JP2018162553A - 難着雪・滑雪フィルム又はシート - Google Patents

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安達 聖
Sei Adachi
聖 安達
憲史 柳澤
Norifumi Yanagisawa
憲史 柳澤
淳一郎 久保
Junichiro Kubo
淳一郎 久保
立彦 今西
Tatsuhiko Imanishi
立彦 今西
貴洋 毛塚
Takahiro Kezuka
貴洋 毛塚
誠一 山城屋
Seiichi Yamashiroya
誠一 山城屋
幸憲 古賀
Yukinori Koga
幸憲 古賀
中村 健
Ken Nakamura
健 中村
優子 太田
Yuko Ota
優子 太田
文弥 齊木
Fumiya Saiki
文弥 齊木
周二 市村
Shuji Ichimura
周二 市村
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Nichiban Co Ltd
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Central Japan Railway Co
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Abstract

【課題】乾雪及び湿雪の両方に対し、極めて優れた難着雪性や滑雪性を示す難着雪・滑雪フィルム又はシートの提供。【解決手段】難着雪・滑雪フィルム又はシートであって、所定方向に沿ってライン状に形成された頂部と、前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿って前記頂部と隣接する窪み部とが交互に並べられて形成された凹凸形状を有すると共に、撥水性を有する表面を備え、前記窪み部を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有する難着雪・滑雪フィルム又はシート。【選択図】図1

Description

本発明は、難着雪・滑雪用フィルム又はシートに関する。
従来、各種タイプの難着雪・滑雪用フィルム又はシートが提案されている。例えば、特許文献1には、フッ素系撥水剤で表面処理する手法が提案されている。特許文献2には、分子量500〜20000の末端フッ素化されたPTFE粉末を液状樹脂に配合させて皮膜を形成させた後に微細な凹凸を形成し撥水性を向上させる手法が提案されている。特許文献3には、モノマー成分としてフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素系共重合体とアクリル樹脂を必須成分とする含フッ素共重合体に、フッ素樹脂粉末やシリコーン粉末を混合した撥水性の着雪防止塗料を塗布する手法が提案されている。特許文献4には、マイクロパターン化表面を有する基材に架橋可能なフルオロポリマー結合剤と疎水性の微粒子とを塗布し不連続コーティングを形成する磨耗耐久性高疎水性表面の形成方法が提案されている。特許文献5には、固体表面に一方向に伸びる溝を複数2μm以上4mm以下の間隔で形成した凹凸構造の凸部を親水性にし、凹部を撥水性にする手法が提案されている。このように、従来の難着雪・滑雪用フィルム又はシートは、フィルム又はシート上の素材や表面形状に工夫を凝らしたものが主流である。
特開2004−106228号公報 特開平8−3479号公報 特許第2614825号公報 特許第5296675号公報 特開2003−226867号公報
しかしながら、従来の難着雪・滑雪フィルム又はシートには、乾雪及び湿雪の両方に対し、十分対応したものが存在しないのが実情である。そこで、本発明は、乾雪及び湿雪の両方に対し、極めて優れた難着雪性や滑雪性を示す難着雪・滑雪フィルム又はシートを提供することを目的とする。
本発明(1)は、難着雪・滑雪フィルム又はシートであって、
所定方向に沿ってライン状に形成された頂部と、前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿ってライン状に形成され且つ前記頂部と隣接する窪み部と、が交互に並べられて形成された凹凸形状を有すると共に、撥水性を有する表面を備え、
前記窪み部を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有することを特徴とする、難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
本発明(2)は、前記窪み部を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面が、曲面状である、前記発明(1)の難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
本発明(3)は、前記撥水性である成分が、フッ素含有高分子及び/又はシリコーン含有高分子である、前記発明(1)又は(2)の難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
本発明(4)は、前記フッ素含有高分子が、ジフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、ヘキサフルオロプロピレンのポリマー及びコポリマー、テトラフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、並びに、パーフルオロアルキル基含有ポリマー及びコポリマーからなる群から選択される一種以上のフルオロポリマーである、前記発明(3)の難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
本発明(5)は、前記シリコーン含有高分子が、シリコーンとアクリルのコポリマー、シロキサン系ポリマーからなる群から選択される一種以上のシリコーン含有ポリマーである、前記発明(3)又は(4)の難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
本発明(6)は、前記難着雪・滑雪フィルム又はシートが、帯電防止剤を更に含有する、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
本発明によれば、乾雪及び湿雪の両方に対し、極めて優れた難着雪性や滑雪性を示す難着雪・滑雪フィルム又はシートを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る難着雪・滑雪フィルム又はシートの断面図である。 本発明の一実施形態(特に図1の上段の形態)に係る難着雪・滑雪フィルム又はシートの上面図である。 実施例1〜3並びに比較例1及び2に係る難着雪・滑雪フィルム又はシートの写真である。 図4は、実施例3(上1枚)及び実施例2(下2枚)の電子顕微鏡写真である。
本発明は、難着雪・滑雪フィルム又はシートであって、
所定方向に沿ってライン状に形成された頂部と、前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿ってライン状に形成され且つ前記頂部と隣接する窪み部と、が交互に並べられて形成された凹凸形状を有すると共に、撥水性を有する表面を備え、
前記窪み部を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有することを特徴とする、難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
また、本発明は、難着雪・滑雪フィルム又はシートであって、
所定方向に沿ってライン状に形成された頂部と、前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿ってライン状に形成され且つ前記頂部と隣接する窪み部と、が交互に並べられて形成された凹凸形状を有すると共に、撥水性を有する表面を備え、
前記窪み部をなす表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有することを特徴とする、難着雪・滑雪フィルム又はシートである。
1.難着雪・滑雪フィルムの構造
2.難着雪・滑雪フィルムの材質
3.難着雪・滑雪フィルムの製造方法
≪1.難着雪・滑雪フィルムの構造≫
図1及び図2を参照しながら、本発明に係る難着雪・滑雪フィルムの構造を説明する。まず、図1及び図2に示すように、前記難着雪・滑雪フィルム又はシートは、所定方向に沿ってライン状に形成された頂部(図中のa)と前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿ってライン状に形成され且つ前記頂部と隣接する窪み部(図中のb)と、が交互に(ストライプ状に)並べられて形成された凹凸形状を有している。このように、前記難着雪・滑雪フィルム又はシートは、少なくとも一方の面上に、ストライプ状の凹凸構造が周期的に形成された領域を有している。尚、後述する材質の欄にて詳述するように、当該凹凸構造の少なくとも表面は撥水性である。但し、難着雪・滑雪が要求されない部位においては撥水性である必要はない。
そして、本発明に係る難着雪・滑雪フィルムの一特徴は、前記ストライプ状の凹凸構造のストライプ方向(即ち、前記所定方向)と垂直方向に前記フィルム又はシートを切断した際、当該切断面における、前記凹凸構造の凹部(窪み部)断面形状が、少なくとも部分的に曲形(凹状に湾曲)である点である。この点をより具体的に説明する。前記難着雪・滑雪フィルム又はシートは、所定方向に沿ってライン状に形成された頂部(図中のa)と、前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿ってライン状に形成され且つ前記頂部と隣接する窪み部(図中のb)と、が交互に(ストライプ状に)並べられて形成された凹凸形状を有すると共に、撥水性を有する表面を備え、前記窪み部(図中のb)を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有する。ここで、図1の上段の形態を参照しながら具体的に説明すると、所定方向に沿ってライン状に形成された第一の頂部(図中のa−1)と前記所定方向に沿ってライン状に形成された第二の頂部(図中のa−2)との間には、これら頂部(図中のa−1及びa−2)より低く形成され且つ前記所定方向に沿って隣接して形成された、窪み部(図中のb−1)が存在する。ここで本発明の特徴点は、当該窪み部(図中のb−1)をなす表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有する点である。このように、表面を撥水性とし、且つ、当該形状とすることで、従来の難着雪・滑雪フィルムと対比して、乾雪及び湿雪の両方に対し、極めて優れた難着雪性や滑雪性を示す難着雪・滑雪フィルム又はシートを提供することが可能となる。
ここで、図1に示すように、前記湾曲は、窪み部の一部のみ曲形であってよく(図1の上段)、窪み部の全体に亘って曲形であってもよい(図1の中段及び下段)。また、窪み部の深さ(窪み部の最深点と頂部の最高点との高位差)は、特に限定されないが、好適には1〜70μm、より好適には1〜60μm、更に好適には1〜50μm、特に好適には2〜40μm、最も好適には2〜25μmである。また、頂部のライン状方向に沿った表面粗さRaは、特に限定されないが、好適には1.0μm以下、より好適には0.5μm以下、更に好適には0.2μm以下、最も好適には0.1μm以下である。尚、凹凸の有無の確認及び窪み部の深さの測定及び頂部のライン状方向に沿った表面粗さRaの測定は、JIS−B−0601に準じて測定した。(触針式微小表面粗さ計ET−4000A(小坂研究所)を使用した。(速度0.1mm/分、長さ0.8mm、測定圧力10μN、X軸ピッチ2.5μm、Y軸ピッチ10μm))
本発明に係る滑雪用フィルム又はシートは、基材の凹凸構造のある面と反対面に、粘着剤(粘着剤層)又は接着剤(接着剤層)を有していてもよい。但し、用途によっては、滑雪用フィルム又はシートの施工時に粘着剤又は接着剤を塗布したり、ボルト締め、金具で押さえたり等、種々の方法で被着体に接合させることも可能である。よって、本発明に係る滑雪用フィルム又はシートは、粘着剤又は接着剤を必ずしも有している必要はない。尚、粘着剤(粘着剤層)又は接着剤(接着剤層)の厚さ(平均厚さ)は、用途等に応じて適宜変更可能である。尚、粘着剤又は接着剤の基材への適用形態は、層状、ドット状、線状、格子状等、求められる接着力等に応じ適宜決定すればよい。
≪2.難着雪・滑雪フィルムの材質≫
(2−1.撥水性材料)
まず、ストライプ状の凹凸構造の表面に存在する撥水性材料は、特に限定されないが、好適には、フッ素含有高分子及び/又はシリコーン含有高分子である。ここで、前記フッ素含有高分子は、例えば、ジフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、ヘキサフルオロプロピレンのポリマー及びコポリマー、テトラフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、並びに、パーフルオロアルキル基含有ポリマー及びコポリマーからなる群から選択される一種以上のフルオロポリマーである。また、前記シリコーン含有高分子は、シリコーンとアクリルのコポリマー、シロキサン系ポリマーからなる群から選択される一種以上のシリコーン含有ポリマーである。
(2−2.フィルム又はシート材料)
フィルム又はシート材料は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデンを挙げることができる。尚、前記撥水性材料とフィルム又はシート材料とが別のものであってもよく(積層型)、同一のものであってもよい(一体型)。
(2−3.粘着剤又は接着剤の成分)
粘着剤又は接着剤は、貼付対象により適宜選択すればよい。例えば、アクリル系粘着剤、ブチル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられる。
(2−4.その他の材料)
本発明に係る難着雪・滑雪フィルム又はシートは、帯電防止剤を含有していてもよい。帯電防止剤は特に限定されず、ポリオレフィンポリエーテルコポリマー、酸化スズを挙げることができる。この場合、フィルム又はシートの凹凸表面付近(例えば、撥水性材料層のみ)に存在していても、難着雪・滑雪フィルム又はシートの全体に含有していてもよい。
≪3.難着雪・滑雪フィルムの製造方法≫
(3−1.積層型の難着雪・滑雪フィルムの製造方法)
積層型の難着雪・滑雪フィルムの製造方法は、例えば、(1)凹凸形状のフィルム又はシート材料に、撥水性材料含有液を付着(塗布、吹付け等)させる工程(この工程にて、凹凸形状のフィルムの凹部に撥水性材料含有液が図1に示すように侵入)、その後、乾燥(特に溶剤を使用している場合)及び/又は硬化(例えば、UV硬化のようなエネルギー硬化)する工程、(2)基材樹脂と撥水性樹脂を共押出法にて積層して積層体を得る工程、樹脂が固化する前に当該積層体を型(曲面状の凸部がストライプ状に設けられた型)に押し付ける工程、その後冷却する工程、(3)フィルムに凹凸形状のパターン印刷をして、その後、乾燥(特に溶剤を使用している場合)及び/又は硬化(例えば、UV硬化のようなエネルギー硬化)する工程、で得ることができる。
(3−2.一体型の難着雪・滑雪フィルムの製造方法)
一体型の難着雪・滑雪フィルムの製造方法は、例えば、撥水性樹脂をダイから押し出す工程、その後冷却する工程、で得ることができる。
≪1.試験対象に係る試験片の製造例≫
<1−1.使用原材料>
・フッ素樹脂(1)(ポリフッ化ビニリデン、アルケマ製Kynar EX-AD3000)
・フッ素系コーティング剤(1)(クロロトリフルオロエチレンコポリマー、AGC製ルミフロンLF552)
・フッ素系コーティング剤(2)(パーフルオロアルキル基含有ポリマー、AGCセイミケミカル製MSN−02)
・シリコーン系コーティング剤(1)(シロキサン系ポリマー、BYK製シルクリーン3700)
・シリコーン系コーティング剤(2)(アクリルシリコーンコポリマー、大成ファインケミカル製アクリット8BS−9000)
・帯電防止剤(酸化スズ、SIGMA−ALDRICH製酸化スズ(IV)nanopowder,≦100 nm avg. part. size)
・架橋剤(ポリイソシアネート、東ソー製コロネートHX)
<1−2.プロセス>
<実施例1〜3、比較例1>
フッ素系コーティング剤(1)とシリコーン系コーティング剤(1)を固形分比(質量比)100:3の割合で混合し、更に架橋剤としてコロネートHXを添加して混合した液を、凹凸形状を有するフィルム{フッ素樹脂(1)/凹凸間隔(a―1〜a―2間距離):60μm、凹凸高さ:57μm}上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。ここで、塗工液の固形分や塗り回数を調整することにより乾燥後膜厚及び凹凸形状を調整し、23℃、50%RHで1週間熟成させ、表1に示すような表面構造を有する実施例1〜3及び比較例1(完全な凹凸形状)に係るサンプルを得た。ここで、図3(左から4枚)は、実施例1〜3及び比較例1に係るサンプルの写真である。また、図4の上1枚(左)は、実施例3に係るサンプルの電子顕微鏡写真であり、下2枚は、実施例2に係るサンプルの電子顕微鏡写真である。ここで、図4の実施例3のサンプルは、微視的には図4の上1枚(右)のように波打っている。
<実施例4>
フッ素系コーティング剤(1)に、架橋剤としてコロネートHXを添加して混合した液を、凹凸形状を有するフィルム{フッ素樹脂(1)/凹凸間隔(a―1〜a―2間距離):60μm、凹凸高さ:57μm}上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。その後、23℃、50%RHで1週間熟成させ、実施例4に係るサンプルを得た。
<実施例5>
フッ素系コーティング剤(2)を、凹凸形状を有するフィルム{フッ素樹脂(1)/凹凸間隔(a―1〜a―2間距離):60μm、凹凸高さ:57μm}上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。その後、23℃、50%RHで1週間熟成させ、実施例5に係るサンプルを得た。
<実施例6>
シリコーン系コーティング剤(1)に、架橋剤としてコロネートHXを添加して混合した液を、凹凸形状を有するフィルム{フッ素樹脂(1)/凹凸間隔(a―1〜a―2間距離):60μm、凹凸高さ:57μm}上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。その後、23℃、50%RHで1週間熟成させ、実施例6に係るサンプルを得た。
<実施例7>
シリコーン系コーティング剤(2)に、架橋剤としてコロネートHXを添加して混合した液を、凹凸形状を有するフィルム{フッ素樹脂(1)/凹凸間隔(a―1〜a―2間距離):60μm、凹凸高さ:57μm}上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。その後、23℃、50%RHで1週間熟成させ、実施例7に係るサンプルを得た。
<実施例8>
フッ素系コーティング剤(1)とシリコーン系コーティング剤(1)と帯電防止剤(酸化スズ)を固形分比(質量比)100:3:1の割合で混合し、更に架橋剤としてコロネートHXを添加して混合した液を、凹凸形状を有するフィルム{フッ素樹脂(1)/凹凸間隔(a―1〜a―2間距離):60μm、凹凸高さ:57μm}上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。その後、23℃、50%RHで1週間熟成させ、実施例8に係るサンプルを得た。
<比較例2>
フッ素系コーティング剤(1)とシリコーン系コーティング剤(1)を固形分比(質量比)100:3の割合で混合し、更に架橋剤としてコロネートHXを添加して混合した液を、平滑なフィルム上に、フィルムアプリケーターで塗工後、乾燥させて溶媒を除去した。その後、23℃、50%RHで1週間熟成させ、比較例2に係るサンプル(完全な平坦形状)を得た。ここで、図3(一番右)は、比較例2に係るサンプルの写真である。
≪2.試験≫
表1に示す実施例1〜8、及び比較例1〜2について、乾雪及び湿雪の両方に対しての、難着雪性及び滑雪性試験を実施した。
<2−1.試験方法>
(乾雪)
実施例1〜8、及び比較例1の試験片を、ストライプ方向(凹凸構造の凹部が延びる方向)に平行な向きを長方形の長辺として幅10cm、長さ30cmのサイズに裁断した。比較例2は平面構造のため、方向性を定めず、幅10cm、長さ30cmのサイズに裁断した。同じサイズの試験用ステンレス板に当該試験片を両面テープで貼付の後、水平な台の上で温度−5℃環境下にて2時間冷却した。冷却後、同環境で2時間馴染ませた雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所雪氷防災実験棟の人工降雪機を使用した人工雪降雪A(降雪条件:−10℃、特徴:天然の降雪結晶に近い樹枝状に枝分かれした結晶構造)(密度:220±60kg/m)を篩を使用して平均高さ3cmになるようにのせた。その後、ステンレス板の短辺が水平面に対して平行となり、且つ、ステンレス板の長辺と水平面とのなす角度が17°となるようにステンレス板を配置し{実施例1〜8、及び比較例1の試験片に関しては、ストライプ方向(凹凸構造の凹部が延びる方向)が上から下に向くように角度17°に設置している。}、人工雪降雪Aが滑るまでの時間を計測した。尚、常に基準サンプルとして、一般的に滑雪性が優れるとされているPTFEフィルムを並べて同条件で試験実施した。
(湿雪)
実施例1〜8、及び比較例1の試験片を、ストライプ方向(凹凸構造の凹部が延びる方向)に平行な向きを長方形の長辺として幅10cm、長さ30cmのサイズに裁断した。比較例2は平面構造のため、方向性を定めず、幅10cm、長さ30cmのサイズに裁断した。同じサイズの試験用ステンレス板に当該試験片を両面テープで貼付の後、水平な台の上で温度+3℃環境下にて2時間冷却した。冷却後、同環境で2時間馴染ませた雪氷防災研究センター新庄雪氷環境実験所雪氷防災実験棟の人工降雪機を使用した人工雪降雪A(降雪条件:−10℃、特徴:天然の降雪結晶に近い樹枝状に枝分かれした結晶構造)(密度:225±85kg/m)を篩を使用して平均高さ3cmになるようにのせた。その後、ステンレス板の短辺が水平面に対して平行となり、且つ、ステンレス板の長辺と水平面とのなす角度が17°となるようにステンレス板を配置し{実施例1〜8、及び比較例1の試験片に関しては、ストライプ方向(凹凸構造の凹部が延びる方向)が上から下に向くように角度17°に設置している。}、人工雪降雪Aが滑るまでの時間を計測した。尚、常に基準サンプルとして、一般的に滑雪性が優れるとされているPTFEフィルムを並べて同条件で試験実施した。
<2−2.評価手法>
滑雪試験:
サンプル設置時からサンプル上の積雪がサンプル面積の9/10以上滑雪するまでにかかった時間について、撮影画像で、基準サンプル(PTFEフィルム)と比較
判定基準:早い場合「○」、同等の場合「△」、遅い場合「×」
<2−3.評価結果>
下記表1に結果を示す。

Claims (6)

  1. 難着雪・滑雪フィルム又はシートであって、
    所定方向に沿ってライン状に形成された頂部と、前記頂部よりも低い位置にて前記所定方向に沿ってライン状に形成され且つ前記頂部と隣接する窪み部と、が交互に並べられて形成された凹凸形状を有すると共に、撥水性を有する表面を備え、前記窪み部を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面の少なくとも一部が、前記所定方向と垂直方向に沿って凹状に湾曲する湾曲面を有することを特徴とする、難着雪・滑雪フィルム又はシート。
  2. 前記窪み部を挟んで隣り合う前記頂部の間に延在する表面が、曲面状である、請求項1記載の難着雪・滑雪フィルム又はシート。
  3. 前記撥水性である成分が、フッ素含有高分子及び/又はシリコーン含有高分子である、請求項1又は2記載の難着雪・滑雪フィルム又はシート。
  4. 前記フッ素含有高分子が、ジフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、ヘキサフルオロプロピレンのポリマー及びコポリマー、テトラフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのポリマー及びコポリマー、並びに、パーフルオロアルキル基含有ポリマー及びコポリマーからなる群から選択される一種以上のフルオロポリマーである、請求項3記載の難着雪・滑雪フィルム又はシート。
  5. 前記シリコーン含有高分子が、シリコーンとアクリルのコポリマー、シロキサン系ポリマーからなる群から選択される一種以上のシリコーン含有ポリマーである、請求項3又は4記載の難着雪・滑雪フィルム又はシート。
  6. 前記難着雪・滑雪フィルム又はシートが、帯電防止剤を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の難着雪・滑雪フィルム又はシート。


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