JP2018183752A - コンクリート固化物、コンクリート固化物の製造方法、およびコンクリート固化物を利用したリン回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のコンクリート固化物は水中のリン酸態リンを除去し、水酸化リン酸カルシウムとして回収するために用いられる。コンクリート固化物は、カルシウムマグネシウム珪酸塩(Calcium magnesium Silicate)、及び結合材から構成される。
カルシウムマグネシウム珪酸塩(Calcium magnesium Silicate)は、カルシウムとマグネシウムの珪酸複塩である。カルシウムマグネシウム珪酸塩は、カルシウムイオン及び水酸化物イオンの存在下、水中のリン酸イオンと反応して水酸化リン酸カルシウム(Ca10(OH)2(PO4)6、ヒドロキシアパタイトとも称される)を析出させる。すなわち、カルシウムマグネシウム珪酸塩は、いわゆる晶析脱リン法の種晶としての役割を果たし、水中でリン酸態リンを除去し、リン酸態リンの濃度低下によりリン濃度を低下させる。
結合材はカルシウムマグネシウム珪酸塩を固定するものである。結合材としては、従来からセメント、またはレジンセメントにおける樹脂として使用されているものであれば特に種類は問わない。このうちセメントとしては、例えばポルトランドセメント、混合セメント、特殊セメントなど各種セメントを挙げることができる。ポルトランドセメントとしては、具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等を挙げることができる。混合セメントとしては、具体的には高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等を挙げることができる。特殊セメントとしては、白色ポルトランドセメント、セメント系固化材、超微粒子セメント、高ビーライト系セメント、超速硬セメント、アルミナセメント、リン酸セメント、気硬性セメント等を挙げることができる。なお、結合材としてはカルシウム源を含有しているセメントが好ましい。水中において、カルシウム源を含有するセメントからはカルシウムイオンが溶出する。そして、晶析脱リン法おける種晶となるカルシウムマグネシウム珪酸塩のリン除去能力は、水中のカルシウムイオンの濃度、水酸化物イオンの濃度、リン酸イオンの濃度に依存する。すなわちカルシウムイオンの濃度が上がれば、カルシウムマグネシウム珪酸塩の表面に水酸化リン酸カルシウムが析出する反応の反応速度は向上する。このため、結合材がカルシウム源を含有するセメントであれば、カルシウムマグネシウム珪酸塩のリン除去能力を補強することができる。
その他、コンクリート固化物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて種々の添加物を添加することができる。例えば、通常のコンクリートやモルタルで使用される骨材(細骨材または粗骨材)を配合してもよい。また、必要に応じて硬化剤や水を添加してもよい。
また、形成したコンクリート固化物は、種々の形状に成形することができる。例えば、大型、小型を問わないブロック状や消波ブロックの形状にすることができる。
上記コンクリート固化物を利用して、水中のリン酸態リンを除去し、除去したリン酸態リンを水酸化リン酸カルシウムとして回収するリン回収方法を行うことができる。リン回収方法は、図3に示すように、コンクリート固化物1を水中2に設置することで行われる(図3の破線)。設置される水中2としては、水流のほとんどないため池、湾内等の閉鎖性水域でも、水路でも構わない。すなわち、図3では水中2にコンクリート固化物1を設置することで、リンの除去を行っているが、流れる水に対してコンクリート固化物1を設置することでもリンの除去を行うことも可能である。しかし、水酸化リン酸カルシウムの析出速度は緩やかであることから鑑み、閉鎖性水域でリンの除去を行う方が好ましい。
〈カルシウムマグネシウム珪酸塩の合成〉
まず、カルシウムマグネシウム珪酸塩を含有する残渣はゾル・ゲル法で合成した。具体的には、硝酸カルシウム四水和物(和光純薬工業社製)29.5g(0.125mol)と、塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業社製)25.4g(0.125mol)と、オルト珪酸テトラエチル(関東化学社製)52.1g(0.250mol)を150mlのエタノールに添加した。かかるエタノール溶液を80℃で24時間静置して無色透明なゲルを得た。このゲルを雰囲気温度650℃下で2時間焼結させ、粉末状のカルシウムマグネシウム珪酸塩を含有する焼結物を得た。
上述のようにして得た粉末状の焼結物を、アルミナセメント(株式会社神垣組製)に添加して混合した。焼結物100gに対するアルミナセメントの量は100g(実施例1)、または200g(実施例2)となるよう調整した。その後、かかる混合物に蒸留水130〜200mlを添加し、アルミナセメントを硬化させると共に、縦2.5cm、横1.5cm、高さ1.0cmのコンクリートブロックに成形した。
比較例のコンクリートブロックは、アルミナセメント100gに蒸留水70mlを添加して硬化させ、縦2.5cm、横1.5cm、高さ1.0cmのコンクリートブロックに成形して得た。
実施例1,2及び比較例のコンクリートブロックを1.05mmol/lのリン溶液200mlに浸漬した。リン溶液のリンイオン濃度はコンクリートブロック浸漬前、コンクリートブロック浸漬から300分後、及びコンクリートブロック浸漬から1200分後のリン溶液の上澄み液を20ml採取し、溶液中のリン濃度をモリブデンブルー法により測定した。なお、測定値の算出に当たってはコンクリートブロック浸漬前のリンイオン濃度を100%の基準にして換算した。
2 水中
3 水酸化リン酸カルシウム
4 酸性溶液
Claims (7)
- カルシウムマグネシウム珪酸塩(Calcium magnesium Silicate)と、結合材とを有し、
前記カルシウムマグネシウム珪酸塩の少なくとも一部が前記結合材の界面において露出している、コンクリート固化物。 - 請求項1に記載されたコンクリート固化物であって、
前記カルシウムマグネシウム珪酸塩と、結合材との含有比が1:0.2〜1:50である、コンクリート固化物。 - 請求項1または請求項2に記載されたコンクリート固化物であって、
前記結合材が、カルシウム源を含有するセメントである、コンクリート固化物。 - カルシウムマグネシウム珪酸塩(Calcium magnesium Silicate)と、結合材とを有し、前記カルシウムマグネシウム珪酸塩の少なくとも一部が前記結合材の界面において露出しているコンクリート固化物を水に接触させ、水中のリン酸態リンを水酸化リン酸カルシウムとして前記コンクリート固化物と水との界面に析出させる析出ステップと、
前記コンクリート固化物を水中から引き上げ、前記コンクリート固化物に析出している前記水酸化リン酸カルシウムを酸に接触させて、該水酸化リン酸カルシウムを前記コンクリート固化物から分離させる分離ステップと、
分離した前記水酸化リン酸カルシウムを回収する回収ステップとを有する、水中のリン回収方法。 - カルシウムマグネシウム珪酸塩(Calcium magnesium Silicate)を含有する溶液をゾルの状態に変質させるゾル化ステップと、
前記ゾルの状態の前記溶液から溶媒を気化させることで除去し、残渣を得る気化ステップと、
前記残渣を雰囲気温度555〜950℃の環境下で固相焼結させて焼結物を得る固相焼結ステップと、
前記焼結物を結合材に混合させる混合ステップと、
前記結合材を固化させて、コンクリート固化物を形成する固化ステップとを有する、コンクリート固化物の製造方法。 - 請求項5に記載されたコンクリート固化物の製造方法であって、
前記混合ステップにおける、前記焼結物と前記結合材との混合比が1:0.2〜1:50である、コンクリート固化物の製造方法。 - 請求項5または請求項6に記載されたコンクリート固化物の製造方法であって、
前記混合ステップにおける前記結合材がカルシウム源を含有するセメントである、コンクリート固化物の製造方法。
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2017
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Title |
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宇田川亮太、山本翔、野浪亨: "焼成温度が異なるディオプサイドをリン溶液に浸漬したときのリン吸着特性", 日本セラミックス協会2014年年会講演予稿集, JPN7021000677, 2014, pages 1 - 098, ISSN: 0004458332 * |
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