JP2018161623A - 塗装物品損傷部の補修塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部を補修する際の補修塗装方法において、亜鉛メッキ鋼板表面とノンスチレン型パテ組成物との付着性を向上させるための補修塗装方法を提供すること。【解決手段】亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部に、下地調整を行なった後、補修用塗料組成物の塗装を順次行なう補修塗装方法において、該下地調整に、(1)前記損傷部を研磨して亜鉛メッキ鋼板表面を露出させる工程、(2)前記露出面に弱酸成分(a1)を濃度0.1〜15mol/Lの範囲内で含む水溶液(A)を塗布して、浸漬させる工程、(3)前記浸漬後の亜鉛メッキ鋼板表面に、スチレンを実質的に含まないパテ組成物(B)を充填して、パテ層を研磨する工程、を含む工程を順次行うことを特徴とする補修塗装方法。【選択図】なし

Description

本発明は、特に、自動車車体及び/又は部品等の亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部の補修塗装方法に関する。
従来から、自動車車体や部品等の外板の補修塗装は、通常、損傷箇所の旧塗膜の剥離処理やサンディング後、該箇所に鈑金パテをヘラ等で厚盛りに付け、乾燥後該パテ面を研磨し、次いでこの上に樹脂パテを該箇所周辺の旧塗膜までかかるようにヘラ等で付け、乾燥後該パテ面を研磨し下地調整を行った後、次いでこの上にプライマーサーフェーサー塗装、上塗り塗装等の補修用塗装を順次行うことが一般的である。
前記自動車車体等の外板に使用される素材は、防錆を目的にリン酸亜鉛、リン酸鉄等で処理したリン酸塩処理鋼板が主流であるが、特に欧州車を中心に亜鉛メッキ鋼板を素材の一部として含む場合がある。前述の通り、補修用パテ組成物による補修下地層が形成された後、補修用塗料が順次塗装され得るが、現在、補修用パテ組成物としては不飽和ポリエステル樹脂を含むものが広く使用されている。このパテ組成物で亜鉛めっき鋼板を補修した場合、該亜鉛めっき鋼板とパテ組成物層が付着阻害をおこし、ハクリ、ブリスター等が多発するという問題があった。
特許文献1には、亜鉛よりも陽電気性である水溶性金属塩を含有するエッチング液を塗布して亜鉛メッキ鋼板表面をエッチングし、亜鉛メッキ鋼板とパテ組成物層との接着性を改良する技術が開示されている。特許文献1には、塩化第二鉄溶液で処理し、鋼板にメッキされた亜鉛元素が鉄元素と置き換えられることによりパテ組成物との接着性が得られるとの記載がある。しかし、この方法では、補修部以外の正常塗膜を痛めるおそれがあることや、パテ組成物層との付着性が十分得られないという点で問題があった。
また、近年、スチレンモノマーも特定化学物質障害予防規則での規制対象となり、スチレンを実質的に含まないパテ組成物、いわゆるノンスチレン型パテ組成物の開発が進められている。
ノンスチレン型パテ組成物として、例えば特許文献2には、スチレンモノマーに代えてヒドロキシアルキルメタクリレートを反応性希釈剤として用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物が記載されている。この組成物は、臭気が低く、硬化安定性及び表面乾燥性に優れるものの、亜鉛メッキ鋼板との付着性が著しく悪いという問題があり、上記特許文献1に記載の方法を適用しても、その問題を解決するものではなかった。
特開平5−31453号公報 特開2005−162830号公報
本発明の目的は、亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部を補修する際の補修塗装方法において、亜鉛メッキ鋼板表面とノンスチレン型パテ組成物との付着性を向上させるための、補修塗装方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部に、下地調整を行なった後、補修用塗料組成物の塗装を順次行なう補修塗装方法において、下地調整を特定の工程で順次行うことにより課題を解決することを見出した。
即ち、本発明は、
項1.亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部に、下地調整を行なった後、補修用塗料組成物の塗装を順次行なう補修塗装方法において、該下地調整に下記工程(1)〜(3)を含む工程を順次行うことを特徴とする補修塗装方法:
(1)前記損傷部を研磨して亜鉛メッキ鋼板表面を露出させる工程、
(2)前記露出面に弱酸成分(a1)を濃度0.1〜15mol/Lの範囲内で含む水溶液(A)を塗布して、浸漬させる工程、
(3)前記浸漬後の亜鉛メッキ鋼板表面に、スチレンを実質的に含まないパテ組成物(B)を充填して、パテ層を形成する工程。
項2.前記水溶液(A)が、さらにZr、Ti、Co、Fe、V、Ce、Mo、Mn、Mg、Al、Ni、Ca、W、Nb、Cr、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物(a2)を含むものである項1に記載の補修塗装方法。
項3.前記パテ組成物(B)が、不飽和ポリエステル樹脂(b1)及び重合性不飽和化合物(b2)を含有するものである項1又は項2に記載の補修塗装方法。
項4.前記工程(2)の後に、水洗処理する工程を含む項1〜3のいずれか1項に記載の補修塗装方法に関する。
本発明の補修塗装方法で行われる下地調整方法によれば、簡便な作業で、亜鉛メッキ鋼板とパテ層との付着性を容易に向上させることができる。また本下地調整方法を介して補修塗装した後の補修塗膜は、フクレ等発生させることなく耐水性、塗膜外観に優れる。
<補修塗装方法>
本発明の補修塗装方法は、亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部に、下地調整を行なった後、補修用塗料組成物の塗装を順次行なう補修塗装方法において、該下地調整に、
(1)前記損傷部を研磨して亜鉛メッキ鋼板表面を露出させる工程、
(2)前記露出面に弱酸成分(a1)を濃度0.1〜15mol/Lの範囲内で含む水溶液(A)を塗布して、浸漬させる工程、
(3)前記浸漬後の亜鉛メッキ鋼板表面に、スチレンを実質的に含まないパテ組成物(B)を充填して、パテ層を研磨する工程、を含む工程を順次行うことを特徴とする。
本発明の補修塗装方法は、亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品を補修塗装する際に有用であり、特に、自動車車体及び/又は部品の塗装物品の補修塗装に有用である。
工程(1)
工程(1)は、前記亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部を中心にその周囲までを予め、研磨して亜鉛メッキ鋼板表面を露出させる工程である。研磨は、損傷した塗膜やゴミ、ブツ等があればそれらを除去するために行う。研磨方法としては、特に限定されないが、例えば、サンディングや研磨ペーパーによる手研ぎなどによって空研ぎ及び/または水研ぎする方法が挙げられる。研磨用ペーパーとしては#80〜400またはより目の細かいペーパーを使用し、平滑に研磨することが仕上り性の点で好ましい。
工程(2)
工程(2)は、前記露出面に弱酸成分(a1)を濃度0.1〜15mol/Lの範囲内で含む水溶液(A)を塗布して、浸漬させる工程である。
(a1)弱酸成分
本発明における水溶液(A)に使用する弱酸成分(a1)としては、特に限定されず、水溶液中において強酸に比べて電離度の小さい酸と見なし得る種々の無機酸、有機酸及び/又はこれらのアルカリ金属塩から選択することができる。
本明細書中において、強酸とは、25℃における第一酸解離定数pKa1が1未満の酸をいい、弱酸とは25℃における第一酸解離定数pKa1が1以上の酸をいう。
弱酸成分(a1)として具体的には、リン酸、炭酸等の無機酸、クエン酸(枸櫞酸)、酢酸、蓚酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸等又はこれらのアルカリ金属塩の水溶液等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い作業性の点から好ましくは炭酸、酢酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種であり、前記水溶液(A)の安定性、亜鉛メッキ鋼板表面への均一な皮膜の形成及び付着性向上の点からより好ましくはリン酸である。リン酸としては、オルトリン酸、ピロリン酸、無水リン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。また、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、ホスホン酸およびこれらのアルカリ金属塩)の1種以上を添加してもよい。
弱酸成分(a1)としては、1種または2種以上を用いてもよい。
上記水溶液(A)の濃度としては、亜鉛メッキ鋼板とパテ組成物層との付着性向上の点から、25℃で濃度が0.1〜15mol/Lの範囲内であり、好ましくは、0.5〜14.6mol/Lの範囲内となるよう弱酸成分(a1)を含むことが好適である。
前記水溶液(A)には、さらに下記金属化合物(a2)を含有してもよい。
(a2)金属化合物
本発明の方法に用いられる前記水溶液(A)は、Zr、Ti、Co、Fe、V、Ce、Mo、Mn、Mg、Al、Ni、Ca、W、Nb、Cr、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物(a2)を含んでもよい。金属化合物(a2)は、上述した弱酸成分(a)特にリン酸と難溶性の塩を形成する。そのため、前記水溶液(A)中で処理した際、前記弱酸成分(a)と金属化合物(a2)及び亜鉛メッキ鋼板表面の亜鉛とが反応し、より安定した金属塩皮膜となり、後述するパテ組成物層との付着性がより向上する場合があり好ましい。金属化合物(a2)としては、例えば、上記金属を含む硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、アンモニウム塩、フッ化物などが挙げられる。
より具体的には、Zrを含む金属化合物としては、炭酸ジルコニウムアンモニウムを除く、例えば、硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、ジルコンフッ化アンモニウム、硫酸ジルコニル、ジルコンフッ酸、およびジルコニアゾルなどが挙げられる。また、水溶性ジルコニウム塩の水溶液を、イオン交換やアルカリ中和して作られるジルコン酸およびその塩も挙げられる。
Tiを含む金属化合物としては、例えば、硫酸チタニル、硝酸チタニル、硝酸チタン、塩化チタニル、塩化チタン、チタニアゾル、酸化チタン、チタンフッ化アンモニウム、しゅう酸チタン酸カリウム、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、ジイソプロピルチタニウムビスアセチルアセトンなどが挙げられる。また、硫酸チタニルの水溶液を熱加水分解させて得られるメタチタン酸や、アルカリ中和で得られるオルソチタン酸およびこれらの塩も挙げられる。
Coを含む金属化合物としては、例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、リン酸コバルト、塩化コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルトなどが挙げられる。
Feを含む金属化合物としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄、リン酸鉄、酸化鉄、水酸化鉄、鉄粉などが挙げられる。
Vを含む金属化合物としては、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、オキシ3塩化バナジウム、三酸化バナジウム、二酸化バナジウム、オキシ硫酸バナジウム、バナジウムオキシアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、3塩化バナジウム、リンバナドモリブテン酸、硫酸バナジウムなどが挙げられる。
Ceを含む金属化合物としては、例えば、硝酸セリウム、酢酸セリウム、塩化セリウム、セリウムゾルなどが挙げられる。
Moを含む金属化合物としては、例えば、モリブテン酸アンモニウム、モリブテン酸ナトリウム、モリブテン酸カリウム、モリブドリン酸アンモニウム、モリブドリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
Mnを含む金属化合物としては、例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸塩や、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン、炭酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガンなどが挙げられる。
Mgを含む金属化合物としては、例えば、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
Alを含む金属化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。
Niを含む金属化合物としては、例えば、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、リン酸ニッケル、塩化ニッケルなどが挙げられる。
Caを含む金属化合物としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
Wを含む金属化合物としては、例えば、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、パラタングステン酸、パラタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸ナトリウムなどが挙げられる。
Nbを含む金属化合物としては、例えば、シュウ酸ニオブ、酸化ニオブ、ニオブゾルなどが挙げられる。
Crを含む金属化合物としては、例えば、3価のクロムが挙げられ、硫酸クロム、硝酸クロム、塩化クロム、水酸化クロム、酸化クロム、リン酸クロムなどが挙げられる。
Znを含む金属化合物としては、例えば、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、アセチル亜鉛の他、亜鉛酸ナトリウム、亜鉛酸カリウムなどが挙げられる。
これらのうち、付着性及び耐食性向上の効果が高い点で、Fe、V、Mg、Al、Ni、Mn、またはZnを含む金属化合物、およびこれらの塩がより好ましい。
金属化合物(a2)を含有する場合にはその濃度は、4.5mol/L未満、得られる金属塩の皮膜の均一化及び安定性向上の点から、好ましくは、0.005〜2.0mol/Lとなるよう金属化合物(a2)を含むことが好ましい。
ただし、これら金属化合物(a2)郡の中で、特定化学物質障害予防規則の対象となる化合物を用いる場合には、その濃度は1.0質量%未満となるように調整されることが望ましい。
本発明の補修塗装方法に用いる水溶液(A)は、前記弱酸成分(a1)を必須成分とし、必要に応じて金属化合物(a2)含有するものであり、該水溶液(A)のpHとしては特に制限されないが、得られる亜鉛メッキ鋼板表面の皮膜の安定性の点から、pH=0.5〜6、好ましくはpH=1〜5の範囲内に調整されることが好ましい。
上記範囲内に調整するために、塩基性化合物(a3)を含有させても良い。塩基性化合物(a3)としては、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、エチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン化合物等が挙げられる。該塩基性化合物は水溶性であることが好ましく、臭気の点からは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
浸漬方法
浸漬方法としては、亜鉛メッキ鋼板表面を所定の時間、前記水溶液(A)と接触せしめる方法であれば特に制限されないが、前記水溶液(A)を吹き付ける方法や塗布する方法などが挙げられる。また、予め該露出した亜鉛メッキ鋼板表面に軟らかい布又はウエスを貼り付け、そこに前記水溶液(A)を吹き付け又はハケなどにより塗布して浸漬しても良い。露出した亜鉛メッキ鋼板表面部以外をマスキングして鋼板ごと前記水溶液(A)浴に浸漬せしめても良い。
前記水溶液(A)による処理時間は、均一な皮膜の形成の点から、15秒〜60分であることが好ましく、より好ましくは15秒〜30分であり、更に好ましくは15秒から2分であり、特に好ましくは15秒〜1分である。
水洗処理
前記工程(2)の後に、水洗処理する工程を含んでもよい。
上記水洗処理する工程は、残存した余分な前記水溶液(A)を除去する目的であり、軟らかい布又はウエスでふき取るか、水洗いすることが好ましい。
工程(3)
工程(3)は、前記浸漬後の亜鉛メッキ鋼板表面に、スチレンを含まないパテ組成物(B)を充填し、パテ層を形成する工程である。
パテ組成物(B)としては、スチレンを実質的に含まないパテ組成物であり、不飽和ポリエステル樹脂(b1)及び重合性不飽和化合物(b2)を含有するものが好適である。スチレンを実質的に含まないとは、特定化学物質障害予防規則での規制対象となり得るスチレンや、比較的臭気の強いα−メチルスチレン、クロロスチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン化合物を不飽和ポリエステル樹脂(b1)及び重合性不飽和化合物(b2)のいずれにも実質的に含まないことを指す。
ここで、本明細書において、「実質的に含まない」なる用語の意味は、含有量が1.0質量%未満であることをいう。
不飽和ポリエステル樹脂(b1)
不飽和ポリエステル樹脂(b1)としては、多塩基酸を含む酸成分(b1−1)と水酸基含有化合物を含むアルコール成分(b1−2)をエステル化反応することにより得られる従来公知の樹脂が制限なく使用できる。
酸成分(b1−1)
多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸の不飽和多塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステルなどの飽和多塩基酸;等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
中でも、硬化性の点から、多塩基酸として不飽和多塩基酸を含有することが望ましい。また、表面乾燥性をより向上できる点から、不飽和多塩基酸として、環状脂肪族不飽和多塩基酸を含有することが望ましい。かかる環状脂肪族不飽和多塩基酸としては、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸が好適である。さらに特に、前記メチルテトラヒドロ無水フタル酸が、3−メチル−△4−テトラヒドロ無水フタル酸(別名、前記△デルタは二重結合を示す記号であり、右肩の数が該二重結合の位置番号を示す。)の4つの立体異性体の中の1つであるシス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸無水物(以下、β−PMAAと略記することがある)濃度が、3−メチル−△4−テトラヒドロ無水フタル酸の総量に対して、50%を超える、さらに80%を超え、特に85%を超えるものを用いることが好ましい。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂(b1)は、前記環状脂肪族不飽和多塩基酸単位を樹脂骨格中に有するものである。
不飽和ポリエステル樹脂(b1)中の該環状脂肪族不飽和多塩基酸から誘導される単位の含有率は、全構造単位の合計モル数に基づいて1〜40モル%、好ましくは5〜35モル%含有することが望ましい。
アルコール成分(b1−2)
前記水酸基含有化合物を含むアルコール成分としては、分子内に水酸基を1つ以上有する化合物であり、具体的には、分子内に水酸基を2個以上有する多価アルコール、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物(b1−2−1)等があげられる。
水酸基を2個以上有する多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ビスフェノール類又はビスフェノール類とアルキレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4´−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併用して使用できる。
また、上記不飽和ポリエステル樹脂(b1)の製造において、表面乾燥性を更に向上できる点から、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物(b1−2−1)を含有してもよい。
該アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物(b1−2−1)としては、例えばエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
酸化硬化が進行するアリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物(b1−2−1)を用いることにより、表面乾燥性並びに耐水性等の塗膜物性を向上させることができる。
特に、表面乾燥性及び耐水性向上の点から、中でも、1分子中にアリルエーテル基を2個有するヒドロキシ化合物を使用することが好ましい。
前記不飽和ポリエステル樹脂(b1)のうち、多価アルコールのアリルエーテル単位の含有率は、全構造単位の合計モル数に基づいて5〜50モル%、好ましくは7〜40モル%含有することが望ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(b1)は、ビスフェノール類から誘導される単位を含有していても良い。かかるビスフェノール類の導入方法としては、多価アルコールとして、ビスフェノール類又は該ビスフェノール類とアルキレンオキシドの付加物を使用する方法を挙げることができる。ビスフェノール類としてはビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFが挙げられ、アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。中でもビスフェノールAとプロピレンオキシドとの付加反応物が好適である。上記ビスフェノール類から誘導される単位の含有率としては全構造単位の合計モル数に基づいて0.5〜10モル%、好ましくは1〜8モル%含有することが望ましい。
上記不飽和ポリエステル樹脂(b1)は、定法によって製造することができ、例えば、前記多塩基酸とアルコール成分とを窒素雰囲気下で縮合反応させることにより得られる。縮合反応時の加熱温度は、140〜250℃、好ましくは160〜200℃の範囲内であることがゲル化防止の点から望ましい。
不飽和ポリエステル樹脂の製造において、重縮合触媒、重金属酸化物及び重合禁止剤を使用してもよい。
重縮合触媒として、強プロトン酸、重金属酸化物等を使用することができる。強プロトン酸としては、例えば、硫酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。また、重金属酸化物としては、例えばテトラブチルチタネート、モノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、二酸化マンガン等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、トリハイドロベンゼン、メチルハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等を挙げることができる。
不飽和ポリエステル樹脂(b1)の全多塩基酸中、β−PMAAの含有率は、表面乾燥性の点から、1〜80モル%、さらに5〜60モル%、さらに特に10〜50モル%の範囲内が好適である
不飽和ポリエステル樹脂(b1)の多塩基酸中、その他の多塩基酸の含有率は、ラジカル重合性の点から、20〜99モル%、さらに40〜95モル%、さらに特に50〜90モル%の範囲内が好適である。
上記その他の多塩基酸のうち、不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸との含有比率は、表面乾燥性と耐水性の点から、不飽和多塩基酸/飽和多塩基酸=100/0〜50/50、好ましくは100/0の範囲内が好適である。
上記不飽和ポリエステル樹脂(b1)は、酸基を有するものであることが好ましく、酸価としては、5〜50mgKOH/g、さらに10〜40mgKOH/gの範囲内であることが、耐水性の向上の観点から好適である。
また、不飽和ポリエステル樹脂(b1)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000、さらに2,000〜50,000の範囲内が好適である。
本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、ポリスチレン換算した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置としては「HLC8120GPC」(東ソー社製、商品名)が使用でき、これに用いるカラムとしては、「TSKgelG−4000H×L」、「TSKgelG−3000H×L」、「TSKgelG−2500H×L」、「TSKgelG−2000H×L」(いずれも東ソー社製、商品名)の4本を使用することができる。ここでは、移動相としてテトラヒドロフランを用い、測定温度40℃、流速1cc/分とし、検出器としてRI屈折計を用いた。
重合性不飽和化合物(b2)
重合性不飽和化合物(b2)としては、例えばビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの1価又は多価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルメタクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のジシクロペンテニル基含有重合性モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等;エチレングリコールジマレエート、プロピレングリコールジイタコネートなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルフタレート等のアリル化合物;(メタ)アクリル酸とビスフェノールAのグリシジルエーテルとの付加反応生成物等のエポキシ(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
本明細書中において、重合性不飽和基としては、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
重合性不飽和化合物(b2)としては、特に、塗膜硬度の点から環状構造を有する多官能(メタ)アクリレート(b2−1)を含有することが好適である。
環状構造を有する多官能(メタ)アクリレート(b2−1)としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、また、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、水素化ヘキサフルオロビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ)ヘキサヒドロフタル酸などの脂環構造を有する二官能(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、1,4−ジ(メタ)アクリロイルピペラジン、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキル)イソシアヌレートなどの複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノール骨格、ナフタレン骨格又はビフェニル骨格を有するジエポキシ化合物若しくはジオール化合物から誘導される芳香環を有する二官能(メタ)アクリレート、さらにはこれら多官能(メタ)アクリレートのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、カプロラクトンなどの変性物が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」、(メタ)アクリロイルは、「アクリロイルとメタクリロイル」を意味する。
なかでも、塗膜硬度、耐水性及び表面乾燥性の点から、下記一般式(I)で表されるビスフェノール型(メタ)アクリレート化合物
Figure 2018161623
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、RおよびRはそれぞれ同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ同一又は異なってハロゲンで置換されていても良い炭素数1〜4の有機基を示し、n及びmはそれぞれ同一又は異なって1〜10の平均値を示し、かつ、nとmの平均値の和が2〜15の範囲内である。)が好適である。
は水素原子又はメチル基を示し、塗膜硬度の点から、好ましくはメチル基である。
およびRはそれぞれ同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、好ましくはメチル基である。
およびRのハロゲンに置換されていても良い炭素数1〜4の有機基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
n及びmはそれぞれ同一又は異なって1〜10の平均値を示し、前記不飽和ポリエステル樹脂(A)との相溶性と耐水性のバランスの観点から、nとmの平均値の和が2〜15モル、さらに2.1〜11.0モル、さらに特に2.2〜5.0モルとなる範囲内が好適である。
環状構造を有する多官能(メタ)アクリレート(b2−1)としては、市販品を用いることができ、例えば、NKエステル A−B1206PE、同ABE−300、同A−BPE−4、同A−BPE−6、同A−BPE−10、同A−BPE−20、同A−BPE−30、同A−9300、同A−9300−1CL、同A−BPP−3、同A−DCP、同BPE−80N、同BPE−100、同BPE−200、同BPE−500、同BPE−900、同BPE−1300N、同DCP、以上、新中村化学工業社製)、ファンクリルFA−324A、同FA−312A、同FA−731A、同FA−320M、同FA−321M(以上、日立化成社製)、KAYARAD(登録商標)R−712、同R−551、同R−684(以上、日本化薬社製)、アロニックスM−211B(A−BPE4)、M−315(以上、東亞合成社製)等を挙げることができる。
本発明に使用されるパテ組成物に含有する重合不飽和化合物(b2)として、環状構造を有する多官能(メタ)アクリレート(b2−1)を含有させた場合、パテ組成物を塗布した後の塗膜硬度、耐水性及び表面乾燥性の全てを向上させることができる。これは、環状構造を有する化合物が、比較的剛直かつ疎水な骨格であることから、パテ組成物が硬化した際の塗膜を強靭にして、塗膜物性(特に塗膜硬度)を向上させるものと考えられる。また、多官能であることにより、他の成分、特に前記特定不飽和ポリエステル樹脂と重合することができることから、表面乾燥性を損なうことなく塗膜全体の架橋密度を向上させ、塗膜が緻密になることから、塗膜硬度および耐水性を向上させることができる。
また、環状構造を有する多官能(メタ)アクリレート(b2−1)以外の重合性不飽和化合物を併用することができる。
上記成分(b2−1)以外の重合性不飽和化合物は、塗布時には組成物の粘度を低くし、塗布作業性を向上させつつ、かつ、膜形成成分ともなりうる反応性希釈剤として作用するものである。
上記成分(b2−1)以外の重合性不飽和化合物のうち、ジシクロペンテニル基含有不飽和モノマー(b2−2)及び/又はヒドロキシエチルメタクリレート(b2−3)を含有することが好ましい。
上記重合性不飽和化合物(b2)の含有量としては、不飽和ポリエステル樹脂(b1)100質量部を基準として10〜200質量部、好ましくは40〜120質量部が適している。
重合性不飽和化合物(b2)のうち、(b2−1)を含有する場合その含有量は、塗膜硬度及び表面乾燥性並びに基材に対する耐水付着性を両立させることができる点から、不飽和ポリエステル樹脂(b1)100質量部に対して4〜80質量部、さらに8〜50質量部が好ましい。
重合性不飽和化合物(b2)のうち、(b2−2)を含有する場合その含有量は、表面乾燥性と基材に対する耐水付着性を両立させることができる点から、不飽和ポリエステル樹脂(b1)100質量部に対して4〜100質量部、さらに8〜50質量部が好ましい。
重合性不飽和化合物(b2)のうち、(b2−3)を含有する場合その含有量は、表面乾燥性と基材に対する耐水付着性を両立させることができる点から、不飽和ポリエステル樹脂(b1)100質量部に対して20〜100質量部、さらに30〜70質量部が好ましい。
重合性不飽和化合物(b2)のうち、成分(b2−1)とその他の重合性不飽和化合物とを併用する場合その含有比率は、成分(b2−1)/その他の重合性不飽和化合物の質量比で95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90の範囲内が好適である。
さらに、その他の重合性飽和化合物のうち、耐水性の点から前記成分(b2−1)/(b2−3)の含有比率は、質量比で95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90の範囲内が好適である。 前記パテ組成物(B)には、さらに必要に応じて、例えば、硬化助促進剤、重合禁止剤、有機溶剤、顔料、ラジカル硬化剤、有機溶剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、低収縮剤、老化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、強化材、減粘剤等の粘度調節剤、顔料分散剤、改質用樹脂、チキソ剤、チキソ助剤、消泡剤、脱水剤、防錆剤、レベリング剤、シランカップリング剤、パラフィン等の空気遮断剤、アルデヒド捕捉剤等を配合することが可能である。
本発明に用いるパテ組成物(B)は、上記不飽和ポリエステル樹脂(b1)及び重合性不飽和化合物(b2)を必須として、必要に応じて脱水剤、多価金属化合物、硬化促進剤、着色顔料、体質顔料及び重合禁止剤を含有する場合にはそれらを含む成分を主剤成分とし、有機過酸化物を含む成分を硬化剤成分とする多成分系である。
上記有機過酸化物としては、具体的には、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の従来公知のものを使用することができ、これらは1種で又は2種以上を用いてもよい。
上記有機過酸化物の含有量は、特に制限されるものではなく、塗装環境や塗膜物性に応じて適宜調整可能であるが、不飽和ポリエステル樹脂(b1)及び重合性不飽和化合物(b2)の合計質量100質量部に対して、0.1〜6質量部の範囲内が好適である。
以上の通り得られるパテ組成物はスチレンを含まなくても表面乾燥性、内部硬化性に優れたパテ層が得られ、ノンスチレン型として供することができる。
以上述べた主剤の粘度は、パテ組成物の使用目的に応じて適宜調整できるが、厚塗り性、ヘラ付け性、表面仕上がり性の点から一般に、100〜2,000Pa・sec、好ましくは200〜1,300Pa・secの範囲内にあることが適している。
本明細書において上記パテ組成物の粘度は、B型粘度計「VISCOMETERTV−22」(商品名、東機産業社製)にて試料の温度を25℃に調整し、No.7ロータ、回転速度2rpmで測定したものである。
前記浸漬後の亜鉛メッキ鋼板表面に該パテ組成物を充填する方法としては、例えばヘラ等を用いることができる。
充填されたパテ層は、乾燥することが好ましく、乾燥する方法としては、例えば、常温乾燥または強制乾燥が挙げられ、本乾燥工程により塗膜内部まで硬化することができる。常温乾燥の場合は、具体的には、常温で5時間以上静置するか、強制乾燥の場合は、40℃〜120℃で5〜60分間加熱することができる。前記強制乾燥の場合、仕上り性の点から、加熱硬化前に予め2〜30分間常温でセッティング(静置)することができる。
形成したパテ層は、研磨することができ、研磨する方法としては、例えば、耐水ペーパーやサンドペーパー等の研磨用ペーパーを用いることができる。研磨用ペーパーとしては荒目の#200未満でゴミ・ブツ等をとり、その後より目の細かいペーパーを併用しても良い。前記研磨用ペーパー等を用いて平滑に研磨することが仕上り性の点で好ましい。
かくして上述のようにパテ層を形成した後、該パテ層上の研磨面に、さらに補修用塗料組成物を塗装することができる。
本発明の方法により得られる補修下地層は研磨性が良好で塗面を平滑にでき、耐水性、損傷部や次工程の補修用塗料に対する付着性などにも優れているため、プライマーサーフェーサー及び上塗り塗料等の補修用塗料組成物としては従来公知の水系及び有機溶剤系のものを制限なく使用することができる。
補修用塗料組成物としては、例えば水酸基などの架橋性官能基を含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂やフッ素樹脂等を主剤とし、ブロックポリイソシアネート、ポリイソシアネートやメラミン樹脂或いはエポキシ樹脂などを硬化剤として含有する硬化型塗料、あるいはセルロースアセテートブチレート変性のアクリル樹脂を主成分とするラッカー塗料などが好適に使用でき、さらに必要に応じて顔料類、繊維素誘導体類、添加樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、硬化触媒などの塗料用添加剤を含有することができる。補修用塗料組成物の形態としては、有機溶剤系、水系、粉体等のいずれであっても良い。補修用下塗り塗料、補修用着色ベース塗料、補修用トップクリヤー塗料等、特に制限なく使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。ここで、『部』および『%』はそれぞれ『質量部』および『質量%』を意味する。
<水溶液(A)の製造例>
(製造例1〜7)
表1に示す配合組成になるように各成分を夫々配合攪拌し、各水溶液(A−1)
〜(A−7)を得た。
Figure 2018161623
表中*1〜3は下記を表す。
*1)85%リン酸水溶液:オルトリン酸(分子量98.0、比重1.69g/cm、pKa1=2.12)85%水溶液、
*2)99.9%酢酸:氷酢酸(分子量60.1、比重1.05g/cm、pKa1=4.76)、
*3)塩化鉄(III):FeCl(分子量162.2、比重2.80g/cm)。
<不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造>
(製造例1)
攪拌機、窒素ガス導入管、水分離器、温度計及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジエチレングリコール503g、トリメチロールプロパンジアリルエーテル134g、フマル酸365g、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス,シス−1,2−ジカルボン酸無水物(β−PMAA)224gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱を開始した。内温190℃にて脱水縮合反応を行い、酸価が26mgKOH/gになったところでメチルハイドロキノン0.33gを添加し、不飽和ポリエステル樹脂No.1を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂No.1のβ−PMAA含有率は30モル%、重量平均分子量は7,000であった。
<パテ組成物の製造>
(製造例2)
上記製造例1で得られた各不飽和ポリエステル樹脂No.1樹脂固形分55部に、重合性不飽和化合物として2−ヒドロキシエチルメタクリレート25部及びNKエステルBPE−80N(商品名、新中村化学工業社製、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート〔平均エトキシ化モル数2.3モル〕の化合物)10部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート10部を加え、さらにモレキュラーシーブ5部、酸化マグネシウム10部、3−ジメチルアミノ安息香酸0.2部、オクチル酸コバルト1部、ハイドロキノン0.1部、酸化チタン5部、タルク130部を配合攪拌し、高速混練機で20分間混合分散して、主剤成分を得た。各主剤成分に対して、シクロヘキサノンパーオキサイド30部及びエステル系有機溶剤70部含む硬化剤成分を2質量%添加し手攪拌で均一に混合しパテ組成物No.1を得た。
<試験塗板の作成>
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(「GA(45/45)」商品名、パルテック社製、板厚0.6mm、両面最小目付量60g/m)の表面を耐水ペーパー#240で軽く研磨し、ゴミ・ブツを取り除き、脱脂の後、刷毛を用いて各水溶液を塗布し、表2又は表3に記載の所定時間放置後、水洗し、ウエスにて水分を除去し、脱脂剤(KARシリコンオフ、商品名、関西ペイント社製、脱脂剤)を用いて脱脂を行い、各試験板(実施例1〜9並びに比較例1及び2)を得た。また、弱酸水溶液による処理を施さないものを比較例3とした。また、基材を亜鉛メッキ鋼板ではないもの(「SPCC−SB」商品名、パルテック社製、軟鋼板)として、前記水溶液で処理を施さないものを参考例1、処理を施したものを参考例2として試験板を作成した。
<上塗り塗装板の作成>
上記で得られた各試験板上に、前記製造例2で得られた不飽和ポリエステル系スチレンフリーパテ組成物No.1をヘラで塗布し、ならして2mm厚にし、60℃で10分間強制乾燥させた後、該塗面を#180耐水ペーパーで研磨し、「COODEフィラーグレー(L55)ベース」(商品名、関西ペイント社製、アクリルポリオール及びポリイソシアネート系着色ベース塗料)を乾燥膜厚60μmになるようにスプレー塗装し、60℃で20分強制乾燥した。さらに、該塗面を#400耐水ペーパーで軽く研磨し、「レタンPG80ホワイトベース」(商品名、関西ペイント社製、アクリルポリオール及びポリイソシアネート系上塗り塗料)を乾燥膜厚50μmになるようスプレー塗装し、60℃で30分間乾燥させてパテ層の上に上塗り塗装を施した上塗り塗装板をそれぞれ作成し、没水試験(フクレ評価、付着性)に供した。結果を表2及び表3に示す。
Figure 2018161623
Figure 2018161623
表中の基材A、基材Bは下記を示す。
基材A:「GA(45/45)」(商品名、パルテック社製、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、板厚0.6mm、両面最小目付量60g/m)、
基材B:「SPCC−SB」(商品名、パルテック社製、軟鋼板。
(評価試験)
試験項目1.フクレ:
各上塗り塗装板を40℃の水に10日間浸漬した後、水中より取り出し、取り出した塗膜表面のフクレの有無を観察した。
◎:塗膜全面にフクレが無い、
○:塗膜の一部に極僅かにフクレが認められるが、実用上問題ないレベル、
△:塗膜の一部にフクレが認められる、
×:塗膜全面に著しいフクレが認められる。
試験項目2.付着性:
各上塗り塗装板を40℃の水に10日間浸漬した後、水中より取り出し、各塗装板を中央部より180度折り曲げて、折り曲げ部の塗膜状態を観察した。
◎:パテ塗膜の剥離が全く認められない、
○:パテ塗膜が、鋼板−パテ間から極僅かに剥離しているが、実用上問題ないレベル
△:パテ塗膜が、鋼板−パテ間から一部剥離している、
×:パテ塗膜が、鋼板−パテ間から著しく剥離している。

Claims (4)

  1. 亜鉛メッキ鋼板を素材の一部とする塗装物品の損傷部に、下地調整を行なった後、補修用塗料組成物の塗装を順次行なう補修塗装方法において、該下地調整に下記工程(1)〜(3)を含む工程を順次行うことを特徴とする補修塗装方法:
    (1)前記損傷部を研磨して亜鉛メッキ鋼板表面を露出させる工程、
    (2)前記露出面に弱酸成分(a1)を濃度0.1〜15mol/Lの範囲内で含む水溶液(A)を塗布して、浸漬させる工程、
    (3)前記浸漬後の亜鉛メッキ鋼板表面に、スチレンを実質的に含まないパテ組成物(B)を充填して、パテ層を形成する工程。
  2. 前記水溶液(A)が、さらにZr、Ti、Co、Fe、V、Ce、Mo、Mn、Mg、Al、Ni、Ca、W、Nb、Cr、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物(a2)を含むものである請求項1に記載の補修塗装方法。
  3. 前記パテ組成物(B)が、不飽和ポリエステル樹脂(b1)及び重合性不飽和化合物(b2)を含有するものである請求項1又は請求項2に記載の補修塗装方法。
  4. 前記工程(2)の後に、水洗処理する工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の補修塗装方法。
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