JP4798734B2 - 水硬性組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明の水硬性組成物は、主成分として酸化マグネシウム及びリン酸一水素マグネシウムを含み、且つMgO/P2O5重量比が3.5〜23.0の範囲である組成物、及びこの組成物100重量部に対して無水石膏を0.5〜15.0重量部含有する組成物で、アルカリ溶出のない硬化体が得られ、構造用材料として建築物の内装材、外装材、骨材を混合したコンクリート、モルタル等に利用できる。さらに、関東ローム、シルト、汚泥、有機質土等の軟弱土壌に対して、優れた安定処理効果を発揮する土質安定処理材として利用できる。
【0002】
【従来の技術】
一般的な水硬性組成物であるセメント系組成物は、砂利、砂、鉄筋を複合化させたコンクリートやモルタルとして建築物や構造物に広く利用されている。セメント系組成物の代表として、ポルトランドセメントが挙げられる。ポルトランドセメントを構造物に利用した場合、水和反応による硬化に伴って遊離した水酸化カルシウムが硬化体から溶出して高アルカリ性となる。溶出した水酸化カルシウムは、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを生成し、硬化体表面に析出して白華(エフロレッセンス)等の問題をおこす。これらを解決する手段として、合成樹脂エマルジョンを添加してアルカリの溶出を低減させるとか、硬化体表面を熱硬化性樹脂コーティングして表面改質する等の方法があるが、作業の複雑化及びコストアップは避けられず、問題の解決には至っていない。
【0003】
低アルカリ性のセメントとして、オキシクロライドセメント、オキシサルファイトセメントとリン酸セメントが挙げられる。オキシクロライドセメントは、弱アルカリ金属酸化物と、その金属の塩化物水溶液を混合すると金属のヒドロキシ塩化物の水化物を生成して硬化することを利用している(化学式(1))。
mMO + MCl2 → mMO・MCl2・nH2O (M:Mg、Zn 等) (1)
一方オキシサルファイトセメントは塩化物の替りに硫酸塩を用いたものである。しかし、オキシクロライドセメント、オキシサルファイトセメントとも耐水性に乏しく、熱に弱い欠点を有している。
【0004】
リン酸セメントは、各種の酸化物粉末とリン酸液を混練すると、両者が反応して酸性リン酸塩を形成し、硬化する特性を利用している。強度の大きな硬化体を得るには不整構造の水和物を生じなければならないので、弱アルカリ性、又は両性でイオン半径の小さい陽イオンからなる酸化物を利用する。常温硬化性の良好な陽イオンはAl、Zn、Mg、Ca等で、硬化する際に第一リン酸塩[Mx(H2PO4)y、例えばAl(H2PO4)3等]、又は第二リン酸塩[Mx(HPO4)y、例えばZnHPO4、MgHPO4、CaHPO4等]を生成する。ただし、このセメントは液状リン酸を使う厄介さ、耐水性に乏しい、高価である等から一般の用途には向かない。
【0005】
他のリン酸セメントとして、リン酸マグネシウムセメント(ホスホマグネシアセメント)があり、速硬性セメントとして、土木・建築用の緊急補修材等に使用されている。リン酸マグネシウムセメントの主成分は、酸化マグネシウム(MgO)とリン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)であり、その反応は一種の酸−塩基反応と考えられ、以下の化学式(2)及び(3)で表すことができる。
MgO + NH4H2PO4 → NH4MgPO4・H2O (2)
MgO + NH4H2PO4 + 5H2O → NH4MgPO4・6H2O (3)
(2)及び(3)式の反応のように、最終的にリン酸マグネシウム・アンモニウム水和物を形成し硬化する。この反応は非常に速いため、適当な作業時間が得られるように予め遅延剤が混合されている。また、硬化体を構成する化合物が耐水性に乏しい酸性リン酸塩であるため、シリコーン等の添加によって耐水性の向上を図っている。例えば特許第2866017号で開示している組成物があり、リン酸、リン酸誘導体、リン酸塩、リン酸水素塩(カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等)或いはこれらの混合物とMgOから成り、バインダー相:10〜40重量部(MgO/P2O5重量比=1〜3)、凝集体(シリカ、アルミナ等の骨材又は細骨材):60〜90重量部、撥水剤(シリコーン)、凝結遅延剤、その他の添加剤によって構成されている。
【0006】
その他の水硬性組成物として、酸化マグネシウムが挙げられる。酸化マグネシウムの水硬性は、水和反応によって水酸化マグネシウムに変化することに起因している。水酸化マグネシウムは水に対する溶解度が小さいため、先ず初めに酸化マグネシウムが水和反応し、一旦水に溶解した後、直ちに過飽和状態となり、水酸化マグネシウムの低結晶性コロイド状粒子として析出する。このコロイド状粒子が凝集し、さらに粗粒子間の空隙を埋めることによって緻密な硬化体が形成される。しかし、酸化マグネシウムには、偽凝結による作業性の悪化、硬化体中に残存した未反応酸化マグネシウムが遅れて水和することに起因した硬化体の膨張による破壊等の問題があるため、構造用材料への利用は難しい。
【0007】
土質安定処理は、処理材と土粒子とのイオン交換反応やポゾラン反応によって土の力学的・水理学的性質を改善する方法である。主として関東ローム、粘土質土壌には石灰系組成物、シルト、砂質系土壌にはセメント系組成物が用いられている。これらの組成物は基本的に高アルカリ性であるため、改良土壌のpH上昇によるアルカリ公害が問題となっている。
【0008】
有機質土や高含水土壌には、ポゾラン材(高炉水砕スラグ、フライアッシュ等)と水和刺激材(石膏、硫酸ナトリウム等)を混合した複合組成物、或いはアルミナセメント系組成物、アウイン系組成物等の特殊セメントが使用されている。しかし、カルシウムアルミネート系組成物やアウイン系組成物は高温焼成により製造されるため、高価にならざるを得ない欠点を有している。またアウイン系組成物は水の存在下で急結硬化性を呈するため、土との混合中にゲル化を生じて作業性が悪化する。この欠点を補うため凝結遅延剤を添加する方法が採られているが、コストアップの原因となっている。セメント系組成物及び石灰系組成物は、有機質土や高含水土壌に対して多量に使用する必要があり、実用に適さない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、ポルトランドセメントのようなアルカリ溶出がなく、自然環境に優しい構造物を構築でき、且つ軟弱土壌に対して優れた安定処理効果を発揮する水硬性組成物の開発が求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような現状に鑑み鋭意研究を重ねた結果、酸化マグネシウムとリン酸一水素マグネシウムを混合し水と混練したものについて、硬化体強度及び土質安定処理効果を調べたところ、MgO/P2O5重量比が3.5〜23.0となる割合で両者を混合した組成物が、高い硬化体強度及び土質安定処理効果を示すことを見いだした。またこの組成物100重量部に対して無水石膏を0.5〜15.0重量部添加した場合、硬化体強度及び土質安定処理効果がさらに向上した。しかも、これらの組成物は前述の課題を解決し得ることを見い出し本発明を完成するに至った。以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
リン酸一水素マグネシウム(MgHPO4)は、水に難溶性を示す化合物であり、反応性は緩やかであるが、酸化マグネシウム(MgO)共存下で適度の水を加えて混練することにより、両者が反応して水不溶性リン酸マグネシウム水和物(Mg3(PO4)2・xH2O、x=8又は22)が生成する。例えば、リン酸一水素マグネシウムマグネシウムが三水和物(MgHPO4・3H2O)である場合、下式に従って反応が進行する。
MgO + H2O → Mg(OH)2 (4)
Mg(OH)2 + 2MgHPO4・3H2O → Mg3(PO4)2・ 8H2O (5)
Mg(OH)2 + 2MgHPO4・3H2O + 14H 2 O → Mg3(PO4)2・22H2O (6)
(5)及び(6)式から分かるように酸化マグネシウム1分子に対してMgHPO4・3H2Oが2分子反応し、その際に水を結晶中に取り込む。生成したMg3(PO4)2・xH2Oの形状を走査型電子顕微鏡で観察すると、基本的に直径0.5〜1μm、長さ10〜50μmの柱状粒子(主にMg3(PO4)2・8H2Oの結晶)と、大きさ数十μmの緻密なブロック状の粗粒子(主にMg3(PO4)2・22H2Oの結晶)が混在していることが確認できる。
【0012】
既存のリン酸セメント或いはリン酸マグネシウムセメントとは異なり、本発明で対象となる組成物の水硬性は、酸化マグネシウムの水和反応による水酸化マグネシウムの生成(化学式(4))、及び酸化マグネシウムとリン酸一水素マグネシウムの反応による水不溶性リン酸マグネシウム水和物の生成(化学式(5)及び(6))に起因している。この反応を利用した水硬性組成物は新規なものである。
【0013】
上記のように、酸化マグネシウムとリン酸一水素マグネシウムが反応してMg3(PO4)2・xH2Oが生成することによって水を結合し、これによって生じた空隙に結晶が侵入・成長し、この結晶がネット状に絡み合って他粒子の移動を拘束するため、含水比の低下と相まって硬化体の強度を増加させる。水に溶解したMg2+イオン及びOH− イオンは、Mg3(PO4)2・xH2Oの構成成分として消費されてpHが下がり、酸化マグネシウムの水和反応速度が抑えられ、偽凝結をおこさず緩やかに凝結が終了する。このあと、酸化マグネシウムの水和反応物である水酸化マグネシウムのコロイド状粒子が、初期に水が存在していた空隙を徐々に満たして緻密化が進行するため、急激な緻密化による硬化体の膨張及び破壊をおこさずに硬化する。本発明の水硬性組成物の最大の特徴は、Mg3(PO4)2・xH2O粒子と、水酸化マグネシウムコロイド状粒子の絡み合いが、硬化体強度発現の大きな要因となっていることである。
【0014】
硬化体は、水に対する溶解度が小さい水酸化マグネシウム(0.0009g/100gH2O(18℃))及びMg3(PO4)2・xH2O(水に不溶)で構成されているため耐水性に富み、また、リン酸マグネシウムが酸性であるためpHが低下する。そのため、セメント系組成物のような硬化体からのアルカリ溶出はなく、自然環境に優しい構造物を構築できる。
【0015】
本発明の水硬性組成物は、Mg3(PO4)2・xH2Oと水酸化マグネシウムの生成による自硬性の発現及び酸化マグネシウムと土壌成分(SiO2、Al2O3等)とのポゾラン反応と言う2つの作用によって土質安定効果を発揮する。更に、Mg3(PO4)2・xH2Oの生成及び酸化マグネシウムの水和反応によって多量の水を固定できるので、高含水土壌に対する安定化処理に適している。
【0016】
水硬性組成物の主成分である酸化マグネシウムとリン酸一水素マグネシウムとは、MgO/P2O5重量比が3.5〜23.0の範囲となるようにする。MgO/P2O5重量比が3.5未満では、硬化体の主成分がリン酸一水素マグネシウム及びMg3(PO4)2・xH2Oとなり、MgO/P2O5重量比が23.0より大きい場合はMg3(PO4)2・xH2Oの生成量が少なすぎるため、本発明の特徴であるMg3(PO4)2・xH2O粒子と水酸化マグネシウム粒子の相互作用による強度発現が期待できない。また、MgO/P2O5重量比が3.5未満では凝結時間が非常に速いため凝結遅延剤を使用しなければならず、MgO/P2O5重量比が23.0より大きい場合は偽凝結をおこし作業性が悪くなるため好ましくない。
【0017】
MgO/P2O5重量比が3.5〜6.0の範囲では、硬化体強度の発現要因である水酸化マグネシウムとMg3(PO4)2・xH2Oの生成量のバランスが良く、高い硬化体強度が得られるため、構造用材料として種々の用途に利用できる。さらに、土質安定効果も高く、例えば、関東ロームでは、試験用供試体の材令一週間における一軸圧縮強度が、セメント系組成物、石灰系組成物の2〜3倍であった。
【0018】
MgO/P2O5重量比が6.0〜23.0の範囲では、Mg3(PO4)2・xH2Oの生成量が少ないため、水硬性組成物としての性能が若干下がる。しかし、酸化マグネシウムはリン酸一水素マグネシウムより格段に安く、材料のコストダウンが可能であるため、資材を大量使用する用途に適し、土質安定処理材として有効に利用できる。関東ロームに対する土質安定効果は、試験用供試体の材令一週間における一軸圧縮強度が、セメント系組成物、石灰系組成物の約2倍であった。
【0019】
本発明の水硬性組成物は、酸化マグネシウムとリン酸一水素マグネシウムの粉体同士を均一に混合することによって得られる。そのため、酸化マグネシウムとリン酸一水素マグネシウムは、予め粒子径を揃えておくことが好ましい。混合には、粉体が均一に混合できる機器(V型混合機、水平円筒型混合機、リボン型混合機、円錐型スクリュー混合機、高速流動型混合機等)を選択して使用することが好ましい。原料となる酸化マグネシウム及びリン酸一水素マグネシウムは安価であり、製造の際に化学反応や熱処理等の複雑な工程を経ないため、セメント系組成物より低コストで製造できる。
【0020】
酸化マグネシウムは水和活性の高いものが良く、炭酸マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムを1000℃以下で焼成したものが好ましい。また反応性、作業性を考慮した場合、最大粒子径が0.3mm以下であることが好ましい。
【0021】
リン酸一水素マグネシウムは、無水物(MgHPO4)、三水和物(MgHPO4・3H2O)、四.五水和物(MgHPO4・4.5H2O)、七水和物(MgHPO4・7H2O)の内、いずれか一種以上を含んでいるものが好ましい。リン酸一水素マグネシウムは、水に対する溶解度が低く潮解性が無い安定な物質である。酸化マグネシウムと混合した場合、注水しない限り反応を開始せず、且つ両者間の反応は緩やかに進行するため、保存性、作業性に優れた組成物が得られる。他のリン酸源として、リン酸セメント或いはリン酸マグネシウムセメントで用いられている、正リン酸(H3PO4)、水溶性リン酸塩等が存在するが、これらと酸化マグネシウムを混合した場合、激しく反応が進行することや、注水せずとも、大気中の水分等によって酸化マグネシウムと反応するので好ましくない。リン酸一水素マグネシウムは、反応性、作業性を考慮した場合、最大粒子径が0.3mm以下であることが好ましい。
【0022】
無水石膏は、本発明の水硬性組成物に添加することによって、組成物に対して適正な凝結挙動を与え、さらに、無水石膏の水和反応による脱水効果及び自身の水硬性によって硬化体強度を増加させる働きをする。無水石膏の添加効果は、硬化体形成時に生成する水酸化マグネシウム量が多いほど顕著になる傾向がある。
【0023】
無水石膏は、本発明請求項1の水硬性組成物100重量部に対して0.5〜15.0重量部添加することによって、凝結促進剤としての効果及び硬化体強度を増加させる効果を発揮する。添加量が0.5重量部未満では、これらの効果は期待できず、15重量部より多い場合は、硬化体を構成する物質のバランスが悪くなり強度が低下する。無水石膏は、反応性、作業性を考慮した場合、最大粒子径が0.3mm以下であることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明の水硬性組成物の具体例及びその効果を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0025】
炭酸マグネシウム(マグネサイト)を1000℃以下で十分に焼成して酸化マグネシウム(MgO)を得た。この酸化マグネシウムを粉砕して、0.3mm篩い通過分を回収した。同様に、リン酸水素マグネシウム無水物(MgHPO4、試薬特級)、リン酸一水素マグネシウム三水和物(MgHPO4・3H2O、試薬特級)及び無水石膏(CaSO4、天然II型)を粉砕して0.3mm篩い通過分を回収し、以下の試験に使用した。
【0026】
【比較例1】
酸化マグネシウム1.0kg及びリン酸一水素マグネシウム無水物9.0kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.0kgを得た。この組成物に含まれるMgO成分及びP2O5成分を分析した結果、MgO/P2O5重量比は0.75であった。この組成物について、JIS R 5201「セメントの物理試験法」に従い、水/粉体比(%)、凝結時間(h)を測定した。測定結果を表1に示す。なお表中(wt)は重量部を示す。水硬性組成物1重量部に対して砂(ケイ砂4号)2重量部を混合したモルタルを調製し、JIS R 5201に記載の「圧縮強さ試験方法」に従ってフロー値(mm)、水/粉体比(%)、成形体比重、材令7日及び28日の圧縮強度(N/mm2 )を測定した。測定結果を表2に示す。
【0027】
【比較例2】
酸化マグネシウム2.0kg及びリン酸一水素マグネシウム三水和物8.0kgをV型混合機で混合攪拌して水硬性組成物10.0kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は1.18であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0028】
【比較例3】
酸化マグネシウム5.0kg及びリン酸一水素マグネシウム無水物5.0kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.0kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は2.25であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0029】
【実施例1】
酸化マグネシウム5.5kg及びリン酸一水素マグネシウム三水和物4.5kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.0kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は3.56であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0030】
【実施例2】
酸化マグネシウム7.5kg及びリン酸一水素マグネシウム無水物2.5kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.0kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は5.63であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0031】
【実施例3】
酸化マグネシウム9.0kg及びリン酸一水素マグネシウム三水和物1.0kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.0kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は22.62であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0032】
【実施例4】
酸化マグネシウム9.0kg、リン酸一水素マグネシウム三水和物1.0kg、無水石膏0.5kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.5kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は22.62であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0033】
【比較例4】
酸化マグネシウムについて、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0034】
【比較例5】
酸化マグネシウム9.0kg、リン酸一水素マグネシウム三水和物1.0kg、無水石膏2.0kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物12.0kgを得た。この組成物のMgO/P2O5重量比は22.62であった。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0035】
【比較例6】
酸化マグネシウム10.0kg、無水石膏0.5kgをV型混合機で1時間混合攪拌して水硬性組成物10.5kgを得た。この組成物について、比較例1と同様に物理試験を行った。測定結果を表1及び2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
MgO/P2O5重量比が小さいほど凝結時間が短く早強的であり、材令1週における圧縮強度は他の組成物に比較して大きいが(比較例1、2及び3)、材令4週での強度の伸びは見られなかった。材令4週強度は、MgO/P2O5重量比=3.56で最高強度を示した(実施例1)。MgO/P2O5重量比が大きいほど凝結時間が長く、他の実施例に比較して材令4週強度は低かった(実施例3)。しかし、無水石膏を添加すると凝結時間が短くなり、さらに材令4週強度が約2倍に増加した(実施例4)。ただし、無水石膏を多量に添加した場合、凝結時は速まったものの、圧縮強度は低下した(比較例5)。酸化マグネシウム、酸化マグネシウムと無水石膏の混合物では、偽凝結をおこし凝結始発時間が測定できず、また、材令4週では成形体が膨張し亀裂が生じてしまった(比較例4及び6)。
【0039】
栃木県葛生町、村樫石灰工業(株)宮本鉱山で採取した表土は、関東ロームで、密度1.47g/cm3 、含水比91.8%(外比)であった。この土に対し、実施例1、2、3、4及び比較例1、2、4、6で調製した水硬性組成物を用いて土質安定処理を行った。水硬性組成物を土壌1m3 当り100kgの割合で添加して、よく混合した後、処理土を採取して一軸圧縮強度試験用供試体を作成した。供試体の寸法は直径50mm、高さ100mm、成形は1.5kgランマーによる突き固めを25回/3層で行った。養生期間は20℃湿空中7日間で、供試体の一軸圧縮強度はJIS A 1216「土の一軸圧縮試験方法」に従って測定した。作成した供試体の湿潤密度(g/cm3 )、乾燥密度(g/cm3 )、含水比(%)、一軸圧縮強度(N/mm2 )の測定結果を表3に示す。
【0040】
【比較例7】
生石灰(CaO純度95%)を用いて、実施例1、2、3、4及び比較例1、2、4、6と同様に関東ロームに対する土質安定処理を行った。試験結果を表3に示す。
【0041】
【比較例8】
セメント系固化材(CaO:60%、SiO2:19%、Al2O3:4.7%、Fe2O3:2.5%、MgO:1.3%、SO3:7.5%)を用いて、実施例1、2、3、4及び比較例1、2、4、6と同様に関東ロームに対する土質安定処理を行った。試験結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
生石灰及びセメント系固化材では、関東ロームに対する一軸圧縮強度の値が小さく、それに比較して本発明の水硬性組成物では両者を上回る強度が得られた。MgO/P2O5重量比が大きい場合、強度が低下する傾向が見られるが(実施例3)、無水石膏を添加することによって強度が改善された(実施例4)。酸化マグネシウム、酸化マグネシウムと無水石膏の混合物では、生石灰及びセメント系固化材より高い強度が得られたが、本発明の水硬性組成物より劣っていた(比較例4及び6)。
【0044】
【発明の効果】
本発明品の水硬性組成物は、主成分に酸化マグネシウム及びリン酸一水素マグネシウムを含み、且つMgO/P2O5重量比が3.5〜23.0であるもの、又はこの組成物100重量部に無水石膏を0.5〜15.0重量部添加したものである。当該組成物より得られる硬化体は低アルカリ性であり、自然環境に優しい構造物の構築が可能となる。また、セメント系組成物に比べて、安価に製造できる、優れた土質安定効果を発揮するため施工における組成物の使用量を削減できる等の経済的効果が期待される。
Claims (2)
- 主成分として酸化マグネシウム及び無水物、三水和物、四.五水和物及び七水和物のうち、いずれか一種又は2種以上のリン酸一水素マグネシウムを含み、且つMgO/P2O5重量比が3.5〜23.0の範囲である水硬性組成物であって、
Mg 3 (PO 4 ) 2 水和物と水酸化マグネシウムの生成による自硬性の発現及び酸化マグネシウムと土壌成分(SiO 2 、Al 2 O 3 等)とのポゾラン反応の2つの作用によって土壌成分を固化することを特徴とする水硬性組成物。 - 請求項1に記載の組成物100重量部に対して、無水石膏を0.5〜15.0重量部含有する水硬性組成物。
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