JP2018168455A - 防食構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】防食シート層からの成分の分離を抑制しつつ、防食シート層のひび割れを抑制できる防食構造体の提供。【解決手段】金属製部材を覆う防食シート層Aと、防食シート層Aを覆う保護層Bとを備えた防食構造体1であって、防食シート層Aは、防食シートで形成され、防食シートは、基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、前記防食シートは、前記防食コンパウンドとして不飽和油を含有し、保護層Bは、上塗り材によって形成され、保護層BのUV透過率が1%以下である、防食構造体1。【選択図】図1

Description

本発明は、防食構造体に関する。
従来、各種のプラントなどにおいては、ガス管や水道管、油などの液体原料を搬送するための配管などとして金属管が利用されている。
海辺に建設されたプラントなどにおいては、この金属管などの金属製部材を腐食から保護すべく、該金属製部材を覆う防食構造体を形成させることが行われている。
一般的な防食構造体の形成方法としては、帯状の基材シートに防食コンパウンドを担持させた防食テープを用いる方法が知られており、前記金属製部材の表面上に巻き付けた前記防食テープで防食シート層を形成させる方法が広く知られている。
また、このような防食構造体の形成に用いる防食テープとしては、基油と無機充填材とを含有する防食コンパウンドを帯状の不織布に担持させたものが知られており、前記基油として防錆効果に優れたペトロラタムが用いられたものが知られている。
なお、従来の防食構造体においては、防食テープによって形成させた防食シート層を保護すべく、該防食テープに塗料を上塗りしてトップコート層などと呼ばれる上塗り層をさらに形成させることが行われている(下記特許文献1参照)。
特開平10−044320号公報
しかしながら、防食シート層から成分の分離を抑制しつつ、防食シート層のひび割れを抑制できる防食構造体は、いまだ見出されていない。
本発明は、上記要望を満足させることを課題としており、防食シート層からの成分の分離を抑制しつつ、防食シート層のひび割れを抑制できる防食構造体を提供することを課題としている。
本発明に係る防食構造体は、金属製部材を覆う防食シート層Aと、該防食シート層Aを覆う保護層Bとを備えた防食構造体であって、
前記防食シート層Aは、防食シートで形成され、
前記防食シートは、基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、
前記防食シートは、前記防食コンパウンドとして不飽和油を含有し、
前記保護層Bは、上塗り材によって形成され、
前記保護層BのUV透過率が1%以下である。
斯かる防食構造体は、前記防食シート層Aが不飽和油を含有することにより、不飽和油が重合反応して硬化する。その結果、液ダレが生じ難くなり、防食シート層Aからの成分の分離が抑制される。
また、斯かる防食構造体は、前記保護層BのUV透過率が1%以下であることにより、不飽和油の重合反応が進み過ぎるのを抑制できる。その結果、防食シート層Aを適度な硬さに維持でき、防食シート層Aのひび割れを抑制できる。
従って、斯かる防食構造体は、防食シート層からの成分の分離を抑制しつつ、防食シート層のひび割れを抑制できる。
本発明によれば、防食シートからの成分の分離を抑制しつつ、防食シートのひび割れを抑制できる。
一実施形態に係る防食構造体の概略断面図。 図1の破線x部を拡大した図。 上塗り層の形成方法を示した概略図。 耐候性試験の試験体を示した平面図(左)及び断面図(右)。 試験例におけるスランプ試験方法を示す概略説明図。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る防食構造体は、2以上の層を有する。
また、図1に示すように、本実施形態に係る防食構造体1は、金属製部材20を覆う防食シート層Aと、該防食シート層Aを覆う保護層Bとを備える。防食シート層Aは防食シートで形成されている。保護層Bは、上塗り材によって形成されている。
本実施形態に係る防食構造体1は、防食シート層Aを備えることにより、防食構造体1自体の厚みを大きくしやすくなり、その結果、防食構造体1内部の乾燥を抑制しやすくなる。そして、本実施形態に係る防食構造体1は、防食性能を発揮しやすくなるという利点を有する。
本実施形態に係る防食構造体1は、保護層Bを備えることにより、防食シート層Aが劣化するのを抑制でき、その結果、耐候性に優れたものとなるという利点を有する。
また、本実施形態に係る防食構造体1は、保護層Bを備えることにより、防食シート層Aが剥がれるのを抑制できるという利点を有する。
さらに、本実施形態に係る防食構造体1は、保護層Bを備えることにより、耐摩擦性に優れたものとなるという利点を有する。
さらに、本実施形態に係る防食構造体1は、防食ペースト(以下、「下塗り材」ともいう。)で形成されている防食ペースト層C(以下、「下塗り層C」ともいう。)を更に備える。前記防食ペースト層Cは、前記防食シート層Aよりも前記金属製部材20側に形成され、前記金属製部材20の表面に接する。
本実施形態に係る防食構造体1は、下塗り層Cを備えることにより、金属製部材20に密着しやすくなり、防食性能に優れたものとなるという利点を有する。
また、本実施形態に係る防食構造体1は、金属製部材20の表面に凹凸部及び異形部の少なくとも一方がある場合には、防食マスチックで形成されている防食マスチック層Dを更に備えることが好ましい。前記防食マスチック層Dは、前記防食シート層Aよりも前記金属製部材側に形成されている。また、前記防食マスチック層Dは、前記防食シート層Aと、前記防食ペースト層Cとの間に配されている。
本実施形態に係る防食構造体1は、金属製部材20の凹凸部や異形部の形状に合わせて前記防食マスチック層Dが設けられることによって、防食シート層Aの施工が容易になるという利点を有する。
また、本実施形態に係る防食構造体1は、金属製部材20の凹凸部や異形部の形状に合わせて前記防食マスチック層Dが設けられることによって、金属製部材20への密着性が良好となるという利点を有する。
また、本実施形態に係る防食構造体1は、前記防食マスチック層Dを備えることによって、防食構造体1の施工時間の短縮を図る事ができるという利点を有する。
すなわち、防食構造体が防食マスチック層を備えない場合には、金属製部材20に防食シートを巻きつける際に、金属製部材20の凹凸部や異形部で金属製部材20と防食シートや、防食シート同士の間に空気が入り込みやすくなる。この場合、防食性能を高めるためには、防食シートに切れ目を入れて空気を逃がしながら防食シートを巻きつける作業が生じる。
しかし、本実施形態に係る防食構造体1は、前記防食マスチック層Dを備えることによって、空気を逃がすための作業を回避しやすくなり、防食構造体1の施工時間の短縮を図る事ができるという利点を有する。
以上より、本実施形態に係る防食構造体1は、上記利点を有することで、防食性を保持しやすくなる。
前記金属製部材20は、流体物を輸送するパイプラインとして用いられる。前記金属製部材20は、フランジ部21を有する円筒状の管を複数備えており、管どうしがフランジ部21で接続されてなる。隣接する管のフランジ部21どうしはボルト22及びナット23で固定されている。すなわち、前記金属製部材20は、円筒状となっており、また、フランジ部21、ボルト22、ナット23等によって外表面に凹凸が形成されている。
以下、各層について詳細に説明する。
(C:防食ペースト層(下塗り層))
前記下塗り層Cは、金属製部材20の表面に下塗り材を塗布することにより形成することができる。具体的には、前記下塗り層Cは、円筒状の金属製部材20の外側表面全体に下塗り材を薄く塗布することで形成することができる。前記下塗り層Cの外表面は、前記金属製部材の凹凸によって凹凸が形成されている。
前記下塗り層Cは、通常、0.01〜10mmの平均厚みとなるように形成される。
該下塗り層Cを構成する第1の防食コンパウンド(防食ペースト)(下塗り材)Cは、防錆剤などを含む有機バインダーC1と、無機充填材C2とを含有する。
該下塗り材は、金属製部材20の表面上に塗り拡げる際の作業性や、充填性を考慮すると常温域での“ちょう度”の値が高いことが好ましい。
この“ちょう度”とは、本明細書においては、JIS K2235−1991「「石油ワックス 5.10ちょう度試験方法」に基づいて測定される値を意味している。
具体的には、本実施形態の下塗り材は、20℃における“ちょう度”が150以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、250以上であることが特に好ましい。
また、冬場の施工を考慮すると本実施形態の下塗り材は、0℃における“ちょう度”が100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、200以上であることが特に好ましい。
また、下塗り材は、防食テープ12を金属製部材に対して強固に止着させることを考慮すると“ちょう度”の値が高いことは必ずしも好ましいものではない。
特に、下塗り材は、加温時においても一定以下の“ちょう度”であることが好ましい。
具体的には、本実施形態の下塗り材は、20℃における“ちょう度”が400以下であることが好ましく、350以下であることがより好ましく、300以下であることが特に好ましい。
さらに、下塗り材は、40℃における“ちょう度”が500以下であることが好ましく、450以下であることがより好ましく、400以下であることが特に好ましい。
そして、本実施形態の下塗り材は、0℃における“ちょう度”の値をN0、20℃における“ちょう度”の値をN20とした場合、下記式(2)で表わされる低温感温比が0.6以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましい。
低温感温比=〔 N0 /N20 〕 ・・・(2)
また、本実施形態の下塗り材は、40℃における“ちょう度”の値をN40とした場合、下記式(3)で表わされる高温感温比が2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
なお、前記低温感温比の上限値、及び、前記高温感温比の下限値については、通常、「1.0」である。
高温感温比=〔 N40 /N20 〕 ・・・(3)
以下により詳しく各成分について説明する。
(C1:下塗り材における有機バインダー)
本実施形態の下塗り材は、このような温度特性を発揮させるべく、前記有機バインダーC1の主成分がポリブテンとなっている。また、後述する前記無機充填材については、一部が有機化処理されたベントナイト粒子となっている。
前記ポリブテンとしては、一般的なものを採用することができ、イソブテンを主成分として一部に1−ブテンや2−ブテンを反応させた共重合体で常温(23℃)において液状の鎖状炭化水素化合物を採用することができる。
前記ポリブテンは、冬場の屋外などといった低温環境下で下塗り材を金属製部材の表面に塗り広げる際の作業性を考慮すると、JIS K2269:1987「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に基づいて測定される流動点が5.0℃以下であることが好ましく、2.5℃以下であることがより好ましい。
また、前記ポリブテンは、下塗り材に過度な流動性が発揮されるのを抑制することを考慮すると、流動点が−7.5℃以上であることが好ましく、−5.0℃以上であることがより好ましい。
前記ポリブテンは、JIS K2283:2000「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に基づいて測定される40℃での動粘度が10mm/s以上3000mm/s以下であることが好ましく50mm/s以上1500mm/s以下であることがより好ましい。
ポリブテンの数平均分子量は、好ましくは300〜3000、より好ましくは500〜2000、さらにより好ましくは700〜2000、特に好ましくは1000〜2000である。
なお、本明細書におけるポリブテンの「数平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量を意味する。
より詳しくは、「数平均分子量」とは、下記条件により測定される値を意味する。
<分子量測定方法>
GPC装置:
HLC−8120GPC(カラム:TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000、カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm)、検出器:示差屈折率検出器(RI)、東ソー社製
GPC測定条件:
移動相テトラヒドロフラン、流量0.6mL/min、カラム温度40℃、サンプル濃度1.0g/L、注入量20μL
下塗り材における有機バインダーは、上記のようなポリブテンを40質量%以上含有していることが好ましく、45質量%以上含有していることがより好ましく、50質量%以上含有していることがさらにより好ましい。
該有機バインダーには、ポリブテン以外の成分として、常温で液状のポリイソプレンや常温で液状のポリブタジエンなどをさらに含有させることができる。
なお、ポリイソプレンやポリブタジエンの好ましい流動点や動粘度の値は、前記ポリブテンと共通する。
前記有機バインダーには、さらにパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、各種ワックスなどを適宜含有させることができる。
その他に有機バインダーを構成する前記防錆剤としては、例えば、無機系防錆剤、有機系防錆剤が挙げられる。
無機系防錆剤としては、例えば、クロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられる。
有機系防錆剤としては、例えば、タンニン酸、カルボン酸(オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸など)、カルボン酸金属石鹸(ラノリンCa、ナフテン酸Zn、酸化ワックスCa、酸化ワックスBaなど)、スルフォン酸塩(Naスルフォネート、Caスルフォネート、Baスルフォネートなど)、アミン塩、エステル(高級脂肪酸とグリセリンとが反応して得られたエステル、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレートなど)などが挙げられる。
なかでも、前記下塗り材には、前記タンニン酸とともに気化性防錆剤を含有させることが好ましい。
前記タンニン酸としては、五倍子由来のタンニン酸が好ましい。
該気化性防錆剤としては、例えば、アミン類の各種塩(例えば、亜硝酸塩、カルボン酸塩、クロム酸塩)類やカルボン酸のエステル類が挙げられる。
具体的には、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレートなどを気化性防錆剤として下塗り材に含有させ得る。
下塗り材に含有させる気化性防錆剤は2種類以上であっても良い。
有機バインダーは、これら以外に粘度調整剤として、例えば、キシレン樹脂、ロジンや重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル等の変性ロジン系樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系及び脂環族系石油樹脂;クマロン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂等を含有してもよい。
また、有機バインダーは、無機充填材と、有機バインダーに含有される油との親和性を向上させるべく、カップリング剤や、界面活性剤を含有してもよい。
前記カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、脂肪アミンが挙げられる。脂肪アミンとしては、炭素数が10以上である脂肪アミンが好ましい。なお、炭素数は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)や、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)で測定することができる。
さらに、有機バインダーは、酸化防止剤、老化防止剤、防カビ剤、防虫剤、防鼠剤、抗菌剤、顔料などの各種添加剤を適宜含有してもよい。
(C2:下塗り材における無機充填材)
該有機バインダーとともに下塗り材を構成する無機充填材は、前記のように有機化処理されたベントナイト粒子(以下「有機ベントナイト粒子」ともいう)を含有する。
なお、有機ベントナイト粒子としては、ベントナイトの結晶層間に存在する陽イオンとビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリドやセチルトリメチルアンモニウムブロミドなどの第4級アンモニウムイオンとをイオン交換させたものが各種市販されている。
本実施形態の第1の防食コンパウンドにはこのような市販品を含有させることができる。
前記無機充填材には、有機ベントナイト粒子とは別に雲母粒子やセリサイト粒子などの板状鉱物粒子を含有させうる。
また、前記無機充填材には、下塗り材に対する着色などを目的として、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、黒鉛粒子、カーボンブラック粒子、ベンガラ粒子などを含有させうる。
さらに、前記無機充填材には、タルク粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、クレー粒子、酸化アルミニウム粒子などを含有させうる。
前記有機ベントナイト粒子は、下塗り材にチキソトロピーを発揮させるのに有効な成分である。
そして、有機ベントナイト粒子は、有機バインダーが高い流動性を示すものであっても、該有機バインダーに分散させてゲルを形成させ得る。
また、有機バインダーが加温時に流動性を高く向上させるものであっても、有機ベントナイト粒子を分散させることによって形成されるゲルは、過度な加温をしない限り、ゲル状態を維持する。
しかも、当該ゲルは、前記のようにチキソトロピーを発揮するため、せん断力を加えた場合には見掛け上の粘度が大きく低下する。
従って、有機ベントナイト粒子は、下塗り材を防食マスチック層Dと金属製部材20との止着性に優れたものにするのに有効であるばかりでなく、当該下塗り材を金属製部材20の表面上に塗り広げる際の作業性を向上させるのにも有効な成分である。
該有機ベントナイト粒子は、下塗り材に含まれる有機バインダーの含有量を100質量部とした際に、5質量部以上40質量部以下となるように下塗り材に含まれることが好ましく、10質量部以上25質量部以下となるように下塗り材に含まれることがより好ましい。
さらに、有機ベントナイト粒子は、前記無機充填材に占める割合が15質量%以上40質量%以下となるように下塗り材に含まれることが好ましい。
前記有機ベントナイト粒子は、過度に粒径が大きいと同じ配合量でも有機バインダーへのゲル化性能が十分に発揮され難くなる。
このようなことから前記有機ベントナイト粒子は、乾燥状態において450メッシュ(32μmメッシュ)で篩い分けした際に95質量%以上が篩を通過する(篩残分5質量%以下)ものが好適である。
また、有機ベントナイト粒子に限らず、前記タルク粒子などの他の無機充填材においても、過度に粒径が大きいものを採用すると同じ配合量で粒径の細かなものを採用した場合に比べて下塗り材にベタツキを生じさせやすく、金属製部材の表面に塗り広げる際の作業性を低下させるおそれを有する。
有機ベントナイト粒子以外の無機充填材の内、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、黒鉛粒子、カーボンブラック粒子、及び、ベンガラ粒子などについては、有機バインダーの含有量を100質量部とした際に、それぞれ、0.1質量部以上5質量部以下となるように下塗り材に含まれることが好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下となるように下塗り材に含まれることがより好ましい。
有機ベントナイト粒子以外の無機充填材の内、前記タルク粒子は、下塗り材を補強する効果に優れ、且つ、下塗り材に保形性を賦与するのに有効である。
前記タルク粒子は、前記下塗り材に含まれる有機バインダーの含有量を100質量部とした際に、20質量部以上80質量部以下となるように含有させることが好ましく、30質量部以上60質量部以下となるように含有させることがより好ましい。
また、タルク粒子は、前記無機充填材に占める割合が55質量%以上80質量%以下となるように下塗り材に含有させることが好ましい。
下塗り材を施工性に優れたものとしうる点において、タルク粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって求められるメジアン径が、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上50μm以下、更により好ましくは10μm以上40μm以下である。
また、タルク粒子としては、75μmメッシュで篩い分けした際に99質量%以上が篩を通過する(篩残分1質量%以下の)ものが好適である。
該下塗り材は、前記のように感温性が低いことが好ましい。
従って、下塗り材の調製に際しては、全ての配合物を混練する前に、一旦、有機ベントナイト粒子と有機バインダーとを主体とする混和物を混練してゲル状物を作製し、このゲル状物に他の配合物を加えて混練を実施することが好ましい。
このようにして調製された下塗り材は、例えば、40〜50℃程度の温度であれば金属製部材の表面から垂れ落ちたりせず、夏場などにおいても良好な形状保持性を発揮する。
(防食マスチック層D)
前記防食マスチック層Dは、下塗り層Cの凹凸を小さくすべく、防食ペースト層Cの凹部に防食マスチック(第2の防食コンパウンド)を充填することで形成されている。また、前記防食マスチック層Dは、下塗り層Cと防食シート層Aとの間の隙間を埋めることができ、金属製部材20の腐食を抑制することができる。
前記防食マスチックは、バインダー(D1)たる油分と、無機充填材(D2)とを含有している。
前記バインダーは、常温常圧(例えば、20℃、1気圧)において液状である液状ゴムを含有する。
前記バインダーは、前記液状ゴムを主成分として含有することが好ましい。前記バインダーたる油分は、前記液状ゴムを油分全体の60質量%以上100質量%以下となるように含有することがより好ましく、前記液状ゴムを油分全体の70質量%以上100質量%以下となるように含有することがより好ましい。
また、前記防食マスチックは、前記バインダーとして、活性水素を有する官能基を備えた活性水素含有有機化合物を含有することが好ましい。前記活性水素含有有機化合物としては、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基などの官能基を有する有機化合物等が挙げられる。前記防食マスチックは、活性水素含有有機化合物を有することにより、粘度を増加させることができ、その結果、成分分離が抑制される。
前記防食マスチックは、前記活性水素含有有機化合物を、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜25質量%含有する。
前記活性水素含有有機化合物は、水酸基を有する水酸基含有有機化合物を含有することが好ましい。
また、防食マスチックを所望の特性にしやすいという観点から、前記液状ゴムの一部又は全部が、水酸基含有有機化合物であることが好ましい。
なお、前記活性水素含有有機化合物は、前記液状ゴムとは別の成分して前記防食マスチックに含有されていてもよい。前記液状ゴムとは別の成分の活性水素含有有機化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール等)、アミン類(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン等)、飽和脂肪酸(例えば、ブタン酸、ペンタン酸等)、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸等)、システイン等が挙げられる。また、アルコール類の誘導体、アミン類の誘導体、飽和脂肪酸の誘導体、不飽和脂肪酸の誘導体、システインの誘導体等も挙げられる。
前記液状ゴムとしては、液状ポリイソプレン(D1a1)、液状ポリブタジエン(D1a2)、液状ポリαオレフィン(D1b)、液状シリコーンゴム、液状クロロプレンゴム、液状スチレン・ブタジエンゴム、液状アクリロニトリル・ブタジエンゴム、液状エチレン・プロピレンゴム、液状ウレタンゴム、液状フッ素ゴム等が挙げられる。
上述したように、前記液状ゴムは、防食マスチックを所望の特性にしやすいという観点、及び、成分分離を抑制するという観点から、活性水素含有有機化合物である液状ゴムを含有することが好ましい。
前記液状ゴムは、液状ポリイソプレン及び液状ポリブタジエンの少なくとも一方を含有することが好ましい。
また、前記液状ゴムは、前記水酸基含有有機化合物として、分子末端に水酸基を有する液状ポリイソプレンと、分子末端に水酸基を有する液状ポリブタジエンとの少なくとも一方を含有することが好ましい。
また、前記液状ゴムは、液状ポリαオレフィン(D1b)を含有することが好ましい。
前記無機充填材としては、有機化処理されたベントナイト粉末(有機ベントナイト粉末)(D2a)が防食マスチックに含有されていることが好ましい。
さらに、本実施形態においては、さらに前記無機充填材として水酸化アルミニウム粉末(D2b)、及び、炭酸カルシウム粉末(D2c)が前記防食マスチックに含有されていることが好ましい。
なお、液状ポリイソプレン及び液状ポリブタジエンは、分子末端に水酸基を有することが前記防食マスチックに分離が生じることを抑制する上において好ましく、分子両末端に水酸基を有することがより好ましい。
該水酸基は、液状ポリイソプレン及び液状ポリブタジエンを有機化処理されたベントナイト粉末(以下「有機ベントナイト粉末」ともいう)に拘束させてゲル状態にさせるのに有効な官能基である。
前記液状ポリαオレフィンは、通常、櫛型の分子構造を有しており、本実施形態においては油分を適度な粘度に調整すべく利用されている。
前記バインダーたる油分は、前記液状ポリイソプレン及び前記液状ポリブタジエンが合計で油分全体の60質量%以上100質量%以下となるように含有されていることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
前記防食マスチックに前記液状ポリαオレフィンを含有させる場合には、該液状ポリαオレフィンは、バインダーを適度な粘度に調整して当該防食マスチックの施工性を良好にさせ得る点において、前記液状ポリイソプレン及び前記液状ポリブタジエンの合計100質量部に対して10質量部以上40質量部以下となるように含有させることが好ましい。
以下により詳しく各成分について説明する。
(D1)バインダー
(D1a1)液状ポリイソプレン
前記液状ポリイソプレンとしては、一般的なシス1,4結合が80%以上のものを用いることができ、ASTM D 2503に準拠して求められる数平均分子量が1000〜4000で、30℃における粘度が5〜10Pa・sのものが好適である。
なお、数平均分子量は、ASTM D 2503に準拠して求められる。
また、粘度については、B型粘度計(単一円筒形回転粘度計)(ローター:No.4)によって、回転数が50rpmであるときにおける粘度を測定する(JIS Z8803:2011)。
また、前記液状ポリイソプレンとしては、水酸基価が30〜60mgKOH/gであることが好ましく、臭素価が150〜300g/100gであることが好ましい。
なお、本実施形態における「水酸基価」の値は、JIS K1557−1:2007「プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方」に基づいて測定される値を意図している。
また、本実施形態における「臭素価」の値は、JIS K2605−1996「石油製品−臭素価試験方法−電気滴定法」に基づいて測定される値を意図している。
(D1a2)液状ポリブタジエン
前記液状ポリブタジエンとしては、当該ポリブタジエンの内、70%以上90%以下が1,4結合で、1,3結合を実質的に含有しておらず、残部が1,2結合であるものが好ましい。
また、前記液状ポリブタジエンとしては、数平均分子量が2000〜4000で、30℃における粘度が1〜10Pa・sのものが好適である。
なお、数平均分子量は、ASTM D 2503に準拠して求められる。
また、粘度については、B型粘度計(単一円筒形回転粘度計)(ローター:No.4)によって、回転数が50rpmであるときにおける粘度を測定する(JIS Z8803:2011)。
また、前記液状ポリブタジエンとしては、前記水酸基価が40〜60mgKOH/gであることが好ましく、臭素価が200〜300g/100gであることが好ましい。
(D1b)液状ポリαオレフィン
前記液状ポリαオレフィンとしては、炭素数6〜14のαオレフィンを重合させた、合計炭素数30〜50で分子量が500〜600のものが好適である。
また、バインダーに適度な粘性を発揮させる上において、当該液状ポリαオレフィンは、40℃における動粘度が20〜40mm/sであることが好ましい。
なお、本実施形態における「動粘度」の値は、JIS K2283:2000「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に基づいて測定される値を意図している。
(D1x)その他の成分
前記防食マスチックには、前記液状ポリイソプレン、前記液状ポリブタジエン及び前記液状ポリαオレフィン以外のものをバインダーとして含有させ得る。
前記防食マスチックに含有させ得るその他のバインダーとしては、各種のパラフィン系オイルや各種のナフテン系オイルなどが挙げられる。
また、各種ワックスなどの油性成分も前記防食マスチックに含有させ得る。
ただし、その他のバインダーや油性成分を含有させる場合においては、その合計含有量が前記防食マスチック全体の10質量%以下となるように含有させることが好ましく、5質量%以下とすることが好ましい。
前記防食マスチックは、粘着付与剤、防錆剤、防カビ剤、抗菌剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光沢剤、顔料などの添加剤をバインダーとしてさらに含有してもよい。
なかでも、前記防食マスチックには、二重結合を多く含んだ液状ポリイソプレンや液状ポリブタジエンが含有されている場合には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などを含有させることが好ましく、前記酸化防止剤としてヒンダードフェノール系のものを液状ポリイソプレンと液状ポリブタジエンとの合計100質量部に対して0.5質量部以上2質量部以下程度の割合で含有させることが好ましい。
また、前記防食マスチックは、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を0.05〜1.00質量%含有することが好ましい。
(D2)無機充填材
(D2a)有機ベントナイト粉末
前記有機ベントナイト粉末は、液状ポリイソプレンや液状ポリブタジエンなどのバインダーを捕捉させてバインダーをゲル化させるべく前記防食マスチックに含有されていることが好ましい。
また、有機ベントナイト粉末は、バインダー全体の含有量を100質量部とした際に、10質量部以上35質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることが好ましく、15質量部以上25質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることがより好ましい。
さらに、有機ベントナイト粉末は、前記無機充填材に占める割合が2質量%以上10質量%以下となるように含有されることが好ましい。
前記防食マスチックが液状ポリイソプレンと液状ポリブタジエンを含有する場合には、有機ベントナイト粉末は、液状ポリイソプレンと液状ポリブタジエンとの合計含有量を100質量部とした際に、通常、10質量部以上50質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させればよく、20質量部以上30質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることが好ましい。
また、前記防食マスチックは、有機ベントナイト粉末を1〜15質量%含有することが好ましい。
なお、有機ベントナイト粉末は、ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリドやセチルトリメチルアンモニウムブロミドなどの第4級アンモニウムイオンと結晶層間に存在する陽イオンとをイオン交換させたものが各種市販されており、前記防食マスチックにはこのような市販品を利用することができる。
該有機ベントナイト粉末は、過度に粒径が大きいものを採用すると同じ配合量でも粒径の細かなものを採用した場合に比べて活性水素含有有機化合物(液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン等)の捕捉能を不足させ易く、前記防食マスチックに成分分離(離油)が生じることを抑制するために前記防食マスチックに大量配合させる必要が生じるおそれがある。
また、有機ベントナイト粉末に限らず、後述する水酸化アルミニウム粉末や炭酸カルシウム粉末などにおいても、過度に粒径が大きいものを採用すると同じ配合量で粒径の細かなものを採用した場合に比べて前記防食マスチックにベタツキを生じさせやすく、パテ埋めなどにおける作業性を低下させるおそれを有する。
このようなことから前記有機ベントナイト粉末は、乾燥状態において450メッシュ(32μmメッシュ)で篩い分けした際に95質量%以上が篩を通過する(篩残分5質量%以下)ものが好適である。
(D2b)水酸化アルミニウム粉末
前記水酸化アルミニウム粉末は、前記防食マスチックに保形性を賦与し、例えば、50℃といった高温においても自然流動を抑制させるとともに前記防食マスチックに難燃性を賦与すべく含有されていることが好ましい。
水酸化アルミニウム粉末は、前記保形性や前記難燃性の観点からは、バインダー全体の含有量を100質量部とした際に、150質量部以上300質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることが好ましく、180質量部以上250質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることがより好ましい。
また、水酸化アルミニウム粉末は、前記無機充填材に占める割合が40質量%以上60質量%以下となるように含有されることが好ましい。
水酸化アルミニウムは、200℃〜350℃といった温度で分解脱水を生じ、当該脱水反応が吸熱反応であるために前記防食マスチックが加熱されて燃焼を開始しようとする際に素早く冷却を行う効果を発揮するものである。
このような難燃効果を前記防食マスチックに発揮させる上においては、水酸化アルミニウム粉末は、粒径が細かなものが好ましい。
一方で、過度に粒径の小さい水酸化アルミニウム粉末を採用すると前記防食マスチックが固く締まった状態になってしまい前記防食マスチックの易変形性や展延性が損なわれて防食構造を形成する際の施工性を低下させるおそれを有する。
従って、前記防食マスチックを施工性に優れ、難燃性に優れたものとしうる点においては、レーザー回折式粒度分布測定装置によって求められるメジアン径が1μm以上50μm以下(好ましくは10μm以上40μm以下)で、75μmメッシュで篩い分けした際に99質量%以上が篩を通過する(篩残分1質量%以下)ものが本実施形態における水酸化アルミニウム粉末として好適である。
(D2c)炭酸カルシウム粉末
前記炭酸カルシウム粉末は、水酸化アルミニウム粉末と同様に前記防食マスチックに保形性を賦与すべく含有されていることが好ましい。
炭酸カルシウム粉末は、前記保形性の観点からは、バインダー全体の含有量を100質量部とした際に、100質量部以上200質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることが好ましく、130質量部以上170質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることがより好ましい。
また、炭酸カルシウム粉末は、前記無機充填材に占める割合が30質量%以上50質量%以下で含有されることが好ましい。
なお、前記防食マスチックを施工性に優れたものとしうる点においては、メジアン径が1μm以上50μm以下で、75μmメッシュで篩い分けした際に99質量%以上が篩を通過する(篩残分1質量%以下)ものが本実施形態における炭酸カルシウム粉末として好適である。
(D2x)
前記防食マスチックには、前記のような有機ベントナイト、水酸化アルミニウム粉末、及び、炭酸カルシウム粉末以外の無機充填材を含有させ得る。
前記防食マスチックに含有させ得るその他の無機充填材としては、タルク粉末、クレー粉末、酸化アルミニウム粉末などが挙げられる。
ただし、これらの無機充填材を含有させる場合は、その合計含有量が無機充填材全体の10質量%以下となるように含有させることが好ましく、5質量%以下とすることが好ましい。
防食マスチックは、冬場の施工性、夏場の施工性、及び、表面温度が高温(例えば80℃)となる配管のパテ埋めなどへの利用性の観点では、以下の構成となっていることが好ましい。
すなわち、防食マスチックでは、無機充填材が、有機化処理された有機ベントナイト粉末と、水酸化アルミニウム粉末と、炭酸カルシウム粉末とを含有することが好ましい。
また、防食マスチックは、油分100質量部に対して、前記有機ベントナイト粉末を、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15〜25質量部、さらにより好ましくは20〜25質量部含有する。
さらに、防食マスチックでは、前記炭酸カルシウム粉末に対する、前記水酸化アルミニウム粉末の質量比が、好ましくは1.00〜1.50、より好ましくは1.08〜1.40、さらにより好ましくは1.20〜1.33である。
無機充填材は、バインダー全体の含有量を100質量部とした際に、200質量部以上500質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることが好ましく、300質量部以上400質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることがより好ましい。
バインダー全体の含有量を100質量部とした際に無機充填材が200質量部以上となるように前記防食マスチックに含有させることにより、防食マスチックは、難燃性に優れるという利点を有する。
また、バインダー全体の含有量を100質量部とした際に無機充填材が500質量部以下となるように前記防食マスチックに含有させることにより、防食マスチックは、硬くなり難くなり、防食マスチック層を形成する際にハンドリングし易くなるという利点を有する。
前記無機充填材の吸油量は、5mL/100g〜50mL/100gであることが好ましく、より好ましくは10mL/100g〜40mL/100g、さらにより好ましくは20mL/100g〜30mL/100gである。
なお、この“吸油量”とは、本明細書においては、JIS K5101−13−1:2004「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に基づいて測定される値を意味している。
無機充填材の吸油量は、無機充填材を構成する材料や無機充填材における各種材料の配合量によって調整することができる。
前記防食マスチックは、冬場の施工性の観点から、0℃におけるちょう度が30以上であることが好ましく、より好ましくは40以上100以下、さらにより好ましくは50以上90以下である。
また、前記防食マスチックは、夏場の使用などを勘案すると、40℃におけるちょう度が150以下であることが好ましく、より好ましくは50以上130以下、さらにより好ましくは60以上100以下である。
さらに、前記防食マスチックは、展延性に優れ、保護すべき金属製部材の形状に対する追従性に優れたものとし得る点、ならびに、指先やヘラなどを使って表面を容易平滑化し得る点において常温(例えば20℃)におけるちょう度が50以上100以下であることが好ましく、70以上90以下であることがより好ましい。
また、前記防食マスチックは、通常の使用状況において想定される高温(例えば、50℃)において、ちょう度が200以下であることが好ましく150以下であることがより好ましい。
なお、この“ちょう度”とは、本明細書においては、JIS K2235−1991「「石油ワックス 5.10ちょう度試験方法」に基づいて測定される値を意味している。
本実施形態においては、防食マスチックに保形性や難燃性を賦与し得る点、及び、防食マスチックのちょう度を微調整し易い点において無機充填材として水酸化アルミニウム粉末や炭酸カルシウム粉末を含有させているが、本実施形態の防食マスチックは、無機充填材として有機ベントナイトのみを含有させるようにしてもよい。
即ち、無機充填材を有機ベントナイトのみとすると、作製される防食マスチックのちょう度などの特性が液状ポリイソプレンや液状ポリブタジエンとの混合攪拌条件などによって大きく変動するおそれがあることからも本実施形態においては前記のような割合で水酸化アルミニウム粉末や炭酸カルシウム粉末を含有させているが、防食マスチックから油分が分離することを抑制する効果は、その多くが有機ベントナイトによってもたらされるものである。
また、本実施形態においては、油分に適度な粘性を発揮させ得る点において分子末端に水酸基を有する液状ポリイソプレンや液状ポリブタジエンとともに液状ポリαオレフィンを併用する場合を例示しているが、本実施形態の防食マスチックは、油分として液状ポリイソプレンや液状ポリブタジエンのみを含有させるようにしてもよい。
即ち、防食マスチックは、基本的には有機ベントナイト粉末と、分子末端に水酸基を有する液状ポリイソプレンや液状ポリブタジエンとを含有していれば、油分が防食マスチックから分離することを抑制させうるものであり、前記に例示したような全ての成分を含有させる必要はない。
(防食シート層A)
前記防食シート層Aを形成する防食シートは、テープ状に形成されて防食テープ12となっている。
本実施形態に係る防食構造体は、前記防食シート層Aを有することにより、物が当たるなどして防食構造体が剥がれるのを抑制でき、その結果、金属製部材の腐食を抑制することができる。
前記防食シート層Aは、下塗り層C及び防食マスチック層Dの上にテープ状の防食シート(防食テープ)がラップ巻きされて形成されたもので、防食テープがハーフラップされることによって形成されている。
従って、本実施形態の防食構造体1は、図2に示すように防食マスチック層Dに外側から接する第1層A1と該第1層A1に外側から接する第2層A2とを含む2層構造の防食シート層Aを有している。
一方で、本実施形態における防食シート層Aは、金属製部材に対する防食性を発揮させるとともに下塗り材及び防食マスチックを保護する目的で防食構造体1に設けられている。
前記防食シートは、基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンド(第3の防食コンパウンド)を有する。該基材は、多孔質なシート状の基材シートとなっている。
すなわち、前記防食テープ12は、テープ状の基材シート12aに第3の防食コンパウンド12bが含浸、担持されることによって形成されている。
前記基材シートとしては、防食テープ12に適度な強度を与え得るものであれば材質が特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維などからなる織布、不織布などを用いることができる。
また、前記基材シートは、その厚さも特に限定されるものではなく、通常、0.1〜15mm厚さのもの、好ましくは0.2〜12mm厚さのもの、さらに好ましくは0.3〜10mm厚さのものを採用しうる。
前記第3の防食コンパウンドは、油を含むバインダー(A1)と、無機充填材(A2)とを含有する。
また、前記第3の防食コンパウンドは、油として不飽和油を含有することが好ましい。
さらに、前記第3の防食コンパウンドのヨウ素価は、10以上であることが好ましく、20〜50であることがより好ましい。
なお、ヨウ素価の値については、JIS K5421:2000「ボイル油及び煮あまに油」に基づいた測定を実施することによって求めることができる。
また、前記第3の防食コンパウンドは、前記バインダーとしての油及び機能性添加剤と、無機充填材とを含有し、前記油としてのボイル油を含有し、前記機能性添加剤として表面処理材を含有することが好ましい。前記第3の防食コンパウンドは、ボイル油、無機充填材、及び表面処理材を含有することにより、無機充填材と油とが馴染みやすくなり、その結果、防食シート層Aの表面が滑らかになり得る。
また、第3の防食コンパウンドは、バインダー100質量部に対して無機充填材を150〜300質量部含有することが好ましく、200〜250質量部含有することが特に好ましい。
さらに、第3の防食コンパウンドは、油100質量部に対して表面処理材を2〜20質量部含有することが好ましく5〜15質量部含有することが特に好ましい。
第3の防食コンパウンドを構成する防錆剤や無機充填材としては、前記下塗り材として用いられる第1の防食コンパウンドと同様のものを採用することができる。
以下により詳しく各成分について説明する。
(防食シートのバインダーA1)
前記バインダーA1は、油(A1a)、及び、機能性添加剤(A1b)を含有する。
(防食シートの油A1a)
前記油に含有されるボイル油としては、乾燥剤の存在下に上記のような油が加熱処理されてなるヨウ素価が130以上のものが好適である。
該ボイル油は、JIS K5600−2−2:1999「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第2節:粘度」に規定のガードナー形泡粘度計法に基づいて測定される粘度(23℃)が「A1」から「C」の間であることが好ましい。
また、本実施形態において第3の防食コンパウンドに含有させるボイル油としては、ヨウ素価が130〜210であることが好ましく、ヨウ素価が150〜190であることが特に好ましい。
さらに、本実施形態において第3の防食コンパウンドに含有させるボイル油としては、JIS K5601−2−1:1999「塗料成分試験方法−第2部:溶剤可溶物中の成分分析−第1節:酸価(滴定法)」に規定の方法で求められる酸価が2以下であることが好ましい。
本実施形態の第3の防食コンパウンドには、前記油を10〜30質量%含有させることが好ましく、該油分に占める前記ボイル油の割合が30質量%以上であることが好ましい。該ボイル油の前記油に占める割合は、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
即ち、本実施形態の第3の防食コンパウンドは、基油がボイル油であることが好ましい。
本実施形態の第3の防食コンパウンドは、基油が乾性油であることで防食テープ12を使って防食シート層Aを形成させた後に当該防食シート層Aを硬く締まった状態にすることができる。
また、本実施形態の第3の防食コンパウンドは、ボイル油であることで防食テープ12を使って防食シート層Aを形成させた後の乾燥をマイルドなものとすることができる。
防食シート層Aは、マイルドな乾燥が行われることで、急激な乾燥によるひび割れや、内部との性状が大きく異なる表面被膜の形成を防ぐことができ、該被膜が過度に早急に形成されてしまうことによって火脹れ状の発泡が生じることを抑制することができる。
前記油は、菜種油を含有することが好ましい。前記油が菜種油を含有することにより、防食シート層Aの乾燥が抑制され、その結果、防食シート層Aの柔軟性が維持されやすくなる。
前記油に占める前記菜種油の割合が25〜60質量%であることが好ましく、35〜50質量%であることがより好ましい。
前記第3の防食コンパウンドを構成する油としては、ボイル油及び菜種油以外にも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、各種ワックスなどが挙げられる。
なかでも、該油には乾性油が含まれていることが好ましい。
前記第3の防食コンパウンドに含有させる乾性油としては、例えば、アマニ油、ケシ油、桐油、紫蘇油、クルミ油、荏油、紅花油、向日葵油などの油を採用することができる。
前記第3の防食コンパウンドに含有させる乾性油は、その一部又は全部が、コーン油、綿実油、ゴマ油、大豆油などのヨウ素価が100以上130未満の「半乾性油」などと呼ばれるものであってもよい。
また、このような防食シート層Aの乾燥性を調整する目的などにおいて、前記第3の防食コンパウンドには、ツバキ油、オリーブ油、ヒマシ油、ヤシ油などのヨウ素価が100未満の不乾性油を適宜含有させても良い。
(防食シート層Aの機能性添加剤(A1b))
機能性添加剤は、表面処理材を含有することが好ましい。
前記表面処理材は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、及び、アルミネートカップリング剤の少なくとも何れか一のカップリング剤を含有することが好ましい。また、前記表面処理材は、下記式(1)で表されるカップリング剤を含有することがより好ましい。
前記第3の防食コンパウンドは、無機充填材、及び、ボイル油を含有し、表面処理材を更に含有することにより、無機充填材とボイル油とが馴染みやすくなり、その結果、防食シート層Aの表面が滑らかになり得る。また、無機充填材と油とが馴染みやすくなっているので、無機充填材が水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも何れか一方を含有し、前記第3の防食コンパウンドにおける、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの合計含有率が50質量%以上であっても、防食シート層Aの表面が滑らかになり得る。


(ここで、XはSiまたはTiであり、Rは、置換又は非置換の炭素数6以上の炭化水素基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基である。)
前記表面処理材は、前記無機充填材100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましく、2〜6質量部とすることがより好ましい。
さらに、前記第3の防食コンパウンドは、前記機能性添加剤として防錆剤を含有することが好ましい。
前記第3の防食コンパウンドに含まれる防錆剤、無機充填材、表面処理材および油の配合比率などについては適宜に決定し得るものではあるが、油100質量部に対して前記防錆剤を1〜10質量部含有することが好ましく、3〜8質量部含有することが特に好ましい。
また、前記第3の防食コンパウンドは、前記機能性添加剤としてテルペン樹脂を含有することが好ましい。前記機能性添加剤がテルペン樹脂を含有することにより、防食シート層Aのタック性を高めることができる。
前記第3の防食コンパウンドに占める前記テルペン樹脂の割合が3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
第3の防食コンパウンドを構成する無機充填材は、その一部又は全部が水酸化アルミニウム粒子であることが好ましく、50質量%以上が水酸化アルミニウム粒子であることが好ましい。
前記機能性添加剤には、下塗り材と同様に、粘度調整剤、或いは、各種の添加剤をさらにさせることができる。
(防食シート層Aの無機充填材A2)
第3の防食コンパウンドを構成する無機充填材には、水酸化マグネシウム粒子をさらに含有させることもできる。
無機充填材に水酸化アルミニウム粒子と水酸化マグネシウム粒子とを含有させる場合、その合計量は前記油分100質量部に対して100〜250質量部とすることが好ましく、150〜200質量部とすることがより好ましい。
また、水酸化アルミニウム粒子(ATH)と水酸化マグネシウム粒子(MDH)とは、第3の防食コンパウンドにおける比率(質量比)が、1:1〜2:1(ATH:MDH)となるようにして第3の防食コンパウンドに含有させることが望ましい。
さらに、本実施形態においては、防食シート層Aの乾燥性を調整する目的などにおいて、前記第3の防食コンパウンドには、ナフテン酸コバルトやナフテン酸カルシウムといったドライヤーをさらに含有させることができる。
(保護層B(上塗り層B))
前記保護層Bは、基材シートに担持させた第3の防食コンパウンドによって形成された防食シート層Aの表面保護を図るべく防食構造体1の最も表面側に備えられている。
該保護層Bは、上塗り材を防食シート層Aの表面に塗布、乾燥させてなる皮膜によって形成されている。
前記保護層BのUV透過率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。本実施形態に係る防食構造体1は、前記保護層BのUV透過率が1%以下であることにより、前記防食シート層Aにおける不飽和油の重合反応が進み過ぎるのを抑制できる。その結果、防食シート層Aを適度な硬さに維持でき、防食シート層Aのひび割れを抑制できる。そして、金属製部材の腐食をより一層抑制することができる。
なお、前記UV透過率におけるUV(紫外線)は、300nmの波長を意味する。
前記上塗り材は、バインダー(B1)と無機充填材(B2)とを含有し、前記無機充填材が板状粒子を含有することが好ましい。
これにより、保護層Bの形成の際に該板状粒子が保護層の平面方向に沿ったかたちで配向し得る。その結果、板状粒子によって保護層Bのバリア機能が発揮され得る。
前記無機充填材は、前記板状粒子(中実の板状粒子)に加えて、更に、中空粒子を含有することが好ましい。
これにより、保護層の形成の際に中空粒子が保護層Bの表面に密集され得る。その結果、中空粒子によって保護層Bは強度が優れたものとなり得る。
以下により詳しく各成分について説明する。
(保護層BのバインダーB1)
上塗り材に含まれる前記バインダーは、前記皮膜の形成前において常温液状のもので、前記防食シート層Aの表面に塗布された後に乾燥、固化して当該皮膜の主体となるものである。
即ち、本実施形態の保護層Bを構成する前記皮膜は、前記バインダーの固化物によって形成されたマトリックス中に無機充填材を分散させた構造体となっている。
本実施形態の前記バインダーは、重合性モノマー、重合性オリゴマー、及び、ポリマーなどのポリマー成分を有機溶媒に溶解させた溶液や、前記ポリマー成分を水性溶媒に分散させたエマルジョンなどとすることができる。
なお、有機溶媒の種類によっては前記防食シート層Aを溶解したり膨潤させたりするおそれがあることから、前記バインダーは水性エマルジョンであることが好ましい。
前記バインダーを水性エマルジョンとする場合、前記皮膜のマトリックス13aに優れた強度を発揮させ易いことから、該バインダーは、アクリル系ポリマーや、重合反応によってアクリル系ポリマーとなるアクリル系モノマーやアクリル系オリゴマーを水性溶媒に分散させた水性アクリルエマルジョンであることが好ましい。
該アクリル系モノマーとしては、例えば、一般的なアクリル樹脂の構成単位となるアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、アクリル系オリゴマーとしては、例えば、上記アクリル系モノマーが多量体化したものが挙げられる。
前記バインダーを水性アクリルエマルジョンとする場合、該バインダーにはポリメタクリル酸系の高分子界面活性剤をさらに含有させることが好ましい。
前記バインダーを水性アクリルエマルジョンとする場合、造膜助剤を含有させることが好ましい。
上塗り材に含有させる前記造膜助剤としては、例えば、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、エチレングリコール、ジエチレングリコールプロピレングリコール、へキシレングリコール等のアルコール類、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルとプロピレングリコールフェニルエーテルとの混合物、テトラプロピレングリコールのメチルエーテルと高級アルキルエーテルとの混合物等のエーテル類、ベンジルアルコール等があげられる。
(保護層Bの無機充填材B2)
保護層Bは、第1無機物粒子として中空粒子を含み、前記第2無機物粒子として板状粒子を含むため、前記防食シート層Aのように明確な界面を有するものとはならないが、前記皮膜の形成に際して図2に示すような積層構造を形成させることができる。
しかも、本実施形態の上塗り材は、防食シート層Aの表面への塗布、乾燥という単純なプロセスによって図2に示すような3層の積層構造を有する皮膜を簡単に形成させ得る。
この点に関し、図3を参照しつつ説明すると、防食シート層Aを形成する防食テープ12の表面にスクレーパーSCなどによって上塗り材13xを塗り広げる際には、該上塗り材13xにはスクレーパーSCによるせん断力が加わり、該上塗り材13xのせん断方向(防食シート層Aの表面に平行する方向)に前記板状粒子13bが配向する。
即ち、上塗り材13xによって形成されたウェット塗膜においては、板状粒子13bが防食シート層Aの表面と対向する配置になり易い。
また、防食シート層Aの表面に上塗り材が塗り広げられた際には、バインダーの凝集力が中空粒子13cに対する斥力となって作用し、該中空粒子13cが、ウェット塗膜の表層部に追いやられることになる。
さらに、内包する空隙を含めた中空粒子の見掛け密度がバインダーの密度よりも低い場合、中空粒子は、浮力の作用によって塗膜表面に移動し易い。
そして、中空粒子が塗膜表面に移動するのに伴い、板状粒子が防食シート層Aの表面に向けて沈降する。
ここでウェット塗膜の表面には、中空粒子による凹凸が形成されて大きな表面積が確保される。
従って、本実施形態においては、前記凹凸によってウェット塗膜が乾燥状態の皮膜を形成するまでのスピードが向上されることになる。
本実施形態においては、このような簡便な方法によって図2に示すような3層の積層構造を前記皮膜に形成させ得る。
該皮膜の3層構造の内、防食シート層Aの表面に接する第1層B1は、前記のようなことから板状粒子13bの濃度(質量%)が他の2層に比べて相対的に高く、前記皮膜の表層部となる第3層B3は、前記中空粒子13cの濃度(質量%)が他の2層に比べて相対的に高くなっている。
従って、該皮膜の3層構造の内、厚み方向中央部を成す第2層B2は、前記マトリックス13aの濃度(質量%)が他の2層に比べて相対的に高くなっている。
上記のように本実施形態の防食構造体1は、最表面に第3層B3を有し、表面に中空状の無機物粒子を密集させた状態となっているため、優れた表面滑性と表面強度とを有する。
さらに、本実施形態の防食構造体1は、最表面に中空状の無機物粒子を密集させているため断熱性にも優れている。
このような優れた表面硬度を防食構造体1に発揮させる上において、前記中空粒子13cは、球状粒子であることが好ましく、ガラスバルーンであることが好ましい。
該ガラスバルーンとしては、ソーダガラス、シリカ、アルミノシリケート(シラス、フライアッシュ)などを原材料とした球状粒子で、レーザー回折式粒度分布測定装置によって求められるメジアン径(D50)が5〜500μmのものが好ましく、250μm篩による篩残分が5質量%以下となる粒度を有していることが好ましい。
本実施形態の防食構造体1は、防食シート層Aの表面に沿って配向した板状粒子13bが、防食シート層Aの近傍において密集している。
該板状粒子13bは、遮光性やガスバリア性などに有効に作用する。
即ち、本実施形態の防食構造体1は、防食シート層Aを構成する第3の防食コンパウンドの成分が、保護層Bを通過して当該防食構造体1の外表面に滲出することを前記板状粒子13bによって抑制させ得る。
防食シート層Aに含有させることが好ましい前記乾性油は、不飽和結合を多く含み、該不飽和結合の切断による重合反応の進行によって乾燥状態を呈する性質を有する。
従って、本実施形態の防食構造体1は、防食シート層Aを前記のような第3の防食コンパウンドによって形成させた場合でも前記板状粒子13bを第1層B1に密集させた皮膜を有するため、太陽光などによる外部からの光エネルギーが前記防食シート層Aに到達することを抑制し得る。
即ち、本実施形態の防食構造体1は、防食シート層Aが光エネルギーによって必要以上に硬化するおそれが低い。
このように本実施形態の防食構造体1は、屋外などの環境温度が大きく変化し、且つ、太陽光が照射される機会が多い場所に設けられた場合でも、下塗り層Cの感温性が低いばかりでなく、上塗り層Bが遮光性を発揮することで金属製部材20からの脱落防止が図られている。
なお、このような効果を発揮させる上において、前記板状粒子は、金属粒子や金属酸化物粒子であることが好ましく、酸化鉄粒子であることが好ましい。
また、板状粒子13bは、平均長さ(Lave)が10〜200μmであることが好ましく、平均厚み(tave)に対する平均長さ(Lave)の比率(Lave/tave)が5倍以上30倍以下であることが好ましい。
板状粒子13bの平均長さ(Lave)や前記比率(Lave/tave)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察などによって求めることができる。
より詳しくは、板状粒子13bを5000倍程度の倍率でSEM観察して平面方向が観察方向と略平行となっている(直立状態の)粒子を探し出し、該粒子のSEM観察方向での輪郭形状を求め、該輪郭形状における最長寸法を当該粒子の長さ(L)として求めることができる。
また、前記輪郭形状の面積を前記長さ(L)で除して前記粒子の厚み(t)を求めることができる。
そして、無作為に選択した10個以上の粒子について長さ(L)と厚み(t)とを求め、それらを算術平均することによって板状粒子13bの平均長さ(Lave)と平均厚み(tave)とを求めることができる。
なお、前記上塗り材は、前記板状粒子13bや前記中空粒子13cを、前記皮膜13におけるそれぞれの質量割合が10〜30質量%となるように含有することが好ましい。
本実施形態の上塗り材には、板状粒子13bや中空粒子13c以外にも第3の無機物粒子(第3無機物粒子)を含有させても良い。
該第3無機物粒子としては、例えば、フュームドシリカなどのような中実の球状粒子が挙げられる。
該フュームドシリカは、バインダーに対する増粘作用を発揮し、防食シート層Aの表面に塗工した上塗り材が硬化して皮膜を形成するまでの間に液ダレが生じることを抑制する効果を発揮する。
該効果をより顕著に発揮する点において、フュームドシリカは、BET法による比表面積が90〜300m/gであることが好ましい。
なお、BET法による比表面積は、JIS Z8830:2013(ガス吸着による粉体(固体)のBET比表面積測定方法)に従って測定した値を意味する。
前記上塗り材は、防食テープ上での良好なる展延性を発揮させる上において固形分濃度が50質量%以上70質量%以下であることが好ましく、60質量%以上65質量%以下の固形分濃度を有することがより好ましい。
前記上塗り材は、塗工時における液ダレを防止する上においてフュームドシリカを含有させることが好ましく、1〜5質量%の割合でフュームドシリカを含有させることが好ましく、無機物粒子に占めるフュームドシリカの割合を2〜4質量%とすることが好ましい。
上塗り材は、分離し難く、液ダレし難く、且つ、ひび割れが生じ難いものとなるという観点では、以下の構成となっていることが好ましい。
すなわち、上塗り材は、板状粒子と、フュームドシリカとを備えることが好ましい。
また、上塗り材の板状粒子では、平均厚みに対する平均長さの比率が、好ましくは7〜15である。
さらに、上塗り材のフュームドシリカでは、BET比表面積が、好ましくは100〜400m/g、より好ましくは150〜300m/gである。
前記上塗り材は、乾燥皮膜における無機物粒子の割合、即ち、上塗り材における有機固形分と無機固形分との合計に占める無機固形分の割合が高いほど強度に優れた保護層Bの形成に有利となる一方で該保護層Bにひび割れなどを生じさせ易くなる。
そのため、前記上塗り材における有機固形分と無機固形分との合計に占める無機固形分の割合は、50質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
また、無機固形分全体を100質量%とした際に、前記板状粒子13bや前記中空粒子13cは、両者の合計量が70質量%以上90質量%以下となるように上塗り材に含有させることが好ましい。
本実施形態の上塗り材は、中空粒子13cを含むことで防食テープ上に塗布した際に表面に微小な凹凸が形成されて当該表面における溶媒の揮発性に優れるとともに前記造膜助剤を含有させることで表面に素早く皮膜形成をさせることができる。
即ち、本実施形態の上塗り材は、前記造膜助剤を含有させることで表面乾燥性に優れたものとなる。
前記造膜助剤は、上塗り層Bのひび割れ防止にも有効であり、上塗り材に占める割合が5質量%以上であることが好ましい。
なお、前記造膜助剤を過度に含有させることはあまり好ましいことではない。
そのため、前記造膜助剤は、上塗り材に占める割合が10質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の上塗り材は、防食構造体1の最表面を構成するものであるため、上記以外に紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させることが好ましい。
また、上塗り材にさらに各種添加剤等を含有させ得る点については、前記第3の防食コンパウンドや下塗り材と同じである。
なお、本発明に係る防食構造体は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る防食構造体は、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明に係る防食構造体は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
次に試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験例1>
(防食構造体の形成)
はじめに、比較対象となる防食構造体(以下、「防食構造体A」という)を形成した。
この防食構造体Aで保護する金属製部材には、100Aの鋼管を用いた。
防食構造体Aの下塗り層の形成には、ペトロラタム、酸化ペトロラタム、ワセリン、鉱油が略等量配合されたペーストを用いた。
該ペーストを鋼管の表面に300g/mの塗布量となるように塗布して下塗り層を形成させた。
防食構造体Aの形成に際しては、この下塗り層の上に防食テープをハーフラップによって巻きつけて中間層を形成させた。
また、防食構造体Aの形成に際しては、アクリルエマルジョンと造膜助剤とを含む液をポリエステル不織布基材に含浸させたテープ(以下、「エマルジョンテープ」という)を用いて上塗り層を形成した。
そして、防食構造体Aの形成に際しては、このエマルジョンテープを巻きつける前に、防食テープの外周に17μmの厚みを有するポリプロピレン樹脂テープを巻きつけ、中間層と上塗り層との間を遮断する遮断層をポリプロピレン樹脂テープにより形成した。
次いで、このような防食構造体Aとは別に防食構造体(以下、「防食構造体B」という)を作製した。
この防食構造体Bは、100Aの鋼管を金属製部材として利用している点においては、防食構造体Aと同じである。
一方で、防食構造体Bの下塗り層には、ポリブテンが約60質量%、有機ベントナイト粒子が約10質量%、タルク粒子が約25質量%の割合で含まれ、残部が防錆剤等からなる下塗り材を用いた。
そして、防食構造体Bの形成に際しては、この下塗り層(下塗り材:約300g/m)の上に防食テープをハーフラップして中間層を形成させ、ポリプロピレン樹脂テープによる遮断層を設けることなく上塗り層を形成した。
なお、上塗り層の形成には、水性アクリルエマルジョン、造膜助剤、フライアッシュバルーン(中空粒子:平均粒子径約150μm、最大粒子径約400μm、嵩密度0.7g/cm)、雲母状酸化鉄(板状粒子:平均長さ約50μm、平均厚み約5μm)、及び、フュームドシリカを含み、固形分濃度が60質量%強(有機固形分:無機固形分≒4:6、質量比)で、有機成分の主体が前記水性アクリルエマルジョンに含まれるアクリル樹脂であり、無機固形分の約80質量%がフライアッシュバルーンか雲母状酸化鉄かの何れかで、フライアッシュバルーンと雲母状酸化鉄との質量比が概ね2:3である上塗り材を用いた。
また、上塗り層のUV透過率(UVの波長:300nm)は、1%以下であった。
(作業性)
防食テープは、通常、寒冷地などでの施工時においても被着体に良好なる接着性を発揮させるべく常温においてはベタツキが感じられるものになっている。
そのため、防食構造体Aの形成に際しては、ポリプロピレン樹脂テープを巻きつけた上でエマルジョンテープを巻きつけている。
一方、防食構造体Bの上塗り材は、液状であるために防食テープに直接塗布して上塗り層を形成することが容易であった。
即ち、防食構造体Bは、防食構造体Aに比べて作製容易なものであった。
(ブリードアウト評価)
穴径(直径)2mmのポンチを使い、防食構造体A、防食構造体Bの双方に鋼管に到達する穴を開けて試験体とした。
この試験体を鋼管の長さ方向が水平方向となり、且つ、穴が下向きになるようにギアオーブン中にセットし、90℃の温度で3ヶ月間加熱した。
その結果、防食構造体Aの方では、試験開始後まもなく下塗り材のブリードアウトが観測されたが防食構造体Bではブリードアウトが観測されなかった。
(ヒートサイクル試験)
防食構造体B(ポンチで穴を開けていないもの)を用いてヒートサイクル試験を実施した。
試験では、「40℃×4時間」と「110℃×4時間」との合計8時間を1サイクルとし、50サイクルのヒートサイクルを防食構造体Bに加えた。
その結果、防食構造体Bにはブリードアウトやその他の外観上での異常は全く見られなかった。
(低温ひび割れ試験)
金属製部材を25Aの鋼管に変更し、防食構造体Aと同様の構成を有する防食構造体(以下、「防食構造体a」という)、及び、防食構造体Bと同様の構成を有する防食構造体(以下、「防食構造体b」という)を作製した。
この防食構造体a及び防食構造体bは、気温2℃で降雪が見られる冬場の屋外において作製した。
防食構造体a及び防食構造体bを、そのまま屋外に一晩放置し、翌日、それぞれの状態を確認した。なお、これらを放置した日の夜間の気温は、−4℃であった。
結果、防食構造体aでは、表面に多くのひび割れが見られたのに対して防食構造体bでは殆どひび割れは見られなかった。
(上塗り材の配合検討)
防食構造体Bに関し、上塗り材の配合を変更することを検討した。
はじめに、上塗り材の約1割に相当する加水を行って水分量を増大させた以外は防食構造体Bの形成に用いた上塗り材(以下、「上塗り材#0」という)と同じ配合の上塗り材(以下「上塗り材#1」という)を作製した。
この上塗り材#1は、固形分濃度が60質量%弱で、防食テープ上での塗工性に優れるものであったが液ダレを生じやすく均一な厚みの上塗り層を形成するのが困難なものであった。
また、上塗り材#1の調製に際しては、早い段階でフュームドシリカを添加してチキソトロピーが発揮されることを期待したが当該上塗り材#1の評価においては、上記のように液ダレが生じる結果となった。
次いで、加水の割合を約1割ではなく約0.8割(約8分)とした上塗り材(以下、「上塗り材#2」という)を作製した。
この上塗り材#2の評価でも、上塗り材#1に比べると軽微であるが液ダレが生じた。
次に、水分量は上塗り材#0と同じで、用いるフライアッシュバルーンの種類が異なる上塗り材を作製した。
ここで用いたフライアッシュバルーンは、上塗り材#0で用いたフライアッシュバルーンよりも粗大な粒子が多く含まれているものであった。
このフライアッシュバルーンを篩残分(粗粒)と篩通過分(細粒)とに250μmメッシュで篩い分けした。
篩残分を使った上塗り材(以下、「上塗り材#3」という)、篩通過分を使った上塗り材(以下、「上塗り材#4」という)、及び、篩い分けを行わず前記のフライアッシュバルーンをそのまま使った上塗り材(以下、「上塗り材#5」という)の3種類の上塗り材を調製した。
この上塗り材#3〜上塗り材#5は、上塗り層の形成に際し、優れた塗工性を示すとともに液ダレが生じなかった。
ただし、上塗り材#3、及び、上塗り材#5によって形成させた上塗り層は、粗大粒子の存在が原因と見られる凹凸が表面に観察され、上塗り材#4によって形成させた上塗り層に比べ外観が劣るものであった。
この上塗り材#4に対して約4分の加水を行った上塗り材(以下、「上塗り材#6」という)、及び、上塗り材#4に対して約0.4割(約4分)の加水を行うとともに造膜助剤の増量を行った上塗り材(以下、「上塗り材#7」という)を作製した。
なお、上塗り材#6、及び、上塗り材#7の固形分濃度は、約60質量%であり、上塗り材#6の造膜助剤の濃度が5質量%弱であるのに対して上塗り材#7の造膜助剤の濃度は、5質量%強であった。
上塗り材#6、及び、上塗り材#7は、何れも液ダレがなく、上塗り層の形成に際して優れた塗工性を示すものであった。
ただし、上塗り材#1〜上塗り材#7に対し、上塗り層の形成後、5℃の環境下で8時間保持する評価を行ったところ、上塗り材#6によって形成させた上塗り層だけ表面に割れが見られた。
以上のことから、固形分濃度が60質量%以上で、造膜助剤の濃度が5質量%以上であることが、ウェット塗膜及び乾燥皮膜を良好な状態とする上において有利なことが確認できた。
(耐候性評価)
前記の防食構造体Bを模擬し、スガ試験機社製カーボンアーク式耐候性試験機「サンシャインウェザオメータ」によって耐候性を評価するための試験体を形成させた。
具体的には、図4に示すようなものを用意した。
なお、図4の左図は、耐候性試験の試験体の平面図であり、右図は左図のI−I線矢視断面図を示したものである。
この図にも示されているように、耐候性試験の試験体の作製に際しては、厚み0.6mm×幅70mm、長さ150mmのステンレス板BP(材質:SUS304)を用意し、このステンレス板BPの中央部に正方形の鋼板SPを置き、その上から該鋼板SPの全体を下塗り材で覆うようにして50mm×100mmの範囲に下塗り層Cを形成させた。
この下塗り層Cの上に、同じ面積(50mm×100mm)の防食テープを2枚積層して防食シート層Aを形成し、さらにその上から上塗り材で上塗り層Bを形成させた。
なお、この防食テープの防食コンパウンドは、ボイル油と菜種白絞油と水添テルペン樹脂とが混合されたものである。ボイル油と菜種白絞油と水添テルペン樹脂との質量比が、1:1:2となっている。
また、上塗り層のUV透過率(UVの波長:300nm)は、1%以下であった。
この試験体を「サンシャインウェザオメータ」の試料ホルダに取り付け、ブラックパネル温度63℃、降雨条件120分中18分として1000時間の耐候性試験を実施した。
試験後に上塗り層Bの表面状態やブリードアウトを観察した後、試験体を解体して内部の鋼板におけるサビの発生を確認した。
その結果、上塗り層Bについては、外観上、カーボンアークの照射による劣化が特に見られなかった。
また、試験体からのブリードアウトは、見られなかった。
さらに、試験体から取り出した鋼板は、サビが発生していなかった。
このことから当該防食構造体が優れた耐候性を有し、実使用において優れた防食性能を長期持続的に発揮し得るものであることが確認できた。
<試験例2>
下記材料を用いて下記表1に示す下塗り材を作製した。
ポリブテンA:数平均分子量640
ポリブテンB:数平均分子量1500
ベントナイトA:有機処理有
ベントナイトB:処理無
タルクA:メジアン径250μm
タルクB:メジアン径50μm
防錆剤
(防食構造体の作製)
防食構造体を形成した。
この防食構造体で保護する金属製部材には、100Aの鋼管を用いた。
防食構造体の下塗り層の形成には、下記表1の下塗り材を用いた。
該下塗り材を鋼管の表面に300g/mの塗布量となるように塗布して下塗り層を形成させた。
また、この下塗り層の上に防食テープをハーフラップによって巻きつけて中間層を形成させた。
さらに、アクリルエマルジョンと造膜助剤とを含む液をポリエステル不織布基材に含浸させたテープ(以下、「エマルジョンテープ」という)を用いて上塗り層を形成した。
そして、このエマルジョンテープを巻きつける前に、防食テープの外周に17μmの厚みを有するポリプロピレン樹脂テープを巻きつけ、中間層と上塗り層との間を遮断する遮断層をポリプロピレン樹脂テープにより形成した。
そして、試験例の下塗り材ごとに下記の評価試験を行った。結果を表1に示す。
(ブリードアウトのし難さ)
穴径(直径)2mmのポンチを使い、防食構造体に鋼管に到達する穴を開けて試験体とした。この試験体を鋼管の長さ方向が水平方向となり、且つ、穴が下向きになるようにギアオーブン中にセットし、90℃の温度で3ヶ月間加熱した。
○:下塗り材の垂れは観察されず、また、表面への下塗り材のにじみも観察されなかった。
△:下塗り材の垂れは観察されなかったが、表面への下塗り材のにじみが観察された。
×:下塗り材の垂れが観察された。
(施工性)
鋼管に下塗り材を塗りつけた際の下塗り材の伸び度合(目視による評価)
○:十分に伸びる
△:少し伸びる
×:伸びない
表1に示すように、試験例2−5の下塗り材を用いた防食構造体では、ブリードアウトが観察されなかった。また、試験例2−5の下塗り材は、施工性が良好であった。
<試験例3>
下記表2、3に材料を用いて表2、3に示す防食マスチックを作製した。
そして、下記評価試験を行った。結果を表2、3に示す。
(ちょう度)
防食マスチックの0℃、20℃、40℃におけるちょう度は、上述した方法で測定した。
(スランプ試験)
前記防食マスチックの熱変形性に関し、図5に模式的に示すような方法で評価試験を行った。
まず、防食マスチックの塊から、カッターナイフを使って25mm×25mm×100mmの角棒状試料を切り出し評価用試料(S)とした。
次いで、25mm×25mmのL形アングル材(L)を2本用意し、これを図5に示すように天面が略水平となっている作業台(D)の上に50mmの距離を隔てて平行に配置した。
次いで、評価用試料Sを長手方向が前記アングル材Lと直交する方向となるようにアングル材Lの上に載せ、当該評価用試料Sを2本のアングル材Lによってそれぞれ端から約25mm内側の位置を支持させるようにした。
この状態で、雰囲気温度を80℃とし、12時間後の変形の程度を観察した。
変形の程度については、2本のアングル材Lの間において、防食マスチックが最も垂れ下がった距離(変形距離)を測定した。
油分100質量部に対して有機ベントナイト粉末を20質量部以上含有し、且つ、炭酸カルシウム粉末に対する水酸化アルミニウム粉末の質量比が1.08〜1.33である試験例3−1〜3−8の防食マスチックでは、試験例3−9、3−11、3−12に比べて、スランプ試験における変形距離が小さかった。
よって、試験例3−1〜3−8の防食マスチックは、表面温度が高温(例えば80℃)となる配管のパテ埋めなどへの利用に適したものであることが分かる。
また、試験例3−1〜3−8の防食マスチックでは、試験例3−10、3−12に比べて、0℃におけるちょう度が高く、30以上であった。
よって、試験例3−1〜3−8の防食マスチックは、冬場の施工に優れたものであることが分かる。
さらに、試験例3−1〜3−8の防食マスチックでは、試験例3−9、3−11に比べて、40℃におけるちょう度が低く、150以下であった。
よって、試験例3−1〜3−8の防食マスチックは、夏場での使用に適したものであることが分かる。
<試験例4>
下記材料を用いて下記表4、5に示す上塗り材を作製した。
なお、フライアッシュバルーンは、篩残分(粗粒)と篩通過分(細粒)とに250μmメッシュで篩い分けした。
水性アクリルエマルジョン
フライアッシュバルーンA:篩い分けをしていないもの
フライアッシュバルーンB:篩通過分(細粒)
フライアッシュバルーンC:篩残分(粗粒)
アルミノシリケート系中空バルーン(フィライト52/7FG)
板状粒子A:平均長さ120μm、平均厚みに対する平均長さの比率が10である雲母状酸化鉄
板状粒子B:平均長さ50μm、平均厚みに対する平均長さの比率が3である雲母状酸化鉄
炭酸カルシウム
フュームドシリカA:BET比表面積200m/g
フュームドシリカB:BET比表面積50m/g
造膜助剤

その他添加剤
そして、下記評価試験を行った。結果を表4、5に示す。
(粘度)
粘度については、B型粘度計(単一円筒形回転粘度計)(ローター:No.3)によって、回転数が20rpmのとき、及び、回転数が2rpmであるときにおける粘度を測定した(JIS Z8803:2011)。
また、チクソトロピーインデックス(TI値)は、下記式で求めた。
TI値 = 2rpmでの粘度 / 20rpmでの粘度
(分離のし難さ)
試験例の上塗り材を5℃下に12時間置いた。そして、分離のし難さを目視した。
×:目視で大きく分離しているのを確認した。
○:×以外。
(液ダレのし難さ、及び、ひび割れのし難さ)
5℃下で、垂直方向に延びる円柱物にテープを巻き、テープ表面に試験例の上塗り材を塗布した。
そして、液ダレのし難さを目視で確認した。
○:液ダレが確認されなかった。
△:微量の液ダレが確認された。
×:「△」評価よりも多い液ダレが確認された。
また、塗布後8時間5℃下で上塗り層を放置し、上塗り層のひび割れの有無を目視で確認した。
○:ひび割れが確認されなかった。
△:少しひび割れが確認された。
×:「△」評価よりも多いひび割れが確認された。
(塗装外観)
常温(25℃)下で、垂直方向に延びる円柱物にテープを巻き、テープ表面に試験例の上塗り材を塗布した。そして、4時間後外観を目視した。
×:ひび割れが確認された。
△:ひび割れが確認されなかったが、表面が粗かった。
○:×、△以外
(総合評価)
×:×となる項目が一つでもある場合
△:すべての項目で×がなく、且つ、△となる項目が一つでもある場合
○:すべての項目で○の場合
表4に示すように、平均厚みに対する平均長さの比率が7〜15である板状粒子、及び、BET比表面積が100〜400m/gであるフュームドシリカを備える試験例5−1〜5−5の上塗り材は、分離し難く、液ダレし難く、且つ、ひび割れが生じ難いものであることが分かる。
また、表4、5に示すように、試験例5−1〜5−5の上塗り材は、水の含有割合が高い試験例5−9、5−10に比べて、分離し難く、且つ、液ダレし難いことが分かる。

Claims (20)

  1. 金属製部材を覆う防食シート層Aと、該防食シート層Aを覆う保護層Bとを備えた防食構造体であって、
    前記防食シート層Aは、防食シートで形成され、
    前記防食シートは、基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、
    前記防食シートは、前記防食コンパウンドとして不飽和油を含有し、
    前記保護層Bは、上塗り材によって形成され、
    前記保護層BのUV透過率が1%以下である、防食構造体。
  2. 前記防食シートにおける前記防食コンパウンドのヨウ素価が10以上である、請求項1に記載の防食構造体。
  3. 前記防食シートにおける前記防食コンパウンドのヨウ素価が10〜50である、請求項2に記載の防食構造体。
  4. 前記上塗り材は、無機充填材及びバインダーを含有し、前記無機充填材として板状粒子を含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の防食構造体。
  5. 前記上塗り材は、前記無機充填材として中空粒子を更に含有する、請求項4に記載の防食構造体。
  6. 前記防食シートは、前記防食コンパウンドとして、無機充填材及びバインダーを含有し、前記バインダーとして、ボイル油及び表面処理材を含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の防食構造体。
  7. 前記防食シートは、前記無機充填材として、水酸化マグネシウム粒子及び水酸化アルミニウム粒子の少なくとも何れか一方の粒子を含有し、
    前記防食シートの前記防食コンパウンドにおける水酸化マグネシウム粒子及び水酸化アルミニウム粒子の合計含有率が50質量%以上である、請求項6に記載の防食構造体。
  8. 前記防食シートは、前記バインダーとして、菜種油及びテルペン樹脂をさらに含有する、請求項6又は7に記載の防食構造体。
  9. 前記防食シートは、前記表面処理材として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、及び、アルミネートカップリング剤の少なくとも何れか一のカップリング剤を含有する、請求項6〜8の何れか1項に記載の防食構造体。
  10. 前記カップリング剤は、下記式(1)で表されるカップリング剤を含有する、請求項9に記載の防食構造体。


    (ここで、XはSiまたはTiであり、Rは、置換又は非置換の炭素数6以上の炭化水素基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基である。)
  11. 防食ペーストで形成されている防食ペースト層Cを更に備えており、
    前記防食ペースト層Cは、前記防食シート層Aよりも前記金属製部材側に形成され、前記金属製部材の表面に接し、
    前記防食ペーストは、無機充填材及びバインダーを含有し、該無機充填材として、有機化処理されたベントナイト粒子を含有し、前記バインダーとして、ポリブテン及び防錆剤を含有する、請求項1〜10の何れか1項に記載の防食構造体。
  12. 防食マスチックで形成されている防食マスチック層Dを更に備えており、
    前記防食マスチック層Dは、前記防食シート層Aよりも前記金属製部材側に形成されており、
    前記防食マスチックは、無機充填材及び油分を含有し、
    前記油分が液状ゴムを含有し、
    前記防食マスチックにおける該無機充填材の吸油量が10mL/100g〜50mL/100gであり、
    0℃における、前記防食マスチックのちょう度が30以上であり、
    40℃における、前記防食マスチックのちょう度が150以下である、請求項1〜11の何れか1項に記載の防食構造体。
  13. 前記無機充填材は、有機化処理された有機ベントナイト粉末を含有する、請求項12に記載の防食構造体。
  14. 防食マスチックで形成されている防食マスチック層Dを更に備えており、
    前記防食マスチック層Dは、前記防食シート層Aよりも前記金属製部材側に形成されており、
    前記防食マスチックは、無機充填材及び油分を含有し、
    前記油分が液状ゴムを含有し、
    前記無機充填材は、有機化処理された有機ベントナイト粉末と、水酸化アルミニウム粉末と、炭酸カルシウム粉末とを含有し、
    前記防食マスチックは、油分100質量部に対して、前記有機ベントナイト粉末を10質量部以上含有し、
    前記防食マスチックでは、前記炭酸カルシウム粉末に対する、前記水酸化アルミニウム粉末の質量比が、1.00〜1.50である、請求項1〜12の何れか1項に記載の防食構造体。
  15. 前記油分100質量部に対して、前記有機ベントナイト粉末が10質量部以上35質量部以下含有されている、請求項13又は14に記載の防食構造体。
  16. 前記防食マスチックは、活性水素を有する官能基を備えた活性水素含有有機化合物を含有する、請求項12〜15の何れか1項に記載の防食構造体。
  17. 前記活性水素含有有機化合物が、水酸基を有する水酸基含有有機化合物を含有し、
    前記液状ゴムは、液状ポリイソプレン及び液状ポリブタジエンの少なくとも一方を含有する、請求項16に記載の防食構造体。
  18. 前記液状ゴムの一部又は全部が、水酸基含有有機化合物であり、
    該水酸基含有有機化合物は、分子末端に水酸基を有する液状ポリイソプレンと、分子末端に水酸基を有する液状ポリブタジエンとの少なくとも一方を含有する、請求項17に記載の防食構造体。
  19. 前記液状ゴムは、液状ポリαオレフィンを含有する請求項12〜18の何れか1項に記載の防食構造体。
  20. 前記油分100質量部に対し、前記無機充填材が300質量部以上500質量部以下含有されており、
    前記無機充填材が、水酸化アルミニウム粉末、及び、炭酸カルシウム粉末を含有し、
    前記油分100質量部に対し、前記水酸化アルミニウム粉末が150質量部以上300質量部以下含有されており、
    前記油分100質量部に対し、前記炭酸カルシウム粉末が100質量部以上200質量部以下含有されている、請求項12〜19の何れか1項に記載の防食構造体。
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