JP2018172577A - リン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法、リン酸エステル変性フェノール化リグニン、樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、近年の環境意識の高まりにより、耐久性に優れた材料やバイオマス由来の原料が望まれるようになってきた。
しかし、バイオマス由来の原料は、例えば、バイオエタノールの製造において特に顕著となったように、デンプンや糖等の食料と競合する原料を用いる場合が多く、これにより食料価格の上昇や食糧生産の減少に繋がる等の問題が指摘されていた。
そこで、現在特に注目度が高いのが、食料と競合しないセルロース系バイオマスから原料を製造する技術である。
熱可塑性樹脂にセルロース系バイオマスからの原料であるリグニン化合物を配合する技術は特許文献1に開示されている。しかし、リグニン配合による難燃化についての記載はない。また、リグニンは一般的に樹脂に相溶しにくく、樹脂に配合した場合、凝集物として存在してしまうため、機械的物性や成形体の外観を低下させることがあった。
さらに、特許文献4には、熱可塑性樹脂と難燃剤を含む難燃性樹脂組成物であって、難燃剤がリグニン誘導体にリン酸を付加してなるリン酸化リグニン誘導体を含む難燃性樹脂組成物が開示されている。
一方、特許文献3に記載された発明では、この特定のリグニン分解物は樹脂中での分散性は向上するものの、熱溶融特性が不十分な場合があり、ポリオレフィンのようにリグニンとの親和性が低い樹脂への分散性が不良であった。この、分散性の不良により外観不良が発生したり、引張特性が低下する等のおそれがあった。
また、特許文献4に記載された発明では、リン酸化リグニン誘導体が強い酸性を示すため、成形品の着色が大きく、また、ポリカーボネートのような樹脂に使用すると分子量低下を引き起こし、機械的物性が低下するという問題があった。更に、加工時、金型等の金属を腐食してしまうという問題もあった。
すなわち、本発明は、〔1〕〜〔17〕を提供する。
〔1〕リグニンをフェノール化したフェノール化リグニンをリン酸エステル化剤でリン酸エステル化してなるリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
〔2〕前記リン酸エステル化剤が、ハロゲン化リン酸エステルである、上記〔1〕に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
〔3〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジアリール、ジクロロリン酸アリール、クロロリン酸ジアルキル、ジクロロリン酸アルキル、クロロリン酸アルキルアリール及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔1〕又は〔2〕に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
〔4〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
〔5〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
〔6〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
〔7〕リグニンをフェノール化したフェノール化リグニンとリン酸エステル化剤との反応生成物であるリン酸エステル変性フェノール化リグニン。
〔8〕(A)熱可塑性樹脂99〜60質量%、及び(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニン1〜40質量%(ただし、前記(A)及び前記(B)の合計量を100質量%とする)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
〔9〕前記(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニンが、リン酸エステル化剤とフェノール化リグニンとの反応生成物である上記〔8〕に記載の樹脂組成物。
〔10〕前記リン酸エステル化剤がハロゲン化リン酸エステルである上記〔9〕に記載の樹脂組成物。
〔11〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジアリール、ジクロロリン酸アリール、クロロリン酸ジアルキル、ジクロロリン酸アルキル、クロロリン酸アルキルアリール及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔9〕又は〔10〕に記載の樹脂組成物。
〔12〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔9〕〜〔11〕のいずれか1に記載の樹脂組成物。
〔13〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔9〕〜〔12〕のいずれか1に記載の樹脂組成物。
〔14〕前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、上記〔9〕〜〔12〕のいずれか1に記載の樹脂組成物。
〔15〕前記(A)熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である、上記〔8〕〜〔14〕のいずれか1に記載の樹脂組成物。
〔16〕前記(A)熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂である、上記〔8〕〜〔15〕のいずれか1に記載の樹脂組成物。
〔17〕上記〔8〕〜〔16〕のいずれか1に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
したがって、本発明の樹脂組成物、及び、前記樹脂組成物より得られた成形体は、OA材料、電気・電子材料、自動車材料、産業資材、電線被覆材料、フィルム、繊維等に好適に用いることができる。
また、本発明の樹脂組成物は、バイオマス由来である非可食材料であるリグニンを含有するので、食料と競合することなく環境負荷物質の低減等の環境特性の高い材料である。
本発明のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造に用いられるリグニンの例としては、木本系及び草本系植物由来のクラフトリグニン、サルファイトリグニン、ソーダリグニン、爆砕リグニン、酢酸リグニン等が挙げられ、単独使用又は2種類以上併用することができる。リグニンとして、好ましくは、酢酸リグニンが挙げられる。
酢酸リグニンは、針葉樹、広葉樹等の木本系植物、麦藁等の草本系植物といった植物を原料とし、当該植物の細胞壁から、いわゆる酢酸蒸解法によって抽出することにより得られる。酢酸蒸解法の詳細については特に限定されるものではなく、例えば、原料としての植物を、数%の水と極微量の塩酸又は硫酸等とを含む酢酸溶液中に浸漬した後、加熱するといった、公知の各種の方法を採用することができる。また、酢酸リグニンは、クラフトリグニン、サルファイトリグニン、ソーダリグニン等の入手可能なリグニン類を酢酸や無水酢酸等の酢酸エステル化薬品にて処理することでも得ることができる。
リグニンのフェノール化において、フェノール類は、フェノール及びその誘導体であって、例えば、フェノール、さらには、例えば、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−又は2,6−キシレノール等の2官能性フェノール誘導体、例えば、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノール等の3官能性フェノール誘導体、例えば、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタン等の4官能性フェノール誘導体等が挙げられる。また、例えば、塩素、臭素等のハロゲンにより置換されたハロゲン化フェノール類等も挙げられる。これらフェノール類は、単独使用又は2種類以上併用することができる。
また、この反応では、酸触媒が添加される。すなわち、上記の各成分は、酸触媒下において反応する。
酸触媒としては、例えば、有機酸、無機酸等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸化合物、例えば、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル等の炭素数1〜18のアルキル基を有するリン酸エステル類、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
これら酸触媒は、単独使用又は2種類以上併用することができる。
酸触媒の配合割合は、フェノール類100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
なお、酸触媒の添加のタイミングは、特に制限されず、リグニン及びフェノール類の少なくともいずれかに予め添加されていてもよく、また、リグニン及びフェノール類の配合時に同時に添加されてもよく、さらに、リグニン及びフェノール類の配合後に添加されてもよい。
これにより、リグニンがフェノール類により変性され、フェノール化リグニンが得られる。
上記で得られたフェノール化リグニンとリン酸エステル化剤を反応させて、リン酸エステル変性フェノール化リグニンを製造する。
<リン酸エステル化剤>
本発明に用いられるリン酸エステル化剤としては、ハロゲン化リン酸エステル、酸性リン酸エステル及びハロゲン化亜リン酸エステル等が挙げられる。ハロゲン化リン酸エステルの場合には脱ハロゲン化水素反応することにより、酸性リン酸エステルの場合には脱水反応することにより、ハロゲン化亜リン酸エステルの場合には脱ハロゲン化水素反応で亜リン酸エステル化した後に、酸化剤で酸化することによりフェノール化リグニンをリン酸エステル化できる。
本発明に用いられるハロゲン化リン酸エステルは下記式(1)で表される化合物である。
前記Rのアリール基は、炭素原子数が6〜20のアリール基であることが好ましく、6〜15であることが更に好ましく、6〜8であることが特に好ましい。例えば、1又は2以上の置換基を有しいてよいフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ターフェニル基及びアントリル基等が挙げられる。中でも、フェニル基、ビフェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。置換基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基及びハロゲン原子等が挙げられる。
前記Rのアルキル基は、直鎖もしくは分岐鎖状の炭素原子数が1〜15のアルキル基であることが好ましく、1〜8であることが更に好ましく、1〜4であることが特に好ましい。例えば、1又は2以上の置換基を有しいてよいメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基及びペンタデシル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が更に好ましい。置換基としては、例えば、炭素原子数6〜12のアリール基及びハロゲン原子等が挙げられる。
前記Xのハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等が挙げられ、化合物の操作性やコストの観点から、塩素及び臭素が好ましい。
ブロモリン酸ジフェニル、ブロモリン酸ジクレジル、ブロモリン酸ジキシリル、ブロモリン酸ジビフェニル、ブロモリン酸ジナフチル、ブロモリン酸ジターフェニル、ブロモリン酸ジアントリル、ブロモリン酸クレジルフェニル、ブロモリン酸フェニルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルフェニル、ブロモリン酸ナフチルフェニル、ブロモリン酸クレジルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルクレジル、ブロモリン酸クレジルナフチル、ブロモリン酸ビフェニルキシリル、ブロモリン酸ナフチルキシリル及びブロモリン酸ビフェニルナフチル等のブロモリン酸ジアリール、
ジクロロリン酸フェニル、ジクロロリン酸クレジル、ジクロロリン酸キシリル、ジクロロリン酸ビフェニル、ジクロロリン酸ナフチル、ジクロロリン酸ターフェニル及びジクロロリン酸アントリル等のジクロロリン酸アリール、
ジブロモリン酸フェニル、ジブロモリン酸クレジル、ジブロモリン酸キシリル、ジブロモリン酸ビフェニル、ジブロモリン酸ナフチル、ジブロモリン酸ターフェニル及びジブロモリン酸アントリル等のジブロモリン酸アリール、
クロロリン酸ジメチル、クロロリン酸ジエチル、クロロリン酸ジプロピル、クロロリン酸ジブチル、クロロリン酸ジペンチル、クロロリン酸ジヘキシル、クロロリン酸ジヘプチル、クロロリン酸ジオクチル、クロロリン酸ジノニル、クロロリン酸ジデシル、クロロリン酸ジウンデシル、クロロリン酸ジドデシル、クロロリン酸ジトリデシル、クロロリン酸ジテトラデシル、クロロリン酸ジペンタデシル、クロロリン酸ジベンジル、クロロリン酸ジフェノキシエチル、クロロリン酸ジフェニルエチル、クロロリン酸エチルメチル、クロロリン酸メチルプロピル、クロロリン酸ブチルメチル、クロロリン酸メチルオクチル、クロロリン酸エチルプロピル、クロロリン酸ブチルエチル、クロロリン酸エチルオクチル、クロロリン酸ブチルプロピル、クロロリン酸オクチルプロピル及びクロロリン酸ブチルオクチル等のクロロリン酸ジアルキル、
ブロモリン酸ジメチル、ブロモリン酸ジエチル、ブロモリン酸ジプロピル、ブロモリン酸ジブチル、ブロモリン酸ジペンチル、ブロモリン酸ジヘキシル、ブロモリン酸ジヘプチル、ブロモリン酸ジオクチル、ブロモリン酸ジノニル、ブロモリン酸ジデシル、ブロモリン酸ジウンデシル、ブロモリン酸ジドデシル、ブロモリン酸ジトリデシル、ブロモリン酸ジテトラデシル、ブロモリン酸ジペンタデシル、ブロモリン酸ジベンジル、ブロモリン酸ジフェノキシエチル、ブロモリン酸ジフェニルエチル、ブロモリン酸エチルメチル、ブロモリン酸メチルプロピル、ブロモリン酸ブチルメチル、ブロモリン酸メチルオクチル、ブロモリン酸エチルプロピル、ブロモリン酸ブチルエチル、ブロモリン酸エチルオクチル、ブロモリン酸ブチルプロピル、ブロモリン酸オクチルプロピル及びブロモリン酸ブチルオクチル等のブロモリン酸ジアルキル、
ジクロロリン酸メチル、ジクロロリン酸エチル、ジクロロリン酸プロピル、ジクロロリン酸ブチル、ジクロロリン酸ペンチル、ジクロロリン酸ヘキシル、ジクロロリン酸ヘプチル、ジクロロリン酸オクチル、ジクロロリン酸ノニル、ジクロロリン酸デシル、ジクロロリン酸ウンデシル、ジクロロリン酸ドデシル、ジクロロリン酸トリデシル、ジクロロリン酸テトラデシル、ジクロロリン酸ペンタデシル、ジクロロリン酸ベンジル、ジクロロリン酸フェノキシエチル及びジクロロリン酸フェニルエチル等のジクロロリン酸アルキル、
ジブロモリン酸メチル、ジブロモリン酸エチル、ジブロモリン酸プロピル、ジブロモリン酸ブチル、ジブロモリン酸ペンチル、ジブロモリン酸ヘキシル、ジブロモリン酸ヘプチル、ジブロモリン酸オクチル、ジブロモリン酸ノニル、ジブロモリン酸デシル、ジブロモリン酸ウンデシル、ジブロモリン酸ドデシル、ジブロモリン酸トリデシル、ジブロモリン酸テトラデシル、ジブロモリン酸ペンタデシル、ジブロモリン酸ベンジル、ジブロモリン酸フェノキシエチル及びジブロモリン酸フェニルエチル等のジブロモリン酸アルキル、
クロロリン酸メチルフェニル、クロロリン酸クレジルメチル、クロロリン酸メチルキシリル、クロロリン酸ビフェニルメチル、クロロリン酸メチルナフチル、クロロリン酸エチルフェニル、クロロリン酸クレジルエチル、クロロリン酸エチルキシリル、クロロリン酸ビフェニルエチル、クロロリン酸エチルナフチル、クロロリン酸フェニルプロピル、クロロリン酸クレジルプロピル、クロロリン酸プロピルキシリル、クロロリン酸ビフェニルプロピル、クロロリン酸ナフチルプロピル、クロロリン酸ブチルフェニル、クロロリン酸ブチルクレジル、クロロリン酸ブチルキシリル、クロロリン酸ビフェニルブチル、クロロリン酸ブチルナフチル、クロロリン酸オクチルフェニル、クロロリン酸クレジルオクチル、クロロリン酸オクチルキシリル、クロロリン酸ビフェニルオクチル及びクロロリン酸ナフチルオクチル等のクロロリン酸アルキルアリール、
ブロモリン酸メチルフェニル、ブロモリン酸クレジルメチル、ブロモリン酸メチルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルメチル、ブロモリン酸メチルナフチル、ブロモリン酸エチルフェニル、ブロモリン酸クレジルエチル、ブロモリン酸エチルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルエチル、ブロモリン酸エチルナフチル、ブロモリン酸フェニルプロピル、ブロモリン酸クレジルプロピル、ブロモリン酸プロピルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルプロピル、ブロモリン酸ナフチルプロピル、ブロモリン酸ブチルフェニル、ブロモリン酸ブチルクレジル、ブロモリン酸ブチルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルブチル、ブロモリン酸ブチルナフチル、ブロモリン酸オクチルフェニル、ブロモリン酸クレジルオクチル、ブロモリン酸オクチルキシリル、ブロモリン酸ビフェニルオクチル及びブロモリン酸ナフチルオクチル等のブロモリン酸アルキルアリール等が挙げられる。
クロロリン酸ジフェニル、クロロリン酸ジクレジル、クロロリン酸ジキシリル、ジクロロリン酸フェニル、ジクロロリン酸クレジル、ジクロロリン酸キシリル、クロロリン酸ジメチル、クロロリン酸ジエチル、クロロリン酸ジプロピル、クロロリン酸ジブチル、クロロリン酸ジオクチル、ジクロロリン酸メチル、ジクロロリン酸エチル、ジクロロリン酸プロピル、ジクロロリン酸ブチル、ジクロロリン酸オクチルが更に好ましく、
クロロリン酸ジフェニル、クロロリン酸ジクレジル、クロロリン酸ジキシリル、クロロリン酸ジメチル、クロロリン酸ジエチル、クロロリン酸ジプロピル、クロロリン酸ジブチル、クロロリン酸ジオクチルが特に好ましい。
また、上記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましく、これらのうち、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つであるか、又は、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つであることがさらに好ましい。
本発明におけるハロゲン化リン酸エステルの使用量は、当量の0.3〜1.2であることが好ましく、0.5〜1.1であることが更に好ましく、0.7〜1.0であることが特に好ましい。上記範囲内であれば原料の反応率が適度であり、生成物が所望の性能を得られるうえ、精製工程が容易となる。
なお、ここでいう当量とは、ハロゲン化リン酸エステルの反応に寄与するハロゲン原子のモル数がフェノール化リグニンの反応に寄与する水酸基のモル数と等しくなる量であることを指す。
本発明のハロゲン化リン酸エステルとフェノール化リグニンとの反応は、ハロゲン化水素捕捉剤又は触媒の存在下で反応させてもよい。また、必要に応じて触媒とハロゲン化水素捕捉剤を併用してもよい。
本発明で用いるハロゲン化水素捕捉剤としては、従来公知のハロゲン化水素捕捉剤を任意に使用できる。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン及びN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン等の脂肪族3級アミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N−ジエチルピペラジン及びジアザビシクロオクタン(DABCO)等の環状アミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、キノリン、2−メチルキノリン、ルチジン及び2,6−ルチジン等の芳香族アミン、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、ブチルイミダゾール及びメチルイミダゾール等が挙げられる。生成したリン酸エステル化フェノール化リグニンからの除去の容易性やコスト面等から、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びトリヘキシルアミンが好ましく、更に好ましくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンであり、特に好ましくはトリエチルアミン及びトリブチルアミンである。また、これらのハロゲン化水素捕捉剤は2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いるハロゲン化水素捕捉剤の使用量は、反応速度、安全性及び効率等を考慮して適宜設定すればよい。例えば、反応で生成するハロゲン化水素の理論モル数の1〜5倍であることが好ましく、1〜2倍であることが更に好ましく、1〜1.5倍であることが特に好ましい。
上記範囲内であれば反応がスムーズに進行するうえ、精製も容易となる。
本発明で用いる触媒としては、金属ハロゲン化物のようなルイス酸性を有する化合物が好ましい。金属ハロゲン化物中の金属は任意の金属であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等が挙げられる。この金属の好ましい具体例としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、チタン、ホウ素等が挙げられる。金属ハロゲン化物中のハロゲンは任意のハロゲンであり、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。この金属ハロゲン化物の例としては、具体的には塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、四塩化チタン、三フッ化ホウ素エーテル錯体等が挙げられる。塩化マグネシウム、塩化アルミニウム及び四塩化チタンが好ましく、塩化マグネシウム及び塩化アルミニウムが更に好ましい。またこれらの金属ハロゲン化物は2種類以上を混合して用いてもよい。
(触媒の使用量)
本発明の反応で用いる触媒の使用量は、反応速度、安全性及び効率等を考慮して適宜設定すればよい。
本発明の反応では溶媒を用いることができる。溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。コストや安全性の面から、好ましくはMEK、MIBK及びTHFである。
(溶媒の使用量)
本発明の反応で用いる溶媒量は特に制限はなく、任意の量を用いることができる。反応速度、反応混合物の状態等を考慮して、安全かつスムーズに反応が進行する量を適宜設定すればよい。
本発明の反応は10〜80℃で行われる。好ましくは15〜75℃であり、更に好ましくは20〜70℃である。上記範囲であれば反応がスムーズに進行できる。
<反応時間>
本発明の反応における反応時間に特に限定はない。反応混合物のスケールや装置等を考慮して、充分に反応が進行する時間であればよい。
<精製>
上記反応で得られたリン酸エステル変性フェノール化リグニンは公知の方法で精製を行ってもよい。例えば、アルカリ水による中和、水による洗浄、ろ過及び溶媒の留去等を任意で組み合わせて精製ができる。
本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂99〜60質量%、及び(B)上述した本発明のリン酸エステル変性フェノール化リグニン1〜40質量%(ただし、前記(A)及び前記(B)の合計量を100質量%とする)を含有する。リン酸エステル変性フェノール化リグニンの含有量が上記の範囲であれば、機械的物性や難燃性に優れる成形品が得られる。
本発明者らは、熱可塑性樹脂に対して、リン酸エステル変性フェノール化リグニンを配合することにより、機械的物性に優れると共に、難燃性にも優れた成形品が得られる樹脂組成物が提供できることを見出した。
さらに、リン酸化クラフトリグニンを使用した場合に比して、リン酸エステル変性フェノール化リグニンは熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、また、より高い機械的物性が得られ、着色や金型の腐食が抑制されることを見出した。
これらの効果が得られる詳細な機構は不明であるが、リン酸エステル変性フェノール化リグニンのリン酸エステル基により、難燃性が発揮されるが、フェノール化リグニン(フェノール化酢酸リグニン)に結合しているためにブリードが抑制されるとともにリン酸エステルとフェノール化リグニンの相乗効果により燃焼残渣が増大したためと推定される。また、フェノール化リグニンの有するヒドロキシ基の少なくとも一部がリン酸エステル化されたことにより、成形品の着色が抑制されたものと推定される。また、リン酸基のように酸性及び親水性を示すことがなく、金型の腐食が抑制されるとともに、熱可塑性樹脂中での良好な分散性を示したものと推定される。
なお、本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂及び(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニンを上記の比率で含有していればよく、(A)熱可塑性樹脂及び(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニン以外のその他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、後述する各種添加剤が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂及び(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニンを合計して、樹脂組成物全体の10質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、50質量%以上含有することが更に好ましく、70質量%以上含有することがより更に好ましい。なお、上限は特に限定されず、100質量%以下である。
本発明において(A)熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(PET、PBT等)、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を含む共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO)、ポリケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリアミドエラストマー等、及びこれらと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(A)熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、及びポリカーボネート樹脂よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂であることが更に好ましく、ポリプロピレン樹脂であることがより更に好ましい。
以下、それぞれの熱可塑性樹脂について更に詳述する。
ポリオレフィン系樹脂としては、主として以下のものが挙げられる。
(1−1)ポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、及びプロピレンを主成分とする共重合体等から選ばれる1種又は2種以上で構成することができる。
プロピレンの単独重合体としては、特に制限はないが、軽量且つ成形性に優れさせる観点から、230℃でのメルトマスフローレートが0.1〜200g/10分であるプロピレン単独重合体が好ましい。さらに、樹脂組成物の機械的物性や耐衝撃性の観点から230℃でのメルトマスフローレートが0.2〜60g/10分であることがより好ましい。
プロピレンを主成分とする共重合体としては、特に制限はないが、例えば、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとプロピレン以外の1種又は2種以上のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びプロピレンとプロピレン以外の1種又は2種以上のα−オレフィンとのブロック共重合体等が挙げられる。プロピレンを主成分とする共重合体のなかでも、軽量且つ成形性に優れる樹脂組成物を得るという観点から、230℃でのメルトマスフローレート0.1〜200g/10分であるプロピレン共重合体が好ましい。更に樹脂組成物の機械的物性や耐衝撃性の観点から230℃でのメルトマスフローレートが0.2〜60g/10分であることがより好ましい。
プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体、及びエチレンを主成分とする共重合体等から選ばれる1種又は2種以上で構成することができる。
エチレンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられるが、軽量且つ成形性に優れさせる観点から、密度0.910〜0.965g/cm3、190℃でのメルトマスフローレート0.01〜200g/10分であるエチレン単独重合体が好ましい。190℃でのメルトマスフローレートが範囲内であれば、樹脂組成物の流動性及び成形体の表面外観に不具合を生じるおそれがなく、0.01〜60g/10分であることがより好ましい。
エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体が挙げられる。エチレンを主成分とする共重合体のなかでも、軽量且つ成形性に優れる樹脂組成物を得るという観点から、190℃でのメルトマスフローレート0.01〜200g/10分であるエチレン共重合体が好ましい。また、190℃でのメルトマスフローレートが範囲内であれば、樹脂組成物の流動性及び成形体の表面外観に不具合を生じるおそれがなく、0.01〜60g/10分であることがより好ましい。
市販のポリオレフィン系樹脂としては、(株)プライムポリマー製のポリプロピレン系樹脂「プライムポリプロ」、「ポリファイン」、「プライムTPO」の各シリーズ等、例えば、品番:J-700GP、出光興産(株)製のポリプロピレン系樹脂(品番:J-966HP)や(株)プライムポリマー製の各種ポリエチレン樹脂「ハイゼックス」、「ネオゼックス」、「ウルトゼックス」、「モアテック」、「エボリュー」の各シリーズ(例えば、高密度ポリエチレン樹脂、品番:2200J)、及び東ソー(株)製の低密度ポリエチレン(例えば、品番:ペトロセン190)等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−tert−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体等が挙げられる。これらポリスチレン系樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非晶質スチレン系樹脂としてはゴム状重合体で強化されたゴム変性スチレン系樹脂が好ましく利用できる。このゴム変性スチレン系樹脂としては、例えば、ポリブタジエン等のゴムにスチレンが重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンが重合したメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)等があり、ゴム変性スチレン系樹脂は、2種以上を併用することができると共に、前記のゴム未変性である非晶質スチレン系樹脂との混合物としても使用できる。
上記ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレート及び/又はメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン−アクリルゴム、イソプレンゴム、イソプレン−スチレンゴム、イソプレン−アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。このうち、特に好ましいものは、ポリブタジエンである。ここで用いるポリブタジエンは、低シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、また、これらの混合物であってもよい。
さらに非晶質スチレン系樹脂の中でも、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル−アクリル酸メチル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−(エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)−スチレン共重合体(AES樹脂)が好ましく、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が特に好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリオール−ポリカルボン酸型ポリエステル樹脂、ヒドロキシカルボン酸型ポリエステル樹脂が例示される。
ポリオール−ポリカルボン酸型ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸と1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールとの共重合体が例示され、ヒドロキシカルボン酸型ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸樹脂及び/又はポリ乳酸を含む共重合樹脂等が挙げられる。これらポリエステル樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリ乳酸樹脂及び/又はポリ乳酸を含む共重合樹脂は、乳酸又は乳酸とそれ以外のヒドロキシカルボン酸を加熱脱水重合すると低分子量のポリ乳酸又はその共重合体が得られ、これを更に減圧下に加熱分解することにより、乳酸又はその共重合体の環状二量体であるラクチドが得られ、次いでラクチドを金属塩等の触媒存在下で重合してポリ乳酸樹脂及び/又はポリ乳酸を含む共重合樹脂が得られる。
市販のポリ乳酸樹脂及び/又はポリ乳酸を含む共重合樹脂としては、浙江海正生物材料股分有限公司製の結晶性ポリ乳酸樹脂〔品番:レヴォダシリーズ、L体/D体比=100/0〜85/5〕や三井化学(株)製のポリ乳酸樹脂(植物澱粉を乳酸発酵して製造)であるレイシアシリーズ等が挙げられる。
ポリアミド樹脂は、例えば、ラクタムの開環重合体、ジアミンと二塩基酸との重縮合体、ω−アミノ酸の重縮合体等が挙げられる。これらポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
市販のポリアミド樹脂としては、東レ(株)製のナイロン6やナイロン66であるアミランシリーズ、旭化成(株)製のポリアミド66樹脂であるレオナシリーズ及び帝人(株)のn−ナイロンやn,m−ナイロンシリーズ等が挙げられる。
成分(A)としてのポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂であっても脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいが、成分(B)との親和性の観点及び耐衝撃性と耐熱性の観点から芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることがより好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、他の熱可塑性樹脂に比べて、耐熱性、難燃性及び耐衝撃性が良好であるため樹脂組成物の主成分とすることができる。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂として、芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体であるか又は芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む樹脂を用いる場合、難燃性及び低温における耐衝撃性を更に向上することができる。該共重合体を構成するポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサンであることが難燃性の点からより好ましい。
市販の芳香族ポリカーボネート樹脂としては、出光興産(株)製のタフロンシリーズや帝人(株)製のパンライトシリーズ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は相溶性のあるものは適宜混合して用いてもよい。例えば、一般に流動性が悪いと考えられている芳香族ポリカーボネート樹脂にポリエステル樹脂を適量混合すれば、流動性が改善される。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤を含有させることができる。そのような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、結晶核剤、軟化剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、抗菌・抗カビ剤、顔料等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。これらは1種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶核剤としては、特に限定されないが、ソルビトール類、リン系核剤、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。
軟化剤としては、特に限定されないが、流動パラフィン、鉱物油系軟化剤(プロセスオイル)、非芳香族系ゴム用鉱物油系軟化剤(プロセスオイル)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類が挙げられる。
抗菌・抗カビ剤としては、特に限定されないが、有機化合物系抗菌・抗カビ剤、天然物有機系抗菌抗カビ剤、無機物系抗菌・抗カビ剤等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、酸性染料レーキ、塩基性染料レーキ、縮合多環顔料等が挙げられる。
これらの顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤成分の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の特性が損なわれない範囲であれば特に制限はない。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂とリン酸エステル変性フェノール化リグニンを前記割合で、更に必要に応じて添加される各種添加剤を配合し、混合することによって得られ、熱溶融混合することが好ましく、熱溶融混練することがより好ましい。このときの配合及び混合は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラー等で予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混合の際の加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類により通常160〜350℃の範囲で適宜選択されるが、熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は160〜250℃の範囲、ポリスチレン系樹脂を用いる場合は170〜280℃の範囲、ポリエステル樹脂を用いる場合は230〜280℃の範囲で選択される。
また、ポリアミド樹脂を用いる場合は240〜290℃の範囲、ポリカーボネート樹脂を用いる場合は270〜350℃の範囲、ポリ乳酸樹脂を用いる場合は190〜250℃の範囲で選択される。
なお、本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物以外の樹脂組成物を使用して、多層構造としたり、一部を本発明の樹脂組成物で成形し、他の部分を本発明に入らないような樹脂組成物で成形してもよく、少なくとも成形体の一部が本発明の樹脂組成物を成形してなるものであれば、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物、及び、前記樹脂組成物より得られた成形体は、OA材料、電気・電子材料、自動車材料、産業資材、電線被覆材料、フィルム、繊維等に好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体は、電線、ケーブルの被覆材、保護カバー及び支持体よりなる群から選択されることが好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体は、電線やケーブルの被覆材、電線やケーブルの保護カバー、及び電線やケーブルを固定するための支持体として使用されることが好ましい。
コーンストーバー1000gに、酢酸(100%換算)9500g及び硫酸30gを混合し、118℃(還流下)で4時間反応させて蒸解して、パルプを含有する反応液を得た。得られた反応液を濾過してパルプを分離して、濾液(パルプ廃液)を回収し、ロータリーエバポレーターを用いてパルプ廃液を濃縮することで酢酸リグニン172gを得た。
<フェノール化リグニンの製造>
フェノール328.9gをフラスコに入れ、50℃程度まで加熱してフェノールを液化させ、その後、酢酸リグニン100gを添加した。
次いで、98%濃硫酸(酸触媒)3gを添加し、その後、130℃、2.5時間反応させた。これにより、酢酸リグニンをフェノールにより変性させた。
次いで、得られた生成物を、水によってpHが6〜7になるまで繰り返し洗浄し、その後、濾紙(Advantec No.101)を用いた吸引濾過によって、フェノール化リグニン80gを得た。
フェノール化リグニン中のフェノール率をNMR法により測定した結果、22%であった。
撹拌機、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた500mLガラスコルベンにメチルエチルケトン(MEK)180.0g、トリエチルアミン15.7g(理論の10%過剰量)、フェノール化リグニン30.0g(水酸基数0.141mol;水酸基価OHV 263.67KOHmg/g)を仕込んだ。滴下ロートにはクロロリン酸ジフェニル(DPC、大八化学工業株式会社製、純度98%以上)37.1g(Cl原子数0.141mol;実測塩素含有率13.473質量%としてフェノール化リグニンの水酸基価と当量)を仕込んだ。コルベン内の温度を35〜40℃に保ち、撹拌しながらクロロリン酸ジフェニルを15分間で滴下した。その後、2時間かけて60℃に昇温し、同温度で5時間保持し反応を完結させた。得られた反応生成混合物にMEK90.0gを加え、25〜30℃の水で洗浄後、炭酸ナトリウム水溶液で中和し、水で洗浄を行った。その後溶媒を留去し、80℃/1.3kPaで5時間減圧乾燥したところ黒色固体52.4g(収率84.5%)が得られた。
黒色固体の後述する測定方法による品質を以下に記す。
水酸基価OHV:5.76KOHmg/g、塩素含有率:0.0232質量%、リン含有率:5.63質量%、ナトリウム含有率:0.169質量%、
前記リン酸エステル変性フェノール化リグニン1と同様に行い、反応生成混合物を得た。反応生成混合物にMEK90.0gを加え、25〜30℃の水で洗浄を3回行った後、溶媒を留去して、80℃/1.3kPaで5時間減圧乾燥すると黒色固体54.2g(収率87.4%)が得られた。
黒色固体の後述する測定方法による品質を以下に記す。
水酸基価OHV:2.29KOHmg/g、塩素含有率:0.0288質量%、リン含有率:5.73質量%、ナトリウム含有率:ND(検出されず)
撹拌機、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた500mLガラスコルベンにメチルエチルケトン(MEK)250.0g、トリエチルアミン22.3g(理論の10%過剰量)、フェノール化リグニン42.6g(水酸基数0.200mol;水酸基価OHV 263.67KOHmg/g)を仕込んだ。滴下ロートにはクロロリン酸ジエチル(Diethyl Chlorophosphate、東京化成工業株式会社製、純度97%以上)34.0g(Cl原子数0.200mol;実測塩素含有率20.862質量%としてフェノール化リグニンの水酸基価と当量)を仕込んだ。コルベン内の温度を30〜35℃に保ち、撹拌しながらクロロリン酸ジエチルを30分間で滴下した。その後、3時間かけて65℃に昇温し、同温度で7時間保持し反応を完結させた。得られた反応生成混合物の溶媒を留去後、THFを加えて充分に撹拌後、吸引ろ過した。ろ過残渣を水で洗浄し、残った固形物をろ液と混合した。得られた混合溶液から溶媒を留去し、80℃/1.3kPaで5時間減圧乾燥したところ黒色固体65.2g(収率94.2%)が得られた。
黒色固体の後述する測定方法による品質を以下に記す。
水酸基価OHV:23.01KOHmg/g、塩素含有率:0.182質量%、リン含有率:7.35質量%、ナトリウム含有率:ND(検出されず)
<水酸基価OHV>
水酸基価OHVはJIS K 0070:1992 7.水酸基価に基づいて測定した。なお、滴定は自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−1500)を用いた。
<塩素含有率>
試料をn−ブタノール、金属ナトリウムと共に加熱分解する。生成した塩化ナトリウムを硝酸銀滴定し、塩素含有率を測定した。なお、滴定は自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−2000)を用いた。
<リン含有率>
リン含有率はJIS K 0102:2013 46.3.2 硝酸−過塩素酸分解法に基づいて測定した。なお、装置はICP発光分光分析装置(サーモフィッシャサイエンティフィック株式会社製、iCAP 6000 SERIES)を用いた。
<ナトリウム含有率>
ナトリウム含有率はJIS K 0102:2013 46.3.2 硝酸−過塩素酸分解法に基づいて試料を調製し、JIS K 0102:2013 48.2 フレーム原子吸光法に従い測定した。装置は原子吸光分光光度計(株式会社島津製作所製、AA−6800)を用いた。
<クラフトリグニンの作製>
クラフトリグニンは、クラフト法(水酸化ナトリウム水溶液と硫化ナトリウム水溶液を蒸解液とするもの)によってパルプを製造する際に排出される蒸解液(黒液)中に含まれる。比較例1、3、5では、Aldrich社製の試薬、Lignin,alkali(370959)を使用した。
前記で用意したクラフトリグニン8.0gをピリジンに溶解し、塩化ホスホリル4.0mLを加え、室温で1時間撹拌した。この反応においてピリジンはクラフトリグニンが全て溶解する量を用い、150mLを要した。反応後、生じた沈殿を濾過により回収した。収量は10.7gであった。反応生成物のリン含有率をフラスコ燃焼法(滴定法)により測定した結果、7.2%であった。
樹脂組成物を得るために表1及び表2で使用した各成分は、以下の通りである。
・PP:ポリプロピレン、(株)プライムポリマー製、商品名「E105GM」
・LDPE:高圧法低密度ポリエチレン、東ソー(株)製、商品名「ペトロセン202」
・PC:ポリカーボネート、出光興産(株)製、商品名「A1900」
・リン酸エステル変性フェノール化リグニン1
・リン酸エステル変性フェノール化リグニン2
・リン酸エステル変性フェノール化リグニン3
・酢酸リグニン:ハリマ化成(株)製
・リン酸エステル:大八化学工業(株)製、商品名「PX−200」
表1及び表2に示す割合(質量比)で各成分を配合し、押出機(機種名:PCM−30、(株)池貝製)に供給し、PP(ポリプロピレン)は210℃で、PE(ポリエチレン)は180℃で、PC(ポリカーボネート)は260℃で溶融混練し、ペレット化した。なお、全ての実施例及び比較例において、成分の合計100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF社製)0.2質量部及びアデカスタブ2112(ADEKA製)0.1質量部をそれぞれ配合した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(東芝機械(株)製、型式:IS100N)でシリンダー温度を、PPは210℃、PE(LDPE)は180℃、及びPCは260℃とし、金型温度は、PPは50℃、PE(LDPE)は40℃、PCは70℃の条件で射出成形して試験片を得た。得られた試験片を用いて性能を以下に示す各種試験によって評価した。
樹脂組成物において、(A)熱可塑性樹脂のみとして(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニン、リン酸化クラフトリグニン、リン酸エステル、及び酢酸リグニンのいずれも含有させない場合を参考例とした。参考例1はPP、参考例2はLDPE、及び参考例3は、PCのみをそれぞれ樹脂成分として実施例、比較例と同様に評価した。
<MFR>
乾燥済みペレットを用いて、JIS K7210:1999に準じ、熱可塑性樹脂(成分(A))によって、以下のようにそれぞれ試験温度を変更して測定した。すなわち、PPは230℃、2.16kg、PEは190℃、2.16kg、及びPCは300℃、2.16kgとして測定した。
3号ダンベル試験片を、23℃、50%RH雰囲気下で72時間、状態調整した後、JIS K7161又はJIS K7113に準拠して、引張試験機(東洋精機(株)製、STROGRAPH)にて、引張速度50mm/minで測定した引張試験から、引張弾性率(MPa)及び引張伸び率(%)を求めた。
リン酸エステル変性フェノール化リグニン等の分散状態は、成形品を目視にて評価した。
評価基準は、以下のとおりである。
A:粒状物が認められない
B:1mm未満の粒状物が認められる
C:1mm以上の粒状物が認められる
難燃性の指標として酸素指数(LOI)をASTM規格D−2863に準拠し測定した。酸素指数(LOI、単位%)とは、試験片が燃焼を維持するのに必要な最低酸素濃度を空気中の容量%で示した値である。この数値が高いほど難燃性であることを示す。
鉄板の上に試験片(80×80×3.2mm)を載せ、100℃にて300時間暴露した。目視にて試験片及び鉄板を観察し、浸み出しがある場合はブリード「有」とし、浸み出しが認められない場合はブリード「無」とした。
鉄板の上に試験片(80×80×3.2mm)を載せ、100℃にて300時間暴露した。目視にて観察し、鉄板に腐食が認められる場合には金型腐食「有」とした。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体は、特に、電線、ケーブルの被覆材、保護カバー及び支持体等として好適に利用できる。
Claims (17)
- リグニンをフェノール化したフェノール化リグニンをリン酸エステル化剤でリン酸エステル化してなるリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
- 前記リン酸エステル化剤が、ハロゲン化リン酸エステルである、請求項1に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジアリール、ジクロロリン酸アリール、クロロリン酸ジアルキル、ジクロロリン酸アルキル、クロロリン酸アルキルアリール及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1又は2に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン酸エステル変性フェノール化リグニンの製造方法。
- リグニンをフェノール化したフェノール化リグニンとリン酸エステル化剤との反応生成物であるリン酸エステル変性フェノール化リグニン。
- (A)熱可塑性樹脂99〜60質量%、及び(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニン1〜40質量%(ただし、前記(A)及び前記(B)の合計量を100質量%とする)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 前記(B)リン酸エステル変性フェノール化リグニンが、リン酸エステル化剤とフェノール化リグニンとの反応生成物である請求項8に記載の樹脂組成物。
- 前記リン酸エステル化剤がハロゲン化リン酸エステルである請求項9に記載の樹脂組成物。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジアリール、ジクロロリン酸アリール、クロロリン酸ジアルキル、ジクロロリン酸アルキル、クロロリン酸アルキルアリール及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジフェニル、ジクロロリン酸フェニル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記リン酸エステル化剤が、クロロリン酸ジエチル、ジクロロリン酸エチル及びそれらの混合物よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(A)熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である、請求項8〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(A)熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂である、請求項8〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項8〜16のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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