JP2018160323A - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその前駆体、及びそれらの製造方法 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質とその前駆体、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い放電容量を持ち、かつ、サイクル特性に優れた非水系電解質二次電池用正極活物質とその前駆体、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法であって、不活性ガス雰囲気下において少なくとも金属成分としてニッケルを含有する水溶液と、金属成分としてマンガンを含有する水溶液とを、Mn/Niの原子比が60/40〜50/50となるように混合して混合水溶液を作製する混合工程と、前記混合水溶液にアンモニウムイオン供給体と、アルカリ水溶液を添加してpH値を、25℃基準において、12以上13以下となるように制御してニッケルマンガン複合水酸化物を形成する晶析工程と、前記ニッケルマンガン複合水酸化物を濾過洗浄する濾過洗浄工程とを有し、得られた前記非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体に、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppm含まれるように制御することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその前駆体、及びそれらの製造方法に関する。
近年、地球温暖化対策として、世界的にCO排出量の削減が求められ、日本においても、各排出源についてCO排出量の削減が要請されている。運輸部門、特に自動車からのCOガス排出を抑制するため、燃費の向上や、COを排出しないエネルギー源への転換が進められている。最近では、電気エネルギーを電池に蓄え自動車の動力に使うハイブリッド自動車電機自動車が徐々に広まっている。このような電気自動車が一般に広く使われるようになるためには、航続距離を伸ばすように大量の電気エネルギーを蓄えられ、繰り返し充放電しても放電容量を維持でき、工業的に製造、普及されるような電池が必要になる。その電池として非水系電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池が現在最も有力な候補となっている。
リチウムイオン二次電池はリチウムをそれぞれ吸蔵放出する正極と負極などからなり、正極活物質が電池の性能に大きく影響を及ぼすため、自動車向けには高容量で充放電を繰り返したときの容量維持率、すなわちサイクル特性の向上が期待されている。
これまでにもリチウムイオン二次電池用材料の開発が報告されていて、例えば、特許文献1ではニッケル、マンガンを用いた粒子の製造方法が述べられているが、サイクル特性が十分ではなかった。
また、特許文献2ではNi含有量は3〜18wt%、Na含有量は0.05〜1.5wt%、S含有量は0.0005〜0.12wt%であり、Na含有量とS含有量の和が0.07〜1.6wt%である材料が提案されているが、容量が不十分であった。
特開2011−116583号公報 特開2011−198759号公報
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高い放電容量を持ち、かつ、サイクル特性に優れた非水系電解質二次電池用正極活物質とその前駆体、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者が検討した結果、層状複合酸化物の結晶構造を有する非水系電解質二次電池用正極活物質中のマグネシウムとカルシウムの量を制御することによって層状結晶構造が安定化することを見出した。さらにニッケルとマンガンの比率を所定の範囲に限定し粒径を制御することで高い充放電容量が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様は、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法であって、不活性ガス雰囲気下において少なくとも金属成分としてニッケルを含有する水溶液と、金属成分としてマンガンを含有する水溶液とを、Mn/Niの原子比が60/40〜50/50となるように混合して混合水溶液を作製する混合工程と、前記混合水溶液にアンモニウムイオン供給体と、アルカリ水溶液を添加してpH値を、25℃基準において、12以上13以下となるように制御してニッケルマンガン複合水酸化物を形成する晶析工程と、前記ニッケルマンガン複合水酸化物を濾過洗浄する濾過洗浄工程とを有し、得られた前記非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体に、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppm含まれるように制御することを特徴とする。
このように、本発明の一態様は、前駆体中のニッケルとマンガンの比率、及び、マグネシウムとカルシウムの量を所定の範囲に限定することで、最終的に高い放電容量を持ち、かつ、サイクル特性に優れた非水系電解質二次電池用正極活物質とするための前駆体を製造することができる。
このとき、本発明の一態様では、混合工程において、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を添加することができる。
前駆体中に含まれるマグネシウムとカルシウムの量を所定の範囲とするために、必要に応じてマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を添加することが好ましい。
さらに、このとき、本発明の一態様では、混合工程において、混合水溶液中に含まれるマグネシウム量及び/又はカルシウム量を測定し、混合水溶液中の金属濃度50〜150g/Lに対して、混合水溶液中のマグネシウム量が0.1〜0.001g/L、カルシウムが0.05〜0.005g/Lとなるように、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を添加することができる。
このように、混合水溶液中に含まれるマグネシウム量及び/又はカルシウム量を測定し、添加するマグネシウム及びカルシウムの濃度を所定の範囲内とすることで、より正確にマグネシウム量及び/又はカルシウム量を制御することが可能となる。
本発明の他の態様は、上述した非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法において、さらに、得られた非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体とリチウム化合物を混合して混合粉を作成するリチウム混合工程と、前記混合粉を800℃以上、1000℃以下で焼成する焼成工程とを有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
このように、ニッケルとマンガンの比率、及び、マグネシウムとカルシウムの量が所定の範囲に制御された状態で製造された非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体を、リチウム化合物と混合して焼成することにより、高い放電容量を持ち、かつ、サイクル特性に優れた非水系電解質二次電池用正極活物質を得ることができる。
また、本発明の他の態様は、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体であって、該非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体のMn/Niの原子比が60/40〜50/50であり、マグネシウムを100〜300ppm、カルシウムを50〜250ppm含み、メジアン径が4〜6μmであることを特徴とする。
このように、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体において、ニッケルとマンガンの比率、及び、マグネシウムとカルシウムが所定量含まれるようにすることで、この前駆体を用いて正極活物質を作製した時に、高い放電容量と優れたサイクル特性を有するようになる。
また、本発明の他の態様は、非水系電解質二次電池用正極活物質であって、該非水系電解質二次電池用正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとマグネシウムとカルシウムを含む層状の複合酸化物であり、該複合酸化物のMn/Niの原子比が60/40〜50/50であり、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppmであり、該非水系電解質二次電池用正極活物質の二次粒子のメジアン径が4〜6μmであることを特徴とする。
このように、ニッケルとマンガンの比率、及び、マグネシウムとカルシウムが所定量含まれるようにすることで、高い放電容量と優れたサイクル特性を有する正極活物質とすることができる。
また、本発明の他の態様は、少なくとも正極と、負極と、セパレータと、非水系電解質とを有し、正極は、上述した非水系電解質二次電池用正極活物質を含有することを特徴とする非水系電解質二次電池である。
上述した非水系電解質二次電池用正極活物質を正極として用いることにより、高い放電容量と優れたサイクル特性を有する二次電池となる。
本発明の非水電解質二次電池用の正極活物質は、比較的安価で工業的に取り扱いやすく、高い放電容量と優れたサイクル特性を併せ持つニッケルマンガン複合酸化物である。これを用いることにより、高容量でかつサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られるので、車載用に適しており、その工業的価値は極めて大きい。
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法におけるプロセスの概略を示す工程図である。 (A)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた評価用非水系電解質二次電池の斜視図であり、(B)は、(A)のA−A線断面図である。
以下、本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質とその前駆体、及びそれらの製造方法について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
1.非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体
2.非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法
2−1.混合工程
2−2.晶析工程
2−3.濾過洗浄工程
3.非水系電解質二次電池用正極活物質
4.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
4−1.リチウム混合工程
4−2.焼成工程
5.非水系電解質二次電池
<1.非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体>
最初に本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体(以下、単に「前駆体」とも記載する)について説明する。本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体は、Mn/Niの原子比が60/40〜50/50であり、マグネシウムを100〜300ppm、カルシウムを50〜250ppm含み、メジアン径(D50)が4〜6μmである(本明細書中において「〜」は、下限以上、上限以下を意味するものとする。以下同じ)。また、比表面積が10〜20m/gであることが好ましい。非水系電解質二次電池用正極活物質は、その前駆体の性状を引き継ぐため、前駆体のMn/Ni比、マグネシウム及びカルシウムの含有量、メジアン径及び比表面積を、最終的に得られる非水系電解質二次電池用正極活物質に求められている特性に合わせることが好ましい。
本発明の一態様において、金属種はニッケル(Ni)とマンガン(Mn)を含み、Mn/Niの原子比が60/40〜50/50の範囲にある。マンガンの比率が60/40を超えると放電容量が低下するので好ましくない。またマンガンの比率が50/50未満であると結晶構造が不安定化するので好ましくない。より好ましくは52/48〜58/42である。
また、本発明の一態様では、マグネシウムを100〜300ppm、カルシウムを50〜250ppm含むことを特徴とする。これらの添加元素により、最終的に得られる非水系電解質二次電池用正極活物質の結晶構造が安定化して、サイクル特性が向上する効果が得られる。マグネシウムが100ppm未満、またカルシウムが50ppm未満では、結晶構造の安定化効果が得られない。また、マグネシウムが300ppmを超えて、またカルシウムが250ppmを超えて存在すると、充放電容量が悪化する。より好ましくは、マグネシウムが150〜250ppm、カルシウムが100〜200ppmである。なお、ここでの含有量は、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体全体に占めるマグネシウム又はカルシウムの量をいう。
また、本発明の一態様では、マグネシウム及びカルシウムの他にも、添加元素を含んでいても良い。その他の添加元素としては、例えば、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)等が挙げられる。
本発明の一態様では、メジアン径(D50)が4〜6μmであることも特徴である。メジアン径(D50)が4μm未満の場合工業的に取り扱うのに困難となり、メジアン径(D50)が6μmを超える場合は充放電によって結晶粒界に割れが発生し、充放電サイクル特性が悪化する。なお、メジアン径(D50)は、各粒径における粒子数を粒径の小さい側から累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の50%となる粒径を言い、例えば、レーザ光回折散乱式粒度分析計で測定した体積積算値から求められる。
さらに、本発明の一態様では、比表面積が10〜20m/gであると好ましい。比表面積が10m/g未満の場合サイクル特性が悪化し、表面積が20m/gを超える場合放電容量が低下する傾向がある。
このように、本発明の一態様では、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体において、ニッケルとマンガンの比率、及び、マグネシウムとカルシウムが所定量含まれるようにすることで、この前駆体を用いて正極活物質を作製した時に、高い放電容量と優れたサイクル特性を有するようになる。
<2.非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法におけるプロセスの概略を示す工程図である。このうち、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法(前駆体の製造方法)は、混合工程S1と、晶析工程S2と、濾過洗浄工程S3とを有する。もちろん、これ以外の工程を備えていても良い。以下、各工程について詳細に説明する。
(2−1.混合工程)
混合工程S1では、不活性ガス雰囲気下において少なくとも金属成分としてニッケルを含有する水溶液と、金属成分としてマンガンを含有する水溶液とを、Mn/Niの原子比が60/40〜50/50となるように混合して混合水溶液を作製する。
混合工程S1では、最初に、反応容器に純水を入れて、液温を35℃以上45℃以下に制御した初期水溶液を準備することができる。初期水溶液は、例えば、反応槽内に準備することができるが、この際、反応槽内に用意する初期水溶液の液量は特に限定されるものではなく、槽内で反応させる際に初期水溶液を撹拌できる程度の液量を準備することが好ましい。
また、初期水溶液については、液温が35℃以上45℃以下となるように制御することが好ましい。これは、液温を35℃以上とすることで、槽内を均一の反応速度で反応させることができるためである。ただし、液温が45℃を超えると、反応速度が速まり、目的の粒径を得ることができない。
次に、ニッケル化合物及びマンガン化合物をMn/Niが60/40〜50/50となるように混合して混合水溶液を作製する。混合水溶液の金属濃度は50〜150g/Lであることが好ましい。
使用するニッケル化合物及びマンガン化合物は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩等の金属塩が挙げられる。例えば、硫酸ニッケル及び硫酸マンガンが用いられる。
また、本発明の一態様では、得られる非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体に、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppm含まれるように制御する。
マグネシウムとカルシウムは、原料の不純物として含まれている場合がある。その場合は、マグネシウム化合物やカルシウム化合物を特に添加することなく、不純物として含まれるマグネシウムやカルシウムをそのまま利用することができる。マグネシウムやカルシウムが不足している場合、所定量含まれるように、反応液にマグネシウム化合物やカルシウム化合物を添加することができる。反応液に含まれるマグネシウム及びカルシウムはほぼ全量が水酸化物に転換されるので、目的とする水酸化物中のニッケル、マンガンに対する比と同等の量を目安として添加する。すなわち、マグネシウムは0.1〜0.001g/L、カルシウムは0.05〜0.005g/Lの範囲とする。添加方法としては特に制限はなく、マグネシウム化合物やカルシウム化合物を純水に溶解して反応液に添加してもよいし、混合水溶液に予め添加してもよい。
このようにマグネシウム及び/又はカルシウムの添加は、混合水溶液に、これらの添加元素を含有する化合物を添加すればよく、これにより非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の内部にマグネシウム及び/又はカルシウムを均一に分散させた状態で晶析させることできる。
なお、マグネシウム及び/又はカルシウムは、晶析における共沈により添加する以外にも、後述する晶析工程で得られた非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の表面に被覆させたり、または、含侵させたりすることにより添加することもできる。この際、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体のマグネシウム及び/又はカルシウムの含有量が不足している場合には、これらの添加元素を被覆または含侵させ、その含有量を調整することができる。
使用するマグネシウム化合物やカルシウム化合物についても、水溶性の化合物を用いることが好ましく、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩等の金属塩が挙げられる。また、ICP発光分光法等により、混合水溶液中に含まれるマグネシウム量及び/又はカルシウム量を予め測定し、例えば、マグネシウム量が0.1〜0.001g/L、カルシウム量が0.05〜0.005g/Lの範囲となるように、マグネシウム化合物やカルシウム化合物を添加することができる。
その後、反応槽に不活性ガスを導入し、不活性雰囲気とした後に、初期水溶液へ混合水溶液を添加する。
(2−2.晶析工程)
次に、晶析工程S2では、上記初期水溶液へ混合水溶液を添加したものにアンモニウムイオン供給体と、アルカリ水溶液を添加してニッケルマンガン複合水酸化物を形成する。その際、反応液のpHを25℃基準において12〜13、液温を35〜45℃、アンモニア濃度を8〜12g/Lに保つようにアルカリ水溶液やアンモニウムイオン供給体を添加する。
ここで、アンモニウムイオン供給体は、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸アンモニウム水溶液、アンモニア水、塩化アンモニウム水溶液、及び硫酸アンモニウム水溶液のいずれかであることが好ましい。
アンモニア濃度は、8〜12g/Lであることが好ましい。アンモニア濃度が8g/L未満の場合ニッケルの溶解度が低下し、目的の粒径を得ることができず、アンモニア濃度が12g/Lを超える場合ニッケルの溶解度が高くなり、目的の組成の水酸化物を得ることができない。
また、アルカリ水溶液は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選択された1種類以上の水溶液であることが好ましい。
反応液のpHは、25℃基準において12〜13に保つことが好ましい。pHが12より低い場合水酸化物への転換が不十分となり、目的の粒径の水酸化物を得ることができず、pHが13を超える場合反応が速まり、目的の粒径の水酸化物を得ることができない。
混合水溶液を添加する際の雰囲気は不活性雰囲気であることが必要である。これは不活性雰囲気で反応させることにより、粒子の密度が高くなるためである。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、あるいはそれらの混合雰囲気などを用いることができる。
(2−3.濾過洗浄工程)
濾過洗浄工程S3では、ニッケルマンガン複合水酸化物(前駆体粒子)を濾過洗浄する。晶析工程S2により得られた前駆体粒子は、ろ過等により回収される。ろ過は、通常用いられる方法で行えばよく、例えば、遠心機、吸引濾過機が用いられる。
ろ過後、前駆体粒子は水洗される。水洗は、通常行われる方法で行えばよく、前駆体の粒子に含まれる余剰の原料等を除去できればよい。水洗で用いる水は、不純物の混入を防止するため、可能な限り不純物の含有量が少ない水を用いることが好ましく、純水を用いることがより好ましい。
得られた前駆体は、乾燥させてもよい。例えば、乾燥温度を80℃以上230℃以下として、洗浄済みの非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体を乾燥することができる。
<3.非水系電解質二次電池用正極活物質>
次に、本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」とも記載する)の一構成例について説明する。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとマグネシウムとカルシウムを含む層状複合酸化物であり、該複合酸化物のMn/Niの原子比が60/40〜50/50であり、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppmであり、二次粒子のメジアン径が4〜6μmである。
Mn/Niの原子比は、60/40〜50/50であることを特徴とする。マンガンの比率が60/40より大きくなると放電容量が低下してしまい、マンガンの比率が50/50より小さくなると構造が不安定化してしまいサイクル特性が低下するため好ましくない。
また、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppm含まれることを特徴とする。マグネシウムやカルシウムは結晶構造を安定化させる効果を有する。結晶構造が安定化することにより、サイクル特性の向上が見られる。マグネシウムが100ppm以上、カルシウムが50ppm以上含まれると、結晶構造を安定化させる効果が得られる。ただし、マグネシウムが300ppm、カルシウムが250ppmを超えると充放電に寄与しない部分が増え、放電容量が低下するため、好ましくない。なお、ここでの含有量は、非水系電解質二次電池用正極活物質全体に占めるマグネシウム又はカルシウムの量をいう。
正極活物質の二次粒子のメジアン径は、4〜6μmであることを特徴とする。4μm未満の場合取り扱いが困難になり、6μmより大きくなると放電容量が低下し、好ましくない。
このように、本発明の一態様では、ニッケルとマンガンの比率、及び、マグネシウムとカルシウムが所定量含まれるようにすることで、高い放電容量と優れたサイクル特性を有する正極活物質とすることができる。
<4.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法>
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法の一例を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法におけるプロセスの概略を示す工程図である。上述の通り、混合工程S1、晶析工程S2、濾過洗浄工程S3により、非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体が得られ、ここではさらに、リチウム混合工程S4、焼成工程S5により、非水系電解質二次電池用正極活物質を製造する。以下、これらの工程について詳細に説明する。
(4−1.リチウム混合工程)
リチウム混合工程S4では、上述した非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体をリチウム化合物と混合して混合粉を得る。リチウム化合物の混合量は、ニッケルとマンガンの原子数の和とリチウムの原子数との比(リチウム/金属原子比、Li/(Ni+Mn))が、1.05〜1.25の範囲であることが好ましい。1.05より小さくなるとリチウム金属化合物にならない部分が生じ、1.25より大きいと化合物の焼結が進み、目的の粒径のものが得られない。
また、用いるリチウム化合物は特に限定されないが、入手が容易であるため、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウムから選択された1種類以上を好ましく用いることができる。特に、取り扱いの容易さ、品質の安定性を考慮すると、リチウム混合物を形成する際に用いるリチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウムから選択された1種類以上を用いることがより好ましい。
混合には、一般的な混合機を使用することができ、例えば、シェーカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダなどを用いればよい。
(4−2.焼成工程)
焼成工程S5では、混合粉を800℃以上、1000℃以下で焼成する。得られた混合粉を、空気中、800〜1000℃で3時間以上焼成することで、本発明の一実施形態に係る正極活物質が得られる。
焼成温度は800〜1000℃である。温度が800℃未満であると、未反応の粒子が残ったり結晶構造が十分整わなくなったりして、十分な電池特性が得られないという問題が生じる。また、1000℃より高いと金属複合酸化物粒子間で激しく焼結が生じるとともに、異常粒成長を生じる可能性があり、比表面積が低下して正極の抵抗が上昇して電池容量が低下するという問題が生じる。
焼成時間は3時間以上であり、好ましくは6〜14時間である。3時間未満ではリチウム遷移金属複合酸化物の生成が十分に行われないことがある。
なお、焼成に用いられる炉は、特に限定されるものではなく、大気中で混合粉を加熱できるものであればよいが、炉内の雰囲気を均一に保つ観点から、ガス発生がない電気炉が好ましい。また、バッチ式あるいは連続式の炉をいずれも用いることができる。
焼成後の正極活物質(層状のリチウムニッケルマンガン複合酸化物)の粒子は、凝集もしくは軽度の焼結が生じている場合がある。この場合には、解砕してもよい。
また、リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用した場合には、混合工程終了後、焼成工程を実施する前に、仮焼することが好ましい。仮焼温度は、焼成温度より低く、かつ、350℃以上800℃以下であることが好ましく、450℃以上780℃以下であることがより好ましい。
仮焼は、仮焼温度で保持して仮焼することが好ましい。仮焼時間は、1時間以上10時間以下程度であることが好ましく、3時間以上6時間以下であることがより好ましい。仮焼を行った場合、熱処理済み粒子へのリチウムの拡散が十分に行われ、均一なリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を得ることができる。
<5.非水系電解質二次電池>
次に、本実施形態の非水系電解質二次電池の一構成例について説明する。本実施形態の非水系電解質二次電池は、上述の正極活物質を用いた正極を有することができる。
まず、本実施形態の非水系電解質二次電池の構造を説明する。本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池(以下、単に「二次電池」とも記載する)は、正極材料に上述の正極活物質を用いたこと以外は、一般的な非水系電解質二次電池と実質的に同様の構造を有することができる。
本実施形態の二次電池は例えば、ケースと、このケース内に収容された正極、負極、非水系電解質及びセパレータを備えた構造を有することができる。
より具体的には、本実施形態の二次電池は、セパレータを介して正極と負極とを積層させた電極体を有することができる。そして、電極体に非水系電解質を含浸させ、正極の正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、及び負極の負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、それぞれ集電用リードなどを用いて接続し、ケースに密閉した構造とすることができる。
なお、本実施形態の二次電池の構造は、上記例に限定されないのはいうまでもなく、また、その外形も筒形や積層形など、種々の形状を採用することができる。
(正極)
まず、本発明の一実施形態に係る二次電池の特徴である正極について説明する。正極は、シート状の部材であり、上述の正極活物質を含有する正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布乾燥して形成されている。
なお、正極は、使用する電池にあわせて適宜処理される。例えば、目的とする電池に応じて適当な大きさに形成する裁断処理や、電極密度を高めるためにロールプレスなどによる加圧圧縮処理等が行われる。
正極合材ペーストは、正極合材に、溶剤を添加、混練して形成することができる。正極合材は、粉末状になっている上述の正極活物質と、導電材および結着剤とを混合して形成することができる。
導電材は、電極に適当な導電性を与えるために添加されるものである。この導電材は、特に限定されないが、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛および膨張黒鉛など)や、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料を用いることができる。
結着剤は、正極活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすものである。この正極合材に使用される結着剤は、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
なお、正極合材には、活性炭などを添加してもよく、活性炭などを添加することによって、正極の電気二重層容量を増加させることができる。
溶剤は、結着剤を溶解して、正極活物質、導電材及び活性炭などを結着剤中に分散させるものである。この溶剤は特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。
また、正極合材ペースト中における各物質の混合比は、特に限定されない。例えば、溶剤を除いた正極合材の固形分を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60質量部以上95質量部以下、導電材の含有量を1質量部以上20質量部以下、結着剤の含有量を1質量部以上20質量部以下とすることができる。
(負極)
負極は、銅などの金属箔集電体の表面に、負極合材ペーストを塗布し、乾燥して形成されたシート状の部材である。この負極は、負極合材ペーストを構成する成分やその配合、集電体の素材などは異なるものの、実質的に前記正極と同様の方法によって形成され、正極と同様に、必要に応じて各種処理が行われる。
負極合材ペーストは、負極活物質と結着剤とを混合した負極合材に、適当な溶剤を加えてペースト状にしたものである。
負極活物質は、例えば、金属リチウムやリチウム合金などのリチウムを含有する物質や、リチウムイオンを吸蔵及び脱離できる吸蔵物質を採用することができる。
吸蔵物質は、特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂などの有機化合物焼成体、及びコークスなどの炭素物質の粉状体を用いることができる。係る吸蔵物質を負極活物質に採用した場合には、正極同様に、結着剤として、PVDFなどの含フッ素樹脂を用いることができ、負極活物質を結着剤中に分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極との間に挟み込んで配置されるものであり、正極と負極とを分離し、電解質を保持する機能を有している。係るセパレータは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微細な孔を多数有する膜を用いることができるが、上記機能を有するものであれば、特に限定されない。
(非水系電解質)
非水系電解質は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート;また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート;さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物;エチルメチルスルホンやブタンスルトンなどの硫黄化合物;リン酸トリエチルやリン酸トリオクチルなどのリン化合物などから選ばれる1種類を、単独で、あるいは2種類以上を混合して、用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO、及びそれらの複合塩などを用いることができる。
なお、非水系電解質は、電池特性改善のため、ラジカル捕捉剤、界面活性剤、難燃剤などを含んでいてもよい。
このように、本発明の一態様に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を正極として用いることで、高い放電容量と優れたサイクル特性を有する二次電池を得ることができる。
本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に各実施例、比較例での試料の作製条件、及び評価結果について説明する。
(実施例1)
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体
実施例1では、マンガンとニッケルがモル比で55/45、合計の濃度が2mol/Lとなるように硫酸ニッケル、硫酸マンガンを純水に溶解し、ニッケルマンガン水溶液を300L用意した。この反応液中に含まれるマグネシウムとカルシウムの濃度は、Mg:0.1g/L、Ca:0.03g/Lであった。
加熱用のジャケットがついた容量600Lの反応槽にイオン交換水を100L投入し、槽内の温度を40℃に保つように加熱し、反応槽内に窒素ガスを導入し、不活性ガス雰囲気とした。
その後、ニッケルマンガン水溶液を一定流量で4時間かけて添加しながら、あわせて反応液中のアンモニア濃度を10g/Lに保つようにアンモニア水を添加し、また、反応液のpHを12.4になるように水酸化ナトリウム水溶液を添加し、ニッケルマンガン複合水酸化物を得た。
ニッケルマンガン複合水酸化物は、ろ過により固液分離した後、水酸化ナトリウム水溶液を通過させて、さらにイオン交換水を通過させることで洗浄した。得られたろ過物を乾燥機に入れ120℃で12時間乾燥させて、前駆体とした。
前駆体のNiとMnの組成をICP発光分光法により化学分析を行ったところ、Mn/Ni=55/45であった。また、マグネシウムは250ppm、カルシウムは150ppmであった。
前駆体のメジアン径は日機装(株)製マイクロトラックHRA Model9320−X100により測定し、5.0μmであった。
前駆体の比表面積は島津製作所(株)製 窒素吸着量測定装置 オートポアにより測定し、12.5cm/gであった。以上の結果を表1にまとめる。
(2)非水系電解質二次電池用正極活物質
得られた前駆体と炭酸リチウムとを、Li/(Ni+Mn)が1.2になるようにそれぞれ秤量して前駆体と炭酸リチウムとを混合機で混合した。この混合物を耐火性無機物製の匣鉢に入れ、空気中で室温から徐々に昇温し、760℃で4時間仮焼した後、さらに温度を900℃に上げて10時間保持した。温度を下げた後、匣鉢からリチウムニッケルマンガン複合酸化物を取り出し、解砕して実施例1に係る正極活物質を得た。
正極活物質のNiとMnの組成をICP発光分光法により化学分析を行ったところ、Mn/Ni=55/45であった。また、マグネシウムは240ppm、カルシウムは140ppmであった。また、正極活物質のメジアン径は5.2μmであった。
(3)電池評価
得られた正極活物質を用いてコイン型電池を作製した。図2(A)は、本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた評価用非水系電解質二次電池の斜視図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A線断面図である。
非水系電解質二次電池1は、例えば、2032型コイン電池であり、ケース2と、ケース2内に収容された電極3とから構成される。ケース2は、図2(B)に示すように、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成される。電極3は、正極3a、セパレータ3c、及び負極3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容される。
なお、ケース2は、図2(A)及び(B)に示すように、ガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が電気的に絶縁状態を維持するように固定される。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封して、ケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
作製したコイン型電池を用いて、初期放電容量およびを測定した。コイン型電池を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cmとして、カットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行ない、初期放電容量を求めた。なお、初期放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。その結果、初期放電容量は168mAh/gだった。
また、充電電圧4.3V、放電電圧3.0V−4.3Vで充放電を200サイクル繰り返した後の容量維持率(サイクル特性)は94%であった。以上の結果を表2にまとめる。
なお、表2における、正極活物質の評価基準は以下のとおりである。
○:初期放電容量が165mAh/g以上であり、かつ、サイクル特性が90%以上
△:初期放電容量が165mAh/g以上であるか、又は、サイクル特性が90%以上の何れか一方の条件のみを満たす。
×:初期放電容量が165mAh/g未満であり、かつ、サイクル特性が90%未満
(実施例2)
実施例2では、ニッケルマンガン反応液中に含まれるマグネシウムとカルシウムの濃度をMg0.05g/L、Ca0.015g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(実施例3)
実施例3では、反応液中のカルシウムの濃度をCa0.015g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(実施例4)
実施例4では、反応液中のマグネシウムの濃度をMg0.05g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例1)
比較例1では、反応液中のマグネシウムの濃度を0.2g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例2)
比較例2では、反応液中のマグネシウム濃度とカルシウム濃度をMg0.02g/L、Ca0.01g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例3)
比較例3では、反応液中のカルシウム濃度をCa0.07g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例4)
比較例4では、反応液中のマグネシウム濃度とカルシウム濃度をMg0.05g/L、Ca0.01g/Lとした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例5)
比較例5では、Mn/Niのモル比を75/25に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例6)
比較例6では、晶析中の雰囲気を大気雰囲気にした以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例7)
比較例7では、晶析中のpHを11.0に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
(比較例8)
比較例8では、晶析中のpHを14.0に変更した以外は実施例1と同様にして前駆体を得た。得られた前駆体を用いて実施例1と同様にして正極活物質を得た後、コイン型電池を作製し、評価を行った。前駆体に関する結果を表1に、正極活物質、電池の評価結果を表2にまとめる。
Figure 2018160323
Figure 2018160323
本発明の一実施形態に係る実施例1〜4では、いずれも初期放電容量が165mAh/g以上であり、かつ、サイクル特性が90%以上であり、高い放電容量と、優れたサイクル特性を併せ持つことが実証された。一方で、本発明に係る構成要件の何れかを満たさない比較例1〜8においては、放電容量とサイクル特性の両方が優れた非水系電解質二次電池用正極活物質とはならなかった。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、非水系電解質二次電池の構成、非水系電解質二次電池用正極材料の容量評価方法の動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
1 非水系電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)、2 ケース、2a 正極缶、2b 負極缶、2c ガスケット、3 電極、3a 正極(正極膜)、3b 負極、3c セパレータ

Claims (7)

  1. 非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法であって、
    不活性ガス雰囲気下において少なくとも金属成分としてニッケルを含有する水溶液と、金属成分としてマンガンを含有する水溶液とを、Mn/Niの原子比が60/40〜50/50となるように混合して混合水溶液を作製する混合工程と、
    前記混合水溶液にアンモニウムイオン供給体と、アルカリ水溶液を添加してpH値を、25℃基準において、12以上13以下となるように制御してニッケルマンガン複合水酸化物を形成する晶析工程と、
    前記ニッケルマンガン複合水酸化物を濾過洗浄する濾過洗浄工程とを有し、
    得られた前記非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体に、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppm含まれるように制御することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法。
  2. 前記混合工程において、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を添加することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法。
  3. 前記混合工程において、前記混合水溶液中に含まれるマグネシウム量及び/又はカルシウム量を測定し、前記混合水溶液中の金属濃度50〜150g/Lに対して、前記混合水溶液中のマグネシウム量が0.1〜0.001g/L、カルシウムが0.05〜0.005g/Lとなるように、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を添加することを特徴とする請求項2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体の製造方法において、
    さらに、得られた前記非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体とリチウム化合物を混合して混合粉を作成するリチウム混合工程と、
    前記混合粉を800℃以上、1000℃以下で焼成する焼成工程とを有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体であって、
    該非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体のMn/Niの原子比が60/40〜50/50であり、マグネシウムを100〜300ppm、カルシウムを50〜250ppm含み、
    メジアン径が4〜6μmであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質前駆体。
  6. 非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
    該非水系電解質二次電池用正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとマグネシウムとカルシウムを含む層状の複合酸化物であり、
    該複合酸化物のMn/Niの原子比が60/40〜50/50であり、マグネシウムが100〜300ppm、カルシウムが50〜250ppmであり、
    該非水系電解質二次電池用正極活物質の二次粒子のメジアン径が4〜6μmであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  7. 少なくとも正極と、負極と、セパレータと、非水系電解質とを有し、
    上記正極は、請求項6に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を含有することを特徴とする非水系電解質二次電池。
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