JP2018194374A - ペプチドの分析方法 - Google Patents

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【課題】生体内での前駆体タンパク質のプロセシングにより異なる切断部位で切断されて生じる複数種のペプチドを個別に同定・定量可能な分析方法を提供する。【解決手段】本発明の分析方法では、所定のペプチドのN末端およびC末端のいずれか一方と特異的に結合する抗体を用いた免疫沈降法により、所定のペプチドを分離する。分離された所定のペプチドをプロテアーゼにより消化してペプチド断片を調製し、ペプチド断片のうち、抗体と結合する末端と反対側の末端のペプチド断片を質量分析により検出する。【選択図】 図1

Description

本発明は、ペプチドの分析方法に関する。より詳細には、本発明は、生体中でのプロセシングにより複数の異なる位置で切断されるペプチドを、質量分析により同定および/または定量する方法に関する。
アミロイドβ(Aβ)は約40アミノ酸残基からなるペプチドであり、アルツハイマー病の発症に深く関わっていると考えられている。770アミノ酸残基からなるアミロイド前駆タンパク質(APP:配列番号1)が、βセクレターゼにより、Met671とAsp672の間で切断されてC末端側のペプチド(APP672−770)が切り出され、このペプチドがγセクレターゼにより切断されてAβが生成することが知られている。
Aβはアルツハイマー病のバイオマーカーとして注目されており、質量分析により生体試料中に含まれるAβ量を定量する試みがいくつか報告されている。例えば、特許文献1では、Aβに特異的に結合する抗Aβ抗体(AβのPhe4−Gly9をエピトープとする6E10、およびAβのLeu17−Val24をエピトープとする4G8)を用いた免疫沈降(IP)と、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)とを組み合わせた分析方法により、微量のヒト血漿から22種類のAPP切断ペプチドを検出した例が報告されている。特許文献1では、APPのプロセッシングにより生成するペプチドとして、APP669−771(配列番号5)等の、βセレクターゼによる切断部位よりもN末端側で切断されたペプチドが検出されたことが報告されている。
非特許文献1では、血漿中の全タンパク質をトリプシンにより消化した試料を多次元LC/MS/MSにより分析し、Aβ17−28をサロゲートペプチドとして選択し、多重反応モニタリング(MRM;選択反応モニタリング(SRM)とも称される)により、総Aβ量を定量したことが報告されている。
WO2015/111430号パンフレット
J. S. Kim et al., Analytica Chimica Acta, 2014, 840, 1-9.
MALDI−MSではマススペクトルにおけるピーク強度の相対比から試料中の特定のペプチドの濃度を定量できるが、特定のペプチドの絶対的含有量の定量に適しているとは言い難い。一方、MRMは、特定のプリカーサイオンとプロダクトイオンの組み合わせを選択してMS/MSにより検出するため、多数の夾雑物の中から高い選択性で高感度に微量サンプルを定量できるとの利点を有する。また、検量線法や内部標準法により、MALDI−MSに比べてより精度の高い定量分析が可能である。
しかしながら、非特許文献1に記載の手法では、Aβの中間配列をサロゲートペプチドとして選択しているため、C末端の切断部位の異なるAβ(例えば、Aβ1−38(配列番号2)、Aβ1−40(配列番号3)、Aβ1−42(配列番号4)や、N末端側がβセクレターゼ切断部位(APPのMet671とAsp672の間)以外で切断されたAPP切断ペプチド(例えば、前述のAPP669−771)を個別に定量することはできない。
前駆体タンパク質の生体内でのプロセシングにより、異なる切断部位で切断されて複数種のペプチドを生成する例としては、APPから生成されるAβ以外に、プログラニュリンから生成されるグラニュリン類、プレプロPTHから生成される副甲状線ホルモン(PTH)、プレプロBNPから生成される脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロオピオメラノコルチンから産生される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、α−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、β−MSHおよびγ−MSH等が挙げられる。
病理診断等において、生体内での前駆体タンパク質のプロセシングにより異なる切断部位で切断されて生じる複数種のペプチドを個別に同定・定量可能な分析手法が求められている。
本発明の分析方法では、APP切断ペプチド(例えばAβ)等所定のペプチドのN末端およびC末端のいずれか一方と特異的に結合する抗体を用いた免疫沈降法(IP)により、ペプチドを分離する。IPにより分離されたペプチドをプロテアーゼにより消化してペプチド断片を調製し、ペプチド断片のうち、抗体と結合する末端と反対側の末端のペプチド断片を質量分析により検出する。ペプチド断片の質量分析は、多重反応モニタリング(MRM)により行ってもよい。
本発明の方法では、ペプチドのN末端およびC末端のいずれか一方を抗体を用いたIPにより識別し、他方を質量分析により識別するため、切断部位の異なるペプチドを、個別に検出・定量することが可能である。
APP切断型ペプチドの抗体による捕捉およびプロテアーゼによる切断位置を示す模式図である。
本発明の分析方法では、ペプチドのN末端およびC末端のうちのいずれか一方を抗体により識別して免疫沈降(IP)により分離し、IPにより分離されたペプチドをプロテアーゼ消化してペプチド断片を生成した後、抗体識別部位(エピトープ)と反対側の末端を含むペプチド断片を質量分析により分析する。この方法では、ペプチドの一方の末端が抗体により識別され、ペプチドの他方の末端が質量分析により識別されるため、生体内の複数箇所で切断されて生成される複数種のペプチドを、アミノ酸配列ごとに検出および定量できる。
分析対象のペプチドは特に限定されないが、本発明の方法は、生体内でのプロセシングにより異なる部位で切断されて生成される複数種のペプチドの分析に適している。複数種のペプチドを生成する前駆体タンパク質としては、アミロイド前駆タンパク質(APP)、プログラニュリン、プレプロPTH、プレプロBNP、プロオピオメラノコルチン等が挙げられる。以下では、APPのプロセシングにより生成するペプチド(APP切断型ペプチド)の分析を中心に説明する。
[免疫沈降によるペプチドの分離]
まず、免疫沈降法により、生体試料から所定のペプチドを分離回収する。生体試料には血液試料、脳脊髄液(CSF)尿、体分泌液、唾液、および痰等の体液、ならびに糞便等が含まれる。血液試料には、全血、血漿および血清等が含まれる。血液試料は、生体から採取された全血を、適宜処理することにより調製すればよい。例えば、APP切断型ペプチドが対象である場合、アルツハイマー病、あるいは他の疾患のスクリーニングのための生体試料が分析対象試料となる。
生体試料を抗体と接触させることにより、生体試料中の所定のペプチドが特異的に抗体と結合する。抗体としては、検出対象ペプチドを認識して特異的に結合するものが用いられる。APP切断型ペプチドを認識可能な抗原結合部位を持つ抗体としては、各種の抗アミロイドβ抗体が挙げられる。
本発明においては、APP切断型ペプチドのN末端側またはC末端側のアミノ酸配列をエピトープとする抗体が用いられる。抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。抗体は抗原結合部位を含んでいればよく、F(ab’)、F(ab’)、F(ab)、Fd、Fv等の抗体断片(ドメイン)でもよい。結合特異性が高いことから、F(ab’)、F(ab)、Fv等のFcドメインを含まない抗体断片が好ましい。
AβのN末端側をエピトープとする抗体としては、3D6(エピトープ:Aβ1−5)、pAb-EL16(エピトープ:Aβ1−7)、2H4(エピトープ:Aβ1−8)、1E11(エピトープ:Aβ1−8)、20.1(エピトープ:Aβ1−10)、pAb1-42(エピトープ:Aβ1−11)、NAB228(エピトープ:Aβ1−11)、ウサギ抗Aβポリクローナル抗体(Abcam)(エピトープ:Aβ1−14)、AB10(エピトープ:Aβ1−16)、82E1(エピトープ:Aβ1−16)、DE2(エピトープ:Aβ1−16)、DE2B4(エピトープ:Aβ1−17)、ウサギ抗ヒトAβポリクローナル抗体(ABR)(エピトープ:AβのN末端)等が知られている。
AβのC末端側をエピトープとする抗体としては、G2-10(エピトープ:Aβ31−40)、1A10(エピトープ:Aβ35−40)、EP1876Y(エピトープ:Aβx−40)、G2-11(エピトープ:Aβ33−42)、16C11(エピトープ:Aβ33−42)、21F12(エピトープ:Aβ34−42)、D-17ヤギ抗Aβ抗体(エピトープ:Aβ1−42のC末端)、BC05(エピトープ:Aβ1−42のC末端)等が知られている。
ペプチドの捕集効率向上等を目的として、これらの抗体は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、Aβの中間配列をエピトープとする抗体を併用してもよい。Aβの中間配列をエピトープとする抗体としては、10D5(エピトープ:Aβ3−7)、6E10(エピトープ:Aβ4−9),WO-2(エピトープ:Aβ4−10)、1A3(エピトープ:Aβ5−9)、pAb-EL21(エピトープ:Aβ5−11)、310-0(エピトープ:Aβ5−16),ニワトリ抗ヒトAβポリクローナル抗体 (Abcam)(エピトープ:Aβ12−28またはAβ25−35)、12C3(エピトープ:Aβ10−16)、16C9(エピトープ:Aβ10−16)、19B8(エピトープ:Aβ9−10)、pAb-EL26(エピトープ:Aβ11−26)、BAM90.1(エピトープ:Aβ13−28)、ウサギ抗Aβポリクローナル抗体 (MBL)(エピトープ:Aβ15−30)、22D12(エピトープ:Aβ18−21)、266(エピトープ:Aβ16−24)、pAb-EL17(エピトープ:Aβ15−24)、4G8(エピトープ:Aβ17−24)、ウサギ抗Aβポリクローナル抗体(Abcam)(エピトープ:Aβ22−35)等が知られている。
抗体は任意の担体に固定されていてもよい。抗体の固定化に用いられる担体としては、アガロース、セファロース、デキストラン、シリカゲル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸系ポリマー、フッ素樹脂、金属錯体樹脂、ガラス、金属等が挙げられる。抗体は、スペーサを介して担体に結合していてもよい。
上記の抗体を用いたIPは、公知の方法により実施できる。例えば、担体に固定された抗体を用いる場合は、担体表面の抗体に対象のペプチドを結合させ、抗体に結合していない成分を洗浄除去後に、抗体からペプチドを解離させて溶出液を回収すればよい。
抗体と生体試料中のペプチドとを結合させる前に、生体試料の前処理を行ってもよい。例えば、生体試料を、プロテインGやプロテインA等が結合している担体と接触させ、血液等に含まれるIgGやIgM等の抗体を除去することにより、Aβ等の分析対象ペプチドとの非特異吸着を抑制し、上記のAβ特異結合抗体と分析対象ペプチドとの結合の特異性を高め、分析の定量性を向上できる。
抗体とペプチドとを結合させるための溶液としては、非特異的吸着を抑制するために、界面活性剤を含むpH6.5〜8.5程度の緩衝液が好ましく用いられる。界面活性剤としては、抗体等のタンパク質の変性を起こしにくく、洗浄による除去が容易であるものが好ましく、マルトースを親水性部分に持つ中性界面活性剤、トレハロースを親水性部分に持つ中性界面活性剤、グルコースを親水性部分に持つ中性界面活性剤等が挙げられる。緩衝液組成としては、Tris緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液等が挙げられる。
抗体とペプチドとを結合させた後、抗体に結合していない夾雑成分の除去が行われる。担体に固定された抗体を用いる場合は、洗浄溶液を用いて洗浄することにより夾雑物を除去すればよい。例えば、界面活性剤を含む中性緩衝液を用いて洗浄を行った後、アンモニウムイオンを含む水溶液を用いて洗浄を行うことが好ましい。
洗浄後に、抗体からペプチドを解離させることによりペプチドが分離回収される。例えば、抗体が固定された担体表面を溶出液に接触させることにより、抗体からペプチドが解離し、解離したペプチドが溶出する。溶出液としては、一般にpH1〜4程度の酸性水溶液が用いられる。溶出液は、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム等の有機溶媒を含んでいてもよい。
[プロテアーゼ処理および質量分析]
免疫沈降により分離されたペプチドは、プロテアーゼ消化により断片化される。一般には、プロテアーゼ処理に先だって、ペプチドの変性処理およびアルキル化処理が行われる。変性処理およびアルキル化処理の条件は特に限定されず、公知の条件が適宜に採用される。
プロテアーゼ処理の条件は特に限定されず、用いられるプロテアーゼに応じた適宜のプロトコールが採用される。例えば、プロテアーゼの至適pH近傍に調整された緩衝溶液中で、通常37℃程度の温度で、4時間〜20時間程度インキュベートすることが好ましい。
プロテアーゼは、アミノ酸配列を認識し、特定の配列の特定の結合を選択的に切断する。プロテアーゼとしては、トリプシン(切断位置:塩基性アミノ酸残基(ArgおよびLys)のC末端側)、Lys‐C(切断位置:LysのC末端側)、アルギニンエンドペプチダーゼ(切断位置:ArgのC末端側)、キモトリプシン(切断位置:芳香族アミノ酸(Phe、TyrおよびTrp)のC末端側)、ペプシン(切断位置:芳香族(Phe、TyrおよびTrp)のN末端側)、Asn−C(切断位置:AsnのC末端側)等が用いられる。
分析対象のペプチドに特異的なアミノ酸配列を有する断片が得られるように、プロテアーゼを選択すればよい。プロテアーゼは2種以上を組み合わせて用いてもよい。MRMによりペプチド断片の検出が行われる場合は、特異性を担保する観点から、6以上のアミノ酸残基からなるペプチド断片を検出対象のプリカーサイオンとすることが好ましい。ペプチド断片の長さの上限は特に限定されないが、イオン化が容易であることから、アミノ酸残基数は30以下が好ましい。
図1は、3種類のAPP切断型ペプチドのC末端側と特異的に結合する抗体を用いた免疫沈降によるペプチドの捕捉、およびプロテアーゼによるペプチドの切断位置を示す模式図である。図中の切断位置I〜IVはトリプシンによる切断位置(Lys残基およびArg残基のC末端側)である。図中の破線で示された切断位置IIはArg残基のC末端側であり、トリプシンにより切断されるがLys−Cでは切断されない。
Aβ1−42のC末端をエピトープとする抗体aによりIPを行った場合、図1に示す3種のペプチドの中で、C末端にAla42を有するAβ1−42のみが捕捉される。抗体aを用いたIPにより捕捉されたペプチドをトリプシンにより消化した後、切断部位IIのN末端側の配列「DAEFR」を有するペプチド断片を質量分析により検出することにより、Aβ1−42の存在を確認できる。Aβ1−40のトリプシン消化によっても配列「DAEFR」を有するペプチド断片が生成するが、抗体aを用いたIPではAβ40は捕捉されないため、Aβ1−42に由来するペプチド断片のみが検出される。
抗体aを用いたIPにより捕捉されたペプチドをLys−Cにより消化した場合は、切断部位IIIのN末端側の配列「DAEFRHDSGYEVHHQK」を有するペプチド断片が質量分析により検出されれば、Aβ1−42の存在を確認できる。トリプシンを用いた場合は、Aβ1−42から生成するN末端側のペプチド断片のアミノ酸残基数が5と少ないのに対して、Lys−Cを用いた場合は、16アミノ酸残基のペプチド断片が得られるため、MRMによるペプチド断片の検出および定量に適している。
Aβ1−40のC末端をエピトープとする抗体bによりIPを行った場合、図1に示す3種のペプチドの中で、Aβ1−40およびAPP668−711の2種が捕捉される。抗体aを用いたIPによりAβ1−42を捕捉し、抗体aに捕捉されずに流出した溶液(洗浄液を含む)に抗体bを用いたIPを実施して、Aβ1−40およびAPP668−711を捕捉してもよい。
抗体bを用いたIPにより捕捉されたペプチドをLys−Cにより消化した試料からは、Aβ1−40の切断位置IIIのN末端側の配列「DAEFRHDSGYEVHHQK」を有するペプチド、およびAPP668−711の切断位置IIIのN末端側の配列(切断位置Iと切断位置IIIの間の配列)「DAEFRHDSGYEVHHQK」を有するペプチドが生成する。これらのペプチドは分子量が異なるため、質量分析により判別可能である。
抗体bを用いたIPのみでは、C末端の配列が共通するAβ1−40とAPP668−711とを識別できないが、C末端側を抗体識別部位とするとするIPによりペプチドを分離し、IPで捕捉回収されたペプチドのN末端側のプロテアーゼ消化断片をトランジションとして選択することにより、N末端側の配列の相違(生体内でのAPPからの切断部位の相違)が識別可能となる。
本発明においては、上述のようにペプチドのC末端またはN末端のいずれか一方に特異的に結合する抗体を用いたIPによりペプチドを分離した後、抗体結合部位と反対側の末端のペプチド断片の分析が行われる。例えば、AβのC末端側に結合する抗体を用いたIPにより分離したペプチドは、プロテアーゼ処理後に、N末端側のプロテアーゼ消化断片が質量分析による検出対象として選択される。AβのN末端側に結合する抗体を用いたIPにより捕捉されたペプチドは、C末端側のプロテアーゼ消化断片の質量分析が行われる。図1に示す3種のペプチドは、C末端側のIPによりAβ1−42およびAβ1−40とAPP668−711とが分離され、N末端側のペプチド断片の質量分析により、Aβ1−42とAβ1−40とを識別できる。
IP後に行われるプロテアーゼ消化では、検出対象となるペプチド断片のアミノ酸残基数が前述の範囲となるようにプロテアーゼを選択することが好ましい。AβのC末端側をIPにより識別し、N末端側を質量分析により識別する場合において、N末端側のトリプシン消化断片のアミノ酸残基数は5であり、Lys−C消化断片のアミノ酸残基数は16である。MRMによる分析に適した長さのN末端側ペプチド断片を得るためには、プロテアーゼとしてLys−Cが適しているといえる。
プロテアーゼ処理後の試料は、必要に応じて脱塩、可溶化、濃縮、乾燥等の処理が行われてもよい。例えば、脱塩および濃縮は、固相抽出用のスピンカラム等を用いて行えばよい。
質量分析に装置により、プロテアーゼ処理により得られたペプチド断片の分析が行われる。ペプチド断片の分析は、各種の質量分析法により実施できるが、選択性および感度が高いことから、多重反応モニタリング(MRM)による分析が好ましい。MRMでは、試料を質量分析装置に導入する前に、液体クロマトグラフィー(LC)による分離が行われる。
質量分析装置に導入された試料は、イオン化プローブでイオン化される。前段の質量分析により、検出対象のペプチド断片由来のイオン(プリカーサイオン)が選択される。プリカーサイオンは、CID等により複数種のイオン(プロダクトイオン)に開裂し、後段の質量分析により、m/zに基づいて特定のプロダクトイオンが分離され、検出器で検出される。MRMでは、分析対象となるペプチドから生成するプリカーサイオンのm/zと、各プリカーサイオンについて、後段の質量分析で選別されるプロダクトイオンのm/zの組み合わせを予め定めておく。
一例として、Aβ1−42のLys−C消化物のN末端側の配列「DAEFRHDSGYEVHHQK」(配列番号:6)を有するペプチド(Aβ1−40のLys−C消化物も同様)のMRMトランジションを以下に示す。
Figure 2018194374
MRMで検出されたプロダクトイオン量に基づいて、血液等の生体試料中の所定のペプチドの含有量(濃度)を算出できる。プロダクトイオン量と生体試料中のペプチド濃度は、予め所定のパラメータにより関連付けられている。両者を関連付ける方法としては、例えば、外部標準による検量線(較正曲線)を用いる方法が挙げられる。検量線は、本分析(生体由来試料の分析)と同一の条件で、濃度既知のペプチドフラグメント(外部標準)の分析を行い、濃度とプロダクトイオンのピーク面積(あるいはピーク強度)とをプロットすることにより得られる。

Claims (3)

  1. ペプチドの分析方法であって、
    所定のペプチドのN末端およびC末端のいずれか一方と特異的に結合する抗体を用いた免疫沈降法により、所定のペプチドを分離し、
    分離された所定のペプチドをプロテアーゼにより消化してペプチド断片を調製し、
    前記ペプチド断片のうち、前記抗体と結合する末端と反対側の末端のペプチド断片を質量分析により検出する、ペプチドの分析方法。
  2. 前記ペプチド断片を多重反応モニタリングにより検出する、請求項1に記載のペプチドの分析方法。
  3. 前記所定のペプチドが、アミロイド前駆タンパク質の切断により生成するペプチドである、請求項1または2に記載のペプチドの分析方法。
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