JP7258522B2 - 伸縮継手、伸縮継手の防食方法および伸縮継手のメンテナンス方法 - Google Patents
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Description
図1は、伸縮継手の一例を示すための斜視図である。
図1に示す伸縮継手10は、高温の流体が流通する一対のダクト(図示せず)の間を伸縮可能に接続するものであって、一対の継手フランジ部7a、9aと、金属製のフレーム部7b、9bと、筒状のベローズ11とを備えている。一対の継手フランジ部7a、9aおよびベローズ11は、適用対象となる物件のダクト配管の形状に合わせて、図1に示されるように円筒形に構成されていたり、あるいは図示しない角筒形に構成されていたりする。ベローズ11は、伸縮継手の両端部(ダクト配管との接続面)間の距離が、接続するダクト配管の離間距離よりも十分長くなるのに必要な寸法を有している。そして、ベローズ11を弛ませた状態で伸縮継手をダクト間に取付けることにより、ダクト系の熱伸縮、軸変位および振動等を吸収することができる。
すなわち本発明は、以下の通りである。
1.高温の流体が流通する一対のダクトの間を伸縮可能に接続する、伸縮継手であって、
前記伸縮継手は、前記ダクトと接続するための一対のフランジと、ベローズおよび断熱材を保持する金属製のフレーム部とを有し、
前記フレーム部の流体側内面には、下塗り防食塗装、防食テープおよび上塗り防食塗装をこの順で備えた防食層が設けられていることを特徴とする伸縮継手。
2.前記防食テープは、前記下塗り防食塗装および/または前記上塗り防食塗装に用いる塗料と同一の塗料を、無機繊維織布に含浸させたものであることを特徴とする前記1に記載の伸縮継手。
3.前記無機繊維織布が、ガラス繊維織布またはアルミナ繊維織布であることを特徴とする前記2に記載の伸縮継手。
4.前記下塗り防食塗装および前記上塗り防食塗装に用いる塗料が、少なくとも耐熱シリコン樹脂、防錆顔料、着色顔料および体質顔料を含み、これらを有機溶剤または水に分散させたものであることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載の伸縮継手。
5.設置時に下側となるドレンが溜まりやすい部位の少なくとも1部に、ドレン排出構造を備えることを特徴とする前記1~4のいずれかに記載の伸縮継手。
6.高温の流体が流通する一対のダクトの間を伸縮可能に接続する、伸縮継手の防食方法であって、
前記伸縮継手は、前記ダクトと接続するための一対のフランジと、ベローズおよび断熱材を保持する金属製のフレーム部とを有し、
前記フレーム部の流体側内面に、下塗り防食塗装、防食テープおよび上塗り防食塗装をこの順で備えた防食層を設ける工程を有することを特徴とする伸縮継手の防食方法。
7.高温の流体が流通する一対のダクトの間を伸縮可能に接続する、使用中または使用済の伸縮継手のメンテナンスに適用する防食方法であって、
前記伸縮継手は、前記ダクトと接続するための一対のフランジと、ベローズおよび断熱材を保持する金属製のフレーム部とを有し、
前記フレーム部の流体側内面に、下塗り防食塗装、防食テープおよび上塗り防食塗装をこの順で備えた防食層を設ける工程を有することを特徴とするメンテナンスに適用可能な伸縮継手の防食方法。
また、本発明のメンテナンス方法によれば、多少の腐食が進行している既存の伸縮継手に対しても、メンテナンスに絡めて同様の防食層を設けることにより、その後の使用においては内部流体のドレンおよび腐食性ガスによる腐食を良好に防止できる。
以上から、本発明によれば、コストや施工性に悪影響を及ぼすことなく、ドレンや腐食性ガスによる金属部材の腐食を良好に防止できる伸縮継手およびそのメンテナンスにも適用可能な防食方法並びにメンテナンス方法を提供できる。
図3は、本発明の伸縮継手の一実施形態の縦断面図である。
伸縮継手1は、上流側ダクト3及び下流側ダクト5の間に配設され、一対のフランジ付き継手本体7、9と、これら一対の継手本体7、9を連結する筒状のベローズ11と、ベローズ11の内側に配置された複数の断熱材13、15、17、19、21とを備える。一対の継手本体7、9はそれぞれ、対応するダクト3、5に接続するような管状部材からなる。第1の継手本体7の上流側には、継手フランジ部7aが形成されている。一方、上流側ダクト3の下流側にも同様なダクトフランジ部3aが形成されており、継手フランジ部7aとダクトフランジ部3aとを締結手段23などにより接続することにより第1の継手本体7は上流側ダクト3に気密に接続されている。また、第2の継手本体9の下流側及び下流側ダクト5の上流側にも同様な継手フランジ部9a及びダクトフランジ部5aが形成されており、これら継手フランジ部9a及びダクトフランジ部5aを締結手段23などにより接続することにより、第2の継手本体9は下流側ダクト5に気密に接続されている。
下塗り防食塗装522の厚さとしては、例えば70μm~200μmであり、100μm~150μmが好ましい。
このような無機繊維織布は、1m2あたり、50~400gであるのが好ましく、100~300gであるのがさらに好ましい。
防食テープ524の幅としては、例えば10mm~300mmであり、50mm~200mmが好ましい。
防食テープ524の厚さとしては、例えば0.1mm~1.0mmであり、0.3mm~0.7mmが好ましい。
防食テープ524は、下塗り防食塗装522を介して、1層として、あるいは複数層重ねてフレーム部7b、9bの流体側内面に貼着することにより設置することができる。
上塗り防食塗装526の厚さとしては、例えば50μm~200μmであり、70μm~120μmが好ましい。
なお、下塗り防食塗料および/または上塗り防食塗料と同一の塗料を、施工前に予め無機繊維織布に含浸させておき、これを防食テープとして用いてもよい。この形態によれば、下塗り防食塗装522、防食テープ524および上塗り防食塗装526間の密着性が良好となり、耐熱性、施工性等をさらに高めることができる。この形態において、下塗り防食塗料および/または上塗り防食塗料の含浸量は、防食テープ1m2あたり、400~1,200gであるのが好ましく、400~800gであるのがさらに好ましい。
上記形態では、防食層52の厚さは、例えば1,200μm~2,000μmであり、1,200μm~1,600μmが好ましい。
なお、多少の腐食が進行している既存の伸縮継手に対して本発明の防食方法を適用する場合には、ケレン作業等により汚れや錆を取り除いたのち、腐食により生じた不陸を耐熱性のパテを用いて埋めてから、下地調整を行って防食層を形成するのが好ましい。
図5は、このような本発明の伸縮継手の他の実施形態を説明するための、伸縮継手の一部拡大図である。
図5は、伸縮継手の底面付近の構造を示しており、該伸縮継手は図3で示した本発明の伸縮継手1とほぼ同様の構造を有するものであるが、断熱材の最底面である断熱材13にドレン管72が連結されている。この構造によれば、断熱材およびフレーム部付近に存在するドレンを、弁722の開閉により、伸縮継手1の外部に効率的に排出することができ、金属部材の腐食防止がさらに高まる。ドレン管72は、金属製または耐熱樹脂製とすることが可能であり、フレーム部7b、9bに溶接、接着、螺合等により連結することが可能である。金属製のドレン管を設置する場合には、耐食鋼を用いるか、あるいは防食処理を施したドレン管を用いることが望ましい。また、耐熱樹脂製のドレン管を用いる場合の材質としては、PTFE、PFA、FEPなどのフッ素樹脂が好適である。
鋼板として、新日鐵住金株式会社製のS-TEN2を用いた。
鋼板サイズ:100mm×100mm×6mm
(2)防食塗料
下塗りおよび上塗り防食塗料として株式会社カロッツェリアジャパン製のナイトプライマーNP-400を用いた。
(3)防食テープ
防食テープとして株式会社カロッツェリアジャパン製のナイトテープNT-400を用いた。なお、このテープはガラス繊維織布にナイトプライマーNP-400を含浸させたものであり、テープ幅は50mm、厚さは約0.6mm、テープ1m2あたりの質量は約800gである。また、ナイトプライマーNP-400の含浸量は、テープ1m2あたり、約600gであった。
鋼板に1種ケレンを施し、その表面に膜厚約60μmとなるように1回目の下塗り防食塗料を塗布し、その後1時間の間隔をあけて、1回目の下塗り防食塗装の上に、膜厚約60μmとなるように2回目の下塗り防食塗料を塗布し、下塗り防食塗料の総厚が約120μmとなる下塗り防食塗装を行った。下塗り防食塗装を行ってから12時間自然乾燥した後に、膜厚約60μmとなるように下塗り塗装面に防食塗料を塗布しながら、防食テープを貼り付けた。防食テープは、図4に示すように、テープの幅方向に約半分ずらしながら重ね貼りしていき、鋼板の片側全面で防食テープがほぼ2層となるようにした。なお、防食テープが重なり合う部分の間にも膜厚約60μmとなるように防食塗料を塗布した。その後、1時間自然乾燥し、上塗り防食塗料を膜厚約100μmとなるよう塗布して室温25℃で3日間養生し、防食層を形成した試験体とした。
鋼板に2種ケレンを施した以外は実施例1と同様の防食層を形成し試験体とした。
鋼板に1種ケレンを施し、その表面に膜厚約60μmとなるように1回目の防食塗料を塗布し、その後1時間の間隔をあけて、1回目の防食塗装の上に、膜厚約60μmとなるように2回目の防食塗料を塗布し、防食塗装の総厚が約120μmとなる防食塗装を行った。塗装後、室温25℃で3日間養生し、防食塗料のみを塗布した試験体とした。
鋼板に2種ケレンを施した以外は比較例1と同様に防食塗料のみを塗布した試験体とした。
鋼板をそのまま使用し、ケレンなどの処理はしていないものとした。
各試験体を雰囲気200℃の加熱炉に1時間入れ、取り出し、常温まで冷却する、これを1サイクルとして、このサイクルを10回繰り返し、その後、試験体を1N硫酸に24時間浸漬して外観観察を行った。同様の試験を雰囲気温度400℃についても実施した。
外観を目視観察により、異常なしを○、塗膜にクラックが発生したものを△、塗膜にクラックが発生しさらに塗膜が剥落し、鋼板が露出した部分が黒く腐食したものを×とした。
鋼板のみについては錆が発生したため×とした。
一方、防食層を防食塗装のみで形成した比較例1および比較例2は、繰り返しの加熱によって防食層にクラックの発生または塗膜の剥落が発生し、さらには、塗膜が剥落した部分が硫酸により腐食してしまい十分な防食効果を有していなかった。
3 上流側ダクト
5 下流側ダクト
7、9 継手本体
7a、9a 継手フランジ部
7b、9b フレーム部
7c、9c 押え板
7d、9d L型金具
11 ベローズ
13、15、17、19、21 断熱材
27 シッピングボルト
29 スタッドボルト
52 防食層
522 下塗り防食塗装
524 防食テープ
526 上塗り防食塗装
72 ドレン管
722 弁
Claims (6)
- 高温の流体が流通する一対のダクトの間を伸縮可能に接続する、伸縮継手であって、
前記伸縮継手は、前記ダクトと接続するための一対のフランジと、ベローズおよび断熱材を保持する金属製のフレーム部とを有し、
前記フレーム部の流体側内面には、下塗り防食塗装、防食テープおよび上塗り防食塗装をこの順で備えた防食層が設けられ、
前記下塗り防食塗装および前記上塗り防食塗装に用いる塗料が耐熱シリコン樹脂を含み、
前記防食テープは、前記下塗り防食塗装および/または前記上塗り防食塗装に用いる塗料と同一の塗料を、無機繊維織布に含浸させたものであり、
前記無機繊維織布が1m 2 あたり、50~400gの質量を有し、
前記下塗り防食塗料および前記上塗り防食塗料の含浸量が、防食テープ1m 2 あたり、400~1,200gである
ことを特徴とする伸縮継手。 - 前記無機繊維織布が、ガラス繊維織布またはアルミナ繊維織布であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮継手。
- 前記下塗り防食塗装および前記上塗り防食塗装に用いる塗料が、少なくとも耐熱シリコン樹脂、防錆顔料、着色顔料および体質顔料を含み、これらを有機溶剤または水に分散させたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮継手。
- 設置時に下側となるドレンが溜まりやすい部位の少なくとも1部に、ドレン排出構造を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の伸縮継手。
- 高温の流体が流通する一対のダクトの間を伸縮可能に接続する、伸縮継手の防食方法であって、
前記伸縮継手は、前記ダクトと接続するための一対のフランジと、ベローズおよび断熱材を保持する金属製のフレーム部とを有し、
前記フレーム部の流体側内面に、下塗り防食塗装、防食テープおよび上塗り防食塗装をこの順で備えた防食層を設ける工程を有し、
前記下塗り防食塗装および前記上塗り防食塗装に用いる塗料が耐熱シリコン樹脂を含み、
前記防食テープは、前記下塗り防食塗装および/または前記上塗り防食塗装に用いる塗料と同一の塗料を、無機繊維織布に含浸させたものであり、
前記無機繊維織布が1m 2 あたり、50~400gの質量を有し、
前記下塗り防食塗料および前記上塗り防食塗料の含浸量が、防食テープ1m 2 あたり、400~1,200gである
ことを特徴とする伸縮継手の防食方法。 - 高温の流体が流通する一対のダクトの間を伸縮可能に接続する、使用中または使用済の伸縮継手のメンテナンスに適用する防食方法であって、
前記伸縮継手は、前記ダクトと接続するための一対のフランジと、ベローズおよび断熱材を保持する金属製のフレーム部とを有し、
前記フレーム部の流体側内面に、下塗り防食塗装、防食テープおよび上塗り防食塗装をこの順で備えた防食層を設ける工程を有し、
前記下塗り防食塗装および前記上塗り防食塗装に用いる塗料が耐熱シリコン樹脂を含み、
前記防食テープは、前記下塗り防食塗装および/または前記上塗り防食塗装に用いる塗料と同一の塗料を、無機繊維織布に含浸させたものであり、
前記無機繊維織布が1m 2 あたり、50~400gの質量を有し、
前記下塗り防食塗料および前記上塗り防食塗料の含浸量が、防食テープ1m 2 あたり、400~1,200gである
ことを特徴とするメンテナンスに適用可能な伸縮継手の防食方法。
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