JP2018189190A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿環境にて長期間ガスバリア性能を維持することが可能な真空断熱材用外包材を提供する。【解決手段】熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を有し、少なくとも1つの上記ガスバリア膜が、金属アルミニウム膜である真空断熱材用外包材であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた上記金属アルミニウム膜の厚み膨張率が所定値以下である、真空断熱材用外包材。【選択図】図1

Description

本開示は、真空断熱材に用いられる外包材に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の袋体内に芯材が配置され、上記袋体内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されたものであり、内部の熱対流が抑制されるため、良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性、端部を接合して袋体とし、芯材を封入密閉するための熱溶着性等の物性が要求される。外包材は、これらの物性を満たすため、一般に、部材としてガスバリア層および熱溶着可能なフィルムを含む構成が採用されている(特許文献1〜4)。
ガスバリア層としては、数μm〜数10μmレベルの厚みを有する金属箔や、樹脂基材の片面に数nm〜数100nmレベルの厚みを有するガスバリア膜を有し、上記ガスバリア膜が無機物を含むガスバリアフィルムが用いられる。中でも、ガスバリアフィルムは、薄厚でも高いガスバリア性能を発揮することが可能であり、また、金属箔よりもヒートブリッジが生じにくく、さらに金属箔よりも屈曲性が良好であるため真空断熱材を形成する際に屈曲等の外部応力を受けることに因る欠陥の発生、およびそれに伴うガスバリア性能の低下が生じにくいことから、真空断熱材用外包材のガスバリア層として採用が進められている。
特開2003−262296号公報 特開2013−103343号公報 特開2006−70923号公報 特開2014−62562号公報
ガスバリア膜を構成する無機物としては、金属、無機酸化物等が用いられる。中でも金属アルミニウムは、比較的低コストで高いガスバリア性能を有するガスバリア膜を形成することが可能である。しかし、金属アルミニウム膜を有するガスバリアフィルムを用いた外包材は、温度70℃、湿度90%RHの高温高湿環境にて使用すると、ガスバリア性能が経時で低下してしまい、良好なガスバリア性能を長期間維持することが困難であるという課題がある。また、このような外包材を用いて形成された真空断熱材は、外包材のガスバリア性能の低下に伴い、高温高湿環境において長期間、断熱性能を維持することが困難であるという課題がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高温高湿環境にて長期間ガスバリア性能を維持することが可能な真空断熱材用外包材、およびそれを用いた真空断熱材ならびに真空断熱材付き物品を提供することを主目的とする。
本開示は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を有し、少なくとも1つの上記ガスバリア膜が、金属アルミニウム膜である真空断熱材用外包材であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた上記金属アルミニウム膜の厚み膨張率が200%以下である、真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示によれば、高温高湿環境にて長期間ガスバリア性能を維持することが可能な真空断熱材用外包材を提供することができるという効果を奏する。また、本開示によれば、上述した真空断熱材用外包材を用いることで、高温高湿環境にて断熱性能を長期間維持することが可能な真空断熱材、および上記真空断熱材を備える物品を提供することができるという効果を奏する。
本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材の一例を示す概略斜視図および断面図である。
本開示は、真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を実施態様に含む。以下、本開示の実施態様を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
I.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を有し、少なくとも1つの上記ガスバリア膜が、金属アルミニウム膜である真空断熱材用外包材であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた上記金属アルミニウム膜の厚み膨張率が200%以下である。
なお、金属アルミニウムとは、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物と区別される。
図1は、本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図であり、熱溶着可能なフィルム1と、3つのガスバリアフィルム2A、2B、2Cとを有する。ガスバリアフィルム2A、2B、2Cはそれぞれ、樹脂基材3A、3B、3Cおよび樹脂基材3A、3B、3Cの一方の面側に配置されたガスバリア膜4A、4B、4Cを有する。図1において、ガスバリアフィルム2A、2B、2Cの中で、ガスバリアフィルム2Bのガスバリア膜4Bが、金属アルミニウム膜である。本開示の真空断熱材用外包材10は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、熱溶着可能なフィルム1から最も離れた金属アルミニウム膜4Bの厚みTの膨張率が所定値以下である。
金属アルミニウム膜をガスバリア膜として有するガスバリアフィルムを構成に含む外包材は、温度70℃、湿度90%RHの高温高湿環境において使用を続けると、ガスバリア性能が経時で低下する傾向がある。本発明者等は、高温高湿環境において生じる上記の傾向が、金属アルミニウムと水蒸気との反応によることを知得した。
すなわち、ガスバリア膜を構成する金属アルミニウムは、高温の水蒸気と接すると反応が生じて水酸化物となり、環境温度によっては水酸化物がさらに加水分解して酸化物となる。ここで、金属アルミニウムは、水蒸気と反応して化合物となると、金属アルミニウム単体よりも体積が膨張するため、ガスバリア膜の膜厚も増大する。ガスバリア膜の膜厚が増大すると耐屈曲性能が低下することから、ガスバリア膜は、屈曲等の外力からの機械的応力を受けると、応力が集中してクラック等の欠陥が発生し易くなる。また、ガスバリア膜と接する樹脂基材は、高温高湿環境に晒されると樹脂の種類に応じて熱伸縮する。ガスバリア膜は、樹脂基材の熱伸縮により生じた応力を集中して受けることにより、クラック等の欠陥が更に生じやすくなる。そして、ガスバリア膜に生じた欠陥部分からガスが容易に浸入可能となることで、外包材全体のガスバリア性能が低下すると推量される。
さらに、水酸化アルミニウムのガスバリア性能は、金属アルミニウムのガスバリア性能よりも低いため、高温高湿環境において、ガスバリア膜を構成する金属アルミニウムが水蒸気と反応して水酸化アルミニウムになると、ガスバリア膜のガスバリア性能が初期性能から大きく低下してしまう。
このように、金属アルミニウム膜を含む外包材を高温高湿環境で長期間使用する場合、ガスバリア膜と水蒸気との接触により性状変化が生じるため、金属アルミニウム膜により発揮されるガスバリア性能を長期間維持することが困難になると推量される。
中でも、外包材における金属アルミニウム膜の位置が、熱溶着可能なフィルムから離れた位置、すなわち、外包材を真空断熱材に用いたときに最外面に近い位置であるほど、金属アルミニウム膜は主面において外気中の水蒸気と接触し易くなり、金属アルミニウムの水酸化や酸化が生じやすくなると推量される。また、外包材において、ガスバリア膜は、樹脂基材や、保護フィルム等の他の部材、上記他の部材と接着させるための接着層等の樹脂層と接するが、高温高湿環境において樹脂層が吸湿すると、ガスバリア膜である金属アルミニウム膜の主面が樹脂層に含まれる水蒸気と接することで、金属アルミニウムの水酸化や酸化がより生じやすくなると推量される。
更に、外包材が複数のガスバフィルムを有する場合、熱溶着可能なフィルムから最も離れて位置するガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜が劣化することで、水蒸気が外包材内に浸透しやすくなる。このため、上記金属アルミニウム膜よりも熱溶着可能なフィルム側に位置する他のガスバリアフィルムにより、水蒸気の浸透を阻止しなければならないが、他のガスバリアフィルムも、ガスバリア膜や樹脂基材が水蒸気と接触することで劣化する場合があり、その結果、外包材全体のガスバリア性能を更に低下させてしまう場合がある。このため、外包材を構成するガスバリアフィルムの中でも、熱溶着可能なフィルムから最も離れて位置するガスバリアフィルムが、ガスバリア膜として金属アルミニウム膜を有する場合、湿熱によるガスバリアフィルムの劣化が特に生じやすく、外包材全体のガスバリア性能の低下に大きく寄与すると考えられる。
そこで、本発明者等は、外包材を所定の高温高湿環境において所定時間保持する前後での、熱溶着可能なフィルムから最も離れた金属アルミニウム膜の厚み膨張率を規定することで、高温高湿環境においても、外包材のガスバリア性能を長期間維持することが可能となることを見出した。また、真空断熱材を構成する外包材として、上記の特性を有する外包材を用いることで、真空断熱材が、高温高湿環境にて断熱性能を長期間維持することが可能となることを見出した。具体的には、本開示の外包材は、後述する実施例で説明するように、初期の熱伝導率に対する温度70℃、湿度90%の雰囲気中で150時間保持した後の真空断熱材の熱伝導率の比を小さくすることができる。
以下、本開示における外包材の特性および構成について、説明する。
A.特性
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた上記金属アルミニウム膜の厚み膨張率が所定値以下である。
なお、「熱溶着可能なフィルムから最も離れた金属アルミニウム膜」のことを、「最外金属アルミニウム膜」と称し、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた上記金属アルミニウム膜の厚み膨張率」のことを、「高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率」または単に「厚み膨張率」と称する場合がある。
具体的には、本開示の外包材は、高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率が200%以下であればよく、中でも150%以下であることが好ましく、特に130%以下であることが好ましい。金属アルミニウム膜と水蒸気との反応が進むほど、金属アルミニウムが水酸化アルミニウム等の化合物となる割合が多くなり、最外金属アルミニウム膜の体積膨張が大きくなるため、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で保持する前、すなわち高温高湿保持前と比較して、最外金属アルミニウム膜の厚みは大きくなる。つまり高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率は、金属アルミニウム膜が水蒸気と反応して水酸化物等の化合物に変化した度合いを示す。
なお、厚み膨張率の下限は、特に限定されないが、高温高湿保持前後で厚みの膨張が小さいことが好ましく、中でも厚みが膨張しないこと、すなわち100%とすることができる。
本開示においては、高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率が上記の範囲内にあることで、ガスバリア膜の性状変化によるガスバリア性能の低下を抑えることができる。また、膜厚の増大によるガスバリア膜の耐屈曲性能の低下を抑え、樹脂基材等の樹脂層の熱伸縮による応力や屈曲等の機械的な応力を受けて、ガスバリア膜に欠陥が形成されるのを抑制することができる。
さらに、最外金属アルミニウム膜と、それに接する層との密着性に不具合が生じにくくなり、最外金属アルミニウム膜と各層との接着強度の低下を抑制することができる。さらにまた、高温且つ水蒸気と接する環境であっても、最外金属アルミニウム膜のガスバリア性能の低下が抑制されるため、最外金属アルミニウム膜を有するガスバリアフィルムよりも熱溶着可能なフィルム側に位置する他のガスバリアフィルムを、外部の高湿環境から保護することができる。これにより、他のガスバリアフィルムのガスバリア性能の低下を抑制することができ、外包材全体で良好なガスバリア性能を長期間維持することが可能となる。
高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で保持する前、すなわち高温高湿保持前の最外金属アルミニウム膜の厚みT、および高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚みTから、下記数式(1)により算出することができる。
厚み膨張率(%)=(T/T)×100 … (1)
高温高湿保持前の最外金属アルミニウム膜の厚みTは、まず、高温高湿保持前の外包材の外周を硬化樹脂(丸本ストルアス製 冷間埋め込み樹脂エポフィックス)で固めたサンプルを作製し、固定した外包材をダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断し、断面を露出させる。次に、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク製 SU−8000)を用いて露出させた断面の倍率5万倍の画像を取得し、画像中で最外金属アルミニウム膜の5点の厚みを、少なくとも幅方向に200nm以上の間隔を置いて計測する。上記操作を5サンプルで行い、計25個の計測値の平均を、高温高湿保持前の最外金属アルミニウム膜の厚みTとする。
また、高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚みTは、外包材を、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気の恒温恒湿槽内で500時間保持した後、高温高湿保持前の最外金属アルミニウム膜の厚みと同様の方法で計測し、5サンプル、計25個の計測値の平均を、高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚みTとする。
また、本開示の外包材は、初期水蒸気透過度が0.1g/(m・day)以下、中でも0.05g/(m・day)以下、特に0.01g/(m・day)以下であることが好ましい。初期水蒸気透過度とは、温度70℃、湿度90%の雰囲気中で保持する前の水蒸気透過度をいう。
また、本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の水蒸気透過度が0.5g/(m・day)以下、中でも0.3g/(m・day)以下、特に0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。温度70℃、湿度90%の雰囲気中で500時間保持後の水蒸気透過度のことを、「高温高湿保持後の水蒸気透過度」とする場合がある。
本開示の外包材の高温高湿保持前後の水蒸気透過度が上記の範囲内にあることで、高温高湿環境においても外包材単体で長期間、良好な水蒸気バリア性能を示すことができるため、本開示の外包材を用いた真空断熱材において、内部への水蒸気の浸入を阻止することが可能となり、高温高湿環境にて断熱性能を長期間維持することができる。具体的には、後述する実施例で説明するように、初期の熱伝導率に対する温度70℃、湿度90%の雰囲気中で500時間保持した後の真空断熱材の熱伝導率の比を小さくすることができる。
外包材の初期水蒸気透過度は、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。初期水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、所望のサイズに切り取った外包材の、厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層の表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、英国Technolox社製の「DELTAPERM」を用いることができる。
また、外包材の高温高湿保持後の水蒸気透過度は、JIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法、以下同様とする。)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うようにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧中で熱溶着して接合し、試験片とする。熱溶着する際の加熱温度は、170℃〜240℃の範囲内で熱融着可能なフィルムを構成する樹脂に適した温度とする。上記試験片は、内部に何も内包されず、また、減圧されていない状態とする。上記試験片を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持し、保持後の上記試験片の熱溶着されていない領域を、幅9cm×長さ9cmの大きさで切り取り、切り取った外包材の水蒸気透過度を、初期水蒸気透過度と同じ測定方法および条件で測定する。水蒸気透過度測定装置は、例えば、米国MOCON社製の「PERMATRAN」を用いることができる。
初期および高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。以下、本開示における初期、および高温高湿保持後の水蒸気透過度は、上述した各方法により測定することができる。
本開示の外包材は、初期酸素透過度が0.1cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.05cc/(m・day・atm)以下であることが好ましい。初期酸素透過度とは、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持する前の酸素透過度をいう。
また、本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の酸素透過度が0.3cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m・day・atm)以下であることが好ましい。温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の酸素透過度のことを、高温高湿保持後の酸素透過度と称する場合がある。
本開示の外包材の高温高湿保持後の酸素透過度が上記の範囲内にあることで、高温高湿環境においても外包材単体で長期間、良好な酸素バリア性能を示すことができるため、本開示の外包材を用いた真空断熱材において、内部への酸素の浸入を阻止することが可能となり、高温高湿環境にて断熱性能を長期間維持することができる。
本開示の外包材の初期および高温高湿保持後の酸素透過度は、それぞれJIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHに調整し測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。
初期の酸素透過度の測定は、所望のサイズに切り取った外包材の厚み(積層)方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層の表面が酸素ガスに接するようにして上記装置内に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件に調整して行う。上記測定の際、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定する。上記試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。
また、高温高湿保持後の酸素透過度は、以下の手順で行うことができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うようにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧中で熱溶着して接合し、試験片とする。熱溶着する際の加熱温度は、170℃〜240℃の範囲内で熱融着可能なフィルムを構成する樹脂に適した温度とする。上記試験片は、内部に何も内包されず、また、減圧されていない状態とした。上記試験片を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後、上記試験片の熱溶着されていない領域を幅9cm×長さ9cmの大きさで切り取り、切り取った外包材の酸素透過度を、初期酸素透過度と同じ測定方法および条件で測定する。
初期、および高温高湿保持後の酸素透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とする。以下、本開示における初期、および高温高湿保持後の酸素透過度は、上述した各方法により測定することができる。
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持後の含水率が少ないほど好ましく、例えば10000ppm以下であることが好ましく、中でも9000ppm以下であることが好ましい。外包材の含水率を上記の範囲内とすることで、高温高湿環境においてガスバリアフィルムの樹脂基材、接着層、保護フィルム等の樹脂層等が吸湿する水分量を抑えることができる。よって、ガスバリア膜と接触する水蒸気量を少なくすることができ、金属アルミニウムと水蒸気との反応を抑制することができるからである。
外包材の含水率は、下記の方法により外包材の含水量を測定し、得られた含水量の値から算出することができる。外包材の含水量は、JIS K0113:2005に準拠して、カールフィッシャー法の電量滴定法により測定することができる。測定装置としては、例えば、一体型カールフィッシャー水分計(カールフィッシャー水分計 MKC−510および水分気化装置 ADP−611の一体連動型、共に京都電子工業株式会社製)を用いることができる。含水量の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、外包材を温度70℃、湿度90%RH雰囲気中で2時間保持する前処理を行う。上記前処理後の上記外包材は、測定までの間、アルミニウムパウチ内で保管する。次に、前処理後の外包材から10mm×50mmのサイズに複数枚切出し、サンプル重量がおよそ0.5gになるように、切り出した外包材を石英製サンプルボートに乗せ、上記石英製サンプルボートを加熱管(準備室)にセットする。キャリアガス(窒素)を250mL/minで流しながら、加熱管(準備室)を180秒間エージング(バックパージ)し、次いで設定温度150℃とした加熱部を120秒間エージングする。その後にサンプルボートを加熱部に移して600秒間滴定し、温度20℃、露点−50℃の周囲環境にて含水量を測定する。測定は、前処理を行った雰囲気から取出し後、少なくとも1時間以内に行う。
外包材の含水率は、上述の方法により得られた含水量の値を元に、下記数式(2)で定義することができる。
含水率(ppm)=(G/M)×10 … (2)
(上記式(2)中、Gは上記方法で検出された含水量(g)、Mはサンプルボートに乗せたサンプル重量(g)である。)
含水率は、1つの外包材から採取した少なくとも3つに対し測定し、それらの測定値の平均をその条件での含水率の値とすることができる。
本開示の外包材は、灰分が1.0質量%よりも大きいことが好ましく、中でも1.3質量%以上であることが好ましく、特に1.5質量%以上であることが好ましい。また、本開示の外包材の灰分は20質量%以下であることが好ましく、中でも10質量%以下であることが好ましく、特に5質量%以下であることが好ましい。ここで、外包材の灰分とは、外包材全体の質量における、外包材が燃え尽きたあとに残る不燃性成分の割合をいい、上記割合は、外包材全体に占める無機物の含有率に近似する。ここで、無機物とは、例えば、金属(合金を含む)、金属元素の化合物および非金属元素の化合物等の無機化合物をいう。
外包材のガスバリア性能は、主に無機物を含む層(無機物層)により発揮される。このため、外包材のガスバリア性能は、外包材全体に占める無機物の含有率により規定することができる。ここで、無機物の含有率を調整する方法として、例えば無機物層の厚みを特定する等の方法が考えられる。しかし、例えばガスバリア膜は、その形成条件によって得られる膜の密度が異なり、また、上記無機物層には有機化合物が含まれることがあるため、外包材全体に占める無機物の含有率を単純に無機物層の厚みのみで規定することは困難である。外包材の灰分は、無機物の使用態様が複雑な場合に総合的な指標とすることができる。
上記灰分が上述した範囲内よりも少ない場合、外包材全体に占める無機物の含有率が小さすぎるため、良好な初期ガスバリア性能が得られない場合がある。一方、上記灰分が上述した範囲内よりも多い場合、外包材全体に占める無機物の含有率が大きくなるため、上記外包材を用いた真空断熱材においてヒートブリッジが発生して熱伝導性が高くなる場合がある。
本開示において灰分は、熱重量/示差熱同時分析装置(TG−DTA)を用いて、測定試料の質量を測定した後、アルミパン中、かつ、大気雰囲気下で、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温後、そのまま600℃で30分間加熱して測定試料を灰化し、加熱前の質量に対する加熱後の質量を百分率で表した値とする。熱重量/示差熱同時分析装置としては、例えば株式会社リガク製のTG8120を用いることができる。
B.構成
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を有し、少なくとも1つ上記ガスバリア膜が、金属アルミニウム膜である。
1.ガスバリアフィルム
ガスバリアフィルムは、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有する。
以下、ガスバリアフィルムのうち、ガスバリア膜が金属アルミニウム膜であるガスバリアフィルムを第1ガスバリアフィルムとし、ガスバリア膜が金属アルミニウム膜以外であるガスバリアフィルムを第2ガスバリアフィルムとして、説明する。
(1)第1ガスバリアフィルム
第1ガスバリアフィルムは、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有し、上記ガスバリア膜が金属アルミニウム膜である。
(a)ガスバリア膜(金属アルミニウム膜)
金属アルミニウム膜は、金属アルミニウムで形成された膜である。
金属アルミニウム膜の厚みは、外包材全体で所望のガスバリア性能を発揮可能であれば特に限定されないが、例えば、20nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましく、中でも40nm以上180nm以下の範囲内であることが好ましく、特に60nm以上150nm以下の範囲内であることが好ましい。なお、ここでいう「金属アルミニウム膜の厚み」とは、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持する前の金属アルミニウム膜の厚みをいい、上述した測定方法により測定可能である。
金属アルミニウム膜は、蒸着法により形成される蒸着膜であってもよく、コーティング等の塗布法により形成されるコート膜であってもよい。金属アルミニウム膜が蒸着膜である場合、1回蒸着等により形成されていてもよく、複数回蒸着により形成されていてもよい。
金属アルミニウム膜は、塗布法、蒸着法、圧着法等の従来公知の方法を用いて成膜することができる。
(b)樹脂基材
樹脂基材を構成する樹脂としては、ガスバリアフィルムに用いられる公知の樹脂が挙げられる。上記樹脂として具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。樹脂基材は上述した各種樹脂を1以上含むことができる。
中でも、上記樹脂基材を構成する樹脂は、疎水性樹脂であることが好ましい。吸水性が低く、樹脂基材に含まれる水蒸気による金属アルミニウム膜の劣化を抑制することができるからである。疎水性樹脂として具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。
上記樹脂基材は、上述した樹脂群から選択される少なくとも1種を主成分とする樹脂フィルムとすることができる。上記樹脂フィルムは、未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸がされていてもよい。また、上記樹脂基材は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。
ここで、主成分とは、上述の高温高湿保持後の特性を満たす程度に、所定の樹脂を含有することをいう。具体的には、樹脂フィルム中の上記所定の樹脂の含有量が、50質量%以上であり、中でも90質量%以上であることが好ましく、特に樹脂フィルムが所定の樹脂のみで構成されていることが好ましい。なお、同一種類の樹脂を2以上含む場合、主成分とは、同一種類の2以上の樹脂の総和が上記範囲内にあることを言う。具体的には、上記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂の2種類のポリエステル樹脂を含む場合、樹脂フィルムがポリエステル樹脂を主成分とするとは、樹脂フィルム中の上記ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量の総和が、上述した範囲内にあることをいう。ポリエステル樹脂以外の他の樹脂についても同様である。
すなわち、上記樹脂基材として好適に用いることが可能な樹脂フィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、環状ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレート樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリロニトリル−スチレン共重合体フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体フィルム等が挙げられる。中でも、上記樹脂基材は、ポリエステル樹脂フィルムであることが好ましい。吸湿性や熱による伸縮性が小さく、比較的安価だからである。
上記樹脂基材は、添加剤を含んでいても良い。上記添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。また、上記樹脂基材は、表面処理が施されていてもよい。ガスバリア膜との密着性を向上させることができるからである。
上記樹脂基材の厚みは、ガスバリア膜を支持することが可能であれば特に限定されないが、例えば6μm以上200μm以下の範囲内とすることができ、好ましくは9μm以上100μm以下の範囲内である。
(c)その他
第1ガスバリアフィルムは、樹脂基材の少なくとも一方の面に金属アルミニウム膜を有していればよく、樹脂基材の厚み方向に位置する両面にそれぞれ金属アルミニウム膜を有していてもよい。
なお、熱溶着可能なフィルムから最も離れた第1ガスバリアフィルムが、樹脂基材の両面にそれぞれ金属アルミニウム膜を有する場合、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた前記金属アルミニウム膜とは、上記第1ガスバリアフィルムの樹脂基材に対して熱溶着可能なフィルム側とは反対側に配置された金属アルミニウム膜をいう。
第1ガスバリアフィルムは、金属アルミニウム膜の樹脂基材とは反対側の面にオーバーコート層を有することができる。オーバーコート層を有することで、第1ガスバリアフィルムのガスバリア性能を向上させることができるからである。オーバーコート層としては、例えば、M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する膜、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜、金属元素と酸素元素と親水基含有樹脂とを含有する混合化合物膜、等が挙げられる。これらの膜については後述する「(2)第2ガスバリアフィルム (a)ガスバリア膜」の項で詳細に説明するため、ここでの説明は省略する。オーバーコート層の厚みは、特に限定されないが、例えば50nm以上500nm以下の範囲内とすることができる。
(2)第2ガスバリアフィルム
第2ガスバリアフィルムは、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有し、ガスバリア膜が金属アルミニウム膜以外である。
(a)ガスバリア膜
第2ガスバリアフィルムにおけるガスバリア膜は、金属アルミニウム以外の無機物を含む膜とすることができる。金属アルミニウム以外の無機物を含む膜としては、例えば、金属アルミニウム以外の金属膜、無機化合物膜、M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する膜、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜、金属元素と酸素元素と親水基含有樹脂とを含有する混合化合物膜、等が挙げられる。
(i)金属膜
金属膜を構成する金属としては、金属アルミニウム以外であればよく、例えば、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属またはこれらを含む合金を挙げることができる。
金属膜は、蒸着法により形成される蒸着膜であってもよく、コーティング等の塗布法により形成されるコート膜であってもよい。蒸着膜である場合、1回蒸着等により形成されていてもよく、複数回蒸着により形成されていてもよい。
金属膜は、塗布法、蒸着法、圧着法等の従来公知の方法を用いて成膜することができる。
(ii)無機化合物膜
無機化合物膜を構成する無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウ、ムセリウム、亜鉛等の金属元素または非金属元素の酸化物、酸化窒化物、窒化物、酸化炭化物、酸化炭化窒化物等が挙げられる。具体的には、SiO等のケイ素酸化物、Al等のアルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、ケイ素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、ケイ素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化ケイ素、酸化ケイ素亜鉛等を挙げることができる。無機化合物は、単独で用いてもよいし、上述の材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
無機化合物膜は、蒸着法により形成される蒸着膜であってもよく、コーティング等の塗布法により形成されるコート膜であってもよい。蒸着膜である場合、1回蒸着等により形成されていてもよく、複数回蒸着により形成されていてもよい。
無機化合物膜は、塗布法、蒸着法、圧着法等の従来公知の方法を用いて成膜することができる。
(iii)M−O−P結合を有する膜
M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する膜としては、例えば金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含む膜が挙げられる。
上記金属酸化物としては、原子価が2価以上の金属の酸化物を挙げることができ、具体的には、マグネシウム、カルシウム等の周期表第2族の金属;亜鉛等の周期表第12族の金属;アルミニウム等の周期表第13族の金属;ケイ素等の周期表第14族の金属;チタン、ジルコニウム等の遷移金属等の金属の酸化物を挙げることができる。中でも、酸化アルミニウム(アルミナ)が好ましい。
また、上記リン化合物としては、例えばリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体が挙げられる。中でもリン酸が好ましい。具体的な金属酸化物およびリン化合物の反応生成物については、例えば、特開2011−226644号公報に開示される反応生成物と同様とすることができる。
M−O−P結合の存在は、赤外線吸収スペクトル(測定波数域;800cm−1以上1400cm−1以下の範囲内)において、最大赤外線吸収ピークが1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲内に出現することで確認することができる。赤外線吸収スペクトルの測定方法としては、特に限定されず、例えば、全反射測定法(ATR法)による測定方法、外包材のガスバリア膜からサンプルをかきとり、その赤外線吸収スペクトルをKBr法で測定する方法、採取したサンプルを顕微赤外分光法により測定方法等を用いることができる。
なお、M−O−P結合を有するガスバリア膜を有するガスバリアフィルムとしては、株式会社クラレ製のクラリスタCF等が挙げられる。
(iv)ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜は、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基間に多価金属イオンによる架橋結合を有する。ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩は、ポリカルボン酸系ポリマーおよび多価金属化合物の反応生成物である。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩の存在は、赤外線吸収スペクトルの1490cm−1〜1659cm−1の範囲内において、1560cm−1付近に吸収極大を有する吸収ピークの出現により確認することができる。上記ピークは、多価金属と塩を形成しているカルボキシル基(−COO)に帰属するC=O伸縮振動のピークである。通常、カルボキシル基の塩(−COO)に帰属するC=O伸縮振動は、1490cm−1〜1659cm−1の赤外光波数領域に、1560cm−1付近に吸収極大を有する吸収ピークを与える。赤外線吸収スペクトルは、透過法、ATR法(減衰全反射法)、KBrペレット法、拡散反射法、光音響法(PAS法)等で測定することができる。
ポリカルボン酸系ポリマーとしては、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー等のカルボキシル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。
また、多価金属化合物としては、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基を架橋可能であれば特に制限されず、例えば、アルカリ土類金属、周期表8族金属、周期表11族金属、周期表12族金属、周期表13族金属等の金属の、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の二価以上の金属、これら金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩若しくは亜硫酸塩等が挙げられる。これらは、少なくとも1種が使用され、1種のみの使用であっても、2種以上を併用してもよい。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩としては、例えば、アクリル酸亜鉛、メタアクリル酸亜鉛、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム等が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜は、他に、バインダー樹脂を含むことができる。上記バインダー樹脂としては、親水性バインダーや疎水性バインダーを用いることができる。親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、アルギン酸ナトリウム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、デンプン、デキストラン、ゼラチン、およびそれらの変性物が挙げられ、これらの群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜は、例えば、溶媒にカルボン酸系樹脂、多価金属化合物およびバインダー樹脂を溶解したバリア層形成用溶液を塗布し、電子線を照射して形成することができる。また、ポリカルボン酸系重合体層と多価金属化合物含有層とを隣接させて積層し、層間反応によりポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜を形成することができる。
なお、ポリカルボン酸系ポリマーおよび多価金属化合物の反応生成物を含むガスバリア膜を有するガスバリアフィルムとしては、例えば凸版印刷株式会社製のベセーラ(登録商標)等が挙げられる。
(v)金属元素と酸素元素と親水基含有樹脂とを含有する混合化合物膜
金属元素と酸素元素と親水基含有樹脂とを含有する混合化合物膜は、一般式R M(OR)(ただし、式中、R1、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシドと、親水基含有樹脂と、を含有し、さらに、ゾルゲル法によって重縮合して得られるゾルゲル化合物を含む膜である。以下、金属元素と酸素元素と親水基含有樹脂とを含有する混合化合物膜のことをゾルゲル化合物膜とする。
ゾルゲル化合物膜は、親水基含有樹脂中の炭素原子(C)と金属アルコキシド中の金属原子(M)との間に、酸素(O)を介した架橋結合C−O−M結合を有することができる。
金属アルコキシドは、一般式R M(OR)で表わされるものであり、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物等であってもよい。Mとしては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等が挙げられる。また、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等を挙げることができる。また、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。なお、同一分子中に複数の(OR)が存在する場合には、(OR)は同一であっても、異なってもよい。
中でも金属アルコキシドは、ケイ素を含むアルコキシシランであることが好ましい。アルコキシシランとしては、テトラメトキシシランSi(OCH)、テトラエトキシシランSi(OC)、テトラプロポキシシランSi(OC)、テトラブトキシシランSi(OC)等が挙げられる。
親水基含有樹脂は、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)、アミノ基(−NH)、カルボニル基(>CO)、スルホ基(−SOH)等の親水基を有する樹脂である。親水基含有樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で用いても良く、併用しても良い。
ゾルゲル化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)と、ポリビニルアルコール(PVA)との重縮合体である、SiとOとPVAとを含有するゾルゲル化合物が挙げられる。
ゾルゲル化合物膜は、例えば、金属アルコキシド、親水基含有樹脂、シランカップリング剤、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒等を混合して調製したバリア層形成用溶液を塗布し、乾燥後加熱処理を行うことで形成することができる。
本開示において説明しないゾルゲル化合物膜のその他詳細については、例えば特許第5568897号公報、特開2017−61956号公報に開示される詳細と同様とすることができる。
(vi)その他
第2ガスバリアフィルムにおけるガスバリア膜の厚みは、外包材全体で所望のガスバリア性能を発揮可能であれば特に限定されず、ガスバリア膜の種類に応じて適宜設定することができる。ガスバリア膜の厚みとしては例えば、5nm以上500nm以下の範囲内とすることができ、中でも10nm以上400nm以下の範囲内とすることができ、特に20nm以上300nm以下の範囲内とすることができる。なお、ガスバリア膜が金属膜または無機化合物膜である場合、ガスバリア膜の厚みの上限はさらに小さくすることができ、例えば金属膜または無機化合物膜の厚みとしては、5nm以上200nm以下の範囲内、中でも10nm以上150nm以下の範囲内とすることができる。
(b)樹脂基材
第2ガスバリアフィルムにおける樹脂基材については、「(1)第1ガスバリアフィルム」の項で説明した樹脂基材と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。中でも、第1ガスバリアフィルムの金属アルミニウム膜と隣接する第2ガスバリアフィルムは、樹脂基材が疎水性樹脂を主成分とすることが好ましい。
(c)オーバーコート層
ガスバリア膜が金属膜または無機化合物膜である場合、第2ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の樹脂基材とは反対側にオーバーコート層を有していてもよい。第2ガスバリアフィルムのガスバリア性能を更に向上させることができるからである。オーバーコート層としては、M−O−P結合を有する層、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む層、金属元素と酸素元素と親水基含有樹脂とを含有する混合化合物層(ゾルゲル化合物層)等が挙げられる。各層の詳細については、「(a)ガスバリア膜」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。オーバーコート層の厚みは、第1ガスバリアフィルムにおけるオーバーコート層の厚みと同様とすることができる。
第2ガスバリアフィルムは、樹脂基材の少なくとも一方の面にガスバリア膜を有していればよく、樹脂基材の厚み方向に位置する両面にそれぞれガスバリア膜を有していてもよい。
2.熱溶着可能なフィルム
熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能であり、外包材の厚み方向(積層方向)において対向する2つの最外面のうち、一方の最外面を担う層である。
また、熱溶着可能なフィルムは、本開示の外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する外包材の端部を接合する部材である。
上記熱溶着可能なフィルムには、加熱によって溶融し、融着可能な材料が用いられる。このような材料としては、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、テトラフルオロエチレン(C24)・エチレン(C24)共重合体(ETFE)樹脂等を主成分とするフィルム等が挙げられる。
上記熱溶着可能なフィルムは、上述した熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムが好ましい。具体的には、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂フィルム、テトラフルオロエチレン(C24)・エチレン(C24)共重合体(ETFE)樹脂フィルム等が挙げられる。主成分とは、熱溶着可能なフィルム中50質量%以上を占める成分をいう。
上記熱溶着可能なフィルムは、設定する融点に応じて上記の樹脂フィルムから適宜選択することができる。例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等の低融点樹脂を主成分とする樹脂フィルムは、汎用性が高く、また、熱溶着可能なフィルムの融点を低く設定することができ比較的低温において熱溶着可能である観点から、好適に用いることができる。また、PP樹脂、EVOH樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ETFE樹脂、PPS樹脂等の融点が145℃以上の樹脂を主成分とする樹脂フィルムは、熱溶着可能なフィルムの融点を145℃以上に設定することが可能であり、熱溶着可能なフィルムの熱劣化を防ぐことができ、より高温環境下での使用に耐え得る真空断熱材を得ることができる観点から、好適に用いることができる。
上記熱溶着可能なフィルムは、上述した樹脂の他に、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記熱溶着可能なフィルムの融点は、材料にもよるが、50℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは145℃以上である。また、上記融点は、300℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下である。熱溶着可能なフィルムの融点を上記範囲内で設定することで、本開示の外包材を用いて製造された真空断熱材の使用環境下において、外包材の封止面の剥離を抑制することができ、高温環境下での使用に耐え得る。また、本開示の外包材を用いて真空断熱材を製造する際に、封止のための加熱によりガスバリアフィルムや熱溶着可能なフィルムの熱劣化を抑制することができる。さらに、熱溶着可能なフィルムは、融点を高くすることで、長期間高温環境において使用される場合であっても膨張または収縮しにくくすることができる。
本開示の外包材における上記熱溶着可能なフィルムの融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記の方法により測定することができる。まず、外包材から熱溶着可能なフィルムを剥離して約10mgの測定試料を得る。この測定試料をアルミニウム製のセルに入れ、示差走査熱量計(NETZSCH社製 DSC204)を用いて、窒素雰囲気下で20℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で10分間保持する。さらに降温速度10℃/分で20℃まで冷却し、その温度で10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで再度昇温する(2度目の昇温)。2度目の昇温の際に観測される融点での接線と、上記融点より低温側のDSC曲線の基線との交点を、熱溶着可能なフィルムの融点とすることができる。
上記熱溶着可能なフィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば15μm以上、100μm以下の範囲内、好ましくは、25μm以上、90μm以下の範囲内、より好ましくは30μm以上、80μm以下の範囲内とすることができる。熱溶着可能なフィルムの厚みを上記の範囲内とすることで、外包材のガスバリア性の低下を抑制し、また、真空断熱材の製造に際し、2枚の外包材を接合する際に、所望の接着力を得ることができる。
3.保護フィルム
本開示の外包材は、保護フィルムを有することができる。保護フィルムは、そのいずれの面にもガスバリア膜またはオーバーコート層が配置されていない点で、上述したガスバリアフィルムと区別することができる。
保護フィルムは、本開示の外包材の厚み方向(積層方向)において、熱溶着可能なフィルムとは反対側の最表面を担う層とすることができ、保護フィルム以外の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができる。
また、保護フィルムを有することで、金属アルミニウム膜と外部の水蒸気との接触および金属アルミニウム膜の水酸化を抑制することができる。
上記保護フィルムとしては、樹脂フィルムを用いることができ、中でも、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)等の熱硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロースナノファイバー(CNF)等の樹脂フィルムが挙げられる。上記保護フィルムは延伸されていてもよく、無延伸であってもよい。中でも比較的吸水性の低い、ポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルムが好ましい。
上記保護フィルムは、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上80μm以下の範囲内とすることができる。
4.接着層
本開示の外包材は、外包材を構成する部材間に接着層を有することができる。外包材を構成する部材間とは、例えば、熱溶着可能なフィルムとガスバリアフィルムとの間、ガスバリアフィルムと、それに隣接する他のガスバリアフィルムとの間、ガスバリアフィルムと保護フィルムとの間等が挙げられる。
上記接着層は、ラミネートに用いられる公知の接着剤を用いて形成することができる。中でも、上記接着層は、疎水性樹脂を主成分として含むことが好ましい。接着層に含まれる樹脂が親水性である場合、接着層が外気中の水蒸気を吸収し易く、金属アルミニウム膜を有するガスバリアフィルムと他の部材とを接着層を介して積層する際に、金属アルミニウム膜が接着層と接することで、接着層に含まれる水分により金属アルミニウム膜の水酸化反応が進行し、膨張しやすくなるからである。接着層の主成分となる疎水性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
接着層を形成する接着剤は、上述した樹脂を含むものであれば良く、例えば、感圧性接着剤、熱可塑性接着剤、硬化性接着剤等が挙げられる。
5.その他
本開示の外包材は、ガスバリアフィルムを1つ以上有すればよく、上述した特性を具備することが可能であれば、ガスバリアフィルムの数は特に限定されず、ガスバリアフィルムの仕様等に応じて適宜設定することができる。ガスバリアフィルムの数としては、1つ以上であればよく、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ以上有することができる。また、本開示の外包材におけるガスバリアフィルムの数の上限は特に限定されないが、例えば8つとすることができる。
本開示の外包材は、ガスバリアフィルムのうち少なくとも1つが、ガスバリア膜が金属アルミニウム膜である第1ガスバリアフィルムであればよく、中でも、第1ガスバリアフィルムの数が、2つ以上であることが好ましく、3つ以上であることがより好ましい。また、本開示の外包材における第1ガスバリアフィルムの数の上限は特に限定されないが、例えば8つとすることができる。
本開示の外包材が、第1ガスバリアフィルムを1つ以上と、第2ガスバリアフィルムを1つ以上とを有する場合、熱溶着可能なフィルムから最も離れた第1ガスバリアフィルムの、上記熱溶着可能なフィルムとは反対側に、少なくとも1つの第2ガスバリアフィルムを有することが好ましい。中でも、熱溶着可能なフィルムから最も離れた第1ガスバリアフィルムの、上記熱溶着可能なフィルムとは反対側に配置される第2ガスバリアフィルムのガスバリア膜が、無機化合物膜、またはM−O−P結合を有する膜であることが好ましい。
本開示の外包材の厚みは、上述した特性を有することが可能であれば特に限定されず、例えば30μm以上200μm以下の範囲内、好ましくは50μm以上150μm以下の範囲内とすることができる。
本開示の外包材の製造方法としては、例えば、予め製造した各フィルムを上述した接着層を介して貼り合せる方法が挙げられる。また、熱溶融させた各フィルムの原材料をTダイ等で順次押出しして積層することで、本開示の外包材を製造してもよい。
本開示の外包材は、真空断熱材に用いることができる。真空断熱材において、本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムが芯材側となるようにして、芯材を介して対向して配置して用いることができる。
II.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
図2は、本開示の真空断熱材の一例を示す概略断面図である。図2に例示する真空断熱材20は、芯材11と、芯材11を封入する外包材10とを有し、外包材10が、図1で説明した真空断熱材用外包材である。真空断熱材20は、2枚の外包材10が、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うように対向し、端部12が熱溶着により接合された袋体となっており、袋体の中に芯材11が封入され、袋体内部が減圧されている。
本開示によれば、芯材を封入する外包材が、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であることで、高温高湿環境下において長期間、良好な断熱性能を維持することができる。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.外包材
本開示における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材と同じであるため、ここでの説明は省略する。
2.芯材
本開示における芯材は、外包材により封入される部材である。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
芯材は、熱伝導率が低いことが好ましい。また、芯材は、空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材とすることができる。
芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。上記粉体は、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の低下が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等を用いることができる。中でも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
上記繊維体は、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
真空断熱材の熱伝導率は低い程好ましく、例えば熱伝導率(初期熱伝導率)が5mW/(mK)以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。中でも上記初期熱伝導率は、4mW/(mK)以下であることがより好ましく、3mW/(mK)以下であることがさらに好ましい。
熱伝導率は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠し、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置は、例えば、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名:HC−074、英弘精機製)を用いることができる。測定は、以下の条件で、測定試料(真空断熱材)の両方の主面が上下方向を向くように配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
4.その他
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることができる。
本開示の真空断熱材は、例えば、熱絶縁を要する物品に用いることができる。上記物品については後述する。
III.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。
本開示によれば、物品に用いられる真空断熱材が「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材により構成されており、上記真空断熱材が高温高湿環境下で長期間、良好な断熱性能を発揮可能であるため、高温高湿環境となる物品や上記物品が用いられる対象物の省エネルギー化を達成することができる。
本開示における真空断熱材、およびそれに用いられる外包材については、上述した「II.真空断熱材」および「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに具体的に説明する。
[材料]
実施例および比較例の真空断熱材用外包材を構成する部材を、以下および表1に示す。また、実施例および比較例で用いた接着剤を下記に示す。
(部材)
・ガスバリアフィルムA:M−O−P結合を有する層を片面に有するPETフィルム(厚み12μm、クラレ社製 クラリスタCF)
・ガスバリアフィルムB:金属アルミニウム(Al)膜が片面に蒸着されたPETフィルム(厚み12μm、東レフィルム加工社製 VM−PET1519)
・ガスバリアフィルムC:金属アルミニウム(Al)膜が片面に蒸着されたPETフィルム(厚み12μm、東レフィルム加工社製 VM−PET1510)
・ガスバリアフィルムD:金属アルミニウム(Al)膜が片面に蒸着されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み15μm、クラレ社製 VMXL)
・ガスバリアフィルムE:金属アルミニウム(Al)膜が片面に蒸着されたEVOHフィルム(厚み12μm、クラレ社製 TMXL)
・ガスバリアフィルムF:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(PET−F、ユニチカ株式会社製)の片面上に、酸化ケイ素(SiO)膜(厚み20nm)を有し、SiO膜上にシリカ(SiO)膜上に、下記方法により形成したオーバーコート層をさらに有するフィルム
・熱溶着可能なフィルムA:未延伸直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(厚み50μm、三井化学東セロ社製 TUX−HCE)
・熱溶着可能なフィルムB:ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム(厚み25μm、ユニチカ社製 P782)
・熱溶着可能なフィルムC:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み50μm、東レフィルム加工社製 CPP-SC)
・保護フィルムA:二軸延伸ナイロンフィルム(厚み25μm、ユニチカ社製 エンブレムONBC)
(ガスバリアフィルムFにおけるオーバーコート層の形成方法)
ガスバリアフィルムFのオーバーコート層は、下記の方法により形成した。まず、表1に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、SiO膜上に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜(厚み200nm)を形成し、55℃で1週間エージングした。これにより、SiO膜上に、金属元素(Si)と酸素元素(O)と親水基含有樹脂(PVA)とを含有するPVA−TEOSゾルゲル化合物層をオーバーコート層として形成した。
(接着剤)
・接着剤A:ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系イソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤を、重量配合比で主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合した2液硬化型接着剤
・接着剤B:ポリエステルポリオールおよびエポキシ樹脂を主成分とする主剤(DICグラフィックス社製 製品名LX−605)、芳香族系イソシアネートを含む硬化剤(DICグラフィックス社製 製品名KW−40)、および酢酸エチルの溶剤を、重量配合比で主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:8となるように混合した2液硬化型接着剤
[実施例1]
(真空断熱材用外包材の作製)
第1部材としてガスバリアフィルムA、第2部材としてガスバリアフィルムB、第3部材としてガスバリアフィルムD、第4部材として熱溶着可能なフィルムAをこの順に有する外包材を得た。ガスバリアフィルムAは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する膜が第2部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムBは、PETフィルムよりも金属Al蒸着膜が第3部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムDは、EVOHフィルムよりも金属Al蒸着膜が第2部材側を向く様に配置した。各部材間は、接着剤Aを一方の部材の被着面に塗布量3.5g/mとなるように塗布して接着層を形成し、接着層上に他方の部材を配置して加圧して接着した。
(真空断熱材の作製)
実施例1で得られた外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作成した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[実施例2]
第1部材としてガスバリアフィルムA、第2部材としてガスバリアフィルムA、第3部材としてガスバリアフィルムE、第4部材として熱溶着可能なフィルムAをこの順に有する外包材を得た。第1部材のガスバリアフィルムAは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する膜が第2部材側を向く様に配置し、第2部材のガスバリアフィルムAは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する膜が第3部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムEは、EVOHフィルムよりも金属Al蒸着膜が第2部材側を向く様に配置した。各部材間は、接着剤Aを用いて実施例1と同様にして接着層を介して貼り合せた。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例3]
第1部材としてガスバリアフィルムF、第2部材としてガスバリアフィルムC、第3部材としてガスバリアフィルムD、第4部材として熱溶着可能なフィルムBをこの順に有する外包材を得た。ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりもSiO蒸着膜が第2部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりも金属Al蒸着膜が第3部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムDは、EVOHフィルムよりも金属Al蒸着膜が第2部材側を向く様に配置した。各部材間は、接着剤Aを用いて実施例1と同様にして接着層を介して貼り合せた。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例4]
第1部材としてガスバリアフィルムB、第2部材としてガスバリアフィルムB、第3部材としてガスバリアフィルムE、第4部材として熱溶着可能なフィルムCをこの順に有する外包材を得た。第1部材のガスバリアフィルムBは、PETフィルムよりも金属Al蒸着膜が第2部材側を向く様に配置し、第2部材のガスバリアフィルムBは、PETフィルムよりも金属Al蒸着膜が第3部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムEは、EVOHフィルムよりも金属Al蒸着膜が第2部材側を向く様に配置した。各部材間は、接着剤Aを用いて実施例1と同様にして接着層を介して貼り合せた。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例1]
第1部材として保護フィルムA、第2部材としてガスバリアフィルムC、第3部材としてガスバリアフィルムD、第4部材として熱溶着可能なフィルムAをこの順に有する外包材を得た。ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりも金属Al蒸着膜が第3部材側を向く様に配置し、ガスバリアフィルムDは、EVOHフィルムよりも金属Al蒸着膜が第2部材側を向く様に配置した。各部材間は、接着剤Aを用いて実施例1と同様にして接着層を介して貼り合せた。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例2]
接着剤Aに代えて接着剤Bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして外包材を得た。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例3]
接着剤Aに代えて接着剤Bを用いたこと以外は、実施例4と同様にして外包材を得た。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[評価]
実施例1〜4、比較例1〜3の層構成を表3に示す。なお、表3中「//」は接着層を介した界面を示す。
1.高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率
実施例1〜4、比較例1〜3で得た各外包材について、「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した方法および条件に従い、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持前の最外金属アルミニウム膜の厚みT、および温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の最外金属アルミニウム膜の厚みTを測定し、得られたT、Tから、高温高湿保持後の最外金属アルミニウム膜の厚み膨張率(%)を算出した。結果を表4に示す。
2.水蒸気透過度
実施例1〜4、比較例1〜3で得た各外包材について、「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した方法および条件に従い、初期水蒸気透過度(A)、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の水蒸気透過度(B)をそれぞれ測定した。また、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持前後の水蒸気透過度の劣化量(B−A)を算出した。結果を表5に示す。
3.酸素透過度
実施例1〜4、比較例1〜3で得た各外包材について、「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した方法および条件に従い、初期酸素透過度(A)、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の酸素透過度(B)をそれぞれ測定した。また、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持前後の酸素透過度の劣化量(B−A)を算出した。結果を表5に示す。
4.含水率
実施例1〜4、比較例1〜3で得た各外包材について、「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した方法および条件に従い含水率を測定した。結果を表5に示す。
5.灰分
実施例1〜4、比較例1〜3で得た各外包材について、「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した方法および条件に従い灰分を測定した。結果を表5に示す。
6.熱伝導率
実施例1〜4、比較例1〜3で得た各真空断熱材について、上記「II.真空断熱材」の項で説明した方法および条件に従い、初期(温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で保持する前)の熱伝導率(A)、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で150時間保持後の熱伝導率(B)、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率(C)をそれぞれ測定した。また、初期熱伝導率に対する温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で150時間保持後の熱伝導率の比(B/A)、初期熱伝導率に対する温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率の比(C/A)を算出した。結果を表6に示す。
[考察]
実施例1〜4の外包材は、最外金属アルミニウム膜の膨張率が所定値以下であったことから、比較例1〜3の外包材と比較して、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の水蒸気透過度の劣化量が小さいことが確認された。湿熱による最外金属アルミニウム膜の劣化が、外包材全体の水蒸気透過度の低下に大きく寄与することが示唆された。
また、実施例1〜4の外包材を用いた真空断熱材は、比較例1〜3の外包材を用いた真空断熱材の場合と比較して、初期の熱伝導率に対する温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で150時間保持後の熱伝導率の比、および初期の熱伝導率に対する温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率の比がそれぞれ小さかった。
これらの結果より、最外金属アルミニウム膜の膨張率が所定値以下である外包材を用いた真空断熱材は、高温高湿環境において所定の期間、断熱性能を維持することが可能であることが確認された。
また、最外金属アルミニウム膜の膨張率が所定値以下であり、灰分が所定値(1.0%)以上であると、初期のガスバリア性能が良好であり、また、高温高湿環境保管後のガスバリア性能の劣化量も少なかった。この結果から、外包材は、最外金属アルミニウム膜の膨張率が所定値以下とし、さらに灰分を所定範囲内にすることで、初期から高いガスバリア性能を示しそれが長期間持続するため、真空断熱材として良好な断熱性能を維持することが示唆された。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2A、2B、2C … ガスバリアフィルム
3A、3B、3C … 樹脂基材
4A、4B、4C … ガスバリア膜
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 …真空断熱材
また、本開示は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品を提供する。

Claims (4)

  1. 熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および前記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を有し、
    少なくとも1つの前記ガスバリア膜が、金属アルミニウム膜である真空断熱材用外包材であって、
    温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた前記金属アルミニウム膜の厚み膨張率が200%以下である、真空断熱材用外包材。
  2. 温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時時間保持後の水蒸気透過度が、0.5g/(m・day)以下である、請求項1に記載の真空断熱材用外包材。
  3. 芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、
    前記外包材が、請求項1または請求項2に記載の真空断熱用外包材である、真空断熱材。
  4. 熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有し、
    前記外包材が、請求項1または請求項2に記載の真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品。
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