JP2018168209A - 共重合体、およびn−置換アクリルアミドの製造方法 - Google Patents
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[1] 下記一般式(1)で表される構造単位(A)を1〜30質量%、および下記一般式(2)で表される構造単位(B)を70〜99質量%含有する、共重合体。
[3] 下記一般式(3)で表される酸ハロゲン化物と下記一般式(4)で表されるアミンを塩基性化合物の存在下で反応させて、下記一般式(5)で表されるN−置換アクリルアミドを製造する方法において、反応生成物を酢酸エチルで抽出した後、ヘキサンを加えて再結晶して精製する、N−置換アクリルアミドの製造方法。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、「(メタ)アリル」は、アリルとメタリルの総称である。
本発明の共重合体(以下、「共重合体(Z)」ともいう。)は、以下に示す構造単位(A)および構造単位(B)を含有する。共重合体(Z)は、以下に示す構造単位(C)をさらに含有していてもよい。
構造単位(A)は下記一般式(1)で表される構造単位である。
アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基(アルコキシ基)、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基は、それぞれ直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また、置換基(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトリル基、ニトロ基等)を有していてもよい。 アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げられる。
アルキルオキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基などが挙げられる。
アリールチオ基としては、例えばフェニルチオ基、ベンジルチオ基、ナフチルチオ基などが挙げられる。
アシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
R1およびR2は、重合率の観点から、水素原子であることが好ましい。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げられる。
R3は、共重合体(Z)を賦形して得られる炭素材料前駆体の結晶性を維持する点で、水素原子やメチル基など、立体障害の少ない置換基が好ましい。
アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
R4は、エチレン基が好ましい。
これら単量体(a)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体(a)は、例えば後述するN−置換アクリルアミドの製造方法により得られる。
構造単位(A)の割合が0.5質量%以上であれば、焼成工程後の炭素化収率の高い炭素材料前駆体の製造に適した共重合体(Z)を得ることができる。一方、構造単位(A)の割合が30質量%以下であれば、後述する構造単位(B)の割合を十分に確保できるので、品質の良い炭素材料を得ることができる。
構造単位(B)は下記一般式(2)で表される構造単位である。
アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基(アルコキシ基)、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基は、それぞれ直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
R5〜R6におけるアルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基としては、それぞれR1〜R2の説明において先に例示したものが挙げられる。
R5およびR6は、品質の良い炭素繊維が得られる観点から、水素原子であることが好ましい。
これら単量体(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
構造単位(B)の割合が70質量%以上であれば、品質の良い炭素材料を得ることができる。一方、構造単位(B)の割合が99質量%以下であれば、構造単位(A)の割合を十分に確保できるので、焼成工程後の炭素化収率の高い炭素材料前駆体の製造に適した共重合体(Z)を得ることができる。
構造単位(C)はカルボキシ基を含むモノマー由来の構造単位である。
カルボキシ基を含むモノマー(以下、「単量体(c)」ともいう。)としては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ブチルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、焼成時間を短縮する観点から、メタクリル酸が好ましい。
これら単量体(c)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
構造単位(C)の割合が0.1質量%以上であれば、耐炎化反応を促進し、焼成の生産性を向上することができる。一方、構造単位(C)の割合が5質量%以下であれば、炭素材料の力学物性の低下を抑えることができる。
共重合体(Z)は、必要に応じて構造単位(A)、構造単位(B)および構造単位(C)以外の単位(以下、「任意単位」ともいう。)を含有してもよい。
任意単位の由来源となる単量体(以下、「任意単量体」ともいう。)としては、少なくとも単量体(a)および単量体(b)と共重合可能であれば特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;メチルビニルケトン、イソプロピルメチルケトン等のビニルケトン類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体およびその塩;リン酸基を含有ビニル単量体およびその塩;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
これら任意単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共重合体(Z)の質量平均分子量は、200000〜800000であることが好ましい。共重合体(Z)の質量平均分子量が200000以上であれば、賦形性が向上する。一方、共重合体(Z)の質量平均分子量が800000以下であれば、ワニスを製造し易くキャストフィルムにしたり、多孔質材料に含浸して炭素材料前駆体とするのが容易である。
なお、共重合体(Z)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
共重合体(Z)は、単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)及び任意単量体を溶液重合、懸濁重合、乳化重合など公知の重合方法により得ることができる。重合により得られた共重合体(Z)からは、未反応の単量体などの不純物を除く処理をすることが望ましい。
以上説明した本発明の共重合体(Z)は、上述した構造単位(A)を特定量含有するので、焼成工程後の炭素化収率が高い炭素材料前駆体を得ることができる。
ところで、単量体(a)は側鎖にニトリル基を有するが、このニトリル基が高い電子吸引性を有するため、重合率が低下しやすい。また、単量体(a)のみを使用すると、質量平均分子量を賦形に適した値に制御することが困難である。
しかし、本発明の共重合体(Z)は、構造単位(A)に加えて上述した構造単位(B)も特定量含有する。よって、重合率を高めることができ、共重合体(Z)の質量平均分子量を賦形に適した値に制御できる。
さらに、共重合体(Z)が構造単位(C)を特定量含有していれば、耐炎化反応を促進し、焼成の生産性を向上することができる。
このように本発明の共重合体(Z)は、賦形性を良好に維持しつつ、焼成工程後の炭素化収率が高い炭素材料前駆体を得ることができる。
共重合体(Z)を溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの重合方法により得る際に用いる原料として好適な単量体(a)は、下記一般式(3)で表される酸ハロゲン化物と下記一般式(4)で表されるニトリル基を有するアミンを塩基性化合物の存在下で反応させて得られる、下記一般式(5)で表されるN−置換アクリルアミドである。
式(3)中のR1、R2としては、共重合体(Z)の説明において先に例示した式(1)中のR1、R2がそれぞれ挙げられ、好ましい態様も同様である。
式(4)中のR3、R4としては、共重合体(Z)の説明において先に例示した式(1)中のR3、R4がそれぞれ挙げられ、好ましい態様も同様である。
式(5)中のR1〜R5としては、共重合体(Z)の説明において先に例示した式(1)中のR1〜R5がそれぞれ挙げられ、好ましい態様も同様である。
塩基性化合物としては、アンモニア、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩又はフッ化物等の無機塩基;アルカリ金属のアルコキシド、アミン等の有機塩基などが挙げられる。これらの中でも、酸ハロゲン化物との副反応を抑えるために、求核性の低い第三級のアミンが好ましく、具体的にはトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。
有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いても混合して用いてもよい。
反応時間は、反応温度、酸塩化物、アミン、塩基の種類及び反応液濃度によって異なるため適宜決めればよいが、通常0.1〜24時間程度とすることができる。
反応終了後の精製方法としては、反応生成物の物性、原料の種類及び量、溶剤の種類等を考慮して、水洗、アルカリ水洗、酸水洗、抽出、蒸留、晶析、濾過等の公知の精製方法が挙げられる。これらの精製方法は適宜組み合わせることができる。これらの精製方法の中でも、収率を落とすことなく、高純度の生成品を得ることができることから、酢酸エチルと水を用いた抽出を行った後、良溶媒として酢酸エチルを、貧溶媒としてヘキサンを用いた再結晶操作を行う方法が好ましい。
炭素材料は、本発明の共重合体(Z)を含む炭素材料前駆体を耐炎化処理した後、炭素化処理することで得られる。
以下、炭素材料の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の炭素材料の製造方法は、以下に示す耐炎化工程と炭素化工程とを有する。なお、耐炎化工程と炭素化工程とを総称して「焼成工程」ともいう。
耐炎化工程は、本発明の共重合体(Z)を含む炭素材料前駆体を酸化性雰囲気中、90分以下の時間、220〜300℃で加熱して(耐炎化処理)、耐炎化物を得る工程である。
ここで、「酸化性雰囲気」とは、空気雰囲気、もしくは、酸素、二酸化窒素、二酸化硫黄などの公知の酸化性物質を含む雰囲気のことである。これらの中でも、経済性の面から、酸化性雰囲気としては空気雰囲気が好ましい。
なお、「酸化性物質」とは、酸素を与えることにより物の燃焼を引き起こす物質や、物の燃焼を助長しうる物質を意味する。
炭素材料前駆体が連続した繊維状またはフィルム状の場合、耐炎化炉を用いる方法では、通常、耐炎化炉に入った炭素材料前駆体を一旦耐炎化炉の外部に出した後、耐炎化炉の外部に配設された折り返しロールによって折り返して耐炎化炉に繰り返し通過させる方法が採られる。
加熱固体表面に接触させる方法では、炭素材料前駆体を間欠的に加熱固体表面に接触させる方法が採られる。
なお、耐炎化物の密度は、JIS K 7112に基づく密度勾配管法により測定される値である。
炭素化工程は、耐炎化工程により得られた耐炎化物を不活性ガス雰囲気中、800〜2000℃で加熱して(炭素化処理)、炭素材料を得る工程である。
ここで、「不活性ガス雰囲気」とは、酸素、二酸化窒素、二酸化硫黄などの公知の酸化性物質を実質的に含まない雰囲気のことである。「実質的に」とは、不活性ガス雰囲気を形成するガスの全体体積に対して、酸化性物質の体積濃度が1.0体積%以下であることを意味する。
なお、「不活性ガス」とは、他の物質と反応を起こしにくく、化学的に安定したガスを意味し、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
炭素化処理温度は一定でもよいし、炭素化処理中に昇温させてもよい。昇温させる場合、例えば炭素化炉内に複数の加熱ゾーンを設置し、上流側の加熱ゾーンから下流側の加熱ゾーンに向かって温度が高くなるように各加熱ゾーンの温度を設定して、上流側の加熱ゾーンから下流側の加熱ゾーンに向かって順次通過させて処理することで実現できる。
なお、前炭素化工程を行う場合、「焼成」には、耐炎化工程と前炭素化工程と炭素化工程とを含む。
炭素化工程により得られた炭素材料は、そのまま炭素材料として用いることができるが、必要に応じて公知の方法により黒鉛化したものを炭素材料として用いてもよい。例えば炭素材料を不活性雰囲気中、最高温度が2000℃を超えて3000℃以下で加熱することにより黒鉛化された炭素材料が得られる。
以上説明した炭素材料の製造方法では、本発明の共重合体(Z)を含む炭素材料前駆体を耐炎化処理および炭素化処理して炭素材料を得る。このようにして得られる炭素材料は、炭素化収率が高い。
本実施例で行った各種測定方法は、以下の通りである。
<共重合体の組成測定>
共重合体の組成(各単量体単位の比率(質量%))は、1H−NMR法により、以下のようにして測定した。
溶媒としてジメチルスルホキシド−d6溶媒を用い、共重合体を溶解させ、NMR測定装置(日本電子株式会社製、製品名:GSZ−400型)により、積算回数500回、測定温度80℃の条件で測定し、ケミカルシフトの積分比から各単量体単位の比率を求めた。
共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製、製品名:SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010、カラム:和光純薬工業株式会社製、製品名:Wakopak(Wakobeads G−50)、展開溶媒:水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて、ポリスチレンを標準物質として質量平均分子量を求めた。
単量体(a)である、N−シアノエチルアクリルアミドを以下の試薬を原料として用い、以下の手順により合成した。
<原材料試薬>
・3−アミノプロピオニトリル(別名:2−シアノエチルアミン)(東京化成工業株式会社製、>98%)
・アクリル酸クロリド(別名:塩化アクリル)(東京化成工業株式会社製、>98%)
・テトラヒドロフラン(東京化成工業株式会社製、>99.5%)
・トリエチルアミン(東京化成工業株式会社製、>99%)
三口フラスコに金属ナトリウムで脱水して蒸留したテトラヒドロフラン400mlとトリエチルアミン113g(1.10mol)、3−アミノプロピオニトリル42g(0.60mol)を投入した後、氷浴中で、撹拌して均一に溶解した。次いで、脱水蒸留したテトラヒドロフラン100mlで希釈したアクリル酸クロリド(50g、0.55mol)を1滴ずつ、滴下ロートにて、反応液中に滴下した。滴下が全て終了するまで氷浴中で1時間攪拌を行った後、20℃で18時間攪拌を続けた。得られた反応液を分液ロート移して、酢酸エチル、水を加えて振とうして、反応物を酢酸エチル層に移した。この操作を5回行った。得られた酢酸エチル溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、減圧加熱して酢酸エチルを蒸発させると褐色の粘性液体が得られた。この液体を良溶媒である酢酸エチルを加えて溶解し、さらに貧溶媒であるヘキサンを加えて再結晶操作を行い、N−シアノエチルアクリルアミドを得た。収率は60%であった。
<共重合体(Z1)の製造>
以下の試薬を原料として用いた。
・単量体(a):N−シアノエチルアクリルアミド(上記合成例1により得たもの)
・単量体(b):メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、>99%)
・単量体(c):アクリロニトリル(関東化学株式会社製、特鹿級グレード、>98%)
・レドックス重合開始剤:
過硫酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、>98%)
亜硫酸水素アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、化学用グレード、45%〜55%)
硫酸第一鉄(Fe2SO4・7H2O)(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、99%〜102%)
・pH調整剤:
硫酸(和光純薬工業株式会社製、高純度特級グレード、>95%)
純水で6質量%水溶液の希硫酸に調整し、用いた。
・反応停止剤:
シュウ酸(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、>98%)、炭酸水素アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、和光一級グレード、>98%)
純水で0.456質量%シュウ酸、1.76質量%炭酸水素アンモニウムを含む水溶液に調整し、反応停止剤として用いた。
・重合媒体:純水(電気伝導度>5μS/cm)
次に、過硫酸アンモニウムの2.75質量%水溶液34.7g、亜硫酸水素アンモニウムの5.00質量%水溶液28.6g、硫酸第一鉄の6.0×10−4質量%水溶液9.1gを同セパラブルフラスコに投入して撹拌し均一化した。撹拌を継続しつつ、アクリロニトリル(AN)84質量部、シアノエチルアクリルアミド15.0質量部、メタクリル酸(MAA)1.00質量部、純水30.7質量部からなる単量体が均一に溶解された混合物238gをセパラブルフラスコに投入した。
セパラブルフラスコを55℃に保持して1時間攪拌を継続し、重合体スラリーを得た。
得られた重合体スラリーを撹拌しながら反応停止剤をpHが5.5になるまで加えて重合反応を停止させた。
次いで、重合スラリーを吸引濾過器により、70℃の水で3回洗浄濾過した後、2日間、70℃のスチーム乾燥機で加熱乾燥した後、粉砕し、共重合体(Z1)の粉末を得た。
得られた共重合体(Z1)の組成をNMRにより測定したところ、シアノエチルアクリルアミド単位が10.0質量%、アクリロニトリル単位が89.0質量%、メタクリル酸単位が1.0質量%であった。すなわち、共重合体(Z1)は、上記一般式(1)中のR1、R2およびR3がいずれも水素原子であり、R4がエチレン基である構造単位(A)10.0質量%と、上記式(2)中のR5およびR6がいずれも水素原子である構造単位(B)89.0質量%と、メタクリル酸由来の構造単位(C)1.0質量%とで構成されている。
また、共重合体(Z1)の質量平均分子量を測定したところ、8.0×105であった。
得られた共重合体(Z1)の粉末を熱重量測定装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、「STA7300」)を用い、以下のようにして窒素雰囲気で加熱して、炭素材料を得た。
まず、空気を導入した状態で共重合体(Z1)の粉末を180℃まで昇温速度50℃/分で昇温し、220℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、280℃まで昇温速度1℃/分で昇温した後、窒素に切り替えて、280℃で20分窒素置換した後、最高到達温度1400℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、炭素材料を得た。雰囲気温度の上昇による質量変化から炭素化収率を算出した。具体的には、1400℃に到達した時点で残留する炭素材料の質量を昇温前の共重合体(Z1)の質量で除して炭素化収率を算出した。炭素化収率は46%であった。
<共重合体(Y1)の製造>
アクリロニトリル94.0質量%と、メタクリル酸1.00質量%と、アクリルアミド5.0質量%とからなる単量体混合物を用いた以外は、共重合体(Z1)と同様にして、共重合体(Y1)の粉末を得た。
得られた共重合体(Y1)の組成をNMRにより測定したところ、アクリロニトリル単位が96.3質量%、メタクリル酸単位が1.0質量%、アクリルアミド単位が2.7質量%であった。
また、共重合体(Y1)の質量平均分子量を測定したところ、4.2×105であった。
共重合体(Y1)を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素材料を製造し、炭素化収率を算出した。炭素化収率は42%であった。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表される構造単位(A)を1〜30質量%、および下記一般式(2)で表される構造単位(B)を70〜99質量%含有する、共重合体。
- 前記構造単位(A)を1〜25質量%、前記構造単位(B)を70〜98.9質量%およびカルボキシ基を含むモノマー由来の構造単位(C)を0.1〜5質量%含有する、請求項1に記載の共重合体。
- 下記一般式(3)で表される酸ハロゲン化物と下記一般式(4)で表されるアミンを塩基性化合物の存在下で反応させて、下記一般式(5)で表されるN−置換アクリルアミドを製造する方法において、
反応生成物を酢酸エチルで抽出した後、ヘキサンを加えて再結晶して精製する、N−置換アクリルアミドの製造方法。
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EP3909942A1 (en) | 2020-05-14 | 2021-11-17 | Ricoh Company, Ltd. | Method for producing (meth)acrylic acid amide compound, composition, and active energy ray-curable composition |
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