JP6509836B2 - フッ素樹脂基材及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

フッ素樹脂基材及びフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素樹脂基材及びフレキシブルプリント配線板に関する。
近年、情報通信量は増大する一方であり、これに応えるため、例えばICカード、携帯電話端末等の機器においてマイクロ波、ミリ波といった高周波領域での通信が盛んになっている。このため、高周波領域で用いた際に伝送損失が小さい高周波用プリント配線板が求められている。
ここで、伝送損失αdは、周波数f、誘電体層の比誘電率εr及び誘電正接tanδと以下の関係(式(1))を満たす。
Figure 0006509836
つまり、伝送損失αdを小さくするためには、誘電体層の比誘電率εrを小さくすることが望まれる。また、フレキシブルプリント配線板の基材に積層される銅メッキ等のメッキ破断を防止するためには、基材の熱膨張率が低いことが望まれる。このため、誘電体層に中空のガラスビーズを含有したフッ素樹脂基材が提案されている(特許文献1参照)。このフッ素樹脂基材では、ガラスビーズの中空部分の空気の比誘電率が1.0と低いため、この中空部分の体積比率を制御することにより比誘電率εrを小さくすることができるとともに、中空部分により熱膨張率を低減できる。
特開2013−201344号公報
しかしながら、上記従来のフッ素樹脂基材では、ガラスビーズがフッ素樹脂基材の外面に凹凸を発生させる場合がある。高周波信号は表皮効果により導体表面を進行するため、この凹凸により高周波信号における伝送損失が発生するおそれがある。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、外面の平滑性を維持しつつ低誘電率化及び低熱膨張率化を可能とし、高周波領域における伝送損失を低減できるフッ素樹脂基材の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るフッ素樹脂基材は、フッ素樹脂を主成分とする1又は複数の誘電体層を有するフッ素樹脂基材であって、少なくとも一部の上記誘電体層が気泡を含有し、上記気泡含有誘電体層における外面近傍の平均気泡密度が内部の平均気泡密度より小さい。
本発明のフッ素樹脂基材は、外面の平滑性を維持しつつ低誘電率化及び低熱膨張率化を可能とする。従って、当該フッ素樹脂基材は高周波信号における伝送損失を効果的に低減でき、高周波用両面プリント配線板として好適に用いることができる。
図1は、本発明の一態様に係るフッ素樹脂基材を示す模式的部分断面図である。 図2は、本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板を示す模式的部分断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るフッ素樹脂基材は、フッ素樹脂を主成分とする1又は複数の誘電体層を有するフッ素樹脂基材であって、少なくとも一部の上記誘電体層が気泡を含有し、上記気泡含有誘電体層における外面近傍の平均気泡密度が内部の平均気泡密度より小さい。
当該フッ素樹脂基材は、気泡を含有する誘電体層を有するので、気泡の体積比率(空隙率)を制御することにより比誘電率を小さくすることができ、伝送損失が低減できる。また、上記気泡含有誘電体層における外面近傍の平均気泡密度が内部の平均気泡密度より小さいので、当該フッ素樹脂基材の外面に凹凸が発生しにくく、凹凸による高周波信号における伝送損失を抑止できる。従って、当該フッ素樹脂基材は高周波信号における伝送損失を効果的に低減できる。また、当該フッ素樹脂基材は、気泡含有誘電体層を有することで、熱膨張率が低減される。そのため、例えば当該フッ素樹脂基材に積層される銅メッキ等の加熱によるメッキ破断を防止することができる。
上記気泡含有誘電体層が気泡を含有する第1誘電体層と、この第1誘電体層の外面側に配設され、気泡を含有しない第2誘電体層とを有するとよい。このように上記気泡含有誘電体層が気泡を含有する第1誘電体層と、この第1誘電体層の外面側に配設され、気泡を含有しない第2誘電体層とを有することで、比誘電率を小さく維持しつつ、フッ素樹脂基材の外面に積層される導電パターンとフッ素樹脂基材との界面を容易に平滑化でき、表皮効果による伝送損失をさらに効果的に低減できる。
上記気泡が中空粒子又は多孔質粒子により構成されるとよい。このように上記気泡が中空粒子又は多孔質粒子により構成されることにより、誘電体層が容易かつ確実に気泡を含有できると共に切削加工等の加工時にフッ素樹脂基材の寸法変化が抑制できる。
上記気泡含有誘電体層に直接又は他の層を介して積層され、フッ素樹脂を補強材に含浸した補強用誘電体層をさらに有するとよい。このようにフッ素樹脂を補強材に含浸した補強用誘電体層をさらに有することで、フッ素樹脂基材の弾性率、ポアソン比及び熱膨張率が下がる。そのため、リフロー等の熱処理時にフッ素樹脂基材の反りの発生や寸法変化が抑制できると共にフッ素樹脂基材の外面に積層される銅メッキ等のヒートサイクル試験時のメッキ歪みが軽減され、メッキ破断が生じ難くなる。
上記補強用誘電体層の両面に一対の上記気泡含有誘電体層を有するとよい。このように上記補強用誘電体層の両面に一対の上記気泡含有誘電体層を有することで、両面に高周波信号における伝送損失を効果的に低減できる回路パターンを有する高周波用両面プリント配線板を得ることができる。
上記補強用誘電体層が気泡を含有しないとよい。このように上記補強用誘電体層が気泡を含有しないことで、金属マイグレーションが抑制され、絶縁劣化を発生し難くできる。
上記気泡含有誘電体層の平均空隙率としては、1体積%以上50体積%以下が好ましい。上記気泡含有誘電体層の平均空隙率を上記範囲内とすることで、フッ素樹脂基材の強度を維持しつつフッ素樹脂基材表面の平滑化と低誘電率化との両立を促進できる。
上記気泡含有誘電体層の平均気泡密度が外面から内部に向かう方向に単調に増加しているとよい。このように上記気泡含有誘電体層の平均気泡密度が外面から内部に傾斜(単調に増加)していることで、外面の凹凸の発生を抑止しつつ、気泡含有誘電体層の気泡の含有量を大きくすることができ、比誘電率を効果的に小さくすることができる。従って、高周波信号における伝送損失をさらに効果的に低減できる。
本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、当該フッ素樹脂基材と、上記フッ素樹脂基材の外面に積層される導電パターンとを備える。当該フレキシブルプリント配線板は、上記フッ素樹脂基材を含むので、高周波信号における伝送損失が低く、高周波用プリント配線板として好適に用いることができる。
なお、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。また、「外面近傍」とはフッ素樹脂基材の最外面となる気泡含有誘電体層の外面(フッ素樹脂基材が単層の場合は気泡含有誘電体層の任意の外面)から気泡含有誘電体層が含有する気泡の平均径に相当する厚さまでの領域を意味し、例えば外面から20μm以内の領域を意味する。「内部」とは気泡含有誘電体層の外面近傍を除く領域を意味する。また、「平均気泡密度」とは、気泡含有誘電体層の厚さ方向(外面から内部に向かう方向)に気泡数の積算分布を取り、厚さ方向に微分した数値を気泡含有誘電体層の平面視面積で除した値を意味し、厚さ方向の位置に依存して決まる数値である。「平均気泡密度が傾斜している」とは、平均気泡密度が気泡含有誘電体層の厚さ方向(外面から内部に向かう方向)に単調に変化(増加)している状態を意味し、その一部に平均気泡密度が変化しない部分を含んでもよい。また、「気泡含有誘電体層の平均空隙率」とは、気泡含有誘電体層に対する空隙の割合を意味し、気泡含有誘電体層を構成する成分の含有量と密度とから算出される実体積をV0、気泡含有誘電体層の空隙を含む体積をV1とするとき、(V1−V0)/V1×100で算出される量である。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係るフッ素樹脂基材及びフレキシブルプリント配線板の一実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
[フッ素樹脂基材]
図1のフッ素樹脂基材1は、フッ素樹脂を主成分とする気泡含有誘電体層2と、フッ素樹脂を補強材に含浸した補強用誘電体層3とを主に備える。具体的には、当該フッ素樹脂基材1は、上記補強用誘電体層3の両面に一対の上記気泡含有誘電体層2を有する。
<気泡含有誘電体層>
気泡含有誘電体層2はフッ素樹脂を主成分とし、気泡2aを含有する第1誘電体層21と、この第1誘電体層21の外面側に配設され、気泡を含有しない第2誘電体層22とを有する。従って、上記気泡含有誘電体層2における外面近傍の平均気泡密度は内部の平均気泡密度より小さい。
上記気泡含有誘電体層2の平均厚さの下限としては、15μmが好ましく、25μmがより好ましい。また、上記気泡含有誘電体層2の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく、200μmがより好ましい。上記気泡含有誘電体層2の平均厚さが上記下限未満である場合、気泡2aの含有量が不足し、比誘電率の低減効果が不十分となるおそれがある。一方、上記気泡含有誘電体層2の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フッ素樹脂基材1が無用に厚くなるおそれがある。なお、ここで、「平均厚さ」とは、任意の十点において測定した厚さの平均値をいう。
上記第1誘電体層21の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましい。また、上記第1誘電体層21の平均厚さの上限としては、400μmが好ましく、150μmがより好ましい。上記第1誘電体層21の平均厚さが上記下限未満である場合、気泡2aの含有量が不足し、比誘電率の低減効果が不十分となるおそれがある。一方、上記第1誘電体層21の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フッ素樹脂基材1が無用に厚くなるおそれがある。
また、上記第2誘電体層22の平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、上記第2誘電体層22の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。上記第2誘電体層22の平均厚さが上記下限未満である場合、フッ素樹脂基材1の外面に積層される導電パターンとフッ素樹脂基材1との界面が十分に平滑化されず、表皮効果による伝送損失が発生するおそれがある。また、気泡2aが中空粒子又は多孔質粒子により構成されている場合、当該フッ素樹脂基材1の外面からの中空粒子や多孔質粒子の脱落により、当該フッ素樹脂基材1の表面粗さが増し、伝送損失が発生するおそれもある。一方、上記第2誘電体層22の平均厚さが上記上限を超える場合、比誘電率の低減効果を得るための第1誘電体層21の平均厚さが厚くなり、当該フッ素樹脂基材1が無用に厚くなるおそれがある。
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂とは、高分子鎖の繰り返し単位を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子又はフッ素原子を有する有機基(以下「フッ素原子含有基」ともいう)で置換されたものをいう。フッ素原子含有基は、直鎖状又は分岐状の有機基中の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものであり、例えばフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロポリエーテル基等が挙げられる。
「フルオロアルキル基」とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味し、「パーフルオロアルキル基」を含む。具体的には、「フルオロアルキル基」は、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基、アルキル基の末端の1個の水素原子以外の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基等を含む。
「フルオロアルコキシ基」とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルコキシ基を意味し、「パーフルオロアルコキシ基」を含む。具体的には、「フルオロアルコキシ基」は、アルコキシ基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基、アルコキシ基の末端の1個の水素原子以外の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基等を含む。
「フルオロポリエーテル基」とは、繰り返し単位としてオキシアルキレン単位を有し、末端にアルキル基又は水素原子を有する1価の基であって、このアルキレンオキシド鎖又は末端のアルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された1価の基を意味する。「フルオロポリエーテル基」は、繰り返し単位として複数のパーフルオロアルキレンオキシド鎖を有する「パーフルオロポリエーテル基」を含む。
気泡含有誘電体層2を構成するフッ素樹脂としては、例えばテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロ(四フッ化)エチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、フロオロエラストマー、並びにテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びビニリデンフルオライドの3種類のモノマーからなる熱可塑性フッ素樹脂(THV)が挙げられる。また、これらの化合物を含む混合物やコポリマーも、気泡含有誘電体層2を構成する材料として使用可能である。
上述のフッ素樹脂の中でも、上記気泡含有誘電体層2がFEP、PTFE及びPFAの1種又は2種以上を含むとよい。このように上記気泡含有誘電体層2がFEP、PTFE及びPFAの1種又は2種以上を含むことにより、気泡含有誘電体層2の低誘電率化が容易となる。また、耐熱性の観点から、PTFEがより好ましい。
また、気泡含有誘電体層2は、任意成分として、例えばエンジニアリングプラスチック、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、加工安定剤、可塑剤等を含み得る。
上記エンジニアリングプラスチックとしては、当該フッ素樹脂基材1に求められる特性に応じて公知のものから選択して使用でき、典型的には芳香族ポリエーテルケトン樹脂を使用することができる。
この芳香族ポリエーテルケトンは、ベンゼン環がパラ位に結合し、剛直なケトン結合(−C(=O)−)又はフレキシブルなエーテル結合(−O−)によってベンゼン環同士が連結された構造を有する熱可塑性樹脂である。芳香族ポリエーテルケトンとしては、例えばエーテル結合、ベンゼン環、エーテル結合、ベンゼン環、ケトン結合、及びベンゼン環が、この順序で並んだ構造単位を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エーテル結合、ベンゼン環、ケトン結合、及びベンゼン環が、この順序で並んだ構造単位を有するポリエーテルケトン(PEK)が挙げられる。中でも、芳香族ポリエーテルケトンとしては、PEEKが好ましい。このような芳香族ポリエーテルケトンは、耐摩耗性、耐熱性、絶縁性、加工性等に優れる。
PEEK等の芳香族ポリエーテルケトンとしては、市販品を使用することができる。芳香族ポリエーテルケトンとしては、様々なグレードのものが市販されており、市販されている単一のグレードの芳香族ポリエーテルケトンを単独で使用してもよく、複数のグレードの芳香族ポリエーテルケトンを併用してもよく、また変性した芳香族ポリエーテルケトンを使用してもよい。
当該フッ素樹脂基材1におけるエンジニアリングプラスチックの合計含有量の上記フッ素樹脂に対する比の下限としては、特に限定されないが、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましい。エンジニアリングプラスチックの合計含有量が上記下限未満の場合、当該フッ素樹脂基材1の特性を充分に改善することができないおそれがある。一方、エンジニアリングプラスチックの合計含有量の上記フッ素樹脂に対する比の上限としては、特に限定されないが、50質量%が好ましく、45質量%がより好ましい。エンジニアリングプラスチックの含有量が上記上限を超える場合、フッ素樹脂の有利な特性を充分に発現させることができないおそれがある。
難燃剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が挙げられる。
難燃助剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば三酸化アンチモン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えばフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
(気泡)
上記気泡2aは、中空粒子又は多孔質粒子により構成されるとよい。具体的には、複数の中空粒子又は多孔質粒子を気泡含有誘電体層2の第1誘電体層21に分散含有させるとよい。このように上記気泡が中空粒子又は多孔質粒子により構成されることにより、誘電体層が容易かつ確実に気泡を含有できると共に切削加工等の加工時に当該フッ素樹脂基材1の寸法変化が抑制できる。
上記中空粒子又は多孔質粒子の材質としては、特に限定されないが、例えばアルミナ、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。中でも高絶縁性及び低誘電率の観点からシリカが好ましい。
上記中空粒子又は多孔質粒子の平均粒径の下限としては、10nmが好ましく、100nmがより好ましい。また、上記中空粒子又は多孔質粒子の平均粒径の上限としては、10μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記中空粒子又は多孔質粒子の平均粒径が上記下限未満である場合、気泡含有誘電体層2に含有させる際に中空粒子又は多孔質粒子が凝集し易くなり、粒子の分散が不均一となるおそれがある。一方、上記中空粒子又は多孔質粒子の平均粒径が上記上限を超える場合、気泡含有誘電体層2の外面に凹凸が生じ易くなり、ひいては当該フッ素樹脂基材1の外面に凹凸が生じるおそれがある。ここで「平均粒径」とは、体積基準の粒径の積算分布における積算値50%の値(D50)を意味する。なお、積算分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した500個の粒子の画像解析により測定した円半径の値を体積換算して求めた値に基づいて作成される。
上記中空粒子又は多孔質粒子の平均空孔率(粒子1個当たりの空隙の体積割合の平均)の下限としては、10%が好ましく、40%がより好ましい。また、上記中空粒子又は多孔質粒子の平均空孔率の上限としては、90%が好ましく、80%がより好ましい。上記中空粒子又は多孔質粒子の平均空孔率が上記下限未満である場合、気泡含有誘電体層2の比誘電率が十分に下がらないおそれがある。一方、上記中空粒子又は多孔質粒子の平均空孔率が上記上限を超える場合、耐圧性が不足し、中空粒子又は多孔質粒子が破損するおそれがある。
上記気泡2aは、中空粒子又は多孔質粒子を用いずに気泡含有誘電体層2の第1誘電体層21の内部に直接形成してもよい。このような独立気泡は、後述するフッ素樹脂基材の製造時の分散液準備工程における分散液への界面活性剤の混合や気泡含有誘電体層形成工程における焼結条件の調整により形成することができる。また、延伸や気泡含有誘電体層形成工程におけるガス注入等により形成することも可能である。
上記独立気泡の平均径の下限としては、10nmが好ましく、100nmがより好ましい。また、上記独立気泡の平均径の上限としては、10μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記独立気泡の平均径が上記下限未満である場合、気泡含有誘電体層2に含有させる際に独立気泡の分散が不均一となるおそれがある。一方、上記独立気泡の平均径が上記上限を超える場合、その浮力により独立気泡が気泡含有誘電体層2の一方の面に集中し、独立気泡が偏在するおそれがある。ここで「気泡の平均径」とは、体積基準の気泡径の積算分布における積算値50%の値(D50)を意味する。なお、積算分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した500個の気泡の画像解析により測定した円半径の値を体積換算して求めた値に基づいて作成される。
上記気泡含有誘電体層2(第1誘電体層21と第2誘電体層22との合計)の平均空隙率の下限としては、1体積%が好ましく、10体積%がより好ましい。また、上記気泡含有誘電体層2の平均空隙率の上限としては、50体積%が好ましく、30体積%がより好ましい。上記気泡含有誘電体層2の平均空隙率が上記下限未満である場合、気泡含有誘電体層2の比誘電率を十分に低減できないおそれがある。一方、上記気泡含有誘電体層2の平均空隙率が上記上限を超える場合、当該フッ素樹脂基材1の強度が低下するおそれやフッ素樹脂基材1の表面の凹凸が増大するおそれがある。
上記第1誘電体層21の平均空隙率の下限としては、2体積%が好ましく、20体積%がより好ましい。また、上記第1誘電体層21の平均空隙率の上限としては、60体積%が好ましく、50体積%がより好ましい。上記第1誘電体層21の平均空隙率が上記下限未満である場合、気泡含有誘電体層2の比誘電率が十分に下がらないおそれがある。一方、上記第1誘電体層21の平均空隙率が上記上限を超える場合、当該フッ素樹脂基材1の強度が低下するおそれがある。
<補強用誘電体層>
補強用誘電体層3は、フッ素樹脂を補強材に含浸した誘電体層である。補強用誘電体層3の補強材に含浸するフッ素樹脂としては、気泡含有誘電体層2のフッ素樹脂と同じものを用いることができる。
上記補強用誘電体層3の補強材としては、例えば平織のガラスクロス、アラミド、ポリイミド等の不織布又は綾織布、ポリイミド、液晶ポリマー等のフィルム、無機フィラーを添加したセラミックス、炭化ケイ素、窒化アルミニウム等のシートが挙げられる。
上記補強用誘電体層3の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。また、上記補強用誘電体層3の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。上記補強用誘電体層3の平均厚さが上記下限未満である場合、当該フッ素樹脂基材1の強度及び寸法安定性が不足するおそれがある。一方、上記補強用誘電体層3の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フッ素樹脂基材1が無用に厚くなるおそれがある。
上記補強用誘電体層3は、気泡を含有しないとよい。このように上記補強用誘電体層3が気泡を含有しないことで、金属マイグレーションが抑制され、当該フッ素樹脂基材1の絶縁劣化を発生し難くできる。
<フッ素樹脂基材の製造方法>
当該フッ素樹脂基材1は、例えば補強用誘電体層形成工程、分散液準備工程及び気泡含有誘電体層形成工程を備える製造方法によって容易かつ確実に製造できる。
(補強用誘電体層形成工程)
まず、補強用誘電体層形成工程において、補強材にフッ素樹脂を含浸し、補強用誘電体層3を形成する。具体的には、例えば補強材としてガラスクロス、フッ素樹脂としてPTFEを用いる場合、ガラスクロスをPTFEディスパージョンに浸漬し、PTFEが含浸したガラスクロスを焼結することで、補強用誘電体層3が形成できる。焼結の温度プロファイルとしては、特に限定されないが、例えば温度が3段階で変化するプロファイルとすることができる。具体的には、第1段階の温度としては140℃以上160℃以下、第1段階の時間としては9分以上11分以下、第2段階の温度としては190℃以上210℃以下、第2段階の時間としては25分以上35分以下、第3段階の温度としては410℃以上430℃以下、第3段階の時間としては、50秒以上70秒以下とできる。
(分散液準備工程)
次に、分散液準備工程において第1誘電体層21を形成するための分散液を準備する。例えば気泡2aを中空シリカ粒子で構成する場合、中空シリカ粒子と水とを撹拌し、その撹拌液にPTFEディスパージョンを添加することで第1分散液を作成する。また、第2誘電体層22を形成するために、水と上記PTFEディスパージョンとを含み、中空シリカ粒子を含まない第2分散液をさらに用意する。
(気泡含有誘電体層形成工程)
最後に、気泡含有誘電体層形成工程において、上記第1分散液を補強用誘電体層3の一方の面に塗布し、熱処理を行うことで第1誘電体層21を形成する。具体的には、上記第1分散液を補強用誘電体層3の一方の面に塗布し熱処理を行い、第1誘電体層21を形成する。次に、第1誘電体層21の外面に上記第2分散液を塗布し、熱処理を行い、第1誘電体層21の外面に第2誘電体層22を形成する。第1誘電体層21及び第2誘電体層22を形成する際の熱処理の温度プロファイルとしては、特に限定されないが、例えば補強用誘電体層3を形成した際の温度プロファイルと同様の条件とできる。このようにして気泡含有誘電体層2を形成することができる。
また、同様に上記第1分散液及び第2分散液を補強用誘電体層3の他方の面に塗布し、熱処理を行うことで補強用誘電体層3の両面に気泡含有誘電体層2を形成することができる。なお、補強用誘電体層3の両面に気泡含有誘電体層2を同時に形成してもよい。
<利点>
当該フッ素樹脂基材1は、気泡2aを含有する気泡含有誘電体層2を有するので、気泡2aの体積比率(空隙率)を制御することにより比誘電率を小さくすることができ、伝送損失が低減できる。また、上記気泡含有誘電体層2における外面近傍の平均気泡密度が内部の平均気泡密度より小さいので、当該フッ素樹脂基材1の外面に凹凸が発生しにくく、凹凸による高周波信号における伝送損失を抑止できる。従って、当該フッ素樹脂基材1は、高周波信号における伝送損失を効果的に低減できる。また、当該フッ素樹脂基材1は、気泡含有誘電体層2を有することで、熱膨張率が低減される。そのため、例えば当該フッ素樹脂基材1に積層される銅メッキ等の加熱によるメッキ破断を防止することができる。さらに、当該フッ素樹脂基材1はフッ素樹脂を補強材に含浸した補強用誘電体層3を有することで、弾性率、ポアソン比及び熱膨張率が下がり、リフロー等の熱処理時に当該フッ素樹脂基材1の反りの発生や寸法変化が抑制できる。
[フレキシブルプリント配線板]
図2のフレキシブルプリント配線板は、上記フッ素樹脂基材1と、上記フッ素樹脂基材1の両面(外面)に積層される一対の導電パターン4とを主に備える。さらに当該フレキシブルプリント配線板は、上記フッ素樹脂基材1及び導電パターン4の外面に積層される一対のカバーレイ5を備える。なお、図2においては、図1のフッ素樹脂基材と同一の要素について同一の符号を付してあり、以下における重複説明を省略する。
<導電パターン>
上記導電パターン4は、フッ素樹脂基材1の外面に積層された金属層をエッチングすることによって所望の平面形状(パターン)に形成されている。この導電パターン4は、導電性を有する材料で形成可能であるが、一般的には例えば銅によって形成されている。
上記導電パターン4の平均厚さの下限としては、2μmが好ましく、5μmがより好ましい。また、上記導電パターン4の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。上記導電パターン4の平均厚さが上記下限未満である場合、上記導電パターン4の導電性が不十分となるおそれがある。一方、上記導電パターン4の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板が無用に厚くなるおそれがある。
<カバーレイ>
カバーレイ5は、導電パターン4を外力や水分等から保護するものである。このカバーレイ5は、カバーフィルム51及び接着層52を備える。
(カバーフィルム)
カバーフィルム51は、可撓性及び絶縁性を有する。カバーフィルム51の主成分としては、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。特に、耐熱性の観点からポリイミドが好ましい。また、このカバーフィルム51は、主成分以外の他の樹脂、耐候剤、帯電防止剤等を含有してもよい。
カバーフィルム51の平均厚さの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、カバーフィルム51の平均厚さの上限としては、特に限定されないが、500μmが好ましく、150μmがより好ましい。カバーフィルム51の平均厚さが上記下限未満である場合、導電パターン4の保護が不十分となるおそれがあると共に、カバーフィルム51に絶縁性が求められる場合には絶縁性が不十分となるおそれがある。一方、カバーフィルム51の平均厚さが上記上限を超える場合、導電パターン4の保護効果の上積みが少なくなるおそれがあると共に、カバーフィルム51の可撓性が不十分となるおそれがある。
(接着層)
接着層52を構成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、柔軟性や耐熱性に優れたものが好ましい。かかる接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエステル、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミドイミド等の各種の樹脂系接着剤が挙げられる。
接着層52の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、接着層52の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。接着層52の平均厚さが上記下限未満である場合、カバーレイ5のフッ素樹脂基材1及び導電パターン4に対する接着強度が不十分となるおそれがある。一方、接着層52の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板が無用に厚くなるおそれがある。
<フレキシブルプリント配線板の製造方法>
当該フレキシブルプリント配線板は、導電パターン形成工程及びカバーレイ積層工程を備える製造方法によって容易かつ確実に製造できる。
(導電パターン形成工程)
導電パターン形成工程では、フッ素樹脂基材1の外面に金属層が積層されたものを用い、上記金属層を加工して導電パターン4を形成する。上記金属層をフッ素樹脂基材1の外面に積層する方法としては特に限定されず、例えば金属箔を接着剤で貼り合わせる接着法、スパッタリングや蒸着法でフッ素樹脂基材1に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属層を形成するスパッタ/メッキ法、金属箔を熱プレスで貼り付けるラミネート法等を用いることができる。また、上記導電パターン4は従来公知の方法で加工することで形成でき、例えばフッ素樹脂基材1の外面に積層された金属層の所望箇所をエッチングすることによって形成することができる。
(カバーレイ積層工程)
次にカバーレイ積層工程において、上記フッ素樹脂基材1及び導電パターン4の外面にカバーレイ5を積層する。具体的には、カバーレイ5は、フッ素樹脂基材1及び導電パターン4に接着層52を介してカバーフィルム51を貼着することで形成できる。
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板は、上記フッ素樹脂基材1を含むので、高周波信号における伝送損失が低く、高周波用プリント配線板として好適に用いることができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
上記実施形態では、フッ素樹脂基材が補強用誘電体層の両面に気泡含有誘電体層を有する場合を説明したが、フッ素樹脂基材は気泡含有誘電体層を補強用誘電体層の片面のみに有するものであってもよい。
また、上記実施形態では、フッ素樹脂基材が補強用誘電体層を有する場合を説明したが、補強用誘電体層は必須の構成要素ではなく、外面近傍の平均気泡密度が内部の平均気泡密度より小さい一対の気泡含有誘電体層により構成されるフッ素樹脂基材や、1層の上記気泡含有誘電体層のみを有するフッ素樹脂基材も本発明の意図する範囲である。
上記実施形態では気泡を含有する第1誘電体層と気泡を含有しない第2誘電体層とを有する気泡含有誘電体層を説明したが、気泡含有誘電体層は2層に分かれていなくともよい。すなわち、1層の気泡含有誘電体層の平均気泡密度が外面から内部に傾斜していてもよい。このように上記気泡含有誘電体層の平均気泡密度が外面から内部に傾斜していることで、外面の凹凸の発生を抑止しつつ、気泡含有誘電体層の気泡の含有量を大きくすることができ、比誘電率を効果的に小さくすることができる。従って、高周波信号における伝送損失をさらに効果的に低減できる。
また、第2誘電体層が気泡を有してもよい。第2誘電体層が気泡を有する場合の第2誘電体層の平均空隙率は、第1誘電体層の平均空隙率未満であり、例えば1体積%以上10体積%以下とできる。
さらに、気泡含有誘電体層が3層以上の誘電体層を有してもよい。例えば中空シリカ粒子の含有率の異なる複数の分散液を順次塗布し積層することで気泡含有誘電体層を多層構造とできる。
また、フッ素樹脂基材がさらに他の誘電体層を有する多層構造であってもよい。例えば補強用誘電体層と気泡含有誘電体層との間に気泡を含まない無気泡誘電体層を有してもよい。このように補強用誘電体層と気泡含有誘電体層との間に無気泡誘電体層を有することで、中空粒子等が補強用誘電体層に入ることを抑止できる。これにより、補強用誘電体層において金属マイグレーションが抑制され、フッ素樹脂基材の絶縁劣化を発生し難くできる。
さらに、上記実施形態では、両面のフレキシブルプリント配線板の場合を説明したが、片面のフレキシブルプリント配線板であってもよく、その場合は導電パターンを積層する面のみに気泡含有誘電体層を有するフッ素樹脂基材を用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[No.1]
まず、平均厚さ27μm、目付量17g/mの平織のガラスクロス(中興化成工業株式会社のCGN−500NF)を、PTFEを60質量%、界面活性剤を6質量%以下、水を30質量%以上40質量%以下含むPTFEディスパージョン(ダイキン工業株式会社の「D−210C」)に浸した。このPTFEを含浸したガラスクロスを大気中で焼結し、補強用誘電体層を形成した。焼結の温度プロファイルは、温度150℃で10分間、続いて温度200℃で30分間、さらに温度420℃で1分間とした。
次に、中空シリカ粒子0.12gと水2.8gとを撹拌し、その撹拌した液に上述のPTFEディスパージョン1.12gを添加し、第1分散液を作成した。中空シリカ粒子としては、平均粒径が80nm以上130nm以下であり、殻厚が5nm以上15nm以下、比表面積が100m/g以上500m/g以下、空隙率が50%の日鉄鉱業株式会社の「シリナックス」を用いた。
この第1分散液を上記補強用誘電体層の一方の面にドクターナイフを用いて塗布した。塗布の平均厚さは25μmとした。その後、大気中で補強用誘電体層を形成した際の温度プロファイルと同様の条件で第1分散液を塗布した補強用誘電体層を焼結した。さらに、中空シリカ粒子を含まない上記PTFEディスパージョン1.12gのみ(第2分散液)を平均厚さ25μmで追加塗布し、同様の焼結条件で焼結した。このようにして第1誘電体層と第2誘電体層とを有する気泡含有誘電体層を形成した。上記補強用誘電体層の他方の面についても同様の方法で気泡含有誘電体層を形成し、フッ素樹脂基材を得た。
次に、フッ素樹脂基材の一方の面に、プラズマ処理を行った後、無電解銅メッキ処理を行い、No.1のプリント配線板用基板を用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは81μmであり、気泡含有誘電体層の平均空隙率は19体積%であった。
[No.2]
平均厚さ50μmのアルミニウム箔の一方の面に、No.1と同様の第1誘電体層と第2誘電体層とを有する気泡含有誘電体層を形成した。次に、アルミニウム箔を気泡含有誘電体層から除去し、さらに、アルミニウム箔を除去した面にNo.1と同様に第1誘電体層と第2誘電体層とを有する気泡含有誘電体層を形成した。その後、No.1と同様にプラズマ処理、無電解銅メッキ処理を行い、No.2のプリント配線板用基板を用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは54μmであり、気泡含有誘電体層の平均空隙率は26体積%であった。
[No.3]
第1誘電体層の形成において第1分散液中の中空シリカ粒子の量を0.35gとした以外は、No.1と同様にしてNo.3のプリント配線板用基板を用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは50μmであり、気泡含有誘電体層の平均空隙率は52体積%であった。
[No.4]
第1誘電体層の形成において第1分散液中の中空シリカ粒子の量を0.36gとした以外は、No.2と同様にしてNo.4のプリント配線板用基板を用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは50μmであり、気泡含有誘電体層の平均空隙率は53体積%であった。
[No.5]
第1誘電体層及び第2誘電体層共に中空シリカ粒子を含む第1分散液を用いて形成した以外はNo.1と同様にしてNo.5のプリント配線板用基板を比較例として用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは51μmであり、気泡含有誘電体層の平均空隙率は15体積%であった。
[No.6]
第1誘電体層及び第2誘電体層共に中空シリカ粒子を含む第1分散液を用いて形成した以外はNo.2と同様にしてNo.6のプリント配線板用基板を比較例として用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは51μmであり、気泡含有誘電体層の平均空隙率は26体積%であった。
[No.7]
第1誘電体層及び第2誘電体層の形成共に中空シリカ粒子を含まない第2分散液を用いた以外はNo.1と同様にしてNo.7のプリント配線板用基板を比較例として用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは50μmであった。
[No.8]
第1誘電体層及び第2誘電体層の形成共に中空シリカ粒子を含まない第2分散液を用いた以外はNo.2と同様にしてNo.8のプリント配線板用基板を比較例として用意した。このプリント配線板用基板の平均厚さは50μmであった。
[評価]
上記No.1〜No.8のプリント配線板用基板について、比誘電率、熱膨張率及び平均表面粗さ(Ra)を測定した。
<比誘電率>
比誘電率は、JIS−C−2138:2007に規定される測定方法に準拠して測定した。結果を表1に示す。
<熱膨張率>
熱膨張率は、JIS−K−7197:2012に準拠し、熱機械分析(TMA)により測定した。結果を表1に示す。
<平均表面粗さ>
平均表面粗さ(Ra)は、レーザ顕微鏡を用いて1000μmの範囲の面粗さを10点測定し、その平均値を求めることで算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006509836
表1の結果よりNo.1〜No.4のプリント配線板用基板は、No.5及びNo.6のプリント配線板用基板と比べ、比誘電率が同等でありながら平均表面粗さが小さい。従って、No.1〜No.4のプリント配線板用基板は、外面の平滑性を維持しつつ低誘電率化できており、高周波領域における伝送損失を低減できる。一方、No.5及びNo.6のプリント配線板用基板は、誘電体層の外面側(第2誘電体層)まで中空粒子を含むため、平均表面粗さが大きく外面の平滑性が維持できていない。従って、高周波領域における伝送損失を十分に低減できない。このことから、気泡含有誘電体層における外面近傍の平均気泡密度を内部の平均気泡密度より小さくすることで、高周波領域における伝送損失を低減できると考えられる。
また、No.1〜No.4のプリント配線板用基板は、誘電体層が気泡を含有しないNo.7及びNo.8のプリント配線板用基板と比較し、同等の比誘電率及び平均表面粗さを維持しつつ熱膨張率が低減できている。
さらに、No.1及びNo.2とNo.3及びNo.4とを比較すると、No.1及びNo.2の方の表面粗さが小さく、No.1及びNo.2の表面粗さは、中空粒子を含まないNo.7及びNo.8の表面粗さと同等である。このことから、気泡含有誘電体層の平均空隙率を1体積%以上50体積%以下とすることで、フッ素樹脂基材の表面をさらに平滑化できることが分かる。
以上のように、本発明のフッ素樹脂基材は、外面の平滑性を維持しつつ低誘電率化及び低熱膨張率化を可能とする。従って、当該フッ素樹脂基材は高周波信号における伝送損失を効果的に低減でき、高周波用両面プリント配線板として好適に用いることができる。
1 フッ素樹脂基材、2 気泡含有誘電体層、2a 気泡、21 第1誘電体層、22 第2誘電体層、3 補強用誘電体層、4 導電パターン、5 カバーレイ、51 カバーフィルム、52 接着層

Claims (7)

  1. フッ素樹脂を主成分とする1又は複数の誘電体層を有するフッ素樹脂基材であって、
    少なくとも一部の前記誘電体層が気泡を含有し、
    前記気泡含有誘電体層における外面近傍の平均気泡密度が内部の平均気泡密度より小さく、
    前記気泡含有誘電体層に直接又は他の層を介して積層され、フッ素樹脂を補強材に含浸した補強用誘電体層をさらに有し、
    前記補強用誘電体層の平均厚さが10μm以上100μm以下であり、
    前記気泡含有誘電体層が2層以上の構造であり、
    前記気泡含有誘電体層の平均気泡密度が外面から内部に傾斜しているフッ素樹脂基材。
  2. 前記気泡含有誘電体層が気泡を含有する第1誘電体層と、前記第1誘電体層の外面側に配設され、気泡を含有しない第2誘電体層とを有する請求項1に記載のフッ素樹脂基材。
  3. 前記気泡が、中空粒子又は多孔質粒子により構成される請求項1又は請求項2に記載のフッ素樹脂基材。
  4. 前記補強用誘電体層の両面に一対の前記気泡含有誘電体層を有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載のフッ素樹脂基材。
  5. 前記補強用誘電体層が気泡を含有しない請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材。
  6. 前記気泡含有誘電体層の平均空隙率が1体積%以上50体積%以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材と、前記フッ素樹脂基材の外面に積層される導電パターンとを備えるフレキシブルプリント配線板。
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