JP2018176758A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】高さ調節可能な前記シートクッションを備えた車両用シートに於いて、トーションバーに対して相対回転せず、小型化及び軽量化が可能な位置保持部材を備える車両用シートを提供する。【解決手段】車両用シート1は、リンク機構6によって上下に変位可能なクッションフレーム5を備える。クッションフレーム5の上昇を補助するため、左右1対のリアリンク11,11に両端を固定された連結パイプ12内に、トーションバー14が配置される。位置保持部材24が、トーションバー14を保持し、連結パイプ12に支持されることにより、トーションバー14の軸芯の位置のずれが抑制される。位置保持部材24は、軸部15に対して直交する延長部16に係合するため、トーションバー14に対して軸線回りに回転しない。そのため、位置保持部材24において、トーションバー14からの横力が加わる補強が必要な部分は狭い範囲に限定される。【選択図】図1
Description
本開示は、高さ調節可能なシートクッションを備えた車両用シートに関する。
高さ調節可能なシートクッションを備えた車両用シートが知られている。例えば、特許文献1には、リンクによって上下動するシートクッションに於いて、左右1対のリンクを連結するパイプ内にトーションバーを配置し、トーションバーの付勢力によりシートクッションの上昇を補助することが記載されている。トーションバー及びパイプの一端側では、トーションバーの軸芯をパイプの中心軸に一致させるために、トーションバーを保持する位置保持部材がパイプの内孔に嵌め込まれている。また、特許文献2には、円筒形状の位置保持部材が、半円筒形状の2部品から構成されることが記載されている。
しかしながら、従来の位置保持部材は、トーションバーに対して相対回転して、トーションバーからの横力を受ける位置保持部材の位置が変化するおそれがあった。そのため、位置保持部材は、広い角度範囲に渡って強度の確保が必要であり、位置保持部材の小型化や軽量化が妨げられていた。
また、トーションバーの端部が屈曲していると、特許文献1に記載の位置保持部材では組み付けが困難となる。特許文献2に記載の位置保持部材が2部品からなるため、組み付けることができるが、部品点数が多くなり、組み付け作業が煩雑であった。
本発明は、このような問題を鑑み、高さ調節可能な前記シートクッションを備えた車両用シートに於いて、トーションバーに対して相対回転しない位置保持部材を備える車両用シートを提供することを目的とする。また、本発明の少なくともいくつかの実施形態では、組み付けが容易な位置保持部材を提供することを目的とする。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シート(1)は、車体に支持されたベース部材(2)と、シートクッション(3)のフレームを構成するクッションフレーム(5)と、前記ベース部材に対して前記クッションフレームを上下に変位可能に支持するリンク機構(6)と、前記リンク機構を介して前記クッションフレームを上下方向に駆動する駆動機構(7)と、前記クッションフレームを上方に向けて付勢するために、前記クッションフレームの左右側部間に延在し、かつ左右の第1端(17)及び第2端(16b)にて、前記リンク機構の枢支部に於ける互いに相対回転する第1の部分(12)及び第2の部分(8)に結合されたトーションバー(14)とを備える高さ調節可能な前記シートクッションを備えた車両用シートであって、前記トーションバーが、左右方向に延在する軸部(15)、及び、前記第2端側に於いて少なくとも部分的に前記軸部に交差する方向に延出して前記第2の部分に結合された延長部(16)を有し、前記第1の部分は、前記トーションバーの前記第1端を回転不能に支持し、前記トーションバーの前記軸部の前記第2端側を、前記トーションバーの軸芯の変位を抑制するための位置保持部材(24,41)を介して支持し、前記位置保持部材が、前記第1の部分に対して回転可能に支持され、前記軸部を挿通させる貫通孔(27)を含む本体部(25,42)と、前記延長部に一体回転するように係合する係合部(26,43)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、位置保持部材がトーションバーに対して軸線回りに回転せず、第1の部分に対して回転するため、位置保持部材に於けるトーションバーの横力が加わる位置が一定となり、位置保持部材は、狭い角度範囲で横力に耐える強度を確保すれば十分である。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成に於いて、前記クッションフレーム及び前記リンク機構の何れか一方が、他方に対して回転可能な連結パイプ(12)を有し、前記連結パイプが前記第1の部分を構成し、前記位置保持部材の前記本体部が、円筒形の輪郭を有し、前記連結パイプの内孔(13)に回転可能に受容されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1の部分を簡素な構造とすることができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成の何れかに於いて、前記位置保持部材(24)の前記係合部(26)は、前記本体部(25)から突出する係合凸部(30)と、前記本体部から突出して前記係合凸部と協働して前記延長部を弾発的に保持する係合爪(29)とを有すること、又は、前記位置保持部材(41)の前記係合部(43)は、前記本体部(42)から突出して前記延長部を挟持する1対の係合爪(44)を有することを特徴とする。
この構成によれば、係合部を簡素な構造とすることができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成に於いて、前記係合爪は、前記延長部をオーバーハングするように係止し、前記係合凸部よりも上方に配置されたことを特徴とする。
この構成によれば、係合部の係合状態を容易に確認することができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成の何れかに於いて、前記係合部は、前記第2の部分よりも左右方向の外側に位置することを特徴とする。
この構成によれば、係合部の係合状態を容易に確認することができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成の何れかに於いて、前記位置保持部材が、左右方向の内側端面に、前記延長部を受容可能な、半径方向に延在するように凹設された受容溝(35)を有し、かつ、一体成形品からなることを特徴とする。
この構成によれば、トーションバーを位置保持部材の貫通孔に挿入して、位置保持部材のトーションバーに対する位置をずらすときに、トーションバーの屈曲した延長部が受容溝によって受容されるため、位置保持部材の位置をずらすことができる。そのため、トーションバーの端部を一体成形品の位置保持部材の貫通孔に挿入して、位置保持部材をずらすことによって両者を組み付けることができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成に於いて、前記受容溝が、前記位置保持部材が前記トーションバーから受ける横力が最大となる側に対して周方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、トーションバーからの横力を受ける位置には、受容溝がないため、位置保持部材の強度を確保することができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成に於いて、前記位置保持部材が前記トーションバーから受ける横力が最大となる側が優先的に補強されていることを特徴とする。
この構成によれば、強度が必要な横力を受ける部分が優先的に補強されるため、他の強度が低くてもよい部分の補強が低く、位置保持部材を小型化及び軽量化することができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成の何れかに於いて、前記位置保持部材の前記本体部の外周面に軸線方向沿って延在する複数のリブ(34)が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、リブが第1の部分である連結パイプに摺接するため、位置保持部材が連結パイプに対して摺動するときの摩擦抵抗を低減できる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用シートは、上記構成に於いて、前記本体部の側周壁は、前記貫通孔を画成する内周壁(31)と、前記第1の部分に回転可能に支持される外周壁(32)と、半径方向に延在して前記内周壁及び前記外周壁間を連結する複数の補強壁(33)とを有し、少なくとも一部の前記補強壁は、前記リブと半径方向に整合する位置に設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、位置保持部材が肉抜き構造であるため、位置保持部材を軽量化できるとともに、リブと補強壁とが互いに半径方向に整合するため、トーションバーの横力に対する補強が効率的となる。
本発明によれば、位置保持部材がトーションバーに対して軸線回りに回転せず、第1の部分に対して回転するため、位置保持部材に於けるトーションバーの横力が加わる位置が一定となり、位置保持部材は、狭い角度範囲で横力に耐える強度を確保すればよい。
第1の部分を連結パイプで構成する構成では、簡素な構造とすることができる。
係合部が係合爪を有する構成では、簡素な構造とすることができる。
係合爪が、前記延長部をオーバーハングする構成では、係合部の係合状態を容易に確認することができる。
係合部が、第2の部分よりも左右方向の外側に位置する構成では、係合部の係合状態を容易に確認することができる。
位置保持部材が受容溝を有する構成では、トーションバーの端部を位置保持部材の貫通孔に挿入して、位置保持部材をずらすことによって両者を組み付けることができる。
受容溝が、トーションバーから受ける横力が最大となる側に対して周方向にずれた位置に設けられている構成では、トーションバーからの横力を受ける位置には受容溝がないため、位置保持部材の強度を確保することができる。
位置保持部材がトーションバーから受ける横力が最大となる側が優先的に補強される構成では、強度が必要な横力を受ける部分が優先的に補強されるため、他の強度が低くてもよい部分の補強を低くし、位置保持部材を小型化及び軽量化することができる。
位置保持部材の本体部の外周面に軸線方向沿って延在する複数のリブが設けられている構成では、リブが第1の部分である連結パイプに摺接するため、位置保持部材が連結パイプに対して摺動するときの摩擦抵抗を低減できる。
位置保持部材が内周壁、外周壁及び補強壁を有し、少なくとも一部の補強壁がリブと半径方向に整合する位置に設けられた構成では、肉抜き構造であるため位置保持部材を軽量化できるとともに、リブと補強壁とが互いに半径方向に整合するため、トーションバーの横力に対する補強が効率的となる。
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る車両用シート1を説明する。図1に示すように、車両用シート1は、車両の運転席又は助手席に設置されるものであり、車体に支持された左右1対のベース部材2,2と、左右1対のベース部材2,2に支持されるシートクッション3と、シートクッション3に連結されたシートバック4と、シートバック4に連結されたヘッドレスト(図示せず)とを備える。シートクッション3は、ベース部材2に対してシートクッション3のフレームを構成するクッションフレーム5を上下に変位可能に支持するリンク機構6と、リンク機構6を介してクッションフレーム5を上下方向に駆動する駆動機構7とによって、高さ方向に位置を調節できる。また、車両用シート1は、前後方向に延在するレール(図示せず)を介して車体に支持され、前後方向に位置を調節できることが好ましい。
クッションフレーム5は、左右1対のサイドフレーム8,8と、前側に於いて左右1対のサイドフレーム8,8間を連結するフロントフレーム9とを有する。
リンク機構6は、前側に於いて左右1対のベース部材2,2及び左右1対のサイドフレーム8,8間を連結する左右1対のフロントリンク10,10と、後側に於いて左右1対のベース部材2,2及び左右1対のサイドフレーム8,8間を連結する左右1対のリアリンク11,11とを有し、各リンク10,10,11,11は、対応するベース部材2及びサイドフレーム8に対して、左右方向を軸に枢支されている。左右1対のリアリンク11,11に於いて、左方の枢支部と対応する右方の枢支部の回転軸は同軸である。
リンク機構6は、左右方向に延在し、左右両端部がそれぞれ対応するリアリンク11に固定された連結パイプ12を更に有する。図1及び図2に示すように、連結パイプ12の中心軸は、左右1対のサイドフレーム8,8と左右1対のリアリンク11と回転軸と同軸であり、リアリンク11に固定された連結パイプ12の端部12bが、回転可能にサイドフレーム8に枢支されることにより、左右1対のリアリンク11,11及び連結パイプ12が一体となって、左右1対のサイドフレーム8,8に対して左右方向を軸に回転可能である。枢支部を構成する連結パイプ12の左右両端部12b,12bは、本体部12aを加工しても形状が変わらないように、本体部12aとは別体であって、それぞれ加工後の本体部12aの左右両端に溶接により結合される。
連結パイプ12の内孔13に挿入されたトーションバー14は、断面が円形の1本の鋼棒の両端部を屈曲させることによって形成されたものである。図3に示すように、トーションバー14は、左右方向に延在する軸部15と、軸部15の右端から軸部15に直交するように延出する第1延長部16a、及び第1延長部16aの先端から軸部15に平行に左方に延出する第2延長部16bを有する延長部16と、軸線回りの回転を規制し易いように、鋼棒の左端側の端部を折り返すことにより形成された折り返し部17とを有する。
図2に示すように、延長部16は、連結パイプ12の内孔13の外側に位置する。第2延長部16bは、軸部15よりも前方に位置し、右側のサイドフレーム8に設けられた係合孔18に係合している。第2延長部16bの上面には、第2延長部16bが係合孔18から右方に抜け出すことを防止するため、サイドフレーム8の係合孔18を画成している部分に係合する係合溝19が設けられている。トーションバー14の右端側は、延長部16が右側のサイドフレーム8に係合しているため、右側のサイドフレーム8に対して軸線回りに回転することが規制される。
連結パイプ12の本体部12aの左端側には、内孔13を狭めるように前後から本体部12aを凹ませて形成されたパイプつぶし部20が設けられている。トーションバー14の折り返し部17がパイプつぶし部20に内孔13内で挟持されることにより、トーションバー14の左端側は、連結パイプ12に対して軸線回りに回転することが規制される。
トーションバー14は、ねじれた状態で右側のサイドフレーム8及びパイプつぶし部20に係止されている。クッションフレーム5を上下動させると、右側のサイドフレーム8と、左右1対のリアリンク11,11及び連結パイプ12とのなす角が変化するため、右端側に於いて右側のサイドフレーム8に係合し、左端側に於いて連結パイプ12に係合したトーションバー14のねじれ角が変化する。クッションフレーム5を下降させるとトーションバー14のねじれ角が大きくなり、クッションフレーム5を上昇させるとトーションバー14のねじれ角が小さくなるように、トーションバー14は設置されているため、トーションバー14のねじれによって生じる付勢力は、クッションフレーム5を上昇させる向きに作用する。
駆動機構7は、左側のサイドフレーム8に固定された電動モータ21と、電動モータ21の回転によって回転するピニオン22と、左側のリアリンク11に固定されてピニオン22に噛み合うギヤ23とを有する。電動モータ21は、ピニオン22、ギヤ23及び左側のリアリンク11を介して、クッションフレーム5を上下方向に駆動する。このとき、右側のリアリンク11は連結パイプ12によって、左側のリアリンク11と連動し、左右1対のフロントリンク10,10は、左右1対のサイドフレーム8,8とフロントフレーム9とが互いに剛結されているため、左右1対のリアリンクと連動する。電動モータ21に代えて、手動でクッションフレーム5を駆動する構成としてもよい。
図1及び図2に示すように、トーションバー14の軸芯を、連結パイプ12の中心軸に一致させ、その状態を維持するために、連結パイプ12の右端側及びトーションバー14の軸部15の右端側との間には、位置保持部材24が取り付けられている。
図3〜図6に示すように、位置保持部材24は、トーションバー14の軸部15を保持するとともに連結パイプ12に取り付けられる本体部25と、トーションバー14の第1延長部16aに係合する係合部26とを有する一体成形品である。
本体部25は、左右方向に沿って貫通孔27が形成される円筒形の輪郭を有する。トーションバー14の軸部15が貫通孔27に挿通されて把持され、かつ、本体部25の円筒形の外周面が連結パイプ12の内孔13の内周面に当接することにより、トーションバー14の軸部15の軸芯の位置が維持される。軸部15の軸芯の位置が連結パイプ12に対してずれると、トーションバー14の付勢力が設計値からずれるが、位置保持部材24によってこのずれを防止できる。本体部25の右端には側周面から半径方向に延出する鍔部28が設けられて、鍔部28の左面が連結パイプ12の右端に当接することにより、位置保持部材24の連結パイプ12に対する左右方向位置が決まる(図2参照)。
図5に示すように、係合部26は、本体部25の右側の端面に設けられた、互いに対向する係合爪29及び係合凸部30を有する。係合爪29の遊端側は、第1延長部16aをオーバーハングするように(図3参照)、係合凸部30側に向かって屈曲しており、本体部25の右側の端面と係合爪29の遊端側との互いの対向面間の距離は、トーションバー14の第1延長部16aの直径に略等しい。係合爪29に於ける、第1延長部16aに面する側とは反対側の面には、強度補強のためのリブ29aが、両側縁に沿って設けられている。係合凸部30の頂部は、係合爪29の遊端よりも本体部25から突出しておらず、係合凸部30の頂部と係合爪29の遊端との距離は、通常は第1延長部16aの直径よりも小さいが、係合爪29が弾性変形することにより、第1延長部16aは、係合凸部30の頂部と係合爪29の遊端との間を通過できる。組み付け後、係合爪29が係合凸部30よりも上部に配置され、及び/又は、係合部26がサイドフレーム8よりも左右方向の外側に位置するように構成されることにより、係合状態を確認し易くなる。
係合凸部30は、半径方向から見て三角形を呈し、係合爪29に近づくにつれ本体部25から離間するガイド面30aと、ガイド面30aよりも係合爪29に近接する側に設けられて、係合爪29に近づくにつれ本体部25に近接する係止面30bとを有する。ガイド面30aは、位置保持部材24をトーションバー14に組み付ける際に第1延長部16aをガイドし、係止面30bは、両者を組み付けた状態において、係合爪29及び本体部25の右側の端面と協働して、第1延長部16aを把持する。本体部25の右側の端面に対する係止面30bの角度は、本体部25の右側の端面に対するガイド面30aの角度よりも急であるため、位置保持部材24及び第1延長部16a間の係合を解除するために位置保持部材24を逆回転させるときは、両者を係合させるために位置保持部材24を回転させるときよりも大きな力が必要である。なお、係合部26は、係合爪29及び係合凸部30に代えて、本体部25に設けた凹部(図示せず)によって構成してもよく、係合爪29と凹部との組み合わせによって構成してもよい。
図6に示すように、位置保持部材24の円筒形状の本体部25は、肉抜きされて2層構造となっており、貫通孔27を画成する内周壁31と、連結パイプ12の内孔13を画成する内周面に摺接して連結パイプ12に回転可能に支持される外周壁32と、半径方向に延在して内周壁31及び外周壁32間を連結する複数の補強壁33とを有する。位置保持部材24が連結パイプ12に対して軸線回りに回転するときの摩擦抵抗を減らすため、外周壁32の外周面には軸線方向に沿って複数のリブ34が設けられ、リブ34が連結パイプ12の内周面に摺接する。複数のリブ34は、トーションバー14からの横力を受ける側の所定の範囲に渡って、周方向に略等間隔に配置される。複数の補強壁33は、周方向に略等間隔に配置され、リブ34が設けられた側に位置する補強壁33は、半径方向においてリブ34と整合し、そのため、トーションバー14からの横力に対する補強が効率的となる。
位置保持部材24の内周壁31及び外周壁32は、それぞれ、左側の端面に、半径方向に延在するように凹設された内側受容溝35a及び外側受容溝35bを有する。内側受容溝35a及び外側受容溝35bは、リブ34とは周方向の反対側の、互いに半径方向に整合した位置に設けられる。内側受容溝35a及び外側受容溝35bの周方向の幅は、トーションバー14の直径に略等しい。位置保持部材24をトーションバー14に組み付ける際に、内側受容溝35aと外側受容溝35bとから構成される受容溝35がトーションバー14の延長部16を受容できるように、内側受容溝35a及び外側受容溝35bの左右方向の深さは設定される。受容溝35は、係合部26に対して周方向に約90°ずれた位置に設けられる。なお、受容溝35の位置の係合部26に対する角度は、両者が互いに周方向にずれている範囲において、変更可能である。また、受容溝35の近傍では強度が低くなるため、受容溝35は、位置保持部材24がトーションバーから受ける横力が最大となる側に対して周方向にずれた位置、例えば対角位置に設けられる。
組み付け方法及び作用効果について説明する。作業員は、トーションバー14の第2延長部16bの遊端を、位置保持部材24の左端側から貫通孔27に挿入し、位置保持部材24を軸部15の右端側まで移動させる。この時、位置保持部材24は、受容溝35があるため、軸部15に対して屈曲した延長部16を通過することができる。
次いで、作業員は、位置保持部材24をトーションバー14の軸部15に対して軸線回りに回転させる。この時、第1延長部16aは、係合凸部30のガイド面30aを摺動しながら係合爪29を弾性変形させた後、係合爪29及び係合凸部30間に配置される。係合爪29は、係合凸部30と協働して第1延長部16aを弾発的に保持する。
その後、作業員は、位置保持部材24が取り付けられたトーションバー14を連結パイプ12の内孔13に挿入し、トーションバー14の折り返し部17及び第2延長部16bを、それぞれ、パイプつぶし部20及び右側のサイドフレーム8に係合させる。
受容溝35があるため、トーションバー14が屈曲していても、その端部から位置保持部材24を挿入し、所定の位置まで移動させることができるため、組み付けが容易で、かつ、位置保持部材24を一体成形品にして部品点数を減らすことができる。
係合部26が第1延長部16aを係合すると、位置保持部材24のトーションバー14に対する軸線周りの回転及び左右方向への変位が記載され、位置保持部材24の位置及び姿勢が安定する。そのため、位置保持部材24をトーションバー14に組み付けた状態で出荷しても、位置保持部材24が外れたり、破損したりするリスクが小さい。
係合部26が第1延長部16aに係合することにより、位置保持部材24は、トーションバー14の軸部15の右端側とともに、連結パイプ12に対して回転する。そのため、位置保持部材24に於けるトーションバー14の横力が加わる位置が一定となり、位置保持部材24は、狭い角度範囲で横力に耐える強度を確保すれば十分である。そのため、位置保持部材24の小型化及び軽量化ができるとともに、横力の影響が小さい部分に受容溝35を設けることができる。
次に、図7〜9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明に当たって、第1実施形態と共通する構成については、説明を省略し、同じ符号を付す。第2実施形態では、位置保持部材41の形状及び組み付け方法が第1実施形態と異なる。
第2実施形態に係る位置保持部材41は、トーションバー14の軸部15を保持するとともに連結パイプ12に取り付けられる本体部42と、トーションバー14の第1延長部16aに係合する係合部43とを有する一体成形品である。
本体部42は、第1実施形態と同様に、左右方向に沿って貫通孔27を有する円筒形であり、内周壁31、外周壁32及び補強壁33を有する。なお、第1実施形態のリブ34に相当する構成は有さない。
図8に示すように、係合部43は、本体部42の右側の端面に設けられた、互いに対向する1対の係合爪44,44を有する。1対の係合爪44,44は、互いに鏡像対称形をなす。各々の係合爪44は、トーションバー14の延長部16に係合する係合片45と、係合片45において第1延長部16aに面する側とは反対側の面の両側縁に沿って設けられた強度補強のためのリブ46とを有する。本体部42の右端の側周面から半径方向に延出する鍔部47は、リブ46を設けるべき位置まで延出してリブ46を支持している。
係合片45の右方への突出長は、第1延長部16aの半径より長く、好ましくは、第1延長部16aの直径以上である。係合片45の第1延長部16aに面する側には、第1延長部16aの半径よりも本体部25から突出した部分に於いて、第1延長部16aの延在方向に沿って延在する突条48が設けられている。1対の係合片45,45間の距離は、第1延長部16aの直径に略等しい。また、1対の突条48,48間の距離は第1延長部16aの直径より狭く、各々の突条48の先端が第1延長部16aに圧接する。このため、1対の係合爪44,44は、第1延長部16aを弾発的に保持する。
組み付け方法及び作用効果について説明する。作業員は、トーションバー14の第2延長部16bの遊端を、位置保持部材41の左端側から貫通孔27に挿入し、位置保持部材41を軸部15の右端側まで移動させる。この時、位置保持部材41は、本来の位置保持部材41の左右方向位置よりも係合爪44の右方への突出長と同程度以上に左方に位置させる。位置保持部材41は、第1実施形態と同様に、受容溝35があるため、軸部15に対して屈曲した延長部16を通過することができる。
次いで、作業員は、位置保持部材41をトーションバー14の軸部15に対して軸線回りに回転させ、1対の係合爪44,44間の間隙を、トーションバー14の第1延長部16aに左右方向に於いて整合させた後、位置保持部材を右方に移動させる。この時、1対の突条48が互いに離間するように第1延長部16aに押し出されて、1対の係合爪44,44が弾性変形することにより、第1延長部16aが1対の係合爪44,44間を通過する。第1延長部16aの中心軸が、1対の突条48,48間を通過すると、1対の係合爪44,44の弾性変形が部分的に戻るため、1対の係合爪44,44は、第1延長部16aを弾発的に保持する。
その後、第1実施形態と同様に、作業員は、位置保持部材41が取り付けられたトーションバー14を連結パイプ12の内孔13に挿入し、トーションバー14の折り返し部17及び第2延長部16bを、それぞれ、パイプつぶし部20及び右側のサイドフレーム8に係合させる。
位置保持部材41が一体成形品であっても、受容溝35があるため、屈曲したトーションバー14に対して組みつけが容易である点は第1実施形態と同様である。
係合部43が第1延長部16aを係合すると、位置保持部材41は、トーションバー14に対して、1対の係合片45,45に係止されるため軸線回りに回転せず、1対の突条48,48及び本体部42の右面とに係止されるため左右方向への変位が規制される。そのため、位置保持部材24をトーションバー14に組み付けた状態で出荷しても、位置保持部材24が外れたり、破損したりするリスクが小さい。
第1実施形態と同様に、係合部43が第1延長部16aに係合することにより、位置保持部材41は、トーションバー14の軸部15の右端側とともに、連結パイプ12に対して回転する。そのため、位置保持部材41に於けるトーションバー14の横力が加わる位置が一定となり、位置保持部材41は、狭い角度範囲で横力に耐える強度を確保すれば十分である。そのため、位置保持部材41の小型化及び軽量化ができるとともに、横力を受けない部分に受容溝35を設けることができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態に於いて、左右を逆にしてもよい。連結パイプを、クッションフレームの一部として、左右1対のリアリンクに枢支し、トーションバーの延長部をリアリンクに係合させてもよい。連結パイプ及びトーションバーを、ベース部材とリアリンクと枢支部と同軸に設け、連結パイプをベース部材及びリアリンクの一方に固定し、トーションバーの延長部をベース部材及びリアリンクの他方に係合させてもよい。連結パイプの形状については、位置保持部材を受容する部分が円形の内周面を有すればよく、他の部分が角管形状や棒状であってもよい。リアリンクに代えて、フロントリンクに対して、連結パイプ及びトーションバーを取り付けてもよい。
1:車両用シート
2:ベース部材
3:シートクッション
5:クッションフレーム
6:リンク機構
7:駆動機構
8:サイドフレーム(第2の部分)
11:リアリンク
12:連結パイプ(第1の部分)
13:内孔
14:トーションバー
15:軸部
16:延長部
24,41:位置保持部材
25,42:本体部
26:係合部
27:貫通孔
29,44:係合爪
30:係合凸部
31:内側壁
32:外周壁
33:補強壁
34:リブ
35:受容溝
2:ベース部材
3:シートクッション
5:クッションフレーム
6:リンク機構
7:駆動機構
8:サイドフレーム(第2の部分)
11:リアリンク
12:連結パイプ(第1の部分)
13:内孔
14:トーションバー
15:軸部
16:延長部
24,41:位置保持部材
25,42:本体部
26:係合部
27:貫通孔
29,44:係合爪
30:係合凸部
31:内側壁
32:外周壁
33:補強壁
34:リブ
35:受容溝
Claims (11)
- 車体に支持されたベース部材と、
シートクッションのフレームを構成するクッションフレームと、
前記ベース部材に対して前記クッションフレームを上下に変位可能に支持するリンク機構と、
前記リンク機構を介して前記クッションフレームを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記クッションフレームを上方に向けて付勢するために、前記クッションフレームの左右側部間に延在し、かつ左右の第1端及び第2端にて、前記リンク機構の枢支部に於ける互いに相対回転する第1の部分及び第2の部分に結合されたトーションバーとを備える高さ調節可能な前記シートクッションを備えた車両用シートであって、
前記トーションバーが、左右方向に延在する軸部、及び、前記第2端側に於いて少なくとも部分的に前記軸部に交差する方向に延出して前記第2の部分に結合された延長部を有し、
前記第1の部分は、前記トーションバーの前記第1端を回転不能に支持し、前記トーションバーの前記軸部の前記第2端側を、前記トーションバーの軸芯の変位を抑制するための位置保持部材を介して支持し、
前記位置保持部材が、前記第1の部分に対して回転可能に支持され、前記軸部を挿通させる貫通孔を含む本体部と、前記延長部に一体回転するように係合する係合部とを有することを特徴とする車両用シート。 - 前記クッションフレーム及び前記リンク機構の何れか一方が、他方に対して回転可能な連結パイプを有し、
前記連結パイプが前記第1の部分を構成し、
前記位置保持部材の前記本体部が、円筒形の輪郭を有し、前記連結パイプの内孔に回転可能に受容されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。 - 前記位置保持部材の前記係合部は、前記本体部から突出する係合凸部と、前記本体部から突出して前記係合凸部と協働して前記延長部を弾発的に保持する係合爪とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シート。
- 前記位置保持部材の前記係合部は、前記本体部から突出して前記延長部を弾発的に保持する1対の係合爪を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シート。
- 前記係合爪は、前記延長部をオーバーハングするように係止し、前記係合凸部よりも上方に配置されたことを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載の車両用シート。
- 前記係合部は、前記第2の部分よりも左右方向の外側に位置することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用シート。
- 前記位置保持部材が、左右方向の内側端面に、前記延長部を受容可能な、半径方向に延在するように凹設された受容溝を有し、かつ、一体成形品からなることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用シート。
- 前記受容溝が、前記位置保持部材が前記トーションバーから受ける横力が最大となる側に対して周方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の車両用シート。
- 前記位置保持部材が前記トーションバーから受ける横力が最大となる側が優先的に補強されていることを特徴とする請求項8に記載の車両用シート。
- 前記位置保持部材の前記本体部の外周面に軸線方向沿って延在する複数のリブが設けられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の車両用シート。
- 前記本体部の側周壁は、前記貫通孔を画成する内周壁と、前記第1の部分に回転可能に支持される外周壁と、半径方向に延在して前記内周壁及び前記外周壁間を連結する複数の補強壁とを有し、
少なくとも一部の前記補強壁は、前記リブと半径方向に整合する位置に設けられたことを特徴とする請求項10に記載の車両用シート。
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