JP2018184550A - 封止材組成物、半導体用封止材組成物及び封止材用微粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの問題を解決する手段として、樹脂組成物に、微粒子を配合し、その硬化物の靱性を向上させる方法が検討されている。
特許文献1には、ビニルモノマー(A)100重量部、体積平均粒子径が0.05〜1μmのポリマー微粒子(B)0.1〜45重量部、及びビニルモノマー(A)に対して50〜5000ppmの重合禁止剤(C)を含み、
該ポリマー微粒子が、その内側に存在する弾性コア層、及びその最も外側に存在するシェル層の少なくとも2層を含み、該弾性コア層が、ガラス転移温度が10℃未満のゴム状重合体からなる硬化性組成物であって、
該ビニルモノマー(A)が、側鎖に環状構造を有するモノマー(a−1)50〜100重量%、及びその他のビニルモノマー(a−2)0〜50重量%、合計100重量%からなり、かつ
該シェル層が、該側鎖に環状構造を有するモノマー(a−1)と同じ化合物である側鎖に環状構造を有する(b−1)1〜100重量%、及びその他のビニルモノマー(b−2)0〜99重量%、合計100重量%からなるグラフト成分を重合してなる重合体からなることを特徴とする硬化性組成物、が開示されている(特許文献1の請求項1)。
また、近年の高集積化の要求に伴って、薄膜での電気絶縁性、耐熱性、耐久性等、要求性能も益々高度化しており、特許文献1に開示された硬化性組成物の硬化物は、これらの要求を満足することができていない。
加えて、特許文献1に開示された硬化性組成物は、バインダー、例えばビニルモノマーに対するポリマー微粒子の分散性が悪く、不安定な状態で存在し、別途分散処理を必要とする等、改善の余地があった。
[1]少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、
微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、
微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物。
[2]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含む、[1]に記載の封止材組成物。
[3]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含む、[2]に記載の封止材組成物。
[4]微粒子が、更にシェルを有し、
シェルがアクリル樹脂を含み、
コアのガラス転移温度(Tgc)が80℃以上であり、シェルのガラス転移温度(TgS)が80℃以上である、[1]から[3]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[5]シェルに含まれるアクリル樹脂が、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iv)スチレン系モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含む、[4]に記載の封止材組成物。
[6]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[1]から[5]のいずれか1に記載の封止材組成物であって、
前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[7]アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[1]から[6]のいずれか1に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[8]コアに含まれるアクリル樹脂が、(v)多官能ビニルモノマーを含む混合物の重合体を含む、[4]から[7]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[9]微粒子が、更にシェルを有し、
シェルがシリカ化合物を含み、
コアのガラス転移温度(Tgc)が45℃以上である、[1]から[3]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[10]微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する、[9]に記載の封止材組成物。
[11]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[9]又は[10]のいずれかに記載の封止材組成物であって、
前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[12]アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[9]から[11]のいずれか1に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[13]コアの質量と、前記シェルの質量との比が、コア/シェル=50/50〜95/5である、[4]から[12]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[14]微粒子と、エポキシ樹脂とを含む、半導体用封止材組成物であって、微粒子は、上記[1]から[13]のいずれか1に記載の微粒子である、半導体用封止材組成物。
[15]上記[1]から[14]のいずれか1に記載の封止材組成物の硬化物である封止材。
[16]封止材用微粒子であって、微粒子は、[1]から[13]のいずれか1に記載の微粒子である、封止材用微粒子。
封止材組成物において用い得るバインダーとして、例えば、樹脂が用いられている。用いる樹脂の性質に起因して、封止材組成物の硬化物である封止材は、伸び性に乏しくなり、応力による耐久劣化を引き起こす場合があった。このような現象が生じると、封止材の剥がれ等の問題が生じてしまう。
このため、本願発明者らは、封止材の応力緩和性及び伸び性を向上させ、例えば靱性を向上させることを試みた。
さらに、本明細書において開示されている発明により、封止材組成物に適切な粘性を付与することを可能とし、封止材組成物の硬化物である封止材は優れた靱性を有することを見出した。
例えば、本発明の封止材組成物であれば、封止材組成物の粘度を調整でき、要求されるより高い粘度範囲から、より低い粘度の範囲内に粘性を与えることができるので、封止材組成物の塗布性及び作業性を向上させることができる。
また、本発明の封止材組成物は適切な粘性を有するので、液体の状態で塗布することができ、その一方で、例えば、金型等の封止部材の外部に、塗布した封止材組成物が流出することを抑制できる。
本発明に係る封止材組成物が適切な粘性を有することにより、組成物はチクソトロピー性を有し得る。例えば、シリンジ、スプレー等による封止材組成物を塗布する場合、高いせん断速度が加えられ、封止材組成物に低い粘度を与えて、良好な作業性を得るように制御できる。
さらに、封止材の薄膜化が可能となり、半導体デバイスの高集積化が可能となる。
少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、
前記微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、
前記微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、
前記微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物である。
また、前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよい。
コアのガラス転移温度(Tgc)が80℃以上であり、シェルのガラス転移温度(TgS)が80℃以上であってもよい。
コアのガラス転移温度(Tgc)が45℃以上であり、前記微粒子のコアに含まれるアクリル樹脂が、多官能ビニルモノマーを更に含み、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含んでもよい。
さらに、微粒子におけるコアの質量と、前記シェルの質量との比が、コア/シェル=50/50〜95/5であることができる。
本発明に係る微粒子は、少なくともコアを有する。本明細書において、コアは、粒子の中心部分を含む層を意味し、核形成時に生成される領域を含むことが多い。
ある態様において、微粒子は更にシェルを有してもよい。シェルは、コアの外側に隣接して存在し、少なくともコアの一部を被覆する層である。
微粒子がシェルを有することにより、本発明に係る微粒子のうち、コアから構成される単層型の微粒子が有するバインダーへの分散性、封止材組成物への適切な粘性付与、及び、封止材の靭性を更に向上できる。
ある態様において、コアは複数層を有してもよい。このような構造を有することにより、微粒子はバインダーに対する分散性に優れ、封止材組成物は、使用態様に応じて最適な粘度を有することができる。さらに、本発明の封止材は、優れた靱性を有する。
例えば、シェルがシリカ化合物を含む場合、コアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有し得る。別の態様においては、コアは3層以上の構造を有してもよい。
また、コアが第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する場合、第1層表面の少なくとも一部を覆うように第2層が存在してもよい。
例えば、バインダーとしてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化物は伸び性に乏しく、応力による耐久劣化のために、支持部材等から剥がれてしまう等の問題が生じる場合があった。しかし、本発明に係る微粒子とエポキシ樹脂とを用いる場合、これらの相溶性がよく、混合した場合においても非常に高い分散安定性を示す。また、得られる封止材の靭性、耐衝撃性を改善することができる。このため、微粒子の分散処理を別途行わなくてもよい。アクリル樹脂の具体例は、後述する。
さらに、バインダーへの微粒子の分散性が向上することにより、封止材においても均一に微粒子が存在すると考えられるので、本発明の封止材は、バインダーの性質に起因して生じ得る応力を、十分に緩和でき、封止材に優れた靱性を付与できる等、封止材の機械的特性を向上できる。その結果、封止材の割れ、支持部材からの剥がれ等の不具合を抑制できる。
別の態様において、微粒子は45〜80℃の間に、ガラス転移温度(Tg)を有してもよい。
さらに、微粒子のブロッキングを抑制でき、バインダーへの分散性が良好であることにより、封止材組成物に適切な粘性を与えることができる。
また、バインダーへの微粒子の分散性が向上することにより、封止材においても均一に微粒子が存在すると考えられるので、本発明の封止材は、優れた靱性を付与できる等、封止材の機械的特性が優れ、さらに、バインダーの性質に起因して生じ得る応力を十分に緩和できる。その結果、割れ、剥がれ等の不具合を抑制できる。
例えば、ガラス転移温度(Tg)がこのような範囲であることにより、ガラス転移温度未満の温度で加熱混合を行う限り、微粒子の変形を抑制できる。その結果、粘性が維持され良好な作業性を維持できる。さらに、高温条件で保管しても粒子の凝集を抑制でき、性能を維持できる。
例えば、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、80〜140℃の範囲内であることができる。
例えば、アクリル樹脂が架橋性モノマーを含む場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は60℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、例えば、100℃以上である。上限値は、上記範囲内であることができる。
一方、微粒子がコアシェル型の態様においては、コアのガラス転移温度(Tg)及びシェル部のガラス転移温度(Tg)をそれぞれ記載する場合がある。あるいは、微粒子がコアシェル型の態様において、いずれの部位のガラス転移温度(Tg)であるかを示さず、単にガラス転移温度(Tg)を記載する場合があり、コアのガラス転移温度(Tg)とシェル部のガラス転移温度(Tg)のうち、最も低いガラス転移温度(Tg)が、微粒子のガラス転移温度(Tg)として記載される。
シェル部のガラス転移温度(Tgs)>コアのガラス転移温度(Tgc)
シェル部のガラス転移温度(Tgs)=コアのガラス転移温度(Tgc)
シェル部のガラス転移温度(Tgs)<コアのガラス転移温度(Tgc)
本発明においては、封止材に要求される諸物性、コアに含まれる組成、シェルに含まれる組成、コアの質量とシェルの質量との比等に応じて、シェル部のガラス転移温度(Tgs)とコアのガラス転移温度(Tgc)の関係を設定できる。
例えば、コア及びシェルがアクリル樹脂を含む場合、
シェル部のガラス転移温度(Tgs)≧コアのガラス転移温度(Tgc)
の関係を有し得る。微粒子のガラス転移温度が所定の条件を満たし、かつこのような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上する。さらに、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。加えて、封止材の靭性がより良好になる。
例えば、微粒子が、複数のアクリルモノマーの重合体である場合、下記一般式
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+wn/Tgn
で表されるTgを微粒子のTgとする。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wa:モノマーAの質量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wb:モノマーBの質量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wn:モノマーNの質量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
ある態様において、微粒子は単層型であり、微粒子のコアはアクリル樹脂を含む。
単層型の微粒子の場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、好ましくは50℃以上である。ある態様においては80℃以上、例えば、90℃以上であり、別の態様においては100℃以上である。微粒子のガラス転移温度(Tg)は、例えば、140℃以下であり、好ましくは130℃以下であり、ある態様においては120℃以下である。例えば、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、80〜140℃の範囲内であることができる。
ある態様において、アクリル樹脂が架橋性モノマーを含む場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は60℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、例えば、100℃以上である。上限値は、140℃以下の任意の値であり得る。
ある態様において、微粒子は、更にシェルを有する。シェルは、例えば、アクリル樹脂又はシリカ化合物を含み得る。
ある態様において、コア及びシェルがアクリル樹脂を含む場合、コアとシェルに含まれるアクリル樹脂の組成は、それぞれ異なり得る。
ある態様において、シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアは単独のアクリル樹脂を含んでも良く、複数種のアクリル樹脂を含んでもよい。
好ましくは、シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有してもよい。
微粒子が、コアに加えてシェルを有し、シェルがアクリル樹脂を含む場合、より高い靭性を保持できる。ある態様においては、微粒子のモルフォロジーを制御することにより、靭性を制御できる。また、シェルに含まれる樹脂の表面官能基を制御することにより、粘性と靭性をより良好に両立できる。微粒子がコアシェル構造の場合、コアに含まれるアクリル樹脂は、例えば、架橋性モノマーを含み、シェルに含まれるアクリル樹脂は、例えば、非架橋性のアクリル樹脂を含む。
このような樹脂を含む微粒子を含むことで、本発明の封止材組成物から形成される封止材は、例えば、半導体用の封止材として用いる場合、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高めることができる。さらに、良好な靭性を有するので、封止材の耐久性が向上する。
シェル部のガラス転移温度(Tgs)≧コアのガラス転移温度(Tgc)
の関係を有し得る。微粒子のガラス転移温度が所定の条件を満たし、かつこのような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上する。さらに、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。加えて、封止材の靭性がより良好になる。
コア及びシェルが共にアクリル樹脂を含む場合、シェルのアクリル樹脂のガラス転移温度から、コアのアクリル樹脂のガラス転移温度を差し引いた値の範囲は、0℃〜20℃であることが好ましく、0℃〜15℃であることがより好ましい。
このような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上し、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。さらに、封止材の靭性がより良好になる。
このような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上し、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。さらに、封止材の靭性がより良好になる。
このような態様において、コアのガラス転移温度(Tgc)は、例えば、80℃を超え、シェルのガラス転移温度(TgS)は80℃以上であり、ある態様においては、コアのガラス転移温度(Tgc)は、例えば、90℃以上であり、シェルのガラス転移温度(TgS)は80℃以上である。
コア部とシェル部との質量比が上記範囲であることにより、バインダーに対する分散性を良好にでき、かつ硬化後の封止材に良好な靭性を付与することができる。
微粒子がコアシェル構造を有する場合、例えば、コアのアクリル樹脂は、架橋性モノマーを含んでもよく、シェルのアクリル樹脂は、非架橋性であってもよい。このように、コア部に架橋性成分を有し、シェル部を非架橋成分とするモルフォロジーを微粒子が有することにより、バインダー成分との分散性を良好に確保し、さらに、微粒子の膨潤、溶解等を抑制できる。これにより、封止材に均一な性能を付与できることに加え、封止材組成物の安定性に基づき、長期間保管可能となる。また、封止材は優れた靱性を備えることができる。本発明の封止材は、例えば、半導体用の封止材として用いることができ、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高め、さらに、靭性を有することで、支持部材の反りを抑制できる。
ある態様において、シェルはシリカ化合物を含み得る。シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアは、アクリル樹脂を含む単層型のコアであってもよい。シェルがシリカ化合物を含む別の態様においては、微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有してもよい。
シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアにおけるガラス転移温度(Tgc)は、45℃以上であり、例えば50℃以上である。ある態様では55℃以上、例えば60℃以上である。
シェルにシリカ化合物を含む微粒子の場合、微粒子のコアにおけるガラス転移温度(Tg)は、例えば90℃以下、好ましくは80℃以下である。このような範囲でガラス転移温度を有することにより、特定の理論に限定されるべきではないが、コアとシェルの硬さのバランスを保つことができると考えられ、封止材に対して、優れた靱性を付与できる。
例えば、コア部にアクリル樹脂を含み、シェル部にシリカ化合物を含む態様においても、上記コア部のガラス転移温度は、前述の態様と同様にして算出される。
ある態様においては、微粒子のモルフォロジーを制御することにより、靭性を制御できる。また、シェルに含まれるシリカ化合物の表面官能基を制御することにより、バインダーへの分散性をより向上できる。
ある態様において、コアのアクリル樹脂は、架橋性モノマーを含んでもよく、シェルのアクリル樹脂は、非架橋性であってもよい。このように、コア部に架橋性成分を有し、シェル部を非架橋成分とするモルフォロジーを微粒子が有することにより、バインダー成分との分散性を良好に確保し、さらに、微粒子の膨潤、溶解等を抑制できる。これにより、封止材に均一な性能を付与できることに加え、封止材組成物の安定性に基づき、長期間保管可能となる。その上、封止材は優れた靱性を備えることができる。
本発明の封止材は、例えば、半導体用の封止材として用いることができ、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高め、さらに、靭性を有することで、支持部材の反りを抑制できる。
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含む。本発明において、例えば、コアをアクリル樹脂分散体から調製してもよく、シェルをアクリル樹脂分散体から調製してもよい。
例えば、アクリル樹脂分散体として用い得るアクリル樹脂エマルションとして、各種重合性モノマーの重合によって得られるアクリル樹脂のエマルション等が挙げられる。
このような構造を有することにより、本発明の封止材組成物を半導体用の封止材組成物として用いることができる。例えば、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高めることができ、さらに、封止材は良好な靱性を有するので、支持部材及び封止材の反り、割れ、剥離等を抑制ができる。
例えば、微粒子が単層型である場合、封止材組成物の粘性は、25℃において、例えば1〜100Pa・s、好ましくは10〜40Pa・s、ある態様においては、15〜30Pa・sの範囲内であることが好ましい。
このようなコアシェル構造を有する微粒子を含む封止材組成物は、例えば、半導体用の封止材組成物として用いることができる。例えば、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高めることができ、さらに、封止材組成物の硬化物である封止材は良好な靱性を有するので、支持部材及び封止材の反り、割れ、剥離等を抑制ができる。
例えば、微粒子がコアシェル構造を有し、コアがアクリル樹脂を含み、シェルがシリカ化合物を含む場合、封止材組成物の粘性は、25℃において、例えば1〜100Pa・s、好ましくは10〜40Pa・s、例えば15〜30Pa・sの範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂の固形分酸価は、後述の各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂の固形分酸価が上記範囲となるように選択することによって調整できる。
例えば、シェル部に含まれるアクリル樹脂の固形分酸価は5〜200mgKOH/gであり、好ましくは25〜170mgKOH/gであってもよい。
このような構成を有することにより、微粒子はバインダー中に良好に分散できる。
(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
なお、本明細書中において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸を表す。
酸基は、カルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸基等から選ばれることが好ましい。特に好ましい酸基は、上述のような安定性向上、硬化反応促進機能の観点から、カルボキシル基である(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマーの内でもカルボキシル基含有モノマーを用いることが好ましく、モノマー(ii)の内、カルボキシル基含有モノマーが50質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上含まれることがより好ましい。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−アクリルアミドプロパンスルホン酸、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。リン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのリン酸モノエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルのリン酸モノエステルのライトエステルPM(共栄社化学社製)等が挙げられる。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のモノマーが挙げられ、なかでも、疎水性、コスト、入手の利便性等の観点からスチレンモノマーが特に好ましい。
例えば、シェルにシリカ化合物を含む態様において、スチレン系モノマーの含有量は、アクリル樹脂の合成に用いるモノマー全量100質量部に対して、好ましくは0〜45質量部、例えば5〜38質量部、ある態様においては10〜38質量部である。
アクリル樹脂エマルションは、乳化剤及び水性媒体を含んでもよい。乳化剤としては、特に限定されず、通常用いられる乳化剤、例えば、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有しない非反応性乳化剤、及び/又は分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有する反応性乳化剤を用いることができる。
このうちアニオン系の乳化剤としては、アルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
また非イオン系の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテル等が挙げられる。
乳化剤として、例えば、市販品である、アクアロンRNシリーズ(第一工業製薬社製);エレミノールJS−2(三洋化成工業社製);ラテムルS−120、S−180A、PD−104等のラテムルシリーズ、エマルゲン109P等のエマルゲンシリーズ(花王社製);ニューコール706、707SN等の、ニューコールシリーズ(日本乳化剤社製);アントックス(Antox)MS−2N(2−ソジウムスルホエチルメタクリレート)等の、アントックスシリーズ(日本乳化剤社製);アデカリアソープNE−10(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン)等の、アデカリアソープシリーズ(ADEKA社製);等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂の調製において、公知の重合開始剤を使用できる。重合開始剤は、熱又は還元性物質等によりラジカルを生成してモノマーを付加重合させるものであり、水溶性重合開始剤又は油溶性重合開始剤を使用することができる。
水溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩系開始剤、又は過酸化水素等の無機系開始剤等を挙げることができる。上記油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、又は2種又はそれ以上を併用してもよい。
好ましい態様においては、乳化重合における媒体は、水性媒体である。本明細書において、水性媒体とは、本質的に水からなる媒体である。この水性媒体は、場合によって、アルコール等の水親和性有機溶媒を数質量%の範囲で含んでもよい。
ある態様において、水性媒体として、例えば、水、又は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール若しくは1−ブタノール等のアルコールと水との混合系を使用することができる。
反応前乳化混合物の調製において、アクリル樹脂モノマー又はアクリル樹脂モノマー混合物に、乳化剤及び水性媒体を加えて混合して、反応前乳化混合物を調製してもよく、又は、乳化剤を含む水性媒体を調製しておき、この水性媒体とアクリル樹脂モノマー又はアクリル樹脂モノマー混合物とを混合してもよい。
アクリル樹脂エマルションは、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の通常の乳化重合法を適宜選択して製造することができる。特に、乳化モノマー滴下重合が、製造時の安定性を確保する上で好適である。
pHの下限はより好ましくは2.5であり、上記pHの上限はより好ましくは5.5、更に好ましくは5である。
これにより、長期間貯蔵しても分散する粒子が凝集することなく安定性に優れた分散体が得られる。
上記pHの下限はより好ましくは8、更に好ましくは8.5に調整し、上記pHの上限はより好ましくは10、更に好ましくは9.5に調整する。このようなpHの調整は、塩基性物質を添加することにより行うことができる。
塩基性物質としては特に限定されず、例えば、アンモニア、トリブチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、アミノメチルプロパノール等のアミン化合物、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属化合物等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、本発明のおいては、バインダーへの分散性、粘性の点から、アミン化合物が好ましい。
ある態様において、微粒子は、さらにシェルを有し、シェルはシリカ化合物を含む。
具体例として、アデライトAT−20、30、50、20A、30A、20Q(いずれも、ADEKA社製);スノーテックスSS、スノーテックスXS、スノーテックスS、スノーテックスN、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスC、スノーテックスO(いずれも、日産化学工業社製);カタロイド350、20H、30、30H、40、50、SA、SN(いずれも、日揮触媒化成社製);シリカドール20、30、40(いずれも、日本化学工業社製);アエロジルW7330N、W7520、W7520N、W7622(いずれも、日本アエロジル社製)等を挙げることができる。
まず、親水性シリカ微粉末群を水中に分散させたシリカ水性分散液を調製する。シリカ水性分散液は、水中に親水性シリカ微粉末群を添加し攪拌すれば、容易に調製することができる。この添加攪拌の条件等や、シリカ水性分散液中における親水性シリカ微粉末群の濃度は、親水性シリカ微粉末群が凝集せずに均一に水中に分散するよう適宜決定することができる。
例えば、市販品である親水性ヒュームドシリカAEROSIL200(日本アエロジル社製)5質量%の濃度で水中に分散させるには、ホモミキサーを使用して10,000rpmで10分間攪拌すれば、容易にシリカ水性分散液を得ることができる。
得られた混合水性分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥する。このような乾燥形態は、一般的には噴霧乾燥と言われ、ノズル噴霧方式とディスク噴霧方式とがある。前者は、混合水性分散液をノズル等の孔から、高温雰囲気下に噴霧して乾燥するものである。後者は、ディスクを回転させて遠心力により、混合水性分散液を高温雰囲気下に噴霧して乾燥するものである。
アクリル樹脂微粒子表面に水が付着した状態で噴霧されると、その水中に親水性シリカ微粉末が存在するため、乾燥時に親水性シリカ微粉末群がアクリル樹脂微粒子表面に付着する。また、この付着は、アクリル樹脂微粒子が柔らかければ柔らかいほど、アクリル樹脂微粒子表面に親水性シリカ微粉末群が埋入した状態で付着する。
封止材組成物は、バインダーを含み得る。例えば、バインダーとしてバインダー樹脂を含んでもよい。
特定の理論に限定すべきではないが、例えば、エポキシ樹脂は、一般に粘性流体から硬化する過程において化学反応による架橋密度、体積収縮等の変化を伴い、硬化後には材料内部で残留応力、残留歪が生じる場合がある。
ところが、本発明の封止材組成物であれば、粘性流体から硬化する過程において化学反応による架橋密度、体積収縮等の変化を緩和できるので、組成物の硬化後においても残留応力、残留歪による影響を抑制できる。
ある態様において、本発明に係る微粒子とバインダーとの組合せは、バインダー単独のガラス転移温度±5℃の範囲のガラス転移温度を有する。
さらに、本発明に係る微粒子とバインダーとを有する封止材組成物は、さらに優れた応力緩和効果を有する。
本発明の封止材組成物は、本発明に係る微粒子を含む。封止材組成物は、さらに必要に応じて酸化カルシウム及び酸化マグネシウム等の吸湿剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び高級脂肪酸等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、並びに無機イオン交換体等のイオントラップ剤等の各種添加剤を、単独又は数種類を組み合わせて、適宜添加することができる。
封止材組成物は、例えば、半導体素子の接着等にも使用できる、半導体用封止材として、好適に使用できる。
製造例A1 単層型微粒子(微粒子A1)の製造
以下のようにして、単層型微粒子(微粒子A1)を製造した。
反応容器に、脱イオン水160質量部と非反応性乳化剤(エマールO;花王社製)0.7質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。所定の温度に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3質量部及び脱イオン水5.0質量部からなる開始剤溶液を反応溶液へ添加した。5分撹拌した後、非反応性乳化剤(エマールO;花王社製)0.8質量部と脱イオン水92.5質量部からなる乳化剤溶液を用いてスチレン45.0質量部、メタクリル酸メチル50.0質量部、ジビニルベンゼン5.0質量部からなるモノマー溶液を乳化したプレ乳化液を90分で滴下した。2時間撹拌後、反応温度を40℃まで冷却、ろ過し、単層型アクリル樹脂微粒子水分散体A1を得た。得られた単層型微粒子水分散体A1を、当該技術分野において公知の噴霧乾燥機を用いて、噴霧乾燥(流速:50kg/分、熱風の入り口温度:100℃、乾燥室内温度40℃)を行い、単層型アクリル樹脂微粒子(微粒子A1)を得た。
各成分の種類及び量を下記表1のとおり変更したこと以外は、製造例A1と同様にして、各種単層型アクリル樹脂微粒子A2〜A6及び単層型微粒子a1〜a2を調製した。
以下のようにして、コアシェル型微粒子(微粒子AA1)を製造した。
反応容器に、脱イオン水130質量部及び反応性乳化剤(アクアロンKH10;第一工業製薬社製)1.2質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。所定の温度に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3質量部及び脱イオン水30質量部からなる溶液を2時間40分で滴下した。また、開始剤溶液の滴下開始10分後から、スチレン45.0質量部、メタクリル酸メチル30.0質量部、ジビニルベンゼン5.0質量部、脱イオン水45質量部及び反応性乳化剤(アクアロンKH10;第一工業製薬社製)1.0質量部からなるプレ乳化液を1時間で滴下し、コアを形成した。
次に、スチレン5.0質量部、メタクリル酸メチル14.0質量部、メタクリル酸1.0質量部、脱イオン水28質量部及び反応性乳化剤(アクアロンKH10;第一工業製薬社製)0.5質量部からなるプレ乳化液を30分で滴下し、さらに2時間撹拌を継続してシェルを形成した。なお、シェルの固形分酸価は、33.0mgKOH/gであった。その後、製造例A1と同様に、反応温度を40℃まで冷却、ろ過、乾燥し、コアシェル型アクリル樹脂微粒子(微粒子AA1)を得た。
各成分の種類及び量を下記表1のとおり変更したこと以外は、製造例AA1と同様にして、コアシェル型微粒子(微粒子AA2〜AA9及び微粒子aa1〜aa2)を調製した。
以下のようにして、シェルにシリカ化合物を含むコアシェル型微粒子(微粒子AS1)を製造した。
反応容器に、脱イオン水45質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。所定の温度に到達した後、メタクリル酸メチル2.5質量部、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部及び脱イオン水2.5質量部からなる開始剤溶液を反応溶液へ添加した。30分撹拌した後、スチレン16.5質量部、アクリル酸n−ブチル4.5質量部からなるモノマー溶液を1時間で滴下し、コア(第1層)を形成した。40分撹拌後、非反応性乳化剤(エマールO;花王社製)0.2質量部、脱イオン水2.5質量部を反応容器へ加え、30分撹拌した。
次に、メタクリル酸メチル46.5質量部、アクリル酸エチル10質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部からなるモノマー溶液、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2質量部及び脱イオン水45.5質量部からなる開始剤溶液、脱イオン水64.5質量部を2時間で滴下した。さらに、1時間撹拌してコア(第2層)を形成し、アクリル樹脂微粒子水分散体を得た。なお、表2のコア部配合には、第1層及び第2層に含まれる各成分の合計量を記載した。
別途、撹拌装置に脱イオン水190質量部を仕込み、ディスパーを用いて10,000rpmで撹拌しながら、シリカ化合物として親水性シリカ微粉末(アエロジル200;日本アエロジル社製)10質量部を混合し、10分間撹拌混合して、シリカ水分散体を得た。
次に、上記で得られたアクリル樹脂微粒子水分散体(固形分濃度36%)250質量部(固形分90質量部)、上記で得られたシリカ水分散体(固形分濃度5%)200質量部(固形分10質量部)を混合し、混合水分散体を得た。
その後、製造例A1と同様に、反応温度を40℃まで冷却、ろ過、乾燥し、シリカ化合物をシェルに含む、コアシェル型アクリル樹脂微粒子(微粒子AS1)を得た。
各成分の種類及び量を下記表2のとおり変更したこと以外は、製造例AS1と同様にして、シリカ化合物をシェルに含むコアシェル型微粒子(微粒子AS2〜AS6及び微粒子as1〜as2)を調製した。
(平均粒子径測定)
平均粒子径は、上記乾燥前の微粒子水分散体を、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)を用いて、測定した。
バインダー樹脂として液状エポキシ樹脂jER 828(固形分濃度100%、三菱化学社製)100部に、微粒子A1を5部添加し、3本ロールで分散し、エポキシ樹脂分散体A1を作成した。得られたエポキシ樹脂分散体A1を用いて、下記の評価を行った。
微粒子を各態様に応じて変更したこと以外は、実施例A1と同様にして各エポキシ樹脂分散体A2〜AS6、a1〜as2を作成し、下記の評価を行った。
バインダー樹脂への各微粒子の分散性を下記の基準に基づき評価した。
○:バインダー樹脂へ容易に均一分散できる
○△:バインダー樹脂へ強撹拌条件で均一分散できる
△:バインダー樹脂へ分散直後は均一に分散するが、経時で一部が凝集・分離する
×:バインダー樹脂へ全く分散しない、又は多くが凝集・分離する
各エポキシ樹脂分散体について、粘弾性測定装置MCR−300(治具:パラレルプレートCP50、Anton Paar社製)を用いて、測定温度25℃、せん断速度0.01(1/s)及び100(1/s)での粘度(それぞれ、η0.01、η100)を測定し、その比(η0.01/η100)をTI値として、下記の基準に基づき粘性を評価した。
ここで、TI値(チクソトロピーインデックス)とは、揺変性を示す指標であり、温度一定下で攪拌するとゾル状になり、これを放置すると再びゲル状に戻る性質を示すパラメータである。このTI値が大きいほどタレ性に対し有効であることを意味する。
○:TI値が1.5以上
○△:TI値が1.2以上1.5未満
△:TI値が1.0以上1.2未満
×:TI値が1.0未満
各エポキシ樹脂分散体を、ポリプロピレン板上に、乾燥膜厚500μmとなるように塗布し、ミニジェット乾燥機にて120℃で20分加熱硬化させた後、ポリプロピレン板から塗膜を剥離し、フリーフィルムを得た。次に、前記塗膜を5mm×20mmの大きさに裁断し試験片とした。
各試験片について、動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000(ユービーエム社製)を使用し、50℃から200℃の温度範囲において、昇温速度2℃/分、周波数128Hzの条件で、その粘弾性(貯蔵弾性率(E’:弾性成分)及び損失弾性率(E”:粘性成分)を測定し、貯蔵弾性率(E’:弾性成分)に対する損失弾性率(E”:粘性成分)の比(tanδ(損失正接)=E”/E’)を算出した。上記損失正接(tanδ)を温度に対してプロットした場合の損失正接(tanδ)が極大値(tanδm)を与える温度を塗膜の動的Tg(℃)とした。各試験片のtanδmaとバインダー樹脂単体のtanδmbとの比(tanδmx=tanδma/tanδmb)を算出し、下記の基準に基づいて靭性を評価した。
ここで、tanδ(損失正接)の値は、粘性と弾性との比率を示す値であり、対象物質がある外力を受けたときに、粘性変形して、受けた力学的エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収する割合を示す値である。すなわち、tanδ(損失正接)の大きい塗膜は外部からのエネルギーを熱エネルギーとして吸収(消費)する割合が大きい、すなわち靭性が大きいこととなる。
○:tanδmxが1.2以上
○△:tanδmxが1.1以上1.2未満
△:tanδmxが1.0以上1.1未満
×:tanδmxが1.0未満
比較例a2においては、微粒子の平均粒子径が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物は、バインダーへの分散性に乏しく、さらに、得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例aa1及びaa2においては、微粒子のガラス転移温度(Tg)が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物は、バインダーへの分散性に乏しく、望ましい粘度を得ることができず、封止材組成物は、シリンジ等の器具を用いて被着物上に充填できなかった。さらに、得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例as1においては、微粒子のガラス転移温度(Tg)が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物から得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例as2においては、微粒子の平均粒子径が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物から得られた封止材は、靱性が劣った。
バインダー樹脂として液状エポキシ樹脂jER 828(固形分濃度100%、三菱化学社製)100部に、微粒子A1を5部添加し、3本ロールで分散し、エポキシ樹脂分散体A1を作成した。得られたエポキシ樹脂分散体A1を用いて、下記の評価を行った。
微粒子を各態様に応じて変更したこと以外は、参考例A1と同様にして各エポキシ樹脂分散体A2〜AS6、a1〜as2を作成し、下記の評価を行った。
Claims (16)
- 少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、
前記微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、
前記微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、
前記微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物。 - 前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含む、請求項1に記載の封止材組成物。
- 前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項2に記載の封止材組成物。
- 前記微粒子が、更にシェルを有し、
前記シェルがアクリル樹脂を含み、
コアのガラス転移温度(Tgc)が80℃以上であり、シェルのガラス転移温度(TgS)が80℃以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の封止材組成物。 - 前記シェルに含まれるアクリル樹脂が、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iv)スチレン系モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含む、請求項4に記載の封止材組成物。
- 前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の封止材組成物であって、
前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。 - 前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
- 前記コアに含まれるアクリル樹脂が、(v)多官能ビニルモノマーを含む混合物の重合体を含む、請求項4から7のいずれか1項に記載の封止材組成物。
- 前記微粒子が、更にシェルを有し、
前記シェルがシリカ化合物を含み、
コアのガラス転移温度(Tgc)が45℃以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の封止材組成物。 - 前記微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する、請求項9に記載の封止材組成物。
- 前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項9又は10のいずれかに記載の封止材組成物であって、
前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。 - 前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項9から11のいずれか1項に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
- 前記コアの質量と、前記シェルの質量との比が、コア/シェル=50/50〜95/5である、請求項4から12のいずれか1項に記載の封止材組成物。
- 微粒子と、エポキシ樹脂とを含む、半導体用封止材組成物であって、
前記微粒子は、請求項1から13のいずれか1項に記載の微粒子である、半導体用封止材組成物。 - 請求項1から14のいずれか1項に記載の封止材組成物の硬化物である封止材。
- 封止材用微粒子であって、
前記微粒子は、請求項1から13のいずれか1項に記載の微粒子である、封止材用微粒子。
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