JP2018168469A - 絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】Crを含有することなく、優れた耐粉吹き性と絶縁性を備える絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。【解決手段】電磁鋼板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に設けられた絶縁被膜とを有する絶縁被膜付き電磁鋼板であって、前記絶縁被膜が、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、およびポリシロキサンを、前記コロイダルシリカの固形分質量Mc、アルコキシシランの固形分質量Ma、およびポリシロキサンの固形分質量Mpの和に対する前記Mcの比率、Mc/(Mc+Ma+Mp)が5〜50%となる範囲で含有し、かつ、前記ポリシロキサンの凝集物のメジアン径が0.10〜0.30μmである塗液を、前記電磁鋼板の表面に塗布することで形成されたものであり、前記絶縁被膜が設けられている面における前記絶縁被膜の付着量が、0.3〜1.2g/m2である、絶縁被膜付き電磁鋼板。【選択図】 なし

Description

本発明は、絶縁被膜付き電磁鋼板に関し、特に、Crを含有することなく、優れた耐粉吹き性と絶縁性を備える絶縁被膜付き電磁鋼板に関する。
電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁皮膜の開発が行われている。特に、電磁鋼板をモータや変圧器等に使用する場合、複数の電磁鋼板を積層して用いるため、絶縁皮膜には絶縁性の高さ、すなわち、層間抵抗が大きいことが求められる。
また、電磁鋼板を用いて鉄心などを製造する際には、該電磁鋼板に打抜加工、せん断加工、曲げ加工などの加工が施される。しかし、前記加工で生じた残留歪みによって電磁鋼板の磁気特性が劣化するため、これを解消するために700〜800℃程度の温度で歪取り焼純が施される場合が多い。したがって、この場合には、絶縁皮膜が歪取り焼鈍の際の高温に耐え得るものである必要がある。
一般的に用いられている絶縁皮膜は、次の3種に大別することができる。
(1)溶接性、耐熱性を重視し、歪取り焼鈍に耐える無機皮膜、
(2)打抜性、溶接性の両立を目指し、歪取り焼鈍に耐える有機樹脂を含有する無機皮膜(すなわち、半有機皮膜)、および
(3)特殊用途で歪取り焼鈍不可の有機皮膜。
上記(1)〜(3)の中で歪取り焼鈍に耐えるのは、無機成分を含んでいる上記(1)および(2)の絶縁皮膜である。有機樹脂が歪取焼鈍時の高温で分解してしまうのに対して、無機成分は歪取焼鈍後も残留し、絶縁性に寄与するためである。そして、従来、無機成分を含む絶縁被膜としては、クロム化合物を含む被膜が一般的に用いられてきた。
例えば、特許文献1には、重クロム酸塩、樹脂エマルジョン、および有機還元剤を含有する処理液を用いて塗布、焼付けすることによって絶縁被膜を形成することが記載されている。
しかし、昨今、環境意識が高まり、電磁鋼板の分野においてもクロムを含まない絶縁皮膜を有する製品が需要家等からも望まれている。そこで、クロムを含まない絶縁皮膜が提案されている。
例えば、特許文献2では、樹脂およびアルミナ含有シリカを含有する絶縁被膜が提案されている。また、特許文献3では、シリカ、アルミナ、ジルコニアの1種または2種以上からなる無機コロイドと、有機樹脂とを含有する絶縁皮膜が提案されている。特許文献4では、リン酸塩を主体とし、樹脂を含有した絶縁皮膜が提案されている。
特公昭60−036476号公報 特開平10−130858号公報 特開平10−046350号公報 特許第2944849号公報 特許第5115232号公報
しかし、特許文献2〜4で提案されているような、クロム化合物を含まない絶縁皮膜付き電磁鋼板は、クロム化合物を含む従来の絶縁被膜付き電磁鋼板と比べて耐食性に劣るという問題があった。さらに、絶縁被膜に含まれる樹脂が該絶縁被膜表層に濃化しやすく、耐粉吹き性に劣るという課題があった。ここでいう「耐粉吹き性」とは、製造ラインでテンションパッドが絶縁被膜を擦った際に被膜の一部が粉状に剥離する現象(粉吹き)の発生の少なさ(絶縁被膜の剥がれにくさ)を意味する。
これに対し、特許文献5では、ポリシロキサンと有機樹脂とが共重合したポリシロキサン重合体と、有機チタン化合物とを含有した絶縁被膜を備える絶縁被膜付き電磁鋼板が提案されている。前記絶縁被膜付き電磁鋼板は耐食性に優れるとともに、耐粉吹き性についても一定の改善が見られる。しかし、前記絶縁被膜付き電磁鋼板においても被膜上層部にポリシロキサン重合体が濃化しており、実際の製造ラインにおいては依然として十分な耐粉ふき性を有していないことが分かった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、Crを含有することなく、優れた耐粉吹き性と絶縁性を備える絶縁被膜付き電磁鋼板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために検討を行った結果、本発明者等は、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、およびポリシロキサンを含む塗液を用いて絶縁被膜を形成する際に、前記ポリシロキサンが特定の大きさの凝集物を形成した状態とすることにより、意外にも耐粉吹き性が向上することを見出した。本発明は前記知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.電磁鋼板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に設けられた絶縁被膜とを有する絶縁被膜付き電磁鋼板であって、
前記絶縁被膜が、
コロイダルシリカ、アルコキシシラン、およびポリシロキサンを、前記コロイダルシリカの固形分質量Mc、前記アルコキシシランの固形分質量Ma、および前記ポリシロキサンの固形分質量Mpの和に対する前記Mcの比率、Mc/(Mc+Ma+Mp)が5〜50%となる範囲で含有し、かつ、前記ポリシロキサンの凝集物のメジアン径が0.10〜0.30μmである塗液を、前記電磁鋼板の表面に塗布することで形成されたものであり、
前記絶縁被膜が設けられている面における前記絶縁被膜の付着量が、0.3〜1.2g/m2である、絶縁被膜付き電磁鋼板。
2.前記絶縁被膜が、前記塗液を塗布した後、最高到達板温度:100℃〜300℃で焼き付けられている、上記1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
3.前記塗液が、界面活性剤、防錆剤、潤滑剤、および酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含有する、上記1または2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
本発明によれば、Crを含有することなく優れた耐食性を有し、かつ耐粉吹き性にも優れる絶縁被膜付き電磁鋼板を得ることができる。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な実施態様を示すものであり、本発明は以下の説明によって何ら限定されるものではない。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、電磁鋼板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に設けられた絶縁被膜とを有する。
[電磁鋼板]
上記電磁鋼板としては、特に限定されることなく任意の電磁鋼板を用いることができる。前記電磁鋼板は、無方向性電磁鋼板および方向性電磁鋼板のいずれであってもよい。例えば、前記電磁鋼板として、SiおよびAlを含む成分組成を有する電磁鋼板を用いることができる。前記成分組成は、SiおよびAlを含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとすることができる。Si含有量は、例えば0.05〜7.0質量%とすることができる。また、Al含有量は、例えば、2.0質量%以下とすることができる。
前記電磁鋼板の板厚は特に制限されず、任意の厚さとすることができる。鉄損を低減するという観点からは、板厚を1.0mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることがより好ましく、0.3mm以下とすることがさらに好ましい。一方、薄すぎると形状安定性が低下することに加え、電磁鋼板の製造コストが増加する。そのため、電磁鋼板の板厚は50μm以上とすることが好ましい。
[絶縁被膜]
上記絶縁被膜は、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、およびポリシロキサンを含有する塗液を、前記電磁鋼板の表面に塗布することで形成されたものである。前記絶縁被膜は、電磁鋼板の一方の面のみに形成されていてもよいが、両面に形成されていていることが好ましい。また、電磁鋼板の一方の面にのみ本発明の条件を満たす絶縁被膜を有し、他方の面には別の絶縁被膜を有することもできる。以下、前記塗液に含まれる成分を説明する。
[コロイダルシリカ]
前記コロイダルシリカとしては、特に限定されることなく任意のものを用いることができる。コロイダルシリカの粒子径が小さすぎると、コロイダルシリカ同士が塗液中で凝集してしまう場合がある。そのため、コロイダルシリカの平均粒子径は10nm以上とすることが好ましい。一方、コロイダルシリカの粒径が大きすぎると、最終的に得られる絶縁被膜においてコロイダルシリカが凸部となり、テンションパッドに擦りとられやすくなるため、耐粉吹き性が悪化する場合がある。そのため、コロイダルシリカの平均粒径は100nm以下とすることが好ましい。
[アルコキシシラン]
前記塗液は、1または2以上のアルコキシシランを含有する。前記アルコキシシランとしては、特に限定されることなく任意のアルコキシシランを用いることができるが、ジアルコキシシランおよびトリアルコキシシランの一方または両方を用いることが好ましい。また、前記アルコキシシランのアルコキシ基は、メトキシ基またはエトキシ基とすることが好ましい。
強固な絶縁被膜を形成し、さらに耐粉吹き性を向上させるという観点からは、前記アルコキシシランとして、アルコキシ以外の反応性官能基を有するアルコキシシランを用いることが好ましい。中でも、前記反応性官能基としてエポキシ基含有有機基またはアミノ基含有有機基を有するアルコキシシランを用いることが好ましい。前記エポキシ基含有有機基の例としては、3−グリシドキシプロピル基などのグリシドキシアルキル基が挙げられる。また、前記アミノ基含有有機基の例としては、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基などのアミノアルキル基が挙げられる。また、前記以外にも、後述するポリシロキサンの説明において反応性官能基として挙げる官能基を備えたアルコキシシランを用いることも好ましい。
[ポリシロキサン]
前記ポリシロキサンとしては、特に限定されることなく任意のものを用いることができる。耐粉吹き性をより向上させるという観点からは、反応性官能基を有するポリシロキサンを用いることが好ましい。反応性官能基を有するポリシロキサンを用いると強固な絶縁被膜が形成され、耐粉吹き性がさらに改善すると考えられる。
前記反応性官能基としては、付加反応性の基、縮合反応性の基、開環反応性の基、ラジカル反応性の基等を例示することができる。反応性官能基の具体例としては、ケイ素原子結合水素原子、アルケニル基(ビニル基、アリル基、プロペニル基等)、メルカプト基含有有機基、ケイ素原子結合のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、ケイ素原子結合のヒドロキシ基、ケイ素原子結合のハロゲン原子、アミノ基含有有機基(2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基)、エポキシ基含有有機基(グリシドキシアルキル基(3−グリシドキシプロピル基等)、エポキシシクロヘキシルアルキル基(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等)、アクリル含有有機基(3−アクリロキシプロピル基等)、メタクリル含有有機基(3−メタクリロキシプロピル基等)が挙げられる。中でも、エポキシ基含有有機基を有するポリシロキサン、アミノ基含有有機基を有するポリシロキサン、およびケイ素原子結合のアルコキシ基を有するポリシロキサンの少なくとも1つを用いることが、本発明の効果を一層向上させる観点から好ましい。
前記ポリシロキサンは、例えば、アルコキシシランを重合させることによって得ることができる。前記重合を行う方法の一例としては、アルコキシシランと他の成分(コロイダルシリカ、溶媒など)を混合した状態で攪拌を行う方法が挙げられる。前記攪拌により、アルコキシシランの少なくとも一部が重合してポリシロキサンとなる。したがって、攪拌後の塗液中には、未重合のアルコキシシランと、前記アルコキシシランが重合したポリシロキサンの両者が含まれている。なお、上記反応性官能基を有するポリシロキサンを得るためには、当該反応性官能基を有するアルコキシシランを用いればよい。未重合のアルコキシシランの大部分は、塗布後の焼き付けの際に重合する。
Mc/(Mc+Ma+Mp):5〜50%
塗液中における、コロイダルシリカの固形分質量Mc、アルコキシシランの固形分質量Ma、およびポリシロキサンの固形分質量Mpの和に対する前記Mcの比率、Mc/(Mc+Ma+Mp)を5%以上50%以下とする。Mc/(Mc+Ma+Mp)が5%未満では、十分な層間抵抗を得ることができない。一方、Mc/(Mc+Ma+Mp)が50%を超えると絶縁被膜の密着性および耐粉吹き性が劣化する。
凝集物の平均粒径:0.10〜0.30μm
本発明においては、前記絶縁被膜の形成に、前記ポリシロキサンの凝集物を含む塗液を使用する。塗液中に所定の粒径を有するポリシロキサンの凝集物を形成することで、得られる絶縁被膜の耐粉吹き性を向上させることができる。前記効果を得るためには、前記凝集物のメジアン径は、0.10〜0.30μmである必要がある。前記メジアン径が0.10μm未満の場合および0.30μmを超える場合、耐粉吹き性が低下する。また、前記凝集物のメジアン径が0.10μm未満では、絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性が低下する。
特定粒径の凝集物を含む塗液を用いることで被膜特性が向上する理由は明らかではないが、凝集物が存在することで、焼き付け時に密な被膜が形成され、耐粉吹き性が向上すると考えられる。凝集物の粒径が小さすぎる場合には被膜のバリア性が弱く、その結果、耐食性が低下すると推定される。また、凝集物の粒径が小さすぎると、テンションパッドにより被膜が広い面積で剥離するのに対して、ある程度の大きさの凝集物が存在すると、該凝集物に優先的に圧力がかかり、剥離する面積が狭くなると考えられる。一方、凝集物大きすぎる場合には、絶縁被膜形成時に凝集物が凸部を形成するために、テンションパッドに擦りとられやすくなり、耐粉吹き性が低下するものと考えられる。なお、通常、前記ポリシロキサンの凝集物中には、コロイダルシリカが取り込まれている。そのため、前記凝集物は、ポリシロキサンとコロイダルシリカの凝集物であってもよい。前記メジアン径は、塗液を調整する際の攪拌速度、液温、pHなどを調整することにより制御することができる。また、前記凝集物の平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定可能である。
付着量:0.3〜1.2g/m2
上記絶縁被膜付き電磁鋼板における、前記絶縁被膜が設けられている面における前記絶縁被膜の付着量(以下、単に「付着量」という)を、0.3〜1.2g/m2とする。すなわち、前記絶縁被膜が電磁鋼板の一方の面にのみ設けられている場合は、当該面における付着量を0.3〜1.2g/m2とする。また、前記絶縁被膜が電磁鋼板の両面に設けられている場合は、電磁鋼板のそれぞれの面における付着量を0.3〜1.2g/m2とする。前記付着量が0.3g/m2未満では、十分な層間抵抗が得られない。一方、前記付着量が1.2g/m2を超えると、耐粉吹き性が低下する。
[溶媒]
上記塗液は、さらに溶媒を含むことができる。前記溶媒としては、任意のものを用いることができるが、水または水と有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。前記有機溶媒としては、アルコールを用いることが好ましく、中でも、エタノールおよびメタノールの一方または両方を用いることが好ましい。
[添加剤]
前記塗液は、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、ポリシロキサン、および溶媒からなるものであってもよいが、さらに添加剤を含有することもできる。前記添加剤としては、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、およびポリシロキサン以外の任意の成分を用いることができる。前記添加剤の具体的な例としては、界面活性剤、防錆剤、潤滑剤、酸化防止剤、無機化合物、有機化合物を含んでもよい。前記有機化合物の例としては、無機成分と有機樹脂との接触抑制剤としての有機酸が挙げられる。前記有機酸としては、アクリル酸を含有する重合体および共重合体などが例示される。前記無機化合物の例としては、ホウ酸や顔料などが挙げられる。
前記添加剤を用いる場合、塗液の全質量に対する前記添加物の合計質量の割合を5%以下とすることが好ましい。
本発明における絶縁被膜は元素としてのCrを含有しないものとすることができる。Crを含有しない絶縁被膜を形成するために、前記塗液はCrを含有しないものとすることが好ましい。
塗液を調製する際の温度は、10℃〜35℃とすることが好ましい。前記液温が10℃未満では、塗液の粘性が増加し、塗装性が劣化する。また、前記液温が35℃を超えると、ポリシロキサン同士の凝集が過度に進行し、沈殿物が生成して塗液が使用できなくなるおそれがある。
前記塗液に含まれる固形分の濃度は、10〜20%とすることが好ましい。固形分濃度が10%未満では、絶縁被膜形成時に目標の付着量が得られない場合がある。また、固形分濃度が20%を超えると、塗装性が劣化し、外観不良が発生する。
塗液のpHは6〜7とすることが好ましい。pHが前記範囲を外れると、コロイダルシリカの分散性が著しく劣化するとともに、ポリシロキサンが過度な凝集を引き起こすおそれがある。
[製造方法]
次に、本発明の一実施形態における絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法について説明する。本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、上記塗液を電磁鋼板の表面に塗布して形成される。
なお、前記電磁鋼板は未処理のものであってもよいが、塗液の塗布に先立って前記電磁鋼板に任意の前処理を施すこともできる。前記前処理としては、脱脂処理および酸洗処理の一方または両方を行うことが好ましい。前記脱脂処理としては、例えば、アルカリ脱脂処理が挙げられる。また、前記酸洗処理としては、塩酸、硫酸、リン酸などの酸を用いた酸洗処理が挙げられる。
前記塗液は、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、および任意の添加剤と溶媒とを混合、攪拌することによって調製することができる。その際、攪拌速度が50rpm未満では、ポリシロキサンの凝集物のメジアン径が0.3μm以下とならないおそれがある。そのため、前記攪拌速度を50rpm以上とすることが好ましい。一方、前記攪拌速度が150rpmを超えると、前記凝集物のメジアン径が0.1μm以上に達しないおそれがある。そのため、前記攪拌速度を150rpm以下とする。攪拌時間は特に限定されず、所望の粒径の凝集物が得られるように調製すればよいが、1〜2時間とすることが好ましい。
電磁鋼板への塗液の塗布は、任意の方法で行うことができる。前記塗布には、例えば、ロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等、一般的な塗布手段を採用可能である。
前記塗布後は、塗液に含まれる溶媒の蒸発にともなってアルコキシシランおよびポリシロキサンの重合が進み、絶縁被膜が形成される。コロイダルシリカは、シリカ表面の水酸基と鋼板表面の水酸基同士が脱水縮合することによって電磁鋼板に強固に密着するとともに、ポリシロキサンとの凝集物となることで、被膜内部に取り込まれやすくなると考えられる。前記溶媒は、乾燥によって蒸発させることもできるが、通常は、焼き付けを行うことが好ましい。
前記焼き付けを行う方法は特に限定されず、通常実施されるような熱風加熱式、赤外線加熱式、誘導加熱式等を採用可能である。焼き付け温度は100℃〜300℃とすることが好ましく、150℃〜250℃とすることがより好ましい。焼き付け時間は、特に限定されないが、例えば、1秒〜10分の範囲から適宜設定すればよい。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、歪取り焼鈍を施して、例えば、打抜き加工による歪みを除去することができる。好ましい歪取り焼鈍雰囲気としては、N2雰囲気、DXガス雰囲気などの鉄が酸化されにくい雰囲気等が挙げられる。ここで、露点(Dp)を高く、例えばDp:5〜60℃程度に設定し、表面および切断端面を若干酸化させることで耐食性をさらに向上させることができる。また、好ましい歪取り焼鈍温度は700〜900℃、より好ましくは700〜800℃である。歪取り焼鈍温度での保持時間は長い方が好ましく、1時間以上がより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
アルコキシシランおよびコロイダルシリカを脱イオン水に添加し、攪拌して塗液を調製した。塗液の組成および塗液調製時の条件は表1に示す通りとした。使用したアルコキシシラン(シロキサン単量体)としては、表2に示す、信越化学工業株式会社製アルコキシシラン(A1〜A5)を用いた。前記アルコキシシランの一部は攪拌によって重合し、ポリシロキサンを形成した。また、コロイダルシリカ(S1〜S3)としては、表3に示すものを用いた。したがって、使用した塗液には、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、および前記アルコキシシランが重合したポリシロキサンが含まれている。
前記電磁鋼板としては、板厚:0.35mmの無方向性電磁鋼板[A360(JIS C2552(2000))]を使用した。前記無方向性電磁鋼板から幅:150mm、長さ:300mmの大きさに切り出した試験片の片面に、上記塗液をロールコーターで塗布し、熱風焼付け炉により、表1に示した焼付け温度で、加熱時間30秒で焼き付けした。焼き付け後、常温に放冷して、絶縁被膜付き電磁鋼板を得た。
表1に示した絶縁被膜の付着量は、絶縁被膜形成前(塗液を塗布する前)の電磁鋼板の重さと、絶縁被膜形成後の電磁鋼板の重さを測定し、両者の差から求めた。また、凝集物の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した。
得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の耐粉吹き性および絶縁性を、以下の手順で評価した。評価結果は表1に示したとおりであった。
<耐粉吹き性>
特許文献5で用いられているような従来の耐粉吹き性試験では、絶縁被膜表面の同じ位置を繰り返しフェルトで擦って被膜の摩耗状態を観察していたため、実機ラインの状況を模擬できておらず、試験結果と実機での粉吹き量とが整合しないという問題があった。そこで、実機ラインにおけるテンションパッドにより摩耗状態をより正確に再現するために、以下の方法で耐粉吹き性を評価した。
X−Yプロッターに取り付けたフェルトを、絶縁被膜の表面に接触させた状態で36m移動させ、前記フェルトに付着した絶縁被膜の量を被膜剥離量とした。その際、前記フェルトの接触面寸法は15mm×15mmとし、荷重は0.087MPa(0.89kgf/cm2)とした。また、フェルトの移動は、該フェルトを絶縁被膜の表面に接触させた状態で、X軸方向に400mm移動させた後、Y方向に15mm移動させるという動きを連続的に繰り返すことによって行った。この方法によれば、フェルトが絶縁被膜の同じ位置を通過することなく、常に新しい面と接触するため、実機ラインにおけるテンションパッドによる摩擦状況をより正確に反映した耐粉吹き性を評価することができる。被膜剥離量は、試験前後におけるフェルトの重量差から求めた。得られた被膜剥離量から、以下の判定基準で耐粉吹き性を評価した。
(判定基準)
◎:被膜剥離量が0.1g/m2未満
○:被膜剥離量が0.1g/m2以上、0.15g/m2未満
△:被膜剥離量が0.15g/m2以上、0.20g/m2未満
×:被膜剥離量が0.20g/m2以上
<絶縁性>
得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の絶縁性を評価するために、層間抵抗を測定した。前記測定は、JIS C 2550−4:2011 電磁鋼帯試験方法第4部:表面絶縁抵抗測定方法のA法に準拠して行った。
(判定基準)
◎:層間抵抗が3Ω・m2/枚以上
○:層間抵抗が1Ω・m2/枚以下、3Ω・m2/枚未満
△:層間抵抗が0.5Ω・m2/枚以下、1Ω・m2/枚未満
×:層間抵抗が0.5Ω・m2/枚未満
表1に示した結果から分かるように、本発明に従う絶縁被膜付き電磁鋼板はいずれも、絶縁性及び耐粉吹き性の両方に優れていた。
Figure 2018168469
Figure 2018168469
Figure 2018168469

Claims (3)

  1. 電磁鋼板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に設けられた絶縁被膜とを有する絶縁被膜付き電磁鋼板であって、
    前記絶縁被膜が、
    コロイダルシリカ、アルコキシシラン、およびポリシロキサンを、前記コロイダルシリカの固形分質量Mc、前記アルコキシシランの固形分質量Ma、および前記ポリシロキサンの固形分質量Mpの和に対する前記Mcの比率、Mc/(Mc+Ma+Mp)が5〜50%となる範囲で含有し、かつ、前記ポリシロキサンの凝集物のメジアン径が0.10〜0.30μmである塗液を、前記電磁鋼板の表面に塗布することで形成されたものであり、
    前記絶縁被膜が設けられている面における前記絶縁被膜の付着量が、0.3〜1.2g/m2である、絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 前記絶縁被膜が、前記塗液を塗布した後、最高到達板温度:100℃〜300℃で焼き付けられている、請求項1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. 前記塗液が、界面活性剤、防錆剤、潤滑剤、および酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含有する、請求項1または2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
JP2018062831A 2017-03-29 2018-03-28 絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法 Active JP6638755B2 (ja)

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