JP2011190484A - 被めっき層形成用組成物、表面金属膜材料およびその製造方法、並びに、金属パターン材料およびその製造方法 - Google Patents

被めっき層形成用組成物、表面金属膜材料およびその製造方法、並びに、金属パターン材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、めっき触媒などの金属に対して十分な吸着性を有し、吸水性が低く、加水分解耐性に優れ、その表面上に形成される金属パターンの絶縁信頼性に優れた被めっき層(絶縁性樹脂層)を形成しうる被めっき層形成層組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】重合性基を有するユニット(A)、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来のユニットであり、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有するアクリルアミドユニット(B)、および疎水性基を有し、重合性基を有しないユニット(C)を含むポリマー、を含有する被めっき層形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、被めっき層形成用組成物、表面金属膜材料およびその製造方法、並びに、金属パターン材料およびその製造方法に関する。より詳細には、所定の種類のユニット(繰り返し単位)を有するポリマーを含む被めっき層形成用組成物、該被めっき層形成用組成物を用いて得られる表面金属膜材料および金属パターン材料、並びにそれらの製造方法に関する。
従来から、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理する必要があるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
この問題を解決する手段として、基板上に該基板と直接結合したグラフトポリマーを生成させてポリマー層を形成し、このポリマー層に対してめっきを施して、得られた金属膜をエッチングする方法が知られている(特許文献1)。該方法によれば、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良することができる。
国際公報第08/050715号
近年、プリント配線板などの微細配線においては、配線(金属パターン)間においてより高い絶縁性が必要とされており、配線間の絶縁信頼性のより一層の向上が要求されている。
本発明者らは特許文献1に記載の方法に従って金属パターン材料を作製し、絶縁信頼性試験を行った結果、吸水率が上昇し、その結果として金属パターン間の絶縁特性が低下することを見出した。より具体的には、高圧・高温・高湿条件下において、ポリマー層中のエステル結合が一部加水分解をうけ、親水性の高いカルボン酸が生成し、その結果として吸水率の上昇が生じることが分かった。
また、ポリマー層の加水分解耐性を高めるために、ポリマー層の疎水性を高める方法が挙げられる。しかしながら、疎水性の高いポリマー層を使用すると、ポリマー層へのめっき触媒液の浸透性やめっき触媒の吸着性が低下し、めっき処理時に十分なめっきが得られないという問題が生じる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の第一の目的は、めっき触媒などの金属に対して十分な吸着性を有し、吸水性が低く、加水分解耐性に優れ、その表面上に形成される金属パターンの絶縁信頼性に優れた被めっき層(絶縁性樹脂層)を形成しうる被めっき層形成層組成物を提供することにある。
本発明の第二の目的は、基板との密着性に優れた表面金属膜材料、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第三の目的は、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターン材料、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定の官能基を有するユニットを含有するポリマーを使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明者らは、上記課題が下記構成により解決されることを見出した。
<1> 重合性基を有するユニット(A)、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来のユニットであり、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有するアクリルアミドユニット(B)、および疎水性基を有し、重合性基を有しないユニット(C)を含むポリマー、を含有する被めっき層形成用組成物。
<2> 前記ユニット(C)が、ClogPが1.5以上であるアクリルアミドモノマー由来のアクリルアミドユニットである、<1>に記載の被めっき層形成用組成物。
<3> 前記ユニット(A)の重合性基が、ラジカル重合性基である、<1>また<2>に記載の被めっき層形成用組成物。
<4> 前記非解離性官能基が、シアノ基である、<1>〜<3>のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。
<5> 前記ユニット(B)が、後述する一般式(2)で表される、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来の、ユニットである、<1>〜<4>のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。
<6> 前記ユニット(C)が、後述する一般式(3)で表されるユニットである、<1>〜<5>のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。
<7> 前記ユニット(A)が、一般式(1)で表されるユニットである、<1>〜<6>のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。
<8> 基板上に、<1>〜<7>のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物を用いてポリマー層を形成する工程と、
前記ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行う工程とを備える、表面に金属膜を有する表面金属膜材料の製造方法。
<9> 前記ポリマー層中のポリマーが、前記基板と直接化学結合している、請求項8に記載の表面金属膜材料の製造方法。
<10> <8>または<9>に記載の表面金属膜材料の製造方法によって得られる、表面金属膜材料。
<11> <8>または<9>に記載の表面金属膜材料の製造方法によって得られた表面金属膜材料中の金属膜をパターン状にエッチングする工程を有する金属パターン材料の製造方法。
<12> <11>に記載の金属パターン材料の製造方法により得られた金属パターン材料。
本発明によれば、めっき触媒などの金属に対して十分な吸着性を有し、低吸水性で、加水分解耐性に優れ、その表面上に形成される金属パターンの絶縁信頼性に優れた被めっき層(絶縁性樹脂層)を形成しうる被めっき層形成層組成物を提供することができる。
本発明によれば、基板との密着性に優れた表面金属膜材料、およびその製造方法を提供することができる。
本発明によれば、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターン材料、およびその製造方法を提供することができる。
以下に本発明の被めっき層形成用組成物、該組成物を用いて得られる表面金属膜材料およびその製造方法、並びに金属パターン材料およびその製造方法について説明する。
本発明者らは、従来技術では高圧・高温・高湿条件下などにおいてポリマー層の一部が加水分解されてカルボキシル基などの親水性基が生じ、ポリマー層の吸水率が上昇することを見出した。そのため、金属パターン間で金属デンドライトなどが生じてしまい、結果として絶縁信頼性が損なわれていた。
本発明の被めっき層形成用組成物(ポリマー層形成用組成物)は、所定の官能基を有するユニットから構成される3元系ポリマー(3元系共重合体)を含有する。該ポリマーによって形成される被めっき層は、従来困難とされてきた、めっき触媒の吸着性、低吸水性、および加水分解耐性を高いレベルで満足することができる。そのため、該層上に形成される金属パターン間においては金属デンドライトの発生が抑制され、優れた絶縁特性を示す金属パターン材料を得ることができる。
まず、本発明の被めっき層形成用組成物に含まれるポリマーについて詳述する。
<ポリマー(共重合体)>
本発明で使用されるポリマーは、重合性基を有するユニット(A)と、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有するアクリルアミドユニット(B)と、疎水性基を有し、重合性基を有しないユニット(C)を含有する。なお、ユニット(B)は、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来のユニットである。
該ポリマーが、親水性のユニット(B)と、疎水性を示すユニット(C)とを含有することによって、相反する特性であるめっき触媒の吸着性と低吸水性の両立を実現している。さらに、ユニット(B)がアクリルアミド骨格を有することにより、加水分解耐性を向上させている。
以下に、含有される各ユニットに関して詳述する。
<重合性基を有するユニット(A)>
ユニット(A)は、重合性基を有するユニット(繰り返し単位)である(以下、適宜、「重合性基含有ユニット」とも称する。)。該ユニットがポリマーに含まれることにより、後述する基板との優れた密着性が発現されると共に、膜中で架橋反応が進行し強度に優れた膜を得ることができる。
該ユニット(A)は重合性基を有していれば、その構造は特に限定されない。
重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられるが、後述する基板との反応性の観点からは、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基などの不飽和カルボン酸エステル基、スチリル基、ビニル基などが挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基(メタアクリロイル基)、アクリル酸エステル基(アクリロイル基)、ビニル基、スチリル基が好ましく、アクリロイル基、メタアクリロイル基、スチリル基が特に好ましい。
(好適態様)
ユニット(A)の好適態様としては、反応性(重合性、硬化性)の点から、以下の一般式(1)で表されるユニットが挙げられる。
一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
1〜R4が、置換または無置換のアルキル基である場合、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。より具体的には、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
2としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
3としては、水素原子が好ましい。
4としては、水素原子が好ましい。
VおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜3)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。該有機基は、発明の効果を損なわない範囲で、ヒドロキシ基などの置換基を有していてもよい。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基、ヘキシル基、または、これらの基がメトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、または、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換されたフェニル基が好ましい。
VおよびZとしては、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられる。
1は、置換または無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上記VおよびZで表される有機基と同義であり、例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
1としては、無置換のアルキル基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、無置換のアルキル基およびウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。なお、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
1の構造として、より具体的には、一般式(1−1)、一般式(1−2)、または一般式(1−3)で表される構造であることが好ましい。
一般式(1−1)および一般式(1−2)中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素原子、水素原子、および酸素原子からなる群より選択される2つ以上の原子を用いて形成される2価の有機基である。好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、またはブチレン基、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基が挙げられる。
一般式(1)で表されるユニットの好適態様として、一般式(4)で表されるユニットが挙げられる。
一般式(4)中、R1、R2、L1、およびZは、一般式(1)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。Qは、エステル基、アミド基、エーテル基、またはアリーレン基を表す。
また、一般式(4)の好適態様として、一般式(5)で表されるユニットが挙げられる。
一般式(5)中、R1、R2、およびL1は、一般式(1)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。WおよびUは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
上記一般式(5)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(4)および一般式(5)において、L1は、無置換のアルキレン基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
ポリマー中におけるユニット(A)の含有量は特に制限されないが、反応性(重合性、硬化性)および基板との密着性の点で、全ユニット(100モル%)に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましい。5モル%未満の場合、反応性(硬化性、重合性)が低下する場合があり、50モル%を超える場合、ポリマーの合成の際にゲル化が起きやすく、反応の制御が難しくなる。
<アクリルアミドユニット(B)>
ユニット(B)は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基(吸着性基とも称する)を有するアクリルアミドユニット(B)であって、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来のユニットである(以下、適宜、「吸着性基含有ユニット」とも称する。)。該ユニットは親水性を示し、該ユニットがポリマーに含まれることによって、めっき触媒の優れた吸着性が達成され、結果としてめっき処理の際に十分な厚さのめっき膜を得ることができる。
該ユニット(B)は、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマーを重合することによって得られるユニットであり、アクリルアミドモノマーのClogPとしては−0.01以下がより好ましく、−0.03以下が特に好ましい。下限としては、特に限定されないが、通常−1.0以上である。上記範囲であれば、めっき触媒のポリマー層中への浸透性および吸着性の点で好ましい。
モノマーユニットのClogPが0より大きくなると、ポリマーの親水性が不足し、めっき触媒またはその前駆体との相互作用が阻害され、結果としてめっき処理時に十分な量のめっきを得ることができない。
以下に、ClogPについて詳述する。
ClogPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配を表す尺度である、下式で定義されるオクタノール-水-分配係数(logP)の計算値である。
logP値は、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、オクタノール相と水相との間での化学物質の分配の程度を表す指標であり、下記計算式1のように定義される。
上記計算式1より、logPの値が高くなるほど、その化学物質は疎水性が高いことを意味し、logPの値が低くなるほど、その化学物質は親水性が高いことを意味する。例えば、logPの値が0以下の化学物質は、オクタノール相よりも水相に溶解し易く、また、logPの値が1の化学物質は、水相への溶解性に較べてオクタノール相に対して10倍の溶解性を持つといえる。
一般に、logPは、n−オクタノールと水を用いて実測により求めることもできるが、本発明においては、logP値推算プログラムを使用して分配係数(ClogP値)(計算値)を求めることができる。
このClogP値は、化合物の化学構造に基づくフラグメントアプローチ(A. Leo, Comprehensive Medical Chemistry, Vol.4; C. Hansch, P. G. Sammens, J. B. Taylor and C. A. Ramden, Eds., p.295, Pergramon Press, 1990)等によって決定され、デイライト・ケミカル・インフォメーション・システム社から入手し得る”CLOGP”プログラムで計算された値と定義される。
ユニット(B)は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有する。非解離性官能基とは、官能基が解離によりプロトンを生成しない官能基を意味する。このような官能基は、めっき触媒若しくはその前駆体、または金属と相互作用する機能はあっても、解離性の極性基(親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではないため、湿度変化などによるめっき層の密着力の変動などが少ない。
非解離性官能基としては、具体的には、金属イオンと配位形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基、含リン官能基などが好ましい。より具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン基構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基、水酸基などの含酸素官能基、チオエーテル基、チオキシ基、チオフェン基、チオール基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、フォスフィン基、ホスフェート基、ホスフォロアミド基などの含リン官能基、および、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられる。
また、隣接する原子または原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。さらに、シクロデキストリンやクラウンエーテルなどの包接能を有する化合物に由来する官能基であってもよい。
なかでも、極性が高く、めっき触媒などへの吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH2)n−O−(nは1〜15の整数)で表される構造)、またはシアノ基が特に好ましく、シアノ基がさらに好ましい。
一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向であるが、シアノ基はポリマー層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、層が緻密になり、且つ、ポリマー層全体としての極性が下がるため、吸水性が低くなる。また、後述する工程において、ポリマー層の良溶媒にてめっき触媒を吸着させることで、シアノ基が溶媒和されてシアノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒と相互作用できるようになる。よって、シアノ基を有するポリマー層は低吸湿でありながら、めっき触媒とはよく相互作用する、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
なお、非解離性官能基は1種のみ含まれていてもよいし、異なる種類の官能基が2種以上含まれていてもよい。
(好適態様)
ユニット(B)の好適態様として、親水性、加水分解耐性、および、効率的なめっき触媒吸着の点から、一般式(2)で表される、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来のユニットが挙げられる。
一般式(2)中、R5は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R5で表される置換または無置換のアルキル基は、上述したR1〜R4で表される置換または無置換のアルキル基と同義である。
5としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
6は、有機基を表す。R6としては、アクリルアミドモノマーのClogPが0以下となる置換基であればいかなる置換基も導入可能であり、例えば、水素原子、極性官能基(好ましくは、非解離性でかつ高極性の置換基)で置換された、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、直鎖状、分岐状、環状であってもよく、炭素数1〜9が好ましい。
該有機基の主鎖中には、発明の効果を損なわない範囲で、−O−、−CO−、−NH−、−S−、−S(O)2−、またはこれらを組み合わせた基などの連結基が含まれていてもよい。また、置換基としてはヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基(炭素数1〜3程度)、アルデヒド基、アセチル基、アシル基、アミド基、スルホンアミド基などが挙げられる。
6としては、水素原子、シアノ基で置換されたメチル基、ヒドロキシ基で置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、またはジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基等のポリエチレンオキシド基、シアノエトキシエチル基等が好ましい。
2は、置換または無置換の二価の有機基を表す。L2としては、アクリルアミドモノマーのClogPが0以下となる有機基であればいかなる有機基も導入可能である。二価の有機基の定義は、上述したL1で表される二価の有機基の定義と同じである。
2としては、置換若しくは無置換のアルキレン基、−N(R)−(R:Hあるいはアルキル基)、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレア基、ウレタン基、またはそれらを組み合わせた基が好ましい。置換基としては、ClogPを低下させる点からヒドロキシル基が好ましい。
ポリマー中におけるユニット(B)の含有量は特に制限されないが、めっき触媒などに対する吸着性の点で、全ユニット(100モル%)に対して、5〜90モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましい。
上述したアクリルアミドモノマーの具体例を以下に例示する。なお、本発明は該例示によって限定されない。
<疎水性基を有し、重合性基を有しないユニット(C)>
ユニット(C)は、疎水性基を有し、重合性基を有しないユニット(繰り返し単位)である(以下、適宜、「疎水性基含有ユニット」とも称する。)。該ユニットがポリマーに含まれることによって、ポリマー層の低吸水性が実現され、金属デンドライトの発生が抑制される。
該ユニット(C)は、疎水性基を有し、重合性基を有していなければその構造は特に限定されない。なお、該ユニット(C)には、シアノ基は含まれない。
疎水性基としては、例えば、アルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。該官能基は、置換基を有していてもよく、置換基としてはフッ素、水酸基、アミノ基(1級、2級)、アルコキシシリル基、アルコキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状でもよく、炭素数3〜20が好ましく、炭素数4〜18がより好ましい。
アリール基は、炭素数6〜18が好ましく、炭素数6〜12がより好ましい。
(好適態様)
ユニット(C)の好適態様としては、ClogPが1.5以上であるアクリルアミドモノマー由来のユニットが挙げられる。なかでも、アクリルアミドモノマーのClogPが2.0以上であることがより好ましく、2.5以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、通常、15以下が好ましい。該モノマー由来のユニットであれば、得られるポリマーの加水分解耐性がより優れ、低吸水率のポリマー層となる。
ユニット(C)のより好適な態様としては、一般式(3)で表されるユニットが挙げられる。
一般式(3)中、R7は、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R7で表される置換または無置換のアルキル基は、上述したR1〜R4で表される置換または無置換のアルキル基と同義である。
7としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
一般式(3)中、XおよびYは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、またはこれらを組み合わせた基を表す。
XおよびYが、無置換のアルキル基を表す場合は、これらの基は枝分かれ構造、環状構造を有していてもよい。また、置換のアルキル基を表す場合は、シアノ基以外の置換基で、本発明の効果を損なわないものであればいかなる置換基も導入可能である。つまり、置換基としては、シアノ基は含まれない。また、発明の効果を損なわない範囲で、−N=などの連結基を含んでいてもよい。
XまたはYの構造は、(1)アクリルアミドモノマーとしてのClogPが1.5未満とならず、(2)膜中での重合性基の反応性、および、めっき触媒またはその前駆体との相互作用へ影響を及ぼさない本発明のポリマー1g中に含まれる重合性基の量およびシアノ基の量を十分満たす、といった2つの観点から、置換若しくは無置換のアルキル基、またはアリール基の総炭素数は、以下に示す範囲であることが好ましい。
XまたはYがアルキル基を表す場合、これらの置換基は、総炭素数が3〜25であることが好ましく、より好ましくは3〜20であり、更に好ましくは3〜18である。総炭素数が3より小さいと、ポリマー全体の疎水性が劣り、結果として吸水率が高くなり、絶縁特性の若干の低下が見られる場合がある。
XまたはYがアリール基を表す場合、該アリール基は、総炭素数が6〜14であることが好ましく、より好ましくは6〜10である。
ポリマー中におけるユニット(C)の含有量は特に制限されないが、得られるポリマーの低吸水性およびポリマー層のめっき性を両立させる点で、全ユニット(100モル%)に対して、5〜60モル%が好ましく、5〜50モル%がより好ましい。
上述したユニット(C)として使用できるアクリルアミドモノマーの具体例を以下に例示する。なお、本発明は該例示によって限定されない。
本発明のポリマーの好適実施態様としては、上記の一般式(1)で表されるユニット、一般式(2)で表されるユニット、および一般式(3)で表されるユニットを含むポリマーが好ましい。
該ポリマーにおける優れた特徴の一つである加水分解抑制能の向上は、一般式(2)で表されるユニットおよび一般式(3)で表されるユニット中にアミド結合が含まれることにより奏されるものと推測される。その一方で、ポリマー中におけるアミド結合の存在は、ポリマーに求められる他の特徴である低吸水性を損なう方向に作用しうるが、一般式(3)で表されるユニットに疎水性基をアミド結合に有することにより、ポリマー全体を疎水化するように機能し、吸水率を低下する効果が生じると推測される。これにより、該ポリマーは、アミド結合を有しつつも優れた低吸水性を発揮するものと推測される。
本発明のポリマー中におけるユニット(A)、ユニット(B)、およびユニット(C)の結合様式は特に限定されず、各ユニットがランダムに結合したランダム重合体であっても、各ユニットが同じ種類同士連結してブロック部を形成するブロックポリマーであってもよい。
本発明のポリマーは、ユニット(A)、ユニット(B)、およびユニット(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他のユニットを含んでいてもよい。
ただし、後述するように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第4のユニットとなる可能性もある。
本発明のポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、本発明のポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、本発明のポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
本発明のポリマーは低吸水性であることが好ましい。具体的には、吸水率は5.5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。下限としては、特に制限されないが、通常0%以上である。吸水率が上記範囲内であれば、該ポリマーを用いて得られる金属パターン材料の絶縁信頼性がより優れたものとなる。なお、めっき性に関しては、ポリマーの吸水率が1.5質量%以上の場合、より好ましい効果を生じる。
なお、吸水率の測定方法は、後述する実施例欄において詳述する。
<ポリマーの合成方法>
上記ポリマーの合成方法は特に限定されず、使用されるモノマーも市販品または公知の合成方法を組み合わせて合成したものであってもよい。なお、ポリマーの合成方法としては、以下の方法が好ましく挙げられる。
i)疎水性基を有するモノマー、吸着性基を有するモノマー、および重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)疎水性基を有するモノマー、吸着性基を有するモノマー、二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)疎水性基を有するモノマー、吸着性基を有するポリマー、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとを共重合させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)する方法が挙げられる。
合成適性の観点から、好ましい方法としては、上記ii)および上記iii)の方法である。合成する際の重合反応の種類は特に限定されず、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられるが、ラジカル重合で行うこと好ましい。
なお、本発明のポリマーは、特許公開2009−280905号の段落[0097]〜[0125]に記載の方法などを参照して合成することができる。
具体的には、上記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
なお、下記式中、Aは重合性基を有する有機団、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基、BおよびCはそれぞれ独立して脱離反応により除去される脱離基であり、いずれか一方が水素原子であり、他方がハロゲン原子、スルホン酸エステル基、エーテル基、またはチオエーテル基を表す。ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
また、塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物または炭酸塩、有機アミン化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。
また、上記iii)の合成方法において、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、またはイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。ポリマーの反応性基と、モノマー中の反応性基との組み合わせとしては、以下のようなパターンがある。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの反応性基)=(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
なお、本発明のポリマーの合成方法として、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、および、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL1中のウレタン結合を形成することが好ましい。
また、本発明のポリマーの合成方法として、側鎖にカルボキシル基を有するポリマー、および、ハロゲン化ベンジル基と重合性基とを有する化合物を用い、該カルボキシル基に該ハロゲン化ベンジル基を付加させることによりL1中のメチレン基を形成することも好ましい。
<被めっき層形成用組成物>
本発明の被めっき層形成用組成物には、上記ポリマーが含まれる。
本発明のポリマーは、上記の構成をとることにより、めっき触媒などの金属に対する吸着性と、重合性(反応性)とが制御され、更にアルカリ加水分解に対する耐性も備える。
このようなポリマーは、光硬化性樹脂組成物の他、成型材料、コーティング材料、表面改質材料、基板用材料として電子分野、機械分野、食品分野、建築分野、自動車分野において用いることができる。
種々の用途の中でも、疎水性であるにも関わらず、めっき触媒に対する吸着性と重合性に優れる点から、該ポリマーは、めっき膜を形成するための表面処理材料として用いられることが好ましい。
例えば、本発明のポリマーを、表面グラフト重合法などを用い、所望の基材上に直接化学結合させることで、基材との密着性が高く、めっき触媒に対する吸着性に優れ、更に、吸水性の少ないポリマー層を形成することができる。このポリマー層上にめっき触媒を付与し、その後、めっき処理を施すことで形成されためっき膜は、ポリマー層との密着性が優れるといった効果と共に、ポリマー層が水分やイオン等を保持し難いため、温・湿度依存性や、形状の変化が見られないといった効果も有する。
さらに、本発明のポリマーの適用形態によっては、例えば、金属パターンを形成する際のエッチング工程などにおいて、アルカリ性の水溶液が使用されることがある。本発明のポリマーを用いてなるポリマー層は、吸水性の少なさは維持しつつも、アルカリ加水分解が抑制されるといった効果も有する。
特に、このめっき膜が形成された基材を、電気配線等の製造に用いる際には、配線間の絶縁信頼性に優れるといった効果も奏する。
なお、めっき膜が形成された基材には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、またはPET樹脂を含有する樹脂基材を用いることが好ましい。
被めっき層形成用組成物中のポリマーの含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、2〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、後述するポリマー層の層厚の制御などがしやすい。
(溶剤)
本発明の被めっき層形成用組成物は、上記ポリマー以外に、溶剤を含んでいてもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
この中でも、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、本発明のポリマーを含有する組成物を塗布液として用いる場合には、取り扱い安さから、沸点が50〜150℃の溶剤を用いることが好ましい。
なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
(水溶性有機溶剤)
本発明の組成物においては、溶剤として水を使用することもできる。なお、乾燥時の引火性を考えると溶剤として、水と水溶性有機溶剤とを併用することが好ましく、その際の有機溶剤の含有量は、全溶剤に対して、0.1〜40質量%であることが好ましい。
ここで、水溶性有機溶剤とは、上記の含有量の範囲において水と溶解しうるものを意味する。このような性質を有している有機溶剤であれば、その種類は特に限定されず、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが好ましく用いられる。
ケトン系溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、γ−ブチロラクトン、ヒドロキシアセトンなどが挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリコール酸メチル、グリコール酸エチルなどが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、3−アセチル−1−プロパノール、2−(アリルオキシ)エタノール、2−アミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、(±)−2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノエタノール、2,3−エポキシ−1−プロパノール、エチレングリコール、2−フルオロエタノール、ジアセトンアルコール、2−メチルシクロヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、グリセリン、2,2’,2”−ニトリロトリエタノール、2−ピリジンメタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エタノール、2,3−ブタンジオール、2−ブトキシエタノール、2,2’−チオジエタノール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、ジグリセリン、2,2’−メチルイミノジエタノール、1,2−ペンタンジオールなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]エーテル、1、2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール、2−エトキシエタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−イソブトキシエタノール、2−(2−イソブトキシエトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシ酢酸、2−メトキシエタノールなどが挙げられる。
グリコール系溶剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。
アミン系溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
チオール系溶剤としては、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノールなどが挙げられる。
ハロゲン系溶剤としては、3−ブロモベンジルアルコール、2−クロロエタノール、3−クロロ−1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。
水溶性有機溶剤の沸点は、蒸散のし易さの観点から、70〜150℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78℃)、イソプロピルアルコール(沸点:82℃)、n−プロピルアルコール(沸点:97℃)などが好ましく挙げられる。
また、上述のように、水と水溶性有機溶剤の混合液を用いる場合、作業のし易さの観点から、その引火点としては30℃以上のものが好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。なお、引火点は、JIS−K2265に準拠するタグ密閉式によって得られた測定値を意味する。
(水)
本発明の被めっき層形成用組成物に使用される水は、不純物を含まないことが好ましく、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などが好ましく、脱イオン水や蒸留水がより好ましい。
また、本発明の被めっき層形成用組成物を樹脂基材上に塗布して積層体を作製する場合、基材の吸溶媒率が5〜25%となる溶剤を選択することが好ましい。この吸溶媒率は、基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の質量の変化から求めることができる。
また、本発明の被めっき層形成用組成物を基材上に塗布する場合、基材の膨潤率が10〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
(界面活性剤)
本発明の被めっき層形成用組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。
組成物に添加することのできる界面活性剤は、上述の溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
(可塑剤)
本発明の被めっき層形成用組成物は、可塑剤を含有していてもよい。
使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
(重合禁止剤)
本発明の被めっき層形成用組成物は、重合禁止剤を含有していてもよい。
使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシフリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
(硬化剤、硬化促進剤)
また、本発明の被めっき層形成用組成物には、必要に応じて、硬化剤および/または硬化促進剤を添加してもよい。硬化剤および硬化促進剤としては、公知のものを用いることができる。
(その他の添加剤)
本発明の被めっき層形成用組成物には、更に、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。
本発明の被めっき層形成用組成物として、上記ポリマーと各種の添加剤を適宜混合した組成物を用いることで、形成されるポリマー層などの硬化物の物性、例えば、熱膨張係数、ガラス転移温度、ヤング率、ポアソン比、破断応力、降伏応力、熱分解温度などを最適に設定することができる。特に、破断応力、降伏応力、熱分解温度については、より高い方が好ましい。
本発明の被めっき層形成用組成物により得られた硬化物は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐久性を測定することができる。
<表面金属膜材料、およびその製造方法>
上述した被めっき層形成用組成物を用いることにより、表面に金属膜を有する表面金属膜材料を得ることができる。以下に、表面金属膜材料およびその製造方法について詳述する。
本発明の表面金属膜材料は、基板と、基板上に形成された上記被めっき層形成用組成物から形成されるポリマー層(被めっき層)と、ポリマー層上に形成される金属膜とを有する材料である。
この表面金属膜材料の製造方法は特に限定されないが、以下の(a1)〜(a3)工程を有する方法が好ましい。
(a1)基板上に、上記被めっき層形成用組成物を用いてポリマー層を形成する工程
(a2)該ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程
(a3)該めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行う工程
以下に各工程の手順について説明する。
<a1工程(ポリマー層形成工程)>
(a1)工程では、基板上に、上述した被めっき層形成用組成物を用いてポリマー層を形成する工程(ポリマー層形成工程)である。形成されたポリマー層中のポリマーは、重合性基を介して基板と直接化学結合していることが金属膜との密着性の観点から好ましい態様といえる。
(a1)工程の好ましい態様として、(a1−1)基材上に、重合開始剤を含有する、または重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程、および、(a1−2)該重合開始層に、本発明の被めっき層形成用組成物を用いてポリマー層を形成する工程であることが好ましい。
なお、上記(a1−2)工程のより好ましい態様としては、上記重合開始層上に、本発明の被めっき層形成用組成物を接触させた後、エネルギーを付与することにより、基板表面に、ポリマーを直接結合させてなるポリマー層を形成する工程であることが好ましい。
(表面グラフト)
基板上におけるポリマー層の形成は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いることが好ましい。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、および特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
本発明におけるポリマー層を形成する際には、上記の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用することもできる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法、特に、UV光による光グラフト重合法を用いてポリマー層を形成することが好ましい。
(基板)
本発明における「基板」とは、その表面が、上記ポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有するものであり、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよい。また、基材上に別途中間層(例えば、後述する重合開始層)を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。つまり、基材と該中間層とで基板を形成していてもよい。
(基材、基板)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、またはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂が好ましい。
なお、これらの基材表面が、上記ポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有している場合には、その基材そのものを基板として用いてもよい。
本発明における基板として、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることもできる。
また、本発明の表面金属膜材料を用いて得られる金属パターン材料は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板、具体的には、絶縁性樹脂からなる基板、または、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いることが好ましい。
絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、または有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
本発明に用いられる基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を考慮すると、表面凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。この基板の表面凹凸(中間層や重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなるほど、得られた金属パターン材料を配線等に適用した場合に、高周波送電時の電気損失が少なくなり好ましい。
本発明においては、基板が板状物、例えば、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であれば、その両面に(a1)工程を施すことで、樹脂フィルムの両面にポリマー層を形成することができる。
このように樹脂フィルム(基板)の両面にポリマー層が形成された場合には、更に、後述する(a2)工程および(a3)工程を行うことで、両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ることができる。
本発明において、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させる表面グラフト重合法を用いる場合、グラフトポリマーの生成に際しては、基材上に、重合開始剤を含有する、または重合開始可能な官能基を有する重合開始層を形成した基板を用いることが好ましい。この基板を用いることで、活性点を効率よく発生させ、より多くのグラフトポリマーを生成させることができる。
以下、重合開始層について説明する。なお、基材が板状物であれば、その両面に重合開始層を形成してもよい。
(重合開始層)
重合開始層としては、高分子化合物と重合開始剤とを含む層や、重合性化合物と重合開始剤とを含む層、重合開始可能な官能基を有する層などが挙げられる。
重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面に設け、加熱または光照射により硬膜することで、形成することができる。
本発明における重合開始層に用いられる化合物としては、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、活性種を発生するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、多官能モノマーや分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーと重合開始剤とを混合したもの、熱架橋ポリマーと重合開始剤とを混合したもの、を用いることができる。
重合開始層の形成に用いられる各種化合物の詳細、および重合開始層の形成方法に関する事項としては、特開2007−154306号公報の段落番号[0042]〜[0048]に記載される事項を、本発明における重合開始層にも同様に適用することができる。なお、重合開始層に用いうる化合物のうち、前記熱架橋ポリマーとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等を用いることができる。
また、上記の重合性化合物および重合開始剤を含有する重合開始層以外に、特開2004−161995号公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーを用いた重合開始層も好ましい。そのような重合開始層に用いられる各種の化合物、および重合開始層の形成方法に関する事項としては、特開2007−154306号公報の段落番号[0049]〜[0061]に記載される事項を、本発明においても同様に適用することができる。
更に、本発明において、前述のような、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基および架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
(グラフトポリマー(ポリマー層)の生成)
(a1)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端または側鎖に有する反応性官能基(重合性基)とのカップリング反応を利用する方法や、光グラフト重合法を用いることができる。
本発明においては、基材上に重合開始層が形成された基板を用い、該重合開始層上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基(相互作用性基)を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する態様〔(a1−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層上に、上記ポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる態様である。即ち、上記被めっき層形成用組成物を、重合開始層表面に接触させながら、当該重合開始層表面に生成する活性種により直接結合させるものである。
上記接触は、重合開始層が形成された基板を、本発明の被めっき層形成用組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、塗布法により被めっき層形成用組成物からなる層を基板表面(重合開始層表面)に形成することが好ましい。
被めっき層形成用組成物を基板と接触させる場合、その塗布量は、めっき触媒またはその前駆体との充分な相互作用形成性の観点からは、固形分換算で、0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、特に0.5g/m2〜5g/m2が好ましい。
なお、(a1)工程においてポリマー層を形成するに際しては、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5時間〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
(エネルギーの付与)
基板表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量および光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、10mJ/cm2〜5000mJ/cm2の範囲であることが好ましく、より好ましくは、50mJ/cm2〜3000mJ/cm2の範囲である。
また、上記ポリマーとして、平均分子量2万以上、重合度200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
以上説明した(a1)工程により、基板上には、非解離性官能基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層(グラフトポリマー層)を形成することができ、基板とポリマー層とを備える積層体を得ることができる。
ポリマー層の層厚は特に限定されないが、金属膜との密着性を確保する点からは、0.1〜5μmが好ましく、0.3〜4μmがより好ましい。
得られたポリマー層が、例えば、pH12のアルカリ性溶液に添加し、1時間攪拌したときの重合性基部位の分解が50%以下である場合は、該ポリマー層に対して高アルカリ性溶液による洗浄を行うことができる。
<(a2)工程(めっき触媒付与工程)>
(a2)工程では、上記(a1)工程において形成されたポリマー層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する工程である(めっき触媒付与工程)。本工程においては、ポリマー層を構成するグラフトポリマーが有する非解離性官能基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒またはその前駆体としては、後述する(a3)工程(めっき工程)における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、(a3)めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒またはその前駆体は、無電解めっき触媒またはその前駆体であることが好ましい。
(無電解めっき触媒)
本発明において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができる。具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤または保護剤により調節することができる。
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンをポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてポリマー層上に付与される。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)Pd(OAc)n(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、および触媒能の点で、Pdイオンが好ましい。
本発明で用いられる無電解めっき触媒またはその前駆体の好ましい例の一つとして、パラジウム化合物が挙げられる。このパラジウム化合物は、めっき処理時に活性核となり金属を析出させる役割を果たす、めっき触媒(パラジウム)またはその前駆体(パラジウムイオン)として作用する。パラジウム化合物としては、パラジウムを含み、めっき処理の際に核として作用すれば、特に限定されない。例えば、パラジウム塩、パラジウム(0)錯体、パラジウムコロイドなどが挙げられる。
無電解めっき触媒である金属、または、無電解めっき前駆体である金属塩をポリマー層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液若しくは溶液をポリマー層上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液中にポリマー層が形成された基板を浸漬すればよい。
また、(a1)工程において、表面グラフト重合法を用いる場合、基板上に被めっき層形成用組成物を接触させるが、この組成物中に、無電解めっき触媒またはその前駆体を添加する方法を用いてもよい。
つまり、本発明のポリマーと、無電解めっき触媒またはその前駆体とを含有する組成物を基板上に接触させて、表面グラフト重合法を適用することにより、非解離性官能基を有し、且つ、基板と直接化学結合したポリマーと、めっき触媒またはその前駆体とを含有するポリマー層を形成することができる。なお、この方法を用いれば、本発明における(a1)工程と(a2)工程とが1工程で行えることになる。
上記のように無電解めっき触媒またはその前駆体を接触させることで、ポリマー層中の非解離性官能基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、または、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属濃度、または溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
無電解めっき触媒を含む溶液に使用できる溶剤としては、本発明の被めっき層形成用組成物に使用する溶剤として上述したものを使用することができる。
(その他の触媒)
本発明において、後述の(a3)工程において、ポリマー層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、非解離性官能基基(シアノ基)に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
以上説明した(a2)工程を経ることで、ポリマー層中の非解離性官能基とめっき触媒またはその前駆体との間に相互作用を形成することができる。めっき触媒が付与されたポリマー層は、めっき処理が施されるめっき受容性層として用いられる。
<(a3)工程(めっき工程)>
(a3)工程では、無電解めっき触媒またはその前駆体が付与されたポリマー層に対し、めっき処理を施すことで、めっき膜(金属膜)を形成する工程である。形成されためっき膜は、優れた導電性、およびポリマー層との間で優れた密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、上記(a2)工程において、ポリマー層との間に相互作用を形成しためっき触媒またはその前駆体の機能によって、適宜選択することができる。つまり、本工程では、めっき触媒またはその前駆体が付与されたポリマー層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、ポリマー層中に発現するハイブリッド構造の形成性および密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき層を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体がポリマー層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、その濃度は0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、公知の添加物が含まれていてもよい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶剤である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO4、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される無電解めっきによるめっき膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られた無電解めっきによるめっき膜は、SEMによる断面観察により、ポリマー層中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更にポリマー層上にめっき金属が析出していることが確認された。基板とめっき膜との界面は、ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金属またはめっき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
(電気めっき)
本工程おいては、(a2)工程において付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒またはその前駆体が付与されたポリマー層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
本発明において、前述のめっき触媒、めっき触媒前駆体に由来する金属や金属塩、および/または、無電解めっきにより、ポリマー層中に析出した金属が、該層中でフラクタル状の微細構造体として形成されていることによって、金属膜とポリマー層との密着性を更に向上させることができる。
ポリマー層中に存在する金属量は、基板断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき、ポリマー層の最表面から深さ0.5μmまでの領域に占める金属の割合が5〜50面積%であり、ポリマー層と金属界面の算術平均粗さRa(JIS B0633−2001)が0.05μm〜0.5μmである場合に、更に強い密着力が発現される。
上述した方法により得られた表面金属膜材料は、高温高湿下であっても、金属膜の密着力の変動が少ないといった効果を有する。
表面金属膜材料は、表面の凹凸(Rz)が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の基板上の全面または局所的に、金属膜(めっき膜)を設けたものであることが好ましい。また、基板と金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属膜との密着性に優れる。
なお、表面の凹凸は、JIS B 0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることが好ましい。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行うか、または、金属膜自体の単部を直接はぎ取り、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
この表面金属膜材料は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
<金属パターン材料、およびその製造方法>
上記の表面金属膜材料における金属膜を、パターン状にエッチングする工程を行うことで、金属パターン材料を製造することができる。即ち、本発明の表面金属膜材料中の金属膜(めっき膜)をパターニングすることで配線(金属パターン)とすることができる。
このエッチング工程(a4工程)について以下に詳述する。
<(a4)工程(エッチング工程)>
(a4)工程は、上記(a3)工程で形成された金属膜(めっき膜)をパターン状にエッチングする工程である。即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためっき膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては、如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。
なお、このサブトラクティブ法が適用される金属膜の膜厚としては、5μm以上であることが好ましく、5μm〜30μmの範囲であることがより好ましい。
また、セミアディティブ法とは、形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジスト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっきの手法としては上記記載の手法が使用できる。
なお、このセミアディティブ法が適用される金属膜の膜厚としては、エッチング処理を短時間で行えるように、0.3μm〜3μmの範囲であることが好ましい。
上記の(a1)〜(a4)工程を経ることにより、所望の金属パターンを有する金属パターン材料を製造することができる。
なお、(a1)工程で得られるポリマー層をパターン状に形成し、パターン状のポリマー層に対して、(a2)工程および(a3)工程を行うことで、金属パターン材料を作製することもできる(フルアディティブ工程)。
(a1)工程においてポリマー層をパターン状に形成する方法としては、具体的には、ポリマー層を形成する際に付与されるエネルギーをパターン状とすればよく、また、エネルギーを付与しない部分を現像で除去することでパターン状のポリマー層を形成することができる。
上述した金属パターン材料は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。
なかでも、本発明の金属パターン材料の製造方法により製造された金属パターンを配線として有する配線基板は、平滑な基板との密着性に優れた配線が形成でき、高周波特性も良好であるとともに、微細な高密度配線であっても、配線間の絶縁信頼性に優れる。
本発明における配線基板を多層配線基板として構成する場合、金属パターン材料の表面に、さらに絶縁樹脂層(層間絶縁膜)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよく、または、金属パターン材料表面にソルダーレジストを形成してもよい。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
<合成例1:ポリマー1の合成>
1−1.吸着性基含有モノマー1の合成
1Lの三口フラスコに、1−シアノエチルアミン(東京化成工業(株)製)を69g、トリエチルアミン(和光純薬製)を109.5g、酢酸エチルを500ml入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)89.1gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、吸着性基含有モノマー1を100.5g得た。
1−2.疎水性基含有モノマー1の合成
1Lの三口フラスコに、N,N’−ジ(2−エチルヘキシル)アミン(アルドリッチ社製)を110g、トリエチルアミン(和光純薬製)を46.1g、酢酸エチルを500ml入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)41.2gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー1を150.2g得た。
1−3.ポリマー1の合成
300mlの三口フラスコに、N−エチルピロリドン13gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸(和光純薬製)2.16g、吸着性基含有モノマー1(6.21g)、疎水性基含有モノマー1(5.91g)、およびV−601(和光純薬製)0.184gのN−エチルピロリドン13g溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、TEMPO(東京化成工業(株)製)0.040g、トリエチルアミン(和光純薬製)15.0g、クロロメチルスチレン(東京化成工業(株)製)22.8g、N−エチルピロリドン10gを加え、80℃、6時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー1を12g得た。ポリマー1の構造の同定は、ポリマー1をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は30モル%、ユニット(B)の含有量は50モル%、ユニット(C)の含有量は20モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー1をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー1の重量平均分子量は、3.9万であった。
<合成例2:ポリマー2の合成>
2−1.吸着性基含有モノマー2の合成
500mlの三口ナスフラスコに、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成工業(株)製)20g、1,4−ジオキサン200g、40%水酸化ナトリウム水溶液1.74gを入れ0℃で攪拌した。その混合物に、アクリロニトリル(和光純薬製)9.21gを30分かけて滴下し、0℃にて3時間攪拌した。反応溶液を濃縮後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒は酢酸エチル)により精製し、吸着性基含有モノマー2を7.5g得た。
2−2.ポリマー2の合成
モノマーとしてアクリル酸(和光純薬製)、吸着性基含有モノマー2、疎水性基含有モノマー1を用いて、実施例1のポリマー1の合成と同様に行い、ポリマー2を11g得た。ポリマー2の構造の同定は、ポリマー2をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は20モル%、ユニット(B)の含有量は40モル%、ユニット(C)の含有量は30モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー2をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー2の重量平均分子量は、3.2万であった。
<合成例3:ポリマー3の合成>
3−1.吸着性基含有モノマー3の合成
1Lの三口ナスフラスコに、アクリロニトリル(和光純薬製)を104g入れ、0℃で攪拌した。その中に、1−アミノエタノール(東京化成工業(株)製)60gをゆっくり滴下し、室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノプロピオニトリルを103g得た。
次に、500ml三口フラスコに、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノプロピオニトリル13.2g、イミダゾール(和光純薬製)10.3g、ジクロロメタン200gを入れ、0℃で攪拌した。その混合物に、t−ブチル−ジフェニルシリルクロライド(東京化成工業(株)製)32gを30分かけて滴下した。その後、反応温度を室温まで上昇させ、24時間攪拌した。不溶物をろ別後、ろ液を濃縮し、酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにより3回抽出操作を行った。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で各1回ずつ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機相を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノプロピオニトリルのシリル保護体を40g得た。
次に、500ml三口フラスコに、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノプロピオニトリルのシリル保護体26.7g、トリエチルアミン(和光純薬製)11.5g、酢酸エチル300gを入れ、0℃で攪拌した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)6.86gを30分かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製し、吸着性基含有モノマー3前駆体を24.6g得た。
次に、500ml三口フラスコに、吸着性基含有モノマー3前駆体24.6g、THF200gを入れ、0℃で攪拌した。その混合物に、テトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(1mol/L、東京化成工業(株)製)を100ml加え、反応温度を室温とし、2時間攪拌した。溶媒を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒は酢酸エチル:アセトン=5:1)により精製し、吸着性基含有モノマー3を9.6g得た。
3−2.ポリマー3の合成
モノマーとしてアクリル酸(和光純薬製)、吸着性基含有モノマー3、疎水性基含有モノマー1を用いて、実施例1のポリマー1の合成と同様に行い、ポリマー3を12g得た。ポリマー3の構造の同定は、ポリマー3をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は40モル%、ユニット(B)の含有量は30モル%、ユニット(C)の含有量は30モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー3をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー3の重量平均分子量は、3.5万であった。
<合成例4:ポリマー4の合成>
4−1.吸着性基含有モノマー4の合成
500ml三口フラスコに、β−アラニン(東京化成工業(株)製)30g、水酸化ナトリウム26.9g、蒸留水300gを入れ、0℃で攪拌した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)30.5gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、HCl水溶液で反応溶液のpHを2.0以下にした。反応溶液に酢酸エチルを加え、抽出操作を8回行った。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘキサン/酢酸エチル混合溶液(1/1)を加え、析出した固体をろ別し、ヘキサン/酢酸エチル混合溶液(1/1)により洗浄し、N−アクリロイル−β−アラニン25.5g得た。
次に、500ml三口フラスコに、N−アクリロイル−β−アラニン5.0g、酢酸エチル200g、トリエチルアミン(和光純薬製)3.91gを入れ、0℃で攪拌した。その混合物に、イソブチルクロロカーボネート(和光純薬製)4.77gを30分かけて滴下し、0℃で1時間攪拌した。次いで、その混合物に、1−シアノエチルアミン(東京化成工業(株)製)2.69gを30分かけて滴下し、0℃で1時間攪拌した。析出した固体をろ別し、固体をアセトンに入れ2時間攪拌した。不溶物をろ別後、ろ液を減圧留去することで吸着性基含有モノマー4を7.0g得た。
4−2.ポリマー4の合成
モノマーとしてアクリル酸(和光純薬製)、吸着性基含有モノマー4、疎水性基含有モノマー1を用いて、実施例1のポリマー1の合成と同様に行い、ポリマー4を12g得た。ポリマー4の構造の同定は、ポリマー4をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は20モル%、ユニット(B)の含有量は50モル%、ユニット(C)の含有量は30モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー4をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー4の重量平均分子量は、4.0万であった。
<合成例5:ポリマー5の合成>
5−1.疎水性基含有モノマー2の合成
1Lの三口フラスコに、N,N’−ジブチルアミン(和光純薬製)を50g、トリエチルアミン(和光純薬製)を43g、酢酸エチルを500g入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)35gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー2を70.2g得た。
5−2.ポリマー5の合成
モノマーとしてアクリル酸(和光純薬製)、吸着性基含有モノマー1、疎水性基含有モノマー2を用いて、実施例1のポリマー1の合成と同様に行い、ポリマー5を10g得た。ポリマー5の構造の同定は、ポリマー5をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は10モル%、ユニット(B)の含有量は40モル%、ユニット(C)の含有量は50モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー5をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー5の重量平均分子量は、4.3万であった。
<合成例6:ポリマー6の合成>
6−1.疎水性基含有モノマー3の合成
1Lの三口フラスコに、N,N’−ジヘキシルアミン(和光純薬製)を50g、トリエチルアミン(和光純薬製)を48g、酢酸エチルを500g入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)40.3gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー3を72.8g得た。
6−2.ポリマー6の合成
300mlの三口フラスコに、N−エチルピロリドン13gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)3.72g、吸着性基含有モノマー2(6.21g)、疎水性基含有モノマー3(5.91g)、および、V−601(和光純薬製)0.184gのN−エチルピロリドン13gの溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、TEMPO(東京化成工業(株)製)0.040g、U−600(日東化成工業(株)製)0.277g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)8.4g、およびN−エチルピロリドン10gを加え、45℃、6時間反応を行った。その後、反応液に、水を1.1g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー6を13g得た。ポリマー6の構造の同定は、ポリマー6をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は20モル%、ユニット(B)の含有量は60モル%、ユニット(C)の含有量は20モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー6をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー6の重量平均分子量は、3.7万であった。
<合成例7:ポリマー7の合成>
7−1.疎水性基含有モノマー4の合成
1Lの三口フラスコに、N,N’−ジ(n−デシル)アミン(和光純薬製)を50g、トリエチルアミン(和光純薬製)を23g、酢酸エチルを500g入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)14.5gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー4を71.5g得た。
7−2.ポリマー7の合成
300mlの三口フラスコに、N−エチルピロリドン13gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、下記重合性基含有モノマー前駆体1を4.23g、吸着性基含有モノマー2(6.21g)、疎水性基含有モノマー4(5.8g)、およびV−601(和光純薬製)0.184gのN−エチルピロリドン13gの溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、TEMPO(東京化成工業(株)製)0.040g、DBU(和光純薬製)6.09g、N−エチルピロリドン10gを加え、24時間室温で攪拌した。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー7を11g得た。ポリマー7の構造の同定は、ポリマー7をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は30モル%、ユニット(B)の含有量は60モル%、ユニット(C)の含有量は10モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー7をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー7の重量平均分子量は、3.9万であった。
<合成例8:ポリマー8の合成>
8−1.疎水性基含有モノマー5の合成
1Lの三口フラスコに、N,N’−ジ(n−ドデシル)アミン(東京化成工業(株)製)を50g、トリエチルアミン(和光純薬製)を15.7g、酢酸エチルを500g入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)12.8gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー5を73.6g得た。
8−2.ポリマー8の合成
300mlの三口フラスコに、N−エチルピロリドン13gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸2.16g、吸着性基含有モノマー4(6.21g)、疎水性基含有モノマー5(7.3g)、およびV−601(和光純薬製)0.184gのN−エチルピロリドン13gの溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジ−t−ブチルヒドロキノン(和光純薬製)0.050g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド(東京化成工業(株)製)0.50g、サイクロマーA(ダイセル化学製)3.74gを加え、70℃で6時間攪拌した。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー8を12g得た。ポリマー8の構造の同定は、ポリマー8をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は15モル%、ユニット(B)の含有量は55モル%、ユニット(C)の含有量は30モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー8をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー8の重量平均分子量は、4.5万であった。
<合成例9:ポリマー9の合成>
9−1.疎水性基含有モノマー6の合成
1Lの三口フラスコに、N,N’−ジ(n−オクタデシル)アミン(アルドリッチ社製)を50g、トリエチルアミン(和光純薬製)を14.7g、酢酸エチルを500g入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)11.6gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー6を71.9g得た。
9−2.ポリマー9の合成
300mlの三口フラスコに、N−エチルピロリドン13gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、下記重合性基含有モノマー前駆体2を4.23g、吸着性基含有モノマー3(5.21g)、疎水性基含有モノマー6(7.5g)、およびV−601(和光純薬製)0.184gのN−エチルピロリドン13gの溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.06g、トリエチルアミン22.26gを加え、室温で4時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー9を10g得た。ポリマー9の構造の同定は、ポリマー9をd−THFに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は20モル%、ユニット(B)の含有量は70モル%、ユニット(C)の含有量は10モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー9をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー9の重量平均分子量は、4.1万であった。
<合成例10:ポリマー10の合成>
10−1.疎水性基含有モノマー7の合成
1Lの三口フラスコに、3−フェニルプロピオンアルデヒド(東京化成製)50g、オルトチタン酸テトライソプロピル(東京化成製)112mL、アンモニウムクロライド(和光純薬製)37g、エタノール500gを入れ、室温で6時間攪拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(東京化成製)22.2gを入れ、室温で3時間攪拌した。その後、反応溶液をアンモニア水へ注ぎ、不溶物をろ別した。ろ液に酢酸エチルを加え、抽出操作を3回行い、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製し、ビス(3−フェニルプロピル)アミンを70.3g得た。
次に、1Lの三口フラスコに、ビス(3−フェニルプロピル)アミンを50g、トリエチルアミン(和光純薬製)を20.7g、酢酸エチルを500g入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)13.6gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:1)により精製し、疎水性基含有モノマー7を71.9g得た。
10−2.ポリマー10の合成
重合性基含有モノマー前駆体1、吸着性基含有モノマー4、疎水性基含有モノマー7を用いて、実施例7のポリマー7の合成と同様に行い、ポリマー10を9g得た。ポリマー10の構造の同定は、ポリマー10をd−アセトンに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は30モル%、ユニット(B)の含有量は35モル%、ユニット(C)の含有量は35モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー10をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー10の重量平均分子量は、3.4万であった。
<合成例11:ポリマー11の合成>
12−1.疎水性基含有モノマー8の合成
500mLの三口フラスコに、N,N’−ジエチルアミン(東京化成工業(株)製)を69g、トリエチルアミン(和光純薬製)を95.3g、酢酸エチルを300ml入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)85.0gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、疎水性基含有モノマー8を90.4g得た。
12−2.ポリマー11の合成
重合性基含有モノマー前駆体1、吸着性基含有モノマー2、疎水性基含有モノマー8を用いて、実施例7のポリマー7の合成と同様に行い、ポリマー11を14g得た。ポリマー11の構造の同定は、ポリマー11をd−アセトンに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、ユニット(A)の含有量は20モル%、ユニット(B)の含有量は50モル%、ユニット(C)の含有量は30モル%であった。分子量の測定方法は、ポリマー11をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマー11の重量平均分子量は、4.0万であった。
<比較合成例1:比較ポリマー1の合成>
モノマーとしてアクリル酸(和光純薬製)、吸着性基含有モノマー1を用いて、実施例1のポリマー1の合成と同様に行い、比較ポリマー1を12g得た。比較ポリマー1の構造の同定は、比較ポリマー1をd−アセトンに溶解させ、1H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、重合性基を有するユニットの含有量は20モル%、シアノ基を有するユニットの含有量は80モル%であった。分子量の測定方法は、比較ポリマー1をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。比較ポリマー1の重量平均分子量は、3.8万であった。
<比較合成例2:比較ポリマー2の合成>
11−1.吸着性基含有モノマー5の合成
500mLの三口フラスコに、N,N’−ジシアノエチルアミン(東京化成工業(株)製)を69g、トリエチルアミン(和光純薬製)を60.0g、酢酸エチルを300ml入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬製)45.3gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、吸着性基含有モノマー5を96.4g得た。
11−2.比較ポリマー2の合成
モノマーとしてアクリル酸(和光純薬製)、吸着性基含有モノマー5、疎水性基含有モノマー1を用いて、実施例1のポリマー1の合成と同様に行い、比較ポリマー2を11g得た。比較ポリマー2の構造の同定は、比較ポリマー2をd−アセトンに溶解させ、H−NMR(ブルカー製 400MHz)で確認し、重合性基を有するユニットの含有量は30モル%、シアノ基を有するユニットの含有量は50モル%、疎水性基を有するユニットの含有量は20モル%であった。分子量の測定方法は、比較ポリマー2をNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。比較ポリマー2の重量平均分子量は、3.5万であった。
<吸水性評価>
合成例1〜11にて合成したポリマー1〜11、および、比較合成例1〜2にて合成した比較ポリマー1〜2を用い、吸水性評価を行った。
吸水性評価は、以下のようにして作製したポリマーのモデル膜を、85℃85RH%の雰囲気下に3日間放置し、吸水率(%)を測定することにより行った(吸水率(%):[(放置後の重量−放置前の重量)/放置前の重量]×100)。
評価対象のモデル膜は、溶剤(アセトン9g)に各ポリマーを0.78g溶解させて調製した溶液を用い、これを直径10cmのテフロン(登録商標)シャーレにキャストし、1週間室温放置した後、減圧乾燥することにより作製した。モデル膜の膜厚は、各々、約100μmであった。
なお、吸水率(%)は、精密天秤を用いて測定したモデル膜の重量変化に基づいて算出した。
<実施例1>
[基板の作製]
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材Aを得た。
ついで、基材Aの上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ3μmになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、140℃で30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
(重合開始剤を含有する絶縁性組成物)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量176、ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート825)5g、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLA−7052、不揮発分62%、不揮発分のフェノール性水酸基当量120)2g、フェノキシ樹脂MEKワニス(東都化成(株)製、YP−50EK35、不揮発分35%)10.7g、重合開始剤として2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン2.3g、MEK5.3g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.053gを混合し、攪拌して完全に溶解させて、重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
上記により重合開始層を形成した後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板A1を得た。この基板A1の表面凹凸(Rz)は0.2μmであった。
[ポリマー層の形成]
(塗布溶液の調製)
前述の合成例で得られたポリマー1を10.5質量部、アセトン73.3質量部、メタノール33.9質量部、およびN,N−ジメチルアセトアミド4.8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
(露光)
調製した塗布溶液を、上記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、(株)三永電機製作所製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cm2の照射パワー(ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、660秒間照射させて、基板A1の重合開始層の全面で、ポリマー1を反応させた。
その後、攪拌した状態のアセトン中に、ポリマー層が形成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、基板A1と直接結合したポリマー層(厚み:0.9μm)を有する基板A2を得た。
[めっき触媒の付与]
ポリマー層を有する基板A2を、硝酸パラジウムの1質量%アセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
続いて、1%ジメチルアミノボラン−水/メタノール(水/メタノール=1/3)混合溶液を触媒活性化液(還元液)として用い、この溶液中に、ポリマー層を有する基板A2を15分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[無電解めっき]
めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板A2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で5分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.3μmであった。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 859g
・メタノール 850g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’−ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上の組成のめっき浴のpHは、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを20分間行った。その後、120℃、1時間、べーク処理を行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
[金属膜の密着性評価]
得られためっき膜に対して、引張試験機(島津製、オートグラフ)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.5kN/mmであった。
[金属パターンの形成、ソルダーレジストの貼付け及び絶縁信頼性試験]
電気めっき後の基板に対し180℃/1時間の熱処理を行なった後、該基板の表面に、ドライレジストフィルム(日立化成(株)製;RY3315、膜厚15μm)を真空ラミネーター((株)名機製作所製:MVLP−600)で70℃、0.2MPaでラミネートした。次いで、ドライレジストフィルムがラミネートされた基板に、JPCA−ET01に定めるL/S=75μm/75μmの櫛型配線(JPCA−BU01−2007準拠、パターンFB)が形成できるガラスマスクを密着させ、レジストを中心波長405nmの露光機にて70mJの光エネルギーを照射した。露光後の基板に、1%Na2CO3水溶液を0.2MPaのスプレー圧で噴きつけ、現像を行なった。その後、基板の水洗・乾燥を行い、銅めっき膜上に、サブトラクティブ法用のレジスト・パターンを形成した。
レジスト・パターンを形成した基板を、FeCl3/HCl水溶液(エッチング液)に温度40℃で浸漬することによりエッチングを行い、レジスト・パターンの非形成領域に存在する銅めっき層を除去した。その後、3%NaOH水溶液を0.2MPaのスプレー圧で基板上に噴き付けることで、レジスト・パターンを膨潤剥離し、10%硫酸水溶液で中和処理を行い、水洗することで櫛型配線を得た。
さらに、櫛型配線上にソルダーレジスト(PFR800;太陽インキ製造(株)製)を70℃、0.2MPaの条件で真空ラミネートし、中心波長365nmの露光機にて420mJの光エネルギーを照射した。このとき、後の絶縁信頼性試験ではんだ付けする部分に関しては、遮光テープでマスクした。次いで、基板を80℃/10分間の加熱処理を施した後、Na2CO3;1%水溶液を、スプレー圧0.2MPaで基板表面に噴きつけ現像し、水洗、乾燥した。その後、再度、中心波長365nmの露光機にて1000mJの光エネルギーを、基板に対し照射した。最後に150℃/1hrの加熱処理を行ない、ソルダーレジストに被覆された線間絶縁信頼性を測定するための櫛形配線(金属パターン材料)を得た。
この櫛型配線基板に対し、JPCA規格 プリント配線板環境試験方法JPCA−ET01(通則)およびET07(高温・高湿・定常不飽和加圧水蒸気試験)に基づいて絶縁信頼性試験を行なった。ESPEC製HAST試験機(AMI−150S−25(EHS-211-MD))にて、130℃−85%相対湿度(不飽和)、印加電圧20Vで200時間放置したが、配線間の絶縁不良、および、デンドライトの形成は見られなかった。また、試験中の膜の抵抗値は10E6Ω以上であった。
ポリマー1を使用した実施例1と同様の評価をポリマー2〜10、および比較ポリマー1〜2を用いて行った結果を、表2にまとめて示す。
なお、表2中のめっき性は、無電解めっき時のめっき厚が0.3μmになるまでの、めっき析出時間を以下の基準に沿って評価したものである。実用上の観点から、「×」でないことが必要である。
◎=めっき析出時間30分以内
○=めっき析出時間30分超60分以内
×=めっき析出せず
吸水率(%)は、実用的な観点からは、5.5質量%以下が好ましい。
デンドライトの有無は、光学顕微鏡による目視観察にて評価した。なお、デンドライトが観察されない場合を「無」、デンドライトが若干観察されるが、絶縁信頼性には影響しない場合を「微」、デンドライトがあり、絶縁信頼性を損なう場合を「有」と評価した。
また、絶縁信頼性の評価に関しては、10E7Ω以上を「◎」、10E7Ω未満5×10E6Ω以上を「○」、5×10E6Ω未満10E6Ω以上を「△」、10E6Ω未満を「×」とした。
なお、表2中の比較ポリマー2を使用した場合、めっきが析出しなかったため、デンドライトの有無、絶縁信頼性試験は実施できなかった。
上記表2から、ポリマー1〜11を使用した場合には、良好なめっき性、絶縁信頼性を示すことが分かった。特に、ユニット(C)のClogPが1.5以上であるポリマー1〜10においては、金属デンドライトの発生は見られず、配線間の絶縁信頼性に関して優れていた。
一方、ユニット(C)を含まない比較ポリマー1においては、めっき性は良好なものの、吸水率が高く、デンドライトの発生も見られ、配線間の絶縁信頼性も劣っていた。また、ユニット(B)のClogPが0以上である比較ポリマー2においては、めっき処理時にめっきが析出せず、めっき性に劣っていた。

Claims (12)

  1. 重合性基を有するユニット(A)、
    ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来のユニットであり、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有するアクリルアミドユニット(B)、および
    疎水性基を有し、重合性基を有しないユニット(C)を含むポリマー、
    を含有する被めっき層形成用組成物。
  2. 前記ユニット(C)が、ClogPが1.5以上であるアクリルアミドモノマー由来のアクリルアミドユニットである、請求項1に記載の被めっき層形成用組成物。
  3. 前記ユニット(A)の重合性基が、ラジカル重合性基である、請求項1また2に記載の被めっき層形成用組成物。
  4. 前記非解離性官能基が、シアノ基である、請求項1〜3のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。
  5. 前記ユニット(B)が、一般式(2)で表される、ClogPが0以下であるアクリルアミドモノマー由来の、ユニットである、請求項1〜4のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。

    (一般式(2)中、R5は、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R6は、有機基を表す。L2は、置換または無置換の二価の有機基を表す。)
  6. 前記ユニット(C)が、一般式(3)で表されるユニットである、請求項1〜5のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。

    (一般式(3)中、R7は、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。XおよびYは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、またはこれらを組み合わせた基を表す。)
  7. 前記ユニット(A)が、一般式(1)で表されるユニットである、請求項1〜6のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物。

    (一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。VおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。L1は、置換または無置換の二価の有機基を表す。)
  8. 基板上に、請求項1〜7のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物を用いてポリマー層を形成する工程と、
    前記ポリマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程と、
    前記めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行う工程とを備える、表面に金属膜を有する表面金属膜材料の製造方法。
  9. 前記ポリマー層中のポリマーが、前記基板と直接化学結合している、請求項8に記載の表面金属膜材料の製造方法。
  10. 請求項8または9に記載の表面金属膜材料の製造方法によって得られる、表面金属膜材料。
  11. 請求項8または9に記載の表面金属膜材料の製造方法によって得られた表面金属膜材料中の金属膜をパターン状にエッチングする工程を有する金属パターン材料の製造方法。
  12. 請求項11に記載の金属パターン材料の製造方法により得られた金属パターン材料。
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