JP2018159032A - エポキシ粘性剤およびカチオン電着塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
エポキシ粘性剤(A)の製造方法であって、下記工程:
ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物とを反応させて、アミン変性エポキシ樹脂を得る、アミン変性工程、
得られたアミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の一部または全てを酸で中和し、水溶媒中に分散させる、酸中和および分散工程、および
得られた分散物と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを混合して反応させて、エポキシ粘性剤(A)を得る、反応工程、
を包含し、
上記アミン化合物はケチミン誘導体を含み、ここで、ケチミン誘導体のモル%は、アミン化合物全モル量に対して、40〜100モル%であり、
上記酸中和および分散工程における酸中和率は、30〜100%の範囲内であり、
上記反応工程で反応させるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、上記ケチミン誘導体1モルに対して0.5〜4.0モルであり、
上記エポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内である、
エポキシ粘性剤(A)の製造方法。
[2]
上記酸中和および分散工程で用いられる酸が酢酸である、製造方法。
[3]
上記アミン変性工程でアミン化合物と反応させるエポキシ樹脂は、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、多環式フェノール化合物およびポリプロピレンオキシド基含有エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂であり、
上記エポキシ樹脂100質量部中に含まれるポリプロピレンオキシド基含有エポキシ樹脂の量は、1〜40質量部である、
製造方法。
[4]
上記酸中和および分散工程において、上記水溶媒が、4級アンモニウム基含有エポキシ樹脂および3級スルホニウム基含有エポキシ樹脂からなる群から選択される1種またはそれ以上を含む樹脂分散剤を含み、
上記樹脂分散剤の量は、アミン変性エポキシ樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜20質量部の範囲内である、
製造方法。
[5]
上記製造方法によって製造されるエポキシ粘性剤(A)であって、
上記エポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内であり、
上記エポキシ粘性剤(A)はアミノ基を有し、上記アミノ基の30〜100%は酢酸中和されている、
エポキシ粘性剤(A)。
[6]
カチオン電着塗料組成物の製造方法であって、
アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む樹脂エマルションと、[1]〜[4]いずれかに記載の製造方法によって製造されたエポキシ粘性剤(A)とを混合する工程を包含し、
上記カチオン電着塗料組成物中に含まれるエポキシ粘性剤(A)の量は、上記樹脂エマルションの樹脂固形分およびエポキシ粘性剤(A)の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜15質量部である、
カチオン電着塗料組成物の製造方法。
[7]
さらに、第3族元素化合物、亜鉛化合物およびビスマス化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素化合物(D)を混合する工程を包含し、
上記カチオン電着塗料組成物中に含まれる上記金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.001〜1質量%の範囲内である、
カチオン電着塗料組成物の製造方法。
[8]
アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む樹脂エマルション、および、エポキシ粘性剤(A)を含む、カチオン電着塗料組成物であって、
上記アミン化樹脂(B)は、数平均分子量が1,000〜5,000の範囲内であり、
上記エポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内であり、
上記カチオン電着塗料組成物中に含まれるエポキシ粘性剤(A)の量は、上記樹脂エマルションの樹脂固形分およびエポキシ粘性剤(A)の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜15質量部であり、および
上記エポキシ粘性剤(A)は、下記工程:
ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物とを反応させて、アミン変性エポキシ樹脂を得る、アミン変性工程、
得られたアミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の一部または全てを酸で中和し、水溶媒中に分散させる、酸中和および分散工程、および
得られた分散物と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを混合して反応させて、エポキシ粘性剤(A)を得る、反応工程、
によって調製され、ここで、
上記アミン化合物はケチミン誘導体を含み、ここで、ケチミン誘導体のモル%は、アミン化合物全モル量に対して、40〜100モル%であり、
上記酸中和および分散工程における酸中和率は、30〜100%の範囲内であり、
上記反応工程で反応させるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、上記ケチミン誘導体1モルに対して0.5〜4.0モルである、
カチオン電着塗料組成物。
[9]
上記エポキシ粘性剤(A)は、[1]〜[4]いずれかに記載の製造方法によって製造されるエポキシ粘性剤(A)である、上記カチオン電着塗料組成物。
[10]
上記カチオン電着塗料組成物は、さらに、第3族元素化合物、亜鉛化合物およびビスマス化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素化合物(D)を含み、上記カチオン電着塗料組成物中に含まれる上記金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.001〜1質量%の範囲内である、
カチオン電着塗料組成物。
まず、本発明に至った経緯を説明する。本発明者らは、上記特許文献2に記載されるカチオン性マイクロゲルを調製し、得られたカチオン性マイクロゲルを、粘性剤として、カチオン電着塗料組成物に含めた。こうして得られた、カチオン性マイクロゲルを含むカチオン電着塗料組成物を用いて、電着塗膜形成を行ったところ、電着塗膜の硬化性が低下することが確認された。本発明者らは、電着塗膜の硬化性の低下をもたらしたカチオン性マイクロゲルについて詳細に検討を行った。そして本発明者らは、得られたカチオン性マイクロゲルが低分子量エポキシ成分を一定量含むことを、実験により見いだした。カチオン性マイクロゲルが低分子量エポキシ成分を含むことによって、電着塗膜の硬化時にこれらの低分子量エポキシ成分が塗膜硬化性に悪影響を及ぼしたと考えられる。
本発明において、エポキシ粘性剤(A)は、下記工程:
ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物とを反応させて、アミン変性エポキシ樹脂を得る、アミン変性工程、
得られたアミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の一部または全てを酸で中和し、水溶媒中に分散させる、酸中和および分散工程、および
得られた分散物と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを混合して反応させて、エポキシ粘性剤(A)を得る、反応工程、
を包含する方法によって、製造することができる。ここで、上記アミン化合物はケチミン誘導体を含み、ここで、ケチミン誘導体のモル%は、アミン化合物全モル量に対して、40〜100モル%であること、そして上記酸中和および分散工程における酸中和率は30〜100%の範囲内であること、また、上記反応工程で反応させるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、上記ケチミン誘導体1モルに対して0.5〜4.0モルであること、を特徴とする。
また、上記より得られるエポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内であることを特徴とする。
アミン変性工程は、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物とを反応させて、アミン変性エポキシ樹脂を得る工程である。アミン変性工程で用いられるエポキシ樹脂は、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を少なくとも含む。本明細書において「ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂」とは、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物が反応(鎖延長反応)した状態を含む。このアミン変性工程において、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物が反応(鎖延長反応)したエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を鎖延長反応させる反応条件は、用いる攪拌装置および反応スケールなどに応じて適宜選択することができる。反応条件として、例えば85〜180℃で0.1〜8時間、より好ましくは100〜150℃で2〜8時間反応させる条件などが挙げられる。用いる攪拌装置として、塗料分野において一般的に用いられる撹拌装置を用いることができる。
ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例として、上記多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物である、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
酸中和および分散工程は、アミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の一部または全てを酸で中和し、水溶媒中に分散させる工程である。本発明では、この酸中和および分散工程において、アミン変性エポキシが有するアミノ基の酸中和率が30〜100%である。ここで酸中和率は、アミン変性エポキシ樹脂のアミノ基の全個数に対する、酸で中和されたアミノ基の個数の百分率を意味する。アミノ基の酸中和率が30%未満である場合は、エポキシ粘性剤の調製において、反応生成物の凝集が生じるおそれがある。また、中和率が上記範囲であることによって、カチオン電着塗料組成物中にエポキシ粘性剤(A)を加える際において、カチオン電着塗料組成物の電導度に悪影響を及ぼすことを回避することができる。中和率が上記範囲であることによって、さらに、塗装作業性などに悪影響を与えることなく、エッジ部防錆性能に直接関与する塗膜粘度を有効に上げることができる利点がある。
反応工程は、分散工程で得られた分散物と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを混合して反応させて、エポキシ粘性剤(A)を得る工程である。この反応工程で用いられるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、上記アミン変性工程で用いられたポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂に対して、追加的に用いられる樹脂である。この反応工程では、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を追加的に反応させる。この反応工程では、ケチミン誘導体が有するブロック剤が脱ブロック化して再生した1級アミノ基などのアミノ基と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とが反応し、高分子化する。そしてこの反応によって、得られるエポキシ粘性剤の数平均分子量が100,000を超える程度に大きくなる。
なお本明細書において、エポキシ粘性剤(A)の平均粒子径は、体積平均粒子径である。樹脂エマルションの体積平均粒子径は、レーザー光散乱法によって測定することができる。樹脂エマルションの平均粒子径の測定に用いることができる機器として、例えば、レーザードップラー式粒度分析計である、マイクロトラックUPA150(日機装社製)などが挙げられる。本発明の製造方法によって、数平均分子量が上記範囲のように非常に大きい場合であっても、平均粒子径が1〜200nmであるエポキシ粘性剤の製造が可能となる利点がある。
装置:alliance 2695 Separations Module
カラム:東ソー TSK gel ALPHA-M
流速:0.05ml/min
検出器:alliance 2414 Refractive Index Detector
移動層:N,N’−ジメチルホルムアミド
標準サンプル:TSK STANDARD POLYSTYRENE(東ソー社製)、A−500、A−2500、F−1、F−4、F−20、F−80、F−700、1−フェニルヘキサン(アルドリッチ社製)
本発明はまた、アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む樹脂エマルション、そして、上記エポキシ粘性剤(A)を含む、カチオン電着塗料組成物を提供する。上記アミン化樹脂(B)は、数平均分子量が1,000〜5,000の範囲内であるのが好ましい。また、カチオン電着塗料組成物中に含まれるエポキシ粘性剤(A)の量は、樹脂エマルションの樹脂固形分およびエポキシ粘性剤(A)の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜15質量部である。
上記樹脂エマルションは、アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む。樹脂エマルションは、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。
アミン化樹脂(B)は電着塗膜を構成する塗膜形成樹脂である。アミン化樹脂(B)として、エポキシ樹脂骨格中のオキシラン環を、アミン化合物で変性して得られるアミン変性エポキシ樹脂が好ましい。一般にアミン変性エポキシ樹脂は、出発原料樹脂分子内のオキシラン環を、1級アミン、2級アミンあるいは3級アミンおよび/またはその酸塩などのアミン化合物との反応によって開環して調製される。出発原料樹脂の典型例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。また他の出発原料樹脂の例として、特開平5−306327号公報に記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物、またはジイソシアネート化合物のイソシアネート基をメタノール、エタノールなどの低級アルコールでブロックして得られたビスウレタン化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって調製することができる。
ブロックイソシアネート硬化剤(C)(以下、単に「硬化剤(C)」ということがある)は、電着塗膜を構成する塗膜形成樹脂である。ブロックイソシアネート硬化剤(C)は、ポリイソシアネートを、封止剤でブロック化することによって調製することができる。
樹脂エマルションは、アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)それぞれを、有機溶媒中に溶解させて、溶液を調製し、これらの溶液を混合した後、中和酸を用いて中和することにより、調製することができる。中和酸として、例えば、メタンスルホン酸、スルファミン酸、乳酸、ジメチロールプロピオン酸、ギ酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。本発明においては、アミン化樹脂(B)および硬化剤(C)を含む樹脂エマルションを、ギ酸、酢酸および乳酸からなる群から選択される1種またはそれ以上の酸によって中和するのがより好ましい。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、第3族元素化合物、亜鉛化合物およびビスマス化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素化合物(D)を含むのが好ましい。カチオン電着塗料組成物中に金属元素化合物(D)が含まれることによって、防錆性に優れた硬化電着塗膜が得られることとなる。
・乳酸、グリコール酸などの、全炭素原子数2〜5、好ましくは2〜4のモノヒドロキシモノカルボン酸、特に脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸;
・ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、グリセリン酸などの、全炭素原子数3〜7、好ましくは3〜6のジヒドロキシモノカルボン酸、特に脂肪族ジヒドロキシモノカルボン酸。
スルホン酸は有機スルホン酸であり、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などの全炭素原子数1〜5、好ましくは1〜3のアルカンスルホン酸が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要に応じて顔料分散ペーストを含んでもよい。顔料分散ペーストは、電着塗料組成物中に任意に含まれる成分であり、一般に顔料分散樹脂および顔料を含む。
顔料分散樹脂は、顔料を分散させるための樹脂であり、水性媒体中に分散されて使用される。顔料分散樹脂として、4級アンモニウム基、3級スルホニウム基および1級アミノ基から選択される少なくとも1種またはそれ以上を有する変性エポキシ樹脂などの、カチオン基を有する顔料分散樹脂を用いることができる。顔料分散樹脂の具体例として、例えば4級アンモニウム基含有エポキシ樹脂、3級スルホニウム基含有エポキシ樹脂などが挙げられる。水性溶媒としてはイオン交換水または少量のアルコール類を含む水などを用いる。
顔料は、電着塗料組成物において一般的に用いられる顔料である。顔料として、例えば、通常使用される無機顔料および有機顔料、例えば、チタンホワイト(二酸化チタン)、カーボンブラックおよびベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム、およびリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料など、が挙げられる。
顔料分散ペーストは、顔料分散樹脂および顔料を混合して調製される。顔料分散ペースト中の顔料分散樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、顔料100質量部に対して樹脂固形分比で20〜100質量部となる量で用いることができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む樹脂エマルション、エポキシ粘性剤(A)、そして必要に応じた金属元素化合物(D)、顔料分散ペーストおよび添加剤などを、通常用いられる方法により混合することによって、調製することができる。ここで、カチオン電着塗料組成物中に含まれるエポキシ粘性剤(A)の量は、樹脂エマルションの樹脂固形分およびエポキシ粘性剤(A)の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜15質量部である。なお、必要に応じて用いられる金属元素化合物(D)は、顔料分散ペーストの調製時に顔料と共に予め分散させた状態としてもよい。
本発明のカチオン電着塗料組成物を用いて被塗物に対し電着塗装することによって、電着塗膜を形成することができる。本発明のカチオン電着塗料組成物を用いる電着塗装においては、被塗物を陰極とし、陽極との間に、電圧を印加する。これにより、電着塗膜が被塗物上に析出する。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA 388部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を140℃に保持し、エポキシ当量が800g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が120℃になるまで冷却した。
ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)258部、N−メチルエタノールアミン 21部およびジエチレントリアミン(DETA)45部の混合物(アミン化合物)を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン変性エポキシ樹脂を得た(アミン変性工程)。
アミン変性工程において用いたアミン化合物の全モル量に対するケチミン誘導体(ジエチレントリアミンジケチミン)のモル量は、50モル%であった。
90℃冷却後、イオン交換水および酢酸を、アミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の中和率が50%になるように加えて酸中和した。次いで、イオン交換水を加えて、固形分が20%になるように希釈分散した(酸中和および分散工程)。
その後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)188部(ケチミン誘導体1モルに対して1.4モルとなる量)加え、90℃で3時間反応させた。減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、固形分20%の、エポキシ粘性剤(A1)を得た(反応工程)。
装置:alliance 2695 Separations Module
カラム:東ソー TSK gel ALPHA-M
流速:0.05ml/min
検出器:alliance 2414 Refractive Index Detector
移動層:N,N’−ジメチルホルムアミド
標準サンプル:TSK STANDARD POLYSTYRENE(東ソー社製)、A−500、A−2500、F−1、F−4、F−20、F−80、F−700、1−フェニルヘキサン(アルドリッチ社製)
得られたエポキシ粘性剤(A1)の、GPCを用いて測定した数平均分子量測定データを用いて、分子量が100,000以上であるピークのピーク面積(N1)および分子量が100,000未満であるピークのピーク面積(N2)を求めて、下記式より、高分子率を求めた。この高分子率は、40%以上であれば、十分に高分子化していると判断できる。上記高分子率は、50%以上であるのがより好ましい。
高分子率(%) = N1/(N1+(N2))×100
酸中和において、酢酸を、アミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の中和が35%になるように加えたこと、および、分散工程において、4級アンモニウム基含有エポキシ樹脂を265部加えて分散させたこと以外は、製造実施例1と同様にして、エポキシ粘性剤(A2)を製造した。
4級アンモニウム基含有エポキシ樹脂として、以下に記載の「カチオン電着塗料組成物の製造」の製造例1で調製した4級アンモニウム基を有するエポキシ樹脂を用いた。
数平均分子量:1,000,000
平均粒子径:30nm
高分子率:70%
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)750部、ビスフェノールA 388部、ポリプロピレンオキシド基含有エポキシ樹脂 190部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を140℃に保持し、エポキシ当量が800g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が120℃になるまで冷却した。
ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)258部、N−メチルエタノールアミン 21部およびジエチレントリアミン(DETA)45部の混合物(アミン化合物)を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン変性エポキシ樹脂を得た(アミン変性工程)。アミン変性工程において用いたアミン化合物の全モル量に対するケチミン誘導体(ジエチレントリアミンジケチミン)のモル量は、50モル%であった。
得られたアミン変性エポキシ樹脂を用いて、製造実施例1と同様にして、酸中和および分散工程、反応工程を行い、エポキシ粘性剤(A3)を製造した。
数平均分子量:800,000
平均粒子径:50nm
高分子率:40%
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)940部、オクチル酸477部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を140℃に保持し、エポキシ当量が800g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が120℃になるまで冷却した。
ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)199部、N−メチルエタノールアミン 23部およびジエチレントリアミン(DETA)48部の混合物(アミン化合物)を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン変性エポキシ樹脂を得た(アミン変性工程)。
アミン変性工程において用いたアミン化合物の全モル量に対するケチミン誘導体(ジエチレントリアミンジケチミン)のモル量は、50モル%であった。
90℃冷却後、イオン交換水および酢酸を、アミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の中和率が50%になるように加えて酸中和した。次いで、イオン交換水を加えて、固形分が20%になるように希釈分散した(酸中和および分散工程)。
その後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)188部(ケチミン誘導体1モルに対して1.4モルとなる量)加え、90℃で3時間反応させた。減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、固形分20%の、エポキシ粘性剤(A4)を得た(反応工程)。
数平均分子量:10,000
平均粒子径:10nm
高分子率:0%
アミン変性工程において、ジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)155部、N−メチルエタノールアミン(MMA)43部およびジエチレントリアミン(DETA)45部の混合物を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン変性エポキシ樹脂を得たこと以外は、製造実施例1と同様にして、エポキシ粘性剤(A5)を製造した。
アミン変性工程において用いたアミン化合物の全モル量に対するケチミン誘導体(ジエチレントリアミンジケチミン)のモル量は、30モル%であった。
得られたエポキシ粘性剤(A5)の数平均分子量、平均粒子径、高分子率を、製造実施例1と同様にして測定したところ、以下の通りであった。
数平均分子量:800,000
平均粒子径:30nm
高分子率:40%
酸中和において、酢酸を、アミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の中和が18%になるように加えたこと以外は、製造実施例1と同様にして、エポキシ粘性剤(A6)を製造した。
得られたエポキシ粘性剤(A6)の数平均分子量、平均粒子径、高分子率を、製造実施例1と同様にして測定したところ、以下の通りであった。
数平均分子量:1,000,000
平均粒子径:300nm
高分子率:85%
反応工程で加えるビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)の量を、564部(前記ケチミン誘導体1モルに対して4.2モルとなる量)に変更したこと以外は、製造実施例1と同様にして、エポキシ粘性剤(A7)を製造した。
この製造比較例4により得られたエポキシ粘性剤(A7)は、一部が沈降していることが確認された。エポキシ粘性剤(A7)は沈降物が生成しているため、製造後にろ過する必要があり、製造作業性および製造効率が劣ることが確認された。生じた沈降物は、反応によって生成した超高分子化物と考えられる。
得られたエポキシ粘性剤(A7)の数平均分子量、平均粒子径、高分子率を、製造実施例1と同様にして測定したところ、以下の通りであった。なお、以下の数平均分子量は、上記沈降物を除いた状態で測定した値である。
数平均分子量:1,000,000
平均粒子径:90nm
高分子率:80%
製造比較例5は、特開平7−268063号公報に記載の実施例Aを参考にした製造比較例である。なおこの製造比較例において、特開平7−268063号公報における「EPON828」の代わりに、エポキシ当量および分子量が同程度であるDER−331Jを用いて製造した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)1023 部、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物 365部、ビスフェノールA 297 部およびメチルイソブチルケトン 88.7 部を反応容器に入れ、窒素雰囲気下で140℃まで加熱した。
ベンジルジメチルアミンの第一の部分 1.4部を加え、反応混合物を約185℃まで発熱するままに放置し、存在する水を共沸的に取り除くために還流した。反応混合物を160℃まで冷却し、30分間保持し、さらに145℃まで冷却し、ベンジルジメチルアミンの第二の部分 4.2部を加えた。
Gardner−Holdt粘度(2−メトキシプロパノールにおいて50%樹脂固形分)がO−Pに減少するまで、反応を145℃で保温した。この時点で、反応混合物を125℃まで冷却し、ジケチミンであるジエチレントリアミン 131部とN−メチルエタノールアミン 85.2部とを連続して加えた。アミン化合物の全モル量に対するジケチミンのモル量は30モル%であった。
混合物は140℃まで発熱し、これを125℃まで冷却し、1時間この温度に保った。
1時間後に、乳酸と第一の部分の脱イオン水から成る水性媒体中に樹脂を分散した。分散体を次いで脱イオン水の第二の部分でさらに薄め、31質量%の含量の固形分を有し、粒子の大きさが30nmのカチオン性のエポキシ石鹸を得た。
合成したカチオン性エポキシ石鹸 2258.1部、脱イオン水 1510.8部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製) 71.7部、メチルイソブチルケトン 17.9部、脱イオン水 598.7部、カチオン性エポキシ石鹸および脱イオン水の第一の部分を反応容器に入れ、窒素雰囲気下少なくとも5分間混合を達成するために攪拌した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトンの溶液として攪拌を続けながら容器に加え、生じた混合物を90℃まで加熱し、3時間保温した。
保温終了時に、反応混合物を脱イオン水の第二の部分で希釈し、60℃まで冷却する間バキュームストリップした。留出物の170部の全量を集めるまでこの温度でストリッピングを続け、エポキシ粘性剤(A8)を得た。
数平均分子量:1,000,000
平均粒子径:90nm
高分子率:40%
製造例1 顔料分散樹脂の製造
2−エチルヘキサノールハーフブロック化イソホロンジイソシアネートの調製
攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)222.0部を入れ、メチルイソブチルケトン(MIBK)39.1部で希釈した後、ここヘジブチル錫ジラウレート0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰囲気で2時間かけて滴下し、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(固形分90.0質量%)を得た。
4級化剤の調製
反応容器に、ジメチルエタノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6部およびエチレングリコールモノn−ブチルエーテル39.2部を順に加え、65℃で30分攪拌して4級化剤を調製した。
顔料分散樹脂の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)710.0部とビスフェノールA289.6部とを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃で1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。反応混合物を110〜120℃で1時間撹拌し、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル463.4部を加え、混合物を85〜95℃に冷却し、先に調製した4級化剤196.7部を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜95℃に保持した後、脱イオン水964部を加えて、目的とする、4級アンモニウム基を有するエポキシ樹脂(顔料分散樹脂)を得た(固形分50質量%)。
メチルイソブチルケトン92部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA382部、オクチル酸63部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を140℃に保持し、エポキシ当量が1110g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が120℃になるまで冷却した。ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73質量%のメチルイソブチルケトン溶液)78部とジエタノールアミン92部の混合物を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂)を得た。この樹脂の数平均分子量は2,560、アミン価は50mgKOH/g(うち1級アミンに由来するアミン価は14mgKOH/g)、水酸基価は240mgKOH/gであった。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)1680部およびMIBK732部を反応容器に仕込み、これを60℃まで加熱した。ここに、トリメチロールプロパン346部をMEKオキシム1067部に溶解させたものを60℃で2時間かけて滴下した。さらに75℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK27部を加えて固形分が78質量%のブロックイソシアネート硬化剤(C−1)を得た。イソシアネート基価は252mgKOH/gであった。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート1340部およびMIBK277部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK349部を加えてブロックイソシアネート硬化剤(C−2)を得た(固形分80質量%)。イソシアネート基価は251mgKOH/gであった。
製造例2で得られたアミン化樹脂(B)350部(固形分)と、製造例3−1で得られたブロックイソシアネート硬化剤(C−1)75部(固形分)および製造例3−2で得られたブロックイソシアネート硬化剤(C−2)75部(固形分)とを混合し、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%(15部)になるように添加した。次に、ギ酸を添加量が樹脂中和率40%相当分になるように加えて中和し、イオン交換水を加えてゆっくり希釈し、次いで固形分が40%になるように減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、樹脂エマルションを得た。
カチオン電着塗料組成物の調製
イオン交換水110.1部に、製造例1で得られた顔料分散樹脂を56.7質量部加え、室温で1時間、1000rpmにて攪拌した。その後、顔料であるカーボンブラック8部、サテントン(焼成カオリン)86.6部を加え、次いで、サンドミルを用いて40℃で1時間、2000rpmにて撹拌し、固形分濃度47質量%の顔料ペーストが得られた。
ステンレス容器に、イオン交換水1997部、製造例4の樹脂エマルション 1539部および上記で調製した顔料ペースト436部、製造実施例1で得られたエポキシ粘性剤(A1)61部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として2質量%となる量)を加えて混合し、40℃で16時間エージングして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
製造実施例1で得られたエポキシ粘性剤(A1)の量を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
製造実施例1で得られたエポキシ粘性剤(A1)の量を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造実施例2で得られたエポキシ粘性剤(A2)を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
製造実施例2で得られたエポキシ粘性剤(A2)の量を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例4と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造実施例3で得られたエポキシ粘性剤(A3)の量を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
製造実施例3で得られたエポキシ粘性剤(A3)の量を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例6と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
イオン交換水116.6部に、製造例1で得られた顔料分散樹脂(固形分50質量%)60.0部と、金属元素化合物(D)である酸化ランタン 100部とを加えて、攪拌、混合物し、サンドミルを用いて40℃で1時間、2000rpmにて撹拌して、酸化ランタンペーストが得られた。得られた酸化ランタンペーストは、固形分濃度が47質量%であった。
他の容器中において、イオン交換水110.1部に、50%乳酸水溶液5.1部および酸化ビスマス6.5部を撹拌・混合した。ここに、製造例1で得られた顔料分散樹脂を56.7質量部加え、室温で1時間、1000rpmにて攪拌した。
ここで、製造例4で得られたアミン変性エポキシ樹脂エマルション7.1部、10%酒石酸水溶液1.4部を添加攪拌し、その後、顔料であるカーボンブラック8部、サテントン(焼成カオリン)86.6部を加え、次いで、上記より得られた、酸化ランタンペースト15.3部を加え、サンドミルを用いて40℃で1時間、2000rpmにて撹拌し、固形分濃度47質量%の顔料ペーストが得られた。
得られたカチオン電着塗料組成物中に含まれる金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.1質量%であった。
製造実施例1で得られたエポキシ粘性剤(A1)の量を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例8と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物中に含まれる金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.1質量%であった。
酸化ランタン100部の代わりに、酸化イットリウム100部を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物中に含まれる金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.1質量%であった。
酸化ランタン100部の代わりに、酸化イットリウム100部を用いたこと、および、製造実施例1で得られたエポキシ粘性剤(A1)の量を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例8と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物中に含まれる金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.1質量%であった。
酸化ランタン100部の代わりに、酸化ネオジム100部を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物中に含まれる金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.1質量%であった。
酸化ランタン100部の代わりに、酸化ネオジム100部を用いたこと、および、製造実施例1で得られたエポキシ粘性剤(A1)の量を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例8と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物中に含まれる金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.1質量%であった。
エポキシ粘性剤として、製造比較例1で得られたエポキシ粘性剤(A4)を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例1で得られたエポキシ粘性剤(A4)を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例2で得られたエポキシ粘性剤(A5)を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例2で得られたエポキシ粘性剤(A5)を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例3で得られたエポキシ粘性剤(A6)を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例3で得られたエポキシ粘性剤(A6)を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例4で得られたエポキシ粘性剤(A7)を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例4で得られたエポキシ粘性剤(A7)を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例5で得られたエポキシ粘性剤(A8)を183部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤として、製造比較例5で得られたエポキシ粘性剤(A8)を458部(樹脂エマルションの樹脂固形分とエポキシ粘性剤の樹脂固形分の合計に対して、樹脂固形分として15質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
エポキシ粘性剤の代わりに、アクリルマイクロゲルであるPZW−1010(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)を97部(樹脂エマルションの樹脂固形分とアクリルマイクロゲルの樹脂固形分の合計量に対して、樹脂固形分として6質量%となる量)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
用いたアクリルマイクロゲルの平均粒子径および高分子率について、製造実施例1と同様にして測定したところ、平均粒子径は50nmであり、高分子率は100%であった。
アクリルマイクロゲルであるPZW−1010(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)の量を194部(樹脂エマルションの樹脂固形分とアクリルマイクロゲルの樹脂固形分の合計量に対して、樹脂固形分として12質量%となる量)用いたこと以外は、比較例11と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
冷延鋼板(JIS G3141、SPCC−SD)を、サーフクリーナーEC90(日本ペイント・サーフケミカルズ社製)中に50℃で2分間浸漬して、脱脂処理した。次にサーフファインGL1(日本ペイント・サーフケミカルズ社製)に常温30秒浸漬し、次いでサーフダインEC3200(日本ペイント・サーフケミカルズ社製、ジルコニウム化成処理剤)に35℃で2分間浸漬した。その後、脱イオン水による水洗を行った。
上記で得られたカチオン電着塗料組成物に、硬化後の電着塗膜の膜厚が20μmとなるように2−エチルヘキシルグリコールを必要量添加した。
その後、電着塗料組成物に鋼板を全て埋没させた後、直ちに電圧の印加を開始し、30秒間昇圧し180Vに達してから150秒間保持する条件で電圧を印加して、被塗物(冷延鋼板)上に未硬化の電着塗膜を析出させた。得られた未硬化の電着塗膜を、160℃で15分間加熱硬化させて、膜厚20μmの硬化電着塗膜を有する電着塗装板を得た。
上記より得られた硬化電着塗膜の表面粗度を、JIS−B0601に準拠し、評価型表面粗さ測定機(Mitsutoyo社製、SURFTEST SJ−201P)を用いて、粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)を測定した。2.5mm幅カットオフ(区画数5)を入れたサンプルを用いて7回測定し、上下消去平均によりRa値を得た。このRa値が小さい程、凹凸が少なく、塗膜外観が良好であるといえる。
各実施例および比較例のカチオン電着塗料組成物を、上記と同様に電着塗装し、160℃で10分間加熱硬化させて、膜厚20μmの硬化電着塗膜(評価用)を得た。
上記とは別に、各実施例および比較例と同様の手順であって、但しエポキシ粘性剤(実施例および比較例1〜10)そしてアクリルマイクロゲル(比較例11、12)のいずれも含まない、基準用のカチオン電着塗料組成物を別途調製した。次いでこの基準用カチオン電着塗料組成物を、上記と同様に電着塗装し、160℃で10分間加熱硬化させて、膜厚20μmの硬化電着塗膜(基準用)を得た。
得られた電着塗膜を、アセトンに浸漬し、56℃で6時間加熱還流させた。還流後の電着塗膜を乾燥させ、アセトン浸漬前後での塗膜質量から、下記式より塗膜残存率および低下率を求めた。低下率が大きいほど、エポキシ粘性剤またはアクリルマイクロゲルに由来する電着塗膜硬化性能の低下が大きいということができる。本発明においては、低下率が0%であるものを合格とする。
評価用硬化電着塗膜の塗膜残存率(R1)=Y1/X1
X1=アセトン浸漬前の塗膜質量
Y1=アセトン浸漬後の塗膜質量。
基準用硬化電着塗膜の塗膜残存率(R2)=Y2/X2
X2=アセトン浸漬前の塗膜質量
Y2=アセトン浸漬後の塗膜質量。
塗膜残存率の低下率
低下率=R2−R1
被塗物を#400ペーパーで水研し、水洗後、乾燥(110〜120℃×10〜20分程度)した。その後、上記「硬化電着塗膜の形成」に記載の条件と同様にして硬化電着塗膜を形成し、得られた硬化電着塗膜の塗面状態を観察した。下記評価において、○または△であるものを合格とする。
○:研ぎムラが観察されない
△:塗膜の半分以上に研ぎムラが観察される
×:塗膜全体に研ぎムラが観察される
電着塗装した未硬化塗膜上にアルミニウム製の小容器を配置し、その容器内に水と潤滑油とを入れて塗膜を焼き付けた。この際、加熱によりはじいた潤滑油によるはじき跡(突沸はじき跡)の発生の有無を調べ、下記基準により評価した。下記評価において、4以上であるものを合格とする。
評価基準
5 :はじき跡がほとんど観察されない
4.5:はじき跡が1〜3個
4 :はじき跡が4〜5個
3 :はじき跡が6〜10個
2.5:はじき跡が11〜15個
2 :はじき跡が16〜20個
1 :塗膜全体にはじき跡が観察される
被塗物を、冷延鋼板(JIS G3141、SPCC−SD)からL型専用替刃(LB10K:オルファ株式会社製、長さ100mm、幅18mm、厚さ0.5mm)に変更したこと以外は、上記と同様の手順で、脱脂処理、表面処理および化成処理などを行った。
次いで上記硬化電着塗膜(1)の形成と同様の手順で硬化電着塗膜を設けて、エッジ部を有する被塗物(L型専用替刃)上に、膜厚20μmの硬化電着塗膜を設けて、試験片を得た。
この試験片に対して、JIS Z 2371(2000)に準拠した塩水噴霧試験(35℃×72時間)を行い、L型専用替刃先端部に発生した錆の個数を調べた。
なお、この試験において「L型専用替刃先端部」は、刃の頂点から替刃本体方向に対して5mmまでの幅を意味する。上記幅は、表面側および裏面側の両方を含み、表面裏面の合計では10mmの幅となる。この「L型専用替刃先端部」は、本明細書における「エッジ部」に相当する。
例えば、下記評価で、L型専用替刃先端部に発生した錆の個数が30個である場合は、L型専用替刃の長さが100mm(10cm)、L型専用替刃先端部の幅は表面裏面の合計で10mm(幅1cm)であるため、L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数は、
30個/10cm2=3個/cm2
となる。下記評価において、○△以上であるものを合格とする。
評価基準
◎ :錆の発生なし
○ :10個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、1個/cm2未満)
○△:10個以上30個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、1個/cm2以上3個/cm2未満)
△ :30個以上〜50個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、3個/cm2以上5個/cm2未満)
△×:50個以上〜100個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、5個/cm2以上10個/cm2未満)
× :100個以上
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、10個/cm2以上)
比較例1、2は、製造比較例1で得られたエポキシ粘性剤(A4)を含むカチオン電着塗料組成物に関する例である。比較例1、2のカチオン電着塗料組成物は、エッジ部防錆性が劣ることが確認された。さらに、硬化性低下も確認された。これらは、比較例1、2のカチオン電着塗料組成物に含まれるエポキシ粘性剤(A4)の高分子率が低く、数平均分子量が100,000未満であることに由来すると考えられる。
比較例3、4は、製造比較例2で得られたエポキシ粘性剤(A5)を含むカチオン電着塗料組成物に関する例である。比較例3、4のカチオン電着塗料組成物は、硬化性低下が確認された。比較例3ではさらに、エッジ部防錆性が劣ることが確認された。比較例3、4のカチオン電着塗料組成物に含まれるエポキシ粘性剤(A5)は、ケチミン誘導体のモル%が40モル%未満であるアミン化合物を用いて調製されている。そのため、エポキシ粘性剤としての性能が劣ることとなったと考えられる。
比較例5、6は、製造比較例3で得られたエポキシ粘性剤(A6)を含むカチオン電着塗料組成物に関する例である。このエポキシ粘性剤(A6)は、平均粒子径が200nmを超えている。このエポキシ粘性剤(A6)を含む比較例5、6のカチオン電着塗料組成物を用いる場合は、研ぎムラが生じることが確認された。
比較例7、8は、製造比較例4で得られたエポキシ粘性剤(A7)を含むカチオン電着塗料組成物に関する例である。このエポキシ粘性剤(A7)の調製では、反応工程で反応させるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、ケチミン誘導体1モルに対して4.0モルを超える量で用いられている。このエポキシ粘性剤(A7)を含む比較例7、8のカチオン電着塗料組成物を用いる場合は、研ぎムラが生じることが確認された。
比較例9、10は、製造比較例5で得られたエポキシ粘性剤(A8)を含むカチオン電着塗料組成物に関する例である。このエポキシ粘性剤(A8)の調製では、ケチミン誘導体(ジケチミン)のモル%が40モル%未満であるアミン化合物を用いて調製されている。そのため、エポキシ粘性剤としての性能が劣ることとなったと考えられる。この比較例9、10のカチオン電着塗料組成物は、硬化性低下が確認された。比較例9ではさらに、エッジ部防錆性が劣ることが確認された。
比較例11、12は、エポキシ粘性剤の代わりにマイクロゲルを含むカチオン電着塗料組成物に関する例である。これらのカチオン電着塗料組成物は、エッジ部防錆性が劣ることが確認された。
Claims (10)
- エポキシ粘性剤(A)の製造方法であって、下記工程:
ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物とを反応させて、アミン変性エポキシ樹脂を得る、アミン変性工程、
得られたアミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の一部または全てを酸で中和し、水溶媒中に分散させる、酸中和および分散工程、および
得られた分散物と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを混合して反応させて、エポキシ粘性剤(A)を得る、反応工程、
を包含し、
前記アミン化合物はケチミン誘導体を含み、ここで、ケチミン誘導体のモル%は、アミン化合物全モル量に対して、40〜100モル%であり、
前記酸中和および分散工程における酸中和率は、30〜100%の範囲内であり、
前記反応工程で反応させるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、前記ケチミン誘導体1モルに対して0.5〜4.0モルであり、
前記エポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内である、
エポキシ粘性剤(A)の製造方法。 - 前記酸中和および分散工程で用いられる酸が酢酸である、請求項1記載の製造方法。
- 前記アミン変性工程でアミン化合物と反応させるエポキシ樹脂は、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、多環式フェノール化合物およびポリプロピレンオキシド基含有エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂であり、
前記エポキシ樹脂100質量部中に含まれるポリプロピレンオキシド基含有エポキシ樹脂の量は、1〜40質量部である、
請求項1または2記載の製造方法。 - 前記酸中和および分散工程において、前記水溶媒が、4級アンモニウム基含有エポキシ樹脂および3級スルホニウム基含有エポキシ樹脂からなる群から選択される1種またはそれ以上を含む樹脂分散剤を含み、
前記樹脂分散剤の量は、アミン変性エポキシ樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜20質量部の範囲内である、
請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。 - 請求項1〜4いずれかに記載の製造方法によって製造されるエポキシ粘性剤(A)であって、
前記エポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内であり、
前記エポキシ粘性剤(A)はアミノ基を有し、前記アミノ基の30〜100%は酢酸中和されている、
エポキシ粘性剤(A)。 - カチオン電着塗料組成物の製造方法であって、
アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む樹脂エマルションと、請求項1〜4いずれかに記載の製造方法によって製造されたエポキシ粘性剤(A)とを混合する工程を包含し、
前記カチオン電着塗料組成物中に含まれるエポキシ粘性剤(A)の量は、前記樹脂エマルションの樹脂固形分およびエポキシ粘性剤(A)の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜15質量部である、
カチオン電着塗料組成物の製造方法。 - さらに、第3族元素化合物、亜鉛化合物およびビスマス化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素化合物(D)を混合する工程を包含し、
前記カチオン電着塗料組成物中に含まれる前記金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.001〜1質量%の範囲内である、
請求項6記載のカチオン電着塗料組成物の製造方法。 - アミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む樹脂エマルション、および、エポキシ粘性剤(A)を含む、カチオン電着塗料組成物であって、
前記アミン化樹脂(B)は、数平均分子量が1,000〜5,000の範囲内であり、
前記エポキシ粘性剤(A)は、平均粒子径が1〜200nmであり、数平均分子量が100,000〜10,000,000の範囲内であり、
前記カチオン電着塗料組成物中に含まれるエポキシ粘性剤(A)の量は、前記樹脂エマルションの樹脂固形分およびエポキシ粘性剤(A)の樹脂固形分の合計量100質量部に対して、樹脂固形分として0.1〜15質量部であり、および
前記エポキシ粘性剤(A)は、下記工程:
ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環式フェノール化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物とを反応させて、アミン変性エポキシ樹脂を得る、アミン変性工程、
得られたアミン変性エポキシ樹脂が有するアミノ基の一部または全てを酸で中和し、水溶媒中に分散させる、酸中和および分散工程、および
得られた分散物と、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを混合して反応させて、エポキシ粘性剤(A)を得る、反応工程、
によって調製され、ここで、
前記アミン化合物はケチミン誘導体を含み、ここで、ケチミン誘導体のモル%は、アミン化合物全モル量に対して、40〜100モル%であり、
前記酸中和および分散工程における酸中和率は、30〜100%の範囲内であり、
前記反応工程で反応させるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、前記ケチミン誘導体1モルに対して0.5〜4.0モルである、
カチオン電着塗料組成物。 - 前記エポキシ粘性剤(A)は、請求項1〜4いずれかに記載の製造方法によって製造されるエポキシ粘性剤(A)である、請求項8記載のカチオン電着塗料組成物。
- 前記カチオン電着塗料組成物は、さらに、第3族元素化合物、亜鉛化合物およびビスマス化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素化合物(D)を含み、前記カチオン電着塗料組成物中に含まれる前記金属元素化合物(D)の含有量は、金属元素換算で0.001〜1質量%の範囲内である、
請求項8または9記載のカチオン電着塗料組成物。
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