml プロテアーゼタイプXXVII(シグマ社製)
1% 硫酸 −3−[(コールアミドプロピル) ジメチルアンモニオ] −2−ハイドロキシ−1−プロパン
糖化アミノ酸検出試薬
50mM トリス緩衝液 pH7.5
10mM N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3− スルホプロピル)−m −トルイジン(同仁化学研究所社製)
24U/ml フルクトシルアミンオキシダーゼ(FAOD)(旭化成社製)
15U/ml パーオキシダーゼ(ロシュ社製)
アルブミン中の糖化アミノ酸濃度
= 測定された糖化アミノ酸濃度 × プロテアーゼ反応による糖化アミノ酸生成率
アルブミン中の糖化アミノ酸濃度 = 測定された糖化アミノ酸濃度 × 0.8
2−3で得られた糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度を、2−2で得られた糖化タンパク質濃度で除して求めた。また値の正当性の確認はイオンスプレーイオニゼーション−QTOF−MASS(QSTAR;アプライドバイオシステム社製)を用いて行った。
糖化アルブミン、非糖化アルブミンの還元カルボキシメチル化を行い、トリプシン消化(シグマ社製)を行い、下記の条件でLC/MSでフラグメントの測定を行った。
還元カルボキシメチル化;サンプルに終濃度6Mになるように塩酸グアニジン(シグマ社製)を添加し、pH8.2にあわせ50℃−30分反応させた。アルブミン10mgあたりに5mgのジチオスレイトール(シグマ社製)を加え1時間反応を行った。反応溶液を室温に戻しアルブミン10mgあたりに25mgのヨードアセトアミドを添加し、1時間反応を行った。反応終了後、反応液は透析、濃縮した。
トリプシン消化;90mgのアルブミン溶液を100℃5分加熱し、1.6mgのトリプシンを添加した。37℃−8時間反応を行い、100℃に加熱して反応を止めた。
非糖化アルブミン中には糖が結合した分子量は確認されず、非糖化−還元型アルブミン(NGA;66439)、非糖化−酸化型アルブミン(NGAox;66563)のみが検出された。一方糖化アルブミンの中には非糖化アルブミンは観察されず、還元型アルブミンに1個(GA−1;66604)、2個(GA−2;66771)、3個(GA−2;66930)の糖が結合した糖化アルブミンが検出され、酸化型アルブミンに1個(GAox−1;66728)、2個(GAox−2;66883)、3個(GAox−2;67046)の糖が結合した糖化アルブミンが検出された。糖化アルブミンの主成分は2個糖が結合したものであった。ローリー法と酵素法から求められた糖化タンパク質1分子あたりの平均糖結合数2.0は問題ない数字であることが確認された。
アルブミン525位糖化量の測定結果を図2に示す。
図2は還元カルボキシメチル化しトリプシン消化した糖化アルブミン及び非糖化アルブミンをLC/MSにかけた場合のクロマトグラムである。糖化アルブミンのトリプシン消化では糖化された525〜534位のフラグメント(糖化KQTALVELVK)(一文字表記によるアミノ酸を示す。以下同じ。)及び、糖化されていない525〜534位のフラグメント(KQTALVELVK)が切り出されてくることから、これらの分子量に相当する分子量のみを検出した。糖化された525〜534位のフラグメント(糖化KQTALVELVK)は糖化アルブミンのみから検出され、糖化アルブミン中の252位の糖化量はMASSのピーク高さから計算して約20%であった。
また、糖化−非糖化のアミノ酸やペプチドを測定する方法としてはLC/MSの他にキャピラリー電気泳動で測定することが一般的であり、LC/MSの変わりにキャピラリー電気泳動で測定できることは言うまでもない。
A)糖化タンパク質濃度を測定する方法と糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度を測定する方法
実施例1の検量物質を用いて健常者血清35検体、患者血清35検体を測定した。糖化タンパク質濃度を測定する方法としてHPLC法はHi−AUTO GAA(GAA−2000)(アークレイ社製)を、糖化タンパク質中の総糖化アミノ酸濃度を測定する方法は実施例1の酵素法を用いた。酵素法は糖化アルブミン中の糖化アミノ酸濃度、及び糖化タンパク質濃度の表示値を用いて計算した。酵素法は別途アルブミンをアルブミン試薬を用いて測定し、割合に変換した。アルブミン試薬にはアルブミン測定キット(アルブミンII−HAテストワコー;和光純薬社製)を用いた。HPLC法は検量物質の糖化タンパク質濃度をアルブミン濃度で除して糖化アルブミン割合として計算した。測定結果を図3に示す。
さらに検量物質の糖化アルブミン濃度を用いるとHPLC法との相関の傾きが1.0になることから、測定方法間の値の補正が可能であることが明らかであった。
実施例1の検量物質を用いて健常者血清35検体を測定した。糖化タンパク質濃度を測定する方法はHPLC法(実施例2、Aに同じ)を、糖化タンパク質中の特定の1箇所のアミノ酸の糖化量を測定する方法はアルブミンの525位のLys糖化物に対する抗体(Clinica Chimica Acta,vol.169,p229−238,1987)を用い、サンドイッチ法で測定した。
試料の前処理;20μlの血清に200μlの50mMクエン酸緩衝液(pH5.5)を添加し37℃1時間インキュベーションする。1mlの99%エタノールを加え、沈殿を500μlの0.15Mの食塩、0.05MのNaBH4を含む0.1Mトリス緩衝液(pH8.2)に溶解する。室温で30分反応後100μlの酢酸を加え反応を止め、500μlの緩衝液を加える。
実施例1で作成した非糖化−糖化アルブミンに分ける前のアルブミン(4.5g/dl)の試料を調製した。10mMトリス緩衝液(pH8.5)、1×104PU/mlプロテアーゼタイプXXVII(シグマ社製)、1% 硫酸−3−[(コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ハイドロキシ−1−プロパンを含む液500μlに、試料50μlを添加し、混ぜながら37℃にて10時間反応させた。実験では、反応時間6時間で98%が水解し、18時間で99.5%以上が水解した。反応液をミリポア製限外ろ過器(分子量5000)による精製によりプロテアーゼ、グロブリン及びペプチドの一部を除去した。透過液を水で定容した。この液をイオン交換液体クロマトグラフィーアミノ酸分析装置に注入し、糖化リシンと非糖化リシンを定量し、両者の面積比から比率を測定した。測定値は15.5%であった。HPLC法の測定値は15.3%であり、値は良く一致した。また、実施例1に示した総糖化アミノ酸濃度/アルブミン濃度×100で求めた酵素法の割合は30.9%でありほぼ倍の値を示した。本測定法の値は市販のγグロブリンを最終濃度2g/dlになるまで添加しても変化が無かった。このことから本測定法は、主要2箇所の糖化アミノ酸をプロテアーゼにより切り出していると考えられ、かつγグロブリンの影響を受けていないことから糖化アルブミンの測定方法として有用であることが示された。
本検量物質の糖化アルブミンを糖尿病患者血清(血糖1.6g/L、アルブミン濃度40g/l)に1g/mlになるように添加した。添加した血液に以下の処理を行い、密栓し37℃−1週間保存した。またコントロールとして未処理のものを凍結にて1週間保存した。1週間後試料をHPLC法にて測定し糖化アルブミン割合を求めた。
1;未処理
2;0.9%NaClを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5)に対して透析。(透析後のグルコース、フィブリノーゲンの測定値はそれぞれ検出限界以下であり、10mg/dl、40mg/dl以下であった。)
3;2にフィブリノーゲン(シグマ社製)を100mg/mlになるように添加
4;2にスクロースを5%になるように添加
結果を表2に示す。
グルコース、フィブリノーゲンを含まず、非還元糖であるスクロースを添加した血清は37℃1週間の保存でもGA値は変化しなかった。非還元糖の添加は糖化部位の保護に有効であった。
実施例1の検量物質および市販のアルブミン標準溶液(和光純薬社製)をサンプルカップにとり、酵素法を用いて管理血清の糖化アルブミン割合を測定した。キャリブレーション1は糖化タンパク質濃度およびアルブミン濃度の表示された実施例1の検量物質をキャリブレーターに用いた。キャリブレーション2の糖化タンパク質濃度は実施例1の検量物質から算出し、アルブミン濃度は市販のアルブミン標準溶液を用いて算出した。
測定は検量物質及びアルブミン標準溶液をサンプルカップに100μlづつ移し、直後および装置にセットしたまま8時間経過した後再度測定を行った。結果を表3に示す。
また、糖化アミノ酸と非糖化アミノ酸もしくは糖化ペプチドと非糖化ペプチドの比を取ることにより測定操作の誤差が限りなく小さい測定方法を提供できる。
Claims (11)
- アルブミン中の糖化アルブミン濃度を求める方法であって、アルブミンを含む試料をアルブミンに特異性の高いプロテアーゼにより水解して、糖化アミノ酸と非糖化アミノ酸又は糖化ペプチドと非糖化ペプチドを得、両者の比を定量することを特徴とする糖化アルブミンの測定法。
- プロテアーゼが、少なくとも主要糖化部位1箇所又は2箇所に、主として作用するプロテアーゼであることを特徴とする請求項2に記載の糖化アルブミンの測定法。
- 定量法が、アミノ酸についてはクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーであり、ペプチドについてはキャピラリー電気泳動法である請求項1又は2に記載の糖化アルブミンの測定法。
- 定量法が液体クロマトグラフィー質量分析法である請求項2又は3記載の糖化アルブミンの測定法。
- プロテアーゼによる水解の後、精製を行う請求項2〜4のいずれか記載の糖化アルブミンの測定法。
- プロテアーゼによる水解の生成物が糖化アミノ酸と非糖化アミノ酸であって、精製法が薄層クロマトグラフィーである請求項5に記載の糖化アルブミンの測定法。
- プロテアーゼによる水解の生成物が糖化ペプチドと非糖化ペプチドであって、精製法が逆相液体クロマトグラフィーである請求項6に記載の糖化アルブミンの測定法。
- ペプチドが主要糖化部位の水解生成物であり、それぞれの糖化ペプチドと非糖化ペプチドを定量する請求項7に記載の糖化アルブミンの測定法。
- プロテアーゼによる水解を、試料と参照物質を同時に、同一条件でかつ収率が80%以上となる時間の間反応を行った後、糖化アミノ酸又は糖化ペプチドの安定同位体を加えて糖化アミノ酸又は糖化ペプチドとその安定同位体との比を質量分析法で定量することを特徴とする糖化アルブミンの測定法。
- ペプチドが主要糖化部位の水解生成物であり、それぞれの糖化ペプチドを定量する請求項9に記載の糖化アルブミンの測定法。
- プロテアーゼによる水解反応において、金属イオン、プロテインG、プロテインA、デオキシコール酸、デオキシコール酸アミド、コール酸アミド、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩型陽イオン界面活性剤、コンカナバリンA及びベタインからなる群から選択される少なくともいずれか1つを共存させる請求項1〜10のいずれかに記載の糖化アルブミンの測定法。
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