JP2018191543A - 機能性食品の製造方法 - Google Patents

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峯村  剛
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健児 塩塚
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Abstract

【課題】健康の維持増進に有用なトリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有する機能性食品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を含有する機能性食品の製造方法である。本発明の機能性食品の製造方法は、コーヒー生豆を熱処理・解砕せずに非沸騰状態の溶媒に晒すことにより、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を含有する抽出液を得る抽出工程を有する。前記溶媒の温度は、好ましくは85〜95℃である。前記抽出工程において前記コーヒー生豆を前記溶媒に晒す時間は、好ましくは45〜90分である。
【選択図】なし

Description

本発明は、有用成分であるトリゴネリン及びクロロゲン酸類を高含有する機能性食品に関する。
コーヒーは、コーヒー生豆を焙煎し、粉砕し、その焙煎コーヒー豆の粉砕物を水や熱湯などで抽出して得られる褐色の液体であり、独特の風味や香りに特徴があり、主に嗜好性飲料として世界的に普及している。このコーヒー特有の風味や香りは、コーヒー生豆の焙煎即ち熱処理によって、コーヒー生豆の含有成分が複雑な化学変化を起こすことに起因すると従来考えられている。焙煎温度は、要望される焙煎度合いにもよるが、通常200〜230℃程度である。
またコーヒーには、カフェイン、トリゴネリン、クロロゲン酸類等の成分が含まれていることから、近年は健康食品的な観点からも注目されている。特にトリゴネリン(trigonelline)は、ヒトの神経等に対する薬理作用が研究され、脳の老化やアルツハイマー型認知症を予防する効果があるという研究成果が報告されている。またクロロゲン酸類(Chlorogenic acids)は、一般にコーヒーポリフェノールなどと称され、抗酸化作用を示し生体内の活性酸素を除去し、さらにNO産生亢進作用を有し、脳機能改善効果や高血圧改善効果があるとされ、健康の維持増進に役立つと言われている。しかし、トリゴネリンやクロロゲン酸類は、カフェインなどの他のコーヒー生豆含有成分と比べて熱に弱いため、コーヒー生豆を焙煎すると、分解するなどして消失してしまうという問題がある。
前記問題に鑑み、特許文献1にはトリゴネリンの分解を抑えた焙煎コーヒー豆の製造方法として、コーヒー豆を焙煎するにあたり、焙煎機内の焙焼温度と焙煎積算温度とをそれぞれ特定範囲に設定する方法が記載されている。特許文献1記載の実施例では、コーヒー生豆を焙煎後、粉砕し、その粉砕物からコーヒー抽出液を調製しているところ、このコーヒー抽出液にトリゴネリンが高含有されていたとされている。
特許文献2には、焙煎後のコーヒー豆を蒸気抽出することによって有用な揮発性成分を得ることが記載されており、斯かる有用な揮発性成分として、トリゴネリン、クロロゲン酸が記載されている。特許文献2記載の実施例では、コーヒー生豆を焙煎後、粉砕し、その粉砕物に水蒸気、飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接接触させて、液状の揮発性成分を得、これを噴霧乾燥して、トリゴネリン及びクロロゲン酸を含有する粉末状のインスタントコーヒーを製造している。
特許文献3には、健康促進成分としてクロロゲン酸を含み、その含量が増量された改質コーヒーが記載されている。特許文献3記載の改質コーヒーは、コーヒー生豆の焙煎時間と温度を工夫したものであり、焙煎コーヒー豆を粉砕し、抽出することで得られる。
特許文献4には、焙煎コーヒー豆由来のナイアシンを多量に含み、苦味や雑味が抑制されたコーヒー飲料が記載されている。特許文献4記載のコーヒー飲料は、焙煎コーヒー豆を粉砕し、常法により抽出して得られるものである。特許文献4には、クロロゲン酸類及びトリゴネリンに関し、これらは独特の渋味やえぐ味を有するため、コーヒー飲料中では所定濃度以下に制御することが好ましい旨記載されており、具体的には、クロロゲン酸類含量はコーヒー飲料100g当たり100mg以下、トリゴネリン含量はコーヒー飲料100g当たり20mg以下とすることが好ましい旨記載されている。
特開2005−124527号公報 特開2005−137269号公報 特開2006−296414号公報 特開2010−119386号公報
本発明は、健康の維持増進に有用なトリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有する機能性食品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、コーヒー生豆を焙煎・解砕せずにそのまま抽出源として使用し、その抽出源を所定の条件で溶媒抽出することで、トリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高濃度に含有する抽出物が得られることを知見した。コーヒー生豆から両成分を高含有する抽出物を安定的に製造する技術は未だ提供されていない。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を含有する機能性食品の製造方法であって、コーヒー生豆を熱処理・解砕せずに非沸騰状態の溶媒に晒すことにより、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を含有する抽出液を得る抽出工程を有する、機能性食品の製造方法である。
また本発明は、前記知見に基づきなされたもので、トリゴネリンを2.5質量%以上、クロロゲン酸類を38質量%以上、並びにデキストリン及び加工澱粉からなる群から選択される1種以上を含有する粉末状機能性食品である。
本発明の機能性食品の製造方法によれば、健康の維持増進に有用なトリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有する機能性食品を効率よく製造することができる。
本発明の粉末状機能性食品は、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を高含有するため、少ない摂取量で両成分を効率よく摂取することができ、また、粉末状であるため取扱性に優れ、日常的に手軽に長期間摂取可能であり、さらに、食経験が豊富なコーヒー生豆を主原料とするため安全性にも優れ、健康維持食品として有用である。
本発明の機能性食品の製造方法は、コーヒー生豆を主原料として用いる。本発明において「コーヒー生豆」とは、コーヒーの木の果実(コーヒーチェリー)における胚乳と胚芽とを合わせた部分であり、且つ焙煎などの熱処理が施されていないものである。コーヒー生豆は通常、コーヒーの木から採取された果実を乾燥させ、その乾燥豆から胚乳及び胚芽以外の部分、具体的には、果皮、果肉、粘着物(ペクチン層)及び内果皮(パーチメント)を取り除いて得られる。
本発明では、原料となるコーヒー生豆(コーヒーの木の果実)の産地、種類は特に制限されず、公知のものの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には例えば、アラビカ種(主な生産国は、中南米、アフリカの一部の国等)、ロブスタ種(主な生産国は、ベトナム、タイ等)が挙げられる。アラビカ種及びロブスタ種は、それぞれ、ブラジル、インドネシア、メキシコ等でも生産されているが、これらを産地とするものも本発明では問題なく使用できる。一般に、コーヒー豆の名前(銘柄)は産地(生産地、集積・出荷地など)に由来するが、産地の属する国の国名(例えばコロンビア、ケニア、ブラジル、グアテマラなど)、産地の属する山域(例えばキリマンジャロ、ブルーマウンテン、エメラルドマウンテンなど)、産地の属する積出港(例えばモカ、サントスなど)、産地の属する栽培地名(例えばコナ、マンデリン、ジャワなど)、あるいは種名ないし栽培品種名(例えばジャワ・ロブスタ、プルマヒダルゴ、ブルボン・サントスなど)、あるいは農園名に由来する場合もあるところ、本発明では、その名前(銘柄)の由来にかかわらず、また等級も特に問わず、食品素材として利用可能な種々のコーヒー生豆を特に制限なく使用し得る。
本発明の機能性食品の製造方法は、コーヒー生豆を、熱処理も解砕もせずに、そのまま抽出源として用いる点で特徴付けられる。コーヒー豆を抽出源とする従来技術においては、特許文献1〜4に記載されているように、コーヒー生豆を焙煎(熱処理)し、その焙煎コーヒー豆を粉砕したものを抽出源として使用するのが常識である。しかしながら、コーヒー生豆を焙煎すると、それに含まれているトリゴネリン及びクロロゲン酸類の低減が避けられない。また、コーヒーとして飲用されているコーヒー抽出液を得る際には、各種成分の抽出効率を高めるために塊状の抽出源(焙煎コーヒー豆)を粉砕して細かくし、溶媒との接触面積を増やすことが常識であり、通常そのような手法が採られているが、トリゴネリン及びクロロゲン酸類に関しては、この常識的な手法が却って抽出効率を低下させるおそれがあることが、本発明者らの検討により判明した。そこで本発明においては、焙煎コーヒー豆の粉砕物を抽出源して用いる従来技術の常識に反して、コーヒー生豆を熱処理・解砕せずにそのまま抽出源として使用することとしたものである。
コーヒー生豆の熱処理として典型的なものは、焙煎である。焙煎は、処理対象(コーヒー生豆)を水分無添加の条件で加熱するいわゆる乾熱処理である。乾熱処理としては、例えば、オーブンでの加熱、焙焼窯での加熱、乾燥器を用いる加熱、熱風を吹き付ける熱風乾燥を例示できる。また、乾熱処理以外の熱処理として、湿熱処理がある。湿熱処理は、処理対象(コーヒー生豆)の水分を維持しながら、又は処理対象に水分を加えながら、処理対象を加熱する処理である。湿熱処理において、処理対象に加える水分としては、水、水蒸気が用いられる。本発明の機能性食品の製造方法では、抽出源として用いるコーヒー生豆に対し、乾熱処理及び湿熱処理をはじめ、意図的にコーヒー生豆を加熱する処理の一切を施さない。
また、「コーヒー生豆を解砕せず」とは、コーヒー生豆を意図的に物理的に破壊しないことを意味する。ここでいう「解砕」は、コーヒー生豆の物理的な破壊の例示であり、コーヒー生豆の物理的な破壊の他の例として、粉砕、破砕などが挙げられる。一般に、コーヒー生豆は、ブラジルなどの生産現地においてコーヒーの木の果実から種子の部分を取り出し、それを乾燥して製造されており、そうして製造されたコーヒー生豆が日本などの消費地に輸入されているところ、その輸入されたコーヒー生豆をそのまま使用することは、「コーヒー生豆を解砕せず」に使用することの一実施態様となり得る。
尚、例えばコーヒー生豆を大量に使用する場合などにおいては、その使用するうちの一部のコーヒー生豆が、輸送途中などにおいて意図せずに物理的に破壊され、結果的にコーヒー生豆本来の外形が維持されず、場合によっては粉砕、破砕されたのと同様な形態となる場合があり得るが、そうした意図しないコーヒー生豆の物理的な破壊があったとしても、それは通常、抽出に使用されるコーヒー生豆の全量のごく一部を占めるに過ぎず、本発明の所定の効果を奏することについて実質的な阻害要因とはならない。つまり、コーヒー生豆を意図的に物理的に破壊しない限りは、抽出に使用するコーヒー生豆の全量の一部に偶々粉砕されたようなものがあったとしても、「コーヒー生豆を解砕せず」に使用するに該当し得る。
本発明の機能性食品の製造方法では、熱処理も解砕もされていないコーヒー生豆を、非沸騰状態の溶媒に晒す(抽出工程)。即ち本発明では、常温常圧で非沸騰状態の溶媒を用いたコーヒー生豆の溶媒抽出を行う。斯かる抽出工程で抽出に用いる溶媒としては、極性溶媒、非極性溶媒のいずれも使用することができ、本発明では1種類の溶媒を単独で又は2種類以上の溶媒を組み合わせて用いることができる。典型的な抽出用溶媒として、水及び有機溶媒を例示できる。水としては、例えば、純水、蒸留水、水道水、酸性水、アルカリ水、中性水が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、エタノール等の低級アルコール類;プロピレングリコール等の多価アルコール類;アセトン等のケトン類が挙げられる。これらの溶媒の中でも、操作性、安全性及び環境性の観点から、水、低級アルコール類、アルコールと水との混合液(含水アルコール)が好ましく、より好ましくは、水、エタノールと水との混合液(含水エタノール)であり、さらに好ましくは水である。含水アルコール(含水エタノール)中のアルコール(エタノール)含有量は、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
本発明に係る抽出工程において、コーヒー生豆の溶媒を用いた抽出方法は特に制限されず、例えば、ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、連続式等の公知の抽出装置を用いて行うことができ、また、二酸化炭素を用いた超臨界流体抽出法を用いることもできる。このような超臨界流体を利用して植物成分を抽出する方法は、当該技術分野で広く知られている。典型的な抽出方法としては、コーヒー生豆を溶媒中に浸漬し、必要に応じて該溶媒を攪拌又は還流する方法が挙げられる。抽出工程における溶媒の使用量は、特に制限されないが、抽出源たるコーヒー生豆の濃度が5〜15質量%となるような範囲とすることが好ましい。
本発明に係る抽出工程において、コーヒー生豆が晒される非沸騰状態の溶媒の温度は、トリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有する抽出液をより確実に得るようにする観点から、好ましくは85〜95℃、さらに好ましくは87〜93℃である。
また同様の観点から、本発明に係る抽出工程において、コーヒー生豆を非沸騰状態の溶媒に晒す時間(抽出時間)は、好ましくは45〜90分、さらに好ましくは50〜75分である。
本発明の機能性食品の製造方法は、前述した抽出工程のみを有する態様であってもよく、その場合、抽出工程で得られた抽出液が、製造目的物たる、トリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有する機能性食品である。斯かる抽出液即ち液状機能性食品は、必要に応じて、濃縮、凍結乾燥、蒸発乾固、噴霧乾燥などの公知の水分調整法を利用して、ペースト状、粉末状などの形態にしてもよい。
本発明の機能性食品の製造方法の好ましい一実施態様として、前記抽出工程後に、抽出液(液状機能性食品)を濃縮し、その濃縮液を噴霧乾燥する工程を有するものが挙げられる。以下、斯かる好ましい製造方法について説明する。
前記抽出工程で得られた抽出液(液状機能性食品)を濃縮するのに先立ち、必要に応じ、抽出液を濾過して固形分を除去する。また、濃縮する抽出液の温度は50〜60℃程度が好ましく、抽出工程後に必要に応じて斯かる温度範囲になるように抽出液を冷却してもよい。その冷却は、室温下で放置する自然冷却でもよく、冷蔵庫などの冷却手段を使用した強制的な冷却でもよい。
抽出液の濃縮方法は特に制限されず、例えば減圧加熱濃縮、即ち、減圧下(真空下)で抽出液を加熱する方法で実施できる。また、抽出液の濃縮の程度は特に制限されないが、製造効率、一定の品質管理等の観点から、Brixが好ましくは12〜18%、さらに好ましくは14〜16%となるまで濃縮することが好ましい。ここでいう「Brix」とは、糖用屈折計を利用して測定した値であり、20℃のショ糖水溶液の質量百分率に相当する値である。
抽出液を濃縮後、その濃縮液をそのまま噴霧乾燥してもよいが、噴霧乾燥による粉末化を促進する観点から、噴霧乾燥する前に濃縮液に粉末化剤を添加することが好ましい。ここで添加された粉末化剤は、本発明の製造方法の製造目的物たる機能性食品の一成分となる。従って粉末化剤としては、喫食しても問題の無いものが用いられ、例えば、デキストリン、加工澱粉が挙げられる。加工澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等の未加工澱粉に、α化、アセチル化、ヒドロキシプロピル化、エーテル化、架橋、酸化等の処理の1つ以上を施したものが挙げられる。本発明では、粉末化剤の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの粉末化剤の中でも特にデキストリンは、抽出液の粉末化、延いては本発明の機能性食品の粉末化が容易であるため、本発明で好ましく用いられる。抽出液への粉末化剤の添加量は、抽出液100質量部に対し、好ましくは95〜110質量部、さらに好ましくは97〜99質量部である。
本発明の機能性食品の製造方法の好ましい一実施態様においては、抽出工程で得られた抽出液を、前記のように濃縮し、必要に応じてその濃縮液に粉末化剤を添加した後、その粉末化剤含有濃縮液を噴霧乾燥する。斯かる濃縮液の噴霧乾燥は、公知の噴霧乾燥装置を用いて常法に従って行うことができる。この噴霧乾燥により、常温常圧で粉末状の機能性食品が得られる。この粉末状機能性食品は、液状あるいはペースト状の形態に比して、取扱性に優れ、日常的に手軽に利用しやすいというメリットを有する。即ち、本発明の機能性食品を粉末状機能性食品とすることにより、添加可能な食品ないし食品形態の幅が一層広がり得る。例えば粉末状機能性食品は、これを含む錠剤を得る場合などに成型しやすいという利点を有し、また、水や温水などの溶媒への溶解性が高いため、飲料などの液状食品に添加しやすいという利点を有する。
本発明の機能性食品は、コーヒー生豆を熱処理・解砕せずに非沸騰状態の溶媒に晒すという、特徴的な抽出工程を経て製造可能なものであり、その抽出工程に起因して、該機能性食品の形態の如何を問わず、トリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有している。
具体的には、本発明の機能性食品におけるトリゴネリンの含有量は、該機能性食品の全質量に対して乾燥物換算で、2.5質量%以上であり、好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上である。トリゴネリンの含有量は多いほど好ましく、上限は特にないが、通常4.5質量%程度である。
また、本発明の機能性食品におけるクロロゲン酸類の含有量は、該機能性食品の全質量に対して乾燥物換算で、38質量%以上であり、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは43質量%以上である。クロロゲン酸類の含有量は多いほど好ましく、上限は特にないが、通常55質量%程度である。
機能性食品中のトリゴネリン及びクロロゲン酸類の含有量は、それぞれ、公知の定量分析方法を用いて常法に従って測定できる。両成分の定量分析方法として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を例示できる。HPLCによる各成分の分析条件は例えば下記のように設定できる。
(トリゴネリンのHPLC分析条件)
・カラム:TSKgel Amide−80(4.6mm(I.D.)×250mm、TOSOH製)
・カラム温度:80℃
・移動相:アセトニトリル80質量%と精製水20質量%との混合液
・流速:1.2mL/min
・検出波長:265nm
(クロロゲン酸類のHPLC分析条件)
・カラム:TSKgel ODS−120A(4.6mm(I.D.)×150mm、TOSOH製)
・カラム温度:40℃
・移動相:トリフルオロ酢酸0.05質量%とアセトニトリル99.95質量%との混合液を用い、且つトリフルオロ酢酸濃度が0.05質量%含むアセトニトリル50質量%にまで変化するリニアグラジエントとする。
・流速:1.2mL/min
・検出波長:280nm
本発明の機能性食品に含まれ得るクロロゲン酸類としては、例えば、モノカフェオイルキナ酸成分(3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸)、フェルラキナ酸成分(3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸)及びジカフェオイルキナ酸成分(3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸)を例示できる。
本発明の機能性食品は、トリゴネリン及びクロロゲン酸類以外の他の成分を含有し得る。例えば、前述した製造方法によって粉末状機能性食品を製造した場合、その粉末状機能性食品は、トリゴネリン及びクロロゲン酸類に加えてさらに粉末化剤、より具体的には、デキストリン及び加工澱粉からなる群から選択される1種以上を含有する。本発明の機能性食品における粉末化剤の含有量(デキストリン及び加工澱粉の総含有量)は、該機能性食品の全質量に対して乾燥物換算で、好ましくは40〜58質量%、さらに好ましくは44〜54質量%である。
本発明の機能性食品は、前記3成分(トリゴネリン、クロロゲン酸類、粉末化剤)以外の他の成分を含有してもよく、この他の成分として、例えば、カフェイン、蛋白質、脂質、糖質を例示できる。本発明の機能性食品における前記3成分以外の他の成分の含有量は、該機能性食品の全質量に対して乾燥物換算で、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。このような、含有成分の種類が比較的少ない組成であれば、重要成分であるトリゴネリン及びクロロゲン酸類の占有率が高まり、機能性食品の少ない摂取量で両成分を効率よく摂取することが可能となる。
本発明の機能性食品は、ヒトの飲食品、動物の飼料、若しくは医薬品などとして、又はそれらを製造するために使用することができる。本発明の機能性食品の形態は特に制限されず、例えば、前記抽出工程で得られた抽出液をベースとしその水分を適宜調整して得られる液状物あるいはペースト状物、該抽出液中の溶媒を蒸発乾固して得られる乾固物又はその粉末、該乾固物又はその粉末をエタノール等のアルコールに溶解してなるアルコール溶液等が挙げられる。
本発明の機能性食品は、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を高含有することにより、これらの成分によって奏され得る効果を発現し得る。本発明の機能性食品を摂取することで期待できる効果としては、例えば、脳神経細胞の活性化が挙げられ、それによって認知症予防又は改善が期待できる。本発明の機能性食品の摂取量は、食品として食経験も有することから対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得る。摂取量の期間は、特に限定されないが、反復・連続して摂取することが好ましく、30日以上連続して摂取又は投与することがより好ましい。
本発明はまた、前述した本発明の機能性食品を含有する食品組成物を提供する。この本発明の食品組成物は、ベースとなる食品と、前述した本発明の機能性食品とを含有する。このベースとなる食品は特に制限されず、例えば、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、スープ、容器詰飲料、粉末飲料等の各種一般食品;錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒斉、散剤、シロップ剤等のサプリメント(栄養補助食品)が挙げられる。なかでも、手軽に摂取できることから、粉末飲料、サプリメントが好ましく、錠剤がより好ましい。
本発明の食品組成物は、種々の食品素材の他、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。本発明の食品組成物の形態は特に制限されず、固形、半固形又は液状であり得る。本発明の食品組成物は、そのまま一般食品、特定保健用食品、機能性表示食品などとして利用できる他、動物の飼料としても利用できる。
本発明の食品組成物の一実施形態として、前記ベースとなる食品が、コーヒー、ココアなどの飲料であり、本発明の機能性食品が、粉末状又は錠剤などの固形状であるものを例示できる。斯かる実施形態には、飲料中に機能性食品が予め添加混合された形態が包含され、また、飲料と粉末状又は固形状の機能性食品とを個別に混ざらない状態で含有し、当該食品組成物を喫食する際に両者を混合する(飲料に機能性食品を添加する)形態が包含される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
水300Lを90℃に昇温して非沸騰状態の水を得、これを抽出溶媒として、そこにコーヒー生豆(ブラジル産、サントス豆)を熱処理・解砕せずに30kg投入し浸漬した。抽出溶媒をゆるやかに攪拌しつつ、コーヒー生豆の斯かる浸漬状態を60分間維持(即ち抽出時間60分間)し、抽出液を得た。その後、抽出液をその液温が約50℃になるまで冷却し、さらに抽出液の濾過を行って豆などの固形物を除去した後、該抽出液をBrixが15%となるまで減圧加熱濃縮し、濃縮液を得た。この濃縮液に、該濃縮液と質量にして等量のデキストリン(松谷化学(株)製、マックス1000)を投入し溶解させ、さらに90℃で15分間加熱殺菌を行った後、噴霧乾燥装置(大川原化工機(株)製、ODA−70型)を用い出口温度90℃で管理して、該濃縮液の噴霧乾燥を行い、粉末状機能性食品を得た。
〔実施例2〜5及び比較例1〜2〕
抽出源として用いるコーヒー生豆の種類及びその解砕の有無、抽出溶媒の温度、抽出時間を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、粉末状機能性食品を得た。
各実施例及び比較例の粉末状機能性食品におけるトリゴネリン及びクロロゲン酸類の含有量を、HPLCにより前記と同じ条件で測定した。その結果を下記表1に示す。
表1に示す通り、熱処理していないコーヒー生豆を解砕せずに用いた各実施例は、該コーヒー生豆を解砕(粉砕)して用いた各比較例に比して、トリゴネリン及びクロロゲン酸類の双方を高含有していた。このことから、両成分を高含有する機能性食品を得るためには、コーヒー生豆を熱処理も解砕もせずにそのまま抽出源として用いることが有効であることがわかる。各比較例のように、抽出源たるコーヒー生豆を解砕して用いると、トリゴネリン及びクロロゲン酸類以外の他の成分が多く溶出されてしまうために、これら両成分の抽出効率の低下が起こるものと推察される。

Claims (6)

  1. トリゴネリン及びクロロゲン酸類を含有する機能性食品の製造方法であって、
    コーヒー生豆を熱処理・解砕せずに非沸騰状態の溶媒に晒すことにより、トリゴネリン及びクロロゲン酸類を含有する抽出液を得る抽出工程を有する、機能性食品の製造方法。
  2. 前記溶媒の温度が85〜95℃である請求項1に記載の機能性食品の製造方法。
  3. 前記抽出工程において前記コーヒー生豆を前記溶媒に晒す時間が、45〜90分である請求項1又は2に記載の機能性食品の製造方法。
  4. 前記抽出工程後に、前記抽出液をBrixが12〜18%となるまで濃縮し、その濃縮液に粉末化剤を添加後、該濃縮液を噴霧乾燥する工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性食品の製造方法。
  5. 前記機能性食品が、前記トリゴネリンを2.5質量%以上、前記クロロゲン酸類を38質量%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性食品の製造方法。
  6. トリゴネリンを2.5質量%以上、クロロゲン酸類を38質量%以上、並びにデキストリン及び加工澱粉からなる群から選択される1種以上を含有する粉末状機能性食品。
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