JP2015109214A - 集電体およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】釘刺し試験に耐え得る集電体、当該集電体を含む正極、および、当該正極を含むリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】アルミニウム製の集電体基材上にコート層を設け、このコート層がスズ酸化物と、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物と、を含むようにし、少なくともスズ酸化物の一部が集電体の表面を構成するようにする。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム製の集電体基材上にコート層を設け、このコート層がスズ酸化物と、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物と、を含むようにし、少なくともスズ酸化物の一部が集電体の表面を構成するようにする。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電装置に用いられる集電体、および該集電体を正極に含むリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池用の正極は、集電体と、当該集電体上に設けられている正極活物質とで構成されるのが一般的である。近年、リチウムイオン二次電池には高電位かつ高放電容量であることが要求されている。しかし、高電位かつ高放電容量のリチウムイオン二次電池に例えば短絡が生じると、リチウムイオン二次電池が高温になる等の不具合が生じる可能性がある。このような事情に鑑み、安全対策として、短絡を抑制し得る技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に紹介されている技術においては、集電体上に絶縁コート層を設けている。そして当該絶縁コート層は、短絡電流未満の過電流が流れると溶断する。絶縁コート層が溶断することにより、電流が遮断され、短絡の発生が抑制されると考えられる。
ところで、安全性の確認試験として、例えば釘刺し試験のように応答速度の短い試験を適用する場合には、試験により短絡の生じる速度の方が、上記した電流路の溶断速度よりも速い。そして、その結果、電池の過加熱が生じる可能性がある。より安全性に優れるリチウムイオン二次電池を提供するためには、リチウムイオン二次電池を釘刺し試験のように試験条件の厳しい確認試験に耐え得る構成にするのが良いと考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、釘刺し試験に耐え得る集電体、当該集電体を含む正極、および、当該正極を含むリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
ところで、集電体基材としては、入手が容易でありかつ導電性に優れるアルミニウムを用いるのが良いと考えられる。しかしアルミニウム製の集電体基材は、特に釘刺し試験時に、酸素供給源となる正極活物質と接触し反応する可能性がある。
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、集電体基材、つまり、アルミニウム上に特定のコート層を形成することで、アルミニウム製の集電体基材を用いるにもかかわらず釘刺し試験に耐え得る集電体、正極、およびリチウムイオン二次電池を提供し得ることを見出した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の第1の集電体は、アルミニウム製の集電体基材と、前記集電体基材上に設けられているコート層と、を有し、
前記コート層は、スズ酸化物と、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物と、を含み、
前記集電体の表面の少なくとも一部は前記スズ酸化物で構成されているものである。
前記コート層は、スズ酸化物と、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物と、を含み、
前記集電体の表面の少なくとも一部は前記スズ酸化物で構成されているものである。
また、上記課題を解決する本発明の第2の集電体は、アルミニウム製の集電体基材と、前記集電体基材上に設けられているコート層と、を有し、
前記コート層は、水系溶媒および前記水系溶媒に分散しているスズ酸化物を含むコート材が前記集電体基材上に塗布および加熱乾燥されてなり、
前記集電体の表面の少なくとも一部は前記スズ酸化物で構成されているものである。
前記コート層は、水系溶媒および前記水系溶媒に分散しているスズ酸化物を含むコート材が前記集電体基材上に塗布および加熱乾燥されてなり、
前記集電体の表面の少なくとも一部は前記スズ酸化物で構成されているものである。
さらに、上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した本発明の集電体の何れかと、
前記集電体の前記表面上に設けられている正極活物質層と、を有し、
前記正極活物質層はリチウム酸化物を含む正極を有するものである。
前記集電体の前記表面上に設けられている正極活物質層と、を有し、
前記正極活物質層はリチウム酸化物を含む正極を有するものである。
本発明の集電体、およびリチウムイオン二次電池はアルミニウム製の集電体基材を用いるにもかかわらず、釘刺し試験に耐え得る。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限aおよび上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
<集電体>
本発明の集電体は、集電体基材と、コート層とを備える。
本発明の集電体は、集電体基材と、コート層とを備える。
集電体基材は、リチウムイオン二次電池等の蓄電装置の放電または充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体であり、本発明においてはアルミニウム製である。集電体の形状は特に限定されず、板状、シート状、箔状、メッシュ状等如何なる形状であっても良い。
集電体は、純アルミニウム製であっても良いし、または、アルミニウム合金製であっても良い。なお、本明細書においては、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。また、種々の元素を純アルミニウムに添加して合金化したものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、AL−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系の合金が挙げられる。また、これらの合金の2種以上を混合しおよび/または積層して用いても良い。さらに、アルミニウム合金としては、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
このような化学組成を有するアルミニウム材料は集電体基材用のアルミニウム材料として好適に用いられる。集電体基材は、厚さ10μm〜100μmのアルミニウム箔からなることが好ましく、当該集電体基材の厚さは12μm〜20μmであることがさらに好ましい。この範囲の厚さを有するアルミニウム箔は集電体基材として好適である。
本発明の集電体においては、上記した集電体基材上にコート層が設けられている。コート層は、集電体基材の表面にのみ存在しても良いが、コート層の一部が集電体基材の内部に入り込んでいても良い。
コート層は、スズ酸化物と、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物と、を含む。
スズ酸化物としては、例えば、酸化スズ(II)(SnO)、酸化スズ(IV)(SnO2)、酸化スズ(VI)(SnO3)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO:Sb2O3がドープされたもの)、ボロンドープ酸化スズ(BTO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、リンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、タングステンドープ酸化スズ、タンタルドープ酸化スズ等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。このうち、アンチモンドープ酸化スズを用いるのが特に好ましい。これは、電気伝導性が高いアンチモンドープ酸化スズを用いることで集電体の抵抗上昇を抑制することができるためである。
コート層は、さらに、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物を含む。アルミニウム水酸化物は少なくとも水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を含む。アルミニウム水酸化物をコート層に含有させる方法としては、後述するように、集電体基材を構成するアルミニウムに水酸基を導入する方法が挙げられる。また水酸化アルミニウム以外のアルミニウム水酸化物として、Al(OH)3の水酸基の一つまたは二つが他の置換基に置換されたものを含んでも良い。また、酸化アルミニウム水和物としては、具体的には、Al2O3・3H2O、Al2O3・H2Oが挙げられる。これらの酸化アルミニウム水和物は、後述するコート層の製造方法により、集電体基材を構成するアルミニウムに水酸基を導入する際に生成し得る。以下、必要に応じて、アルミニウム水酸化物および酸化アルミニウム水和物を総称して、含水アルミニウムと呼ぶ。
コート層におけるスズ酸化物と含水アルミニウムとは、混在して一つの層を構成しても良いし、或いは、各々別々の層を構成しても良い。つまり、コート層は単層であっても良いし、複層であっても良い。或いは、スズ酸化物と含水アルミニウムとが単層のコート層を構成し、かつ、当該単層のコート層におけるスズ酸化物および含水アルミニウムの濃度(存在比率)に勾配があっても良い。何れの場合にも、スズ酸化物は、集電体の表面の少なくとも一部を構成する。換言すると、集電体の表面はコート層で構成され、当該コート層からなる集電体の表面には少なくともスズ酸化物が含まれる。これは、後述するように、集電体の表面をスズ酸化物で構成することで、活物質層と集電体(特にコート層)との界面抵抗を低減させ得るためである。以下、コート層の原料混合物をコート材と呼ぶ。
アルミニウムを水に接触させることで、アルミニウムの表面に含水アルミニウムの層が形成されることは、従来から知られている。例えば特開2008−251264号公報には、アルミニウム集電体に活物質層を設けたものを水蒸気雰囲気に曝すことで、水酸化アルミニウムからなるコート層が得られる旨が開示されている。
含水アルミニウムの層を、アルミニウム製の集電体基材と正極活物質層との間に介在させることで、酸素供給源となる正極活物質とアルミニウムとの直接的な接触を抑制できる。そして、含水アルミニウムの層が正極活物質とアルミニウムとの間に介在することで、両者の反応を抑制し得る可能性がある。また、例えば、正極活物質からアルミニウム水酸化物に酸素が供給されても水が生成するだけであり、例えばアルミニウムが発火する等の反応は生じ難い。つまり、コート層に含水アルミニウムを含有させることで、釘刺し試験への耐性を集電体に付与できると考えられる。しかしその一方で、正極活物質層に含まれるリチウム酸化物と含水アルミニウムとの界面抵抗は大きいため、含水アルミニウムを含むコート層を設けることで、正極の導電性を損ない、ひいてはリチウムイオン二次電池の電池性能を損なう恐れがある。
本発明の集電体においては、コート層の表面には少なくともスズ酸化物が含まれる。リチウム酸化物とスズ酸化物との界面抵抗は、リチウム酸化物と含水アルミニウムとの界面抵抗に比べて小さい。このため、表面にスズ酸化物を配したコート層を設ける場合には、導電性に優れる正極、および、電池性能に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができる。
また、スズ酸化物は既に酸化された状態にあり正極活物質からの酸素の供給を受けても反応し難い。したがって、スズ酸化物もまた上述した含水アルミニウムと同様に正極活物質とアルミニウムとの反応を阻害し得る。つまり、本発明の集電体は、スズ酸化物と含水アルミニウムとを含むコート層を備えることで、釘刺し試験に耐性に優れ、かつ、リチウムイオン二次電池に優れた電池性能を付与できる。
コート層はバインダ等の添加物を含んでも良いが、スズ酸化物および含水アルミニウムのみで構成されるのが好ましい。より好ましくは、スズ酸化物とアルミニウム水酸化物のみで構成されるのが良い。コート層の厚さをなるべく小さくするとともに、釘刺し試験に耐え得るコート層に必要な量のスズ酸化物および含水アルミニウムをコート層に含有させるためである。
コート層におけるスズ酸化物と含水アルミニウムとが各々別々の層を構成する場合、スズ酸化物の層および含水アルミニウムの層には、好ましい膜厚の範囲がある。正極との界面抵抗の低減を考慮すると、コート層におけるスズ酸化物の層の膜厚は0.1〜3μmであるのが好ましい。また、釘刺し試験に対する効果を考慮すると、コート層における含水アルミニウムの層の膜厚は0.05〜0.2μmであるのが好ましい。
コート層は集電体基材の一表面にのみ設けても良いし、集電体基材の全ての表面に設けても良い。しかしコート層は、導電性に劣るスズ酸化物を含むため、集電体基材において活物質層が積層される表面にのみ設けるのが好ましい。さらに、コート層は、集電体基材の一表面の全体に形成しても良いし、集電体基材の一表面の一部にのみ形成しても良い。コート層を集電体基材の二表面以上に形成する場合にも同様に、集電体基材の表面の一部にコート層を形成しない部分を設けても良い。また、上述したようにコート層は比較的導電性に劣る。このため、電池抵抗の低下を抑制するためにはコート層の層厚は薄い方が好ましい。したがって、コート層の厚さは、釘刺し試験に対する効果および電池抵抗を考慮して設定すれば良い。具体的には、コート層の厚さは0.1〜3.0μm程度であるのが好ましく、0.2〜2.0μm程度であるのがより好ましい。
コート材の固形分率は、1質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、2質量%以上30質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以上20質量%以下であるのが特に好ましい。コート材の固形分率が1質量%に満たないと、得られるコート層の厚さが過小になったり、コート材の塗布厚さを過大にしたりする必要があるため、あまり好ましくない。コート材の固形分率が過大であるとコート材の含水量が過小になり、水酸化アルミニウムを効率良く生成させ難くなる場合がある。また、均一かつ適当な厚さのコート層を形成し難い場合もある。
集電体の表面にコート材を塗布するには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの公知の方法を用いれば良い。
水系溶媒は、水を含むとともにスズ酸化物を分散および/または溶解可能なものである。水系溶媒は、水のみで構成しても良いが、水以外の極性溶媒を含み得る。極性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、n−プロパノール、アセトン、ジオキサン等の極性の高いものを挙げることができる。なお、水系溶媒は50体積%以上の水を含むのが好ましい。
なお、水系溶媒はコート層中には含まれないか、或いは、ほぼ含まれない。つまり、コート工程において水系溶媒の一部または大部分は気化しコート層から脱離するが、水系溶媒の一部がコート層中に残存しても良い。勿論、コート層の水系溶媒含有量は少ない方が良く、0.1質量%以下であるのが好ましい。但し、水系溶媒の含有量が0.1質量%以下であり、かつ、コート層がスズ酸化物、含水アルミニウム、および水系溶媒以外の添加剤を含まない場合、コート層はスズ酸化物および含水アルミニウムのみからなる、とみなし得る。なお、さらにこの場合にも、コート層には、スズ単体、アルミニウム単体、スズ化合物およびアルミニウム化合物が不可避的に含まれる可能性がある。これらの不可避含有物が1質量%以下であれば、上記と同様に、コート層はスズ酸化物および含水アルミニウムのみからなる、とみなし得る。
また、コート層から水系溶媒を脱離させるとともに、水とアルミニウムとの反応を促進してアルミニウムに水酸基を導入するためには、水を含むコート材をアルミニウム(つまり集電体基材)の表面に塗布し、かつ常温(25℃)以上に加熱するのが好ましい。このときの温度および時間は特に限定しないが、90℃以上で5分間以上加熱するのが好ましい。より好ましくは、90℃〜120℃程度で5分間〜1時間加熱するのが良い。
集電体基材の厚さには特に限定はないが、5μm以上100μm以下であるのが好ましく、5μm以上50μm以下であるのがより好ましく、5μm以上20μm以下であるのが特に好ましい。集電体基材の厚さが5μmに満たないと、プレス加工時に集電体基材が破損する可能性がある。また、集電体基材の厚さが過大であると、電極単位体積あたりの集電体の割合が増加し、電池容量の低下を招く可能性がある。
<電極>
本発明の電極において、集電体上には、活物質層が設けられる。活物質層は、リチウムイオン二次電池における電荷担体(つまりリチウム)を吸蔵および放出可能な活物質を含む。本発明の集電体は正極に用いることで上述した釘刺し試験時における優れた効果を発揮するが、勿論、負極に用いても良い。正極用の集電体上には正極活物質層が設けられ、負極用の集電体上には負極活物質層が設けられる。各活物質層は、正極活物質または負極活物質を含むとともに、必要に応じてバインダ、導電助材等の添加剤を含む。以下、本発明の集電体を用いた電極を、正極と負極とに分けて説明する。
本発明の電極において、集電体上には、活物質層が設けられる。活物質層は、リチウムイオン二次電池における電荷担体(つまりリチウム)を吸蔵および放出可能な活物質を含む。本発明の集電体は正極に用いることで上述した釘刺し試験時における優れた効果を発揮するが、勿論、負極に用いても良い。正極用の集電体上には正極活物質層が設けられ、負極用の集電体上には負極活物質層が設けられる。各活物質層は、正極活物質または負極活物質を含むとともに、必要に応じてバインダ、導電助材等の添加剤を含む。以下、本発明の集電体を用いた電極を、正極と負極とに分けて説明する。
〔正極〕
正極は、上述した本発明の集電体と、集電体上に設けられている正極活物質層とを含む。正極活物質層は、上述したように、正極活物質を含むとともに、バインダや導電助剤等の添加剤を含み得る。
正極は、上述した本発明の集電体と、集電体上に設けられている正極活物質層とを含む。正極活物質層は、上述したように、正極活物質を含むとともに、バインダや導電助剤等の添加剤を含み得る。
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極に用いられるリチウム酸化物を選択できる。リチウム酸化物を正極活物質として含む正極活物質層は、酸素供給源となり得る。したがって、この種の正極活物質は、例えば釘刺し試験時に、集電体に酸素を供給し、場合によってはリチウムイオン二次電池の発火点となり得る。しかし、本発明の集電体を用いれば、リチウム酸化物を正極活物質とする場合にも、釘刺し試験に耐え得るリチウムイオン二次電池を得ることができる。リチウム酸化物からなる正極活物質としては、具体的には、層状化合物のLiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦1.2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4、Li2Mn2O4等のスピネル、およびスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4またはLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすれば良く、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
バインダは特に限定しないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。
また、バインダとして、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基などリン酸系の基などが例示される。なお、負極活物質層中のバインダの配合割合は、質量比で、負極活物質:バインダ=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。バインダが少なすぎると電極の成形性が低下し、また、バインダが多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。これらの導電助剤を単独でまたは二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると負極活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
上記した集電体上に活物質層を形成するためには、上記したコート層を形成する場合と同様に、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの方法を用いて、集電体の表面に正極活物質(負極の場合には負極活物質)を塗布すれば良い。具体的には、活物質、並びに必要に応じてバインダおよび導電助剤を含む活物質層形成用組成物(所謂正極合材、負極の場合には負極合材)を調製し、この組成物に適当な溶剤を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。これは後述する負極に関しても同様である。
〔負極〕
負極は、集電体と、集電体上に設けられている負極活物質層とを含む。集電体としては上述した本発明の集電体を用いても良いし、それ以外のものを用いても良い。本発明の集電体以外の集電体を用いる場合、集電体は特に限定しないが、例えば、コート層を持たないアルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔等を挙げることができる。負極活物質層は、負極活物質を含むとともに、正極活物質層と同様にバインダや導電助剤等の添加剤を含み得る。
負極は、集電体と、集電体上に設けられている負極活物質層とを含む。集電体としては上述した本発明の集電体を用いても良いし、それ以外のものを用いても良い。本発明の集電体以外の集電体を用いる場合、集電体は特に限定しないが、例えば、コート層を持たないアルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔等を挙げることができる。負極活物質層は、負極活物質を含むとともに、正極活物質層と同様にバインダや導電助剤等の添加剤を含み得る。
負極活物質としては、電荷担体たるリチウムを吸蔵および放出し得る一般的なものを使用可能である。例えば、リチウムと合金化可能な元素(単体)、当該元素を含む合金、または当該元素を含む化合物であれば良い。具体的には、負極活物質として、Liや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すれば良い。ケイ素等を負極活物質に採用すると、ケイ素1原子が複数のリチウムと反応するため、高容量の活物質となる。しかしその一方で、リチウムの吸蔵および放出に伴って負極活物質の体積の膨張および収縮が顕著となる等の問題が生じるおそれがある。したがって、当該恐れの軽減のために、ケイ素などの単体に遷移金属等の他の元素を組み合わせた合金または化合物を負極活物質として採用するのも好適である。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、または、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
バインダ、導電助剤等の添加剤に関しては、上述した正極と同様である。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極と本発明の正極とを含む。上述したように、負極用の集電体として本発明の集電体を使用することもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極と本発明の正極とを含む。上述したように、負極用の集電体として本発明の集電体を使用することもできる。
電解液は、有機溶媒に支持電解質(支持塩)を溶解させたものを用いれば良く、特に限定されない。例えば、有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる少なくとも一種を好ましく選択できる。また、支持電解質としては、有機溶媒に可溶なリチウム金属塩を用いるのが良く、例えば、LiPF6、LiBF4、LIASF6、LiI、LiClO4、LiCF3SO3からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好適である。支持電解質は、有機溶媒に0.5mol/l〜1.7mol/l程度の濃度で溶解させるのが好ましい。
リチウムイオン二次電池には必要に応じてセパレータが用いられる。セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としても良い。
上述した正極および負極に、必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータおよび負極を重ねた積層型、または、正極、セパレータおよび負極を捲いた捲回型の何れの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えることでリチウムイオン二次電池を得ることが可能である。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を行えば良い。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の用途は特に限定されず、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電力で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器、車両等が挙げられる。
以下に、各種試験例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの試験例等によって限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、「部」とは質量部を意味し、「%」とは質量%を意味する。
(実施例)
実施例の集電体は、集電体基材としてアルミニウム箔を用い、コート層用のスズ酸化物としてSnO2を用いたものである。以下、実施例の集電体の製造方法を詳説する。
実施例の集電体は、集電体基材としてアルミニウム箔を用い、コート層用のスズ酸化物としてSnO2を用いたものである。以下、実施例の集電体の製造方法を詳説する。
〔集電体の製造方法〕
アルミニウム箔からなる集電体基材を準備し、この集電体基材の表面にコート材をコートした。具体的には、アルミニウム箔としては純アルミニウムからなり厚さ20μmのものを用いた。このアルミニウム箔の一表面に、SnO2を水系溶媒に分散させたコート材をグラビアコートにより塗布した。水系溶媒としては、イオン交換水を用いた。また、コート材はSnO2およびイオン交換水のみからなり、コート材中のSnO2含有量は5質量%であった。このコート材を、ウェット膜厚が6μmとなるように塗布量を調整しつつ集電体基材にコートした。コート後の集電体基材およびコート材を大気下100℃にて10分間加熱した。この工程により、集電体基材上にコート層が設けられてなる実施例の集電体を得た。
アルミニウム箔からなる集電体基材を準備し、この集電体基材の表面にコート材をコートした。具体的には、アルミニウム箔としては純アルミニウムからなり厚さ20μmのものを用いた。このアルミニウム箔の一表面に、SnO2を水系溶媒に分散させたコート材をグラビアコートにより塗布した。水系溶媒としては、イオン交換水を用いた。また、コート材はSnO2およびイオン交換水のみからなり、コート材中のSnO2含有量は5質量%であった。このコート材を、ウェット膜厚が6μmとなるように塗布量を調整しつつ集電体基材にコートした。コート後の集電体基材およびコート材を大気下100℃にて10分間加熱した。この工程により、集電体基材上にコート層が設けられてなる実施例の集電体を得た。
コート層には、コート材由来のSnO2が含まれる。また、コート材は水を含み、かつ、コート材を塗布したアルミニウム箔を加熱したことで、アルミニウムと水とが反応して水酸化アルミニウム(Al(OH)3)が生成した。つまり、コート層はAl(OH)3を含む。そして、Al(OH)3を主成分とする層がアルミニウム箔すなわち集電体基材の表面に形成された。この層には、さらに、酸化アルミニウム水和物(Al2O3・H2O、Al2O3・3H2O)、酸化アルミニウム(Al2O3)、金属アルミニウム(Al)等が混在する。さらに、この層の上層には、SnO2を主成分とする層が形成された。つまり、実施例の集電体におけるコート層は、集電体基材に隣接しAl(OH)3を主成分とする第1の層と、SnO2を主成分とし当該第1の層の上に形成され集電体基材の表面を構成する第2の層と、からなる2層構造をなすものであった。第1の層の膜厚は0.1μmであり、第2の層の膜厚は0.3μmであった。
〔正極の製造方法〕
実施例1の正極は、上記した実施例1の集電体を用いたものである。正極活物質としてはLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2を用い、導電助剤としてはABを用い、バインダとしてはPVdFを用いた。正極活物質:導電助剤:バインダ=94:3:3の質量比で混合したものをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒で希釈し、スラリー状の正極合材を得た。この正極合材を実施例1の集電体に塗布し、80℃にて乾燥させ、乾燥後にプレスした。プレス後、所定形状に切断し、実施例1の電極(正極)を得た。なお、集電体の塗工面単位面積(1cm2)あたりの正極合材の目付量は、30mg/cm2であった。正極集電体の塗工面は40mm×80mmであった。また、プレスに用いた装置はロールプレス機であり、プレス条件は線圧3kN/cmであった。
実施例1の正極は、上記した実施例1の集電体を用いたものである。正極活物質としてはLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2を用い、導電助剤としてはABを用い、バインダとしてはPVdFを用いた。正極活物質:導電助剤:バインダ=94:3:3の質量比で混合したものをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒で希釈し、スラリー状の正極合材を得た。この正極合材を実施例1の集電体に塗布し、80℃にて乾燥させ、乾燥後にプレスした。プレス後、所定形状に切断し、実施例1の電極(正極)を得た。なお、集電体の塗工面単位面積(1cm2)あたりの正極合材の目付量は、30mg/cm2であった。正極集電体の塗工面は40mm×80mmであった。また、プレスに用いた装置はロールプレス機であり、プレス条件は線圧3kN/cmであった。
〔負極の製造方法〕
負極活物質としてはSiOxおよび天然黒鉛を用いた。バインダとしてはPIおよびPAIを用いた。導電助剤としてはABを用いた。SiOx:天然黒鉛:PI:PAI:AB=32:50:5:5:8の質量比で混合したものをNMP溶媒で希釈し、スラリー状の負極合材を得た。この負極合材を実施例1の集電体に塗布し、正極と同様の乾燥およびプレス工程を経て、負極を得た。なお、集電体の塗工面単位面積(1cm2)あたりの負極合材の目付量は、9.6mg/cm2であり、負極集電体の塗工面は42mm×82mmであった。
負極活物質としてはSiOxおよび天然黒鉛を用いた。バインダとしてはPIおよびPAIを用いた。導電助剤としてはABを用いた。SiOx:天然黒鉛:PI:PAI:AB=32:50:5:5:8の質量比で混合したものをNMP溶媒で希釈し、スラリー状の負極合材を得た。この負極合材を実施例1の集電体に塗布し、正極と同様の乾燥およびプレス工程を経て、負極を得た。なお、集電体の塗工面単位面積(1cm2)あたりの負極合材の目付量は、9.6mg/cm2であり、負極集電体の塗工面は42mm×82mmであった。
電解液用の有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジメチルカーボネート(DMC)=3:3:4の体積比で混合したものを用いた。支持塩としてはLiPF6を用いた。この支持塩を有機溶媒に1Mとなるように溶解させて電解液を得た。
上記の正極、負極および電解液を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極および負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造の樹脂膜からなる矩形状シート(厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極および負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、積層ラミネートセルからなる実施例のリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例)
比較例の集電体はアルミニウム箔であり、コート層を持たないこと以外は実施例の集電体と同じものである。比較例のリチウムイオン二次電池は、正極用集電体および負極用集電体として比較例の集電体を用いた事以外は実施例のリチウムイオン二次電池と同じものである。
比較例の集電体はアルミニウム箔であり、コート層を持たないこと以外は実施例の集電体と同じものである。比較例のリチウムイオン二次電池は、正極用集電体および負極用集電体として比較例の集電体を用いた事以外は実施例のリチウムイオン二次電池と同じものである。
〔釘刺し試験〕
実施例および比較例のリチウムイオン二次電池について、釘刺し試験による安全性の評価をおこなった。詳しくは、各電池を電流値0.5Cで4.5Vに達するまで定電圧(CV)充電した。その後、4.5V±0.02V以内に電圧を維持するようにひきつづき充電を続け、全充電時間が5時間になったら充電を停止した。なお、各リチウムイオン二次電池の容量は4Ahであった。
実施例および比較例のリチウムイオン二次電池について、釘刺し試験による安全性の評価をおこなった。詳しくは、各電池を電流値0.5Cで4.5Vに達するまで定電圧(CV)充電した。その後、4.5V±0.02V以内に電圧を維持するようにひきつづき充電を続け、全充電時間が5時間になったら充電を停止した。なお、各リチウムイオン二次電池の容量は4Ahであった。
上記の充電処理をおこなった各リチウムイオン二次電池に、側面から(つまり、正極−負極方向に外力が作用するように)釘を刺し、各リチウムイオン二次電池の状態を観察した。具体的には、リチウムイオン二次電池を横に寝かした状態で、プレス機の拘束板に固定した。リチウムイオン二次電池には、表面温度を測定可能な温度測定装置を取り付けた。一方、プレス機には、当該温度測定装置を避けつつリチウムイオン二次電池の側面に向けて進退可能となるように、釘を取り付けた。釘はステンレススチール(S45C)製、直径φ8mmかつ釘先端角60°であった。この釘を、釘刺し速度20mm/秒でリチウムイオン二次電池に向けて前進させ、リチウムイオン二次電池の側面に釘を貫通させた。釘刺し試験は、室温かつ大気中でリチウムイオン二次電池の表面温度を測定しつつ行った。この釘刺し試験によって、リチウムイオン二次電池の正極と負極とが短絡した。
釘刺し試験時における比較例のリチウムイオン二次電池の表面温度は500℃に到達し、比較例のリチウムイオン二次電池は発火した。釘刺し試験時における実施例のリチウムイオン二次電池の表面温度もまた、500℃に到達した。しかし、実施例のリチウムイオン二次電池は発火しなかった。参考までに、実施例のリチウムイオン二次電池については、530℃程度にまで高温になっても発火しなかった。この結果から、実施例のリチウムイオン二次電池は、短絡し高温になっても発火せず、釘刺し試験に耐え得るといえる。換言すると、本発明の集電体は、スズ酸化物および含水アルミニウムを含むコート層を有することで、釘刺し試験に耐え得るまでに優れた安全性をリチウムイオン二次電池に付与できるといえる。
Claims (4)
- アルミニウム製の集電体基材と、前記集電体基材上に設けられているコート層と、を有し、
前記コート層は、スズ酸化物と、アルミニウム水酸化物および/または酸化アルミニウム水和物と、を含み、
前記集電体の表面の少なくとも一部は前記スズ酸化物で構成されている、集電体。 - アルミニウム製の集電体基材と、前記集電体基材上に設けられているコート層と、を有し、
前記コート層は、水系溶媒および前記水系溶媒に分散しているスズ酸化物を含むコート材が前記集電体基材上に塗布および加熱乾燥されてなり、
前記集電体の表面の少なくとも一部は前記スズ酸化物で構成されている、集電体。 - 前記コート層は、前記スズ酸化物と、前記アルミニウム水酸化物および/または前記酸化アルミニウム水和物と、からなる請求項1または請求項2に記載の集電体。
- 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の前記表面上に設けられている正極活物質層と、を有し、
前記正極活物質層はリチウム酸化物を含む正極を有するリチウムイオン二次電池。
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