JP2018185518A - 多層膜反射鏡及びその製造方法、並びに露光装置 - Google Patents

多層膜反射鏡及びその製造方法、並びに露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】多層膜反射鏡として再生させるための工程に時間がかからず、多層膜反射鏡を再生させるためのコストも小さい多層膜反射鏡及びその製造方法を提供する。【解決手段】入射する光を反射する多層膜反射鏡10であって、基板1と、基板1の表面にMo層2及びSi層3を交互に積層して形成された第1の多層膜4と、第1の多層膜上4に形成され、第1の多層膜4に対して剥離可能な剥離層5と、剥離層5上にMo層2及びSi層3を交互に積層して形成された第2の多層膜6と、を備え、第2の多層膜6は、剥離層5を酸による溶解によって剥離することによって剥離層5とともに除去可能である。多層膜反射鏡10の反射率が低下した場合に、簡単な工程でその反射率を高くできる。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば軟X線又は極端紫外光のような短波長の光を反射するために使用して好適な多層膜反射鏡、この多層膜反射鏡の製造方法及び再生方法、その多層膜反射鏡を有する光学系、その多層膜反射鏡を備える露光装置、並びにこの露光装置を使用するデバイス製造方法に関する。
半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するためのフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置の露光光は、電子デバイスの微細化の進展に伴い、短波長化してきており、最近では、露光光として、波長11〜14nm程度の軟X線を使用する露光装置の開発が進められている。軟X線は、波長が105nm程度以下の光である極端紫外光(Extreme Ultraviolet Light:以下、EUV光という。)に含まれるため、軟X線又はEUV光を露光光として使用する露光装置は、EUV露光装置とも呼ばれている。
その軟X線を含むEUV光の波長帯では、透過率の高い物質が存在せず、屈折を利用した従来の光学素子は使用できないため、EUV露光装置用の光学部材としては、界面での振幅反射率の比較的大きな2種類の物質を交互に積層して形成される多層膜の反射面を有する多層膜反射鏡が用いられている。例えば、13.5nm付近の波長帯では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層とを交互に積層した多層膜を用いることによって、垂直入射で60%程度以上の反射率が得られている(例えば、特許文献1参照)。
また、EUV露光装置は、真空のチャンバ内に設置されているが、そのチャンバ内の雰囲気中に例えば微量な炭化水素が残留しているときに、その雰囲気中の多層膜反射鏡にEUV光が照射されると、その表面(反射面)に吸着された炭化水素が光電子によって分解され、その表面に炭素のコンタミネーション(汚染物)が析出する。また、水蒸気が残留した雰囲気中で、多層膜反射鏡にEUV光が照射されると、その表面に吸着された水分子が光電子によって分解されて発生した酸素によって、その表面に酸化膜が形成される。また、EUV光源のコレクターミラーに使用される多層膜反射鏡の表面には、光源用プラズマの材料として用いられるすず(Sn)などが次第に付着することがある。そのように多層膜反射鏡の表面に炭素、酸化膜、又はすずなどの異物が付着すると、反射率が低下して、EUV露光装置のスループット(生産性)が低下する。このため、多層膜反射鏡の反射率が所定値以下に低下した場合には、新しい多層膜反射鏡と交換する必要がある。
ところが、多層膜反射鏡の基板は非常に高精度に加工された高価なものであるため、多層膜に異物が付着して反射率が低下した際には、多層膜を剥離して基板を再利用できることが望ましい。このため、基板と多層膜との間に剥離層を形成しておき、多層膜の反射率が低下したときには、酸等で剥離層を溶かして、その上の多層膜を剥離して除去することによって、その基板を再利用できるようにした多層膜反射鏡が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、又は特許文献3参照)。
特開2005−098930号公報 特開2007−101349号公報 特開2007−127698号公報
従来の多層膜反射鏡は、反射率が低下した後で基板を再利用することは可能であるが、多層膜反射鏡として再生させるためには、再び基板上に多層膜を成膜し直す必要があった。そのため、多層膜反射鏡として再生させるための工程に時間がかかり、多層膜反射鏡を再生させるためのコストも大きいという問題があった。
本発明の第1の態様によれば、入射する光を反射する多層膜反射鏡であって、基板と、該基板の表面に第1の材料及び第2の材料を交互に積層して形成された第1の多層膜と、その第1の多層膜上に形成され、その第1の多層膜に対して剥離可能な第1の剥離層と、その第1の剥離層上にその第1の材料及びその第2の材料を交互に積層して形成された第2の多層膜と、を備え、その第2の多層膜は、その第1の剥離層を剥離することによってその第1の剥離層とともに除去可能である多層膜反射鏡が提供される。
第2の態様によれば、入射する光を反射する多層膜反射鏡の製造方法であって、基板の表面に第1の材料及び第2の材料を交互に積層して第1の多層膜を形成することと、その第1の多層膜上に、その第1の多層膜に対して剥離可能に第1の剥離層を形成することと、その第1の剥離層上に、その第1の材料及びその第2の材料を交互に積層して第2の多層膜を形成することと、を含む製造方法が提供される。
第3の態様によれば、入射する光の光路上に配置された複数の光学部材を備える光学系であって、その複数の光学部材の少なくとも一つは、本発明の態様の多層膜反射鏡である光学系が提供される。
第4の態様によれば、光源からの露光光で照明系を介してパターンを照明し、その露光光でそのパターン及び投影光学系を介して基板を露光する露光装置において、その光源、その照明系、及びその投影光学系の少なくとも一つが、本発明の態様の多層膜反射鏡を備える露光装置が提供される。
第5の態様によれば、多層膜反射鏡の再生方法であって、本発明の態様の多層膜反射鏡を準備することと、その多層膜反射鏡に剥離剤を付着させて、その多層膜反射鏡のその剥離層及びその剥離層上に形成された多層膜を除去することと、を含む再生方法が提供される。
第6の態様によれば、本発明の態様の露光装置を用いて感光性基板上に感光層のパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその感光性基板を処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
(A)は第1の実施形態に係る多層膜反射鏡の多層膜等を厚さ方向に拡大して示す断面図、(B)は比較例の一部の多層膜を拡大して示す断面図、(C)は再使用中の多層膜反射鏡の多層膜を拡大して示す断面図である。 図1(A)の多層膜反射鏡の多層膜の積層数と反射率との関係を示す図である。 (A)は多層膜反射鏡の製造方法の一例を示すフローチャート、(B)は多層膜反射鏡の使用方法の一例を示すフローチャートである。 (A)は基板に形成された第1の多層膜を拡大して示す断面図、(B)はさらに剥離層を形成した状態を示す断面図、(C)はさらに第2の多層膜を形成した状態を示す断面図である。 (A)は第1の変形例に係る多層膜反射鏡の多層膜等を拡大して示す断面図、(B)は比較例の一部の多層膜を拡大して示す断面図、(C)は図5(A)の多層膜反射鏡の多層膜の積層数と反射率との関係を示す図である。 (A)は第2の変形例に係る多層膜反射鏡の多層膜等を拡大して示す断面図、(B)は図6(A)の多層膜反射鏡の多層膜の積層数と反射率との関係を示す図である。 (A)は第2の実施形態に係る多層膜反射鏡の多層膜等を拡大して示す断面図、(B)は図7(A)の多層膜反射鏡に被覆層を形成した状態を示す断面図である。 再生装置の一例を示す図である。 第3の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。 電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1(A)〜図4(C)を参照して説明する。
図1(A)は、本実施形態に係る多層膜反射鏡10を示す断面図である。多層膜反射鏡10は、軟X線としての波長λが13.5nm程度の光を反射するために使用可能である。また、数10〜0.1nmの波長域の光である軟X線は、EUV光(Extreme Ultraviolet Light:極端紫外光)に含まれるため、多層膜反射鏡10はEUV光用のミラーでもある。なお、図1(A)、並びに以下で参照する図1(B)、(C)、図4(A)〜(C)、図5(A)、(B)、図6(A)、及び図7(A)、(B)では、説明の便宜上、多層膜反射鏡の後述の多層膜及び剥離層を厚さ方向に拡大して示してある。また、多層膜の積層数は、実際の積層数よりも少なく表している。
図1(A)において、多層膜反射鏡10は、所定形状に高精度に研磨加工された表面1aを有する基板1と、基板1の表面1aに、厚さd1のモリブデン(Mo)の層2と厚さd2のシリコン(Si)の層3とを交互に積層して形成された第1の多層膜4と、多層膜4上に形成された厚さd3の剥離層5と、剥離層5の表面に、厚さd2のシリコンの層(以下、Si層という)3と厚さd1のモリブデンの層(以下、Mo層という)2とを交互に積層して形成された第2の多層膜6と、を有する。基板1は、例えば、低熱膨張ガラス、石英、銅などで構成されている。低熱膨張ガラスとしては、例えば、ショット(Schott)社のゼロデュア(Zerodur: 商品名)やコーニング(Corning)社のULE(商品名)等を用いることができる。第2の多層膜6の成膜領域は、第1の多層膜4及び剥離層5の成膜領域よりも一回り小さい範囲になっており、剥離層5の周縁部の一部の領域5bが表面に露出している。
基板1の表面1aは平面でもよいが、表面1aは、多層膜反射鏡10の用途に応じて、凸若しくは凹の球面、又は非球面に加工されていてもよい。基板1の材料としてはシリコン又は低熱膨張率の金属等も使用可能である。
また、Mo層2の厚さd1とSi層3の厚さd2との和(=d1+d2)が多層膜4の周期長p1である。本実施形態では、多層膜6の周期長も多層膜4の周期長と同じp1である。一例として、厚さd1は2.76nm、厚さd2は4.14nmで、周期長p1は6.9nmであり、Mo層2の膜厚比(=d1/p1)は0.39である。この場合、13.5nmの波長λを持つ光が多層膜4又は6にほぼ垂直に入射したときにそれぞれ高い反射率が得られる。なお、ほぼ垂直入射でない場合には、基板1の表面1aに入射する光の平均的な入射角に応じて反射率が最大になるように、周期長p1及び/又はMo層2の膜厚比を調整してもよい。また、一例として、一つのMo層2及び一つのSi層3よりなる層(以下、1周期分の層という)の第1の多層膜4における積層数は50(Mo層2及びSi層3がそれぞれ50層)である。これに対して、第2の多層膜6における1周期分の層の積層数は30であり、多層膜6の最上層には、厚さd2のSi層3が形成されている。以下、多層膜4,6における1周期分の層の積層数をそれぞれ単に積層数ともいう。本実施形態では、第2の多層膜6における積層数は、第1の多層膜4における積層数よりも少なく設定されている。また、第1の多層膜4の最上層(剥離層5に接する層)はSi層3であり、第2の多層膜6の最下層(剥離層5に接する層)もSi層3である。
また、剥離層5の材料としては、多層膜4,6を構成するモリブデン及びシリコンよりも酸(例えば硝酸)に溶けやすい材料が好ましい。このような剥離層5の材料としては、一例として、95重量%(wt%)の銅(Cu)及び5重量%(wt%)の銀(Ag)からなる合金(Cu−Ag合金)が使用できる。剥離層5の材料としては、銅とアルミニウム(Al)との合金(Cu−Al合金)又はアルミニウムと銀との合金(Al−Ag合金)等も使用できる。なお、剥離層5の材料としては、多層膜4,6よりも酸に溶けやすい少なくとも1種類の金属を含む材料を使用することもできる。
また、図1(A)の例では、剥離層5の厚さd3は、以下のように周期長p1とMo層2の厚さd1との和に設定されている。
d3=p1+d1 …(1)
厚さd1が2.76nm、周期長p1が6.9nmであるとき、厚さd3は9.66nmである。このとき、第2の多層膜6の位置を、周期長p1の整数倍だけ深さ方向にずらすと、多層膜6のMo層2及びSi層3の位置が、それぞれ第1の多層膜4のMo層2及びSi層3の位置と重なるようになる。言い換えると、多層膜4及び6は、図1(B)に示すように、それぞれ基板1上にMo層2及びSi層3を周期長p1で積層した一つの多層膜の一部とみなすことができる。
この結果、第2の多層膜6及び剥離層5を介して第1の多層膜4で反射した波長λの光EL2の位相と、第2の多層膜6で反射した波長λの光EL1の位相とは一致し、両者は互いに強め合うことになり高い反射率を得ることができる。
また、剥離層5の厚さ方向における中心位置5cは、第1の多層膜4の各Si層3の積層方向(厚さ方向)における中心位置3cに対して、多層膜4の周期長p1(積層周期)の整数倍(図1(A)では2倍)の位置にある。このため、剥離層5も多層膜反射鏡10の周期構造の一部の役割を果たし、その結果、剥離層5を挿入したことによる反射率の低下を抑制できる。
図2は、本実施形態の多層膜反射鏡10の波長13.5nmの光に対する垂直入射時の反射率の計算結果を示す。図2の横軸は、多層膜4,6におけるMo層2及びSi層3よりなる1周期分の層の積層数を示し、縦軸は、その積層数に対応する反射率を示す。また、図2において、破線の曲線C2は、基板1上に第1の多層膜4を成膜し、多層膜4の積層数を増やしていったときの多層膜4の反射率の変化を示す。曲線C2より、多層膜4は50層程度積層するとその反射率が飽和し、飽和した反射率は約74.6%となることが分かる。
また、実線の曲線C1は、積層数が50の第1の多層膜4の上に上記の剥離層5を形成し、その上に第2の多層膜6を形成し、多層膜6の積層数を増やしていったときの多層膜反射鏡10の反射率の変化を示す。曲線C1より、剥離層5を形成すると反射率は約29.5%に低下するが、その上に積層する第2の多層膜6の層数を増やしていくと、第1の多層膜4よりも少ない30層程度の積層数で反射率は飽和し、飽和した反射率は約73.9%となることが分かる。このように、多層膜6の積層数を30程度にすることで、積層数が50の第1の多層膜4のみの場合と比べて遜色の無い反射率が得られる。以上の考察から、本実施形態では、第1の多層膜4の積層数を50、第2の多層膜6の積層数を30とした。
次に、本実施形態の多層膜反射鏡10の製造方法の一例につき、図3(A)のフローチャートを参照して説明する。まず、図3(A)のステップ102において、図4(A)の基板1を用意し、基板1の表面1aを目標とする形状に研磨する。その後、基板1をスパッタリング装置(不図示)内に設置し、基板1の表面1aの第1の多層膜4を形成すべき領域に対応した開口が形成された第1のマスク部材31Aを基板1に近接させて設置する(ステップ104)。そして、マスク部材31Aの開口を通してスパッタリングによって、基板1の表面1aにMo層2及びSi層3を交互に積層して第1の多層膜4(下部の多層膜)を形成する(ステップ106)。さらに、図4(B)に示すように、マスク部材31Aの開口を通してスパッタリングによって、多層膜4上に剥離層5を形成する(ステップ108)。
次に、図4(C)に示すように、剥離層5の周縁部の領域5bの内側の領域に対応した開口が形成された第2のマスク部材31Bを基板1に近接させて設置する(ステップ110)。そして、マスク部材31Bの開口を通してスパッタリングによって、基板1の剥離層5の表面にMo層2及びSi層3を交互に積層して第2の多層膜6を形成する(ステップ112)。このようにして多層膜反射鏡10が製造される。なお、スパッタリングの代わりに真空蒸着でMo層2、Si層3、及び/又は剥離層5を形成してもよい。
次に、本実施形態の多層膜反射鏡10の使用方法の一例につき、図3(B)のフローチャートを参照して説明する。まず、図3(B)のステップ120において、図1(A)の多層膜反射鏡10を例えばEUV露光装置の光源部、照明光学系、又は投影光学系等の光学系内の所定の位置にホルダ(不図示)を介して設置し、その光学系の使用を開始する。これによって、多層膜反射鏡10には軟X線(EUV光)の波長域の照明光が照射される。そして、多層膜反射鏡10の使用を継続すると、多層膜反射鏡10の反射面(第2の多層膜6の表面)に、その光学系が設置されている雰囲気中の炭化水素が光電子によって分解されて析出する炭素のコンタミネーション、その雰囲気中の水蒸気が光電子によって分解されて発生した酸素によって形成される酸化膜、及び/又は光源用プラズマの材料として用いられるすず(Sn)などが次第に付着して、多層膜反射鏡10の反射率が次第に低下する。
次のステップ122において、一例として、その光学系の被照射面等(多層膜反射鏡10の下流の位置)で例えば定期的にその照明光の単位時間当たりの光量を計測し、計測される光量が初期値に対して予め定められた割合以下に低下した場合には、多層膜反射鏡10の反射率が使用可能な値(所定値)以下に低下したものとみなす。そして、多層膜反射鏡10の反射率が使用可能な値以下に低下したときには、その光学系の使用を停止して、ステップ124の多層膜反射鏡10の反射率回復工程に移行する。
そして、多層膜反射鏡10をその光学系から取り外し、取り外した多層膜反射鏡10を硝酸に溶解しない材質の保持具で保持し、多層膜反射鏡10を所定の容器(不図示)内の硝酸液に所定時間浸漬する。この浸漬中に、硝酸によって多層膜反射鏡10の剥離層5が溶解し、剥離層5が溶解すると、その上の第2の多層膜6は除去される。そして、多層膜反射鏡10は、図1(C)に示すように、第1の多層膜4が表面に露出して、入射する光EL1に対して高い反射率を回復することができる。そこで、図1(C)の多層膜反射鏡10をその光学系内に再設置することで、その光学系を使用できる(ステップ126)。
上述のように、本実施形態の多層膜反射鏡10は、基板1と、基板1の表面1aにMo層2(第1の材料)及びSi層3(第2の材料)を交互に積層して形成された第1の多層膜4と、多層膜4上に形成され、多層膜4に対して剥離可能な剥離層5と、剥離層5上にMo層2及びSi層3を交互に積層して形成された第2の多層膜6と、を備え、多層膜6は、剥離層5を酸(剥離剤)による溶解によって剥離することによって剥離層5とともに除去可能である。
多層膜反射鏡10によれば、その反射率が低下した場合には、剥離層5を剥離するという簡単な工程で、第1の多層膜4を表面に露出させることによって、反射率を高くすることができる。この結果、多層膜反射鏡10を使用した光学系のメンテナンスコストを低減することができる。
また、本実施形態の多層膜反射鏡10の再生方法は、上述のように多層膜反射鏡を準備するステップ102〜112と、多層膜反射鏡10の剥離層5に硝酸液(剥離剤)を付着させて、多層膜反射鏡10の剥離層5及び剥離層5上に形成された多層膜6を除去するステップ124と、を有する。この再生方法によれば、簡単な工程で多層膜反射鏡10の反射率を回復することができる。
なお、本実施形態の多層膜反射鏡10の再生方法を使用するための再生装置として、図8に示す再生装置34を使用してもよい。図8において、再生装置34は、多層膜反射鏡10の基板1の裏面を真空吸着等で保持する保持部38と、硝酸液36を貯蔵する容器35と、洗浄液(例えば純水等)で多層膜反射鏡10を洗浄する洗浄槽37とを有する。保持部38は、一例として、3次元的に移動可能な搬送系(不図示)の先端に連結された搬送アーム39に連結されている。多層膜反射鏡10の再生時には、保持部38で多層膜反射鏡10の基板1を吸着して保持し、搬送アーム39を駆動して保持部38を降下させて、矢印D1で示すように、多層膜反射鏡10の表面の少なくとも剥離層5及び多層膜6を含む部分を硝酸液36に浸す。そして、剥離層5が溶解した後、矢印D2で示すように、搬送アーム39を駆動して、多層膜反射鏡10を容器35から洗浄槽37に移動して、多層膜反射鏡10の表面(多層膜4)を洗浄することで、多層膜反射鏡10が再生できる。
このように多層膜反射鏡10の再生装置34は、多層膜反射鏡34に硝酸液36(剥離剤)を付着させて、多層膜反射鏡10の剥離層5及び剥離層5上に形成された多層膜6を除去する容器36(除去部)を備える。再生装置34を使用することで、簡単な工程で多層膜反射鏡10の反射率を回復することができる。なお、保持部38は、例えば基板1の側面等をつかむことによって、多層膜反射鏡10を保持してもよい。
なお、上述の実施形態では、多層膜反射鏡10の剥離層5の厚さ方向における中心位置は、第1の多層膜4のSi層3の積層方向における中心位置に対して、多層膜4の周期長p1の整数倍の位置にある。しかしながら、図5(A)の第1の変形例の多層膜反射鏡10Aで示すように、剥離層5Aの厚さ方向における中心位置を、第1の多層膜4AのMo層2の積層方向における中心位置に対して、多層膜4Aの周期長p1の整数倍の位置に設定してもよい。なお、図5(A)及び(B)において図1(A)及び(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5(A)は、この変形例に係る多層膜反射鏡10Aを示す断面図である。図5(A)において、多層膜反射鏡10Aは、表面1aを有する基板1と、基板1の表面1aに、厚さd1のMo層2と厚さd2のSi層3とを交互に積層して、最上層に厚さd5のSi層3Aを積層して形成された第1の多層膜4Aと、多層膜4A上に形成された厚さd4の剥離層5Aと、剥離層5Aの表面に、厚さd5のSi層3Aを形成してから、厚さd1のMo層2と厚さd2のSi層3とを交互に積層して形成された第2の多層膜6Aと、を有する。第2の多層膜6Aの成膜領域は、第1の多層膜4A及び剥離層5Aの成膜領域よりも一回り小さい範囲になっており、剥離層5Aの周縁部の一部が表面に露出している。剥離層5Aの材料は、図1(A)の剥離層5の材料と同様に、多層膜4A,6A(Mo層2及びSi層3)よりも酸に溶けやすい材料(例えば、Cu−Ag合金、Cu−Al合金、又はAl−Ag合金など)である。
この変形例においても、多層膜6Aの周期長p1(=d1+d2)は多層膜4Aの周期長p1と同じである。一例として、厚さd1は2.76nm、厚さd2は4.14nmで、周期長p1は6.9nmである。この場合、13.5nmの波長λを持つ光が多層膜4A又は6Aにほぼ垂直に入射したときにそれぞれ高い反射率が得られる。また、一例として、Si層3Aの厚さd5は3.02nmである。また、この変形例では、一例として第1の多層膜4Aにおける1周期分の層の積層数は50であり、第2の多層膜6Aにおける1周期分の層の積層数は20である。
また、剥離層5Aの厚さd4は、以下のように設定されている。
d4=2・p1−2・d5−d1 …(2)
厚さd1が2.76nm、厚さd5が3.02nm、周期長p1が6.9nmであるとき、厚さd4は5nmである。このとき、第2の多層膜6Aの位置を、周期長p1の整数倍だけ深さ方向にずらすと、多層膜6AのMo層2及びSi層3の位置が、それぞれ第1の多層膜4AのMo層2及びSi層3の位置と重なるようになる。言い換えると、多層膜4A及び6Aは、図5(B)に示すように、それぞれ基板1上にMo層2及びSi層3を周期長p1で積層した一つの多層膜の一部とみなすことができる。
この結果、第2の多層膜6A及び剥離層5Aを介して第1の多層膜4Aで反射した波長λの光EL2の位相と、第2の多層膜6Aで反射した波長λの光EL1の位相とは一致し、両者は互いに強め合うことになり高い反射率を得ることができる。
また、剥離層5Aの厚さ方向における中心位置5Acは、第1の多層膜4Aの各Mo層2の積層方向(厚さ方向)における中心位置2cに対して、多層膜4Aの周期長p1(積層周期)の整数倍(図5(A)では1倍)の位置にある。このため、剥離層5Aも多層膜反射鏡10Aの周期構造の一部の役割を果たし、その結果、剥離層5Aを挿入したことによる反射率の低下を抑制できる。
図5(C)は、この第1の変形例の多層膜反射鏡10Aの波長13.5nmの光に対する垂直入射時の反射率の計算結果を示す。図5(C)の横軸は、多層膜4A,6AにおけるMo層2及びSi層3よりなる1周期分の層の積層数を示し、縦軸は、その積層数に対応する反射率を示す。また、図5(C)において、破線の曲線C4は、基板1上に第1の多層膜4Aを成膜し、多層膜4Aの積層数を増やしていったときの多層膜4Aの反射率の変化を示す。曲線C4より、多層膜4Aは50層程度積層するとその反射率が飽和し、飽和した反射率は約74.6%となることが分かる。
また、実線の曲線C3は、積層数が50の第1の多層膜4Aの上に上記の剥離層5Aを形成し、その上に第2の多層膜6Aを形成し、多層膜6Aの積層数を増やしていったときの多層膜反射鏡10Aの反射率の変化を示す。曲線C3より、剥離層5Aを形成すると反射率は約48.1%に低下するが、その上に積層する第2の多層膜6Aの層数を増やしていくと、第1の多層膜4Aよりも少ない20層程度の積層数で反射率は飽和し、飽和した反射率は約72.8%となることが分かる。このように、多層膜6Aの積層数を20程度にすることで、積層数が50の第1の多層膜4Aのみの場合と比べて遜色の無い反射率が得られる。以上の考察から、この変形例では、第1の多層膜4Aの積層数を50、第2の多層膜6Aの積層数を20とした。
また、この変形例の多層膜反射鏡10Aにおいても、反射率が低下したときには、多層膜反射鏡10Aを例えば硝酸液に浸漬して剥離層5Aとともに多層膜6Aを除去することで、第1の多層膜4Aが表面に露出して高い反射率を回復できる。
また、上述の実施形態では、多層膜反射鏡10の多層膜6及び反射率回復後の多層膜4はそれぞれ露出している。これに対して、図6(A)の第2の変形例の多層膜反射鏡10Bで示すように、多層膜4,6の表面に、これらの表面の酸化を防止するための保護層を設けてもよい。なお、図6(A)において図1(A)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6(A)は、この変形例に係る多層膜反射鏡10Bを示す断面図である。図6(A)において、多層膜反射鏡10Bは、基板1の表面1aに形成された第1の多層膜4と、多層膜4の表面の酸化を防止するために多層膜4上に形成された厚さd7の保護層8と、保護層8上に形成された厚さd7の剥離層5Bと、剥離層5B上の周縁部の領域5Bbで囲まれた領域に形成された第2の多層膜6と、多層膜6の表面の酸化を防止するために多層膜6上に形成された厚さd7の保護層8とを有する。保護層8は、言い換えると、第1の多層膜4と剥離層5Bとの間に設けられている。
この変形例においても、多層膜6の周期長p1(=d1+d2)は多層膜4の周期長p1と同じであり、一例として、厚さd1は2.76nm、厚さd2は4.14nmで、周期長p1は6.9nmである。また、一例として、第1の多層膜4における1周期分の層の積層数は50であり、第2の多層膜6における1周期分の層の積層数は30である。さらに、一例として、保護層8の厚さd7は3nmであり、保護層8の材料としてはルテニウム(Ru)が使用できる。なお、保護層8の材料としては、その他に、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの金属、又はニオブ、モリブデン、ルテニウム若しくはチタンなどの金属の酸化物を使用してもよい。
また、剥離層5Bの材料としては、図1(A)の剥離層5の材料と同様に、多層膜4,6(Mo層2及びSi層3)よりも酸に溶けやすい材料(例えば、Cu−Ag合金、Cu−Al合金、又はAl−Ag合金など)が使用できる。さらに、剥離層5Bの厚さd6と保護層8の厚さd7との和が図1(A)の剥離層5の厚さd3と等しくなるように設定されている。
d6+d7=d3 …(3)
厚さd1が2.76nm、厚さd7が3nm、周期長p1が6.9nmであるとき、厚さd6は6.66nmである。このとき、第2の多層膜6の位置を、周期長p1の整数倍だけ深さ方向にずらすと、多層膜6のMo層2及びSi層3の位置が、それぞれ第1の多層膜4のMo層2及びSi層3の位置と重なるようになる。この結果、第2の多層膜6で反射した光の位相と、剥離層5B及び保護層8を介して第1の多層膜4で反射した光の位相とは一致し、両者は互いに強め合うことになり高い反射率を得ることができる。
また、剥離層5B及びこの下の保護層8の厚さ方向における中心位置は、第1の多層膜4の各Si層3の積層方向(厚さ方向)における中心位置に対して、多層膜4の周期長p1(積層周期)の整数倍の位置にある。このため、剥離層5B及び保護層8も多層膜反射鏡10Bの周期構造の一部の役割を果たし、その結果、剥離層5B及び保護層8を挿入したことによる反射率の低下を抑制できる。
なお、この変形例において、保護層は、第1の多層膜4上又は第2の多層膜6上の少なくとも一方に形成されていてもよい。
図6(B)は、この第2の変形例の多層膜反射鏡10Bの波長13.5nmの光に対する垂直入射時の反射率の計算結果を示す。図6(B)の横軸は、多層膜4,6におけるMo層2及びSi層3よりなる1周期分の層の積層数を示し、縦軸は、その積層数に対応する反射率を示す。また、図6(B)において、破線の曲線C6は、基板1上に第1の多層膜4及び保護層8を成膜し、多層膜4の積層数を増やしていったときの多層膜4の反射率の変化を示す。曲線C6より、多層膜4は50層程度積層するとその反射率が飽和し、飽和した反射率は約74.1%となることが分かる。
また、実線の曲線C5は、積層数が50の第1の多層膜4上の保護層8の上に剥離層5Bを形成し、その上に第2の多層膜6及び保護層8を形成し、多層膜6の積層数を増やしていったときの多層膜反射鏡10Bの反射率の変化を示す。曲線C5より、剥離層5Bを形成すると反射率は約36.6%に低下するが、その上に積層する第2の多層膜6の層数を増やしていくと、第1の多層膜4よりも少ない30層程度の積層数で反射率は飽和し、飽和した反射率は約73.6%となることが分かる。このように、多層膜6の積層数を30程度にすることで、積層数が50の第1の多層膜4のみの場合と同等の反射率が得られる。以上の考察から、この変形例では、第1の多層膜4の積層数を50、第2の多層膜6の積層数を30とした。
また、この変形例の多層膜反射鏡10Bにおいても、反射率が低下したときには、多層膜反射鏡10Bを例えば硝酸液に浸漬して剥離層5Bとともに多層膜6及びこの上の保護層8を除去することで、第1の多層膜4の表面の保護層8が露出して高い反射率を回復できる。さらに、保護層8によって、多層膜6又は反射率回復後の多層膜4の表面の酸化による反射率の低下を抑制できる。
なお、上述の実施形態及びその変形例において、基板1と第1の多層膜4,4Aとの間にも剥離層5,5A,5Bと同様の剥離層(不図示)を挿入しておいて、多層膜4,4Aも上述の炭素のコンタミネーションの付着等によって反射率が低下した後は、その剥離層とともに多層膜4,4Aを除去することによって、高精度に加工された高価な基板1を再利用できるようにしても良い。
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき図7(A)及び(B)を参照して説明する。第1の実施形態及びその変形例の多層膜反射鏡10,10A,10Bは、剥離層と第2の多層膜の除去による反射率の回復は1回だけ可能であるが、本実施形態の多層膜反射鏡は、複数回の反射率の回復が可能である。なお、図7(A)及び(B)において図5(A)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図7(A)は本実施形態に係る多層膜反射鏡10Cを示す断面図である。図7(A)の多層膜反射鏡10Cにおいて、基板1の表面1aに、最下層の剥離層51が形成され、その上に厚さd1のMo層2と厚さd2のSi層3(ただし、最上層のSi層3Aの厚さはd5に設定されている)とを交互に積層して第1の多層膜4Aが形成され、その上に第1の剥離層5Aが形成され、その上に厚さd5のSi層3Aを形成し、さらに厚さd1のMo層2と厚さd2のSi層3(ただし、最上層のSi層3Aの厚さはd5に設定されている)とを積層して第2の多層膜6Aが形成されている。また、この第2の多層膜6A上に第2の剥離層52が形成され、その上に厚さd5のSi層3Aを形成し、さらに厚さd1のMo層2と厚さd2のSi層3(ただし、最上層のSi層3Aの厚さはd5に設定されている)とを積層して第3の多層膜61が形成され、その上に第3の剥離層53が形成され、その上に厚さd5のSi層3Aが形成され、さらに厚さd1のMo層2と厚さd2のSi層3とを積層して第4の多層膜62が形成されている。なお、第1の多層膜4A上、第2の多層膜6A上、第3の多層膜61上、及び第4の多層膜62上の少なくとも一つには、多層膜の表面を保護する保護層を形成しても良い。言い換えると、保護層は、第1の多層膜4Aと第1の剥離層5Aとの間、第2の多層膜6Aと第2の剥離層52との間、第3の多層膜61と第3の剥離層53との間、及び第4の多層膜62上の少なくとも一つに形成されている。
第1、第2、第3、及び第4の多層膜4A,6A,61,62は、いずれも周期長(=d1+d2)は互いに同じ6.9nmであり、Mo層2の厚さd1は2.76nm、Si層3の厚さd2は4.14nmである。また、多層膜4A,6A,61内の最上層のSi層3Aの厚さd5は3.02nm、多層膜6A,61,62の最下層のSi層3Aの厚さd5は3.02nmである。また、第1の多層膜4AにおけるMo層2及びSi層3よりなる1周期分の層の積層数は50層である。第2、第3、及び第4の多層膜6A,61,62におけるMo層2及びSi層3よりなる1周期分の層の積層数は20層である。
また、最下層の剥離層51、及び第1、第2、第3の剥離層5A,52,53の材料は、図5(A)の剥離層5Aの材料と同様に、多層膜4A,6A等(Mo層2及びSi層3)よりも酸に溶けやすい材料(例えば、Cu−Ag合金、Cu−Al合金、又はAl−Ag合金など)である。また、剥離層51,5A,52,53の厚さd4に関しては上述の式(2)の関係が成立している。厚さd1が2.76nm、厚さd5が3.02nm、周期長p1が6.9nmであるとき、厚さd4は5nmである。
また、第1の多層膜4Aの成膜領域は最下層の剥離層51の成膜領域よりも一回り狭い範囲になっており、最下層の剥離層51の一部が表面に露出している。同様に、第2、第3、及び第4の多層膜6A,61,62の成膜範囲は、それぞれ第1の多層膜4A及び第1の剥離層5Aの成膜領域、第2の多層膜6A及び第2の剥離層52の成膜領域、並びに第3の多層膜61及び第3の剥離層53の成膜領域よりも順次一回り小さい範囲になっており、剥離層5A,52,53の一部がそれぞれ表面に露出している。
図5(A)の変形例と同様に、本実施形態の多層膜反射鏡10Cにおいて、多層膜6A,61,62の位置を周期長p1の整数倍だけ深さ方向にずらすと、多層膜6A,61,62内のMo層2及びSi層3の位置がそれぞれ第1の多層膜4A内のMo層2及びSi層3の位置と重なるようになっている。この結果、第1の多層膜4Aで反射した光(本実施形態では波長13.5nmの軟X線又はEUV光)の位相と、第2、第3、及び第4の多層膜6A,61,62で反射した光の位相とは一致し、それらは互いに強め合うことになり高い反射率を得ることができる。
また、第1、第2、及び第3の剥離層5A,52,53の深さ方向の中心位置は、それぞれ第1の多層膜4A(並びに第2、第3、及び第4の多層膜6A,61,62)のMo層2の深さ方向の中心位置に対して、周期長p1の整数倍だけずれた位置に配置されている。そのため、剥離層5A,52,53も多層膜反射鏡10Cの周期構造の一部の役割を果たし、その結果、剥離層5A,52,53を挿入したことによる反射率の低下を抑制している。
本実施形態の多層膜反射鏡10CをEUV露光装置等の光学系に使用して、表面にコンタミネーションが付着するか、又は表面に酸化膜が形成されて反射率が低下した場合には、多層膜反射鏡10Cを硝酸液に浸漬して第3の剥離層53を溶かして、第3の剥離層53とその上に形成された第4の多層膜62とを除去することにより、第3の多層膜61を表面に露出させて高い反射率を回復することができる。
このとき、第3の剥離層53のみを溶かして、最下層の剥離層51、及び第1、第2の剥離層5A,52は溶かさないようにするために、図7(B)に示すように、第3の剥離層53だけが露出して、それ以外の剥離層51,5A,52が露出しないように、フォトレジスト又は感光性のポリイミド等(酸に溶けない材料)を塗布して被覆層7を形成し、他の剥離層51,5A,52を保護してから多層膜反射鏡10Cを硝酸液に浸漬することが好ましい。被覆層7は、剥離層51,5A,52用の保護層(カバー層)とみなすこともできる。このように被覆層7を設けることによって、第3の剥離層53及び第4の多層膜62のみを選択的に除去することができる。 なお、不要となった被覆層7は除去することが望ましい。例えば、プラズマアッシング(灰化)により、多層膜にダメージを与えずに被覆層7のみを除去することができる。
また、多層膜反射鏡10Cを第3の多層膜61を露出させて使用している状態で、反射率が低下した場合には、図7(B)の被覆層7のうち、第2の剥離層52を覆っている部分を除去して被覆層7Aを残してから、多層膜反射鏡10Cを硝酸液に浸漬して第2の剥離層52を溶かして、第2の剥離層52とその上に形成された第3の多層膜61とを除去すればよい。そのように被覆層7の一部を除去するには、被覆層7がフォトレジストである場合には、例えば剥離層52の周縁部を露光し、その後現像すればよい。同様に、被覆層7が感光性のポリイミドである場合には、例えば除去したい部分を含む領域に光を照射して被覆層7を除去してもよい。 また、被覆層7を加熱や化学処理等により除去してもよい。その後、多層膜反射鏡10Cを第2の多層膜6Aを露出させて使用している状態で、反射率が低下した場合には、被覆層7Aのうち、第1の剥離層5Aを覆っている部分を除去してから、多層膜反射鏡10Cを硝酸液に浸漬して第1の剥離層5Aとその上に形成された第2の多層膜6Aとを除去すればよい。
このように本実施形態の多層膜反射鏡10Cによれば、第3の剥離層53及び第4の多層膜62の除去による反射率回復、第2の剥離層52及び第3の多層膜61の除去による反射率回復、並びに第1の剥離層5A及び第2の多層膜6Aの除去による反射率回復の合計3回の反射率の回復が可能である。剥離層と多層膜のブロックの数を増やせば、更に反射率の回復回数を増やすこともできる。また、本実施形態によれば、最後に第1の多層膜4Aが劣化したときには、最下層の剥離層51とともに多層膜4Aを除去することによって、基板1を再利用することができる。
なお、本実施形態において、剥離層51,5A,52,53のうちで、最下層の剥離層51よりもその上の剥離層5Aを酸に溶けやすい材料(より短時間で酸に溶ける材料)で形成し、同様に剥離層5Aよりもその上の剥離層52を酸に溶けやすい材料で形成し、剥離層52よりもその上の剥離層53を酸に溶けやすい材料で形成してもよい。これによって、例えば最上層の多層膜62の反射率が低下したときには、多層膜反射鏡10Cを最上層の剥離層53のみが溶解する時間だけ硝酸液に浸すことで、最上層の多層膜62のみを除去できる。同様に、順次、剥離層52及び5Aを酸で溶解することで、多層膜61及び6Aのみを除去できる。これによって、被覆層7を設けなくとも最上層の剥離層53から順に剥離することができる。
なお、上述の第1及び第2の実施形態では、多層膜反射鏡10〜10Cの多層膜4,4A,6,6A等は波長13.5nmの軟X線(EUV光)を反射するために使用されていた。しかしながら、反射する光の波長は任意である。例えば、波長11nm付近の光に対しては、モリブデンの層とベリリウム(Be)の層とを交互に積層した多層膜(Mo/Be多層膜)を使用してもよい。また、波長6.7nm付近の光に対しては、ランタン(La)の層と炭化ホウ素(B4C)の層とを交互に積層した多層膜(La/B4C多層膜)、ランタンの層とホウ素の層とを交互に積層した多層膜(LaB多層膜)、又は窒化ランタン(LaN)の層とホウ素の層とを交互に積層した多層膜(LaN/B多層膜)等を用いても良い。
その多層膜としては、密度が4g/cm3を超える原子又は合金(例えばモリブデン)よりなる第1の材料の層と、密度が4g/cm3以下の原子又は合金(例えばシリコン又はベリリウム)よりなる第2の材料の層とを交互に積層した多層膜を使用してもよい。また、その多層膜としては、2つの材料を交互に積層した多層膜に限らず、3つ以上の材料を交互に積層した多層膜を用いても良い。例えば、ルテニウム(Ru)の層とモリブデン(Mo)の層とシリコン(Si)の層とを交互に積層した多層膜(Ru/Mo/Si多層膜)や、モリブデン(Mo)の層とルテニウム(Ru)の層とモリブデン(Mo)の層とシリコン(Si)の層とが交互に積層した多層膜(Mo/Ru/Mo/Si)等を用いても良い。なお、その多層膜としては、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ランタン(La)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、4ホウ化炭素(BC)、炭化ケイ素(SiC)、炭化モリブデン(MoC)、窒化ランタン(LaN)等の2つ以上の材料が交互に積層した多層膜を用いても良い。
[第3の実施形態]
第3の実施形態につき図9を参照して説明する。本実施形態では、上述の実施形態の多層膜反射鏡を備えた露光装置を示す。
図9は、本実施形態に係る露光装置EXの要部の構成を概略的に示す。露光装置EXは、露光光(露光用の照明光又は露光ビーム)ELとして波長が105nm程度以下で、かつ3〜50nm程度の範囲内で例えば11nm又は13nm等のEUV光を用いるEUV露光装置である。図9において、露光装置EXは、露光光ELをパルス発生するレーザプラズマ光源20、露光光ELでレチクルR(マスク)のパターン面の照明領域27Rを照明する照明光学系ILS、レチクルRを保持して移動するレチクルステージRST、及びレチクルRの照明領域27R内のパターンの像をレジスト(感光材料)が塗布された半導体ウエハ(以下、単にウエハという。)Wの表面に投影する投影光学系POを備えている。さらに、露光装置EXは、ウエハWを保持して移動するウエハステージWST、及び装置全体の動作を統括的に制御するコンピュータを含む主制御装置(不図示)等を備えている。
本実施形態では、露光光ELとしてEUV光が使用されているため、照明光学系ILS及び投影光学系POは、特定のフィルタ等(不図示)を除いて複数のミラー等の反射光学部材より構成され、レチクルRも反射型である。それらの反射光学部材は、例えば、低熱膨張ガラス(又は石英あるいは高耐熱性の金属等)よりなる部材の表面を所定の曲面又は平面に高精度に加工した後、その表面に例えばモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との多層膜(EUV光の反射膜)を形成して反射面としたものである。それらの反射光学部材の少なくとも一つは、例えば図1(A)、図5(A)、図6(A)又は図7(B)の多層膜反射鏡10,10A,10Cと同様の多層膜反射鏡である。
また、レチクルRは例えば低熱膨張ガラスの基板の表面に多層膜を形成して反射面(反射膜)とした後、その反射面の矩形又は正方形のパターン領域PAに、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、又はクロム(Cr)等のEUV光を吸収する材料よりなる吸収層によって転写用のパターンを形成したものである。
また、EUV光の気体による吸収を防止するため、露光装置EXのレーザプラズマ光源20、レチクルステージRST、投影光学系PO、及びウエハステージWSTを含む露光本体部は、全体として箱状の真空チャンバCH内に収容され、真空チャンバCH内の空間を真空排気するための大型の真空ポンプ32が備えられている。一例として、真空チャンバCH内の気圧は10-5Pa程度、真空チャンバCH内で投影光学系POを収容するサブチャンバ(不図示)内の気圧は10-5〜10-6Pa程度である。
以下、図9において、ウエハステージWSTが載置される面(真空チャンバ1の底面)の法線方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面(本実施形態ではほぼ水平面に平行な面)内で図9の紙面に垂直にX軸を、図9の紙面に平行にY軸を取って説明する。本実施形態では、レチクルR及びウエハWは投影光学系POに対してY方向(走査方向)に同期して走査される。
まず、レーザプラズマ光源20は、高出力のレーザ光源(不図示)と、このレーザ光源から真空チャンバCHの窓部材15を介して供給されるレーザ光を集光する集光レンズ12と、すず(Sn)等のターゲット液滴(droplet)を噴出するノズル14と、回転楕円面状の反射面を持つ集光ミラー13とを備えた、ドロプレットターゲット方式の光源である。レーザプラズマ光源20から例えば数kHzの周波数でパルス発光された露光光ELは、集光ミラー13の第2焦点に集光する。その第2焦点に集光した露光光ELは、凹面ミラー(コリメータ光学系)21を介してほぼ平行光束となり、それぞれ複数のミラーよりなる第1フライアイ光学系22及び第2フライアイ光学系23(オプティカルインテグレータ)で順次反射される。一例として、集光ミラー13の反射面13a、及び凹面ミラー21の反射面21aにはそれぞれ図1(A)の多層膜反射鏡10と同様に、第1の多層膜4、剥離層5、及び第2の多層膜6が形成されている。
図9において、第2フライアイ光学系23の反射面の近傍の実質的に面光源が形成される面(照明光学系ILSの瞳面)又はこの近傍の位置に、照明条件を通常照明、輪帯照明、2極照明、又は4極照明等に切り換える可変開口絞り(不図示)が配置されている。第2フライアイ光学系23で反射された露光光ELは、曲面ミラー24及び凹面ミラー25よりなるコンデンサ光学系を介して、レチクルRのパターン面Raの円弧状の照明領域27Rを下方から平均的に小さい入射角で均一な照度分布で照明する。凹面ミラー21、フライアイ光学系22,23、曲面ミラー24、及び凹面ミラー25を含んで照明光学系ILSが構成されている。なお、照明光学系ILSは図9の構成には限定されず、他の種々の構成が可能である。また、照明領域27Rの形状を実質的に規定するために、レチクルブラインド(可変視野絞り)26が設けられている。
次に、レチクルRは、レチクルステージRSTの底面(下面)にレチクルホルダとしての静電チャックRHを介して吸着保持され、レチクルステージRSTは、真空チャンバCH内の天井部に配置されたレチクルベースRBのXY平面に平行なガイド面(下面)に沿って、例えば磁気浮上型2次元リニアアクチュエータよりなる駆動系によって所定のギャップを隔てて保持されている。
レチクルステージRSTのX方向、Y方向の位置、及びZ軸の回り(θz方向)の傾斜角等はレーザ干渉計(不図示)によって計測されている。その計測値等に基づいて、レチクルステージRSTは不図示の駆動部によってレチクルベースRBのガイド面に沿ってY方向に所定の可動範囲内で駆動されるとともに、X方向及びθz方向等にもある程度の範囲で駆動可能である。
レチクルRの照明領域27Rで反射された露光光ELが、物体面(第1面)のパターンの縮小像を像面(第2面)に形成する投影光学系POに向かう。投影光学系POは、一例として、6枚のミラーM1〜M6を不図示の鏡筒で保持することによって構成され、物体面(パターン面Ra)側に非テレセントリックで、像面(ウエハWの表面)側にほぼテレセントリックの反射光学系であり、投影倍率βは1/4倍等の縮小倍率である。レチクルRの照明領域27Rで反射された露光光ELが、投影光学系POを介してウエハWの一つのショット領域(ダイ)の露光領域27W(照明領域27Rと光学的に共役な領域)に、レチクルRのパターン領域PA内のパターンの一部の縮小像を形成する。
投影光学系POにおいて、レチクルRからの露光光ELは、第1のミラーM1で上方(+Z方向)に反射され、続いて第2のミラーM2で下方に反射された後、第3のミラーM3で上方に反射され、第4のミラーM4で下方に反射される。次に第5のミラーM5で上方に反射された露光光ELは、第6のミラーM6で下方に反射されて、ウエハWの表面にレチクルRのパターンの一部の像を形成する。一例として、投影光学系POは、ミラーM1〜M6の光軸が共通に光軸AXと重なる共軸光学系であり、ミラーM2の反射面の近傍の瞳面又はこの近傍に開口絞り(不図示)が配置されている。一例として、ミラーM1の反射面M1aには図1(A)の多層膜反射鏡10と同様に、第1の多層膜4、剥離層5、及び第2の多層膜6が形成されている。なお、投影光学系POは共軸光学系でなくともよく、その構成は任意である。
また、ウエハWは、静電チャック(不図示)を介してウエハステージWST上に吸着保持されている。ウエハステージWSTは、XY平面に沿って配置されたガイド面上に配置されている。ウエハステージWSTは、レーザ干渉計(不図示)の計測値等に基づいて、不図示の例えば磁気浮上型2次元リニアアクチュエータよりなる駆動部(不図示)を介してX方向及びY方向に所定の可動範囲で駆動され、必要に応じてθz方向等にも駆動される。
露光の際に、ウエハWのレジストから生じる気体が投影光学系PLのミラーM1〜M6に悪影響を与えないように、ウエハWを移動するウエハステージWSTはパーティションCHWの内部に配置されている。パーティションCHWには露光光ELを通過させる開口が形成され、パーティションCHW内の空間は、別の真空ポンプ(不図示)により真空排気されている。
ウエハW露光時の基本的な動作として、ウエハステージWSTのX方向、Y方向への移動(ステップ移動)により、ウエハWの一つのショット領域が走査開始位置に移動する。そして、照明光学系ILSから露光光ELが照明領域27Rに照射され、レチクルRの照明領域27R内のパターンの投影光学系POによる像でウエハWの当該ショット領域の露光領域27Wを露光しつつ、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを同期駆動して、レチクルR及びウエハWを投影光学系POに対して投影倍率に応じた速度比でY方向に同期して移動することで、当該ショット領域にレチクルRのパターンの像が走査露光される。そして、ステップ・アンド・スキャン方式でそのステップ移動と走査露光とを繰り返すことで、ウエハWの複数のショット領域に対して順次レチクルRのパターン領域PA内のパターンの像が露光される。
本実施形態の露光装置EXによれば、集光ミラー13、凹面ミラー21、又はミラーM1の反射率が低下したときには、それらの集光ミラー13、凹面ミラー21、又はミラーM1を硝酸液に浸漬して、第1の多層膜4を露出させることで、その反射率を回復できる。従って、露光装置EXのレーザプラズマ光源20、照明光学系ILS、及び投影光学系POのメンテナンスコストを低減することができる。
また、上記の実施形態の露光装置EX又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する場合、この電子デバイスは、図10に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造するステップ223、前述した実施形態の露光装置又は露光方法によりマスクのパターンを基板に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
言い替えると、上記のデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置又は露光方法を用いて、マスクのパターンを介して基板(ウエハW)を露光する工程と、その露光された基板を処理する工程(即ち、基板のレジストを現像し、そのマスクのパターンに対応するマスク層をその基板の表面に形成する現像工程、及びそのマスク層を介してその基板の表面を加工(加熱及びエッチング等)する加工工程)と、を含んでいる。
このデバイス製造方法によれば、露光装置EXのメンテナンスコストを低減できるため、電子デバイスの製造コストを低減できる。
また、本発明は、半導体デバイスの製造プロセスへの適用に限定されることなく、例えば、液晶表示素子、プラズマディスプレイ等の製造プロセスや、撮像素子(CMOS型、CCD等)、マイクロマシーン、MEMS(Microelectromechanical Systems:微小電気機械システム)、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイス(電子デバイス)の製造プロセスにも広く適用できる。
なお、上記の実施形態では、露光光としてレーザプラズマ光源で発生したX線(EUV光)を使用しているが、露光光としては例えば放電プラズマ光源やシンクロトロン放射光(Synchrotron Radiation)よりなるX線を使用することもできる。
また、上記の実施形態では露光光としてEUV光を用い、6枚のミラーのみから成るオール反射の投影光学系を用いる場合について説明したが、これは一例である。例えば、4枚等のミラーのみから成る投影光学系を備えた露光装置は勿論、光源に波長100〜160nmの真空紫外光(Vacuum Ultra-Violet Light: VUV光)を発生するVUV光源を備える露光装置、例えば露光光源としてAr2 レーザ(波長126nm)を用い、4〜8枚等のミラーを有する投影光学系を備えた露光装置などにも本発明を適用することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
また、本願に記載した上記公報、各国際公開パンフレット、米国特許、又は米国特許出願公開明細書における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2014年2月24日付け提出の日本国特許出願第2014−033476号の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
1…基板、2…モリブデンの層(Mo層)、3…シリコンの層(Si層)、4,4A…第1の多層層、5,5A…剥離層、6,6A…第2の多層膜、7…剥離層用の被覆層、8…保護層、10,10A,10B,10C…多層膜反射鏡、EX…露光装置、ILS…照明光学系、PO…投影光学系、20…レーザプラズマ光源
本発明の第1の態様によれば、入射する光を反射する多層膜反射鏡であって、基板と、該基板の表面に第1の材料及び第2の材料を交互に積層して形成された第1の多層膜と、その第1の多層膜上に形成され、その第1の多層膜に対して剥離可能な第1の剥離層と、その第1の剥離層上にその第1の材料及びその第2の材料を交互に積層して形成された第2の多層膜と、を備え、その第2の多層膜は、その第1の剥離層を剥離することによってその第1の剥離層とともに除去可能であるか、その第1の剥離層は、その第1の材料及びその第2の材料よりも酸に溶けやすい少なくとも1種類の金属を含むか、又はその第1の剥離層は、銅及び銀の合金、銅とアルミニウムの合金、若しくはアルミニウムと銀の合金で形成される多層膜反射鏡が提供される。
第2の態様によれば、入射する光を反射する多層膜反射鏡の製造方法であって、基板の表面に第1の材料及び第2の材料を交互に積層して第1の多層膜を形成することと、その第1の多層膜上に、その第1の多層膜に対して剥離可能に第1の剥離層を形成することと、その第1の剥離層上に、その第1の材料及びその第2の材料を交互に積層して第2の多層膜を形成することと、を含み、その第1の剥離層は、その第1の材料及びその第2の材料よりも酸に溶けやすい少なくとも1種類の金属を含むか、又はその第1の剥離層は、銅及び銀の合金、銅とアルミニウムの合金、若しくはアルミニウムと銀の合金で形成される製造方法が提供される。

Claims (19)

  1. 入射する光を反射する多層膜反射鏡であって、
    基板と、
    該基板の表面に第1の材料及び第2の材料を交互に積層して形成された第1の多層膜と、
    前記第1の多層膜上に形成され、前記第1の多層膜に対して剥離可能な第1の剥離層と、
    前記第1の剥離層上に前記第1の材料及び前記第2の材料を交互に積層して形成された第2の多層膜と、を備え、
    前記第2の多層膜は、前記第1の剥離層を剥離することによって前記第1の剥離層とともに除去可能であることを特徴とする多層膜反射鏡。
  2. 前記第1の剥離層は、
    前記第2の多層膜で反射される前記光の位相と、前記第1の多層膜及び前記第1の剥離層を介して前記第1の多層膜で反射される前記光の位相とが一致するように設定される厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の多層膜反射鏡。
  3. 前記第2の多層膜における前記第1及び第2の材料の積層数は、前記第1の多層膜における前記第1及び第2の材料の積層数よりも少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載の多層膜反射鏡。
  4. 前記第1及び第2の材料が交互に積層される前記第2の多層膜の積層周期と、前記第1及び第2の材料が交互に積層される前記第1の多層膜の積層周期とが互いに等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。
  5. 前記剥離層の厚さ方向における中心位置は、
    前記第1の多層膜の前記第1の材料又は前記第2の材料の積層方向における中心位置に対して、前記第1の多層膜の前記第1の材料及び前記第2の材料の積層周期の整数倍である位置に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。
  6. 前記第1の多層膜上又は前記第2の多層膜上の少なくとも一方に形成され、前記第1の多層膜又は前記第2の多層膜の表面を保護する保護層をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。
  7. 前記第1の多層膜または前記第2の多層膜の少なくとも一方は、
    2つ以上の材料が交互に積層して形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。
  8. 前記第2の多層膜上に形成され、前記第2の多層膜に対して剥離可能な第2の剥離層と、
    前記第2の剥離層上に前記第1の材料及び前記第2の材料を交互に積層して形成された第3の多層膜と、を備え、
    前記第3の多層膜は、前記第2の剥離層を剥離することによって、前記第2の剥離層とともに除去可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。
  9. 前記第1の剥離層の端部を覆うように設けられ、前記第2の剥離層を除去する際に前記第1の剥離層を保護する被覆層を備えることを特徴とする請求項8に記載の多層膜反射鏡。
  10. 前記第1の剥離層は、前記第1及び第2の材料よりも酸に溶けやすい少なくとも1種類の金属を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。
  11. 前記第3の多層膜は、2つ以上の材料が交互に積層して形成されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡。。
  12. 入射する光を反射する多層膜反射鏡の製造方法であって、
    基板の表面に第1の材料及び第2の材料を交互に積層して第1の多層膜を形成することと、
    前記第1の多層膜上に、前記第1の多層膜に対して剥離可能に第1の剥離層を形成することと、
    前記第1の剥離層上に、前記第1の材料及び前記第2の材料を交互に積層して第2の多層膜を形成することと、
    を含むことを特徴とする多層膜反射鏡の製造方法。
  13. 前記第2の多層膜で反射される前記光の位相と、前記第1の多層膜及び前記第1の剥離層を介して前記第1の多層膜で反射される前記光の位相とが一致するように、前記第1の剥離層の厚さを設定することを特徴とする請求項12に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
  14. 前記第2の多層膜における前記第1及び第2の材料の積層数を、前記第1の多層膜における前記第1及び第2の材料の積層数よりも少なく設定することを特徴とする請求項12又は13に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
  15. 前記第1の多層膜または前記第2の多層膜の少なくとも一方を、2つ以上の材料を交互に積層して形成することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
  16. 入射する光の光路上に配置された複数の光学部材を備える光学系であって、
    前記複数の光学部材の少なくとも一つは、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡であることを特徴とする光学系。
  17. 光源からの露光光で照明系を介してパターンを照明し、前記露光光で前記パターン及び投影光学系を介して基板を露光する露光装置において、
    前記光源、前記照明系、及び前記投影光学系の少なくとも一つが、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡を備えることを特徴とする露光装置。
  18. 多層膜反射鏡の再生方法であって、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層膜反射鏡を準備することと、
    前記多層膜反射鏡に剥離剤を付着させて、前記多層膜反射鏡の前記剥離層及び前記剥離層上に形成された多層膜を除去することと、
    を含む多層膜反射鏡の再生方法。
  19. 請求項17に記載の露光装置を用いて感光性基板を露光することと、
    前記露光された感光性基板を処理することと、を含むデバイス製造方法。
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