JP2018172516A - 粘着剤組成物、それを用いた半導体ウエハ表面保護テープの製造方法及び半導体ウエハ表面保護テープ - Google Patents

粘着剤組成物、それを用いた半導体ウエハ表面保護テープの製造方法及び半導体ウエハ表面保護テープ Download PDF

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Abstract

【課題】糊面の荒れ及び糊残りが生じにくい粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物を提供する。また、粘着剤層の糊面に荒れが抑えられ、また糊残りを生じにくい半導体ウエハ表面保護テープ及びその製造方法を提供する。【解決手段】放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマーと、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある粘着剤組成物、この粘着剤組成物の塗布膜を粘着剤層として有する半導体ウエハ表面保護テープ、及びその製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤組成物、それを用いた半導体ウエハ表面保護テープの製造方法及び半導体ウエハ表面保護テープに関する。より具体的には、ディスクリートデバイス用半導体ウエハ等に裏面研削やエッチング処理を施して薄膜化する際に、パターン表面を保護するための半導体ウエハ表面保護テープ、このテープの粘着剤層の形成に好適な粘着剤組成物、及びこの粘着剤組成物を用いた半導体ウエハ表面保護テープの製造方法に関する。
半導体パッケージは、高純度シリコン単結晶等をスライスして半導体ウエハとした後、イオン注入、エッチング等により該ウエハ表面に集積回路を形成して製造される。集積回路が形成された半導体ウエハの裏面を研削、研磨等することにより、半導体ウエハは所望の薄膜に加工される。この際、半導体ウエハ表面に形成された集積回路を保護するために、半導体ウエハ表面保護テープが用いられる。裏面研削された半導体ウエハは、半導体ウエハカセットへ収納され、ダイシング工程へと運搬され、半導体チップに加工される。
従来は、裏面研削等により半導体ウエハの厚さを200〜400μm程度まで薄くするのが通常であった。しかし最近では、半導体ウエハのより一層の薄膜化に加え、大口径化の要求も高まっており、例えばメモリデバイスに用いる半導体ウエハにおいては、12インチの半導体ウエハを100μm以下まで研削したり、50μm以下にまで研削したりすることが多くなっている。このような大口径薄膜ウエハの搬送を実現するため、様々な装置の開発も進められ、インラインシステムと呼ばれる薄膜研削専用機や専用の製造方法(特許文献1参照)も数多く導入されてきている。
ディスクリートデバイス用半導体ウエハやパワーデバイス用半導体ウエハは、メモリデバイス用半導体ウエハのように積層されることがほとんどなく、薄膜化の要求はメモリデバイス用半導体ウエハほどではなかった。しかしながら近時、クラウドコンピューティング化や電力の一括管理などの要求が増しており、大容量の電流を制御するためにパワーデバイスやディスクリートデバイスについてもより一層の薄膜化が求められるようになってきた。ディスクリートデバイスは表面電極から裏面電極へと電流を流す構造を有し、半導体ウエハを薄膜して、より高性能なデバイスとすることが求められている。
特開2006−351790号公報
半導体ウエハ表面保護テープとして、放射線(例えば紫外線又は電子線のような電離性放射線)を透過し、耐エッチング性を有する支持体と、この支持体上に塗工された放射線照射により硬化する粘着剤層とからなる放射線硬化性の表面保護テープが提案されている。この技術によれば、放射線硬化前の粘着力を強粘着力とすることにより、半導体ウエハ研削時には半導体ウエハを強固に保持して研削水の浸入やダストの浸入を防ぐことができ、研削後には放射線照射により粘着テープの粘着力を低下させ、半導体ウエハ表面からのテープの剥離を容易にすることができる。
ディスクリートデバイス用半導体ウエハは、一般に、メモリデバイス用半導体ウエハ等に比べて表面の段差(凹凸の差)が大きく、またチップサイズが小さいがゆえに段差の数も多い。このようなディスクリートデバイス用半導体ウエハに適用する半導体ウエハ表面保護テープには、ウエハの凹凸表面に接着剤層が隙間なく十分に追従することが求められる。一般に、ガラス転移温度(Tg)の低いベース樹脂を粘着剤層に用いることにより、この追従性を高めることができる。しかし、低Tgポリマーは柔らかく、ウエハ表面からテープを剥離する際には、糊残り(ディスクリートデバイス用半導体ウエハ表面に粘着剤層が残存することによるウエハ表面の汚染)の問題が顕在化する。この糊残りを抑制するためには、上記のように硬化性の接着剤層を採用し、剥離する際に接着剤層を硬化して、接着剤層中のベース樹脂のTgを高めることが考えられる。しかし、本発明者らの検討により、このような硬化性のベース樹脂を用いて粘着剤層を形成すると、得られる粘着剤層の糊面が荒れた状態(表面が波打ったようになり、角度を変えて見ると乱反射して見える状態)となりやすい傾向にあることがわかってきた。糊面が荒れると、研削後の厚み精度(TTV:total thickness valiation)が悪化したり、研削時に荒れた糊面の形状がウエハの研削面に転写されて、滑らかな研削面を得られないことがある。
本発明は、糊面(粘着剤層表面)の荒れが生じにくい粘着剤層を形成でき、またディスクリートデバイス用半導体ウエハのように段差の大きな、あるいは段差密度の高い凹凸表面に適用しても糊残りを生じにくい粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物を提供することを課題とする。また本発明は、粘着剤層の糊面の荒れが抑えられ、また、ディスクリートデバイス用半導体ウエハのように段差の大きな、あるいは段差密度の高い凹凸表面に適用しても、糊残りを生じにくい半導体ウエハ表面保護テープ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した。その結果、特定のガラス転移温度を有する放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有する(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とし、このポリマーに対し、硬化剤として特定量のポリエポキシ化合物及び/又はポリイソシアネート化合物と、特定量の光重合開始剤と、酢酸エチルを含む有機溶媒とを混合し、得られる粘着剤組成物の粘度を特定の範囲に調整することにより、この粘着剤組成物を用いて形成した粘着剤層を糊面の荒れを抑えた状態にできること、また、ディスクリートデバイス用半導体ウエハ表面に適用した際にも糊残りの問題を生じにくいことを見出した。
本発明はこれらの知見に基づきなされたものである。
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段によって達成された。
〔1〕放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマーと、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある粘着剤組成物。
〔2〕前記硬化剤がポリイソシアネート化合物である〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕前記有機溶媒が酢酸エチルである〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕基材樹脂フィルム上に〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥して塗布膜中の残留溶媒量を500ppm以下とすることを含む、半導体ウエハ表面保護テープの製造方法。
〔5〕基材樹脂フィルム上に粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の粘着剤組成物の塗布膜であり、前記粘着剤層中の残留溶媒量が500ppm以下である、半導体ウエハ表面保護テープ。
本発明の粘着剤組成物は、これを用いて接着剤層を形成することにより、得られる粘着剤層を、糊面荒れが抑えられ、また剥離した際の糊残りも生じにくいものとすることができる。また、本発明の半導体ウエハ表面保護テープは、糊面の荒れが抑えられてウエハの裏面研削の精度をより高めることができ、また、ディスクリートデバイス用半導体ウエハのような表面の粗い半導体ウエハに適用した際に糊残りの問題も生じにくい。本発明の製造法によれば、上記半導体ウエハ表面保護テープを製造できる。
本発明の半導体ウエハ表面保護テープの一実施形態を示す断面図である。
図面を参照して本発明の好ましい半導体ウエハ表面保護テープについて説明する。
図1は本発明の半導体ウエハ表面保護テープの好ましい一実施形態を示す概略断面図であり、基材樹脂フィルム1と、基材樹脂フィルム1上に放射線硬化性の粘着剤層2が形成されている。
1.粘着剤組成物(粘着剤層)
本発明の粘着剤組成物は、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマー(以下、「ポリマー(a)」と称す。)と、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる。本発明の粘着剤組成物は、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある。
上記(メタ)アクリルポリマーは粘着剤組成物のベース樹脂を構成する。本発明の粘着剤組成物を構成するベース樹脂は、上記(メタ)アクリルポリマー以外のポリマーを含有してもよいが、ベース樹脂中の上記(メタ)アクリルポリマーの含有量は通常は80質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、さらに好ましくは、ベース樹脂は上記(メタ)アクリルポリマーからなる。
ポリマー(a)は、(メタ)アクリルポリマーであって、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である。放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基は、主鎖の末端にあってもよく、側鎖に有していてもよい。
前記ポリマー(a)はどのようにして製造されたものでもよい。例えば、官能基(α)を有するアクリル系共重合体及び/又はメタクリル系共重合体を(a1)とし、放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有するとともに(a1)の官能基(α)と反応し得る官能基(β)を有する化合物を(a2)とし、(a1)と(a2)とを反応させて、ポリマー(a)とすることができる。
前記の官能基(α)を有するアクリル系共重合体及び/又はメタクリル系共重合体(a1)は、例えば、放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有するアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルなどの単量体(a1−1)と、官能基(α)を有する単量体(a1−2)とを共重合させて得ることができる。
単量体(a1−1)としては、例えば、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が6〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレート)を挙げることができる。また、単量体(a1−1)としては、例えば、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が5以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ペンチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、又はこれらと同様のメタクリレートなど)でもよい。
単量体(a1−1)として、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が大きな(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用するほどガラス転移温度は低くなる傾向にある。したがって、単量体(a1−1)のアルキルエステルの、アルキル基の炭素数を適宜選択することにより、所望のガラス転移温度を有するポリマー(a)を得ることができる。また、ガラス転移温度の他、他の成分との相溶性や各種性能を上げる目的で、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどの炭素−炭素二重結合をもつ低分子化合物を(a1−1)と共重合させて、ポリマー(a)を得ることができる。これらの低分子化合物の配合量は、単量体(a1−1)と低分子化合物との合計質量中の5質量%以下とすることが好ましい。
単量体(a1−2)が有する官能基(α)としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、環状酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。
単量体(a1−2)の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、イタコン酸、フマル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基又はカルボキシ基及び放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有する単量体でウレタン化したものなどを列挙することができる。
前記(a2)としては、官能基(β)として、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、環状酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基の少なくとも1つを有する化合物が好ましい。具体例としては、単量体(a1−2)の具体例で列挙したものと同様のものを列挙することができる。
前記(a2)の官能基(β)がカルボキシ基や環状酸無水物基の場合は、(a1)の有する官能基(α)としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基などが好ましい。また(a2)の官能基(β)が水酸基の場合は、(a1)の有する官能基(α)としては、例えば、環状酸無水物基、イソシアネート基などが好ましい。(a2)の官能基(β)がアミノ基の場合は、(a1)の有する官能基(α)としては、エポキシ基、イソシアネート基などが好ましい。(a2)の官能基(β)がエポキシ基である場合には、(a1)の有する官能基(α)としては、例えば、カルボキシル基、環状酸無水基、アミノ基などが好ましい。(a2)の有する官能基(β)がイソシアネート基の場合は、(a1)の有する官能基(α)としては、例えば、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、環状酸無水物基などが好ましい。
(a1)と(a2)との反応において、未反応の官能基を残すことにより、酸価又は水酸基価などを好ましくは、後述の通りの範囲に適宜設定することができる。
共重合体(a1)は、各種の溶媒中で溶液重合することにより得ることができる。
溶液重合で行う場合の有機溶媒としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系のものを使用することができる。一般にアクリル系重合体の良溶媒で、沸点60〜120℃の溶媒を使用することが好ましい。例えば、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。
重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾビス系、ベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤を用いることができる。
この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度及び重合時間を調節することにより、所望の質量平均分子量のポリマー(a)を得ることができる。また、質量平均分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素系の溶媒を用いることが好ましい。
なお、共重合体(a1)の合成は、溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもさしつかえない。
必要な場合には、他の共重合可能な単量体を適宜選定し共重合することにより、ポリマー(a)のガラス転移温度を調整することができる。また、他の共重合可能な単量体を共重合することにより、さらに粘着剤層の密着力、凝集力を調整することができる。
本発明において、ポリマー(a)の質量平均分子量は、20万〜100万程度が好ましい。質量平均分子量が小さすぎると、低分子量成分によるウエハ表面汚染が生じやすくなる。この汚染を、極力防止するためには、質量平均分子量が、40万以上である方が好ましい。また、質量平均分子量が大きすぎると、合成時及び塗工時にゲル化する可能性がある。
質量平均分子量は、テトラヒドロフランに溶解して得た1%溶液を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ウオータース社製、商品名:150−C ALC/GPC)により測定した値をポリスチレン換算の質量平均分子量として算出することができる。
なお、ポリマー(a)が、水酸基価5〜100mgKOH/gとなるOH基を有すると、放射線照射後の粘着力をより低減することができるので好ましい。水酸基価は、FT−IR法にて算出することができる。
ポリマー(a)が、酸価1〜10mgKOH/gとなるカルボキシル基を有すると、エージングが早くなるので好ましい。酸価は、JIS K 5407の11.1に準じて算出することができる。
放射線硬化性炭素−炭素二重結合の含有量は、Wijs法に基づきヨウ素価から求めることができる。ヨウ素価は好ましくは、0.5〜20である。ヨウ素価を0.5〜20とすることにより、放射線照射後において粘着剤を十分に硬化させながら、一定の流動性も保つことができ、糊残りの問題がより生じにくくなる。
ベース樹脂には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、従来の粘着剤組成物に使用される重合体を配合してもよい。例えば、天然ゴム、各種の合成ゴムなどのゴム系ポリマー、あるいはポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な他の不飽和単量体との共重合物などのアクリル系共重合体を使用することができる。
ポリマー(a)のガラス転移温度は−25〜−15℃である。ガラス転移温度が低すぎると、粘着剤層の流動性が高く粘着剤層が半導体ウエハ表面に残る原因となる場合があり、ガラス転移温度が高すぎると粘着剤組成物がフィルム化してしまい、基材樹脂フィルムから分離してテープ化できない場合がある。本発明におけるガラス転移温度は示差走査熱量計を用いて、JIS K7121の補外ガラス転移開始温度に準じて測定される。
粘着剤組成物は、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤を含有する。これらの硬化剤を用いて、粘着剤組成物中のベース樹脂を架橋させることにより、粘着剤組成物を塗布した後に凝集力を、発揮させることができる。
硬化剤としては、ポリマー(a)が有する官能基に応じて、ポリエポキシ化合物又はポリイソシアネート化合物を選択して使用することができる。硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ポリマー(a)が有する官能基としては、上記官能基(α)で記載した官能基が挙げられる。
ポリエポキシ化合物としては、TETRAD−X(商品名、三菱化学社製)等を用いることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、特に制限がなく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等を挙げることができ、具体的には、市販品のトリレンジイソシアネートとしてコロネートL(日本ポリウレタン社製)等を用いることができる。
本発明においては、粘着力のコントロールの観点から、特にポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
硬化剤の配合量はポリマー(a)100質量部に対して0.5〜5質量部である。その配合量が少なすぎると凝集力向上効果が十分でない傾向があり、多すぎると粘着剤組成物の調製及び塗布作業中に硬化反応が急速に進行して架橋構造が形成されるため、作業性が損なわれることがある。
光重合開始剤は、放射線照射により、ポリマー(a)の重合開始剤として作用する。ポリマー(a)の放射線硬化性炭素−炭素二重結合基を反応させることにより、粘着剤層が硬化粘着剤層となり、粘着力が低下して、ディスクリートデバイス用半導体ウエハから、粘着剤層を糊残りなく剥離することがより容易となる。
光重合開始剤としては、上記作用を有すれば特に限定されず、放射線硬化性粘着剤組成物の硬化に使用される通常の光重合開始剤を使用することができる。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート等が挙げられる。
光重合開始剤の配合量は、ポリマー(a)100質量部に対して、1〜5質量部である。1質量部未満であると、放射線硬化の効果が弱く、粘着力の低下が不十分である場合がある。5質量部を越えると、粘着剤層の表面へ移行し、ウエハ汚染の原因となることがある。また、糊残りにつながることがある。
本発明において「放射線」とは紫外線のような光線や電子線のような電離性放射線の双方を含む意味に用いる。放射線は紫外線が好ましい。
粘着剤組成物は、有機溶媒を含有し、有機溶媒は少なくとも酢酸エチルを含有する。
有機溶媒として酢酸エチルを含有することにより、後述する特定の範囲への粘度の調整が容易となる。また、酢酸エチルは沸点が低いために粘着剤組成物から除去されやすく、残留溶剤量の少ない粘着剤層を形成することができる。
酢酸エチル以外の有機溶媒としては、酢酸エチルと相溶する有機溶媒を使用することができ、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。
酢酸エチルとそれ以外の有機溶媒を併用し混合溶媒とする場合には、酢酸エチルと酢酸エチル以外の有機溶媒の含有率の質量比(酢酸エチルの含有率:酢酸エチル以外の有機溶媒の含有率)は50:50〜100:0とすることが好ましい。
有機溶媒は、残留溶剤量を抑える観点から、酢酸エチルを単独で用いることが好ましい。
粘着剤組成物における有機溶媒の配合量は、後述する粘度とすることができる量であれば特に限定されないが、ポリマー(a)100質量部に対して、100〜200質量部が好ましい。
粘着剤組成物は、通常の粘着剤組成物の調製方法を用いて調製することができる。例えば、後述の実施例を参照して適宜に調製することができる。
粘着剤組成物の25℃における粘度は、700〜3000mPa・sにあり、900〜2000mPa・sにあることが好ましく、1000〜1500mPa・sにあることがより好ましい。粘度が、700mPa・sより小さいと、糊面荒れが発生しやすくなることがある。また3000mPa・sより大きいと塗布、成膜が困難となることがある。
粘度は、溶媒量を調整等することにより、上記範囲に設定することができる。
粘度は、実施例に記載の方法で測定される。
上記粘着剤組成物を、塗布して形成された塗布膜を、乾燥したものを粘着剤層という。半導体ウエハ表面保護テープは、上記粘着剤層を、基材樹脂フィルム上に有する。粘着剤層は、粘着剤組成物に含有されるベース樹脂が硬化剤により架橋して、粘着力及び凝集力を発揮した状態であり、かつ、後述する放射線照射によって硬化する前の状態にある。放射線照射によって硬化した後の粘着剤層を、硬化粘着剤層という。
粘着剤組成物の塗布及び乾燥方法については、特に限定されず、通常の表面保護用粘着テープにおける塗布及び乾燥方法を採用することができる。乾燥は、加熱により行うことが好ましい。乾燥は、残留溶媒を後述する範囲とできれば特に制限されず、また粘着剤層の幅、乾燥工程の線速等により条件は異なるが、例えば、80〜140℃の温度で、1〜2分程度保持して行うことができる。
上記粘着剤層中の、残留溶媒量は、質量基準で、500ppm以下であり、100ppm以下が好ましい。粘着剤層の形成に用いる粘着剤組成物の粘度を本発明で規定する範囲内とすることにより、残留溶媒量を500ppm以下へ調整しやすくなる。逆に、粘着剤層の形成に用いる粘着剤組成物中の溶媒量を多くして、組成物の粘度を本発明で規定するよりも低くした場合には、残留溶媒量は500ppmよりも多くなる傾向にある。残留溶媒量の下限は特に限定されないが、50ppmが実際的である。
残留溶媒量を500ppm以下とすることにより、糊残りをより効果的に抑制でき、また有機溶媒によるウエハ表面の汚染を抑制できる。
粘着剤層中の残留溶媒量は、実施例に記載の方法で測定される。
粘着剤層の厚さは適宜選定してよいが、一般には1〜300μm程度以下、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜50μmである。粘着剤層が薄すぎるとウエハの凹凸に追従できず、ウエハ裏面の研削時に水や研削屑が浸入してしまうことがある。逆に粘着剤層が厚すぎると、剥離時にディスクリートデバイス用半導体ウエハ表面に糊残りすることがある。
上記粘着剤層に、放射線を照射することにより、粘着剤層をさらに反応させて硬化粘着剤層とし、粘着力を低減することができる。
上記放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマーと、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤と、光重合開始剤と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを、本発明で規定する特定量で含有し、本発明で規定する特定の粘度を有する粘着剤組成物とすると、この組成物を塗布し、乾燥して得られる粘着剤層の糊面荒れを低減することができる。この理由には定かではないが、粘着剤組成物を上記特定の粘度範囲にすることにより、粘着剤組成物を乾燥して粘着剤層とする際に、粘着剤組成物を構成する各成分の対流を抑制できることが一因と考えられる。
また、本発明の粘着剤組成物を用いて得られた粘着剤層をディスクリートデバイス用半導体ウエハから剥離する際には糊残りを低減することができる。
2.基材樹脂フィルム
半導体ウエハ表面保護テープは、基材樹脂フィルムを有する。
基材樹脂フィルムに使用できる樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びフッ素含有樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
ポリエチレン又はポリプロピレンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体等が好ましく用いられる。フッ素含有樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素ポリマーが好ましく用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等が好ましく用いられる。
これらの樹脂のうち、より好ましくは高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートである。
基材樹脂フィルムは、半導体ウエハの研削加工時に被着物にかかる外的な衝撃力を緩和吸収し、マイクロクラック等のウエハ自体の破損を防ぎテープ自体にクッション性を付与する機能と、複雑な凹凸を有するウエハパターン面に良好に密着し浮きや剥がれの生じることのない柔軟性を付与する機能を有することが好ましい。例えば、耐エッチング性を有する樹脂として高密度ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートの層に、他の樹脂の層として低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体の層を積層したフィルム状支持体を基材樹脂フィルムとして使用することができる。ただし、この場合は、フィルム状支持体の耐エッチング性を損なうことのないように樹脂の組み合わせを設定する必要がある。
基材樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、50〜200μmが好ましい。
3.剥離フィルム
半導体ウエハ表面保護テープは、剥離フィルムを有していてもよい。
剥離フィルムは、セパレーターや剥離層、剥離ライナーとも呼ばれ、粘着剤層を保護する目的のため、また粘着剤層表面を平滑にする目的のために、必要に応じて設けられる。
剥離フィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムや紙などが挙げられる。剥離フィルムの表面には粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。また、必要に応じて、粘着剤層が放射線によって反応しないように、放射線防止処理が施されていてもよい。剥離フィルムの厚さは、通常10〜100μm、好ましくは25〜50μmである。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
〈実施例1〜5、比較例1〜9〉
粘着剤組成物(粘着剤組成物1〜5、c1〜c9)を以下に示すように調製し、得られた粘着剤組成物を用いて、基材樹脂フィルム上に塗布膜を形成し、図1に示す構成の、半導体ウエハ表面保護テープ(半導体ウエハ表面保護テープ1〜5、c1〜c9)を作製した。作製した半導体ウエハ表面保護テープの特性を以下の通り試験し、評価した。その結果を、表1及び2に示す。
〔実施例1〕
エチルアクリレート(81mol%)、メタクリル酸(1mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(18mol%)からなるアクリル系共重合体を調製した。その後、得られたアクリル系共重合体、に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを加えて、このアクリル系共重合体のOH基と反応させて放射線硬化性炭素−炭素二重結合量が0.9meq/gとなるように付加した。この反応により、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有するポリマー(a)を得た。ポリマー(a)のガラス転移温度を示差走査熱量計(DSC)により測定したところ−20℃であった。このポリマー(a)をベース樹脂として用いた。
別途、ポリイソシアネート化合物として日本ポリウレタン社製コロネートL(商品名)4質量部、及び光重合開始剤としてDKSHジャパン社製のKIP−100F(商品名)4質量部を、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒(酢酸エチル:50質量%、トルエン:50質量%)150質量部で溶解した。これらの配合量は、ポリマー(a)100質量部に対する量である。得られた溶液をポリマー(a)100質量部に加え、撹拌速度500rpm、室温で1時間撹拌し粘着剤組成物1を得た。得られた粘着剤組成物1中の混合溶媒量は58質量%であった。
粘着剤組成物1を厚さ100μmの高密度ポリエチレン基材樹脂フィルム上に、乾燥膜厚が30μmとなるように塗布し、120℃で1分間乾燥した。このようにして、前記粘着剤組成物1の塗布膜である粘着剤層が基材樹脂フィルム上に形成された半導体ウエハ表面保護テープ1を作製した。
〔実施例2〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物2を調製した。
粘着剤組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ2を作製した。
〔実施例3〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて、酢酸エチルを使用し、酢酸エチル及び光重合開始剤の配合量を4質量部から5質量部にそれぞれ変更し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を57質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物3を調製した。
粘着剤組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ3を作製した。
〔実施例4〕
アクリル系共重合体としてエチルアクリレート(69mol%)、メタクリル酸(1mol%)、メタクリル酸メチル(5mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(25mol%)からなるアクリル系共重合体を使用し、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物4を調製した。
粘着剤組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ4を作製した。
〔実施例5〕
実施例1において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて、酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を50質量%としたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物5を調製した。
粘着剤組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープ5を作製した。
〔比較例1〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を67質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c1を調製した。
粘着剤組成物c1を用いた以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc1を作製した。
〔比較例2〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、アクリル系共重合体として2−エチルヘキシルアクリレート(57mol%)、メタクリル酸(2mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(18mol%)、メタクリル酸メチル(15mol%)からなるアクリル系共重合体を使用し、光重合開始剤の配合量を0.5質量部とし、粘着剤組成物中の有機溶媒の含有量を70質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c2を調製した。
粘着剤組成物c2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc2を作製した。
〔比較例3〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を47質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c3を調製した。
粘着剤組成物c3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc3を作製した。塗工時にスジが発生するなど均一な塗工が不可能であったため、後述する、糊面荒れ及び糊残りについての評価を行わなかった。
〔比較例4〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、アクリル系共重合体としてラウリルアクリレート(84mol%)、メタクリル酸(1mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(15mol%)からなるアクリル系共重合体を使用し、粘着剤組成物中の有機溶媒の含有量を50質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c4を調製した。
粘着剤組成物c4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc4を作製した。乾燥後に粘着剤層がフィルム化して基材樹脂フィルムから分離したため、後述する糊残りについての試験を行えなかった。
〔比較例5〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルとエタノールとの混合溶媒(酢酸エチル:50質量%、エタノール:50質量%)150質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c5を調製した。得られた粘着剤組成物c5は、相分離により白濁していた。このため、後述する粘度の測定を行えなかった。
粘着剤組成物c5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc5を作製した。粘着剤組成物c5は、均一な塗布をすることができなかった。このため、後述する残留溶媒量の測定をせず、また糊残りの評価を行わなかった。
〔比較例6〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、アクリル系共重合体として2−エチルヘキシルアクリレート(78mol%)、メタクリル酸(1mol%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(21mol%)、からなるアクリル系共重合体を使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を70質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c6を調製した。
粘着剤組成物c6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc6を作製した。
〔比較例7〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、光重合開始剤の配合量を4質量部から0.5質量部に変更し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c7を調製した。
粘着剤組成物c7を用いた以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc7を作製した。
〔比較例8〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、光重合開始剤の配合量を4質量部から20質量部に変更し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c8を調製した。
粘着剤組成物c8を用いた以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc8を作製した。
〔比較例9〕
実施例1の粘着剤組成物1の調製において、酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒に代えて酢酸エチルを使用し、粘着剤組成物中の酢酸エチルの含有量を56質量%とした以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物c9を調製した。
粘着剤組成物c9を用い、乾燥時間及び温度を表2の残留溶媒量となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウエハ表面保護テープc9を作製した。
<ベース樹脂のガラス転移温度>
実施例1〜5及び比較例1〜9について、半導体ウエハ表面保護テープの粘着剤層に用いたポリマー(a)のガラス転移温度を、JIS K7121の補外ガラス転移開始温度に準じて測定した。具体的には、示差走査熱量計(DSC)により、昇温速度で0.1℃/分で測定した。示差走査熱量計としては、島津製作所社(株)製のDSC−60(商品名)を用いた。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2において、「ポリマーTg」と表示する。
<粘着剤組成物の粘度測定>
粘着剤組成物を10g量り取り、東機産業社製VISCOMETER TVB−10を用いて、ロータM1を使用し、回転速度1.0rpmの適切な範囲にて25℃における粘度測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
<テープ化後の糊面荒れ判別>
半導体ウエハ表面保護テープ作成後に、糊面(粘着剤層の表面)を目視で確認し、下記評価基準に基づき評価した。結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
◎:糊面荒れ無し
○:一部乱反射あり
△:乱反射がより多い
×:全体が波打ち乱反射しており、凹凸が激しいことが確認できる
<ディスクリートデバイス用半導体ウエハへの糊残り>
ディスクリートデバイス用半導体ウエハのパターン(回路)面に対して半導体ウエハ表面保護テープの粘着剤層を貼合した。その後、積算照射量500mJ/cmで紫外線を照射して、粘着剤層を硬化させて、粘着剤層の粘着力を低減した。ついで、該粘着テープを剥離し、ディスクリートデバイス用半導体ウエハ表面(回路面)上の糊残りを目視で、下記評価基準に基づき評価した。結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
○(合格):糊残り無し
×(不合格):糊残り発生
<残留溶媒量の測定>
半導体ウエハ表面保護テープ作製後(テープ化後)に、基材樹脂フィルムを剥がし、裁断した粘着剤層試料1.0gをアセトン10mLに浸漬した。その上澄みをガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により下記条件で測定した。結果を表1及び表2に示す。
−分析条件−
カラム:0.25mm×30m
Inj:200℃(40℃でHOLD→20℃/minで200℃に昇温)
He流量:1.0mL/min
Figure 2018172516
Figure 2018172516
表1に示されるように、粘着剤組成物の粘度が本発明で規定するよりも低いと、形成した粘着剤層表面(糊面)の凹凸が激しいものとなり(比較例1)、逆に粘着剤組成物の粘度が高すぎると、所望の均一塗工ができず、粘着剤層を形成できなかった(比較例3)。
また、ガラス転移温度が本発明で規定するよりも高い(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とする粘着剤組成物を用いた場合、粘着剤層の糊面はより荒れた状態となり、また形成した粘着剤層は基材樹脂フィルムから分離し、テープを得ることができなかった(比較例4)。逆にガラス転移温度が本発明で規定するよりも低い(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とする粘着剤組成物を用いた場合には、基材樹脂フィルムと粘着剤層との積層構造のテープを形成できるものの、粘着剤層の糊面荒れも生じやすいものとなった(比較例6)。
また、光重合開始剤の添加量の少なすぎる粘着剤組成物を用いた場合、形成された粘着剤層は糊残りを生じ(比較例7)、逆に光重合開始剤の含有量を本発明で規定するよりも高めた場合には、形成した粘着剤層の剥離後に、半導体ウエハ表面に有機物の薄い膜のような汚染が見られた。本評価では、このような汚染も糊残りと判断した(比較例8)。
また、酢酸エチルとエタノールとの混合溶媒を有機溶媒として使用した粘着剤組成物を用いた場合、形成される粘着剤層は糊面の凹凸が激しいものとなった(比較例5)。
さらに、ガラス転移温度が本発明で規定するよりも低い(メタ)アクリルポリマーをベース樹脂とし、粘度、光重合開始剤の配合量をともに本発明で規定する範囲外とした粘着剤組成物を用いた場合、糊面荒れを生じやすく、糊残りも生じやすかった(比較例2)。
これに対し、本発明の粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成した場合には、糊面の荒れが十分に抑制され、また糊残りも生じない粘着剤層とすることができた(実施例1〜5)。
なお、比較例9の結果から、本発明の粘着剤組成物を用いて形成した粘着剤層の特性には、粘着剤層中の残留溶媒量が影響することもわかる。
10 半導体ウエハ表面保護テープ
1 基材樹脂フィルム
2 粘着剤層

Claims (5)

  1. 放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有し、かつガラス転移温度が−25〜−15℃である(メタ)アクリルポリマーと、前記(メタ)アクリルポリマー100質量部に対し、ポリエポキシ化合物及びポリイソシアネート化合物から選ばれる硬化剤0.5〜5質量部と、光重合開始剤1〜5質量部と、少なくとも酢酸エチルを含む有機溶媒とを配合してなる、25℃における粘度が700〜3000mPa・sにある粘着剤組成物。
  2. 前記硬化剤がポリイソシアネート化合物である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記有機溶媒が酢酸エチルである請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 基材樹脂フィルム上に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥して塗布膜中の残留溶媒量を500ppm以下とすることを含む、半導体ウエハ表面保護テープの製造方法。
  5. 基材樹脂フィルム上に粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の塗布膜であり、前記粘着剤層中の残留溶媒量が500ppm以下である、半導体ウエハ表面保護テープ。
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