以下、本発明の望ましい例を示す。本発明は、以下の例に限定されない。
制御部は、グリルバーナが点火状態となってから温度センサで検出される温度が閾値温度に達するまでの時間が短いほど設定時間を長く設定するように機能してもよい。
このように構成されたガスコンロは、より早いタイミングでグリルバーナが消火した場合には、消火後の余熱期間(設定時間が経過するまでの期間)をより長く確保することで調理物をより確実に温め且つ加熱ムラをより抑えることができる。逆に、より遅いタイミングでグリルバーナが消火した場合には、消火後の余熱期間をより短くすることで、加熱しすぎることを抑えることができる。
ガスコンロは、制御部がグリルバーナを消火状態に切り替えてから設定時間が経過するまでの残時間を表示する表示部を有していてもよい。
このガスコンロは、グリルバーナの消火後に残時間が表示されるため、消火後であっても調理が継続している印象を与えることができ、消火後の余熱期間(設定時間が経過するまでの期間)にユーザがグリル庫を開放してしまう事態が生じにくくなる。また、残時間が表示されるため、ユーザは調理の終了タイミングをより正確に把握しやすくなる。
所定の報知は、音声による報知であってもよい。
このガスコンロは、設定時間が経過した後に所定の音声報知がなされるため、ユーザは当該モードでの加熱が終了したことをこの「所定の音声報知」によってより確実に把握しやすくなる。逆に、設定時間が経過するまでは「所定の音声報知」がなされないため、ユーザは、この「所定の音声報知」がなされるまではグリル庫をあまり意識する必要がなくなるため、ユーザがグリル庫を意識しすぎることに起因して余熱期間(設定時間が経過するまでの期間)にグリル庫を開放してしまう事態をより生じにくくすることができる。
報知部は、制御部がグリルバーナを消火状態に切り替えてから設定時間が経過したときに所定の音声報知として第1の音声報知を行い、制御部がグリルバーナを消火状態に切り替えてから設定時間よりも短い第2時間が経過したときに第1の音声報知とは異なる第2の音声報知を行うように機能してもよい。
このガスコンロは、第1の音声報知(所定の音声報知)よりも少し前に第2の音声報知を行うため、ユーザは第2の音声報知を聞いた後、第1の音声報知がなされる前に余熱期間の終了を想定した準備などを行い易くなる。
<実施例1>
以下、本発明を具現化した実施例1について、図面を参照して説明する。
(ガスコンロの基本構成)
図1〜図5等を参照し、ガスコンロ1の基本構成を説明する。
図1〜図5等で示すガスコンロ1は、テーブルガスコンロとして構成され、天板部30と装置本体1Aを備え、装置本体1Aの上端部に天板部30が固定された構成をなす。図2は、装置本体1Aの外観を示すものであり、図1で示すガスコンロ1から天板部30、排気口カバー80、五徳18,19などを取り外した状態の外観を示すものである。図3は、装置本体1Aから天板部30を取り外し、更に排気口カバー80を取り外した分解斜視図である。図2〜図4では、右側の操作パネル65の具体的デザインを省略して示している。また、図1〜図5では、左側の操作パネル69の具体的デザインを省略して示している。
本構成では、ガスコンロ1が平坦な載置面に載置されたときの載置面と直交する方向が上下方向である。また、上下方向と直交する方向のうち側壁部4A、4Bが向かい合う方向が左右方向であり、上下方向及び左右方向と直交する方向が前後方向である。ガスコンロ1では、図4のように平面視したときの長手方向が左右方向となっており、短手方向が前後方向となっている。また、ガスコンロ1では、図5のように正面視したときの長手方向が左右方向となっており、短手方向が上下方向となっている。
装置本体1Aは、図2のような構成をなし、ガスコンロ1から天板部30及び天板部30に対する取付物(排気口カバー80、五徳18,19など)を取り外した残りの部分を指す。装置本体1Aは、外殻を構成する筐体部2、梁部材20、右側バーナ14、左側バーナ15、ガス供給装置16,17、グリル庫12、排気路13などを備える。
筐体部2は、例えば金属材料によって構成され、上端部が開口する略直方体状に構成されている。筐体部2は、ガスコンロ1の外殻をなすとともにガスバーナ(右側バーナ14、左側バーナ15等)などを収容するケースとして機能する部分である。筐体部2は、主に、筐体本体部4、梁部材20、前パネル5などを備えた構成をなし、上端側が開放した箱状形態をなす。
図2のように、筐体本体部4は、ガスコンロ1の左右両側に配置される一対の側壁部4A,4Bと、後端側に配置される後壁部4Cと、下面側に配置される底壁部(図示略)とを備える。側壁部4A,4B、後壁部4C、底壁部は互いに連結されており、筐体本体部4は、上端側及び前端側が開放した箱状形態をなす。筐体本体部4の一対の側壁部4A,4Bの間には、ガスバーナ(右側バーナ14、左側バーナ15等)、グリル庫12、排気路13などの各種部品が収容される。
図3のように、梁部材20は、筐体本体部4の内部に配置され、筐体本体部4内の前側の位置において左右方向に延びた形態で架設される架設部22を備える。架設部22の両端部は、筐体本体部4を構成する側壁部4A,4Bのそれぞれにおける上側且つ前側の端部に連結されており、側壁部4A,4Bを連結するフレームとして機能する。
図1、図2のように、前パネル5は、ガスコンロ1の前面部として機能する部分である。図2のように、前パネル5は、上述した筐体本体部4及び梁部材20に対して前側から装着される。図2の例では、筐体本体部4の左右両側に前パネル5がそれぞれ装着され、2つの前パネル5の間には、グリル庫12のグリル扉12Aが開閉可能に装着されている。
図1、図3のように、天板部30は、ガスコンロ1の上面部として機能する部分である。図3のように、天板部30は、板状に構成された天板本体31と、天板本体31の周縁部に取り付けられる外枠体50と、天板本体31と外枠体50とによって構成される板状構造体35に形成された開口部に取り付けられる内枠体40と、を備え、全体として板状の形態をなす。天板部30は、筐体部2の上端部に対して当該上端部の開口を閉塞する形態で固定される。
図2のように、グリル庫12は、装置本体1Aの左右方向中央部付近に設置されるとともに、前後左右上下が囲まれた箱状形態をなし、調理対象物を庫内に収容し得る構成をなす。排気路13は、装置本体1Aの上部後端側においてグリル庫12内の空間から連通する構成をなす。排気路13は、グリル庫12内の排気を行うための経路であり、グリル庫12で生じた排気を天板部30に形成された排気口40Aに誘導するように機能する。排気路13の端部には開口部13Aが形成されている。開口部13Aは、排気路13の上部後端側において上方側に開放した形態をなし、天板部30の排気口40Aの下側に位置している(図1、図3参照)。図1のように、排気口カバー80は、排気口40Aを覆う構成で配置されている。排気口カバー80は、天板部30上に載置される形で着脱可能に設置されている。排気口カバー80は、複数の通気孔80Aを備え、通気孔80Aを介して排気口40A(図3)から排出される排気を外部(ガスコンロ1の上方側)に放出するとともに、グリル庫12の内部からの炎のあふれを遮断するように機能する。
図1のように、グリル庫12のグリル扉12Aは、上述した2つの前パネル5の間に設けられており、これら前パネル5とともに、装置本体1Aの前面部を構成する。グリル扉12Aは、装置本体1Aの前面部の幅方向略中央付近に設けられている。グリル扉12Aは、グリル庫12の前方側に引き出し可能とされており、使用者はグリル扉12Aに設けられた取っ手を掴みつつグリル扉12Aを前方に引き出すことにより、グリル庫12内に収納された受け皿及び焼き網等を一体的に外部に取り出すことができる。
図2のように、筐体部2内には、右側バーナ14、左側バーナ15、グリルバーナ10が収容されている。図1、図3のように、天板本体31の左右両側には、円形状の一対の開口部32,33が形成され、これら開口部32,33にそれぞれ挿入される形態で右側バーナ14及び左側バーナ15が天板部30の上方側に向けて突出して配置されている。右側バーナ14及び左側バーナ15の各周囲には、五徳18,19が夫々設置されている。ガスコンロ1の使用時には、五徳18,19の各上部にフライパン、鍋等の調理容器(図示略)が載置される。
右側バーナ14へのガス供給経路には、ガス供給装置16が設けられている。ガス供給装置16は、右側バーナ14の点火消火を行うとともに、右側バーナ14にガスを供給するための装置として機能する。ガス供給装置16は、右側バーナ14の点火又は消火を行うための操作部である点火スイッチ16Aと、装置本体1Aの前方側に延出する操作レバー16Bと備える。ガス供給装置16は、操作レバー16Bの左右方向の変位に応じて右側バーナ14へのガス供給量を調整するように動作する。
左側バーナ15へのガス供給経路には、ガス供給装置17が設けられている。ガス供給装置17は、左側バーナ15の点火消火を行うとともに、左側バーナ15にガスを供給するための装置として機能する。ガス供給装置17は、左側バーナ15の点火又は消火を行うための操作部である点火スイッチ17Aと、装置本体1Aの前方側に延出する操作レバー17Bと備える。ガス供給装置17は、操作レバー17Bの左右方向の変位に応じて左側バーナ15へのガス供給量を調整するように動作する。
グリルバーナ10は、グリル庫12内で火炎を発生させてグリル庫12内を加熱することで、グリル庫12内に収容された調理対象物を加熱するように機能する。グリルバーナ10へのガス供給経路には、ガス供給装置11が設けられている。ガス供給装置11は、グリルバーナ10の点火消火を行うとともに、グリルバーナ10にガスを供給するための装置として機能する。ガス供給装置11は、グリルバーナ10の点火又は消火を行うための操作部である点火スイッチ11Aと、装置本体1Aの前方側に延出する操作レバー11B,11Cと備える。ガス供給装置11は、操作レバー11B,11Cの左右方向の変位に応じてグリルバーナ10へのガス供給量を調整するように動作する。操作レバー11B(上火用火力調整つまみ)は、グリルバーナ10における上側バーナの火力を調整するレバーであり、操作レバー11C(下火用火力調整つまみ)は、グリルバーナ10における下側バーナの火力を調整するレバーである。
ガスコンロ1は、図6のような電気的構成をなす。
図6のように、ガスコンロ1は制御回路70を備える。制御回路70は、CPU70A、ROM70B、RAM70C、フラッシュメモリ70Dに加え、図示しないタイマ、グリルタイマ、I/Oインタフェイス等を備える。タイマ、グリルタイマはプログラムで作動するものである。CPU70Aはガスコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM70Bはガスコンロ1の各種制御プログラムを記憶し得る。
制御回路70には、電源回路61、スイッチ入力回路62、サーミスタ入力回路64、操作パネル入力回路66、イグナイタ回路68、ブザー装置73、音声装置75、表示装置77等が各々接続されている。また、図示しない安全弁を動作させる安全弁回路(図示省略)や、図示しない電磁弁を動作させる電磁弁回路(図示省略)なども制御回路70に接続されている。
電源回路61は電池ボックスに搭載される2つの乾電池60からの電力供給を受け、各種回路に印加する直流電源を生成する機能を有する。スイッチ入力回路62は、点火スイッチ16A,17A,11Aの押下を各々検出する。操作パネル入力回路66は操作パネルにおける各種操作の入力を行う。
サーミスタ63は、温度センサの一例に相当し、グリル庫12の内部又はグリル庫12からの排気が流れる排気路13内の温度を検出する。サーミスタ63はグリル庫12又は排気路13内の所定位置に配置され、サーミスタ63が設置された位置の温度に応じた検出値を生成する。サーミスタ入力回路64は、サーミスタ63で生成された検出値に対応する電圧信号(例えば、検出値そのもの、或いは検出値を増幅した増幅信号など)を制御回路70に与える。なお、図6では、グリル庫12又は排気路13に配置されるサーミスタ63を例示しているが、右側バーナ14付近や左側バーナ15付近など、様々な場所にサーミスタを設けることができる。
イグナイタ回路68は、各バーナにそれぞれ設けられたイグナイタ67A,67B,67Cを各々駆動する。右側バーナ14には、イグナイタ67Aが設けられ、イグナイタ回路68は、点火スイッチ16Aの点火操作に応じてイグナイタ67Aを駆動し、イグナイタ67Aで火花を放電させて右側バーナ14に点火する。左側バーナ15には、イグナイタ67Bが設けられ、イグナイタ回路68は、点火スイッチ17Aの点火操作に応じてイグナイタ67Bを駆動し、イグナイタ67Bで火花を放電させて左側バーナ15に点火する。グリルバーナ10には、イグナイタ67Cが設けられ、イグナイタ回路68は、点火スイッチ11Aの点火操作に応じてイグナイタ67Cを駆動し、イグナイタ67Cで火花を放電させてグリルバーナ10に点火する。
ブザー装置73は、圧電ブザー装置などの公知のブザー装置として構成されている。ブザー装置73は、制御回路70から駆動信号が与えられた場合にブザー鳴動動作を行う。
音声装置75は、メロディ、メッセージなどの音声を発する装置である。音声装置は、スピーカとスピーカーに対して音声信号を与える駆動回路とを備え、制御回路70からの指示に対応した音声を発する。
表示装置77は、複数の表示部と、これら表示部を駆動する複数の表示制御回路とを備える。複数の表示部の中には、図1で示す表示器82が含まれ、制御回路70の制御によって表示器82の表示内容を変化させうる。
次に、ガスコンロ1の加熱調理モードについて説明する。ガスコンロ1では、グリル庫12において複数種類の加熱調理モードが設定可能である。複数種類の加熱調理モードの中には、少なくとも「通常モード」と「オートモード」とが含まれ、「オートモード」の中には、「あたためモード」「干物モード」「切身モード」「姿焼モード」が含まれる。通常モードは、このようなオートモード(「あたためモード」「干物モード」「切身モード」「姿焼モード」)がなされないモードである。
「あたためモード」は、例えば、モード選択スイッチ65Aに対して所定の操作がなされたときに実行されるモードであり、例えば、加熱調理がなされた後に冷えた調理済み対象物を再加熱するような調理に適したモードである。勿論、このような場面以外の場面で適用してもよい。
ここで、図7等を参照し、「あたためモード」での調理制御について説明する。なお、ここでは便宜的に「あたためモード」と称しているが、同趣旨のモードであれば、モードの名称は別の名称でもよい。
図1等で示すガスコンロ1では、ガスコンロ1の電源がオン状態となっている場合(電源回路から各部品に動作電力が供給されているとき)において所定の開始条件が成立したときに、制御回路70によって図7で示す調理制御が実行される。所定の開始条件は、例えば、「「あたためモード」に設定されているときに点火スイッチ11Aが押される」という条件である。
ガスコンロ1では、ガスコンロ1の電源がオン状態となっているときに、図8で示す操作パネル65を操作することでモードを切り替えることができるようになっている。具体的には、電源オン状態のときに図9のようにモード選択スイッチ65Aが押圧されると、モードの設定状態が切り替わる。例えば、「通常モード」のときにモード選択スイッチ65Aが押されると、「あたためモード」に切り替わり、その後、モード選択スイッチ65Aが押される毎に、「干物モード」「切身モード」「姿焼モード」に切り替わる。「姿焼モード」のときにモード選択スイッチ65Aが押されると、再び「通常モード」に戻る。「あたためモード」に設定された場合、「あたためモード」に設定されていることを示すモード設定情報がメモリなどに記憶される。また、「あたためモード」のときにモード選択スイッチ65Aが押されると、「あたためモード」の設定が解除され、「干物モード」に切り替わる。この場合、「あたためモード」に設定されていることを示すモード設定情報が解除され、「干物モード」に設定されていることを示すモード設定情報がメモリなどに記憶される。
「あたためモード」に設定された場合、あたためモードを示す文字表示(「あたため」の文字)にて隣接して配置されたランプ84Aを点灯させるように制御回路70によって制御がなされ、この場合、その他のランプ84B,84C,84Dは点灯しない。「干物モード」「切身モード」「姿焼モード」の各々が設定される場合、ランプ84A,84B,84C,84Dのうちの設定モードに対応するランプが点灯し、対応しないランプは点灯しない。「通常モード」のときには、ランプ84A,84B,84C,84Dは点灯しない。
図1等で示すガスコンロ1では、「あたためモード」に設定されているときに点火スイッチ11Aが押された場合、制御回路70が図7の調理制御を実行する。なお、ガスコンロ1では、図示しない連動機構により点火スイッチ11Aの押圧操作と操作レバー11B,11Cとが連動するようになっている。この連動機構は、点火スイッチ11Aの押圧操作に応じて操作レバー11B,11Cを図10のように第2位置(最大火力位置)とするように連動させる。なお、点火スイッチ11Aの押圧操作時に操作レバー11B,11Cのいずれか又は両方が第2位置(最大火力位置)にある場合、第2位置にあるレバーについてはそのままの位置とし、移動させない。
但し、使用者は、「あたためモード」を実施する場合、グリルバーナ10の点火が確認された後、操作レバー11B,11Cを左端の第1位置(最小火力位置)に戻す必要がある。図10のように操作パネル65には、第1位置にある操作レバー11B,11Cの近傍位置となるように「あたため」の文字が付されているため、あたためモードのときに操作レバー11B,11Cの位置を第1位置(最小火力位置)とすべきことをユーザが認識することができる。
制御回路70は、図7の調理制御を開始した場合、まず、第1タイマ(グリルバーナ10の点火が開始してからの経過時間を計測するタイマ)を動作させ、グリルバーナ10の点火が開始してからの経過時間の計測を開始する(ステップS1)。
制御回路70は、ステップS1の後、焼き加減情報を取得する(ステップS2)。ガスコンロ1では、電源がオン状態となっているときに、図8で示す操作パネル65を操作することで焼き加減を切り替えることができるようになっている。具体的には、電源オン状態のときに図11のように焼き加減選択スイッチ65Bが押圧されると、焼き加減の設定状態が切り替わる。例えば、「標準モード」のときに焼き加減選択スイッチ65Bが押されると、「強めモード」に切り替わり、その後、モード選択スイッチ65Aが押される毎に、「弱めモード」「標準モード」「強めモード」・・・と順番に切り替わる。「強めモード」に設定された場合には「強めモード」に設定されていることを示す焼き加減設定情報が、「標準モード」に設定された場合には「標準モード」に設定されていることを示す焼き加減設定情報が、「弱めモード」に設定された場合には「弱めモード」に設定されていることを示す焼き加減設定情報がメモリなどに記憶される。このようなモード設定(焼き加減の設定)は、図7で示す調理制御の開始前に行うようにしてもよく、図7で示す調理制御の開始後に行えるようにしてもよい。制御回路70は、ステップS2の処理を実行する場合、例えばメモリを参照し、焼き加減設定情報がいずれのモードを示すものであるかを確認する。
なお、本構成では、「強めモード」に設定されている場合、強めモードを示す文字表示(「強め」の文字)にて隣接して配置されたランプ86Aを点灯させるように制御回路70によって制御がなされ、この場合、その他のランプ86B,86Cは消灯させる。同様に、「標準モード」に設定された場合、標準モードを示す文字表示(「標準」の文字)にて隣接して配置されたランプ86Bを点灯させるとともにその他のランプ86A,86Cは消灯させ、「弱めモード」に設定された場合、弱めモードを示す文字表示(「弱め」の文字)にて隣接して配置されたランプ86Cを点灯させるとともにその他のランプ86A,86Bは消灯させる。
制御回路70は、ステップS2の後、カットオフ温度を算出する(ステップS3)。カットオフ温度は、サーミスタ63の検出値によって把握される検出温度と比較するための閾値温度である。カットオフ温度(閾値温度)は、グリルバーナ10が点火状態となってから時間が経過するほど低く設定される。例えば、カットオフ温度(閾値温度)をYとし、グリルバーナ10が点火状態となってからの経過時間をXとした場合、制御回路70は、「強めモード」に設定されている場合には、Y=A×X+Bの式にてカットオフ温度(閾値温度)Yを算出し、「標準モード」に設定されている場合には、Y=A×X+Cの式にてカットオフ温度(閾値温度)Yを算出し、「弱めモード」に設定されている場合には、Y=A×X+Dの式にてカットオフ温度(閾値温度)Yを算出する。B,C,Dの値はいずれも正の固定値(定数)であり、B>C>Dである。また、Aの値は負の固定値(定数)である。各式の関係は、図12にも示す。なお、図12は、標準モードに設定された場合の一例を示しており、強めモードのときの式(Y=A×X+B)及び弱めモードのときの式(Y=A×X+D)は、二点鎖線にて仮想的に示している。
ステップS3では、「強めモード」「標準モード」「弱めモード」のうちの現在(ステップS3の実行時点)の設定モードに対応する演算式をY=A×X+B、Y=A×X+C、Y=A×X+Dの中から選択する。そして、現在(ステップS3の実行時点)における第1タイマのカウント値(ステップS1からの経過時間)をXとして、カットオフ温度(閾値温度)Yを算出する。
制御回路70は、ステップS3の後、サーミスタ63の検出値に基づいて、サーミスタ63の配置位置(グリル庫12内又は排気路13内)の検出温度Tを取得する。そして、ステップS4で取得した検出温度TとステップS3で算出したカットオフ温度(閾値温度)Yとを比較し、検出温度Tがカットオフ温度(閾値温度)Yに到達しているか否かを判断する(ステップS5)。制御回路70は、ステップS5において検出温度Tがカットオフ温度(閾値温度)Y未満であると判定した場合、処理をステップS2に戻し、ステップS2以降の処理を再び行う。
制御回路70は、ステップS5において検出温度Tがカットオフ温度(閾値温度)Y以上であると判定した場合、処理をステップS6に進め、グリルバーナ10の消火を行う。ステップS6では、ステップS6の実行時点での第1タイマのカウント値(ステップS1の実行後の経過時間ta)も取得する。本構成では、制御回路70は、制御部の一例に相当し、グリルバーナ10が点火状態となってから時間が経過するにつれてカットオフ温度(閾値温度)を低く設定し、サーミスタ63(温度センサ)で検出された温度Tがカットオフ温度(閾値温度)に達した場合にグリルバーナ10を消火状態に切り替えるように機能する。なお、図12の説明図では、矢印F1がグリルバーナ10の点火タイミングを示し、矢印F2がグリルバーナ10の消火タイミングを示す。この間の期間は、グリルバーナ10が点火しており、グリル庫12内の温度は上昇する。一方、グリルバーナ10の消火事件(矢印F2で示すタイミング)以降は、グリル庫12に残存する余熱によってグリル庫12内の調理対象物が温められる。
制御回路70は、ステップS6の後、ステップS7にて第2タイマ(グリルバーナ10が消火してからの経過時間を計測するタイマ)を動作させ、グリルバーナ10が消火してからの経過時間の計測を開始する(ステップS7)。
制御回路70は、ステップS7の後、ステップS8にて設定時間(第2時間)を算出する。制御部の一例に相当する制御回路70は、グリルバーナ10が点火状態となってからサーミスタ63(温度センサ)で検出される温度Tがカットオフ温度(閾値温度)に達するまでの時間(具体的には、ステップS6で取得した、経過時間ta)が短いほど設定時間(第2時間)t2を長く設定する。設定時間t2の算出は、例えば、t2=E×ta+Fのような一次式(但し、Eは負の定数、Fは正の定数、taはステップS6で取得した経過時間)で算出してもよい。或いは、t2=G/taのような反比例の式(但し、Gは正の定数)で算出してもよい。或いは、サーミスタ63(温度センサ)で検出される温度Tがカットオフ温度(閾値温度)に達するまでの時間(経過時間ta)が短いほど設定時間(第2時間)t2を長く設定するように経過時間taと設定時間(第2時間)t2とを対応付けたテーブルデータを用意しておき、経過時間taに基づいて対応付けられた設定時間(第2時間)t2を決定するようにしてもよい。
制御回路70は、ステップS8の後、ステップS9にて、ステップS7で開始した第2タイマのカウント値(グリルバーナ10が消火してからの経過時間)が第2時間t2に到達したか否かを判断する。第2時間t2は、設定時間(第1時間)t1よりも短い時間であり、予め決められた固定時間であってもよく、設定時間(第1時間)t1の値に基づいて算出される時間であってもよい。例えば、第2時間t2は、設定時間(第1時間)t1から一定時間t3(例えば30秒)だけ減算して得られた時間(即ちt2=t1−t3)であってもよく、設定時間(第1時間)t1の一定割合(例えば80%)の時間などであってもよい。制御回路70は、第2タイマのカウント値(グリルバーナ10が消火してからの経過時間)が第2時間t2に到達するまではステップS9の判断を繰り返し行い、第2タイマのカウント値(経過時間)が第2時間t2に到達した場合にはステップS10に処理を進め、予告通知を開始する。本構成では、グリルバーナ10が消火した直後には、予告通知も報知処理も行わず、ユーザに状態の変化をあまり印象付けないようにすることで、ユーザによるグリル庫の強制開放がなされにくいようにしている。これにより、余熱期間内にユーザによってグリル庫が強制開放されてしまい、グリル庫内の温度が低下しすぎてしまうような事態を生じにくくしている。一方で、第2時間に到達した場合には、予告報知を行い、ユーザに調理終了(余熱期間終了)の時期が近づいたことを知らせている。このようにすると、設定時間に到達した直後にユーザによる対処がなされやすくなり、設定時間(第1時間)到達後にグリル庫内に調理対象物が長く放置されてしまうような事態を回避しやすくなる。
制御回路70は、ステップS10で予告通知を開始する場合、例えば、ブザー装置73を鳴動させ、所定の音(例えば、ピピッという音)を所定回数発する。ステップS10で予告通知を行うときのブザー装置73の音は、ステップS12で報知処理を行うときの音よりも小さく設定すると良い。
制御回路70は、ステップS10の後、ステップS11にて、ステップS7で開始した第2タイマのカウント値(グリルバーナ10が消火してからの経過時間)が設定時間t1(第1時間)に到達したか否かを判断する。制御回路70は、第2タイマのカウント値(グリルバーナ10が消火してからの経過時間)が第1時間t1に到達するまではステップS11の判断を繰り返し行い、第2タイマのカウント値(経過時間)が第1時間t1に到達した場合にはステップS12に処理を進め、報知処理を行う。
制御回路70は、ステップS12で報知処理を開始する場合、例えば、音声装置75を動作させ、所定の音声(例えば、所定のメロディ)を所定時間流す。なお、メロディーに限定されず、例えば、「あたためが終了しました」といったメッセージを音声で発するようにしてもよい。
本構成では、制御回路70、ブザー装置73、音声装置75が報知部の一例に相当し、グリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間(第1時間)t1が経過するまでは所定の報知(所定の音声報知)を行わず、設定時間t1が経過した後に所定の報知を行うようになっている。この報知部は、制御回路70がステップS6でグリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間t1よりも短い第2時間t2が経過したときに第1の音声報知とは異なる第2の音声報知(例えば、ブザー装置73によるブザーの鳴動)を行い、ステップS6でグリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間t1が経過したときに第1の音声報知(例えば、音声装置75によるメロディの演奏)を行う。
なお、ステップS8の後、所定のタイミングから設定時間t1が経過するまでの間、残時間(ステップS7からの時間経過が設定時間t1(第1時間)に達するまでの残時間)を継続的に表示するようにカウントダウン機能を持たせてもよい。例えば、ステップS10の実行後、表示器82に上記残時間を数値表示するようにしてもよい。この場合、制御回路70及び表示装置77(具体的には表示器82)が表示部の一例に相当し、制御回路70がステップS6でグリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間t1(第1時間)が経過するまでの残時間を表示するように機能する。
次に、本構成の主な効果を例示する。
上記ガスコンロ1は、グリルバーナ10が消火状態に切り替えられてから所定の報知が行われるまでの間、グリル庫12内に残存する熱によって調理対象物を温めることができる。グリル庫12内に残存する熱によって調理対象物を温めることができるため、表面に焦げ付き等を生じさせにくく、且つ調理対象物に対してより均一に熱を伝えやすくなる。また、グリルバーナ10が消火状態に切り替えられてから設定時間t1が経過するまでの間は所定の報知が行われないため、この期間は、ユーザにグリル庫12をあまり意識させることなく余熱期間を経過させることができ、余熱期間にユーザがグリル庫を開放してしまう事態が生じにくくなる。更に、グリルバーナ10を点火している期間(点火期間)は時間が経過するにつれて閾値温度(カットオフ温度)を低く設定し、サーミスタ83(温度センサ)で検出された温度が閾値温度(カットオフ温度)に達した場合にグリルバーナ10を消火状態に切り替えるように制御がなされるため、点火期間が長くなるほど閾値温度(カットオフ)を低く設定して過剰な加熱を抑えることができる。
制御回路70(制御部)は、グリルバーナ10が点火状態となってからサーミスタ83(温度センサ)で検出される温度が閾値温度(カットオフ温度)に達するまでの時間が短いほど設定時間t1を長く設定するように機能する。このように構成されたガスコンロ1は、より早いタイミングでグリルバーナ10が消火した場合には、消火後の余熱期間(設定時間が経過するまでの期間)をより長く確保することで調理物をより確実に温め且つ加熱ムラをより抑えることができる。逆に、より遅いタイミングでグリルバーナ10が消火した場合には、消火後の余熱期間をより短くすることで、加熱しすぎることを抑えることができる。
ガスコンロ1は、制御回路70(制御部)がグリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間t1が経過するまでの残時間を表示する表示部(制御回路70及び表示器82)を有する。このガスコンロ1は、グリルバーナ10の消火後に残時間が表示されるため、消火後であっても調理が継続している印象を与えることができ、消火後の余熱期間(設定時間が経過するまでの期間)にユーザがグリル庫12を開放してしまう事態が生じにくくなる。また、残時間が表示されるため、ユーザは調理の終了タイミングをより正確に把握しやすくなる。
ガスコンロ1は、設定時間t1が経過した後に所定の音声報知がなされるため、ユーザは当該モードでの加熱が終了したことをこの「所定の音声報知」によってより確実に把握しやすくなる。逆に、設定時間t1が経過するまでは「所定の音声報知」(具体的には、所定のメロディ演奏など)がなされないため、ユーザは、この「所定の音声報知」がなされるまではグリル庫12をあまり意識する必要がなくなるため、ユーザがグリル庫12を意識しすぎることに起因して余熱期間(設定時間が経過するまでの期間)にグリル庫12を開放してしまう事態をより生じにくくすることができる。
報知部は、制御回路70(制御部)がグリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間t1が経過したときに所定の音声報知として第1の音声報知を行い、制御回路70(制御部)がグリルバーナ10を消火状態に切り替えてから設定時間t1よりも短い第2時間t2が経過したときに第1の音声報知とは異なる第2の音声報知を行うように機能する。このガスコンロ1は、第1の音声報知(所定の音声報知)よりも少し前に第2の音声報知を行うため、ユーザは第2の音声報知を聞いた後、第1の音声報知がなされる前に余熱期間の終了を想定した準備などを行い易くなる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
上述した実施例では、グリルバーナが点火状態となってから温度センサで検出される温度が閾値温度に達するまでの時間が短いほど設定時間を長く設定しているが設定時間を一律の固定時間としてもよい。
上述した実施例では、第1の音声報知と第2の音声報知を行うようにしたが、第2の音声報知を行わないようにしてもよい。このようにすれば、設定時間が経過するまでグリル庫12がより開放されにくくなる。