JP2018164069A - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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サブマウント基板は、線膨張係数と熱伝導率とを考慮して適宜の物質が選択され、構成される。代表的にはAlNやSiCなどが用いられる。特許文献1には、半導体レーザ装置のサブマウントとして、熱引きのよい単結晶SiCを用いる点が開示されている。
そこで、本発明は、より良好な放熱性を有するサブマウント基板を用いた半導体レーザ装置を提供することを課題としている。
このように、熱伝導率が異方性を有する物質により構成されたサブマウント基板を用い、半導体レーザチップが接合される側の面である第一面の法線方向に対して第一結晶軸および第二結晶軸を一様に傾斜させる。これにより、例えば第一面の法線方向が第一結晶軸の方向に一致し、且つ第一面の法線方向と第二結晶軸の方向とでなす角が90°である場合と比較して、半導体チップが発する熱の放熱経路(熱伝導経路)を第一面の法線方向に近い方向に形成することができる。つまり、熱伝導率の高い結晶軸を活用して、サブマウント基板の第一面の法線方向における放熱性をより向上させることができる。したがって、第一面側に接合される半導体レーザチップが発する熱を効率良く放熱することができる。
さらに、上記の半導体レーザ装置において、前記第一結晶面がc面、前記第二結晶面がa面であってもよい。この場合、半導体レーザチップが接合される側の面である第一面に対してc面が傾斜したサブマウント基板とすることができる。
さらに、上記半導体レーザ装置において、前記サブマウント基板のウェハ単位でのマイクロパイプの数は、30個/cm2以下であってもよい。この場合、半導体レーザチップ用に分割された後のサブマウント基板は、マイクロパイプが無い、若しくは殆ど無いものとすることができる。
図1は、本実施形態における半導体レーザ装置100の構成例を示す図である。半導体レーザ装置100は、サブマウント基板10と、半導体レーザチップ(以下、「LDチップ」という。)20と、ヒートシンク部(基部)30と、を備える。
サブマウント基板10は、LDチップ20が載置されるサブマウントを構成する。本実施形態では、サブマウント基板10は、単結晶SiCからなるSiC基板である場合について説明する。当該SiC基板は、導電性の単結晶SiC基板であってもよいし、絶縁性の単結晶SiC基板であってもよい。例えば、不純物含有量が1×1014/cm3以上であるSiC基板を「導電性」のSiC基板と定義し、不純物含有量が1×1014/cm3未満であるSiC基板を「絶縁性」のSiC基板と定義することができる。
また、サブマウント基板10を含んで構成されるサブマウント、LDチップ20およびヒートシンク部30は、周辺のリードピンやワイヤと共に円筒状のキャップ42によって覆われている。このキャップ42は、LDチップ20やワイヤ等を保護することを目的として装着される。キャップ42上面の中央部に形成された開口部には、光取出し窓43が設けられており、LDチップ20から出射されたレーザ光は、光取出し窓43を透過してステム41の外部に出射される。
ヒートシンク部30は、高放熱金属材料(例えはCuなど)により構成されており、発光時にLDチップ20が発する熱は、サブマウント基板10を含んで構成されるサブマウントを介してヒートシンク部30に伝達され、放熱される。
サブマウント基板10は、第一面11と、当該第一面11に対向する第二面12とを有する。第一面11と第二面12とは、LDチップ20からのレーザ光の出射方向に対して垂直な方向において対向配置されている。また、本実施形態では、第一面11および第二面12の各法線方向が一致しているものとして説明する。
このサブマウント基板10´において、LDチップ20よって生じた熱のサブマウント基板10´中における伝導経路は、図5(a)の矢印Aに示すように、c軸方向よりも熱伝導率の高いa軸方向に近くなる。つまり、基板面方向に近くなる。
また、サブマウント基板10の基板法線方向における放熱性向上の効果を高めるためには、第一面11と第一結晶面(c面)とのなす角は4°以上であることが好ましい。また、第一面11と第一結晶面(c面)の方向とのなす角が90°に近いほど、基板法線方向と第二結晶軸(a1軸、a2軸、a3軸のいずれか)の方向とのなす角が0°に近づくため、基板法線方向における放熱性向上の効果は高くなるが、製造上の制約等により、第一面11と第一結晶面(c面)の方向とのなす角は20°以下であってよい。
図6に示すように、サブマウント基板10(以下、「SiC基板10」という。)の第一面11上に絶縁膜15aを設けることで、SiC基板10の表面(第一面11側の面)と裏面(第二面12側の面)とにそれぞれ設けられた第一導電層13および第二導電層14の間での短絡を防止することができる。つまり、SiC基板10は導電性の基板であるが、SiC基板10の第一面11側に接合されるべき導電性部材(第一導電層13、LDチップ20)と、SiC基板10の第二面12側に接合されるべき導電性部材(第二導電層14、ヒートシンク部30)とを適切に絶縁することができる。
また、上述のようにSiC基板10のマイクロパイプ含有量が極小であるため、マイクロパイプへの電極材料の入り込みが極めて少ないことから、SiC基板10上に形成当初の絶縁膜15aの膜厚が4μm以下もあれば、十分な絶縁性を確保することができる。この場合、絶縁膜を形成するために要する時間が短縮されるとともに、絶縁膜15aを形成することに伴う放熱性の減少を最小限に抑えることができる。したがって、絶縁膜15aの厚みは、特に4μm以下とすることが好ましい。
このように、導電性の単結晶SiC基板において、放熱性に優れ且つ安価であるという長所を活かしつつ、絶縁性を確保することができる。したがって、良好な放熱性と絶縁性とを確保した単結晶SiC基板を活用した半導体レーザ装置100とすることができる。
また、LDチップ20の定格出力は、1W以上とすることができる。このように出力が大きいLDチップ20においては、放熱性の必要性が一層高いため、サブマウントに本実施形態のようなSiC基板を用いることによるメリットが大きい。
上記実施形態においては、サブマウント基板10は、SiCの単結晶により構成する場合について説明したが、熱伝導率が異方性を有する物質であればよく、例えば、GaNやAlNの単結晶を用いることもできる。
また、上記実施形態においては、キャンタイプの半導体レーザ装置100について説明したが、本発明が適用可能な半導体レーザ装置はキャンタイプに限定されない。
Claims (7)
- 第一結晶軸を法線方向とする第一結晶面と、前記第一結晶軸よりも熱伝導率が高い第二結晶軸を法線方向とする第二結晶面とを含む結晶構造を有する単結晶のサブマウント基板と、
前記サブマウント基板の第一面側に接合された半導体レーザチップと、を備え、
前記第一結晶面が前記サブマウント基板の前記第一面に対して傾斜していることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記サブマウント基板は、SiC、GaNおよびAlNのいずれかの単結晶により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
- 前記第一結晶面がc面、前記第二結晶面がa面であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ装置。
- 前記サブマウント基板の前記第一面と前記第一結晶面とでなす角が4°以上20°以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記サブマウント基板は、放熱部が接合される側の面である第二面を有し、
前記第一面の法線方向と前記第二面の法線方向とが一致していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。 - 前記半導体レーザチップの定格出力が1W以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記サブマウント基板のウェハ単位でのマイクロパイプの数が、30個/cm2以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
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