JP2018177670A - 非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】対応するリン酸アミドと対応するスルホニルハライドより、選択率良く非対称イミド三級アンモニウム塩を製造する方法の提供。【解決手段】式(2)で示されるリン酸アミドと式(3)で示されるスルホニルハライドを、有機塩基の存在下で反応する、式(1)で示される非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。[R1及びR2は夫々独立にハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基等;式(3)のR2の少なくとも一つはハロゲン基;R3は、トリメチルシリル基又はH;nは1又は2;M1 n+は、三級アンモニウムカチオン]【選択図】図1

Description

本発明は、非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法に関するものである。
電気化学デバイスである電池において、近年、情報関連機器、通信機器、すなわち、パソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、電動工具等の小型、高エネルギー密度用途向けの蓄電システムや、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型、パワー用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その一つの候補としてリチウムイオン電池、リチウム電池、リチウムイオンキャパシタ、更にはより革新的な電池としてリチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池等の非水電解液電池が挙げられる。
これら非水電解液電池に関して、高性能化を目指して現在の主電解質であるヘキサフルオロリン酸塩(リチウム塩、ナトリウム塩)やグリニャール試薬(マグネシウム塩)の代わりに、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩等のビススルホニルイミド塩(対カチオンはリチウム、ナトリウム、マグネシウム等)を用いる研究が現在盛んに行われている。
また、これらビススルホニルイミド塩を非水電解液の主電解質ではなく、イオン液体(対カチオンが4級アンモニウム)として溶媒に使用する試みや、更には電極表面を保護するSEI形成の為の添加剤として用いる検討も種々行われている。
こういった背景の中で、本出願人は、上記のスルホニル基二つが窒素原子を介して繋がったビススルホニルイミド塩ではなく、スルホニル基とホスホリル基が窒素原子を介して繋がった非対称イミド塩が非水電解液電池用電解液の特性向上に大きく寄与する事を特許文献1で明らかにしてきた。
特開2016−027028
非対称イミド塩(対カチオンがリチウム、ナトリウム、マグネシウム、4級アンモニウム等)は、非対称イミドの三級アンモニウム塩からカチオン交換にて製造するのが一般的である。そしてこの非対称イミドの三級アンモニウム塩は、対応するリン酸アミドと対応するスルホニルハライドを有機塩基又は無機塩基の存在下で反応させる方法や、対応するスルホン酸アミドと対応するホスホリルハライドとを有機塩基又は無機塩基の存在下で反応させる方法が考えられる。
しかし、いずれも単純に反応させただけでは選択率が低い場合があり、改善の余地があった。本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、対応するリン酸アミドと対応するスルホニルハライドより、選択率良く非対称イミド三級アンモニウム塩を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、対応するリン酸アミドと、対応するスルホニルハライドと、有機塩基を、所定の順序で混合することで、選択率良く目的の非対称イミド三級アンモニウム塩を製造できることを見出した。なお、上記選択率は、原料であるリン酸アミドのうち、目的物である非対称イミド三級アンモニウム塩に変換された割合のことを意味し、NMR分析から算出される。
また、本発明者は、リン酸アミドより生成する反応活性種であるリン酸アミドのアニオンを反応液内に蓄積させない事で、副反応であるリン酸アミドの縮合反応を大きく抑制することが可能となり、その結果として非対称イミド三級アンモニウム塩の製造における選択率が大幅に向上する事を明らかにした。
更に、リン酸アミドに対して0.90モル当量以上のスルホニルハライドを使用する事で、前述の副反応を抑制し、非対称イミド三級アンモニウム塩が、より選択率良く得られる事も併せて見出した。
また、前述のように選択率良く得た非対称イミド三級アンモニウム塩をカチオン交換することで、所望の非対称イミド塩を効率よく製造することができる。
そして、非水溶媒に、少なくとも、溶質と、当該非対称イミド塩とを溶解することで、非水電解液電池用電解液を効率よく製造することができる。
本発明によると、対応するリン酸アミドと対応するスルホニルハライドから、選択率良く非対称イミド三級アンモニウム塩を製造する方法を提供することができる。
添加順Aによる非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造フロー 添加順Bによる非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造フロー 添加順Cによる非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造フロー
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、これらの具体的内容に限定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
1.非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法について
前述のスルホニル基とホスホリル基が窒素原子を介して繋がった非対称イミド三級アンモニウム塩とは、下記一般式(1)で示される化合物である。
下記一般式(2)で示されるリン酸アミドと下記一般式(3)で示されるスルホニルハライドを予め混合して含む混合物と、有機塩基とを混合すること、
又は、
下記一般式(3)で示されるスルホニルハライドと有機塩基を予め混合して含む混合物と、下記一般式(2)で示されるリン酸アミドとを混合すること
により、下記一般式(1)で示される非対称イミド三級アンモニウム塩を選択率良く得る事ができる。
Figure 2018177670
[Rは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表す。
は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表し、一般式(3)においてRの少なくとも一つはハロゲン基である。
は、トリメチルシリル基、又は水素基であり、nは1又は2である。
1 n+は、上記有機塩基にプロトンが付加した三級アンモニウムカチオンである。]
上記ハロゲン基は、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基から選択され、原料調達の観点からフッ素基、塩素基が好ましい。
上記アルキル基は、例えば、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基から選択されるものが、非対称イミド三級アンモニウム塩の安定性の観点から好ましい。なお、炭素原子数が3以上の場合は分枝状や環状の構造であってもよい。好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基(n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、第二ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基)、トリフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基は、例えば、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基から選択されるものが、非対称イミド三級アンモニウム塩の安定性の観点から好ましい。なお、炭素原子数が3以上の場合は分枝状や環状の構造であってもよい。好適な具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基、ペンチルオキシ基(n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、第二ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基)、トリフルオロメトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記アルケニルオキシ基は、例えば、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基から選択されるものが、非対称イミド三級アンモニウム塩の安定性の観点から好ましい。なお、炭素原子数が3以上の場合は分枝状や環状の構造であってもよい。好適な具体例としては、ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、及び1,3−ブタジエニルオキシ基等が挙げられる。
上記アルキニルオキシ基は、例えば、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数2〜10のアルキニルオキシ基から選択されるものが、非対称イミド三級アンモニウム塩の安定性の観点から好ましい。なお、炭素原子数が4以上の場合は分枝状であってもよいし、炭素原子数が5以上の場合は環状の構造であってもよい。好適な具体例としては、エチニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基、及び1,1−ジメチル−2−プロピニルオキシ基等が挙げられる。
上記アリールオキシ基は、例えば、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数6〜10のアリールオキシ基から選択されるものが、非対称イミド三級アンモニウム塩の安定性の観点から好ましい。好適な具体例としては、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、及びキシリルオキシ基等が挙げられる。
有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、イミダゾール、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、フェナントロリン、2,2'−ビピリジン、2,3'−ビピリジン、2,4'−ビピリジン、3,3'−ビピリジン、3,4'−ビピリジン、4,4'−ビピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−o−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−m−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、及びヘキサメチレンテトラミン等からなる群から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
なお、前述の有機塩基の代わりに、水素化リチウム、水素化ナトリウム等の金属水素化物を用いる事も可能であることも明らかになった。しかし、金属水素化物は有機塩基に比べてコストが非常に高く、工業的スケールで非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を製造する際の原料としては適していない。
原料の添加を本発明で規定する所定の順序で行うと、それ以外の順序で行った場合に比べて、選択率を10〜60%程度向上することができる。例えば、原料の添加を本発明で規定する所定の順序で行う後述の実施例1−1A、1−1Bの選択率は、それぞれ、95%、93%であり、それ以外の順序で行った後述の比較例1−1Cの選択率である45%を、それぞれ、50%、48%向上できている。
有機塩基によってリン酸アミド(2)の窒素原子上のプロトンが引き抜かれた化合物がこの反応の活性種だと推測される。この活性種がスルホニルハライド(3)と選択的に反応せず、リン酸アミド(2)との縮合反応を引き起こすために、そのような状況下では目的物である非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率が低くなってしまうと考えられる。従って、上述のような状況とならないような原料の添加順序を採用することが選択率向上の観点から重要である。
リン酸アミド(2)より発生した活性種であるリン酸アミド(2)のアニオンが、スルホニル基の強力な電子吸引効果により求核反応に対して非常に高活性となっているスルホニルハライド(3)ではなくて、リン酸アミド(2)自身と反応しているという全く予期せぬ副反応を抑制するために鋭意検討を進めたところ、リン酸アミド(2)のアニオンを反応系内に蓄積させない事が極めて重要である事が明らかになった。
すなわち、揮発による原料の損失を防止するため、沸点の一番低いスルホニルハライド(3)を最後に徐々に添加するのが一般的な添加順序である。この系においてそのような添加順序を採用すると、リン酸アミド(2)と有機塩基を混合させた段階で前述の活性種が発生し、該活性種は最後に添加されたスルホニルハライド(3)と反応するものの、反応系内に多量に存在するリン酸アミド(2)との反応も同時に進行すると推察され、その結果、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率が低下する事となる。
そこで、リン酸アミド(2)のアニオンとリン酸アミド(2)との接触時間を抑制するため、
リン酸アミド(2)とスルホニルハライド(3)を予め混合して含む混合物と、有機塩基とを混合するか、又は、
スルホニルハライド(3)と有機塩基を予め混合して含む混合物と、リン酸アミド(2)とを混合する
手順にて反応を行うと、この副反応を効果的に抑制し、目的の非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率を大幅に向上できることを見出した。
また、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を選択率良く得るためには、スルホニルハライド(3)のモル当量も重要である事が判明した。通常、反応後に残留するハロゲン不純物増加の懸念から、スルホニルハライド(3)を完全に消費させるため、リン酸アミド(2)の方を過剰に用いる事が好ましい。しかし、リン酸アミド(2)を過剰に用いる事で前述の副反応が進み、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率が低下する事が、一連の検討の過程で明らかになった。そこで、スルホニルハライド(3)の添加量を通常の0.80モル当量から、0.90、1.00、1.05モル当量へと増加させたところ、0.80モル当量から0.90モル当量に増やす事で大幅に選択率が向上し、さらに1.05モル当量まで増やす事でも選択率がある程度向上することが判明した。なお、1.05モル当量を超えると、選択率のそれ以上の向上効果が少ない傾向であるためコストの観点から大過剰に添加する必要はなく、スルホニルハライド(3)をリン酸アミド(2)に対して0.85〜2.10モル当量使用することが好ましく、0.92〜1.30モル当量使用することがより好ましく、0.95〜1.10モル当量使用することが特に好ましい。
使用する有機塩基は、必要な理論量を1とした時に、1.00〜1.50モル当量使用する事が好ましく、1.00〜1.20モル当量使用する事がより好ましい。少なすぎると反応が完結しないか、又は充分な反応速度が得られない恐れがある。逆に多すぎると副反応を引き起こし、選択率が低下する恐れがある。
非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成反応は溶媒中で行うことが好ましく、その際に使用する溶媒は、リン酸アミド(2)やスルホニルハライド(3)をある程度溶解させ、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)、リン酸アミド(2)やスルホニルハライド(3)と反応しないものであれば特に使用に制限は無い。
従って、前述のリン酸アミド(2)とスルホニルハライド(3)を予め混合して含む混合物と、有機塩基とを混合する手順において、リン酸アミド(2)とスルホニルハライド(3)を予め混合して含む混合物は溶液状態であってもよいし、有機塩基も溶液状態であってもよい。
また、前述のスルホニルハライド(3)と有機塩基を予め混合して含む混合物と、リン酸アミド(2)とを混合する手順において、スルホニルハライド(3)と有機塩基を予め混合して含む混合物は溶液状態であってもよいし、リン酸アミド(2)も溶液状態であってもよい。
溶媒としては、例えば、炭酸エステル類、エステル類、ケトン類、ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホン類等が使用でき、単一の溶媒だけでなく二種類以上の混合溶媒でも良い。
溶媒の具体例としては炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることができ、中でも沸点が130℃以下の溶媒が好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンが沸点、価格、後工程での該溶媒自体の除去の容易性の点から、更に好ましい。
非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成反応の温度は−60〜150℃、好ましくは−20〜120℃である。−60℃より低い温度では反応が充分に進行しない可能性があり、150℃超では非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の分解が起こる可能性がある。充分な反応速度を得つつ、分解を起こさないためには−20〜120℃の範囲が最適である。
また、反応時間は反応速度に応じて適宜選択することができるが、長期間装置を占有することは生産コストの上昇につながるため、現実的には72時間以内にすることが好ましい。さらに、系全体の反応を進行させるために、反応中は溶液を攪拌することが好ましい。
攪拌は攪拌翼にて行われる事が一般的であり、その回転速度は反応液の粘度によって適宜調整することができるが、それ未満では攪拌の効果が得られ難い事から40回転/分以上が好ましく、また攪拌機に過大な負荷を与えないために4000回転/分以下である事が好ましい。
2.非対称イミド塩の製造方法(カチオン交換)について
上述の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法で得られた非対称イミド三級アンモニウム塩(1)をカチオン交換することで、下記一般式(4)で示される非対称イミド塩を効率的に製造することができる。
Figure 2018177670
[Rは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表す。
は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表し、
nは1又は2である。M2 n+は、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。ここで四級アンモニウムカチオンとは例えば、テトラアルキルアンモニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオンが挙げられる。]
カチオン交換としては、一般的な方法が適用できる。例えば、目的とする対カチオンを保持した強酸性イオン交換樹脂(例えばダウケミカル製強酸性陽イオン交換樹脂252)を詰めた充填塔に、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を溶媒に溶解させた溶液を通液させる事で、効率的にカチオンを三級アンモニウムカチオンから目的とするカチオンに交換することが可能である。
3.非水電解液電池用電解液の製造方法について
非水溶媒に、少なくとも、溶質と、上述の非対称イミド塩の製造方法(カチオン交換)で得られた非対称イミド塩(4)とを溶解させることで非水電解液電池用電解液を効率的に製造することができる。
非水溶媒としては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。
溶質としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドマグネシウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドマグネシウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドリチウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドナトリウム、ビス(ジフルオロホスホリル)イミドマグネシウム等が挙げられる。
電解液中の非対称イミド塩(4)の含有量は0.01〜10.0質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がより好ましい。
上記電解液中にはその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、スクシノニトリル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、ジオキサラトホウ酸リチウム、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、トリス(オキサラト)リン酸リチウム、1,1,1−トリフルオロプロピオン酸メチル、1,1,1−トリフルオロプロピオン酸エチル、2−フルオロプロピオン酸メチル、2−フルオロプロピオン酸エチル、ジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、メタンスルホン酸リチウム、ヘキサメチルジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、硫酸エチレン、硫酸プロピレン、硫酸ブチレン、硫酸ペンチレン、1,3−プロパンスルトン、1−プロペン1,3−スルトン等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は係る実施例により限定されるものではない。
スルホニルハライドのうち、スルホニルクロライド、スルホニルブロマイドは水に対して不安定であるため、原料や溶媒の取り扱いは露点が−50℃以下の窒素雰囲気下にて行った。また、使用する硝子製反応器、フッ素樹脂製反応器は、150℃で12時間以上乾燥させた後に、露点が−50℃以下の窒素気流下で室温まで冷却させたものを用いた。
各実施例、比較例にて使用した原料リン酸アミド(2)、スルホニルハライド(3)、そしてそれらを用いた反応により得られた非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を以下の表1に示す。なお、TMSはトリメチルシリル基、O−Prpgはプロパルギロキシ基、O−HFIPは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基、O−TFEは2,2,2−トリフルオロエトキシ基を意味する。
Figure 2018177670
Figure 2018177670
これらの原料リン酸アミド(2)、スルホニルハライド(3)は以下の手順で合成、または入手したものを使用した。
[原料 リン酸アミド(2a)]
リン酸アミド(2b)を溶解させた溶液に対して、1.1モル当量の塩酸を、0℃に冷却しながら徐々に導入した。導入完了後、25℃にて2時間攪拌を行ったのち、400torrに減圧し、溶存している塩酸とトリメチルシリルクロリドを除去する事で定量的にリン酸アミド(2a)が得られた。
[原料 リン酸アミド(2b)]
1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを溶媒に溶解させ、0℃に冷却しながら、そこに1.2モル当量のオキシフッ化リンを徐々に導入させた。導入完了後、25℃にて5時間攪拌を行ったのち、400torrに減圧し、過剰のオキシフッ化リンと溶存している副生物トリメチルシリルフルオリドを除去する事で定量的にリン酸アミド(2b)が得られた。
[原料 リン酸アミド(2c)]
亜リン酸ジメチルとトリクロロイソシアヌル酸を溶媒中で25℃、30分反応させる事により、定量的にクロロリン酸ジメチルを得た。ここに溶媒で希釈した1.0モル当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを徐々に滴下させた。滴下完了後、25℃にて2時間攪拌を行ったのち、400torrに減圧し、溶存している副生物トリメチルシリルクロリドを除去する事でリン酸アミド(2c)のNトリメチルシリル体が得られた。ここに1.1モル当量の塩酸を、0℃に冷却しながら徐々に導入させた。導入完了後、25℃にて2時間攪拌を行ったのち、400torrに減圧し、溶存している塩酸とトリメチルシリルクロリドを除去する事で定量的にリン酸アミド(2c)が得られた。
[原料 リン酸アミド(2d)]
オキシ塩化リンを溶解させた溶液に、−5℃に冷却しながら、溶媒で希釈した0.8モル当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを徐々に滴下させた。滴下完了後、−5℃にて2時間攪拌を継続したのち25℃まで昇温し、過剰のオキシ塩化リンと溶存している副生物トリメチルシリルクロリドを減圧除去する事でリン酸アミド(2d)が得られた。
[原料 リン酸アミド(2e)]
リン酸アミド(2d)を溶解させた溶液に対して、1.1モル当量の塩酸を、0℃に冷却しながら徐々に導入させた。導入完了後、25℃にて2時間攪拌を行ったのち、400torrに減圧し、溶存している塩酸とトリメチルシリルクロリドを除去する事で定量的にリン酸アミド(2e)が得られた。
[原料 スルホニルハライド(3a)]
試薬(和光純薬工業品)を使用した。
[原料 スルホニルハライド(3b)]
無水トリフルオロメタンスルホン酸を溶媒中に希釈し、0℃に冷却しながら1.0モル当量の臭化水素を徐々に導入させた。導入完了後、25℃にて5時間攪拌を行ったのち、溶媒を留去し、残った残渣を減圧下で蒸留精製する事で、目的のスルホニルハライド(3b)を得た。
[原料 スルホニルハライド(3c)]
試薬(和光純薬工業品)を使用した。
[原料 スルホニルハライド(3d)]
塩化スルフリルを溶媒に希釈し、そこに1.0モル当量のトリエチルアミンを加えた。更に−20℃に冷却しながら1.0モル当量のメタノールを徐々に滴下させた。滴下完了後、0℃にて1時間攪拌を行ったのち、析出しているトリエチルアミン塩酸塩をろ過で取り除いた。更に、得られた溶液を蒸留精製する事でスルホニルハライド(3d)が得られた。
[原料 スルホニルハライド(3e)]
塩化スルフリルを溶媒に希釈し、そこに1.0モル当量のトリエチルアミンを加えた。更に−20℃に冷却しながら1.0モル当量のプロパルギルアルコールを徐々に滴下させた。滴下完了後、0℃にて1時間攪拌を行ったのち、析出しているトリエチルアミン塩酸塩をろ過で取り除いた。更に、得られた溶液を蒸留精製する事でスルホニルハライド(3e)が得られた。
[原料 スルホニルハライド(3f)]
塩化スルフリルを溶媒に希釈し、そこに1.0モル当量のトリエチルアミンを加えた。更に−20℃に冷却しながら1.0モル当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを徐々に滴下させた。滴下完了後、0℃にて1時間攪拌を行ったのち、析出しているトリエチルアミン塩酸塩をろ過で取り除いた。更に、得られた溶液を蒸留精製する事でスルホニルハライド(3f)が得られた。
[原料 スルホニルハライド(3g)]
塩化スルフリルを溶媒に希釈し、そこに1.0モル当量のトリエチルアミンを加えた。更に−20℃に冷却しながら1.0モル当量の2,2,2−トリフルオロエタノールを徐々に滴下させた。滴下完了後、0℃にて1時間攪拌を行ったのち、析出しているトリエチルアミン塩酸塩をろ過で取り除いた。更に、得られた溶液を蒸留精製する事でスルホニルハライド(3g)が得られた。
[原料 スルホニルハライド(3h)]
乾燥させたフッ化カリウムを溶媒に懸濁させ、そこに1.1モル当量の二酸化硫黄を、0℃に冷却しながら徐々に導入させた。導入完了後、そのまま12時間攪拌を行う事でフルオロスルフィン酸カリウムが定量的に得られた。その後、フルオロスルフィン酸カリウムを主成分とする懸濁液に、1.0モル当量の塩素を0℃を保ちながら徐々に導入した。導入完了後、0℃にて4時間攪拌を継続し、その後に析出した塩化カリウムをろ過で取り除き、更に、得られた溶液を蒸留精製する事でスルホニルハライド(3h)が得られた。
[原料 スルホニルハライド(3i)]
試薬(和光純薬工業品)を使用した。
[実施例1−1〜1−18、比較例1−1〜1−18のシリーズ]
[実施例1−1A]
滴下漏斗を備えたガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのエチルメチルカーボネート(以下EMC)と、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)と、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、滴下漏斗よりトリエチルアミン(101.2g、1000mmol、2.0モル当量)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として95%の選択率で対カチオンがトリエチルアミンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。なお、上記選択率は下記のように算出した。
(選択率の算出手順について)
上述のように、原料リン酸アミド(2a)と原料スルホニルハライド(3a)とを反応させてP−NMR測定を行うことにより、反応液中に存在する、目的物の非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)と、余剰分のリン酸アミド(2a)と、副生物であるリン酸アミドの縮合体や分解物をそれぞれ定量することができる。そして、選択率は下記の式から算出した。
選択率(%) = 反応液中の(1a)の面積×100 /(反応液中の(1a)の面積+余剰分の(2a)の面積+副生物の総面積)
なお、反応液のP−NMR測定で検出されるリン成分はすべて原料リン酸アミド(2a)由来であるため、上記の選択率は、原料リン酸アミド(2a)を基準とした値であると換言できる。
結果を表2に示す。また、後述の表中で、リン酸アミド(2)に対するスルホニルハライド(3)の使用モル当量を「(3)/(2)モル当量」と記載する。
[実施例1−1B]
滴下漏斗を備えたガラス製2Lのニツ口フラスコに、500mLのEMCと、101.2g(1000mmol、2.0モル当量)のトリエチルアミンと、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、滴下漏斗よりリン酸アミド溶液(リン酸アミド(2a)50.5g(500mmol)を、EMC200mLで希釈したもの)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として93%の選択率で対カチオンがトリエチルアミンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。結果を表2に示す。
[比較例1−1C]
滴下漏斗を備えたガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、101.2g(1000mmol、2.0モル当量)のトリエチルアミンと、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として45%の選択率で対カチオンがトリエチルアミンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。結果を表2に示す。
表2に示すように、原料リン酸アミドと、原料スルホニルハライドを変更して、上記と同様にそれぞれの添加手順で実験を行い、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成を試みた。なお、原料リン酸アミドの置換基Rがトリメチルシリル基である、実施例1−2(比較例1−2)のシリーズ、実施例1−6、1−14、1−16(比較例1−6、1−14、1−16)のシリーズのみは、上記変更に加えてトリエチルアミンの使用量を半量の50.6g(500mmol、1.0モル当量)に変更した。これは、原料スルホニルハライドから脱離するハロゲン(塩化物イオン、臭化物イオン)がハロゲン化トリメチルシリルに変換され、トリエチルアミンを消費しないため(上述のシリーズ以外はハロゲン化水素酸となり、トリエチルアミンを消費して塩を形成する。)、トリエチルアミンの必要量が2.0でなく1.0モル当量となるためである。結果を表2に示す。
Figure 2018177670
以下にリン酸アミド(2)、スルホニルハライド(3)、有機塩基の添加順が非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率に与える影響について考察する。リン酸アミド(2)とスルホニルハライド(3)との反応を進行させるためには、リン酸アミド(2)の窒素原子上のプロトンを引き抜き、より求核性の高いリン酸アミド(2)のアニオンを発生させる事が必須である。そのため、1モル当量の有機塩基を用いるのが極めて一般的である。
しかし、ここで生成すると予想される非対称イミド酸(5)は酸性度が高いため、有機塩基で速やかに中和されて非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の様なアンモニウム塩へと変換されるため、使用する有機塩基は原料であるリン酸アミド(2)の窒素原子上のプロトンを引き抜くためと、一次生成物である非対称イミド三級アンモニウム塩酸(5)を中和するための、計2モル当量以上が必要となる。
Figure 2018177670
非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を合成する際には、以上の事情により、リン酸アミド(2)に対して大過剰である2モル当量以上の有機塩基を使用する事が必須であると考えられてきた。しかし、本発明の実施例及び比較例におけるNMR分析の結果から、前述の通り、リン酸アミド(2)の窒素原子上のプロトンが引き抜かれたこの反応の活性種が、リン酸アミド(2)との縮合反応を引き起こす事が判明した。そこで、この反応の活性種を反応系内に蓄積させず、生成と同時に速やかにスルホニルハライド(3)と反応させて非対称イミド三級アンモニウム塩(1)へと導く事が、選択率を向上させるために極めて有効である。
そこで、実施例1−1A〜1−18Aでは、図1に示す添加順Aのように、リン酸アミド(2)とスルホニルハライド(3)を予め混合して含む混合物(溶液)に対して、有機塩基(の溶液)を徐々に加える事で、生成した反応活性種であるリン酸アミド(2)のアニオンを速やかに系中に過剰に存在するスルホニルハライド(3)との反応にて消費させ、反応液中に過剰のリン酸アミド(2)のアニオンが蓄積しないように操作したところ、置換基(R、R、R)の種類によって多少は前後するが72〜96%といった非常に良好な選択率にて目的の非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を得る事が出来た。
また、実施例1−1B〜1−18Bでは、図2に示す添加順Bのように、スルホニルハライド(3)と有機塩基を予め混合して含む混合物(溶液)に対して、リン酸アミド(2)(の溶液)を徐々に加える事で、過剰のリン酸アミド(2)のアニオンの蓄積の防止を試みたところ、置換基(R、R、R)の種類によって多少は前後するが70〜95%といった良好な選択率にて目的の非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を得る事が出来た。
一方、図3に示す添加順Cのように、リン酸アミド(2)と有機塩基を予め混合して含む混合物(溶液)に対して、スルホニルハライド(3)(の溶液)を徐々に加えるという、本発明の製造方法に該当しない添加順を採用すると、比較例1−1C〜1−18Cの結果の通り、それぞれ対応する系において選択率は添加順A、Bに比べて、大幅に劣る31〜65%となった。これは、前述のように、反応系内に蓄積されたリン酸アミド(2)のアニオンが副反応を引き起こしているためと考えられる。
なお、反応に用いる、リン酸アミド(2)、スルホニルハライド(3)、有機塩基は、混合や添加に供する際に、それぞれ、そのものを用いてもよいし、溶液として用いてもよい。いずれの形態で混合や添加に供されても、同様の効果が得られるのは明らかである。
[実施例2−1〜2−8、比較例2−1〜2−8のシリーズ]
[実施例2−1A]
滴下漏斗を備えたガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)と、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、滴下漏斗よりピリジン(79.0g、1000mmol、2.0モル当量)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として90%の選択率で対カチオンがピリジンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。結果を表3に示す。
表3に示すように、原料リン酸アミドと、原料スルホニルハライド、及び添加手順を変更して同様に実験を行い、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成を試みた。
なお、原料リン酸アミドの置換基Rがトリメチルシリル基である、実施例2−5(比較例2−5)のシリーズのみは、ピリジンの使用量を半量の39.5g(500mmol、1.0モル当量)に変更した。
Figure 2018177670
[実施例3−1〜3−8、比較例3−1〜3−8のシリーズ]
[実施例3−1A]
ガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)と、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、滴下漏斗よりN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(58.1g、500mmol、1.0モル当量)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として95%の選択率で対カチオンがN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。なお、非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)の中のカチオン側とアニオン側のモル比率は1:2であった事から、2価のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのアンモニウム塩1分子と、1価の非対称イミドのアニオン2分子がイオン対を形成している事が分かる。結果を表4に示す。なお、TMEDAはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを意味する。
表4に示すように、原料リン酸アミドと、原料スルホニルハライド、及び添加手順を変更して同様に実験を行い、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成を試みた。
なお、原料リン酸アミドの置換基Rがトリメチルシリル基である、実施例3−5(比較例3−5)のシリーズのみは、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの使用量を半量の29.0g(250mmol、0.5モル当量)に変更した。
Figure 2018177670
[実施例4−1〜4−8、比較例4−1〜4−8のシリーズ]
[実施例4−1A]
ガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)と、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、粉末漏斗を使用して2,2’−ビピリジン(156.2g、1000mmol、2.0モル当量)を2時間かけて添加し、その後、内温を40℃まで上げて24時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として90%の選択率で対カチオンが2,2’−ビピリジンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。なお、2,2’−ビピリジンは2価の塩基であるが、その2段目の塩基性は弱く、この反応では1価の塩基として作用した。結果を表5に示す。なお、BiPyは2,2’−ビピリジンを意味する。
表5に示すように、原料リン酸アミドと、原料スルホニルハライド、及び添加手順を変更して同様に実験を行い、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成を試みた。
なお、原料リン酸アミドの置換基Rがトリメチルシリル基である、実施例4−5(比較例4−5)のシリーズのみは、2,2’−ビピリジンの使用量を半量の78.1g(500mmol、1.0モル当量)に変更した。
Figure 2018177670
[実施例5−1〜5−3、比較例5−1〜5−3のシリーズ]
[実施例5−1A]
ガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)と、88.5g(525mmol、1.05モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、粉末漏斗を使用してフェナントロリン(180.2g、1000mmol、2.0モル当量)を2時間かけて添加し、その後、内温を40℃まで上げて24時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として85%の選択率で対カチオンがフェナントロリンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。なお、フェナントロリンは2価の塩基であるが、その2段目の塩基性は弱く、この反応では1価の塩基として作用した。結果を表6に示す。
表6に示すように、原料リン酸アミドと、原料スルホニルハライド、及び添加手順を変更して同様に実験を行い、非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の合成を試みた。
Figure 2018177670
以上の結果から、原料であるリン酸アミド(2)やスルホニルハライド(3)の置換基(R、R、R)の種類や、有機塩基の種類を種々変更しても、本発明の製造方法に該当する添加順A、Bを採用すると、良好な選択率にて目的の非対称イミド三級アンモニウム塩(1)を得られる事が確認された。
一方、本発明の製造方法に該当しない添加順Cを採用すると、それぞれ対応する系において選択率は、添加順A、Bに比べて、大幅に劣る結果となった。これも、前述のように、反応系内に蓄積されたリン酸アミド(2)のアニオンが副反応を引き起こしているためと考えられる。
なお、今回の一連の実験の結果、リン酸アミド(2)とスルホニルハライド(3)との反応において、スルホニルハライド(3)に含まれるハロゲン基(フッ素基、塩素基、臭素基)のうち、特に脱離し易い臭素基や塩素基がリン酸アミド(2)で置換された形で非対称イミド三級アンモニウム塩(1)が生成するのが主である事が明らかになっている。
しかし、例えば、実施例1−14シリーズ、(比較例1−14)、実施例2−5シリーズ(比較例2−5)、実施例3−5シリーズ(比較例3−5)、実施例4−5シリーズ(比較例4−5)の様に、リン酸アミド(2b)とスルホニルハライド(3h)との反応では、スルホニルハライド(3h)に含まれる塩素基が脱離する事で得られる非対称イミド(1g)ではなく、スルホニルハライド(3h)に含まれるフッ素基が脱離する事で得られる非対称イミド(1k)が高い選択率で得られた。この事から、スルホニルハライド(3h)に含まれるフッ素基も脱離基として有効である事が分かる。
次に、スルホニルハライド(3)の使用モル当量が非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率に与える影響について説明する。
[実施例6−2A]
滴下漏斗を備えたガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、50.5g(500mmol)のリン酸アミド(2a)と、75.8g(450mmol、0.90モル当量)のスルホニルハライド(3a)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、滴下漏斗よりトリエチルアミン(101.2g、1000mmol、2.0モル当量)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2a)を基準として81%の選択率で対カチオンがトリエチルアミンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)が得られた。結果を表7に示す。
[実施例6−19A]
滴下漏斗を備えたガラス製2Lのニツ口フラスコに、700mLのEMCと、86.6g(500mmol)のリン酸アミド(2b)と53.3g(450mmol、0.90モル当量)のスルホニルハライド(3h)を加え、120回転/分の回転速度で0.1時間攪拌して混合させた。液温を5℃以下に保ちながら、滴下漏斗よりトリエチルアミン(50.6g、500mmol、1.0モル当量)を2時間かけて滴下し、その後、内温を25℃まで上げて4時間攪拌を継続した。得られた反応液をNMRで分析すると、原料リン酸アミド(2b)を基準として78%の選択率で対カチオンがトリエチルアミンのアンモニウムである非対称イミド三級アンモニウム塩(1k)が得られた。結果を表7に示す。
実施例6−2Aの手順にて、原料スルホニルハライドの使用モル当量と、原料リン酸アミドと、原料スルホニルハライドを表7のように変更して同様の実験を行った(実施例6−1A、6−3A〜6−17A、6−21A〜6−29A)。結果を表7に示す。
実施例6−19Aの手順にて、原料スルホニルハライドの使用モル当量を表7のように変更して同様の実験を行った(実施例6−18A、6−20A)。結果を表7に示す。
Figure 2018177670
スルホニルハライド(3)の使用モル当量が非対称イミド三級アンモニウム塩(1)の製造における選択率に与える影響について以下に考察する。
有機塩基としてトリエチルアミンを用い、リン酸アミド(2a)、スルホニルハライド(3a)を使用した場合を比較する。スルホニルハライド(3a)由来の不純物(塩化物イオン)の残留を極力減らすため、その使用量を0.80モル当量としたところ、非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)の製造における選択率は61%であった(実施例6−1A)。それに対して、スルホニルハライド(3a)を0.90モル当量使用した場合、選択率は81%へと大幅に上昇した(実施例6−2A)。更にモル当量を1.00、1.05と増やす事で選択率の向上は見られたが(実施例6−3A、1−1A)、その度合いは0.80から0.90モル当量に増やした時ほどの急激なものではなかった。また、更にモル当量を1.20、2.00と増やす事では、選択率の向上は僅かに見られたのみであった(実施例6−4A、6−5A)。
スルホニルハライド(3a)の使用量を0.80モル当量から増加させることで、大きく選択率が向上するのは、前述した反応活性種であるリン酸アミドのアニオンが大きく影響していると考えられる。すなわち、スルホニルハライド(3a)のモル当量を増やす事で、反応系内で発生したリン酸アミドのアニオンが速やかに消費されるようになり、その蓄積よって引き起こされる縮合反応を抑制できたためと推定される。
また、表7に示すその他の実施例を比較する事で、原料リン酸アミド(2)や原料スルホニルハライド(3)を種々変更した場合においても、スルホニルハライド(3)のモル当量を0.80から0.90に増加させる事で大幅な選択率向上が見られ、更に1.05まで増やす事である程度の追加の選択率向上効果が見られる事が分かる。
なお、ここでは前述の添加順Aを用いたが、添加順Bにおいても同様の傾向となる(添加順Cにおいても、スルホニルハライド(3)のモル当量を0.80から1.05まで増やす場合に同様に選択率向上効果が見られるが、対応する(3)のモル当量での添加順A、Bの選択率に比べるとやはり劣る結果となる。また、前述のように有機塩基の違いによる選択率への影響が少ない事が判明している為、トリエチルアミンをピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、2,2’−ビピリジン、フェナントロリンやその他の有機塩基に変更した場合においても、スルホニルハライド(3)を0.90モル当量以上用いる事での大幅な選択率向上効果は同じく確認できる。
[実施例1−1A−(1)]
上記実施例1−1Aで合成した非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)を炭酸エチルメチルに溶解させた溶液に、予め水酸化リチウム水溶液で処理した後に純水で洗浄し、乾燥させたダウケミカル製強酸性陽イオン交換樹脂252を添加し、30℃で6時間撹拌を行った。その後、ろ過にてイオン交換樹脂を取り除く事で下記の非対称イミド塩を含む溶液を得た。上述のように非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)を良好な選択率で得ることができるため、後工程のカチオン交換の手順も含めて総合的な観点から、非対称イミド塩を効率的に合成することができた。
Figure 2018177670
[実施例1−1A−(2)]
炭酸エチルメチルと炭酸ジメチルと炭酸エチレンとが混合された非水溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウムを1.0mol/Lの濃度となるように、上記1−1A−(1)で合成した非対称イミド塩が溶解した炭酸エチルメチル溶液を、非対称イミド塩が1.0質量%の濃度となるように添加して、非水電解液電池用電解液を作製した。このとき、最終的に得られた非水電解液電池用電解液中の非水溶媒の組成は、炭酸エチルメチルと炭酸ジメチルと炭酸エチレンとの比率が体積比で4:3:3となる様に調製を行った。
上述のように非対称イミド三級アンモニウム塩(1a)を良好な選択率で得ることができるため、後工程のカチオン交換の手順、及び非水電解液電池用電解液の調製手順も含めて総合的な観点から、非水電解液電池用電解液を効率的に製造することができた。

Claims (9)

  1. 下記一般式(2)で示されるリン酸アミドと下記一般式(3)で示されるスルホニルハライドを予め混合して含む混合物と、有機塩基とを混合すること、
    又は、
    下記一般式(3)で示されるスルホニルハライドと有機塩基を予め混合して含む混合物と、下記一般式(2)で示されるリン酸アミドとを混合すること
    を特徴とする、下記一般式(1)で示される非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
    Figure 2018177670
    [Rは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表す。
    は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表し、一般式(3)においてRの少なくとも一つはハロゲン基である。
    は、トリメチルシリル基、又は水素基であり、nは1又は2である。
    1 n+は、前記有機塩基にプロトンが付加した三級アンモニウムカチオンである。]
  2. スルホニルハライド(3)をリン酸アミド(2)に対して0.85〜2.10モル当量使用することを特徴とする、請求項1に記載の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
  3. スルホニルハライド(3)をリン酸アミド(2)に対して0.92〜1.30モル当量使用することを特徴とする、請求項1に記載の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
  4. スルホニルハライド(3)をリン酸アミド(2)に対して0.95〜1.10モル当量使用することを特徴とする、請求項1に記載の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
  5. 前記ハロゲン基が、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基から選択され、
    前記アルキル基が、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基から選択され、
    前記アルコキシ基が、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜10のアルコキシ基から選択され、
    前記アルケニルオキシ基が、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基から選択され、
    前記アルキニルオキシ基が、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数2〜10のアルキニルオキシ基から選択され、
    前記アリールオキシ基が、フッ素原子を含んでいてもよい炭素原子数6〜10のアリールオキシ基から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
  6. 前記アルキル基が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、トリフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基から選択され、
    前記アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基、ペンチルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基から選択され、
    前記アルケニルオキシ基が、ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、及び1,3−ブタジエニルオキシ基から選択され、
    前記アルキニルオキシ基が、エチニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基、及び1,1−ジメチル−2−プロピニルオキシ基から選択され、
    前記アリールオキシ基が、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、及びキシリルオキシ基から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
  7. 前記有機塩基が、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン、イミダゾール、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、フェナントロリン、2,2'−ビピリジン、2,3'−ビピリジン、2,4'−ビピリジン、3,3'−ビピリジン、3,4'−ビピリジン、4,4'−ビピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−o−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−m−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、及びヘキサメチレンテトラミンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の非対称イミド三級アンモニウム塩の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた非対称イミド三級アンモニウム塩を、カチオン交換することを特徴とする、下記一般式(4)で示される非対称イミド塩の製造方法。
    Figure 2018177670
    [Rは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表す。
    は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表し、
    nは1又は2である。M2 n+は、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。]
  9. 非水溶媒に、少なくとも、溶質と、請求項8の製造方法で得られた非対称イミド塩とを溶解することを特徴とする、非水電解液電池用電解液の製造方法。
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