JP2022046655A - 非水系電解質二次電池用正極活物質、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池容量、出力特性、サイクル特性及び長期間安定性に優れる非水系電解質二次電池用正極活物質などを提供する。【解決手段】層状結晶構造を有する六方晶系リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含む非水系電解質二次電池用正極活物質であって、各元素のモル比がLi:Ni:Co:Mn:W=1+s:x:y:z:t(ただし、0≦s≦0.20、x+y+z=1、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05)で表されリチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物は一次粒子が凝集して構成される二次粒子を含み、該二次粒子内部にタングステン(W)が均一に存在し、正極活物質の長期安定性評価における負極へのタングステンの溶出量が、前記リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物中のタングステン含有量に対して、20質量%以下である、非水系電解質二次電池用正極活物質などによる。【選択図】図1

Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な二次電池の開発が強く望まれている。また、ハイブリット自動車を始めとする電気自動車用の電池として高出力の二次電池の開発が強く望まれている。特に電気自動車用の電池は、高温から極低温までの広い温度域で用いられるため、このような広い温度域における高出力が必要である。
このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池などの非水系電解質二次電池がある。非水系電解質二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質として、リチウムイオンを脱離および挿入することが可能な材料が用いられている。
非水系電解質二次電池については、現在研究開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型の結晶構造を有するリチウム金属複合酸化物を正極活物質に用いた非水系電解質二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
かかる非水系電解質二次電池の正極活物質として、現在、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)や、コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、マンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.5)などのリチウム複合酸化物が提案されている。
上記正極活物質中でも、近年、熱安定性に優れて高容量であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.33)が注目されている。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムニッケル複合酸化物などと同じく層状結晶構造を有する化合物であり、遷移金属サイトにおいて、ニッケルとコバルトとマンガンを基本的に組成比1:1:1の割合で含んでいる。
ところで、正極活物質中のコバルトの比率が小さくなると、この正極活物質を用いた二次電池の出力特性が低下する傾向にあり、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.33)は、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)と比較して、二次電池の正極抵抗が高くなり、高出力を得にくい。そこで、電池特性(出力特性など)を向上させることを目的として、正極活物質中にタングステン等の金属を添加する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解質二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子およびその凝集体である二次粒子の一方または両方からなる粒子の形態で存在し、前記一次粒子のアスペクト比が1~1.8であり、前記粒子の少なくとも表面に、モリブデン、バナジウム、タングステン、ホウ素およびフッ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を有する非水電解質二次電池用正極活物質が提案されている。特許文献1によれば、粒子の表面にモリブデン、バナジウム、タングステン、ホウ素およびフッ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を有することにより、導電性が向上するとされている。
また、特許文献2には、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な機能を有するリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、該主成分原料に、B及びBiから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物と、Mo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物をそれぞれ1種併用添加した後、焼成されてなるリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体が提案されている。特許文献2によれば、添加元素を併用添加した後、焼成することにより、粒成長及び焼結の抑えられた微細な粒子からなるリチウム遷移金属系化合物粉体が得られ、レートや出力特性が改善されるとともに、取り扱いや電極調製の容易なリチウム含有遷移金属系化合物粉体を得ることができるとしている。
特開2005-251716号公報 特開2011-108554号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、上記特許文献1に記載されるように、正極活物質を構成する粒子表面にモリブデン、バナジウム、タングステン、ホウ素およびフッ素などの添加元素を存在させた場合、二次電池の正極における導電性向上には寄与するが、二次電池において、充放電サイクルを用いて長期安定性を評価した場合、添加元素の溶出による正極界面抵抗の上昇が懸念されることが明らかとなった。また、特許文献2では焼成温度よる添加元素の分布状態の変化について言及されていないが、製造条件を参酌すると、粒子表面に添加元素が析出していると考えられ、充放電サイクル後の添加元素(W)の溶出による、正極抵抗上昇が懸念される。
本発明は、これら事情を鑑みてなされたものであり、タングステンを添加した正極活物質において出力特性の改善と、充放電サイクル後の長期安定性評価においてタングステンの溶出量を抑制することにより、タングステンによる抵抗上昇の抑制の効果を長期間持続することのできる非水系電解質二次電池が得られる正極活物質を提供することを目的とする。また、本発明は、このような正極活物質を、工業規模の生産において容易に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、規定量のタングステンを添加し、昇温速度や焼成温度を限定して焼成することで、リチウムニッケルコバルトマンガンタングステン複合酸化物の粒子内部にタングステンを均一に存在させることが可能であることを見出し、それにより、出力特性を向上させ、かつ長期安定性評価においてタングステンの溶出を抑え抵抗上昇を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様では、層状結晶構造を有する六方晶系リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含む、非水系電解質二次電池用正極活物質であって、リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物は、リチウム(Li)と、コバルト(Co)と、ニッケル(Ni)と、マンガン(Mn)と、タングステン(W)を含み、各元素のモル比が、Li:Ni:Co:Mn:W=1+s:x:y:z:t(ただし、0≦s≦0.20、x+y+z=1、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05)で表され、リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物は、一次粒子が凝集して構成される二次粒子を含み、該二次粒子内部にタングステン(W)が均一に存在し、下記の方法で行う前記正極活物質の長期安定性評価における負極へのタングステンの溶出量が、前記リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物中のタングステン含有量に対して、20質量%以下である、非水系電解質二次電池用正極活物質が提供される。
(長期安定性の評価方法)
前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質、導電材、及びバインダー樹脂を備える正極と、セパレータと、負極にカーボンを用いたラミネート型電池を作製し、温度60℃にて、2Cのレートで4.1VまでCC充電し、10分間休止した後、同じレートで3.0VまでCC放電し、10分間休止する、という充放電サイクルを500サイクル繰り返した後、負極へのタングステンの溶出量を測定する。
また、二次粒子の平均粒径が3μm以上20μm以下であることが好ましい。また、一次粒子の平均粒径が0.2μm以上0.5μm以下であることが好ましい。また、二次粒子の粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕が0.60以下であることが好ましい。
本発明の第2の態様では、正極と、負極と、セパレータと、非水系電解質とを備え、前記正極の正極材料として、上記非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた、非水電解質二次電池が提供される。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、電池の正極に用いた際に優れた出力特性が得られ、長期安定性評価においてタングステンの溶出を抑えて、抵抗の上昇を抑制することができる。したがって、本発明の非水系二次電池は、高出力と、高い長期安定性を有するという優れた電気特性を示し、電気エネルギーで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車用の電源としても用いることができる。また、その製造方法は、工業的規模の生産においても容易であり、工業上極めて有用である。
本実施形態に係るリチウム金属複合酸化物の一例を示す模式図である。 従来のリチウム金属複合酸化物の一例を示す模式図である。 本実施形態の正極活物質の製造方法の一例を示すフローチャートである。 実施例で用いた評価用コイン型電池を示す図である。 インピーダンス評価の測定例と解析に使用した等価回路の概略説明図である。 実施例で用いた評価用ラミネート型電池を示す図である。 実施例1の正極活物質におけるタングステン(W)の分布をEDXにより分析した一例を示す図である。 比較例3の正極活物質におけるタングステン(W)の分布をEDXにより分析した一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。また、図面においては、各構成
をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実
際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。以下、本実施形態について説明
する。
1.非水系電解質二次電池用正極活物質
本実施形態の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」ともいう。)は、層状結晶構造を有する六方晶系リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(以下、「リチウム金属複合酸化物」ともいう。)を含む。
図1は、本実施形態に係るリチウム金属複合酸化物10の一例を示す模式図である。図1に示すように、リチウム金属複合酸化物10は、複数の一次粒子1が互いに凝集して形成された二次粒子2を含み、タングステン(W)が二次粒子2内部に均一に存在する形態を有する。なお、二次粒子2は、一次粒子2間に空隙3を有してもよい。
詳細は不明であるが、リチウム金属複合酸化物10において、タングステン(W)が二次粒子2内部に均一に存在することによって、得られる二次電池の出力特性を向上させ、さらに、複数回の充放電サイクルを繰り返した後の二次電池の安定性を評価する長期安定性評価における正極からのタングステンの溶出量を抑制することができる。正極からのタングステンの溶出を抑制することにより、二次電池のサイクル特性が向上する。
本明細書において、二次粒子2内部にタングステンが均一に存在するとは、無作為に選択した20個の二次粒子2の断面において、面分析を行い元素分布を分析した場合、タングステン(W)が偏在している明確な領域が確認できないことをいう。元素分布は、例えば、エネルギー分散X線分光装置(EDX;日本電子株式会社社製、商品名:JED2300)により分析することができる。EDX検出器は、分解能:137eVであり、測定条件は、管電圧20kV、管電流20μA、倍率5000倍、WD15mm、プロセスタイム4,計数400万カウント以上とすることができる。
図2(A)、(B)は、従来のタングステンを含むリチウム金属複合酸化物11、12の一例を示す模式図である。例えば、図2(A)、(B)に示されるように、正極活物質を構成する一次粒子1又は二次粒子2の表面にタングステンを含む化合物の粒子や層が存在する場合、二次粒子2の断面を元素分析すると、二次粒子2の表面及び内部に存在する一次粒子1の表面にタングステン(W)が偏在する領域4が検出される。なお、例えば、WO2002/041419号などに示されるように、X線回折において、タングステン酸リチウム(LiWO)などのリチウム複合酸化物10以外のタングステンを含む化合物が検出される場合、二次粒子2断面において、タングステンが偏析する領域4が検出されると考えられる。
また、タングステンは、リチウムのとの反応性が高いため、従来の製造方法では、二次粒子表面、又は、二次粒子内部の一次粒子の表面にタングステンが偏って分布しやすい。一方、本実施形態に係るリチウム金属複合酸化物10は、後述するように、焼成の工程において、昇温速度や焼成温度などを適切な範囲に制御することにより、二次粒子2内部にタングステンを均一に分散させることができる。
リチウム金属複合酸化物10は、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びタングステン(W)を含む。リチウム金属複合酸化物10中の各元素のモル比(Li:Ni:Co:Mn:W)は、Li:Ni:Co:Mn:W=(1+s):x:y:z:t(ただし、0≦s≦0.20、x+y+z=1、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05)で表される。なお、上記組成は、ICP発光分析法により求めることができる。
ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)の含有量を示すx、y、zの範囲は、それぞれ、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5である。ニッケル、コバルト、マンガンが上記範囲である場合、高い電池容量を有し、かつ、熱安定性に優れる。
タングステン(W)の含有量を示すtの範囲は、0.02≦t≦0.05である。タングステンの含有量が上記範囲であり、かつ、上述したように二次粒子2内部に均一に存在する場合、十分な抵抗値の低減効果が得られるとともに、二次電池の正極に用いた際に高い電池容量を得ることができる。一方、tが0.02未満である場合、正極抵抗の低減効果が十分に得られない。また、tが0.05を超える場合、正極抵抗の低減効果の増加はみられず、さらに、充放電に寄与しないタングステンの割合が増えるため、電池容量が低下する。より高い抵抗値の低減効果と電池容量を得るという観点から、tの範囲は、0.03≦t≦0.05とすることが好ましく、0.03≦t≦0.04とすることがより好ましい。
なお、リチウム金属複合酸化物10は、例えば、一般式:Li1+sNiCoMn(ただし、0≦s≦0.20、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05、x+y+z=1)で表わすことができる。
二次粒子2の平均粒径は3μm以上20μm以下であることが好ましく、4μm以上15μm以下であることがより好ましい。二次粒子の平均粒径が上記範囲である場合、電池の正極に用いた際の高い出力特性および電池容量と、正極への高い充填性をさらに両立させることができる。二次粒子の平均粒径が3μm未満になると、正極への高い充填性が得られないことがあり、平均粒径が20μmを超えると、高い出力特性や電池容量が得られないことがある。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱法に基づく測定による体積平均径Mvとして求めることができる。
一次粒子1の平均粒径は、0.2μm以上0.5μm以下であることが好ましい。一次粒子1の平均粒径が上記範囲である場合、二次電池の正極に用いた際、より高い出力特性と電池容量が得られ、さらに高いサイクル特性を得ることができる。一方、一次粒子1の平均粒径が0.2μm未満である場合、サイクル特性の向上が十分でないことがある。また、平均粒径が0.5μmを超える場合、出力特性や電池容量が十分でないことがある。なお、一次粒子1の平均粒径は、無作為に選択した10個の二次粒子2断面をSEM観察し、それぞれの二次粒子2断面について、20個以上の一次粒子の最大径を測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。
二次粒子2の粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕は、0.60以下であることが好ましい。これにより、微細粒子や粗大粒子の混入が抑制されて二次粒子の粒径が均一となり、高いサイクル特性が得られる。より高いサイクル特性を得るためには、〔(d90-d10)/平均粒径〕が0.55以下であることが好ましい。なお、〔(d90-d10)/平均粒径〕は、小さいほど二次粒子の粒径が均一となるが、製造上のばらつきが生じるため、(d90-d10)/平均粒径〕の最小値は、0.25程度である。
上記[(D90-D10)/平均粒径]において、D10は、各粒径における粒子数を粒径の小さい側から累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の10%となる粒径を意味している。また、D90は、同様に粒子数を累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の90%となる粒径を意味している。なお、[(D90-D10)/平均粒径]は、リチウム金属複合酸化物10の平均粒径(体積平均径Mv)、D90及びD10を、レーザー光回折散乱式粒度分析計を用いて測定することにより、算出できる。
二次粒子2は、例えば、図1に示すように、一次粒子1間に電解質が侵入可能な空隙3や粒界を有してもよい。二次粒子2は、このような電解質が侵入可能な空隙3や粒界を有することにより、二次粒子2の内部まで電解液が侵入して、Liの挿抜が容易になり、出力特性や電池容量をより向上させることができる。なお、本実施形態の正極活物質においては、リチウム金属複合酸化物10を構成する一次粒子1の内部だけでなく、一次粒子1の表面上、例えば、一次粒子1間の空隙3や粒界に接する一次粒子1表面にもタングステンが均一に分布するため、Liの移動が促進され抵抗値の低減効果が得られる。
また、二次粒子2は、粒内に中空部を有する中空構造を有することが好ましい。これにより、二次粒子の粒内への電解質の侵入がさらに容易となり、高い出力特性がさらに容易に得られる。なお、中空部は複数あってもよい。また、二次粒子2は、多数の空隙3を有してもよい。なお、リチウム金属複合酸化物10は、二次粒子2だけでなく、単独で存在する一次粒子1を少量含んでもよい。また、本実施形態の正極活物質は、リチウム金属複合酸化物10以外の従来公知の正極活物質を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。
2.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
図3に示すように、本実施形態の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法(以下、「正極活物質の製造方法」ともいう。)は、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得る晶析工程(ステップS01)と、リチウム化合物を混合してリチウム混合物を得るリチウム混合工程(ステップS02)と、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子を得る焼成工程(ステップS03)を少なくとも備えるものである。
上記正極活物質の製造方法は、例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物を含む非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、晶析により、一般式:NixCoyMnzWt(OH)2+α(x+y+z=1、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05、0≦α≦0.5)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得る晶析工程と、前記ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子と、リチウム化合物とを、リチウム以外の金属元素の原子数の合計に対するリチウムの原子数の比が1.00~1.20となるように混合して、リチウム混合物を得るリチウム混合工程と、前記リチウム混合物を、酸化性雰囲気中において、800℃以上900℃以下、及び、5時間以上20時間以下で、焼成して、リチウム金属複合酸化物粒子を得る焼成工程と、を備え、前記焼成工程において、焼成温度まで昇温する際、600℃から焼成温度に達するまでの昇温速度を2℃/分以下とすることが好ましい。
本実施形態の製造方法は、上記特性を有する正極活物質を製造する方法として、好適に用いることができる。以下、本発明の正極活物質の製造方法について詳細に説明する。
[晶析工程]
まず、晶析工程(ステップS01)において、晶析により、一般式(1):NiCoMn(OH)2+α(x+y+z=1、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05、0≦α≦0.5)で表されるタングステンを含むニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子(以下、「複合水酸化物粒子」ともいう。)を得る。
晶析方法としては、特に限定されず連続晶析法、バッチ法などを用いることができる。連続晶析法は、例えば、反応容器からオーバーフローしたニッケル複合水酸化物粒子を連続的に回収する方法であり、通常、工業的に複合水酸化物粒子を作製する場合に多く用いられる方法である。この方法を用いた場合、組成の等しい複合水酸化物を大量にかつ簡便に作製できる。晶析方法によって得られる複合水酸化物粒子は、通常、一次粒子が凝集した二次粒子で構成され、この複合水酸化物粒子を用いて得られる正極活物質も一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたものとなる。
しかしながら、連続晶析法では、得られた生成物(複合水酸化物粒子)の粒度分布が比較的幅広い正規分布になりやすく、必ずしも粒径の揃った粒子を得ることができない。このような粒度分布が比較的幅広い複合水酸化物粒子を原料としてリチウムイオン二次電池用の正極活物質を作製し、これを用いてリチウムイオン二次電池を組み立てた場合、正極に、例えば3μm未満の微粉が混じりやすくなり、二次電池のサイクル特性が悪化することがある。また、正極活物質の粒度が揃っていない場合、反応抵抗が増大し、電池出力に悪影響を及ぼす可能性がある。
したがって、サイクル特性、及び出力特性をより向上させるという観点から、バッチ法を用いることが好ましく、中でも、例えば、国際公開WO2012/131881号において開示されているような、核生成段階と粒子成長段階に明確に分離した複数の工程を有する晶析法を用いて、粒子径の均一化をはかり、粒度分布の狭い複合水酸化物を得ること好ましい。以下、核生成工程と粒子成長工程の少なくとも2つの工程に分離した晶析方法について説明する。
(核生成工程)
まず、易水溶性のニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩を所定の割合で水に溶解させて、ニッケル、コバルト、マンガンを含む混合水溶液を作製する。ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩としては、硫酸塩を用いることが好ましい。この混合水溶液と、アンモニア水などのアンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを、撹拌しながら晶析反応槽内へ供給して、反応槽内に反応液を形成する。また、反応液形成と同時に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を、反応槽内へ供給して反応液のpH値が一定の範囲となるように制御する。ここで、反応液が一定のpH値の範囲になるようにアルカリ水溶液の供給量を調節することで、反応槽内にて複合金属水酸化物粒子の微小な核を選択的に生成させることが出来る。
ここで、反応液のpH値は、液温25℃基準におけるpH値が12.0以上、好ましくは12.0以上14.0以下になるように調節する。pH値が上記範囲である場合、反応液中に金属水酸化物の微小な核を選択的に生成させることができる。一方、pH値が12.0未満である場合、核生成以外に核成長も同時に起こってしまうため、得られる複合金属水酸化物粒子の粒度分布が広がりやすく、また、核の総数が不足して粒径が粗大化しやすい。核の総数は、核生成工程における、反応液のpHやアンモニア濃度、及び供給される混合水溶液の量によって制御できる。
また、反応液中アンモニア濃度は3g/L以上15g/L以下の範囲内の一定値に保持されることが好ましい。一定以上のアンモニア濃度が無ければ金属イオンの溶解度を一定に保持することができないため、整った水酸化物粒子の形成が成り立たず、ゲル状の核が生成しやすいため粒度分布も広がりやすい。なお、アンモニア濃度が15g/Lを超えるの濃度では、複合金属水酸化物粒子が緻密に形成されるため、最終的に得られる非水系電解質二次電池用正極活物質も緻密な構造になり、比表面積が低くなってしまうことがあり、好ましくない。
また、反応液の温度は、35℃以上60℃以下に設定することが好ましい。35℃未満では、温度が低くて供給する金属イオンの溶解度が十分に得られず、核発生が起こりやすくなり、核発生を制御することが容易でなくなる。また、60℃を越えるとアンモニアの揮発が促進されることにより錯形成するためのアンモニアが不足し、同じように金属イオンの溶解度が減少しやすくなる。この核生成工程におけるpH値と晶析時間については、目的とする複合水酸化物粒子の平均粒径によって任意に設定することができる。
(粒子成長工程)
粒子成長工程では、反応液を液温25℃基準におけるpH値として10.5以上12.0以下、かつタングステン塩を溶かしたアルカリ溶液を反応槽内へ供給し、核生成工程より低いpH値に制御する。タングステン塩はナトリウム塩を用いることが好ましい。核形成後にpH値をこの範囲に制御することで、核生成工程で生成した核の成長のみを優先的に起こさせて新たな核形成を抑制することにより、複合水酸化物粒子の粒度の均一性を大幅に向上させることができる。pH値が12.0より高い場合には、粒子成長のみでなく、核生成も生じるため、粒度の均一性を大幅に向上させることが難しくなる。一方、pH値が10.5未満では、反応液中に残存する金属イオンが増加するため、生産効率が悪化する。また、硫酸塩を原料として用いた場合には、複合水酸化物粒子中に残留する硫黄(S)分が多くなるため、好ましくない。反応液のアンモニア濃度、温度については、核生成工程と同様の範囲に設定すればよい。
核生成後あるいは粒子成長段階の途中で、反応液中の液成分の一部を反応槽外に排出することにより、反応液中の複合水酸化物粒子濃度を高めた後、引き続き粒子成長を行うことも可能である。こうすることで、より粒子の粒度分布を狭めることができ、粒子密度も高めることができる。
核生成工程及び粒子成長工程における反応槽内の雰囲気を制御することにより、複合水酸化物粒子を用いて得られる正極活物質の粒子構造を制御することが可能となる。すなわち、雰囲気の酸素濃度を制御することで、複合水酸化物粒子を構成する一次粒子の大きさを制御することが可能であり、複合水酸化物粒子の緻密性を制御することが可能である。したがって、反応槽内の酸素濃度を低減して非酸化性雰囲気とすることにより、複合水酸化物粒子の緻密性が高くなり、得られる正極活物質も緻密性が高くなり中実構造を有するようになる。一方、反応槽内の酸素濃度を高めることで、複合水酸化物粒子の緻密性が低下して、得られる正極活物質は中空構造や多孔質構造を有するようになる。特に、核生成工程と粒子成長工程の初期において反応槽内を酸化性雰囲気とし、その後、非酸化性雰囲気に制御することで、複合水酸化物粒子の中心部の緻密性を低く、外周部の緻密性を高くすることができる。このような複合水酸化物粒子から得られる正極活物質は十分な大きさの中空部を有する中空構造となる。中空部の大きさは、酸化性雰囲気とする時間と非酸化性雰囲気とする時間を調整することにより制御することができる。
[リチウム混合工程]
次いで、リチウム混合工程(ステップS02)において、晶析工程(ステップS01)で得られた複合水酸化物粒子と、リチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を得る。
リチウム化合物は、リチウム以外の金属元素の原子数(Me)の合計に対するリチウム(Li)の原子数の比(Li/Me)が1.00以上1.20以下となる量で混合される。Li/Meが0.95未満である場合、得られた正極活物質を用いた二次電池における正極の反応抵抗が大きくなるため、電池の出力が低くなってしまう。また、Li/Meが1.20を超える場合、得られた正極活物質の初期放電容量が低下するとともに、正極の反応抵抗も増加してしまう。
リチウム化合物としては、特に限定されず、公知のチリウム化合物を用いることができる。例えば、リチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、又は、これらの混合物を好適に用いることができる。中でも、取り扱いの容易さ、品質の安定性の観点から、炭酸リチウムを用いることがより好ましい。
リチウム混合工程(ステップS02)において、複合水酸化物粒子とリチウム化合物とは、これらを十分混合することが好ましい。混合には、一般的な混合機を使用することができ、例えば、シェーカーミキサーやレーディゲミキサー、ジュリアミキサー、Vブレンダーなどを用いることができ、複合酸水化物粒子の形骸が破壊されない程度でリチウム化合物と十分に混合してやればよい。
[焼成工程]
次いで、焼成工程(ステップS03)において、得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中において、600℃から焼成温度までの昇温速度を2℃/分以下とするとともに、焼成温度を800℃以上900℃以下とし、焼成時間を5時間以上20時間以下として、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子を得る
焼成温度が800℃未満である場合、複合水酸化物粒子とリチウム化合物の反応が十分に進まず、複合水酸化物粒子中へのリチウムの拡散が十分でなく、余剰のリチウムと未反応のニッケルコバルトマンガン複合酸化物が残る、あるいは結晶構造が十分に整わず、出力特性や電池容量の低下が生じることあがる。一方、焼成温度が900℃を超えると、粒子内部のタングステンが二次粒子表面に濃縮するため、長期安定性評価において、タングステン溶出が増え長期安定性が低下する。さらに、焼成温度が1000℃を超えると、リチウム金属複合酸化物粒子間で激しく焼結が生じ、異常粒成長を生じることから粒子が粗大となり、出力特性や電池容量の低下が生じる。
焼成温度での保持時間は、5時間以上20時間以下、好ましくは5時間以上10時間以下である。焼成時間が5時間未満である場合、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の生成が十分に行われない。また、焼成時間が20時間を超える場合、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子間で激しく焼結が生じ、異常粒成長を生じることから粒子が粗大となる。
また、焼成工程(ステップS03)において、600℃から上記焼成温度までの昇温速度を2℃/分以下とする。昇温速度が2℃/分を超える場合、リチウムとの反応性の高いタングステンが二次粒子表面に濃縮しやすくなり、二次粒子の内部にタングステン(W)が均一に存在するリチウム金属複合酸化物を得ることが困難となる。二次粒子の表面、又は、二次粒子内部の一次粒子の表面にタングステンが濃縮して偏在する場合、得られた二次電池において充放電サイクルを繰り返すうちに、正極活物質中のタングステンが溶出して、正極活物質の長期間安定性が低下しやすい。前記の理由から昇温速度は遅いほど好ましいが、遅くなる程、焼成時間が延びるため、生産上好ましくない。なお、昇温速度の下限は、0℃/分を超えればよく、例えば、1℃/分以上である。また、焼成工程(ステップS03)において、600℃に達するまでの昇温速度は、特に限定されず、例えば、生産性の観点から、2℃/分以上10℃/分以下程度としてもよい。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気であり、例えば、酸素濃度が18~100容量%の雰囲気とすることが好ましい。すなわち、大気~酸素気流中で行なうことが好ましい。コスト面を考慮すると、空気気流中で行なうことが、特に好ましい。酸素濃度が18容量%未満であると、酸化が十分でなく、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の結晶性が十分でない場合がある。
焼成に用いられる炉は、特に限定されるものではなく、大気~酸素気流中で加熱できるものであればよいが、ガス発生がない電気炉が好ましく、バッチ式あるいは連続式の炉が用いられる。
上記焼成条件では、得られるリチウム複合酸化物粒子の激しい焼結や異常粒成長は抑制されるが、軽微な焼結が生じることがある。このような場合には、さらに、得られたリチウム複合酸化物粒子を解砕する解砕工程をさらに備えることができる。解砕は、通常に行われる方法でよく、リチウム複合酸化物粒子の二次粒子を破壊しない程度に行えばよい。
[解砕工程]
焼成工程によって得られたリチウム複合酸化物粒子は、凝集または軽度の焼結が生じている場合がある。このような場合には、リチウム複合酸化物粒子の凝集体または焼結体を解砕する、解砕工程を備えてもよい。解砕により、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく分離させて、凝集体をほぐす操作をいう。
解砕の方法としては、公知の手段を用いることができ、たとえば、ピンミルやハンマーミルなどを使用することができる。なお、この際、二次粒子を破壊しないように解砕力を適切な範囲に調整することが好ましい。
3.非水系電解質二次電池
本実施形態に係る非水系電解質二次電池(以下、「二次電池」ともいう。)は、上述した正極活物質を正極材料含む正極を備える。非水系電解質二次電池は、従来公知の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成されることができ、例えば、正極、負極及び非水系電解液を備える。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本実施形態に係る非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本実施形態に係る非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
(正極)
前述のように得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材および結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭や、粘度調整などの目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。その際、正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60~95質量部とし、導電材の含有量を1~20質量部とし、結着剤の含有量を1~20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレスなどにより加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断などをして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、前記例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製に当たって、導電材としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛および膨張黒鉛など)や、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料を用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂およびポリアクリル酸を用いることができる。
必要に応じ、正極活物質、導電材および活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N-メチル-2-ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(負極)
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛およびフェノール樹脂などの有機化合物焼成体、およびコークスなどの炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDFなどの含フッ素樹脂を用いることができ、これらの活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。
(セパレータ)
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(非水系電解液)
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびトリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランおよびジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホンやブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチルやリン酸トリオクチルなどのリン化合物などから選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO22、およびそれらの複合塩などを用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤などを含んでいてもよい。
(電池の形状、構成)
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(特性)
本実施形態の二次電池は、例えば、評価用ラミネート型電池を用いた長期安定性評価において、負極へのタングステン(W)の溶出量が、リチウム金属複合酸化物中のタングステン含有量に対して、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下である。タングステン(W)の溶出量が上記範囲である場合、二次電池中のタングステンを含む正極活物質は、長期間安定性して、電池容量や出力特性の向上という効果を発揮することができる。
なお、上記評価用ラミネート型電池は、リチウム金属複合酸化物10からなる正極活物質、導電材、及びバインダー樹脂を備える正極と、セパレータと、カーボンを用いた負極とを、この順で積層した構造を有することができ、例えば、実施例に記載のラミネート型電池(図6参照)を用いることができる。また、長期間安定性は、評価用ラミネート型電池を温度60℃にて、2Cのレートで4.1VまでCC充電し、10分間休止した後、同じレートで3.0VまでCC放電し、10分間休止する、という充放電サイクルを500サイクル繰り返した後、負極へのタングステンの溶出量を測定することにより評価する。
本実施形態の二次電池の製造方法では、、電池容量及び出力特性に長期間安定して優れる非水系電解質二次電池用正極活物質を、工業的な規模で得ることができる。得られた非水系電解質二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話端末など)の電源として好適に用いることができる。
また、本発明の非水系電解質二次電池は、従来のリチウムコバルト系酸化物あるいはリチウムニッケル系酸化物の正極活物質を用いた電池との比較においても熱安定性が高く、安全性においても優れており、かつ、電池容量及び出力特性に長期間安定して優れる。そのため、二次電池の小型化、高出力化が可能であり、搭載スペースに制約を受ける電気自動車用電源として好適に用いることができる。
なお、本実施形態の非水系電解質二次電池は、純粋に電気エネルギーで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車用の電源としても用いることができる。
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における正極活物質に含有される金属の分析方法及び評価方法は、以下の通りである。
(1)組成の分析:ICP発光分析法で測定した。
(2)平均粒径、および〔(d90-d10)/平均粒径〕:
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)により行なった。
(3)元素分布:
元素分布は、エネルギー分散X線分光装置(EDX;日本電子株式会社社製、商品名:JED2300)、により分析した。EDX検出器は、分解能:137eVであり、測定条件は、管電圧20kV、管電流20μA、倍率5000倍、WD15mm、プロセスタイム4,計数400万カウント以上とした。
(4)初期放電容量:
初期放電容量は、図4に示すコイン型電池CBAを用いて評価した。以下、コイン型電池CBAの作製方法について説明する。
[コイン型電池の作製]
得られた正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形し、図4に示す正極(評価用電極)PEを作製した。作製した正極PEを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した後、この正極PEを用いて2032型コイン電池を、露点が-80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。負極NEには、直径17mm厚さ1mmのリチウム(Li)金属を用い、電解液には、1MのLiClOを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。セパレータSE1には膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。また、コイン電池CBAは、ガスケットGAとウェーブワッシャーWWを有し、正極缶PCと負極缶NCとでコイン状の電池に組み立てた。
[評価方法]
初期放電容量は、上記コイン型電池CBAを作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(open circuit voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cmとしてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量とした。放電容量の測定には,マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
(5)反応抵抗(正極抵抗):
反応抵抗は、測定温度(25℃)に温度調節したコイン型電池CBAを充電電位4.1Vで充電して、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用して交流インピーダンス法により測定すると、図5に示すナイキストプロットが得られる。このナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、および、正極抵抗とその容量を示す特性曲線の和として表しているため、このナイキストプロットに基づき等価回路を用いてフィッティング計算を行い、正極抵抗の値を算出した。
(6)サイクル特性:
電池の長期安定性の指標となるサイクル特性(容量維持率)及びタングステン溶出量は、図6に示すラミネート型電池LBAを用いて評価した。以下、ラミネート型電池LBAの製造方法について説明する。
[ラミネート型電池の作製方法]
ラミネート型電池LBAの製造は、まず、アルミニウム製集電箔(厚さ0.02mm)に、正極活物質と導電材(アセチレンブラック)と結着剤(PVDF)を85:10:5の質量比で混合した後、溶剤(NMP)を加え正極活物質をペースト化し、外部と接続する導電部を残して塗布し、乾燥させ、正極活物質の目付が7mg/cmの正極活物質層が形成された正極シートPSを作製した。また、銅製集電箔(厚さ0.02mm)に負極活物質としてカーボン(アセチレンブラック)をペースト化し、同様にして負極活物質の目付が5mg/cmの負極活物質層が形成された負極シートNSを作製した。作製された正極シートPSおよび負極シートNSの間に、ポリプロピレン製微多孔膜(厚さ20.7μm、空孔率密度43.9%)からなるセパレータSE2を介挿して積層シートを形成した。そして、この積層シートを2枚のアルミラミネートシートAS(厚さ0.05mm)によって挟み、アルミラミネートシートASの3辺を熱融着して密封し、図6に示すような構成のラミネート型電池LBAを組み立てた。
その後、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒(容量比3:3:4)にLiPF(1mol/L)とシクロヘキシルベンゼン(2wt%)を溶解した宇部興産製の電解液を260μl注入し、残りの一辺を熱融着して、図6に示すようなラミネート型電池LBAを作製した。作製されたラミネート型電池LBAは、縦60mm、幅90mmとなった。
[評価方法]
上記ラミネート型電池LBAを作製し、温度60℃にて、2Cのレートで4.1VまでCC充電し、10分間休止した後、同じレートで3.0VまでCC放電し、10分間休止する、という充放電サイクルを500サイクル繰り返した。
上述した充放電試験を繰り返し、初期放電容量に対する、500回目の放電容量を測定することで、500サイクルの容量維持率を算出した。
(7)タングステン溶出量測定:
上述したサイクル特性評価試験後のラミネート型電池LBAを解体し、得られた負極の組成を分析しタングステン量を測定することで、添加量に対する溶出量を算出した。
(実施例1)
(晶析工程)
まず、反応槽(60L)内に水を半分の量まで入れて大気雰囲気中で撹拌しながら、槽内温度を40℃に設定し、そこへ25質量%水酸化ナトリウム水溶液と25質量%アンモニア水を適量加えて、槽内の液のpH値を、液温25℃基準で12.8に、液中のアンモニア濃度を10g/Lに調節した。ここに、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンの2.0mol/Lの混合水溶液(金属元素モル比でNi:Co:Mn=38:32:30)を130ml/分の割合で加えて反応水溶液とした。同時に、25質量%アンモニア水および25質量%水酸化ナトリウム水溶液を一定速度で加えていき、pH値を12.8(核生成pH)に制御しながら2分30秒間晶析を行った。その後、窒素ガスを流通させ反応槽内の酸素濃度を2容量%以下まで低下させながら、pH値が液温25℃基準で11.6(核成長pH)になるまで、25質量%水酸化ナトリウム水溶液の供給のみを一時停止し、pH値が11.6に到達した後、再度25質量%水酸化ナトリウム水溶液の供給を再開し、加えてタングステン酸ナトリウム水溶液を添加量に合わせて調整し供給を開始した。pH値を11.6に制御したまま、4時間晶析を継続し、晶析を終了させた。晶析の終了後、生成物を水洗、濾過、乾燥させ、Ni0.38Co0.32Mn0.300.03(OH)2+α(0≦α≦0.5)で表されるタングステンを含むニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得た。
(リチウム混合工程、焼成工程)
得られた複合水酸化物粒子と、Li/Me=1.07となるように秤量した炭酸リチウムを、シェーカーミキサー装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、リチウム混合物を得た。このリチウム混合物を空気(酸素:21容量%)気流中にて600℃から2℃/分の昇温速度で800℃まで昇温し、その温度で10時間保持して焼成し、その後、解砕してリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子を得た。得られた正極活物質の平均粒径、および〔(d90-d10)/平均粒径〕値を表1に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布をEDXにより分析したところ、図7に示すように、タングステンは粒子内に均一に分布していることが確認された。
(電池特性の評価)
得られた正極活物質を用いて、上記の電池特性を評価し、その評価結果を表1に示す。
(実施例2)
正極活物質を示す一般式:Li1+sNiCoMnにおいて、t=0.02とした以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、タングステンは粒子内に均一に分布していることが確認された。
(実施例3)
正極活物質を示す一般式:Li1+sNiCoMnにおいて、t=0.05とした以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、タングステンは粒子内に均一に分布していることが確認された。
(実施例4)
焼成温度を820℃としたこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、タングステンは粒子内に均一に分布していることが確認された。
(実施例5)
焼成温度を880℃としたこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、タングステンは粒子内に均一に分布していることが確認された。
(比較例1)
タングステンを添加しない以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。
(比較例2)
焼成温度を780℃としたこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、タングステンは粒子内に均一に分布していることが確認された。
(比較例3)
焼成温度を930℃としたこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、図8に示すように、粒子表面にタングステンの濃い部分が存在することが確認された。
(比較例4)
600℃からの昇温速度を3℃/分に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、粒子表面にタングステンの濃い部分が存在することが確認された。
(比較例5)
正極活物質を示す一般式:Li1+sNiCoMnにおいて、t=0.01とした以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、粒子表面にタングステンの濃い部分が存在することが確認された。
(比較例6)
正極活物質を示す一般式:Li1+sNiCoMnにおいて、t=0.06とした以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面の元素分布を測定したところ、粒子表面にタングステンの濃い部分が存在することが確認された。
(評価結果)
実施例で得られた正極活物質は、初期放電容量が165mAh/g以上、反応抵抗値が1.1Ω/cm以下、500サイクル後の容量維持率が77%以上であり、タングステン(W)を含有しない比較例1と比較して、高い電池容量を有し、かつ、出力特性及びサイクル特性に優れる。また、実施例で得られた正極活物質は、タングステン(W)が二次粒子内部に偏在することなく、均一に存在することが確認され、サイクル特性評価試験後の負極へのタングステン(W)の溶出量は、正極活物質中のタングステン含有量に対して、20質量%以下であった。
一方、焼成温度が低い比較例2の正極活物質では、タングステンを添加してるものの反応抵抗が低減されず、電池容量が低い。これは、層状化合物の結晶構造が十分に整わず電池特性が低くなったためであると考えられる。一方、熱処理温度が高い比較例3の正極活物質では、サイクル特性評価試験後の負極へのタングステン溶出量が多く、長期安定性が低下している。
また、焼成工程における、600℃から焼成温度に達するまでの昇温速度が3℃/分である比較例4の正極活物質では、タングステンが粒子表面に偏在し、反応抵抗は低減するものの、タングステンの負極への溶出量が多く長期安定性が低下している。また、タングステンの添加量が少ない比較例5の正極活物質では、反応抵抗の低減の効果が小さい。また、タングステン添加量が多い比較例6では、電池容量が低下し、かつ、タングステンの負極への溶出量が多く長期安定性が低下している。
以上の結果から、適正な焼成温度と添加量とを少なくとも設定することで良好な出力特性と長期安定性とを両立した正極活物質が得られることがわかる。
Figure 2022046655000002
10…リチウム金属複合酸化物
1…一次粒子
2…二次粒子
3…空隙
4…タングステンが偏在する領域
CBA…コイン型電池
PE…正極(評価用電極)
NE…負極
SE1…セパレータ
GA…ガスケット
WW…ウェーブワッシャー
PC…正極缶
NC…負極缶
LBA…ラミネート型電池
PS…正極シート
NS…負極シート
SE2…セパレータ
AS…アルミラミネートシート

Claims (5)

  1. 層状結晶構造を有する六方晶系リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含む、非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
    前記リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物は、リチウム(Li)と、コバルト(Co)と、ニッケル(Ni)と、マンガン(Mn)と、タングステン(W)を含み、各元素のモル比が、Li:Ni:Co:Mn:W=1+s:x:y:z:t(ただし、0≦s≦0.20、x+y+z=1、0.3≦x≦0.5、0.3≦y≦0.5、0.3≦z≦0.5、0.02≦t≦0.05)で表され、
    前記リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物は、一次粒子が凝集して構成される二次粒子を含み、該二次粒子内部にタングステン(W)が均一に存在し、
    下記の方法で行う前記正極活物質の長期安定性評価における負極へのタングステンの溶出量が、前記リチウムニッケルコバルトマンガン金属複合酸化物中のタングステン含有量に対して、20質量%以下である、非水系電解質二次電池用正極活物質。
    (長期安定性の評価方法)
    前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質、導電材、及びバインダー樹脂を備える正極と、セパレータと、負極にカーボンを用いたラミネート型電池を作製し、温度60℃にて、2Cのレートで4.1VまでCC充電し、10分間休止した後、同じレートで3.0VまでCC放電し、10分間休止する、という充放電サイクルを500サイクル繰り返した後、負極へのタングステンの溶出量を測定する。
  2. 前記二次粒子の平均粒径が3μm以上20μm以下である請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記一次粒子の平均粒径が0.2μm以上0.5μm以下である請求項1又は2のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記二次粒子の粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕が0.60以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  5. 正極と、負極と、セパレータと、非水系電解質とを備え、前記正極の正極材料として、請求項1~4のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた、非水電解質二次電池。


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