JP2018164068A - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1は、熱引きのよい単結晶SiCのウェハから切り出された個片であって、マイクロパイプと呼ばれる中空パイプ状の欠陥を有するものをサブマウントとして活用した半導体レーザ装置を開示する。この半導体レーザ装置では、マイクロパイプ内に半田材料などの導電性部材が入り込むと、単結晶SiCの絶縁性が破壊されて半導体レーザ装置自体の不良に繋がることに鑑み、マイクロパイプ内を絶縁材料で充填して絶縁性の低下を抑制している。
しかしながら、絶縁性の単結晶SiC基板は、基板中にマイクロパイプを多数含むため、マイクロパイプ内を絶縁性部材で充填する工程が煩雑である。また、多数のマイクロパイプの存在は、基板の熱伝導が阻害される要因にもなり得る。
そこで、本発明は、良好な放熱性を確保した単結晶SiC基板を活用した半導体レーザ装置を提供することを課題としている。
このように、半導体レーザチップを接合するサブマウントを構成するサブマウント基板として導電性の単結晶のSiC基板を用いる。ここで、単結晶のSiC基板のうち、不純物含有量が1×1014/cm3以上のものを、導電性の単結晶SiC基板と定義することができる。本発明者は、導電性の単結晶SiC基板は、絶縁性の単結晶SiC基板よりもマイクロパイプの含有量が少ないことに着目した。そのため、導電性の単結晶SiC基板は、絶縁性の単結晶SiC基板よりも熱伝導率すなわち放熱性の観点で優れている。
このように、SiC基板の第一面側に設けられた第一導電層と、SiC基板の第二面側に接合されるべき導電性部材との間を絶縁する絶縁膜を設けることで、SiC基板の第一面側に設けられる導電性部材(半導体レーザチップ)と、SiC基板の第二面側に設けられる導電性部材(例えば、ヒートシンク等の基部)とがリークしないようにすることができる。また、従来装置のようにマイクロパイプを絶縁材料で塞ぐという工程を実施する必要もないため、サブマウント基板の製造工程を簡略化することができる。
さらに、上記半導体レーザ装置において、前記SiC基板の前記第二面側に、前記導電性部材を接合する接合層が形成されていてもよい。この場合、SiC基板と導電性部材とが接合層により接合される場合に、接合層を構成する半田材等がSiC基板の側面に回り込むことにより発生し得る短絡を、絶縁膜によって防止することができる。
また、上記半導体レーザ装置において、前記絶縁膜は、前記第二面上に設けられていてもよい。このように、絶縁膜は、半導体レーザチップ側の面とは異なる面上に設けることができる。絶縁膜は、SiC基板と比べて熱伝導率が低いため、発熱部となる半導体レーザチップから遠い位置、例えばヒートシンク部が接合されるべき第二面上に設けることで、放熱性をより向上させることができる。
さらに、上記半導体レーザ装置において、前記絶縁膜は、膜厚が0.2μm以上10μm以下であってもよい。この場合、絶縁性の確保と絶縁膜の成膜限界とを考慮した適切な範囲の膜厚とすることができる。
また、上記半導体レーザ装置において、前記絶縁膜は、膜厚が4μm以下であってもよい。この場合、絶縁膜を形成するために要する時間が短縮されるとともに、絶縁膜15aを形成することに伴う放熱性の減少を最小限に抑えることができる。
また、上記半導体レーザ装置において、前記SiC基板は、第一結晶軸を法線方向とする第一結晶面と、前記第一結晶軸よりも熱伝導率が高い第二結晶軸を法線方向とする第二結晶面とを含む結晶構造を有し、前記第一結晶面が前記SiC基板の前記第一面に対して傾斜していてもよい。このように、SiC基板の厚み方向が結晶軸に対して一様に揃って傾斜した構成とすることで、SiC基板の厚み方向の熱伝導性を高めることができる。したがって、例えばSiC基板の厚み方向に発熱部となる半導体レーザチップと排熱部となるヒートシンク部とが対向配置されている場合などにおいては、効率的に発熱部の熱を放熱することができる。
また、上記半導体レーザ装置において、前記導電性の単結晶のSiC基板のウェハ単位でのマイクロパイプの数は、30個/cm2以下であってもよい。この場合、半導体レーザチップ用に分割された後のサブマウント基板は、マイクロパイプが無い、若しくは殆ど無いものとすることができる。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態における半導体レーザ装置100の構成例を示す図である。半導体レーザ装置100は、SiC基板10と、半導体レーザチップ(以下、「LDチップ」という。)20と、ヒートシンク部(基部)30と、を備える。
SiC基板10は、導電性の単結晶SiCからなるサブマウント基板であり、LDチップ20が載置されるサブマウントを構成する。本実施形態では、不純物含有量が1×1014/cm3以上であるSiC基板を「導電性」のSiC基板と定義し、不純物含有量が1×1014/cm3未満であるSiC基板を「絶縁性」のSiC基板と定義する。また、本実施形態では、SiC基板10は、N型不純物を上記の範囲で含むものとして説明する。
ヒートシンク部30は、高放熱金属材料(例えはCuなど)により構成されており、発光時にLDチップ20が発する熱は、SiC基板10を含んで構成されるサブマウントを介してヒートシンク部30に伝達され、放熱される。
SiC基板10は、第一面11と、当該第一面11に対向する第二面12とを有する。第一面11は、例えばc面と平行な面とすることができる。本実施形態では、第一面11と第二面12とが、LDチップ20からのレーザ光の出射方向に対して垂直な方向において対向配置されている場合について説明する。SiC基板10の第一面11側には第一導電層13が設けられ、SiC基板10の第二面12側には第二導電層14が設けられている。ここで、第一導電層13と第二導電層14とは、それぞれTi、Ni、Pt、Mo、Auのうちの何れか一以上の物質から構成することができる。
そして、本実施形態では、SiC基板10の第一面11上に、第一導電層13と第二導電層14との間での短絡を防止する絶縁膜15aが設けられている。例えば、絶縁膜15aは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化チタンおよび酸窒化ケイ素のうちから選択される、一以上の物質から構成することができる。なお、絶縁膜15aは、SiC基板10とLDチップ20の半導体層との間の線膨張係数を有することが好ましく、例えばLDチップ20の半導体層がガリウム砒素(GaAs)である場合には、窒化アルミニウム(AlN)を選択することが好ましい。線膨張係数は、SiCが3.1×10-6/℃、ガリウム砒素が5.9×10-6/℃、窒化アルミニウムが4.6×10-6/℃である。
また、本実施形態では、SiC基板10の第一面11上に絶縁膜15aを設けるので、SiC基板10の表面(第一面11側の面)と裏面(第二面12側の面)とにそれぞれ設けられた第一導電層13および第二導電層14の間での短絡を防止することができる。つまり、SiC基板10は導電性の基板であるが、SiC基板10の第一面11側に接合させるべき導電性部材(第一導電層13、LDチップ20)と、SiC基板10の第二面12側に接合されるべき導電性部材(第二導電層14、ヒートシンク部30)とを適切に絶縁することができる。
このように、本実施形態では、導電性の単結晶SiC基板において、放熱性に優れ且つ安価であるという長所を活かしつつ、絶縁性を確保することができる。したがって、良好な放熱性と絶縁性とを確保した単結晶SiC基板を活用した半導体レーザ装置100とすることができる。
さらに、本実施形態では、SiC基板10のLDチップ20側の面である第一面11上に絶縁膜15aを設ける。SiC基板10をヒートシンク部30に接合層52によって接合する際に、接合層52を構成する半田材がSiC基板10の側面に回り込んだとしても、第一導電層13と第二導電層14との間で短絡することがない。
また、LDチップ20の定格出力は、1W以上とすることができる。このように出力が大きいLDチップ20においては、放熱性の必要性が一層高いため、サブマウント基板に本実施形態のようなSiC基板を用いることによるメリットが大きい。
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態では、第一面11上に絶縁膜15aを配置する場合について説明した。第二の実施形態では、第二面12上に絶縁膜を配置する場合について説明する。
図3は、第二の実施形態におけるサブマウントの構成を示す図である。この図3において、上述した図2に示す第一の実施形態と同一構成を有する部分には図2と同一符号を付し、以下、構成の異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、第二面12上に設けられた絶縁膜15bが、第一導電層13と第二導電層14との間での短絡を防止する。ここで、絶縁膜15bの構成については、上述した絶縁膜15aと同様である。
このように、本実施形態では、SiC基板10の第二面12上に設けられた絶縁膜15bによって、ヒートシンク部30とLDチップ20とのリークが防止される。したがって、上述した第一の実施形態と同様に、良好な放熱性と絶縁性とを確保した単結晶SiC基板を活用した半導体レーザ装置100とすることができる。
上記第二の実施形態においては、ヒートシンク部30に対してLDチップ20が載置されたサブマウントを接合する際に、溶融した接合材がSiC基板10の側面に付着することをより確実に防止するため、SiC基板10および絶縁膜15bを図4に示す形状としてもよい。つまり、SiC基板10の第二面12側のエッジ部をスロープ状に削り、絶縁膜15bの端部に屈曲部15cを形成するようにしてもよい。
SiC基板10および絶縁膜15bをかかる形状とすることにより、接合材からSiC基板10の側面までの距離をより長くすることができ、SiC基板10の側面への接合材の付着を確実に防止することができる。
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態および第二の実施形態では、第一面11上または第二面12上に絶縁膜を配置する場合について説明した。第三の実施形態では、第一面11上および第二面12上にそれぞれ絶縁膜を配置する場合について説明する。
図5は、第三の実施形態におけるサブマウントの構成を示す図である。この図5において、上述した図2に示す第一の実施形態や図3に示す第二の実施形態と同一構成を有する部分には図2や図3と同一符号を付し、以下、構成の異なる部分を中心に説明する。
このように、絶縁膜をSiC基板10の上下面の両方に形成することで、絶縁膜のトータル膜厚を十分に確保することができ、SiC基板10の絶縁性をより確かなものとすることができる。
なお、この場合にも、SiC基板10の側面への接合材の付着を確実に防止するために、SiC基板10の第二面12側のエッジ部を図4に示すようにスロープ状に削り、絶縁膜15bの端部に屈曲部15cを形成するようにしてもよい。
次に、本発明の第四の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態から第三の実施形態では、第一面11と第二面12とが対向配置している場合について説明した。第四の実施形態では、第一面11と第二面12とが対向配置していない場合について説明する。
図6は、第四の実施形態におけるサブマウントの構成を示す図である。この図6において、上述した図2に示す第一の実施形態と同一構成を有する部分には図2と同一符号を付し、以下、構成の異なる部分を中心に説明する。
この場合、絶縁膜15aは、第一の導電層13とヒートシンク部30との間での短絡を防止する。つまり、絶縁膜15aは、第一の導電層13とSiC基板10の第二面12に接合される導電性部材とを絶縁する。したがって、上述した各実施形態と同様に、良好な放熱性と絶縁性とを確保した単結晶SiC基板を活用した半導体レーザ装置100とすることができる。
なお、図6では、SiC基板10の第一面11上に絶縁膜15aを設ける場合について説明したが、SiC基板10の第二面12´上に絶縁膜15aと同様の絶縁膜を設けてもよいし、第一面11上と第二面12´上の両方にそれぞれ絶縁膜を設けてもよい。
上記各実施形態においては、キャンタイプの半導体レーザ装置100について説明したが、本発明が適用可能な半導体レーザ装置はキャンタイプに限定されない。
また、上記各実施形態においては、LDチップ20が、基板の一方の面にn側電極、他方の面にp側電極を配置した縦型のLDチップである場合について説明したが、n側電極とp側電極とを基板の同一面側に配置した横型のLDチップであってもよい。この場合、SiC基板10の第一面11上に第一導電層13が形成されている必要はなく、また、絶縁膜15a、15bも必要ない。つまり、導電性の単結晶のSiC基板10と、SiC基板10の第一面11上に配置された横型のLDチップと、を備える半導体レーザ装置とすることができる。
Claims (14)
- 第一面と第二面とを有する導電性の単結晶のSiC基板と、
前記第一面上に配置された半導体レーザチップと、を備えることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記SiC基板の前記第一面側に設けられ、前記半導体レーザチップが配置された第一導電層と、
前記第一導電層と前記SiC基板の前記第二面側に接合されるべき導電性部材との間を絶縁する絶縁膜と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。 - 前記SiC基板の前記第二面側に設けられた第二導電層をさらに備え、
前記絶縁膜は、前記第一導電層と前記第二導電層との間を絶縁することを特徴とする請求項2に記載の半導体レーザ装置。 - 前記SiC基板の前記第二面側に、前記導電性部材を接合する接合層が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体レーザ装置。
- 前記絶縁膜は、前記第一面上に設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記絶縁膜は、前記第二面上に設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記絶縁膜は、前記SiC基板と前記半導体レーザチップを構成する半導体層との間の線膨張係数を有することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記絶縁膜は、膜厚が0.2μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記絶縁膜は、膜厚が4μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体レーザ装置。
- 前記半導体レーザチップを構成する半導体層は、GaAs系材料、InP系材料およびGaN系材料のいずれかにより構成された基板を含み、
前記絶縁膜は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化チタンおよび酸窒化ケイ素のうちから選択される一以上の物質により構成されていることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。 - 前記絶縁膜は、単結晶の窒化アルミニウム膜および多結晶の窒化アルミニウム膜のいずれか一方であることを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記SiC基板は、第一結晶軸を法線方向とする第一結晶面と、前記第一結晶軸よりも熱伝導率が高い第二結晶軸を法線方向とする第二結晶面とを含む結晶構造を有し、
前記第一結晶面が前記SiC基板の前記第一面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。 - 前記半導体レーザチップの定格出力が1W以上であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記導電性の単結晶のSiC基板のウェハ単位でのマイクロパイプの数が、30個/cm2以下であることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
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