JP2018185883A - 全固体リチウム二次電池および該二次電池を備えた二次電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも高温環境で利用可能であり、充放電特性とサイクル特性とが高いレベルでバランスしたバルク型の全固体リチウム二次電池の提供。
【解決手段】正極110と負極130とが固体電解質層120を介して積層されおり、正極110は、正極活物質粒子と第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116とを含み、正極活物質粒子は、複数の一次粒子113が集合した二次粒子114を形成し、第一イオン伝導層115は、正極活物質粒子と第二イオン伝導層116との間でリチウムイオンを媒介する物質であり、第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115と固体電解質層120との間でリチウムイオンを伝導する物質であり、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を積層被覆しており、第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116と固体電解質層120とが互いに異なる物質からなる全固体リチウム二次電池。
【選択図】図1
【解決手段】正極110と負極130とが固体電解質層120を介して積層されおり、正極110は、正極活物質粒子と第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116とを含み、正極活物質粒子は、複数の一次粒子113が集合した二次粒子114を形成し、第一イオン伝導層115は、正極活物質粒子と第二イオン伝導層116との間でリチウムイオンを媒介する物質であり、第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115と固体電解質層120との間でリチウムイオンを伝導する物質であり、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を積層被覆しており、第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116と固体電解質層120とが互いに異なる物質からなる全固体リチウム二次電池。
【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関し、特に、リチウムイオンを伝搬する電解質として固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池、および該二次電池を備えた二次電池システムに関するものである。
リチウムイオン二次電池は、その他の二次電池と比較して高いエネルギー密度を有することから、二次電池の小型・軽量化や大容量・高出力化に有利である。そのため、リチウムイオン二次電池の用途は、小型電子機器(例えば、携帯パソコンや、携帯電話機)に加えて、大型電気機器(例えば、HEV(ハイブリッド自動車)やEV(電気自動車)などの自動車用動力電源や、電力貯蔵用電源)にも拡大してきている。
近年では、大型電気機器に対するリチウムイオン二次電池の利用性拡大の観点から、エンジンルーム内や屋外などの高温環境での設置が検討されており、少なくとも80℃以上の耐熱性を有するリチウムイオン二次電池が求められている。しかしながら、非水電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池は、一般的に非水電解液の耐熱温度が60℃程度と言われている上に、非水電解液を構成する溶媒が引火性を有するため、耐熱性・耐火性の観点で弱点がある。
これに対し、非水電解液の代わりに固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池が、現在、精力的に研究されている。全固体リチウム二次電池は、用いられる固体電解質(例えば、固体高分子電解質、無機電解質)が100℃を超える耐熱温度を有し引火性もないことから、非水電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池よりも高温環境での利用が可能になる利点がある。また、全固体リチウム二次電池は、従来の非水電解液リチウム二次電池よりもエネルギー密度を高めることができるとも言われている。
一方、全固体リチウム二次電池では、リチウムイオン伝導経路としての固体電解質が流動性を有しないことから、二次電池の高出力化のためには、固体電解質自体が高いイオン伝導性を有する必要があると共に、固体電解質と電極活物質との間でリチウムイオンの良好な伝導パスを構築する(イオン伝導の障害を極力低減する)必要がある。ただし、イオン伝導性が高い固体電解質は、電極活物質(特に、正極活物質)と直接接触した状態で充放電を繰り返すと酸化劣化し易いことが知られており、二次電池の長寿命化(例えば、サイクル特性向上)の観点から、固体電解質の劣化防止のための工夫が必要である。
例えば、特許文献1(再公表WO2006/018921)には、正極材と負極材との間に有機電解質を介在させたポリマーリチウム二次電池であって、正極を構成する正極活物質粒子の表面が、該正極活物質より酸素を供給されても容易に酸化することのないイオン伝導性および電子伝導性を有する付着物により少なくともその一部が被覆されている、ことを特徴とするポリマーリチウム二次電池が開示されている。さらに、前記付着物は、イオン伝導性を有する無機固体電解質の微粒子と電子伝導性を有する導電材の微粒子とから構成され、前記無機固体電解質の微粒子は、リチウムを含む、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩等のいずれか、又はこれらの混合物からなる、ことが開示されている。
また、特許文献2(特開2007-059409)には、正極材と負極材との間に高分子固体電解質を介在させた全固体型電池であって、正極を構成する正極活物質粒子の表面の少なくとも一部又は全面に、該正極活物質より酸素を供給されても容易に酸化することのなく、かつ、リチウムを含有する無機酸化物を付着させた、ことを特徴とする全固体型電池が開示されている。さらに、前記無機酸化物は、金属元素および酸素のみから構成され、LiAlO2が好ましい、ことが開示されている。
特許文献1〜2に記載された全固体リチウム二次電池は、高電圧下での高分子固体電解質の酸化分解を抑制してサイクル特性を向上させるとともに、高エネルギー密度化を達成することができるとされている。
特許文献1〜2によると、正極活物質粒子の表面は、イオン伝導性を有する無機固体電解質粒子によって少なくともその一部が被覆されていればよいとされている。これは、該無機固体電解質粒子が、リチウムイオンが高分子固体電解質(有機電解質)に抜け出るためのゲートウェイとなると共に、正極活物質と高分子固体電解質とが直接接触することを妨げ、この部分での高分子固体電解質の酸化分解を抑制できるためとされている。また、該無機固体電解質粒子により被覆されていない正極活物質粒子の表面部分は、リチウムイオンが高分子固体電解質に抜け出るためのゲートウェイとならないため、この部分の正極活物質粒子/高分子固体電解質界面に副生成物が堆積したとしても電池性能を大きく低下させる要因にはならないためとされている。
しかしながら、リチウムイオンのゲートウェイとなる無機固体電解質粒子が、正極活物質粒子表面の一部のみに付着しているということは、リチウムイオンの導通路が少なくかつ狭いことを意味し、正極活物質粒子と高分子固体電解質との間の実効的なイオン伝導抵抗が高くなることにつながると考えられる。また、粒子同士の付着は、原理的に点接触に近いと考えられるため、仮に正極活物質粒子の表面全体を無機固体電解質粒子が覆ったとしても、実効的な接触面積はさほど大きくないと考えられる。そして、それらの結果として、特許文献1〜2に記載の二次電池は、充放電特性(例えば、充放電レート)に制約が生じることが危惧される。
一方、大型電気機器用の二次電池を想定した場合、小型電子機器用の二次電池のような比較的短期間での交換は、経済的観点から許容されるものではない。言い換えると、大型電気機器用の二次電池では、その長寿命化(例えば、サイクル特性向上)は至上命題の内の一つである。
なお、全固体リチウム二次電池はバルク型と薄膜型とに大別できるが、電池容量の観点からは電極活物質の絶対量を多くできるバルク型が有利である。すなわち、大型電気機器用の大容量二次電池を想定した場合、バルク型の全固体リチウム二次電池が対象となる。言い換えると、バルク型の構成であれば電池容量に余裕が取れるので、電気機器の大小(消費電力量の大小)による制約が少なくなり、幅広く適用することが可能となる。
したがって、本発明の目的は、従来の非水電解液リチウム二次電池よりも高温環境で利用可能であり、かつ充放電特性とサイクル特性とが高いレベルでバランスしたバルク型の全固体リチウム二次電池、および該全固体リチウム二次電池を備えた二次電池システムを提供することにある。
(I)本発明の一態様は、正極と負極とが固体電解質層を介して積層された全固体リチウム二次電池であって、
前記正極は、正極活物質粒子と第一イオン伝導層と第二イオン伝導層とを含み、
前記正極活物質粒子は、複数の一次粒子が集合した二次粒子を形成しており、
前記第一イオン伝導層は、前記正極活物質粒子と前記第二イオン伝導層との間でリチウムイオンを媒介する物質であり、前記二次粒子を被覆すると共に該二次粒子を構成する前記一次粒子同士の間隙に充満しており、
前記第二イオン伝導層は、前記第一イオン伝導層と前記固体電解質層との間でリチウムイオンを伝導する物質であり、前記第一イオン伝導層で被覆された前記二次粒子を積層被覆しており、
前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層と前記固体電解質層とが互いに異なる物質からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池を提供する。
前記正極は、正極活物質粒子と第一イオン伝導層と第二イオン伝導層とを含み、
前記正極活物質粒子は、複数の一次粒子が集合した二次粒子を形成しており、
前記第一イオン伝導層は、前記正極活物質粒子と前記第二イオン伝導層との間でリチウムイオンを媒介する物質であり、前記二次粒子を被覆すると共に該二次粒子を構成する前記一次粒子同士の間隙に充満しており、
前記第二イオン伝導層は、前記第一イオン伝導層と前記固体電解質層との間でリチウムイオンを伝導する物質であり、前記第一イオン伝導層で被覆された前記二次粒子を積層被覆しており、
前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層と前記固体電解質層とが互いに異なる物質からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池を提供する。
(II)本発明の他の一態様は、上記の発明に係る全固体リチウム二次電池を備えたことを特徴とする二次電池システムを提供する。
本発明によれば、大容量化が容易なバルク型の全固体リチウム二次電池であって、従来の非水電解液リチウム二次電池よりも高温環境で利用可能であり、かつ充放電特性とサイクル特性とが高いレベルでバランスした全固体リチウム二次電池を提供することができる。また、該全固体リチウム二次電池を用いることによって、従来の非水電解液リチウム二次電池よりも高温環境で利用可能な二次電池システムを提供することができる。
本発明は、前述した発明に係る全固体リチウム二次電池(I)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記第一イオン伝導層の導電率が1×10-6 S/cm以上1×10-3 S/cm以下であり、前記第二イオン伝導層の導電率が1×10-5 S/cm以上1×10-2 S/cm以下であり、前記固体電解質層の導電率が1×10-4 S/cm以上である。
(ii)前記第一イオン伝導層はリチウムを含む酸化物電解質からなり、前記第二イオン伝導層はリチウム塩を含むイオン伝導性ポリマまたはリチウムを含むセラミック電解質からなる。
(iii)前記正極活物質粒子と前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層との合計を100質量部としたときに、前記正極活物質粒子が60質量部以上90質量部以下で含まれる。
(iv)前記正極活物質粒子と前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層との合計を100質量部としたときに、前記第一イオン伝導層が5質量部以上30質量部以下で含まれる。
(v)前記固体電解質層の導電率は、前記第二イオン伝導層の導電率よりも高い。
(vi)前記正極は、導電材を更に含む。
(i)前記第一イオン伝導層の導電率が1×10-6 S/cm以上1×10-3 S/cm以下であり、前記第二イオン伝導層の導電率が1×10-5 S/cm以上1×10-2 S/cm以下であり、前記固体電解質層の導電率が1×10-4 S/cm以上である。
(ii)前記第一イオン伝導層はリチウムを含む酸化物電解質からなり、前記第二イオン伝導層はリチウム塩を含むイオン伝導性ポリマまたはリチウムを含むセラミック電解質からなる。
(iii)前記正極活物質粒子と前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層との合計を100質量部としたときに、前記正極活物質粒子が60質量部以上90質量部以下で含まれる。
(iv)前記正極活物質粒子と前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層との合計を100質量部としたときに、前記第一イオン伝導層が5質量部以上30質量部以下で含まれる。
(v)前記固体電解質層の導電率は、前記第二イオン伝導層の導電率よりも高い。
(vi)前記正極は、導電材を更に含む。
(本発明の基本思想)
前述したように、全固体リチウム二次電池においては、固体電解質層が高いイオン伝導性を有する必要があると共に、固体電解質層と電極活物質粒子との間でリチウムイオンの良好な伝導パスを構築する必要がある。また、イオン伝導性が高い固体電解質層は、電極活物質粒子(特に、正極活物質粒子)と直接接触した状態で充放電を繰り返すと酸化劣化し易いことが知られており、固体電解質層の劣化防止のための工夫が必要である。
前述したように、全固体リチウム二次電池においては、固体電解質層が高いイオン伝導性を有する必要があると共に、固体電解質層と電極活物質粒子との間でリチウムイオンの良好な伝導パスを構築する必要がある。また、イオン伝導性が高い固体電解質層は、電極活物質粒子(特に、正極活物質粒子)と直接接触した状態で充放電を繰り返すと酸化劣化し易いことが知られており、固体電解質層の劣化防止のための工夫が必要である。
固体電解質層の劣化抑制に関しては、特許文献1〜2で教示されているように耐酸化性のイオン伝導物質を電極活物質粒子の表面に形成することは、有効な解の一つと考えられる。ただし、特許文献1〜2で教示されている全固体リチウム二次電池は、充放電特性やサイクル特性において、更なる改善の余地があると考えられた。
そこで、本発明者等は、バルク型の全固体リチウム二次電池における充放電特性やサイクル特性に影響を与える因子について、詳細な調査・検討を行った。その調査・検討の結果、電極活物質粒子は、微細な一次粒子が複数集合した二次粒子を形成し易く、該二次粒子中の一次粒子同士の間には空隙が残存していることが判った。このことから、二次粒子を構成する最外周の一次粒子は、二次電池の充放電に直接的に寄与するが、二次粒子の内部の一次粒子(耐酸化性のイオン伝導物質と接していない一次粒子)は、二次電池の充放電への寄与が小さいため、充放電特性に制約が生じていると考えられた。
また、二次電池の充放電の繰り返し等によって二次粒子が破砕した場合、表面に耐酸化性のイオン伝導物質が形成されていない一次粒子が露出することになる。そして、その新たに露出した一次粒子が固体電解質と接触すると、固体電解質層の酸化劣化(それによるサイクル特性の劣化)の要因になると考えられた。
本発明者等は、上記のような問題点を克服すべく鋭意研究を行った。その結果、第一イオン伝導層で電極活物質の二次粒子を被覆すると共に該二次粒子を構成する一次粒子同士の間隙を充満することによって、全ての一次粒子を二次電池の充放電に直接的に寄与させられることを見出した。また、第一イオン伝導層で被覆された二次粒子を、第一イオン伝導層と異なる物質からなる第二イオン伝導層で積層被覆することによって、充放電の繰り返しによる二次粒子の破砕を抑制できる可能性を見出した。本発明は、当該知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。ただし、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。また、図面において、同義の部材・部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
[全固体リチウム二次電池の単セルの基本構造]
図1は、本発明に係る全固体リチウム二次電池における単セルの基本構造を示す断面模式図および正極の拡大断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る全固体リチウム二次電池の単セル100は、正極110と負極130とが固体電解質層120を介して積層されている。正極110は、正極集電体111と正極合剤層112とからなり、負極130は、負極集電体131と負極合剤層132とからなる。
図1は、本発明に係る全固体リチウム二次電池における単セルの基本構造を示す断面模式図および正極の拡大断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る全固体リチウム二次電池の単セル100は、正極110と負極130とが固体電解質層120を介して積層されている。正極110は、正極集電体111と正極合剤層112とからなり、負極130は、負極集電体131と負極合剤層132とからなる。
各構成材に関して、より具体的に説明する。
(正極集電体)
正極集電体111は、後述するイオン伝導層・固体電解質層を形成する際の熱処理に耐えられる耐熱性を有する低抵抗導電体であれば特段の限定はなく、従前の非水電解液リチウム二次電池における正極集電体と同様のものを用いることができる。例えば、金属箔(厚さ10μm以上100μm以下)、穿孔金属箔(厚さ10μm以上100μm以下、孔径0.1 mm以上10 mm以下)、エキスパンドメタル、発泡金属板、ガラス状炭素板などが挙げられる。また、金属種としては、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、貴金属(例えば、金、銀、白金)などを用いることができる。
正極集電体111は、後述するイオン伝導層・固体電解質層を形成する際の熱処理に耐えられる耐熱性を有する低抵抗導電体であれば特段の限定はなく、従前の非水電解液リチウム二次電池における正極集電体と同様のものを用いることができる。例えば、金属箔(厚さ10μm以上100μm以下)、穿孔金属箔(厚さ10μm以上100μm以下、孔径0.1 mm以上10 mm以下)、エキスパンドメタル、発泡金属板、ガラス状炭素板などが挙げられる。また、金属種としては、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、貴金属(例えば、金、銀、白金)などを用いることができる。
(正極合剤層)
正極合剤層112は、正極活物質粒子(一次粒子113、二次粒子114)と第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116とを含む。また、正極合剤層112の導電性向上を意図して、正極活物質の二次粒子114に付着させるように導電材(図示せず)を添加することは好ましい。
正極合剤層112は、正極活物質粒子(一次粒子113、二次粒子114)と第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116とを含む。また、正極合剤層112の導電性向上を意図して、正極活物質の二次粒子114に付着させるように導電材(図示せず)を添加することは好ましい。
図1に示したように、本発明の全固体リチウム二次電池の単セル100で用いる正極活物質粒子は、複数の一次粒子113が集合した二次粒子114を形成している。第一イオン伝導層115は、二次粒子114を被覆すると共に二次粒子114を構成する一次粒子113同士の間隙に充満しており、正極活物質粒子と第二イオン伝導層116との間でリチウムイオンを媒介する。第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を積層被覆しており、第一イオン伝導層115と固体電解質層120との間でリチウムイオンを媒介する。また、本発明では、第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116と固体電解質層120とが互いに異なる物質からなることが好ましい。
(正極活物質)
正極活物質粒子の材料に特段の限定はなく、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる正極活物質を利用することができる。例えば、遷移金属を含むリチウム複合酸化物が好ましく、具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2、Li4Mn5O12、Li2Mn3MO8(M=Fe,Co,Ni,Cu,Zn)、Li1-xMxMn2O4(M=Mg,B,Al,Fe,Co,Ni,Cr,Zn,Ca、x=0.01〜0.1)、LiMn2-xMxO2(M=Co,Ni,Fe,Cr,Zn,Ta、x=0.01〜0.2)、LiCo1-xMxO2(M=Ni,Fe,Mn、x=0.01〜0.2)、LiNi1-xMxO2(M=Mn,Fe,Co,Al,Ga,Ca,Mg、x=0.01〜0.2)、LiNi1-x-yMnxCoyO2(x=0.1〜0.8、y=0.1〜0.8、x+y=0.1〜0.9)、LiFeO2、LiFePO4、LiMnPO4などが挙げられる。
正極活物質粒子の材料に特段の限定はなく、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる正極活物質を利用することができる。例えば、遷移金属を含むリチウム複合酸化物が好ましく、具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2、Li4Mn5O12、Li2Mn3MO8(M=Fe,Co,Ni,Cu,Zn)、Li1-xMxMn2O4(M=Mg,B,Al,Fe,Co,Ni,Cr,Zn,Ca、x=0.01〜0.1)、LiMn2-xMxO2(M=Co,Ni,Fe,Cr,Zn,Ta、x=0.01〜0.2)、LiCo1-xMxO2(M=Ni,Fe,Mn、x=0.01〜0.2)、LiNi1-xMxO2(M=Mn,Fe,Co,Al,Ga,Ca,Mg、x=0.01〜0.2)、LiNi1-x-yMnxCoyO2(x=0.1〜0.8、y=0.1〜0.8、x+y=0.1〜0.9)、LiFeO2、LiFePO4、LiMnPO4などが挙げられる。
正極活物質粒子(二次粒子114)の粒径は、正極合剤層112の厚さ以下になるように規定される。正極活物質の粉末中に、形成しようとする正極合剤層112の厚さ以上の粒径を有する粗粒がある場合、予めふるい分級、風流分級などにより粗粒を除去し、平均粒径が正極合剤層112の厚さ以下の粒子を選別する。なお、正極活物質粒子の粒径とは、二次粒子114の平均粒径であり、レーザー散乱法を利用した公知の粒径分布測定装置を用いて測定することができる。
(導電材)
導電材としては、導電性繊維(例えば、気相成長炭素、カーボンナノチューブ、ピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して製造した繊維、アクリル繊維から製造した炭素繊維など)が好適に用いられる。また、導電材は、正極活物質よりも電気抵抗率の低い材料であって、正極の充放電電位(通常は2.5〜4.5 Vである)にて酸化溶解しない材料を使用してもよい。例えば、耐食性金属(チタンや金など)、炭化物(SiCやWCなど)、窒化物(Si3N4やBNなど)が挙げられる。高比表面積の炭素材料(例えば、カーボンブラックや活性炭など)も使用できる。
導電材としては、導電性繊維(例えば、気相成長炭素、カーボンナノチューブ、ピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して製造した繊維、アクリル繊維から製造した炭素繊維など)が好適に用いられる。また、導電材は、正極活物質よりも電気抵抗率の低い材料であって、正極の充放電電位(通常は2.5〜4.5 Vである)にて酸化溶解しない材料を使用してもよい。例えば、耐食性金属(チタンや金など)、炭化物(SiCやWCなど)、窒化物(Si3N4やBNなど)が挙げられる。高比表面積の炭素材料(例えば、カーボンブラックや活性炭など)も使用できる。
(第一イオン伝導層)
前述したように、第一イオン伝導層115は、二次粒子114を被覆すると共に二次粒子114を構成する一次粒子113同士の間隙に充満しており、正極活物質粒子と第二イオン伝導層116との間でリチウムイオンを媒介する物質である。第一イオン伝導層115には、正極の充放電電位において、自身が酸化劣化しないことが求められると共に、正極活物質(一次粒子113)に対して化学的に不活性である(例えば、正極活物質と化学反応しない)ことが求められる。
前述したように、第一イオン伝導層115は、二次粒子114を被覆すると共に二次粒子114を構成する一次粒子113同士の間隙に充満しており、正極活物質粒子と第二イオン伝導層116との間でリチウムイオンを媒介する物質である。第一イオン伝導層115には、正極の充放電電位において、自身が酸化劣化しないことが求められると共に、正極活物質(一次粒子113)に対して化学的に不活性である(例えば、正極活物質と化学反応しない)ことが求められる。
第一イオン伝導層115の導電率は、1×10-6〜1×10-3 S/cmの範囲であれば本発明に適用可能であり、導電率の高さよりも正極の充放電電位において酸化分解しないことが優先される。例えば、第一イオン伝道層115の導電率が1〜10-6〜1×10-5 S/cmの範囲の比較的低い値であっても、耐酸化性に優れた材料を選択した方が二次電池の長寿命化に有効である。
第一イオン伝導層115としては、リチウムを含む酸化物電解質を好ましく用いることができる。具体例としては、ペロブスカイト型のLa0.51Li0.34TiO2.94、NASICON型のLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、ガーネット型のLi7La3Zr2O12、アモルファス型のLi2.9PO3.3N0.4やLi3.6Si0.6P0.4O4、ガラス型の50Li4SiO4-50Li3BO3、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO4)3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3、Li3BO3、LiVO3などが挙げられる。
図1に示したように、本発明では、正極活物質の全ての一次粒子113が第一イオン伝導層115と接触していることから、リチウムイオンの移動・出入りが容易になり、全ての一次粒子113を二次電池の充放電に直接的に寄与させることができる。その結果、二次電池の充放電特性を向上させることができる。
なお、第一イオン伝導層115は、正極活物質粒子(一次粒子113および二次粒子114)を被覆するのに必要な最少量であること(正極活物質粒子を過剰に被覆しないこと)が好ましい。第一イオン伝導層115で正極活物質粒子を過剰に被覆しないことにより、充放電(リチウムイオンの吸蔵・放出)に伴う正極活物質粒子の体積変化に起因する応力を第一イオン伝導層115で吸収し易くなり、二次粒子114の破砕を抑制できる作用効果が期待できる。また、二次粒子114の破砕を抑制することで、一次粒子113と第二イオン伝導層116との直接接触を抑制し、第二イオン伝導層116の酸化劣化を抑制できる副次的な作用効果も期待できる。
(第二イオン伝導層)
第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を積層被覆しており、第一イオン伝導層115と固体電解質層120との間でリチウムイオンを媒介する物質である。また、第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115と異なる物質からなり、正極合剤層112の表面平坦性の向上に貢献することが望まれる。
第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を積層被覆しており、第一イオン伝導層115と固体電解質層120との間でリチウムイオンを媒介する物質である。また、第二イオン伝導層116は、第一イオン伝導層115と異なる物質からなり、正極合剤層112の表面平坦性の向上に貢献することが望まれる。
第二イオン伝導層116の導電率は、1×10-5〜1×10-2 S/cmの範囲であれば適用可能である。導電率が1×10-4 S/cm以上の材料を選択することがより好ましく、第一イオン伝導層115よりも高い導電率を有する材料を選択することが更に好ましい。
第二イオン伝導層116としては、例えば、平均分子量5000以上500000以下のイオン伝導性ポリマが好ましく、具体例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアニリン(PAn)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。これらのイオン伝導性ポリマには、リチウム塩(例えば、LiBF4、リチウムトリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI))を添加することが好ましい。
また、第二イオン伝導層116としては、第一イオン伝導層115と異なる電解質でリチウムを含むセラミック電解質を好ましく用いることができ、具体例としては、Li3BO3、Li7La3Zr2O12、Li7P3S11、Li3.25P0.95S4、Li10GeP2S12、Li3.25Ge0.25P0.75S4、30Li2S-26B2S3-44LiI、63Li2S-36SiS2-1Li3PO4、57Li2S-38SiS2-5Li4SiO4、70Li2S-30P2S5、50Li2S-50GeS2などが挙げられる。
第一イオン伝導層115と異なる物質からなる第二イオン伝導層116で二次粒子114を積層被覆することの意義は次のようである。
第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116とを同一物質で形成した場合、第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116との間の界面は同種界面となる。そして、その状態で、充放電(リチウムイオンの吸蔵・放出)に伴う電極活物質の体積変化などに起因してクラックが発生したとすると、該クラックの進展(結果として、二次粒子114の破砕)を抑制する作用効果はほとんど期待できない。
これに対し、第一イオン伝導層115と異なる物質からなる第二イオン伝導層116で二次粒子114を積層被覆すると、第一イオン伝導層115と第二イオン伝導層116との間に異種界面が形成されるため、クラックの進展を抑制して二次粒子114の破砕を抑制できる作用効果が期待できる。さらに、仮に二次粒子114が破砕した場合であっても、一次粒子113と固体電解質120とが直ちに直接接触することを抑制する(固体電解質120の酸化劣化を抑制する)副次的な作用効果も期待できる。これらの結果、二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
また、第一イオン伝導層115で被覆した二次粒子114は基本的に依然として粒子状であるため、第二イオン伝導層116を積層被覆しないで正極合剤層112を形成すると、正極合剤層112の表面は、当該二次粒子114に起因する凹凸が残存し易くなる。その場合、固体電解質層120が流動性を有しないため、正極合剤層112と固体電解質層120との接触面積を十分に確保することが困難になり、二次電池の充放電特性の低下要因となり易い。さらに、正極合剤層112と固体電解質層120との接触が不十分な状態かつ高温環境で二次電池を充放電すると、正極合剤層112と固体電解質層120との接触点に電界集中が生じるため、固体電解質層120の劣化を誘発する可能性がある。
言い換えると、固体電解質層120と正極合剤層112との接触面積を十分に確保し、固体電解質層120の劣化を抑制するためは、正極合剤層112の表面は平坦性が高い方が望ましい。そこで、本発明においては、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を第二イオン伝導層116で積層被覆することにより、二次粒子114に起因する凹凸を埋め込み、正極合剤層112の表面平坦性を向上させるようにしている。それにより、正極合剤層112と固体電解質層120との接触面積を十分に確保できると共に固体電解質層120の劣化を抑制できるという副次的な作用効果を示すと考えられる。
(固体電解質層)
固体電解質層120は、高いイオン伝導性(第一イオン伝導層115および第二イオン伝導層116に比して相対的に高いイオン伝導性)を有する限り、従前の全固体リチウム二次電池の固体電解質を利用することができる。例えば、第二イオン伝導層116と異なる電解質でリチウムを含むセラミック電解質(例えば、Li10GeP2S12、Li7P3S13、70Li2S-30P2S5、La0.1Li0.34TiO2.94、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3など)を好ましく用いることができる。また、第二イオン伝導層116と異なる電解質でリチウム塩(例えば、LiBF4、LiTFSI)を添加した平均分子量5000以上20000以下のイオン伝導性ポリマ(例えば、PEG、PEO、PAn、PVDF)を好ましく用いることができる。
固体電解質層120は、高いイオン伝導性(第一イオン伝導層115および第二イオン伝導層116に比して相対的に高いイオン伝導性)を有する限り、従前の全固体リチウム二次電池の固体電解質を利用することができる。例えば、第二イオン伝導層116と異なる電解質でリチウムを含むセラミック電解質(例えば、Li10GeP2S12、Li7P3S13、70Li2S-30P2S5、La0.1Li0.34TiO2.94、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3など)を好ましく用いることができる。また、第二イオン伝導層116と異なる電解質でリチウム塩(例えば、LiBF4、LiTFSI)を添加した平均分子量5000以上20000以下のイオン伝導性ポリマ(例えば、PEG、PEO、PAn、PVDF)を好ましく用いることができる。
固体電解質層120の導電率は、1×10-4 S/cm以上であれば適用可能であり、第二イオン伝導層116よりも高い導電率を有する材料を選択する。特に、1×10-3 S/cm以上の材料を選択することが好適である。
固体電解質層120の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましい。固体電解質層120の厚さが5μm未満になると、固体電解質層120の機械的強度が不足して正極110と負極130とが短絡し易くなる。一方、固体電解質層120の厚さが200μm超になると、固体電解質層120の電気抵抗が大きくなり過ぎて二次電池の容量が低下する。固体電解質層120の厚さは、10μm以上100μm以下がより好ましく、20μm以上50μm以下が更に好ましい。
(負極集電体)
負極集電体131も、正極集電体111と同様に、イオン伝導層・固体電解質層を形成する際の熱処理に耐えられる耐熱性を有する低抵抗導電体であれば特段の限定はなく、従前の非水電解液リチウム二次電池における負極集電体と同様のものを用いることができる。例えば、金属箔(厚さ10μm以上100μm以下)、穿孔金属箔(厚さ10μm以上100μm以下、孔径0.1 mm以上10 mm以下)、エキスパンドメタル、発泡金属板、ガラス状炭素板などが挙げられる。また、金属種としては、銅、ステンレス鋼、チタン、貴金属(例えば、金、銀、白金)などを用いることができる。
負極集電体131も、正極集電体111と同様に、イオン伝導層・固体電解質層を形成する際の熱処理に耐えられる耐熱性を有する低抵抗導電体であれば特段の限定はなく、従前の非水電解液リチウム二次電池における負極集電体と同様のものを用いることができる。例えば、金属箔(厚さ10μm以上100μm以下)、穿孔金属箔(厚さ10μm以上100μm以下、孔径0.1 mm以上10 mm以下)、エキスパンドメタル、発泡金属板、ガラス状炭素板などが挙げられる。また、金属種としては、銅、ステンレス鋼、チタン、貴金属(例えば、金、銀、白金)などを用いることができる。
(負極合剤層)
負極合剤層132は、少なくとも負極活物質を含み、必要に応じて第三イオン伝導層を更に含む。また、負極合剤層132の導電性向上を意図して、負極活物質に導電材を更に添加・混合してもよい。負極合剤層132に添加・混合する導電材としては、正極合剤層112のそれと同様のものを用いることができる。
負極合剤層132は、少なくとも負極活物質を含み、必要に応じて第三イオン伝導層を更に含む。また、負極合剤層132の導電性向上を意図して、負極活物質に導電材を更に添加・混合してもよい。負極合剤層132に添加・混合する導電材としては、正極合剤層112のそれと同様のものを用いることができる。
(負極活物質)
負極活物質の材料に特段の限定はなく、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる負極活物質を利用することができる。具体的には、炭素系材料(例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素材料、非晶質炭素材料)、導電性高分子材料(例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレン)、リチウム複合酸化物(例えば、チタン酸リチウム:Li4Ti5O12)、金属リチウム、リチウムと合金化する金属(例えば、アルミニウム、シリコン、スズ)を用いることができる。
負極活物質の材料に特段の限定はなく、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる負極活物質を利用することができる。具体的には、炭素系材料(例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素材料、非晶質炭素材料)、導電性高分子材料(例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレン)、リチウム複合酸化物(例えば、チタン酸リチウム:Li4Ti5O12)、金属リチウム、リチウムと合金化する金属(例えば、アルミニウム、シリコン、スズ)を用いることができる。
(第三イオン伝導層)
負極活物質が粒子状である場合、第三イオン伝導層を用いることが好ましい。第三イオン伝導層は、負極活物質の粒子を被覆すると共に該粒子同士の間隙を充満しており、負極活物質と固体電解質層120との間でリチウムイオンを媒介する物質である。第三イオン伝導層には、負極の充放電電位において、自身が還元劣化しないことが求められる。例えば、水素化ホウ素リチウム(LiBH4)やリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)やリン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)等の電解質を保持させたポリエチレンオキシド(PEO)を好ましく用いることができる。
負極活物質が粒子状である場合、第三イオン伝導層を用いることが好ましい。第三イオン伝導層は、負極活物質の粒子を被覆すると共に該粒子同士の間隙を充満しており、負極活物質と固体電解質層120との間でリチウムイオンを媒介する物質である。第三イオン伝導層には、負極の充放電電位において、自身が還元劣化しないことが求められる。例えば、水素化ホウ素リチウム(LiBH4)やリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)やリン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)等の電解質を保持させたポリエチレンオキシド(PEO)を好ましく用いることができる。
なお、負極活物質が粒子状でない場合(例えば、箔状や板状の場合)、第三イオン伝導層を用いなくてもよい。また、負極活物質が箔形状や板形状で負極集電体131と同等の低抵抗導電体からなる場合、該負極活物質で負極集電体131を兼ねてもよい。
(単セルの製造方法)
次に、全固体リチウム二次電池の単セル100の製造方法について、簡単に説明する。
次に、全固体リチウム二次電池の単セル100の製造方法について、簡単に説明する。
正極110は、正極集電体111の片面または両面に正極合剤スラリを塗布・加熱乾燥させた後、プレス機などを用いて圧縮成形して、所定の大きさに切断することで作製される。同様に、負極130は、負極集電体131の片面または両面に負極合剤スラリを塗布・加熱乾燥させた後、プレス機などを用いて圧縮成形して、所定の大きさに切断することで作製される。
正極合剤スラリおよび負極合剤スラリの塗布方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法)を利用することができる。また、塗布から加熱乾燥までを複数回行うことにより、複数の合剤層を集電体に積層することも可能である。
正極合剤スラリおよび負極合剤スラリは、各電極活物質を所定のイオン伝導層で被覆した後、必要に応じて導電材、バインダ、溶媒などを混合して作製される。
第一イオン伝導層115を、正極活物質の二次粒子114の表面および内部の一次粒子113同士の間隙に形成・充満させる方法に特段の限定はなく、結果としてそのような形態なっていればよい。例えば、第一イオン伝導層115を構成する金属元素の塩(例えば、ペロブスカイト型のLa0.51Li0.34TiO2.94の場合には、La、Li、Tiの炭酸塩や水酸化物)の溶液と二次粒子114とをよく混合した後に、熱処理(大気中、または酸素濃度を制御した窒素またはアルゴンの雰囲気中、300℃以上1000℃以下の温度)を施すことにより、第一イオン伝導層115を所望の形態に形成・充満させることができる。
次に、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114を第二イオン伝導層116で更に積層被覆しながら、正極合剤層112を形成する。第二イオン伝導層116で積層被覆する方法に特段の限定はなく、結果としてそのような形態なっていればよい。
例えば、第二イオン伝導層116としてセラミック電解質を用いる場合、先の第一イオン伝導層115と同様の方法で行うことができる。その後、第一イオン伝導層115および第二イオン伝導層116で積層被覆された二次粒子114に対して、導電材、バインダ、溶媒などを混合して正極合剤スラリを作製する。正極合剤スラリの塗布・加熱乾燥によって、所望の正極合剤層112を形成することができる。
別の方法としては、第二イオン伝導層116となるセラミックス電解質の粉末を別途用意し、導電材、バインダ、溶媒などと共に、第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114と混合して正極合剤スラリを作製する。この場合、正極合剤スラリの塗布・加熱乾燥の後に、熱処理(大気中、または酸素濃度を制御した窒素またはアルゴンの雰囲気中、300℃以上1000℃以下の温度)を施すことにより、第二イオン伝導層116を所望の形態に形成しながら、正極合剤層112を形成することができる。
一方、第二イオン伝導層116としてリチウム塩を添加したイオン伝導性ポリマを用いる場合、まず、該リチウム塩と該イオン伝導性ポリマと適当な溶媒(例えば、非水溶媒)と第一イオン伝導層115で被覆された二次粒子114とをよく混合する。その後、導電材やバインダを更に混合して正極合剤スラリを作製する。
この場合、正極合剤スラリの塗布・加熱乾燥によって、第二イオン伝導層116を所望の形態に形成しながら、正極合剤層112を形成することができる。また、二次粒子114同士の間隙にも第二イオン伝導層116を充満させることができる。
正極活物質(二次粒子114)とイオン伝導層(第一イオン伝導層115、第二イオン伝導層116)との混合比率は、両者の合計を100質量部としたときに、二次粒子114を60質量部以上90質量部以下とし、イオン伝導層を残部(すなわち、10質量部以上40質量部以下)とすることが好ましい。二次粒子114の混合比率が60質量部未満では、正極活物質が不足して二次電池のエネルギー密度が低下する。一方、二次粒子114の混合比率が90質量部超では、イオン伝導層が不足して充放電できる最大電流値が低下すると共に、サイクル特性が低下する。
また、第一イオン伝導層115の混合比率は、5質量部以上30質量部以下が好ましい。第一イオン伝導層115の混合比率が5質量部未満では、二次粒子114の内部の一次粒子113同士の間隙を十分充満させることができない。一方、第一イオン伝導層115の混合比率が30質量部超では、第二イオン伝導層116が不足して第二イオン伝導層116で二次粒子114を十分に積層被覆することができない。
前述したように、負極活物質が粒子状である場合、負極活物質粒子を第三イオン伝導層で被覆することが好ましい。第三イオン伝導層を負極活物質粒子の表面に形成させる方法に特段の限定はなく、結果としてそのような形態なっていればよい。
例えば、第三イオン伝導層を構成する電解質とイオン伝導性ポリマと適当な溶媒(例えば、非水溶媒)と負極活物質粒子とをよく混合する。その後、導電材やバインダを更に混合して負極合剤スラリを作製する。負極合剤スラリの塗布・加熱乾燥によって、第三イオン伝導層を所望の形態に形成させることができる。また、負極活物質粒子同士の間隙にも第三イオン伝導層を充満させることができる。
負極活物質粒子と第三イオン伝導層との混合比率は、両者の合計を100質量部としたときに、負極活物質粒子を70質量部以上95質量部以下とし、第三イオン伝導層を残部(すなわち、5質量部以上30質量部以下)とすることが好ましい。負極活物質粒子の混合比率が70質量部未満では、二次電池のエネルギー密度が低下する。一方、負極活物質粒子の混合比率が95質量部超では、第三イオン伝導層が不足して充放電できる最大電流値が低下すると共に、サイクル特性が低下する。
なお、前述したように、負極活物質が粒子状でない場合(例えば、箔状や板状の場合)、第三イオン伝導層を用いなくてもよい。また、負極活物質が箔形状や板形状で負極集電体131と同等の低抵抗導電体からなる場合、該負極活物質で負極集電体131を兼ねてもよい。
電極合剤スラリ(正極合剤スラリ、負極合剤スラリ)に導電材を混合する場合、導電材の混合比率は、電極活物質粒子とイオン伝導層との合計を100質量部としたときに、3質量部以上10質量部以下が好ましい。導電材の混合比率が3質量部未満では、導電材を混合することの作用効果(電極合剤層の導電性向上)がほとんど得られない。導電材の混合比率が10質量部超になると、導電材を混合することの作用効果が飽和することに加えて、電極合剤層中の電極活物質の相対比率が低下することから、二次電池のエネルギー密度が低下する。
固体電解質層120の形成方法に特段の限定はなく、従前の方法を利用できる。例えば、固体電解質層120としてセラミック電解質を用いる場合、該セラミック電解質を合成・粉砕して該セラミック電解質の粉末を用意した後、バインダ、溶媒などと混合して固体電解質スラリを作製する。固体電解質スラリの塗布・加熱乾燥によって、所望の固体電解質層120を形成することができる。
また、固体電解質層120としてリチウム塩を添加したイオン伝導性ポリマを用いる場合、第二イオン伝導層116における形成方法と同様にして、所望の固体電解質層120を形成することができる。
[全固体リチウム二次電池の全体構成]
全固体リチウム二次電池の全体構成について説明する。図2は、本発明に係る全固体リチウム二次電池の一例を示す断面模式図である。図2に示した全固体リチウム二次電池200は、短冊状の単セル100が固体電解質層120を介して積層されて電極群210を形成している。固体電解質層120は、自身に流動性がないことから、全固体リチウム二次電池において正極110と負極130との短絡を防ぐセパレータの役割を兼ねることができる。言い換えると、全固体リチウム二次電池200では、従前の非水電解液リチウム二次電池で用いられるような別体のセパレータを必要としない。
全固体リチウム二次電池の全体構成について説明する。図2は、本発明に係る全固体リチウム二次電池の一例を示す断面模式図である。図2に示した全固体リチウム二次電池200は、短冊状の単セル100が固体電解質層120を介して積層されて電極群210を形成している。固体電解質層120は、自身に流動性がないことから、全固体リチウム二次電池において正極110と負極130との短絡を防ぐセパレータの役割を兼ねることができる。言い換えると、全固体リチウム二次電池200では、従前の非水電解液リチウム二次電池で用いられるような別体のセパレータを必要としない。
なお、電極群210の構造は、短冊状の単セル100を積層したものに限定されるものではなく、長尺の単セル100を捲回したもの(例えば、円柱状、扁平長円柱状)であってもよい。
電極群210は、少なくとも内面が電気絶縁された電池容器220に収容されており、収容された電極群210が電池容器220と電気的に接触しないようになっている。電池容器220の形状は、通常、電極群210の形状に合わせた形状(例えば、角筒状、円筒状、扁平長円筒状)が選択される。電池容器220の材料は、機械的強度・耐食性のある材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミラミネートフィルム、エンジニアリングプラスチック)から選択される。
電極群210中の電解質の酸化劣化を抑制するため、大気中の酸素が電池内部に侵入しないように、電池容器220は蓋221で密封される。電池容器220への蓋221の取り付けに特段の限定はなく、従前の方法(例えば、溶接、かしめ、接着)を採用することができる。
正極110は、正極リード211を介して正極外部端子213に接続されており、負極130は、負極リード212を介して負極外部端子214に接続されている。外部端子213,214は、電池容器220および蓋221を介して短絡しないように、電気絶縁シール222で電池容器220および蓋221に対して電気絶縁されている。リード211、212は、任意の形状(例えば、ワイヤ状、箔状、板状)を採ることができ、電気的損失が小さくかつ化学的安定性を確保できるような構造・材質が選定される。電気絶縁シール222は、電気絶縁性および気密性に優れた材料(例えば、フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、ガラスハーメチックシール)から選択される。
正極リード211または負極リード212の途中、あるいは正極リード211と正極外部端子213との接続部や、負極リード212と負極外部端子214との接続部に、正温度係数抵抗素子を利用した電流遮断機構(図示せず)を設けることは好ましい。電流遮断機構を設けると、電池内部の温度が高くなったときに、全固体リチウム二次電池200の充放電を停止させ、電池を保護することが可能となる。
以上のような構成により、3 V以上の高い電圧で充放電が可能な全固体リチウム二次電池を提供することができる。
[二次電池システム]
全固体リチウム二次電池を備えた二次電池システムの構成について説明する。本発明に係る二次電池システムとは、少なくとも2個以上の全固体リチウム二次電池を直列あるいは並列に接続し、かつ充放電制御機構を有するシステムと定義する。図3は、本発明に係る二次電池システムの構成例を示す模式図である。
全固体リチウム二次電池を備えた二次電池システムの構成について説明する。本発明に係る二次電池システムとは、少なくとも2個以上の全固体リチウム二次電池を直列あるいは並列に接続し、かつ充放電制御機構を有するシステムと定義する。図3は、本発明に係る二次電池システムの構成例を示す模式図である。
図3に示した二次電池システム300では、2個の全固体リチウム二次電池200A,200Bが直列に接続されている。図3の紙面右側に配置した全固体リチウム二次電池200Aの負極外部端子215は、電力ケーブル311により充放電制御機構320の負極入力ターミナルに接続されている。紙面左側に配置した全固体リチウム二次電池200Bの負極外部端子215は、電力ケーブル312により全固体リチウム二次電池200Aの正極外部端子214に接続されている。さらに、全固体リチウム二次電池200Bの正極外部端子214は、電力ケーブル313により充放電制御機構320の正極入力ターミナルに接続されている。このような配線構成によって、2個の全固体リチウム二次電池200A,200Bを充放電制御機構320で制御しながら充電または放電させることができる。
充放電制御機構320は、電力ケーブル314,315を介して、外部機器330との間で電力の授受を行う。外部機器330は、外部負荷の他、充放電制御機構320に給電するための外部電源や回生モータ等の各種電気機器を含む。また、外部機器が対応する交流、直流の種類に応じて、インバータやコンバータを設けることができる。
発電装置340は、電力ケーブル316,317を介して充放電制御機構320に接続される。発電装置340としては、再生可能エネルギーを生み出す発電装置(例えば、風力発電装置、地熱発電装置、太陽電池)や、通常の発電装置(例えば、燃料電池、ガスタービン発電機など)を用いることができる。
発電装置340が発電しているときには、充放電制御機構320が充電モードに移行し、外部機器330に給電するとともに、余剰電力を全固体リチウム二次電池200A,200Bに充電する。発電装置340の発電量が外部機器330の要求電力よりも少ないときには、全固体リチウム二次電池200A,200Bから電力供給させるように充放電制御機構320が放電モードに移行する。
充放電制御機構320は、そのような充放電のモード移行が自動的に行われるようにプログラムが記憶されていることが好ましい。また、充放電制御機構320は、全固体リチウム二次電池200A,200Bの充放電範囲を10%以上90%以下の範囲に制御するようにプログラムが記憶されていることが好ましい。これにより、二次電池システム300の耐久性を高めることができる。
本発明に係る二次電池システム300は、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動式建設機械、運搬機器、建設機械、介護機器、軽車両、電動工具、ロボット、家庭用蓄電システム、離島の電力貯蔵システム、宇宙ステーションなどの電源として利用することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[全固体リチウム二次電池の作製と評価]
正極活物質、第一イオン伝導層、第二イオン伝導層、固体電解質層、および負極活物質の組み合わせが後述する表1に示した組み合わせになるようにして、実施例1〜7および比較例1〜3の電極群を作製し、全固体リチウム二次電池を組み立て、作製した全固体リチウム二次電池の電池特性を評価した。
正極活物質、第一イオン伝導層、第二イオン伝導層、固体電解質層、および負極活物質の組み合わせが後述する表1に示した組み合わせになるようにして、実施例1〜7および比較例1〜3の電極群を作製し、全固体リチウム二次電池を組み立て、作製した全固体リチウム二次電池の電池特性を評価した。
本発明に係る実施例1〜7は、正極活物質粒子上に形成するイオン伝導層を二層構造とし、正極活物質粒子と第一イオン伝導層と第二イオン伝導層との混合比率を「60質量部:10質量部:30質量部」とした。一方、本発明の規定から外れる比較例1〜3では、正極活物質粒子上に形成するイオン伝導層を単層構造とし、正極活物質とイオン伝導層との混合比率を「60質量部:40質量部」とした。
(全固体リチウム二次電池の作製)
(1)実施例1〜7の正極の作製
正極活物質粒子として、LiCoO2(二次粒子の平均粒径5μm)、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(二次粒子の平均粒径5μm)、およびLiFePO4(二次粒子の平均粒径7μm)を用いた。なお、LiFePO4は、二次粒子の表面に炭素層を担持させたものを用意した。
(1)実施例1〜7の正極の作製
正極活物質粒子として、LiCoO2(二次粒子の平均粒径5μm)、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(二次粒子の平均粒径5μm)、およびLiFePO4(二次粒子の平均粒径7μm)を用いた。なお、LiFePO4は、二次粒子の表面に炭素層を担持させたものを用意した。
第一イオン伝導層としては、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、La0.51Li0.34TiO2.94、Li2.9PO3.3N0.4、50Li4SiO4-50Li3BO3、およびLiVO3を用いた。各第一イオン伝導層の25℃における導電率(単位:S/cm)を表1中に併記した。
また、第二イオン伝導層としては、リチウムトリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI)を添加したポリエチレンオキシド(PEO)、およびLi7La3Zr2O12を用いた。各第二イオン伝導層の25℃における導電率(単位:S/cm)を表1中に併記した。
正極活物質粒子への第一イオン伝導層の形成・充満は、第一イオン伝導層を構成する金属元素のリン酸塩溶液と正極活物質粒子とをよく混合した後、熱処理(大気中、650℃)を施すことにより行った。
第二イオン伝導層としてLiTFSIを添加したPEOを用いた試料(実施例1〜3)においては、プロパノールを溶媒としてLiTFSIとPEO(平均分子量20000)とを溶解した溶液を用意し、第一イオン伝導層を形成した正極活物質粒子とよく混合して実施例1〜3の正極合剤スラリを調合した。
次に、これら実施例1〜3の正極合剤スラリを、正極集電体(厚さ20μmの金箔)の両面にドクターブレード法を用いて塗布し、加熱乾燥(大気中、150℃)させて、正極合剤層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形し、所定の大きさに切断して実施例1〜3の正極を作製した。
一方、第二イオン伝導層としてLi7La3Zr2O12を用いた試料(実施例4〜7)においては、第一イオン伝導層を形成した正極活物質粒子とLi7La3Zr2O12粉末(平均粒径300 nm)とよく混合した後、エチルセルロース(バインダ)とブチルカルビトールアセテート(溶媒)とを更に添加・混合して、実施例4〜7の正極合剤スラリを調合した。
次に、これら実施例4〜7の正極合剤スラリを、正極集電体(厚さ20μmの金箔)の両面にドクターブレード法を用いて塗布し、加熱乾燥(大気中、150℃)の後、熱処理(アルゴン雰囲気中、700℃)を施して、正極合剤層を形成した。その後、所定の大きさに切断して実施例4〜7の正極を作製した。
(2)比較例1〜3の正極の作製
比較例1〜3の正極活物質としては、実施例4と同じLiCoO2(二次粒子の平均粒径5μm)を用いた。
比較例1〜3の正極活物質としては、実施例4と同じLiCoO2(二次粒子の平均粒径5μm)を用いた。
比較例1のイオン伝導層は、実施例4において第一イオン伝導層として用いたLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3のみとした。正極活物質粒子への該イオン伝導層の形成は、実施例4と同様に、イオン伝導層を構成する金属元素のリン酸塩溶液と正極活物質粒子とをよく混合した後、熱処理(大気中、650℃)を施すことにより行った。その後、イオン伝導層を形成した正極活物質粒子に、エチルセルロース(バインダ)とブチルカルビトールアセテート(溶媒)とを添加・混合して、比較例1の正極合剤スラリを調合した。
次に、比較例1の正極合剤スラリを、実施例1と同様に、正極集電体(厚さ20μmの金箔)の両面にドクターブレード法を用いて塗布し、加熱乾燥(大気中、150℃)させて、正極合剤層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形し、所定の大きさに切断して比較例1の正極を作製した。比較例1の正極は、実施例4の正極に対して第二イオン伝導層がない例と言える。
比較例2のイオン伝導層は、実施例4において第二イオン伝導層として用いたLi7La3Zr2O12のみとした。Li7La3Zr2O12粉末(平均粒径300 nm)と正極活物質粒子とよく混合した後、エチルセルロース(バインダ)とブチルカルビトールアセテート(溶媒)とを更に添加・混合して、比較例2の正極合剤スラリを調合した。
比較例3のイオン伝導層は、比較例1のイオン伝導層物質(Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3)と比較例2のイオン伝導層物質(Li7La3Zr2O12)とを混合したものを用いた。ここで、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3は、ゾルゲル法を用いて該物質のバルクを作製し、得られたバルクを粉砕することにより平均粒径300 nmの粉末として用意した。正極活物質粒子とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3粉末とLi7La3Zr2O12粉末との混合比率を「60質量部:10質量部:30質量部」として、それらをよく混合した後、エチルセルロース(バインダ)とブチルカルビトールアセテート(溶媒)とを更に添加・混合して、比較例3の正極合剤スラリを調合した。
次に、これら比較例2〜3の正極合剤スラリを、実施例4〜7と同様に、正極集電体(厚さ20μmの金箔)の両面にドクターブレード法を用いて塗布し、加熱乾燥(大気中、150℃)の後、熱処理(アルゴン雰囲気中、700℃)を施して、正極合剤層を形成した。その後、所定の大きさに切断して比較例2〜3の正極を作製した。比較例2の正極は、実施例4の正極に対して第一イオン伝導層がない例と言える。また、比較例3の正極は、実施例4の正極に対して第一イオン伝導層と第二イオン伝導層とが積層構造になっていない例と言える。
(3)負極の作製
負極活物質と負極集電体とを兼ねるかたちで金属リチウム箔(厚さ0.3 mm)を用い、所定の大きさに切断して全固体リチウム二次電池用の負極を作製した。
負極活物質と負極集電体とを兼ねるかたちで金属リチウム箔(厚さ0.3 mm)を用い、所定の大きさに切断して全固体リチウム二次電池用の負極を作製した。
(4)電極群の作製
固体電解質層としてはLi1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3を用いた。まず、原料となるLi3PO4、AlPO4、TiPO4を所定量混合し、1000〜1500℃の高温で溶融させた後、急冷することにより、ガラス状のLi1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3バルクを得た。次に、該バルクを粉砕して、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3粉末(平均粒径300 nm)を用意した。その後、エチルセルロース(バインダ)とブチルカルビトールアセテート(溶媒)とを添加・混合して固体電解質スラリを調合した。
固体電解質層としてはLi1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3を用いた。まず、原料となるLi3PO4、AlPO4、TiPO4を所定量混合し、1000〜1500℃の高温で溶融させた後、急冷することにより、ガラス状のLi1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3バルクを得た。次に、該バルクを粉砕して、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3粉末(平均粒径300 nm)を用意した。その後、エチルセルロース(バインダ)とブチルカルビトールアセテート(溶媒)とを添加・混合して固体電解質スラリを調合した。
該固体電解質スラリを、先に用意した正極および負極の両面にドクターブレード法を用いて塗布し、溶媒を揮発させて固体電解質層を形成した。次に、該固体電解質層を介して正極と負極とを交互に積層し、該積層体を加熱乾燥(大気中、150℃)した後、プレス機により圧縮成形して実施例1〜7および比較例1〜3の電極群を作製した。圧縮成形時に全体を100℃に加熱して、各電極と固体電解質層とを密着させた。なお、固体電解質層の25℃における導電率(単位:S/cm)を表1中に併記した。
(4)全固体リチウム二次電池の組立
上記の電極群を用いて、実施例1〜7および比較例1〜3の全固体リチウム二次電池(図2参照)を組み立てた。作製した全固体リチウム二次電池は、100 mm×70 mm×20 mmの外形寸法を有し、5 Ahの定格容量となるように設計した。
上記の電極群を用いて、実施例1〜7および比較例1〜3の全固体リチウム二次電池(図2参照)を組み立てた。作製した全固体リチウム二次電池は、100 mm×70 mm×20 mmの外形寸法を有し、5 Ahの定格容量となるように設計した。
(試験評価)
(a)低速充放電試験(0.5Cレート初期容量評価)
上記で用意した全固体リチウム二次電池について、以下の低速充放電試験を実施し、初期容量を評価した。
(a)低速充放電試験(0.5Cレート初期容量評価)
上記で用意した全固体リチウム二次電池について、以下の低速充放電試験を実施し、初期容量を評価した。
正極活物質としてLiCoO2またはLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を用いた二次電池(実施例1,2,4,5,7および比較例1〜3)に対しては、まず、当該二次電池を120℃の環境に設置して温度を安定させた。次に、開回路の状態から電池電圧が4.2 Vになるまで、2時間率(0.5Cレート)相当の定電流(2.5A)にて充電した。電池電圧が4.2 Vに達した後は、電流値が100時間率相当になるまで4.2 Vを保持した。その後、充電を停止し、30分間の休止時間を設けた。次いで、2時間率(0.5Cレート)相当の定電流の放電を開始し、電池電圧が3.0 Vに達するまで放電させた。その後、放電を停止し、30分の休止時間を設けた。ここまでの工程を初期エージングと称す。この初期エージングを3回繰り返した後に得られた放電容量を当該二次電池の0.5Cレート初期容量とした。
二次電池正極活物質としてLiFePO4を用いた二次電池(実施例3,6)に対しては、初期エージングの充放電電圧を4.0〜2.0 Vの範囲で行った他は、上記と同様にして0.5Cレート初期容量を測定した。
なお、充放電の時間率(Cレート)とは、二次電池の設計容量を所定の時間で充放電する電流値を意味する。例えば、1時間率(1Cレート)とは、二次電池の設計容量を1時間で充放電する電流値である。具体的には、電池の設計容量をC(単位:Ah)とすると、2時間率(0.5Cレート)の電流値はC/2(単位:A)となる。
実施例1〜7および比較例1〜3の二次電池をそれぞれ5個作製し、上述した試験を同様に実施して、0.5Cレート初期容量の平均値を算出した。定格容量に対して、95%以上の0.5Cレート初期容量を「合格」と評価し、95%未満の0.5Cレート初期容量を「不合格」と評価した。結果を後述する表2に示す。
(b)高速充放電試験(1Cレート初期容量評価)
上記の低速充放電試験を行った後、十分な休止時間を置いた。その後、各二次電池を85℃の環境に設置して温度を安定させた。次に、充放電電圧の条件を低速充放電試験と同じにし、充放電の時間率(Cレート)を1時間率(1Cレート)とした条件で1Cレート初期容量を測定した。
上記の低速充放電試験を行った後、十分な休止時間を置いた。その後、各二次電池を85℃の環境に設置して温度を安定させた。次に、充放電電圧の条件を低速充放電試験と同じにし、充放電の時間率(Cレート)を1時間率(1Cレート)とした条件で1Cレート初期容量を測定した。
上記と同じく5個の平均値を算出した。定格容量に対して、90%以上の1Cレート初期容量を「合格」と評価し、90%未満の0.5Cレート初期容量を「不合格」と評価した。結果を表2に併記した。
(c)サイクル試験(サイクル特性評価)
上記の高速充放電試験を行った後、十分な休止時間を置いた。その後、各二次電池を120℃の環境に設置して温度を安定させた。次に、先の低速充放電試験と同じ条件で充放電を20サイクル繰り返した後の0.5Cレート容量を測定した。
上記の高速充放電試験を行った後、十分な休止時間を置いた。その後、各二次電池を120℃の環境に設置して温度を安定させた。次に、先の低速充放電試験と同じ条件で充放電を20サイクル繰り返した後の0.5Cレート容量を測定した。
上記と同じく5個の平均値を算出した。0.5Cレート初期容量に対して、-5%以内の0.5Cレート容量を「合格」と評価し、-5%超の0.5Cレート容量を「不合格」と評価した。結果を表2に併記した。
表1〜2に示したように、本発明の規定から外れる比較例1〜3は、0.5Cレート初期容量、1Cレート初期容量、および20サイクル後0.5Cレート容量の全ての試験評価において不合格であった。個別に見てみると、第二イオン伝導層を有しない比較例1は、正極合剤層と固体電解質層との接触が不十分な状態である可能性が高く、かつ高温環境下での充放電によって固体電解質層の劣化を誘発したと考えられる。その結果、特に1Cレート初期容量や20サイクル後0.5Cレート容量が大きく低下したものと考えられた。
第一イオン伝導層を有しない比較例2は、正極活物質二次粒子を構成する一次粒子同士の間隙がイオン伝導層で充満されていないことから、特に0.5Cレート初期容量が大きく低下したものと考えられた。また、第二イオン伝導層が正極活物質粒子と直接接触することから、第一イオン伝導層よりも耐酸化性が低い第二イオン伝導層が高温環境下の充放電によって酸化劣化したと考えられた。
第一イオン伝導層と第二イオン伝導層とが積層構造になっていない比較例3は、第二イオン伝導層が正極活物質粒子と直接接触し、かつ正極活物質二次粒子を構成する一次粒子同士の間隙がイオン伝導層で充満されていないことから、比較例1〜2の弱点を兼ね備えたような結果になったと考えられた。
これら比較例1〜3に対し、実施例1〜7の二次電池は、0.5Cレート初期容量、1Cレート初期容量、および20サイクル後0.5Cレート容量の全ての試験評価において合格であった。すなわち、本発明に係る二次電池は、従来の非水電解液リチウム二次電池よりも高温環境で利用可能であり、かつ充放電特性とサイクル特性とが高いレベルでバランスしたバルク型の全固体リチウム二次電池であることが実証された。
上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
100…単セル、110…正極、111…正極集電体、112…正極合剤層、
113…一次粒子、114…二次粒子、115…第一イオン伝導層、116…第二イオン伝導層、
120…固体電解質層、
130…負極、131…負極集電体、132…負極合剤層、
200,200A,200B…全固体リチウム二次電池、210…電極群、
211…正極リード、212…負極リード、213…正極外部端子、214…負極外部端子、
220…電池容器、221…蓋、222…電気絶縁シール、
300…二次電池システム、311,312,313,314,315,316,317…電力ケーブル、
320…充放電制御機構、330…外部機器、340…発電装置。
113…一次粒子、114…二次粒子、115…第一イオン伝導層、116…第二イオン伝導層、
120…固体電解質層、
130…負極、131…負極集電体、132…負極合剤層、
200,200A,200B…全固体リチウム二次電池、210…電極群、
211…正極リード、212…負極リード、213…正極外部端子、214…負極外部端子、
220…電池容器、221…蓋、222…電気絶縁シール、
300…二次電池システム、311,312,313,314,315,316,317…電力ケーブル、
320…充放電制御機構、330…外部機器、340…発電装置。
Claims (8)
- 正極と負極とが固体電解質層を介して積層された全固体リチウム二次電池であって、
前記正極は、正極活物質粒子と第一イオン伝導層と第二イオン伝導層とを含み、
前記正極活物質粒子は、複数の一次粒子が集合した二次粒子を形成しており、
前記第一イオン伝導層は、前記正極活物質粒子と前記第二イオン伝導層との間でリチウムイオンを媒介する物質であり、前記二次粒子を被覆すると共に該二次粒子を構成する前記一次粒子同士の間隙に充満しており、
前記第二イオン伝導層は、前記第一イオン伝導層と前記固体電解質層との間でリチウムイオンを伝導する物質であり、前記第一イオン伝導層で被覆された前記二次粒子を積層被覆しており、
前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層と前記固体電解質層とが互いに異なる物質からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池において、
前記第一イオン伝導層の導電率が1×10-6 S/cm以上1×10-3 S/cm以下であり、
前記第二イオン伝導層の導電率が1×10-5 S/cm以上1×10-2 S/cm以下であり、
前記固体電解質層の導電率が1×10-4 S/cm以上であることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項1又は請求項2に記載の全固体リチウム二次電池において、
前記第一イオン伝導層は、リチウムを含む酸化物電解質からなり、
前記第二イオン伝導層は、リチウム塩を含むイオン伝導性ポリマまたはリチウムを含むセラミック電解質からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、
前記正極活物質粒子と前記第一イオン伝導層と前記第二イオン伝導層との合計を100質量部としたときに、前記正極活物質粒子が60質量部以上90質量部以下で含まれることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項4に記載の全固体リチウム二次電池において、
前記第一イオン伝導層が5質量部以上30質量部以下で含まれることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、
前記固体電解質層の導電率は、前記第二イオン伝導層の導電率よりも高いことを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、
前記正極は、導電材を更に含むことを特徴とする全固体リチウム二次電池。 - 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池を備えたことを特徴とする二次電池システム。
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