JP2018184550A - 封止材組成物、半導体用封止材組成物及び封止材用微粒子 - Google Patents

封止材組成物、半導体用封止材組成物及び封止材用微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】バインダーに対する微粒子の優れた分散性を有し、粘性を調整でき、優れた靱性(応力緩和性)を備える、封止材、特に、半導体用途においても使用できる封止材組成物、及び、封止材に適した微粒子の提供。【解決手段】少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、前記微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、前記微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、前記微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物。好ましくは、前記封止材組成物に含まれる微粒子が、更にシェルを有し、前記シェルがアクリル樹脂又はシリカ化合物を含む、封止材組成物。好ましくはコア及びシェルのガラス転移温度(Tgc,Tgs)が夫々独立に80℃以上である封止材組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、封止材組成物に関する。また、本発明は、半導体用封止材組成物及び封止材用微粒子に関する。
半導体装置は、その保護のため、例えば、基板上に搭載された半導体素子を、封止用樹脂組成物を用いて封止成形することにより形成される。このような封止用樹脂組成物としては、付着性、耐熱性の観点から、例えば、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物が用いられている。しかし、エポキシ樹脂を主成分とする樹脂組成物の硬化物は、脆く伸び性に乏しく、応力による耐久劣化のために剥がれ等の問題が生じる場合があった。
これらの問題を解決する手段として、樹脂組成物に、微粒子を配合し、その硬化物の靱性を向上させる方法が検討されている。
例えば、特開2010−241998号公報(特許文献1)には、シーリング剤、ガスケット、パッキン等に使用できる靱性と硬さを両立した硬化性組成物が提案されている。
特許文献1には、ビニルモノマー(A)100重量部、体積平均粒子径が0.05〜1μmのポリマー微粒子(B)0.1〜45重量部、及びビニルモノマー(A)に対して50〜5000ppmの重合禁止剤(C)を含み、
該ポリマー微粒子が、その内側に存在する弾性コア層、及びその最も外側に存在するシェル層の少なくとも2層を含み、該弾性コア層が、ガラス転移温度が10℃未満のゴム状重合体からなる硬化性組成物であって、
該ビニルモノマー(A)が、側鎖に環状構造を有するモノマー(a−1)50〜100重量%、及びその他のビニルモノマー(a−2)0〜50重量%、合計100重量%からなり、かつ
該シェル層が、該側鎖に環状構造を有するモノマー(a−1)と同じ化合物である側鎖に環状構造を有する(b−1)1〜100重量%、及びその他のビニルモノマー(b−2)0〜99重量%、合計100重量%からなるグラフト成分を重合してなる重合体からなることを特徴とする硬化性組成物、が開示されている(特許文献1の請求項1)。
特開2010−241998号公報
封止材は、電気絶縁性の他、用いる被着物と封止材に含まれるバインダー成分との接着性を向上させること、封止材の収縮による破壊を予防することが要求される。
また、近年の高集積化の要求に伴って、薄膜での電気絶縁性、耐熱性、耐久性等、要求性能も益々高度化しており、特許文献1に開示された硬化性組成物の硬化物は、これらの要求を満足することができていない。
さらに、封止材を形成する封止材組成物は、シリンジ等の器具を用いて被着物上に押し出され、充填される場合がある。組成物の粘度が高過ぎると、充填を容易に行うことができず、一方、粘度が低すぎると、充填時に封止材組成物が流動してしまうおそれがある。このため、封止材組成物は、使用態様に応じて最適な粘度を有する必要がある。
加えて、特許文献1に開示された硬化性組成物は、バインダー、例えばビニルモノマーに対するポリマー微粒子の分散性が悪く、不安定な状態で存在し、別途分散処理を必要とする等、改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、少なくともコアを有する微粒子を含む封止材組成物に関し、該微粒子のバインダーに対する分散性が優れ、粘度を制御でき、硬化後の封止材が優れた靱性を有する封止材組成物を提供することを目的とする。更に、本発明に係る微粒子とエポキシ樹脂を含む半導体用封止材組成物を提供すること、及び封止材用微粒子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、
微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、
微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物。
[2]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含む、[1]に記載の封止材組成物。
[3]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含む、[2]に記載の封止材組成物。
[4]微粒子が、更にシェルを有し、
シェルがアクリル樹脂を含み、
コアのガラス転移温度(Tg)が80℃以上であり、シェルのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である、[1]から[3]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[5]シェルに含まれるアクリル樹脂が、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iv)スチレン系モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含む、[4]に記載の封止材組成物。
[6]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[1]から[5]のいずれか1に記載の封止材組成物であって、
前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[7]アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[1]から[6]のいずれか1に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[8]コアに含まれるアクリル樹脂が、(v)多官能ビニルモノマーを含む混合物の重合体を含む、[4]から[7]のいずれか1に記載の封止材組成物。

[9]微粒子が、更にシェルを有し、
シェルがシリカ化合物を含み、
コアのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である、[1]から[3]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[10]微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する、[9]に記載の封止材組成物。
[11]アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[9]又は[10]のいずれかに記載の封止材組成物であって、
前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[12]アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、[9]から[11]のいずれか1に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
[13]コアの質量と、前記シェルの質量との比が、コア/シェル=50/50〜95/5である、[4]から[12]のいずれか1に記載の封止材組成物。
[14]微粒子と、エポキシ樹脂とを含む、半導体用封止材組成物であって、微粒子は、上記[1]から[13]のいずれか1に記載の微粒子である、半導体用封止材組成物。
[15]上記[1]から[14]のいずれか1に記載の封止材組成物の硬化物である封止材。
[16]封止材用微粒子であって、微粒子は、[1]から[13]のいずれか1に記載の微粒子である、封止材用微粒子。
本発明の封止材組成物は、バインダーに対する分散性に優れた微粒子を含み、使用態様に応じて最適な粘度に調整できる。さらに、本発明の封止材組成物の硬化物である封止材は、優れた靱性を有する。
まず、本発明に至る過程を説明する。
封止材組成物において用い得るバインダーとして、例えば、樹脂が用いられている。用いる樹脂の性質に起因して、封止材組成物の硬化物である封止材は、伸び性に乏しくなり、応力による耐久劣化を引き起こす場合があった。このような現象が生じると、封止材の剥がれ等の問題が生じてしまう。
このため、本願発明者らは、封止材の応力緩和性及び伸び性を向上させ、例えば靱性を向上させることを試みた。
本発明者等は、封止材組成物のバインダーとして用い得る樹脂成分と、微粒子との分散性を向上させることにより、靭性、耐衝撃性等の物性が向上した封止材の開発を試みた。
ここで、本発明者らは、バインダーと微粒子との分散性を向上させるために、微粒子のブロッキングを抑制することを検討した。さらに、用いる微粒子のモルフォロジー、表面官能基制御により、バインダー樹脂との微粒子の相溶性を向上させることにより、バインダー樹脂への微粒子の分散性を向上させることを試みた。
本発明者らは、本明細書において開示されている発明により、バインダーと微粒子との相溶性を向上させ、バインダー中での微粒子の安定性を向上させることができた。このため、別途分散処理を必要とせずに、バインダーと微粒子との分散性を向上することができた。
さらに、本明細書において開示されている発明により、封止材組成物に適切な粘性を付与することを可能とし、封止材組成物の硬化物である封止材は優れた靱性を有することを見出した。
より詳細には、本発明の封止材組成物においては、バインダーに対する微粒子の分散性がよいので、封止材組成物に適切な粘性を与えることができる等という、優れた効果を導ける。
例えば、本発明の封止材組成物であれば、封止材組成物の粘度を調整でき、要求されるより高い粘度範囲から、より低い粘度の範囲内に粘性を与えることができるので、封止材組成物の塗布性及び作業性を向上させることができる。
また、本発明の封止材組成物は適切な粘性を有するので、液体の状態で塗布することができ、その一方で、例えば、金型等の封止部材の外部に、塗布した封止材組成物が流出することを抑制できる。
また、本発明によると、封止材組成物は適切な粘性を有する。また、本発明の封止材組成物に含まれる微粒子は、硬化前の状態では適切な粘性を適宜調整できるうえ、バインダーへの分散性も良好である。
本発明に係る封止材組成物が適切な粘性を有することにより、組成物はチクソトロピー性を有し得る。例えば、シリンジ、スプレー等による封止材組成物を塗布する場合、高いせん断速度が加えられ、封止材組成物に低い粘度を与えて、良好な作業性を得るように制御できる。
一方、塗布後の低いせん断応力下では、望ましくない流動を防ぎ、タレ止め効果をもたらすように、封止材組成物には粘度回復性が付与されている。このような性質を有する封止材組成物の硬化物である封止材は、要求される領域のみを確実に封止できる。
さらに、本発明によると、封止材組成物の硬化物である封止材は優れた靱性を有する。本発明の封止材組成物であれば、耐熱性が要求される用途等において使用する場合においても、割れ、剥がれ等の不具合を生じない封止材を形成できる。また、本発明によると、封止材組成物を硬化させて封止材を形成する過程において、バインダー樹脂等の硬化収縮による応力を緩和でき、硬化後の封止材においても、応力を緩和した状態を保持できる。これにより、封止材は、適度な伸び性と応力緩和性を有すると考えられ、靱性が向上し、応力による耐久劣化を抑制できる。さらに、封止材の割れ、剥がれを抑制でき、良好な絶縁機能を発揮できる。
さらに、封止材の薄膜化が可能となり、半導体デバイスの高集積化が可能となる。
例えば、このような効果を有する、本発明の封止材組成物は、
少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、
前記微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、
前記微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、
前記微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物である。
本発明によると、前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含んでもよい。
また、前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよい。
ある態様において、微粒子が、更にシェルを有し、前記シェルがアクリル樹脂を含み、
コアのガラス転移温度(Tg)が80℃以上であり、シェルのガラス転移温度(Tg)が80℃以上であってもよい。
また、前記シェルに含まれるアクリル樹脂が、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iv)スチレン系モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含んでもよい。
別の態様においては、微粒子は、更にシェルを有し、シェルがシリカ化合物を含み、
コアのガラス転移温度(Tg)が45℃以上であり、前記微粒子のコアに含まれるアクリル樹脂が、多官能ビニルモノマーを更に含み、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含んでもよい。
さらに、微粒子におけるコアの質量と、前記シェルの質量との比が、コア/シェル=50/50〜95/5であることができる。
別の態様において、本明細書において開示される微粒子と、エポキシ樹脂とを含む、半導体用封止材組成物が提供される。さらに、本明細書において開示される微粒子は、封止材用微粒子としても利用できる。
(微粒子)
本発明に係る微粒子は、少なくともコアを有する。本明細書において、コアは、粒子の中心部分を含む層を意味し、核形成時に生成される領域を含むことが多い。
ある態様において、微粒子は更にシェルを有してもよい。シェルは、コアの外側に隣接して存在し、少なくともコアの一部を被覆する層である。
微粒子がシェルを有することにより、本発明に係る微粒子のうち、コアから構成される単層型の微粒子が有するバインダーへの分散性、封止材組成物への適切な粘性付与、及び、封止材の靭性を更に向上できる。
ある態様において、コアは複数層を有してもよい。このような構造を有することにより、微粒子はバインダーに対する分散性に優れ、封止材組成物は、使用態様に応じて最適な粘度を有することができる。さらに、本発明の封止材は、優れた靱性を有する。
例えば、シェルがシリカ化合物を含む場合、コアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有し得る。別の態様においては、コアは3層以上の構造を有してもよい。
また、コアが第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する場合、第1層表面の少なくとも一部を覆うように第2層が存在してもよい。
本発明において、微粒子のコアは、アクリル樹脂を含む。アクリル樹脂を含むことにより、バインダーへの良好な分散性、封止材組成物への適切な粘性を付与できる。さらに、優れた応力緩和性を有し、封止材に靱性を付与できる。
例えば、バインダーとしてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化物は伸び性に乏しく、応力による耐久劣化のために、支持部材等から剥がれてしまう等の問題が生じる場合があった。しかし、本発明に係る微粒子とエポキシ樹脂とを用いる場合、これらの相溶性がよく、混合した場合においても非常に高い分散安定性を示す。また、得られる封止材の靭性、耐衝撃性を改善することができる。このため、微粒子の分散処理を別途行わなくてもよい。アクリル樹脂の具体例は、後述する。
微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上である。ガラス転移温度がこのような範囲であることにより、微粒子のブロッキングを低減又は抑制できる。微粒子のブロッキングを抑制又は低減できるので、バインダーへの分散性を良好にできる。さらに、微粒子のブロッキングを抑制でき、バインダーへの分散性が良好であることにより、封止材組成物に適切な粘性を与えることができる。
さらに、バインダーへの微粒子の分散性が向上することにより、封止材においても均一に微粒子が存在すると考えられるので、本発明の封止材は、バインダーの性質に起因して生じ得る応力を、十分に緩和でき、封止材に優れた靱性を付与できる等、封止材の機械的特性を向上できる。その結果、封止材の割れ、支持部材からの剥がれ等の不具合を抑制できる。
別の態様において、微粒子は45〜80℃の間に、ガラス転移温度(Tg)を有してもよい。
ある態様において、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、80℃以上である。ガラス転移温度(Tg)がこのような範囲であることにより、微粒子の製造時において、乾燥を十分に行うことができ、微粒子のブロッキングを低減又は抑制できる。微粒子のブロッキングを抑制又は低減できるので、夏場のような高温条件で保管しても粒子の凝集が抑制でき、かつバインダーへの分散性を良好にできる。
さらに、微粒子のブロッキングを抑制でき、バインダーへの分散性が良好であることにより、封止材組成物に適切な粘性を与えることができる。
また、バインダーへの微粒子の分散性が向上することにより、封止材においても均一に微粒子が存在すると考えられるので、本発明の封止材は、優れた靱性を付与できる等、封止材の機械的特性が優れ、さらに、バインダーの性質に起因して生じ得る応力を十分に緩和できる。その結果、割れ、剥がれ等の不具合を抑制できる。
例えば、ガラス転移温度(Tg)がこのような範囲であることにより、ガラス転移温度未満の温度で加熱混合を行う限り、微粒子の変形を抑制できる。その結果、粘性が維持され良好な作業性を維持できる。さらに、高温条件で保管しても粒子の凝集を抑制でき、性能を維持できる。
ある態様において、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であり、別の態様においては100℃以上である。微粒子のガラス転移温度(Tg)は、例えば、140℃以下であり、好ましくは130℃以下であり、ある態様においては110℃以下である。
例えば、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、80〜140℃の範囲内であることができる。
例えば、アクリル樹脂が架橋性モノマーを含む場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は60℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、例えば、100℃以上である。上限値は、上記範囲内であることができる。
このような範囲にガラス転移温度(Tg)を有することにより、微粒子のブロッキングを低減又は抑制できる。また、バインダーへの分散性を良好にできる。さらに、封止材組成物に適切な粘性を与えることができる。また、封止材は優れた靱性を有する。封止材組成物から形成される封止材は、例えば、均一に微粒子が存在した状態で硬化することができるので、封止材は優れた靱性がもたらされると考えられる。加えて、ガラス転移温度が高いことにより、封止材組成物の保存温度及び作業温度に関する自由度も確保できる。
本明細書において、微粒子が単層型である態様においては、微粒子のガラス転移温度は、コアのガラス転移温度(Tg)に相当する。
一方、微粒子がコアシェル型の態様においては、コアのガラス転移温度(Tg)及びシェル部のガラス転移温度(Tg)をそれぞれ記載する場合がある。あるいは、微粒子がコアシェル型の態様において、いずれの部位のガラス転移温度(Tg)であるかを示さず、単にガラス転移温度(Tg)を記載する場合があり、コアのガラス転移温度(Tg)とシェル部のガラス転移温度(Tg)のうち、最も低いガラス転移温度(Tg)が、微粒子のガラス転移温度(Tg)として記載される。
例えば、コアのガラス転移温度(Tg)とシェル部のガラス転移温度(Tg)のうち、最も低いガラス転移温度(Tg)が45℃である場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は45℃と記載される。
シェル部のガラス転移温度(Tg)とコアのガラス転移温度(Tg)の関係は、以下の態様が挙げられる:
シェル部のガラス転移温度(Tg)>コアのガラス転移温度(Tg
シェル部のガラス転移温度(Tg)=コアのガラス転移温度(Tg
シェル部のガラス転移温度(Tg)<コアのガラス転移温度(Tg
本発明においては、封止材に要求される諸物性、コアに含まれる組成、シェルに含まれる組成、コアの質量とシェルの質量との比等に応じて、シェル部のガラス転移温度(Tg)とコアのガラス転移温度(Tg)の関係を設定できる。
例えば、コア及びシェルがアクリル樹脂を含む場合、
シェル部のガラス転移温度(Tg)≧コアのガラス転移温度(Tg
の関係を有し得る。微粒子のガラス転移温度が所定の条件を満たし、かつこのような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上する。さらに、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。加えて、封止材の靭性がより良好になる。
ガラス転移温度(Tg)は、微粒子(重合体)を構成する各モノマーの質量分率を、各モノマーから誘導される単独重合体(ホモポリマー)のTg(K:ケルビンで表す。)値で割ることによって得られるそれぞれの商の合計の逆数として計算することができる。
より詳細には、本発明において、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式(T.G.Fox;Bull.Am.Phys.Soc.,1(3),123(1956))によって算出することができる。
例えば、微粒子が、複数のアクリルモノマーの重合体である場合、下記一般式
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+wn/Tgn
で表されるTgを微粒子のTgとする。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wa:モノマーAの質量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wb:モノマーBの質量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wn:モノマーNの質量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
ある態様においては、微粒子のモルフォロジーを制御することにより、靱性(応力緩和性)を制御できる。例えば、微粒子を球体から偏平状の形態に変更する、微粒子がコアに加えて、更にシェルを有する態様等が挙げられる。好ましくは、微粒子が、更にシェルを有することにより、封止材はより優れた靱性を有することができる。
バインダーに対して、本発明に係る微粒子はバインダーとの分散性が良好である。このため、本発明に係る封止材組成物は、硬化前であれば、所望の範囲に粘度を調整でき、その上、バインダーの有するガラス転移温度を低下させることがない。バインダーの有するガラス転移温度を保つことができるので、バインダーの特性を有効に封止材に反映できる。なお、本明細書において、バインダーの有するガラス転移温度を低下させることがないとは、バインダーのガラス転移温度−5℃の範囲であれば許容され得る。
本発明に係る封止材組成物は、バインダーの有するガラス転移温度を低下させることがないため、封止材組成物の硬化物である封止材の強度を維持でき、例えば、寸法安定性を高位に確保できる。また、本発明に係る封止材組成物の硬化物である封止材は、加熱及び荷重をかけた状態で用いても、封止材の軟化により部材がズレたり、封止材に起因して寸法変形したりすることを抑制できる。
本発明に係る微粒子の平均粒子径は0.05〜1.20μmである。ここで、微粒子がコア単独である場合は、コアの平均粒子径を意味し、さらに、シェルを有する場合、コアシェル構造を有する微粒子の平均粒子径を意味する。微粒子がこのような範囲に平均粒子径を有することにより、バインダーに対して少量の添加量で所望の効果を発現することができる。また、バインダーに対する分散性が良好であり、封止材組成物において、所望の範囲内に粘性を調整できる。さらに、封止材は優れた靱性を備えることができる。
本明細書中において、粒子径とは、動的光散乱法によって決定される平均粒子径であり、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)等を使用して測定することができる。
本発明に係る微粒子がコアシェル構造を有する場合、コアの質量と、シェルの質量との比は、例えば、コア/シェル=50/50〜95/5である。コア部とシェル部との質量比が上記範囲であることにより、バインダーに対する分散性を良好にでき、かつ硬化後の封止材に良好な靭性を付与することができる。
微粒子の形状は、特に制限されるものではなく、球状、棒状、針状、平板状、繊維状、数珠状であってもよい。好ましくは、微粒子は球状である。
(単層型)
ある態様において、微粒子は単層型であり、微粒子のコアはアクリル樹脂を含む。
単層型の微粒子の場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、好ましくは50℃以上である。ある態様においては80℃以上、例えば、90℃以上であり、別の態様においては100℃以上である。微粒子のガラス転移温度(Tg)は、例えば、140℃以下であり、好ましくは130℃以下であり、ある態様においては120℃以下である。例えば、微粒子のガラス転移温度(Tg)は、80〜140℃の範囲内であることができる。
ある態様において、アクリル樹脂が架橋性モノマーを含む場合、微粒子のガラス転移温度(Tg)は60℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、例えば、100℃以上である。上限値は、140℃以下の任意の値であり得る。
単層型の微粒子の場合、微粒子の平均粒子径は0.05〜1.20μmである。好ましくは、0.05〜0.6μmの範囲内であり、別の態様では、0.05〜0.2μmの範囲内である。
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含む。本発明において、例えば、コアをアクリル樹脂分散体から調製してもよい。単層型の微粒子の場合、コアに含まれるアクリル樹脂は、架橋性モノマーを含んでもよい。架橋性モノマーを含むアクリル樹脂から単層型の微粒子を調製することによって、封止材はより高い靱性を備えることができる。これにより、微粒子自体の耐溶剤性が向上し、バインダーの含浸を抑制でき、その結果、長期間にわたって封止材の粘度上昇を抑制できる。
(微粒子がコアシェル構造である態様)
ある態様において、微粒子は、更にシェルを有する。シェルは、例えば、アクリル樹脂又はシリカ化合物を含み得る。
ある態様において、コア及びシェルがアクリル樹脂を含む場合、コアとシェルに含まれるアクリル樹脂の組成は、それぞれ異なり得る。
ある態様において、シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアは単独のアクリル樹脂を含んでも良く、複数種のアクリル樹脂を含んでもよい。
好ましくは、シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有してもよい。
(シェルがアクリル樹脂を含む態様)
微粒子が、コアに加えてシェルを有し、シェルがアクリル樹脂を含む場合、より高い靭性を保持できる。ある態様においては、微粒子のモルフォロジーを制御することにより、靭性を制御できる。また、シェルに含まれる樹脂の表面官能基を制御することにより、粘性と靭性をより良好に両立できる。微粒子がコアシェル構造の場合、コアに含まれるアクリル樹脂は、例えば、架橋性モノマーを含み、シェルに含まれるアクリル樹脂は、例えば、非架橋性のアクリル樹脂を含む。
このような樹脂を含む微粒子を含むことで、本発明の封止材組成物から形成される封止材は、例えば、半導体用の封止材として用いる場合、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高めることができる。さらに、良好な靭性を有するので、封止材の耐久性が向上する。
微粒子がコアシェル型であり、コア及びシェルがアクリル樹脂を含む態様において、コア部のガラス転移温度(Tg)は80℃以上であってもよく、例えば、90℃以上であり、ある態様においては100℃以上である。シェル部のガラス転移温度(Tg)は80℃以上であってもよく、例えば、90℃以上であり、ある態様においては100℃以上である。
ある態様において、微粒子がシェルを有し、シェルがアクリル樹脂を含む場合、
シェル部のガラス転移温度(Tg)≧コアのガラス転移温度(Tg
の関係を有し得る。微粒子のガラス転移温度が所定の条件を満たし、かつこのような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上する。さらに、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。加えて、封止材の靭性がより良好になる。
コア及びシェルが共にアクリル樹脂を含む場合、シェルのアクリル樹脂のガラス転移温度から、コアのアクリル樹脂のガラス転移温度を差し引いた値の範囲は、0℃〜20℃であることが好ましく、0℃〜15℃であることがより好ましい。
このような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上し、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。さらに、封止材の靭性がより良好になる。
別の態様において、微粒子は、コアのガラス転移温度(Tg)>シェルのガラス転移温度(Tg)の関係を有する。例えば、コア及びシェルが共にアクリル樹脂を含む場合、コアのアクリル樹脂のガラス転移温度から、シェルのアクリル樹脂のガラス転移温度を差し引いた値の範囲は、0.5℃〜25℃、好ましくは0.5℃〜20℃である。
このような関係を有することにより、封止材組成物における、微粒子のバインダーへの分散性が向上し、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。さらに、封止材の靭性がより良好になる。
このような態様において、コアのガラス転移温度(Tg)は、例えば、80℃を超え、シェルのガラス転移温度(Tg)は80℃以上であり、ある態様においては、コアのガラス転移温度(Tg)は、例えば、90℃以上であり、シェルのガラス転移温度(Tg)は80℃以上である。
シェルを有する微粒子であって、シェルがアクリル樹脂を含む場合、微粒子の平均粒子径は0.05〜1.20μmであり、例えば、0.05〜0.5μm、別の態様では、0.05〜0.2μmの範囲内である。
例えば、シェルがアクリル樹脂を含む場合、コアの質量と、シェルの質量との比は、例えば、コア/シェル=50/50〜95/5であり、ある態様においては、60/40〜90/10であり、別の態様においては、65/35〜85/15である。
コア部とシェル部との質量比が上記範囲であることにより、バインダーに対する分散性を良好にでき、かつ硬化後の封止材に良好な靭性を付与することができる。
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、シェルが例えば、アクリル樹脂を含む場合、コアをアクリル樹脂分散体から調製してもよく、シェルをアクリル樹脂分散体から調製してもよい。微粒子がコアシェル構造を有する場合、コア及びシェルが共にアクリル樹脂を含むことにより、コアとシェル間での密着性が向上し、封止材はより良好な靱性を有することができる。
微粒子がコアシェル構造を有する場合、例えば、コアのアクリル樹脂は、架橋性モノマーを含んでもよく、シェルのアクリル樹脂は、非架橋性であってもよい。このように、コア部に架橋性成分を有し、シェル部を非架橋成分とするモルフォロジーを微粒子が有することにより、バインダー成分との分散性を良好に確保し、さらに、微粒子の膨潤、溶解等を抑制できる。これにより、封止材に均一な性能を付与できることに加え、封止材組成物の安定性に基づき、長期間保管可能となる。また、封止材は優れた靱性を備えることができる。本発明の封止材は、例えば、半導体用の封止材として用いることができ、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高め、さらに、靭性を有することで、支持部材の反りを抑制できる。
(シェルがシリカ化合物を含む態様)
ある態様において、シェルはシリカ化合物を含み得る。シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアは、アクリル樹脂を含む単層型のコアであってもよい。シェルがシリカ化合物を含む別の態様においては、微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有してもよい。
シェルにシリカ化合物を含む微粒子は、コアとシェルの硬さを大きく相違させることができ、封止材組成物の硬化物である封止材に対して、優れた靱性を付与できる。
シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子のコアにおけるガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、例えば50℃以上である。ある態様では55℃以上、例えば60℃以上である。
シェルにシリカ化合物を含む微粒子の場合、微粒子のコアにおけるガラス転移温度(Tg)は、例えば90℃以下、好ましくは80℃以下である。このような範囲でガラス転移温度を有することにより、特定の理論に限定されるべきではないが、コアとシェルの硬さのバランスを保つことができると考えられ、封止材に対して、優れた靱性を付与できる。
例えば、コア部にアクリル樹脂を含み、シェル部にシリカ化合物を含む態様においても、上記コア部のガラス転移温度は、前述の態様と同様にして算出される。
例えば、封止材組成物において、シリカ粒子を単独で用いた場合、硬化後の封止材の耐熱性は向上するが、靭性が低下し、封止材が割れたり剥がれたりする不具合が生じていた。しかしながら、このように、シェルがシリカ化合物を含む態様において、上述したような範囲でコアがガラス転移温度を有することにより、封止材組成物における微粒子のバインダーへの分散性が向上し、粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。さらに、封止材の靭性がより良好になる。
ある態様においては、微粒子のモルフォロジーを制御することにより、靭性を制御できる。また、シェルに含まれるシリカ化合物の表面官能基を制御することにより、バインダーへの分散性をより向上できる。
微粒子がシェルを有し、シェルがシリカ化合物を含む場合、微粒子の平均粒子径は0.05〜1.20μmであり、例えば、0.05〜0.8μm、ある態様においては、0.05〜0.6μmの範囲内である。
例えば、シェルがシリカ化合物を含む場合、コアの質量と、シェルの質量との比は、例えば、コア/シェル=50/50〜95/5であり、ある態様では、コア/シェル=50/50〜90/10、ある態様においては、70/30〜90/10である。コア部とシェル部との質量比が上記範囲であることにより、バインダーに対する分散性を良好にでき、かつ硬化後の封止材に良好な靭性を付与することができる。
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、本発明において、例えば、コアをアクリル樹脂分散体から調製してもよい。シェルがアクリル樹脂を含む場合、シェルに含まれるアクリル樹脂を、アクリル樹脂分散体から調製してもよい。微粒子がコアシェル構造を有する場合、コア及びシェルが共にアクリル樹脂を含むことにより、コアとシェル間での密着性が向上し、封止材はより良好な靱性を有することができる。
ある態様において、コアのアクリル樹脂は、架橋性モノマーを含んでもよく、シェルのアクリル樹脂は、非架橋性であってもよい。このように、コア部に架橋性成分を有し、シェル部を非架橋成分とするモルフォロジーを微粒子が有することにより、バインダー成分との分散性を良好に確保し、さらに、微粒子の膨潤、溶解等を抑制できる。これにより、封止材に均一な性能を付与できることに加え、封止材組成物の安定性に基づき、長期間保管可能となる。その上、封止材は優れた靱性を備えることができる。
本発明の封止材は、例えば、半導体用の封止材として用いることができ、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高め、さらに、靭性を有することで、支持部材の反りを抑制できる。
別の態様において、微粒子はコアシェル構造を有し、コアはアクリル樹脂を含み、シェルはシリカ化合物を含み得る。このような態様においては、例えば、コアのアクリル樹脂は非架橋性であってもよい。このような構造を有することにより、微粒子はバインダーに対する分散性に優れ、封止材組成物は、使用態様に応じて最適な粘度を有することができる。さらに、本発明の封止材は、優れた靱性を有する。
別の態様において、シェルはシリカ化合物を含み、コアが、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する場合、コアの第1層と第2層はいずれも非架橋性のアクリル樹脂を含んでもよく、コアの第1層又は第2層のいずれか一方が非架橋性のアクリル樹脂を含んでもよい。このような構造を有することにより、微粒子はバインダーに対する分散性に優れ、封止材組成物は、使用態様に応じて最適な粘度を有することができる。さらに、本発明の封止材は、優れた靱性を有する。
(アクリル樹脂)
微粒子のコアは、アクリル樹脂を含む。本発明において、例えば、コアをアクリル樹脂分散体から調製してもよく、シェルをアクリル樹脂分散体から調製してもよい。
例えば、アクリル樹脂分散体として用い得るアクリル樹脂エマルションとして、各種重合性モノマーの重合によって得られるアクリル樹脂のエマルション等が挙げられる。
例えば、微粒子が単層型である場合、コア部は架橋構造を有してもよい。また、微粒子がコアシェル構造を有し、コア及びシェルがアクリル樹脂を含む場合、コアは架橋構造を有し、シェルは非架橋の構造を有してもよい。
このような構造を有することにより、本発明の封止材組成物を半導体用の封止材組成物として用いることができる。例えば、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高めることができ、さらに、封止材は良好な靱性を有するので、支持部材及び封止材の反り、割れ、剥離等を抑制ができる。
例えば、微粒子が単層型である場合、封止材組成物の粘性は、25℃において、例えば1〜100Pa・s、好ましくは10〜40Pa・s、ある態様においては、15〜30Pa・sの範囲内であることが好ましい。
ある態様において、微粒子がコアシェル構造を有し、コアがアクリル樹脂を含み、シェルがシリカ化合物を含む場合、コアは非架橋構造を有してもよい。
このようなコアシェル構造を有する微粒子を含む封止材組成物は、例えば、半導体用の封止材組成物として用いることができる。例えば、半導体装置における支持部材に対するバインダーの接着性を高めることができ、さらに、封止材組成物の硬化物である封止材は良好な靱性を有するので、支持部材及び封止材の反り、割れ、剥離等を抑制ができる。
例えば、微粒子がコアシェル構造を有し、コアがアクリル樹脂を含み、シェルがシリカ化合物を含む場合、封止材組成物の粘性は、25℃において、例えば1〜100Pa・s、好ましくは10〜40Pa・s、例えば15〜30Pa・sの範囲内であることが好ましい。
上記アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂の固形分酸価は、例えば、2〜200mgKOH/gであり、30〜80mgKOH/gであるのが好ましい。樹脂の固形分酸価が上記範囲であることにより、微粒子の重合安定性を確保でき、かつ硬化後の封止材の耐水性、耐湿性を低下させることもない。
アクリル樹脂の固形分酸価は、後述の各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂の固形分酸価が上記範囲となるように選択することによって調整できる。
例えば、シェル部に含まれるアクリル樹脂の固形分酸価は5〜200mgKOH/gであり、好ましくは25〜170mgKOH/gであってもよい。
上記アクリル樹脂エマルションは水酸基価を有していてもよい。上記アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂の固形分水酸基価は、例えば、10〜120mgKOH/gであり、20〜100mgKOH/gであるのが好ましい。固形分水酸基価がこのような範囲内であることにより、封止材組成物の粘性をより制御しやすくなり、例えば、分散体の長期安定性がもたらされる。また、封止材における機械的性質を向上できる。
なお、本明細書中において、アクリル樹脂の固形分酸価及び固形分水酸基価は、使用したモノマー混合物の固形分酸価及び固形分水酸基価に基づいて算出することができる。
ある態様において、本発明に係るアクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含むことができる。
このような構成を有することにより、微粒子はバインダー中に良好に分散できる。
ある態様において、シェルに含まれるアクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iv)スチレン系モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含む。このような構成を有することにより、微粒子はバインダー中に良好に分散できる。
ある態様において、微粒子のコアに含まれるアクリル樹脂が、多官能ビニルモノマーを更に含み、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む。このような構成を有することにより良好な靭性を付与できる。
微粒子がコアを有する一態様において、コアに含まれるアクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
微粒子がコアを有する一態様において、コアに含まれるアクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
微粒子がコア及びシェルを有する一態様において、コア及び/又はシェルに含まれるアクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
微粒子がコア及びシェルを有する一態様において、コア及び/又はシェルに含まれるアクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
微粒子がコア及びシェルを有し、シェルがシリカ化合物を含む態様であって、コアが単層である場合及び第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する場合のいずれか1態様において、単層のコア、第1のアクリル樹脂を含む第1層及び別のアクリル樹脂を含む第2層のうちの少なくとも1において含まれるアクリル樹脂は、以下の態様であってもよい。
(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
微粒子がコア及びシェルを有し、シェルがシリカ化合物を含む態様であって、コアが単層である場合及び第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する場合のいずれか1態様において、単層のコア、第1のアクリル樹脂を含む第1層及び別のアクリル樹脂を含む第2層のうちの少なくとも1において含まれるアクリル樹脂は、以下の態様であってもよい。
(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含んでもよく、多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含み得る。
上記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル樹脂エマルションの主骨格を構成するために使用する。(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
なお、本明細書中において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸を表す。
(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマーは、得られるアクリル樹脂エマルションの貯蔵安定性、封止材の機械的安定性、凍結に対する安定性等の諸性能を向上させることができる。さらに、封止材組成物を硬化させる場合における硬化剤との硬化反応を促進するために使用できる。
酸基は、カルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸基等から選ばれることが好ましい。特に好ましい酸基は、上述のような安定性向上、硬化反応促進機能の観点から、カルボキシル基である(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマーの内でもカルボキシル基含有モノマーを用いることが好ましく、モノマー(ii)の内、カルボキシル基含有モノマーが50質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上含まれることがより好ましい。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマール酸等が挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−アクリルアミドプロパンスルホン酸、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。リン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのリン酸モノエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルのリン酸モノエステルのライトエステルPM(共栄社化学社製)等が挙げられる。
(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーは、水酸基に基づく親水性をアクリル樹脂エマルションに付与し、これを封止材組成物として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性を向上させると共に、硬化剤として好適に用いることができるメラミン樹脂又はイソシアネート系硬化剤等との硬化反応性を付与するために使用する。
(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アリルアルコール、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等が挙げられる。
ε−カプロラクトン変性アクリルモノマーの具体例としては、プラクセルFA−1、プラクセルFA−2、プラクセルFA−3、プラクセルFA−4、プラクセルFA−5、プラクセルFM−1、プラクセルFM−2、プラクセルFM−3、プラクセルFM−4及びプラクセルFM−5(いずれも、ダイセル社製)等が挙げられる。
(iv)スチレン系モノマーを含むことにより、微粒子のブロッキング性を低減又は抑制できる。さらに、微粒子自体の耐溶剤性を向上させることができる。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のモノマーが挙げられ、なかでも、疎水性、コスト、入手の利便性等の観点からスチレンモノマーが特に好ましい。
スチレン系モノマーの含有量は、アクリル樹脂の合成に用いるモノマー全量100質量部に対して、好ましくは0〜65質量部、例えば0〜60質量部、ある態様においては5〜60質量部である。
例えば、シェルにシリカ化合物を含む態様において、スチレン系モノマーの含有量は、アクリル樹脂の合成に用いるモノマー全量100質量部に対して、好ましくは0〜45質量部、例えば5〜38質量部、ある態様においては10〜38質量部である。
ある態様において、アクリル樹脂エマルションは、上記モノマー(i)〜(iv)の少なくとも1種に加えて、他のモノマーとして、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等の、エチレン系不飽和カルボン酸シクロアルキルエステルモノマー;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステルモノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステルモノマー;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミドモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステルモノマー;等を挙げることができる。これらの他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記モノマーに加えて、カルボニル基含有エチレン性不飽和モノマー、加水分解重合性シリル基含有モノマー、種々の多官能ビニルモノマー等の架橋性モノマーを含んでよい。これらの架橋性モノマーが含まれる場合、得られるアクリル樹脂エマルションは自己架橋性を有する。
カルボニル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するアルキルビニルケトン(例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン)等のケト基を含有するモノマーが挙げられる。これらのうちジアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。
加水分解重合性シリル基含有モノマーとしては、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有するモノマーが挙げられる。
多官能ビニルモノマーは、分子内に2つ以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサン、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタエリストール等のジビニル化合物が挙げられ、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール等も挙げられる。これらを単独で用いてもよく、組合せて用いてもよい。
ある態様において、アクリル樹脂エマルションの調製に用いられるモノマー混合物は、架橋性モノマーを含む。架橋性モノマーの量は、モノマー混合物の総量に基づいて0.2〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜20質量%であるのがより好ましい。モノマー混合物が、架橋性モノマーを上記範囲で含むことによって、調製されるアクリル樹脂エマルションの平均粒子径を1.2μm以下に好適に制御できる。また、例えば、微粒子のコアのアクリル樹脂が架橋性モノマーを含むことにより、優れた靱性を有する封止材を得ることができる。
ある態様において、微粒子におけるアクリル樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸ブチルから選択される少なくとも1種のモノマーと、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール及び(メタ)アクリル酸アリルから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含む。このような組合せの場合、アクリル樹脂は架橋構造を有することができ、例えば、単層型、コアシェル型の微粒子であって、コア部に架橋構造を有する微粒子の製造に適している。
ある態様においては、微粒子におけるアクリル樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸ブチルから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含む。このような組合せを含む場合、微粒子は非架橋のアクリル樹脂を含むことができ、例えば、シェルにシリカ化合物を含む態様のコア部における、非架橋のアクリル樹脂として適用できる。
ある態様においては、微粒子におけるアクリル樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸及びメタクリル酸ヒドロキシエチルから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含む。このような組合せを含む場合、例えば、コアシェル型の微粒子において、シェルに含まれ得る非架橋のアクリル樹脂として適用できる。
(乳化剤)
アクリル樹脂エマルションは、乳化剤及び水性媒体を含んでもよい。乳化剤としては、特に限定されず、通常用いられる乳化剤、例えば、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有しない非反応性乳化剤、及び/又は分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有する反応性乳化剤を用いることができる。
乳化剤としては、炭素数が6以上の炭素原子を有する炭化水素基と、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩部分エステル等の親水性部分とを同一分子中に有する両親媒性化合物から選ばれるアニオン系又は非イオン系の乳化剤が用いられる。
このうちアニオン系の乳化剤としては、アルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
また非イオン系の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテル等が挙げられる。
これら公知のアニオン系、ノニオン系乳化剤の他に、分子内にラジカル重合性の不飽和二重結合を有する、すなわちアクリル系、メタクリル系、プロペニル系、アリル系、アリルエーテル系、マレイン酸系等の基を有する各種アニオン系、ノニオン系反応性乳化剤等も適宜、単独又は2種以上の組み合わせで使用される。
乳化剤の具体例として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエステル等を挙げることができる。
乳化剤として、例えば、市販品である、アクアロンRNシリーズ(第一工業製薬社製);エレミノールJS−2(三洋化成工業社製);ラテムルS−120、S−180A、PD−104等のラテムルシリーズ、エマルゲン109P等のエマルゲンシリーズ(花王社製);ニューコール706、707SN等の、ニューコールシリーズ(日本乳化剤社製);アントックス(Antox)MS−2N(2−ソジウムスルホエチルメタクリレート)等の、アントックスシリーズ(日本乳化剤社製);アデカリアソープNE−10(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン)等の、アデカリアソープシリーズ(ADEKA社製);等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このうち、得られた微粒子、特にコアシェル型微粒子の熱安定性を向上させる観点から、特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩(アルカリ金属、又はアルカリ土類金属)を用いて重合することが好ましい。
乳化剤の配合量は、アクリル樹脂エマルションに含まれるモノマー総量100質量部に対して、固形分量として、0.5〜10質量部であることが好ましい。乳化剤の配合量は、好ましくは1.0〜4.5質量部、例えば、1.0〜3.0質量部であることができる。乳化剤の量が上記範囲内である場合、所望の微粒子が容易に合成でき、硬化後の封止材の耐湿性を低下させることなく、バインダーに対する分散性を向上させることができる。
(重合開始剤)
アクリル樹脂の調製において、公知の重合開始剤を使用できる。重合開始剤は、熱又は還元性物質等によりラジカルを生成してモノマーを付加重合させるものであり、水溶性重合開始剤又は油溶性重合開始剤を使用することができる。
水溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩系開始剤、又は過酸化水素等の無機系開始剤等を挙げることができる。上記油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、又は2種又はそれ以上を併用してもよい。
本発明に係る微粒子は、乳化重合を、例えば水性媒体中で行うことができ、水溶性重合開始剤を用いるのが好ましい。より好ましい水溶性重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、又は4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系化合物が、水溶液の形で使用される。また、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤とが組み合わされたいわゆるレドックス系開始剤を水溶液として使用するのが好ましい。このような還元剤を併用することによって、乳化重合速度の調節することができ、また、乳化重合をより低温下において行うこともできる。
重合開始剤は、アクリル樹脂エマルションに含まれるモノマー総量100質量部に対して、固形分量として、0.02〜1質量部となる量で用いるのが好ましく、0.05〜0.7質量部となる量で用いるのがより好ましく、0.1〜0.6質量部となる量で用いるのがさらに好ましい。
ある態様においては、乳化重合の際、メルカプタン系化合物、低級アルコール又はα−メチルスチレンダイマー等の分子量調節のための助剤(連鎖移動剤)を、必要に応じて用いてもよい。これらの助剤(連鎖移動剤)を用いることは、乳化重合を進める観点から、また塗膜の円滑かつ均一な形成を促進し被着物への接着性を向上させる観点から、好ましい場合が多い。
(媒体)
好ましい態様においては、乳化重合における媒体は、水性媒体である。本明細書において、水性媒体とは、本質的に水からなる媒体である。この水性媒体は、場合によって、アルコール等の水親和性有機溶媒を数質量%の範囲で含んでもよい。
ある態様において、水性媒体として、例えば、水、又は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール若しくは1−ブタノール等のアルコールと水との混合系を使用することができる。
反応前乳化混合物の調製において、アクリル樹脂モノマー又はアクリル樹脂モノマー混合物に、乳化剤及び水性媒体を加えて混合して、反応前乳化混合物を調製してもよく、又は、乳化剤を含む水性媒体を調製しておき、この水性媒体とアクリル樹脂モノマー又はアクリル樹脂モノマー混合物とを混合してもよい。
(アクリル樹脂エマルションの製造)
アクリル樹脂エマルションは、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の通常の乳化重合法を適宜選択して製造することができる。特に、乳化モノマー滴下重合が、製造時の安定性を確保する上で好適である。
乳化重合工程は、例えば、反応前乳化混合物及び重合開始剤を、それぞれ水性媒体中に滴下することによって行うことができる。反応前乳化混合物及び重合開始剤の滴下に要する時間は、反応スケール及び反応容器等に依存して任意に選択することができ、例えば30分〜6時間の範囲で選択することができる。乳化重合工程は、例えば、50〜85℃の重合温度で行うことができる。重合温度は、60〜80℃であるのがより好ましい。乳化重合工程は、常圧条件下において行ってもよく、又はモノマーの蒸気圧等の物性に応じて高圧条件下において行ってもよい。重合温度が50度未満の場合は、反応が十分に進行しないおそれがある。また、重合温度が85℃を超える場合は、副生するアルコールの還流が起こるおそれがある。
アクリル樹脂エマルションを調製するに際して行う乳化重合は、好ましくはpHの下限2、上限6の範囲内の水性媒体中において行う。水性媒体のpHが2未満では、酸性が強すぎて反応容器内部の腐食を促進し取り扱いに不便をきたし、6を超えると、得られるアクリル樹脂エマルションの貯蔵安定性が悪くなるおそれがあり、均一なアクリル樹脂エマルションを得られない場合がある。
pHの下限はより好ましくは2.5であり、上記pHの上限はより好ましくは5.5、更に好ましくは5である。
アクリル樹脂エマルションを調製するに際して行う乳化重合の後、得られる反応溶液をpHの下限7、上限10の範囲内に調整することが好ましい。これにより、得られるアクリル樹脂エマルションに含有されるカルボキシル基等を中和でき、架橋構造を有する場合、充分な架橋を行える。
これにより、長期間貯蔵しても分散する粒子が凝集することなく安定性に優れた分散体が得られる。
上記pHの下限はより好ましくは8、更に好ましくは8.5に調整し、上記pHの上限はより好ましくは10、更に好ましくは9.5に調整する。このようなpHの調整は、塩基性物質を添加することにより行うことができる。
塩基性物質としては特に限定されず、例えば、アンモニア、トリブチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、アミノメチルプロパノール等のアミン化合物、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属化合物等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、本発明のおいては、バインダーへの分散性、粘性の点から、アミン化合物が好ましい。
また、乳化重合としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法、多段モノマーフィード法であるコアシェル重合法や、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法等、いずれの重合法も利用することができる。ここで、通常の一段連続モノマー均一滴下法を用いた場合には単層型アクリル樹脂エマルション樹脂を得ることができ、また、多段モノマーフィード法であるコアシェル重合法を用いた場合にはコアシェル型アクリル樹脂エマルションを得ることができる。
例えば、微粒子がコアシェル構造を有する場合、アクリル樹脂エマルションを調製するにあたって行う乳化重合方法は、特に限定されない。例えば、水性媒体等の存在下、例えば、メチルメタクリレートモノマーを主成分とした親水性の高いモノマーを乳化重合して、Tgが80℃以上であるアクリル重合体からなるシェル部を形成させ(第一工程)、その後、上記シェル部用の重合体よりも疎水性が高い重合体を形成しうるモノマーを滴下して、上記第一工程で形成したシェル部の内部に供給し、乳化重合してTg45℃以上であるアクリル重合体からなる上記コア部を形成させ(第二工程)、これらの工程を経ることにより、コアシェル構造を有するアクリル樹脂エマルションを得ることができる。なお、用いるアクリル樹脂の性質等に応じて、コア部を形成後、シェル部を形成してもよい。
乳化剤は、上記コア部若しくは上記シェル部の何れか、又は、上記コア部及び上記シェル部の両方に添加することができる。得られるアクリル樹脂エマルションの分散性が一層向上するので、乳化剤は上記シェル部に添加することが好ましい。
このようにして本発明で用いられるアクリル樹脂エマルションが調製される。アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に50,000〜1,000,000程度であるのが好ましく、100,000〜800,000程度であるのがより好ましい。本発明において重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができ、ポリスチレン標準による換算値によって算出することができる。
こうして得られたアクリル樹脂エマルションに対して、塩基性化合物を添加して、カルボン酸の一部又は全量を中和することによりアクリル樹脂エマルションの分散安定性を向上させてもよい。これら塩基性化合物としては、アンモニア類、各種アミン類、アルカリ金属等を用いることができる。
コアシェル粒子の乾燥粉体を調製する方法としては、従来の方法で調製したコアシェル粒子のエマルションの自然乾燥以外に、例えば、コアシェル粒子エマルションの凍結乾燥(いわゆる、フリーズドライ)、噴霧乾燥(いわゆる、スプレードライ)、加熱オーブンによる乾燥等の方法が挙げられる。
(シリカ化合物)
ある態様において、微粒子は、さらにシェルを有し、シェルはシリカ化合物を含む。
シリカ化合物として、例えば、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、シリカゲル、コロイダルシリカが挙げられる。
例えば、シリカ化合物(シリカ化合物の懸濁液である形態のものも含む)として、下記の市販品(いずれも商品名)等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。また、所望により、シリカ化合物は変性処理が行われたものであってもよい。
具体例として、アデライトAT−20、30、50、20A、30A、20Q(いずれも、ADEKA社製);スノーテックスSS、スノーテックスXS、スノーテックスS、スノーテックスN、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスC、スノーテックスO(いずれも、日産化学工業社製);カタロイド350、20H、30、30H、40、50、SA、SN(いずれも、日揮触媒化成社製);シリカドール20、30、40(いずれも、日本化学工業社製);アエロジルW7330N、W7520、W7520N、W7622(いずれも、日本アエロジル社製)等を挙げることができる。
例えば、シェルがシリカ化合物を含む微粒子は、アクリルモノマーを乳化重合してアクリル樹脂エマルションを得る工程と、前記アクリル樹脂エマルションと親水性シリカ微粉末群を水中に分散させたシリカ水性分散液とを混合して混合水性分散液を得る工程と、前記混合水性分散液を、噴霧乾燥機を用いて、高温雰囲気中に噴霧して水を蒸発させることにより、前記アクリル樹脂微粒子表面に前記親水性シリカ微粉末群を被覆させる工程を経て、コアシェル型微粒子を得ることができる。
また、例えば、以下のようにして、シェルがシリカ化合物を含む微粒子を調製できる。この場合、コア部は上述のようにして調製できる。
まず、親水性シリカ微粉末群を水中に分散させたシリカ水性分散液を調製する。シリカ水性分散液は、水中に親水性シリカ微粉末群を添加し攪拌すれば、容易に調製することができる。この添加攪拌の条件等や、シリカ水性分散液中における親水性シリカ微粉末群の濃度は、親水性シリカ微粉末群が凝集せずに均一に水中に分散するよう適宜決定することができる。
例えば、市販品である親水性ヒュームドシリカAEROSIL200(日本アエロジル社製)5質量%の濃度で水中に分散させるには、ホモミキサーを使用して10,000rpmで10分間攪拌すれば、容易にシリカ水性分散液を得ることができる。
上記で得られたシリカ水性分散液と、上記で得られたアクリル樹脂エマルションとを混合して混合水性分散液を得る。両者の混合割合は、固形分である親水性シリカ微粉末とアクリル樹脂エマルションの量が適切である限り、適宜決定しうる事項であり任意である。また、両者の混合時に、水をさらに添加混合して、アクリル樹脂微粒子や親水性シリカ微粉末が凝集しにくいようにするのが、好ましい。水の添加量も、適宜決定しうる事項であるが、アクリル樹脂エマルションと同質量部程度とするのがよい。また、これらを混合する際にも、攪拌して凝集が生じにくいようにするのが好ましい。
得られた混合水性分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥する。このような乾燥形態は、一般的には噴霧乾燥と言われ、ノズル噴霧方式とディスク噴霧方式とがある。前者は、混合水性分散液をノズル等の孔から、高温雰囲気下に噴霧して乾燥するものである。後者は、ディスクを回転させて遠心力により、混合水性分散液を高温雰囲気下に噴霧して乾燥するものである。
アクリル樹脂微粒子表面に水が付着した状態で噴霧されると、その水中に親水性シリカ微粉末が存在するため、乾燥時に親水性シリカ微粉末群がアクリル樹脂微粒子表面に付着する。また、この付着は、アクリル樹脂微粒子が柔らかければ柔らかいほど、アクリル樹脂微粒子表面に親水性シリカ微粉末群が埋入した状態で付着する。
(バインダー)
封止材組成物は、バインダーを含み得る。例えば、バインダーとしてバインダー樹脂を含んでもよい。
本発明において用いる事ができるバインダー樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中で、接着性、耐熱性に優れ、バインダー樹脂とフィラーとの分離を抑制できるという観点から、好ましいバインダー樹脂はエポキシ樹脂である。
ある態様において、封止材組成物における、本発明に係る微粒子の配合量は、バインダー樹脂組成物の樹脂固形分100質量部に対して3〜20質量部の範囲である。
例えば、本発明に係る微粒子とエポキシ樹脂とを含む半導体用封止材組成物の場合、バインダーの有するガラス転移温度を低下させることなく使用できる。また、封止材組成物において、本発明に係る微粒子は、バインダーに対して優れた分散性を示し、封止材組成物の粘性を制御できる。その結果、半導体部材における支持部材に対して、均一に塗布することができ、さらに、タレ止めが可能であり、プレゲル化剤として作用できる。加えて、封止材組成物を硬化させた封止材は、優れた靭性を有する。
特定の理論に限定すべきではないが、例えば、エポキシ樹脂は、一般に粘性流体から硬化する過程において化学反応による架橋密度、体積収縮等の変化を伴い、硬化後には材料内部で残留応力、残留歪が生じる場合がある。
ところが、本発明の封止材組成物であれば、粘性流体から硬化する過程において化学反応による架橋密度、体積収縮等の変化を緩和できるので、組成物の硬化後においても残留応力、残留歪による影響を抑制できる。
ある態様において、本発明に係る微粒子とバインダーとの組合せは、バインダー単独のガラス転移温度±5℃の範囲のガラス転移温度を有する。
さらに、本発明に係る微粒子とバインダーとを有する封止材組成物は、さらに優れた応力緩和効果を有する。
好ましいエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である。このようなエポキシ樹脂には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、jER 828、jER YL−980(いずれも、三菱化学社製))、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例えば、YDF−170(新日鉄住金化学社製))、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、N−730A(DIC社製))、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、N−665―EXP(DIC社製))、多官能エポキシ樹脂(例えば、TACTIX−742(ハンツマン社製))、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(例えば、HP−4032D(DIC社製))、脂環式エポキシ樹脂(例えば、セロキサイド2081(ダイセル社製))、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、PB−3600(ダイセル社製))、アミン型エポキシ樹脂(例えば、YH−434L(新日鉄住金化学社製))、レゾルシン型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX−201(ナガセケムテックス社製))、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX−211(ナガセケムテックス 社製))、ヘキサンディネルグリコール型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX−212(ナガセケムテックス社製))、エチレン・プロピレングリコール型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX−810、811、850、851、821、830、832、841、861(いずれも、ナガセケムテックス社製))、等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂の中で、より好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。バインダー樹脂としてこれらの樹脂を用いると、電気伝導性、接着性及び熱伝導性により優れ、かつ塗布作業性及び機械特性にもより優れ、半導体用途において好適に用いることができる封止材組成物を得ることができる。また、これらのエポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるバインダー樹脂、特にエポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは160〜3,000である。バインダー樹脂の数平均分子量が上記範囲内であることにより、封止材組成物の粘度を上昇させることなく、硬化後の封止材に優れた下地との密着性を付与できる。
バインダー樹脂として用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは80〜1,000であり、より好ましくは100〜500である。エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記範囲内であることで、硬化後の封止材に優れた下地との密着性を付与でき、かつ封止材組成物の硬化時に未反応硬化物の残留を抑制できることによる硬化後の熱履歴で生じる封止材組成物の硬化物のアウトガスの発生を抑制できる等の利点がある。
封止材組成物の合計質量100質量部に対して、バインダー樹脂の含有量は、好ましくは80〜97質量%であり、より好ましくは90〜95質量%である。バインダー樹脂の含有量が80質量%以上であると封止材組成物は優れた接着性を有し、97質量%以下であると封止材組成物の粘度が上昇しすぎることなく良好な作業性が得られる。
バインダー樹脂として用いるエポキシ樹脂は、1分子中に1個のエポキシ基を有する化合物である単官能エポキシ化合物(反応性希釈剤)を含んでもよい。このような単官能エポキシ化合物には、例えば、フェニルグリシジルエーテル(例えば、BROC(日本化薬社製))、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル(例えば、YED−122(三菱化学社製))、脂肪族モノグリシジルエーテル(例えば、ED−502( ADEKA社製))、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル(例えば、ED−509E( ADEKA社製))、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、KBM−403(信越化学工業社製))、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、(例えば、TSL−8350、TSL−8355、TSL−9905(いずれも、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製))等が挙げられる。
単官能エポキシ化合物は、本発明の封止材組成物の特性を阻害しない範囲で使用される。単官能エポキシ化合物の含有量は、バインダー樹脂の質量に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは1〜5質量%である。バインダー樹脂中の単官能エポキシ化合物の含有量が10質量%以下であると、封止材組成物の粘度が上昇しすぎることなく良好な作業性が得られる。
(封止材組成物)
本発明の封止材組成物は、本発明に係る微粒子を含む。封止材組成物は、さらに必要に応じて酸化カルシウム及び酸化マグネシウム等の吸湿剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び高級脂肪酸等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、並びに無機イオン交換体等のイオントラップ剤等の各種添加剤を、単独又は数種類を組み合わせて、適宜添加することができる。
封止材組成物は、例えば、本発明の樹脂成分を構成する上述の成分、及び所望により添加する各種添加剤を用意して、これらを一括して又は分割して、撹拌機、ハイブリッドミキサー、ライカイ機、3本ロール、プラネタリーミキサー等の分散、攪拌及び混練可能な装置に投入し、必要に応じて加熱し、混合、溶解、解粒、混練及び/又は分散して、均一なペースト状の組成物が調製される。
封止材組成物の加熱硬化条件は、低温での長時間硬化の場合と、高温での速硬化の場合とで異なる。例えば、高温での速硬化の場合、通常、封止材組成物の加熱硬化条件は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは100〜130℃の加熱温度及び好ましくは30秒〜2時間、より好ましくは10分〜2時間、さらに好ましくは1時間〜1時間30分の加熱時間である。
封止材組成物は、電気絶縁性、耐熱性及び接着性に優れ、その上、靭性に優れている。また、封止材組成物におけるバインダー及び微粒子の分離が抑制されており、封止材組成物を長期間保存してもバインダー及び微粒子が分離することが少ない。
封止材組成物は、例えば、半導体素子の接着等にも使用できる、半導体用封止材として、好適に使用できる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中「部」及び「%」は、ことわりのない限り質量基準による。
<微粒子の製造>
製造例A1 単層型微粒子(微粒子A1)の製造
以下のようにして、単層型微粒子(微粒子A1)を製造した。
反応容器に、脱イオン水160質量部と非反応性乳化剤(エマールO;花王社製)0.7質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。所定の温度に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3質量部及び脱イオン水5.0質量部からなる開始剤溶液を反応溶液へ添加した。5分撹拌した後、非反応性乳化剤(エマールO;花王社製)0.8質量部と脱イオン水92.5質量部からなる乳化剤溶液を用いてスチレン45.0質量部、メタクリル酸メチル50.0質量部、ジビニルベンゼン5.0質量部からなるモノマー溶液を乳化したプレ乳化液を90分で滴下した。2時間撹拌後、反応温度を40℃まで冷却、ろ過し、単層型アクリル樹脂微粒子水分散体A1を得た。得られた単層型微粒子水分散体A1を、当該技術分野において公知の噴霧乾燥機を用いて、噴霧乾燥(流速:50kg/分、熱風の入り口温度:100℃、乾燥室内温度40℃)を行い、単層型アクリル樹脂微粒子(微粒子A1)を得た。
(製造例A2〜A6及び製造例a1〜a2)
各成分の種類及び量を下記表1のとおり変更したこと以外は、製造例A1と同様にして、各種単層型アクリル樹脂微粒子A2〜A6及び単層型微粒子a1〜a2を調製した。
製造例AA1 コアシェル型微粒子(微粒子AA1)の製造
以下のようにして、コアシェル型微粒子(微粒子AA1)を製造した。
反応容器に、脱イオン水130質量部及び反応性乳化剤(アクアロンKH10;第一工業製薬社製)1.2質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。所定の温度に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3質量部及び脱イオン水30質量部からなる溶液を2時間40分で滴下した。また、開始剤溶液の滴下開始10分後から、スチレン45.0質量部、メタクリル酸メチル30.0質量部、ジビニルベンゼン5.0質量部、脱イオン水45質量部及び反応性乳化剤(アクアロンKH10;第一工業製薬社製)1.0質量部からなるプレ乳化液を1時間で滴下し、コアを形成した。
次に、スチレン5.0質量部、メタクリル酸メチル14.0質量部、メタクリル酸1.0質量部、脱イオン水28質量部及び反応性乳化剤(アクアロンKH10;第一工業製薬社製)0.5質量部からなるプレ乳化液を30分で滴下し、さらに2時間撹拌を継続してシェルを形成した。なお、シェルの固形分酸価は、33.0mgKOH/gであった。その後、製造例A1と同様に、反応温度を40℃まで冷却、ろ過、乾燥し、コアシェル型アクリル樹脂微粒子(微粒子AA1)を得た。
(製造例AA2〜AA9及びaa1〜aa2)
各成分の種類及び量を下記表1のとおり変更したこと以外は、製造例AA1と同様にして、コアシェル型微粒子(微粒子AA2〜AA9及び微粒子aa1〜aa2)を調製した。
製造例AS1 シリカ化合物をシェルに含む、コアシェル型微粒子(微粒子AS1)の製造
以下のようにして、シェルにシリカ化合物を含むコアシェル型微粒子(微粒子AS1)を製造した。
反応容器に、脱イオン水45質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。所定の温度に到達した後、メタクリル酸メチル2.5質量部、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部及び脱イオン水2.5質量部からなる開始剤溶液を反応溶液へ添加した。30分撹拌した後、スチレン16.5質量部、アクリル酸n−ブチル4.5質量部からなるモノマー溶液を1時間で滴下し、コア(第1層)を形成した。40分撹拌後、非反応性乳化剤(エマールO;花王社製)0.2質量部、脱イオン水2.5質量部を反応容器へ加え、30分撹拌した。
次に、メタクリル酸メチル46.5質量部、アクリル酸エチル10質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部からなるモノマー溶液、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2質量部及び脱イオン水45.5質量部からなる開始剤溶液、脱イオン水64.5質量部を2時間で滴下した。さらに、1時間撹拌してコア(第2層)を形成し、アクリル樹脂微粒子水分散体を得た。なお、表2のコア部配合には、第1層及び第2層に含まれる各成分の合計量を記載した。
別途、撹拌装置に脱イオン水190質量部を仕込み、ディスパーを用いて10,000rpmで撹拌しながら、シリカ化合物として親水性シリカ微粉末(アエロジル200;日本アエロジル社製)10質量部を混合し、10分間撹拌混合して、シリカ水分散体を得た。
次に、上記で得られたアクリル樹脂微粒子水分散体(固形分濃度36%)250質量部(固形分90質量部)、上記で得られたシリカ水分散体(固形分濃度5%)200質量部(固形分10質量部)を混合し、混合水分散体を得た。
その後、製造例A1と同様に、反応温度を40℃まで冷却、ろ過、乾燥し、シリカ化合物をシェルに含む、コアシェル型アクリル樹脂微粒子(微粒子AS1)を得た。
(製造例AS2〜AS6及びas1〜as2)
各成分の種類及び量を下記表2のとおり変更したこと以外は、製造例AS1と同様にして、シリカ化合物をシェルに含むコアシェル型微粒子(微粒子AS2〜AS6及び微粒子as1〜as2)を調製した。
評価項目
(平均粒子径測定)
平均粒子径は、上記乾燥前の微粒子水分散体を、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)を用いて、測定した。
(実施例A1)
バインダー樹脂として液状エポキシ樹脂jER 828(固形分濃度100%、三菱化学社製)100部に、微粒子A1を5部添加し、3本ロールで分散し、エポキシ樹脂分散体A1を作成した。得られたエポキシ樹脂分散体A1を用いて、下記の評価を行った。
(実施例A2〜A6、AA1〜AA9及びAS1〜AS6、並びに比較例a1〜a2、aa1〜aa2及びas1〜as2)
微粒子を各態様に応じて変更したこと以外は、実施例A1と同様にして各エポキシ樹脂分散体A2〜AS6、a1〜as2を作成し、下記の評価を行った。
分散性
バインダー樹脂への各微粒子の分散性を下記の基準に基づき評価した。
○:バインダー樹脂へ容易に均一分散できる
○△:バインダー樹脂へ強撹拌条件で均一分散できる
△:バインダー樹脂へ分散直後は均一に分散するが、経時で一部が凝集・分離する
×:バインダー樹脂へ全く分散しない、又は多くが凝集・分離する
粘性
各エポキシ樹脂分散体について、粘弾性測定装置MCR−300(治具:パラレルプレートCP50、Anton Paar社製)を用いて、測定温度25℃、せん断速度0.01(1/s)及び100(1/s)での粘度(それぞれ、η0.01、η100)を測定し、その比(η0.01/η100)をTI値として、下記の基準に基づき粘性を評価した。
ここで、TI値(チクソトロピーインデックス)とは、揺変性を示す指標であり、温度一定下で攪拌するとゾル状になり、これを放置すると再びゲル状に戻る性質を示すパラメータである。このTI値が大きいほどタレ性に対し有効であることを意味する。
○:TI値が1.5以上
○△:TI値が1.2以上1.5未満
△:TI値が1.0以上1.2未満
×:TI値が1.0未満
靭性
各エポキシ樹脂分散体を、ポリプロピレン板上に、乾燥膜厚500μmとなるように塗布し、ミニジェット乾燥機にて120℃で20分加熱硬化させた後、ポリプロピレン板から塗膜を剥離し、フリーフィルムを得た。次に、前記塗膜を5mm×20mmの大きさに裁断し試験片とした。
各試験片について、動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000(ユービーエム社製)を使用し、50℃から200℃の温度範囲において、昇温速度2℃/分、周波数128Hzの条件で、その粘弾性(貯蔵弾性率(E’:弾性成分)及び損失弾性率(E”:粘性成分)を測定し、貯蔵弾性率(E’:弾性成分)に対する損失弾性率(E”:粘性成分)の比(tanδ(損失正接)=E”/E’)を算出した。上記損失正接(tanδ)を温度に対してプロットした場合の損失正接(tanδ)が極大値(tanδm)を与える温度を塗膜の動的Tg(℃)とした。各試験片のtanδmaとバインダー樹脂単体のtanδmbとの比(tanδmx=tanδma/tanδmb)を算出し、下記の基準に基づいて靭性を評価した。
ここで、tanδ(損失正接)の値は、粘性と弾性との比率を示す値であり、対象物質がある外力を受けたときに、粘性変形して、受けた力学的エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収する割合を示す値である。すなわち、tanδ(損失正接)の大きい塗膜は外部からのエネルギーを熱エネルギーとして吸収(消費)する割合が大きい、すなわち靭性が大きいこととなる。
○:tanδmxが1.2以上
○△:tanδmxが1.1以上1.2未満
△:tanδmxが1.0以上1.1未満
×:tanδmxが1.0未満
単層型微粒子と、コア及びシェルがアクリル樹脂を含むコアシェル型微粒子とに関する実施例及び比較例における配合及び評価結果等を表1に示す。また、シリカ化合物をシェルに含むコアシェル型微粒子に関する実施例及び比較例を表2に示す。
Figure 2018184550
Figure 2018184550
このように、本発明に係る封止材組成物は、バインダーに対する分散性に優れた微粒子を含み、使用態様に応じて最適な粘度に調整できる。さらに、本発明の封止材組成物の硬化物である封止材は、優れた靱性を有する。
一方、例えば、比較例a1においては、微粒子のガラス転移温度(Tg)が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物は、望ましい粘度を得ることができず、封止材組成物は、シリンジ等の器具を用いて被着物上に充填できなかった。さらに、得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例a2においては、微粒子の平均粒子径が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物は、バインダーへの分散性に乏しく、さらに、得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例aa1及びaa2においては、微粒子のガラス転移温度(Tg)が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物は、バインダーへの分散性に乏しく、望ましい粘度を得ることができず、封止材組成物は、シリンジ等の器具を用いて被着物上に充填できなかった。さらに、得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例as1においては、微粒子のガラス転移温度(Tg)が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物から得られた封止材は、靱性が劣った。
比較例as2においては、微粒子の平均粒子径が本発明の範囲外である。このような微粒子を含む封止材組成物から得られた封止材は、靱性が劣った。
本発明に係る微粒子を含むことにより、封止材組成物においてはバインダーに対する微粒子の分散性が優れ、使用態様に応じて最適な粘度を有することができ、さらに、優れた靱性を有する封止材が得られる。また、靭性に優れた半導体用封止材組成物が得られる。
参考例A1)
バインダー樹脂として液状エポキシ樹脂jER 828(固形分濃度100%、三菱化学社製)100部に、微粒子A1を5部添加し、3本ロールで分散し、エポキシ樹脂分散体A1を作成した。得られたエポキシ樹脂分散体A1を用いて、下記の評価を行った。
(実施例A2、A4、AA1、AA2、AA4〜AA6、AA8、AA9及びAS1〜AS6、並びに比較例a1〜a2、aa1〜aa2及びas1〜as2及び参考例
微粒子を各態様に応じて変更したこと以外は、参考例A1と同様にして各エポキシ樹脂分散体A2〜AS6、a1〜as2を作成し、下記の評価を行った。
Figure 2018184550

Claims (16)

  1. 少なくともコアを有する微粒子を含む、封止材組成物であって、
    前記微粒子のコアは、アクリル樹脂を含み、
    前記微粒子のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上であり、
    前記微粒子の平均粒子径が0.05〜1.20μmである、封止材組成物。
  2. 前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーの重合体を含む、請求項1に記載の封止材組成物。
  3. 前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項2に記載の封止材組成物。
  4. 前記微粒子が、更にシェルを有し、
    前記シェルがアクリル樹脂を含み、
    コアのガラス転移温度(Tg)が80℃以上であり、シェルのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の封止材組成物。
  5. 前記シェルに含まれるアクリル樹脂が、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iv)スチレン系モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーとを含むモノマー混合物の重合体を含む、請求項4に記載の封止材組成物。
  6. 前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の封止材組成物であって、
    前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
  7. 前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
  8. 前記コアに含まれるアクリル樹脂が、(v)多官能ビニルモノマーを含む混合物の重合体を含む、請求項4から7のいずれか1項に記載の封止材組成物。
  9. 前記微粒子が、更にシェルを有し、
    前記シェルがシリカ化合物を含み、
    コアのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の封止材組成物。
  10. 前記微粒子のコアは、第1のアクリル樹脂を含む第1層と、該第1層を覆うように存在し、別のアクリル樹脂を含む第2層とを有する、請求項9に記載の封止材組成物。
  11. 前記アクリル樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項9又は10のいずれかに記載の封止材組成物であって、
    前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
  12. 前記アクリル樹脂は、前記(i)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(ii)酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び(iii)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、(iv)スチレン系モノマーと、(v)多官能ビニルモノマーとを含む混合物の重合体を含む、請求項9から11のいずれか1項に記載の封止材組成物であって、前記多官能ビニルモノマーが、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル及びジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールから選択される少なくとも1種の架橋性モノマーを含む、封止材組成物。
  13. 前記コアの質量と、前記シェルの質量との比が、コア/シェル=50/50〜95/5である、請求項4から12のいずれか1項に記載の封止材組成物。
  14. 微粒子と、エポキシ樹脂とを含む、半導体用封止材組成物であって、
    前記微粒子は、請求項1から13のいずれか1項に記載の微粒子である、半導体用封止材組成物。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の封止材組成物の硬化物である封止材。
  16. 封止材用微粒子であって、
    前記微粒子は、請求項1から13のいずれか1項に記載の微粒子である、封止材用微粒子。
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