JP2018172516A - 粘着剤組成物、それを用いた半導体ウエハ表面保護テープの製造方法及び半導体ウエハ表面保護テープ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はこれらの知見に基づきなされたものである。
〔1〕放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマーと、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある粘着剤組成物。
〔2〕前記硬化剤がポリイソシアネート化合物である〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕前記有機溶媒が酢酸エチルである〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕基材樹脂フィルム上に〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥して塗布膜中の残留溶媒量を500ppm以下とすることを含む、半導体ウエハ表面保護テープの製造方法。
〔5〕基材樹脂フィルム上に粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の粘着剤組成物の塗布膜であり、前記粘着剤層中の残留溶媒量が500ppm以下である、半導体ウエハ表面保護テープ。
図1は本発明の半導体ウエハ表面保護テープの好ましい一実施形態を示す概略断面図であり、基材樹脂フィルム1と、基材樹脂フィルム1上に放射線硬化性の粘着剤層2が形成されている。
本発明の粘着剤組成物は、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマー(以下、「ポリマー(a)」と称す。)と、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる。本発明の粘着剤組成物は、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある。
上記(メタ)アクリルポリマーは粘着剤組成物のベース樹脂を構成する。本発明の粘着剤組成物を構成するベース樹脂は、上記(メタ)アクリルポリマー以外のポリマーを含有してもよいが、ベース樹脂中の上記(メタ)アクリルポリマーの含有量は通常は80質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、さらに好ましくは、ベース樹脂は上記(メタ)アクリルポリマーからなる。
単量体(a1−2)の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、イタコン酸、フマル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基又はカルボキシ基及び放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有する単量体でウレタン化したものなどを列挙することができる。
溶液重合で行う場合の有機溶媒としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系のものを使用することができる。一般にアクリル系重合体の良溶媒で、沸点60〜120℃の溶媒を使用することが好ましい。例えば、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。
重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾビス系、ベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤を用いることができる。
この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度及び重合時間を調節することにより、所望の質量平均分子量のポリマー(a)を得ることができる。また、質量平均分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素系の溶媒を用いることが好ましい。
なお、共重合体(a1)の合成は、溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもさしつかえない。
質量平均分子量は、テトラヒドロフランに溶解して得た1%溶液を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ウオータース社製、商品名:150−C ALC/GPC)により測定した値をポリスチレン換算の質量平均分子量として算出することができる。
ポリマー(a)が、酸価1〜10mgKOH/gとなるカルボキシル基を有すると、エージングが早くなるので好ましい。酸価は、JIS K 5407の11.1に準じて算出することができる。
放射線硬化性炭素−炭素二重結合の含有量は、Wijs法に基づきヨウ素価から求めることができる。ヨウ素価は好ましくは、0.5〜20である。ヨウ素価を0.5〜20とすることにより、放射線照射後において粘着剤を十分に硬化させながら、一定の流動性も保つことができ、糊残りの問題がより生じにくくなる。
硬化剤としては、ポリマー(a)が有する官能基に応じて、ポリエポキシ化合物又はポリイソシアネート化合物を選択して使用することができる。硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ポリマー(a)が有する官能基としては、上記官能基(α)で記載した官能基が挙げられる。
光重合開始剤としては、上記作用を有すれば特に限定されず、放射線硬化性粘着剤組成物の硬化に使用される通常の光重合開始剤を使用することができる。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート等が挙げられる。
光重合開始剤の配合量は、ポリマー(a)100質量部に対して、1〜5質量部である。1質量部未満であると、放射線硬化の効果が弱く、粘着力の低下が不十分である場合がある。5質量部を越えると、粘着剤層の表面へ移行し、ウエハ汚染の原因となることがある。また、糊残りにつながることがある。
本発明において「放射線」とは紫外線のような光線や電子線のような電離性放射線の双方を含む意味に用いる。放射線は紫外線が好ましい。
有機溶媒として酢酸エチルを含有することにより、後述する特定の範囲への粘度の調整が容易となる。また、酢酸エチルは沸点が低いために粘着剤組成物から除去されやすく、残留溶剤量の少ない粘着剤層を形成することができる。
酢酸エチル以外の有機溶媒としては、酢酸エチルと相溶する有機溶媒を使用することができ、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。
酢酸エチルとそれ以外の有機溶媒を併用し混合溶媒とする場合には、酢酸エチルと酢酸エチル以外の有機溶媒の含有率の質量比(酢酸エチルの含有率:酢酸エチル以外の有機溶媒の含有率)は50:50〜100:0とすることが好ましい。
有機溶媒は、残留溶剤量を抑える観点から、酢酸エチルを単独で用いることが好ましい。
粘着剤組成物における有機溶媒の配合量は、後述する粘度とすることができる量であれば特に限定されないが、ポリマー(a)100質量部に対して、100〜200質量部が好ましい。
粘度は、溶媒量を調整等することにより、上記範囲に設定することができる。
粘度は、実施例に記載の方法で測定される。
残留溶媒量を500ppm以下とすることにより、糊残りをより効果的に抑制でき、また有機溶媒によるウエハ表面の汚染を抑制できる。
粘着剤層中の残留溶媒量は、実施例に記載の方法で測定される。
また、本発明の粘着剤組成物を用いて得られた粘着剤層をディスクリートデバイス用半導体ウエハから剥離する際には糊残りを低減することができる。
半導体ウエハ表面保護テープは、基材樹脂フィルムを有する。
基材樹脂フィルムに使用できる樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びフッ素含有樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
ポリエチレン又はポリプロピレンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体等が好ましく用いられる。フッ素含有樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素ポリマーが好ましく用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等が好ましく用いられる。
基材樹脂フィルムは、半導体ウエハの研削加工時に被着物にかかる外的な衝撃力を緩和吸収し、マイクロクラック等のウエハ自体の破損を防ぎテープ自体にクッション性を付与する機能と、複雑な凹凸を有するウエハパターン面に良好に密着し浮きや剥がれの生じることのない柔軟性を付与する機能を有することが好ましい。例えば、耐エッチング性を有する樹脂として高密度ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートの層に、他の樹脂の層として低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体の層を積層したフィルム状支持体を基材樹脂フィルムとして使用することができる。ただし、この場合は、フィルム状支持体の耐エッチング性を損なうことのないように樹脂の組み合わせを設定する必要がある。
基材樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、50〜200μmが好ましい。
半導体ウエハ表面保護テープは、剥離フィルムを有していてもよい。
剥離フィルムは、セパレーターや剥離層、剥離ライナーとも呼ばれ、粘着剤層を保護する目的のため、また粘着剤層表面を平滑にする目的のために、必要に応じて設けられる。
剥離フィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムや紙などが挙げられる。剥離フィルムの表面には粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。また、必要に応じて、粘着剤層が放射線によって反応しないように、放射線防止処理が施されていてもよい。剥離フィルムの厚さは、通常10〜100μm、好ましくは25〜50μmである。
粘着剤組成物(粘着剤組成物1〜5、c1〜c9)を以下に示すように調製し、得られた粘着剤組成物を用いて、基材樹脂フィルム上に塗布膜を形成し、図1に示す構成の、半導体ウエハ表面保護テープ(半導体ウエハ表面保護テープ1〜5、c1〜c9)を作製した。作製した半導体ウエハ表面保護テープの特性を以下の通り試験し、評価した。その結果を、表1及び2に示す。
エチルアクリレート(81mol%)、メタクリル酸(1mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(18mol%)からなるアクリル系共重合体を調製した。その後、得られたアクリル系共重合体、に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを加えて、このアクリル系共重合体のOH基と反応させて放射線硬化性炭素−炭素二重結合量が0.9meq/gとなるように付加した。この反応により、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有するポリマー(a)を得た。ポリマー(a)のガラス転移温度を示差走査熱量計(DSC)により測定したところ−20℃であった。このポリマー(a)をベース樹脂として用いた。
別途、ポリイソシアネート化合物として日本ポリウレタン社製コロネートL(商品名)4質量部、及び光重合開始剤としてDKSHジャパン社製のKIP−100F(商品名)4質量部を、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒(酢酸エチル:50質量%、トルエン:50質量%)150質量部で溶解した。これらの配合量は、ポリマー(a)100質量部に対する量である。得られた溶液をポリマー(a)100質量部に加え、撹拌速度500rpm、室温で1時間撹拌し粘着剤組成物1を得た。得られた粘着剤組成物1中の混合溶媒量は58質量%であった。
粘着剤組成物1を厚さ100μmの高密度ポリエチレン基材樹脂フィルム上に、乾燥膜厚が30μmとなるように塗布し、120℃で1分間乾燥した。このようにして、前記粘着剤組成物1の塗布膜である粘着剤層が基材樹脂フィルム上に形成された半導体ウエハ表面保護テープ1を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物2を調製した。
粘着剤組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ2を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて、酢酸エチルを使用し、酢酸エチル及び光重合開始剤の配合量を4質量部から5質量部にそれぞれ変更し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を57質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物3を調製した。
粘着剤組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ3を作製した。
アクリル系共重合体としてエチルアクリレート(69mol%)、メタクリル酸(1mol%)、メタクリル酸メチル(5mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(25mol%)からなるアクリル系共重合体を使用し、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物4を調製した。
粘着剤組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ4を作製した。
実施例1において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて、酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を50質量%としたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物5を調製した。
粘着剤組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ5を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を67質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c1を調製した。
粘着剤組成物c1を用いた以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc1を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、アクリル系共重合体として2−エチルヘキシルアクリレート(57mol%)、メタクリル酸(2mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(18mol%)、メタクリル酸メチル(15mol%)からなるアクリル系共重合体を使用し、光重合開始剤の配合量を0.5質量部とし、粘着剤組成物中の有機溶媒の含有量を70質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c2を調製した。
粘着剤組成物c2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc2を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を47質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c3を調製した。
粘着剤組成物c3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc3を作製した。塗工時にスジが発生するなど均一な塗工が不可能であったため、後述する、糊面荒れ及び糊残りについての評価を行わなかった。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、アクリル系共重合体としてラウリルアクリレート(84mol%)、メタクリル酸(1mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(15mol%)からなるアクリル系共重合体を使用し、粘着剤組成物中の有機溶媒の含有量を50質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c4を調製した。
粘着剤組成物c4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc4を作製した。乾燥後に粘着剤層がフィルム化して基材樹脂フィルムから分離したため、後述する糊残りについての試験を行えなかった。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルとエタノールとの混合溶媒(酢酸エチル:50質量%、エタノール:50質量%)150質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c5を調製した。得られた粘着剤組成物c5は、相分離により白濁していた。このため、後述する粘度の測定を行えなかった。
粘着剤組成物c5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc5を作製した。粘着剤組成物c5は、均一な塗布をすることができなかった。このため、後述する残留溶媒量の測定をせず、また糊残りの評価を行わなかった。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、アクリル系共重合体として2−エチルヘキシルアクリレート(78mol%)、メタクリル酸(1mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(21mol%)、からなるアクリル系共重合体を使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を70質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c6を調製した。
粘着剤組成物c6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc6を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、光重合開始剤の配合量を4質量部から0.5質量部に変更し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c7を調製した。
粘着剤組成物c7を用いた以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc7を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、光重合開始剤の配合量を4質量部から20質量部に変更し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c8を調製した。
粘着剤組成物c8を用いた以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc8を作製した。
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%とした以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c9を調製した。
粘着剤組成物c9を用い、乾燥時間及び温度を表2の残留溶媒量となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc9を作製した。
実施例1〜5及び比較例1〜9について、半導体ウエハ表面保護テープの粘着剤層に用いたポリマー(a)のガラス転移温度を、JIS K7121の補外ガラス転移開始温度に準じて測定した。具体的には、示差走査熱量計(DSC)により、昇温速度で0.1℃/分で測定した。示差走査熱量計としては、島津製作所社(株)製のDSC−60(商品名)を用いた。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2において、「ポリマーTg」と表示する。
粘着剤組成物を10g量り取り、東機産業社製VISCOMETER TVB−10を用いて、ロータM1を使用し、回転速度1.0rpmの適切な範囲にて25℃における粘度測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
半導体ウエハ表面保護テープ作成後に、糊面(粘着剤層の表面)を目視で確認し、下記評価基準に基づき評価した。結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
◎:糊面荒れ無し
○:一部乱反射あり
△:乱反射がより多い
×:全体が波打ち乱反射しており、凹凸が激しいことが確認できる
ディスクリートデバイス用半導体ウエハのパターン(回路)面に対して半導体ウエハ表面保護テープの粘着剤層を貼合した。その後、積算照射量500mJ/cm2で紫外線を照射して、粘着剤層を硬化させて、粘着剤層の粘着力を低減した。ついで、該粘着テープを剥離し、ディスクリートデバイス用半導体ウエハ表面(回路面)上の糊残りを目視で、下記評価基準に基づき評価した。結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
○(合格):糊残り無し
×(不合格):糊残り発生
半導体ウエハ表面保護テープ作製後(テープ化後)に、基材樹脂フィルムを剥がし、裁断した粘着剤層試料1.0gをアセトン10mLに浸漬した。その上澄みをガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により下記条件で測定した。結果を表1及び表2に示す。
−分析条件−
カラム:0.25mm×30m
Inj:200℃(40℃でHOLD→20℃/minで200℃に昇温)
He流量:1.0mL/min
また、ガラス転移温度が本発明で規定するよりも高い(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とする粘着剤組成物を用いた場合、粘着剤層の糊面はより荒れた状態となり、また形成した粘着剤層は基材樹脂フィルムから分離し、テープを得ることができなかった(比較例4)。逆にガラス転移温度が本発明で規定するよりも低い(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とする粘着剤組成物を用いた場合には、基材樹脂フィルムと粘着剤層との積層構造のテープを形成できるものの、粘着剤層の糊面荒れも生じやすいものとなった(比較例6)。
また、光重合開始剤の添加量の少なすぎる粘着剤組成物を用いた場合、形成された粘着剤層は糊残りを生じ(比較例7)、逆に光重合開始剤の含有量を本発明で規定するよりも高めた場合には、形成した粘着剤層の剥離後に、半導体ウエハ表面に有機物の薄い膜のような汚染が見られた。本評価では、このような汚染も糊残りと判断した(比較例8)。
また、酢酸エチルとエタノールとの混合溶媒を有機溶媒として使用した粘着剤組成物を用いた場合、形成される粘着剤層は糊面の凹凸が激しいものとなった(比較例5)。
さらに、ガラス転移温度が本発明で規定するよりも低い(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とし、粘度、光重合開始剤の配合量をともに本発明で規定する範囲外とした粘着剤組成物を用いた場合、糊面荒れを生じやすく、糊残りも生じやすかった(比較例2)。
なお、比較例9の結果から、本発明の粘着剤組成物を用いて形成した粘着剤層の特性には、粘着剤層中の残留溶媒量が影響することもわかる。
1 基材樹脂フィルム
2 粘着剤層
Claims (5)
- 放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマーと、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある粘着剤組成物。
- 前記硬化剤がポリイソシアネート化合物である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記有機溶媒が酢酸エチルである請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
- 基材樹脂フィルム上に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥して塗布膜中の残留溶媒量を500ppm以下とすることを含む、半導体ウエハ表面保護テープの製造方法。
- 基材樹脂フィルム上に粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の塗布膜であり、前記粘着剤層中の残留溶媒量が500ppm以下である、半導体ウエハ表面保護テープ。
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