JP2018170145A - 正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】局所的な過充電、過放電、電圧集中が抑制され、発熱を抑えることができる正極及びリチウムイオン二次電池の提供。
【解決手段】正極集電体22の両面に形成された正極活物質層24A、24Bが互いに異なる正極20。また、正極20と、負極10−1、10−2とを有し、負極10−1、10−2を挟さんで隣接する正極活物質層24A、24Bが同じ種類であるリチウムイオン電池100。更に、負極10−1、10−2を挟さんで隣接する正極活物質層24A,A又は24B,Bが同じ種類であるリチウムイオン二次電池100。第1正極活物質が、組成式LiNiCoMnやコバルト酸リチウムで表される複合金属酸化物等の層状化合物からなり、高容量が期待され、第2正極活物質が組成式LiMPOで表されるオリビン型構造やリン酸バナジウムリチウムである熱安定性やレート特性の高い化合物からなる、リチウムイオン二次電池100。
【選択図】図1

Description

本発明は、正極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、高容量化を実現することができ、携帯電話やノートパソコン等のモバイルバッテリーから自動車用バッテリーや大型の電力貯蔵用バッテリーまで広く利用されている。
従来、リチウムイオン二次電池の正極材料(正極活物質)としてLiCoOやLiNi1/3Mn1/3Co1/3等の層状化合物やLiMn等のスピネル化合物やLiFePOに代表されるオリビン型構造の化合物が用いられている。これらの活物質は結晶構造や組成で電池特性が異なる。例えばNiを含む層状化合物は高容量を期待できるが熱安定性に課題がある。また、LiFePOは熱安定性やレート特性は高いが、容量や放電電圧が低い。スピネル化合物は高電圧で作動するが容量が低い。近年では高容量と熱安定性を実現するために、これら特徴の異なる正極材料を混合して正極とする混合正極が提案されている(特許文献1)。
特開平8−45498号公報
しかしながら、異なる正極材料を混合して正極とする混合正極を作成する場合、粒径や重量が異なる材料を均一に分散し塗布することは難しく、正極面内において局所的に高容量活物質が集まるか箇所が存在してしまう可能性があり、この場合負極表面にLiデンドライドが発生しセルの膨れや発熱、ショートによる発火する可能性がある。また、電圧により活物質のリチウムインターカレーション量が異なる材料で構成された場合、リチウムインターカレーションの反応分布が不均一になりレート特性やサイクル特性に課題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、更なる電池の発熱を抑制し、サイクル特性とレート特性を向上した正極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、正極集電体の両面に形成された正極活物質層が互いに異なる正極を用いる場合、高容量と熱安定性を同時に実現すると共に、異なる正極材料を混合して正極とする混合正極における不均一な分散の課題を解決することができることを見出した。その結果、リチウムイオン二次電池の発熱の抑制し、サイクル特性とレート特性の向上が実現できることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
[1] 正極集電体の両面に形成された正極活物質層が互いに異なることを特徴とする正極。
[2] 前記正極集電体の一方の面に形成された正極活物質層は化学式(1)で表される正極活物質を含有し、前記正極集電体のもう一方の面に形成された正極活物質層は化学式(2)で表される正極活物質を含有する、[1]に記載の正極。
LiNiCoMn(M)・・・(1)
(MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,BaおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1種、2.0≦(p+q+r+s+t)≦2.2、0<t≦1.3、0≦p≦1.0、0<q≦1.0、0≦r≦0.7、0≦s≦0.2)
Li(PO・・・(2)
(MはFe,Co,Mn,Ni,VOから選ばれる少なくとも1つ以上、1≦a≦4、1≦b≦2、1≦c≦3)。
[3] [1]または[2]のいずれかに記載の正極と、負極とを有するリチウムイオン二次電池。
[4] 前記負極を挟さんで隣接する正極活物質層が同じ種類であることを特徴とする[3]に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明にかかる正極によれば、異種正極活物質を含む正極であっても塗膜内を均一に反応することができるので、局所的な過充電、過放電、電圧集中が抑制され発熱を抑えることができる。また正極集電体の両面が異なる正極活物質であることで、充放電時の発熱のタイミングをずらすことができ、片面が発熱していても、もう一方の面が熱を吸収し放熱する作用を発現することができる。また、レート特性や充放電電位がことなる材料が組み合わさっても、塗膜面内では負荷なく均一に反応が進むのでさらにサイクル特性を向上することができる。
第1の実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。 第2実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の積層体の断面模式図である。 第3実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の積層体の断面模式図である。 実施例1にかかるリチウムイオン二次電池の正極の形状の模式図である。 実施例1にかかるリチウムイオン二次電池の負極の形状の模式図である。 従来のリチウムイオン二次電池の積層体の断面模式図である。 従来のリチウムイオン二次電池の正極の断面模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(第1の実施形態)
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体30、積層体30を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体30に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体30とともに電解液が、ケース50内に収容されている。
「積層体」
ケース50内に積層体30は、図1に示すように、正極20、第1負極10−1、第2負極10−2、及びセパレータ18を備える。第1負極10−1又は第2負極10−2は、正極20とが、セパレータ18を挟んで対向配置されたものである。正極と負極の層数が更に増えてもよい。
「正極」
本実施形態の正極は、正極集電体の両面に形成された正極活物質層が互いに異なることを特徴とする。「正極活物質層が互いに異なる」とは、正極活物質層に含まれている正極活物質が互いに異なること、正極活物質は同じであるが、正極活物質層に含まれている他の成分や組成比が異なること、及び正極活物質層の組成と成分が同じであるが、層厚が異なることなどを意味する。正極活物質層に含まれている正極活物質が互いに異なることが好ましい。
図1に示した本実施形態の正極20の一例は、正極集電体22の第1面に形成されている第1正極活物質層24Aと、正極集電体22の第2面に形成されている第2正極活物質層24Bとからなる。第1正極活物質層24Aは、第1正極活物質と導電助剤とバインダーとを含み、第2正極活物質層24Bは、第2正極活物質と導電助剤とバインダーとを含む。前第1正極活物質が第2正極活物質と異なる。
「正極集電体」
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
「正極活物質層」
正極活物質層に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
<第1正極活物質と第2正極活物質>
本実施態様にかかる第1正極活物質と第2正極活物質は異なる正極活物質である。例えば、第1正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)である場合、第2正極活物質は、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素示す)、リン酸バナジウムリチウム(LiVOPO、Li(PO)、又は一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物である。
具体的な組み合わせ例は表1に示す。
Figure 2018170145
第1正極活物質と第2正極活物質は異なる充電・放電特性を有する正極活物質であることが好ましい。高容量を期待できる第1正極活物質と熱安定性やレート特性は高い第2正極活物との組み合わせなどが挙げられる。例えば、第1正極活物質は、高容量を期待できるコバルト酸リチウム(LiCoO)や一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物等の層状化合物であり、第2正極活物質は、熱安定性やレート特性は高いLiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素示す)に代表されるオリビン型構造の化合物やリン酸バナジウムリチウム(LiVOPO、Li(PO)である例が好ましい。その場合、高容量と熱安定性と高いレート特性を実現することができる。
本実施態様のリチウムイオン二次電池において、第1正極活物質は、化学式(1)に表す正極活物質であり、第2正極活物質は、化学式(2)に表す正極活物質であることが好ましい。
LiNiCoMn(M)・・・(1)
(MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,BaおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1種、2.0≦(p+q+r+s+t)≦2.2、0<t≦1.3、0≦p≦1.0、0<q≦1.0、0≦r≦0.7、0≦s≦0.2)
Li(PO・・・(2)
(MはFe,Co,Mn,Ni,VOから選ばれる少なくとも1つ以上、1≦a≦4、1≦b≦2、1≦c≦3)。
「正極導電助剤」
導電助剤は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、多層グラフェンなどの炭素材料が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。多層グラフェンが更に好ましい。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電助剤を含んでいなくてもよい。
前記化学式(1)で表す正極活物質を含む正極は、導電助剤が多層グラフェンを有することが好ましい。グラフェンが含まれることで放熱性が向上し、さらに発熱を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。
「正極バインダー」
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体12とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
正極活物質層における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また正極活物質層24A、24Bにおける導電助剤の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層におけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
「正極集電体」
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
「負極」
本実施形態のリチウムイオン二次電池の負極は、第1負極10−1と第2負極10−2で構成されている。第1負極10−1は、第1負極活物質層14−1と第1負極集電体12−1とからなり、第2負極10−2は、第2負極活物質層14−2と第1負極集電体12−2とからなる。第1負極活物質層14−1は、第1負極活物質と導電助剤とバインダーとを含み、第2負極活物質層14−2は、第2負極活物質と導電助剤とバインダーとを含む。本実施形態のリチウムイオン二次電池において、同じ種類の正極活物質層に対して同じ種類の負極活物質層が隣接していることが好ましい。図1に示す本実施形態の一例では、第1負極活物質層と前記第2負極活物質層は厚みが異なることが好ましい。
「負極集電体」
負極集電体12(12−1、12−2)は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。負極集電体12は、リチウムと合金化しないことが好ましく、銅が特に好ましい。負極集電体12の厚みは4〜30μmとすることが好ましい。
「負極活物質層」
第1負極活物質層14−1と第2負極活物質層14−2は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて導電助剤を有する。第1負極活物質層14−1と第2負極活物質層14−2は同じ負極活物質を含むことが好ましい。また、第1負極活物質層14−1と第2負極活物質層14−2は異なる層厚(塗布量)を有することが好ましい。例えば、以下の組み合わせの例が挙げられる。
Figure 2018170145
「負極活物質」
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
「負極導電助剤」
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質36のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電助剤を含んでいなくてもよい。
「負極バインダー」
負極に用いるバインダーは正極と同様のものを使用できる。
「セパレータ」
セパレータ18は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「電解液」
電解液には、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体30及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体12にそれぞれ溶接し、正極20の第1正極活物質層24Aと第1負極10−1の第1負極活物質層14−1との間にセパレータ18を挟み、正極20の第2正極活物質層24Bと第2負極10−2の第2負極活物質層14−2との間にセパレータ18を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
[正極及びリチウムイオン二次電池の製造方法]
本実施形態にかかる正極及びリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
まず第1正極活物質、バインダー及び溶媒を混合する。必要に応じ導電助剤を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。塗料を構成する成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記第1正極活物質層24Aの形成用塗料を、正極の集電体22の第1面に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。同様に、第2正極活物質層24Bの形成用塗料を調整し、正極の集電体22の第2面に塗布する。
負極についても、第1負極の負極集電体12−1の少なくとも一方の面に塗料を所定の量で塗布し、第2負極の負極集電体12−2の少なくとも一方の面に塗料を所定の量で塗布する。
続いて、正極集電体22及び負極集電体12上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22及び負極集電体12を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。そして、第1正極活物質層24Aと第2正極活物質層24Bとを有する正極20、少なくとも一方の面に第1負極活物質層14−1を有する第1負極10−1及び少なくとも一方の面に第2負極活物質層14−2を有する第2負極10−2を作成する。
そして、このようにして第1正極活物質層24Aと第2正極活物質層24Bとが形成された正極20、少なくとも1面に第1負極活物質層14−1が形成された第1負極10−1及び少なくとも1面に第2負極活物質層14−2が形成された第2負極10−2を必要に応じ、ロールプレス装置等によりプレス処理を行う。ロールプレスの線圧は用いる材料によって異なるが、第1正極活物質層24Aと第2正極活物質層24Bの密度がそれぞれの所定の値となるように調整する。第1正極活物質層24Aと第2正極活物質層24Bのそれぞれの密度と線圧との関係は、事前検討により求めることができる。
次いで、第1負極10−1/セパレータ18/正極20/セパレータ18/第2負極10−2の順になるように、正極20と、第1負極10−1と、第2負極10−2と、第1負極と正極との間、及び、正極と第2負極との間に介在するセパレータ18と、イオン液体と、をケース50内に封入する。
例えば、第1負極10−1と、セパレータ18と、正極20と、セパレータ18と、第2負極10−2を積層し、正極及び負極を、積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、第1負極10−1と、セパレータ18と、正極20と、セパレータ18と、第2負極10−2とを密着させる。そして、例えば、予め作製した袋状のケース50に、積層体30を入れる。
上述のように、本実施形態にかかる正極を備えるリチウムイオン二次電池は、正極集電体の両面に形成された正極活物質層が互いに異なるため、充放電電位やレート特性が異なる正極活物質層の組合せでも、正極塗膜内を均一に反応させることができサイクル特性が向上する正極の性能を引き出すことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成の積層体130を用いた場合について説明する。なお、以下では、第1の実施形態と異なる積層体130の構成に関わる部分のみについて主に説明する。
「積層体」
リチウムイオン二次電池(図示せず)のケース(図示せず)に収容される積層体130は、第1正極120−1及び第2正極120−2と、第1負極110−1、第2負極110−2及び第2負極110−3と、及びセパレータ18を備える。第1の実施の形態と同様に、正極と負極とが、セパレータを挟んで対向配置されたものである。
「正極」
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極として、第1正極120−1と第2正極120−2を含む。第1正極120−1は、第1正極集電体122−1の第1面に形成されている第1正極活物質層114−1Aと、第2面に形成されている第1正極活物質層124−1Bを備えている。第2正極120−2は、第2正極集電体122−2の第1面に形成されている第2正極活物質層124−2Aと、第2面に形成されている第2正極活物質層124−2Bを備えている。第1正極活物質層124−1A及び第2正極活物質層124−2Aは、第1正極活物質を含む。第1正極活物質層124−1B及び第2正極活物質層124−2Bは、第2正極活物質を含む。第1正極活物質が第2正極活物質と異なる。
「負極」
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、負極として、第1負極110−1〜第3負極110−3を含む。第1負極110−1は、第1負極集電体112−1の第1面に形成されている第1負極活物質層114−1Aと、第2面に形成されている第1負極活物質層114−1Bを備えている。第2負極110−2は、第2負極集電体112−2の第1面に形成されている第2負極活物質層114−2Aと、第2面に形成されている第2負極活物質層114−2Bを備えている。第3負極110−3は、第3負極集電体112−3の第1面に形成されている第3負極活物質層114−3Aと、第2面に形成されている第3負極活物質層114−3Bを備えている。
本実施形態においては、第1負極活物質層114−1Aと第1負極活物質層114−1Bの層厚(塗布量)が異なり、第2負極活物質層114−2Aと第2負極活物質層114−2Bの層厚(塗布量)が異なり、第3負極活物質層114−3Aと第3負極活物質層114−3Bの層厚(塗布量)が異なる。第1負極活物質層114−1Aと、第2負極活物質層114−2Aと第3負極活物質層114−3Aとの層厚(塗布量)が同じである。第1負極活物質層114−1Bと、第2負極活物質層114−2Bと、第3負極活物質層114−3Bとの層厚(塗布量)が同じである。
図2では、本実施形態の積層体130は、第1負極110−1/セパレータ18/第1正極120−1/セパレータ18/第2負極110−2/セパレータ18/第2正極120−2/セパレータ18/第3負極110−3の積層体である。第1負極活物質層114−1Bがセパレータ18を介して第1正極120−1に対向し、第2負極活物質層114−2Aがセパレータを介して第1正極120−1に対向し、第2負極活物質層114−2Bがセパレータ18を介して第2正極120−2に対向し、第3負極活物質層114−3Aがセパレータ18を介して第2正極120−2に対向するように、配置されている。正極と負極の層数が更に増えてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成の積層体230を用いた場合について説明する。なお、以下では、第1の実施形態と異なる積層体230の構成関わる部分のみを主に説明する。
「積層体」
リチウムイオン二次電池(図示せず)のケース(図示せず)に収容される積層体230は、第1正極220−1及び第2正極220−1と、第1負極210−1、第2負極210−2及び第2負極210−3と、セパレータ18とを備える。第1の実施の形態と同様に、正極と負極とが、セパレータを挟んで対向配置されたものである。
「正極」
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、図3に示すように、正極として、第1正極220−1と第2正極220−2を含む。第1正極220−1は、第1正極集電体222−1の第1面に形成されている第1正極活物質層214−1Aと、第2面に形成されている第1正極活物質層224−1Bを備えている。第2正極220−2は、第2正極集電体222−2の第1面に形成されている第2正極活物質層224−2Aと、第2面に形成されている第2正極活物質層224−2Bを備えている。第1正極活物質層224−1A及び第2正極活物質層224−2Bは、第1正極活物質を含む。第1正極活物質層224−1B及び第2正極活物質層224−2Aは、第2正極活物質を含む。第1正極活物質は第2正極活物と異なる。
「負極」
本実施態様に係るリチウムイオン二次電池は、図3に示すように、負極として、第1負極210−1と、第2負極210−2と、第3負極210−3とを含む。第1負極210−1は、第1負極集電体212−1の第1面に形成されている第1負極活物質層214−1Aと、第2面に形成されている第1負極活物質層214−1Bを備えている。
第3の実施形態においては、第1負極活物質層214−1Aと第1負極活物質層214−1Bの層厚(塗布量)が同じであり、第2負極活物質層214−2Aと第2負極活物質層214−2Bの層厚(塗布量)が同じであり、第3負極活物質層214−3Aと第3負極活物質層214−3Bの層厚(塗布量)が同じである。第1負極活物質層214−1Aと第3負極活物質層214−3Aの層厚(塗布量)が同じである。第1負極活物質層214−1Aと第2負極活物質層214−2Aの層厚(塗布量)が異なる。
「積層体」
本実施態様に係るリチウムイオン二次電池において、負極に隣接する正極活物質層が同じ種類である。負極に対抗する正極を同一の正極活物質であることにより、充放電時における負極の膨張収縮がどちらの面も均一になり、負極への負荷が低減しサイクル特性がさらに向上する。
図3では、本実施形態のリチウムイオン二次電池の積層体230は、第1負極210−1/セパレータ18/第1正極220−1/セパレータ18/第2負極210−2/セパレータ18/第2正極220−2/セパレータ18/第3負極210−3の積層体であるy。第1負極210−1は、第1負極活物質層214−1Bがセパレータ18を介して第1正極220−1に対向し、第2負極活物質層214−2Aがセパレータ18を介して第1正極220−1に対向し、第3負極活物質層214−3Aがセパレータ18を介して第2正極220−2に対向するように、配置されている。正極と負極の層数が更に増えてもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(実施例1)
「正極の作製」
正極活物質1には、コバルト酸リチウム(LiCoO)を用いた。上記正極活物質1を90質量部と、アセチレンブラックを5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量部と、をそれぞれ秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上の片面に塗工した。塗工量は0.325g/1540.25mmである。その後、温度140℃で30分間乾燥することで正極活物質層1を作製した。
正極活物質2には、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を用いた。上記正極活物質2を85質量部と、アセチレンブラックを10質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量部と、をそれぞれ秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを調製した。得られたスラリーをアルミ箔の正極活物質層1が塗布されていない面に塗工した。塗工量は0.25g/1540.25mmである。その後、温度140℃で30分間乾燥することで正極活物質層2を作製した。
次に、ロールプレス装置を用いて線圧1000kgf/cmでプレス処理し正極のロールを得た。
正極のロールから下記の図4のように幅52mm、長さ77mm、上部に10mm角のタブ溶接箇所を設けた形状に切り出し正極シートを得た。正極シートのタブ溶接箇所から塗膜をメチルエチルケトン(MEK)を染み込ませた綿棒で擦り剥がし、正極Aを得た。タブ位置を中心から左側になるように見たとき、上面に正極活物質1が塗布されているようにした。
「負極の作製」
負極活物質として天然黒鉛粉末90質量部と、PVDF10質量部と、をそれぞれ秤量し、NMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、銅箔の一方の面は、0.162g/1540.25mmの塗工量で塗布し、その後温度140℃で30分間減圧乾燥することで正極活物質1に対向する負極層を作製した。もう一方の面は0.125g/1540.25mmの塗工量で塗布し、その後温度140℃で30分間減圧乾燥することで正極活物質2に対向する負極層とした。その後、ロールプレス装置を用いてプレス処理することにより、負極ロールを得た。
負極ロールから下記の図5のように幅53mm、長さ79mm、上部に10mm角のタブ溶接箇所を設けた形状に切り出し負極シートを得た。負極シートのタブ溶接箇所から塗膜をMEKを染み込ませた綿棒で擦り剥がし、負極を得た。タブ位置を中心から右側になるように見たとき、上面に正極活物質2に対抗する負極層が塗布されているようにした。
「セパレータの作製」
膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%、シャットダウン温度:134℃)を用意した。このセパレータを幅54mm、長さ80mmに切り出した。
「積層体の作製」
前記正極Aを10枚、負極を11枚、セパレータ20枚を用いて負極、セパレータ、正極A、セパレータの順に積層した。その後、タブ溶接箇所に正極にAlリード線、負極にNiリード線をそれぞれ溶接し積層体を得た。
「非水電解質溶液の調製」
電解質としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lとなるように溶解させた非水電解質溶液を用意した。混合溶媒におけるECとDECとの体積比は、EC:DEC=30:70とした。
「電池の作製」
上記積層体と上記非水電解液とを用いて、実施例1の電池セルを作製した。
「セル表面温度の測定」
次に、上記のようにして作製した実施例1の電池セルの外装体表面に熱電対を貼りつけた。この状態で0.1Cの定電流密度で充電終止電圧が4.2V(vs.Li/Li)になるまで充電を行い、さらに4.2V(vs.Li/Li)の定電圧で電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行って、初回充電容量を測定した。なお、電流密度は1Cを158mAh/gとして測定を行った。
そして、10分間休止した後、5Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電させた。この放電中の最大到達温度は36℃であった。
「レート特性の測定」
0.1Cの定電流密度で充電終止電圧が4.2V(vs.Li/Li)になるまで充電を行い、さらに4.2V(vs.Li/Li)の定電圧で電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行った。その後10分間休止し、1Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電し1Cの容量を得た。
次に、同じ条件で充電を行った後、10分間休止し、3Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電させ3Cの容量を得た。
3C/1Cの容量維持率が93%であった。
「サイクル特性の測定」
0.1Cの定電流密度で充電終止電圧が4.2V(vs.Li/Li)になるまで充電を行い、さらに4.2V(vs.Li/Li)の定電圧で電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行った。その後10分間休止し、1Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電し1Cの容量を得た。その後、充電においても1Cにし、それ以外は同じ条件で充放電を500回繰り返し行った。
500サイクル後の放電容量を測定し、500サイクル後の放電容量を初期の放電容量で除することで得られる容量維持率を算出することでサイクル特性を評価した。このときの容量維持率は88%であった。
評価結果を表3に示す。
Figure 2018170145
LCO:コバルト酸リチウム(LiCoO
LFP:リン酸鉄リチウム(LiFePO
LVP:リチウムバナジウム化合物(LiV
NCA:リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物(LiNi0.83Co0.12Al0.05
(実施例2)
実施例1の正極活物質2をβ―LiVOPOにした以外は、実施例1と同様に電池セルを作製した。
上記のようにして作製した実施例2の電池セルを実施例1と同様に測定した。その結果を表3に示す。
(実施例3)
正極活物質1をLiNi0.83Co0.12Al0.05にし、対向する負極の塗工量を0.18g/1540.25mm2にした以外は実施例2と同様に電池セルを作製した。
1Cを166mAhとしたこと以外は実施例1と同様に測定をした。その結果を表3に示す。
(実施例4)
正極活物質2には、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を用い、上記正極活物質2、85質量部と、アセチレンブラック5質量部と、グラフェン5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部にした以外は実施例1と同じ手順で電池セルを作製した。
実施例1と同様に測定をした。その結果を表3に示す。
(実施例5)
実施例4の正極活物質2であるLiFePOをLiVOPOに変えた以外は実施例4と同じ手順で電池セルを作製した。
実施例1と同様に測定をした。その結果を表3に示す。
(実施例6)
実施例5の正極活物質1をLiNi0.83Co0.12Al0.05にし、対向する負極の塗工量を0.18g/1540.25mmにした以外は実施例5と同様に電池セルを作製した。
実施例3と同様に測定をした。その結果を表3に示す。
(実施例7)
「正極の作製」
実施例1と同様な方法で実施例1と同様な正極のロールを得た。正極のロールから、実施例1と同様な方法で実施例1と同様な正極Aを得た。また、得た正極のロールから、実施例1に記載の正極Aに対して正極活物質層を反転させた正極Bを得た。正極Bについては、図4に示すように、タブ位置を中心から左側になるように見たとき、上面に正極活物質2が塗布されているようにした。
「負極の作製」
銅箔の両面には、0.162g/1540.25mmの塗工量で塗布したこと以外は、実施例1と同様な方法で、負極ロールAを得た。同様に、銅箔の両面には、0.125g/1540.25mmの塗工量で塗布したこと以外は、実施例1と同様な方法で、負極ロールBを得た。実施例1と同様な方法で、負極ロールAから、正極活物質層1に対応する負極Aを得た。また、実施例1と同様な方法で、負極ロールBから正極活物質層2に対応する負極Bを得た。
「積層体の作製」
前記正極Aを5枚、正極Bを5枚、負極Aを6枚、負極B5枚、セパレータ20枚を用いて、負極A/セパレータ/正極A/セパレータ/負極B/セパレータ/正極B/セパレータ/負極A/セパレータ/正極A/セパレータ/負極B/セパレータ/正極B/セパレータ/負極A/セパレータ/正極A/セパレータ/負極B/セパレータ/正極B/セパレータ/負極A/セパレータ/正極A/セパレータ/負極B/セパレータ/正極B/セパレータ/負極A/セパレータ/正極A/セパレータ/負極B/セパレータ/正極B/セパレータ/負極Aの順で積層した。それ以外は実施例1と同じ方法で評価した。
評価結果を表3に示すように、5C充電温度は35℃、3C/1C維持率が94%、500サイクル後の維持率が91%であり、実施例1よりいっそう向上した。
(比較例1)
正極活物質1には、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)を用いた。上記正極活物質1、90質量部と、アセチレンブラック5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー1を調製した。
正極活物質2には、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を用いた。上記正極活物質2、85質量部と、アセチレンブラック10質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー2を調製した。
スラリー1とスラリー2の固形分比率が同じになるように調整した後、スラリー1とスラリー2の比率が13:10の割合で混合しスラリー3を得た。
得られたスラリー3を厚さ20μmのアルミ箔上の片面に塗工した。塗工量は0.325g/1540.25mmである。その後、温度140℃で30分間乾燥した。
もう一方の面の塗工量は0.25g/1540.25mmである。その後、温度140℃で30分間乾燥した。
次に、ロールプレス装置を用いて線圧1000kgf/cmでプレス処理し正極のロールを得た。
負極は塗工量0.158g/1540.25mmで銅箔上に塗布した。正極6枚、負極7枚を積層し積層体を得た(図6と図7)。
その積層体を用いて、実施例1と同様に電池セルを作製した。
評価方法は実施例1と同じ条件で評価した。その結果を表3に示す。
(比較例2)
比較例1のLiFePOをLiVOPOに変えた以外は比較例1と同様に電池セルを作製した。
実施例1と同じ条件で評価した。その結果を表3に示す。
(比較例3)
比較例1のLiFePOをLiNi0.83Co0.12Al0.05にした以外は比較例1と同様に電池セルを作製した。
実施例3と同じ条件で評価した。その結果を表3に示す。
(比較例4)
比較例2のLiCoOをLiNi0.83Co0.12Al0.05にした以外は比較例1と同様に電池セルを作製した。
実施例3と同じ条件で評価した。その結果を表3に示す。
18…セパレータ、
20、120−1、120−2、220−1,220−2…正極、
22、122−1、122−2、222−1、222−2…正極集電体、
24A、24B、124−1A、124−1B、124−2A、124−2B、224−1A、224−1B、224−2A、224−2B…正極活物質層、
10、10−1、10−2、110−1、110−2,110−3、210−1、210−2、210−3…負極、
12、112−1、112−2、112−3、212−1、212−2、212−3…負極集電体、
14−1、14−2、114−1A、114−1B、114−2A、114−2B、114−3A、114−3B、214−1A、214−1B、214−2A、214−2B、214−3A、214−3B…負極活物質層、
30、130、230…積層体、
50…ケース、
60、62…リード、
100…リチウムイオン二次電池。

Claims (4)

  1. 正極集電体の両面に形成された正極活物質層が互いに異なることを特徴とする正極。
  2. 前記正極集電体の一方の面に形成された正極活物質層は化学式(1)で表される正極活物質を含有し、前記正極集電体のもう一方の面に形成された正極活物質層は化学式(2)で表される正極活物質を含有する、請求項1に記載の正極。
    LiNiCoMn(M)・・・(1)
    (MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,BaおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1種、2.0≦(p+q+r+s+t)≦2.2、0<t≦1.3、0≦p≦1.0、0<q≦1.0、0≦r≦0.7、0≦s≦0.2)
    Li(PO・・・(2)
    (MはFe,Co,Mn,Ni,VOから選ばれる少なくとも1つ以上、1≦a≦4、1≦b≦2、1≦c≦3)。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の正極と、負極とを有するリチウムイオン二次電池。
  4. 前記負極を挟さんで隣接する正極活物質層が同じ種類であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
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