JP2018155587A - スリップ機構、ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望のスリップトルクを維持することができるスリップ機構、ムーブメントおよび時計を提供する。【解決手段】スリップ機構50は、筒かなを筒かなの径方向の外側から囲む環状部材51と、環状部材51に支持されるとともに、筒かなをスリップ可能に保持する軸保持部55と、を備える。軸保持部55は、筒かなの軸方向で異なる位置に設けられて筒かなに圧接する複数のバネ部60を備える。環状部材51の外周には、歯53cが形成されている。【選択図】図3
Description
本発明は、スリップ機構、ムーブメントおよび時計に関するものである。
従来、針で時刻を表示するアナログ時計において表示時刻を修正する針合わせを行う場合、巻真を引出位置に設定してつづみ車と小鉄車とを噛合させる。そして、りゅうずを操作して巻真、つづみ車および小鉄車を介して日の裏車を回すことにより、筒かなおよび筒車を回して分針および時針を回す。この針合わせにおいては、筒かなと分歯車(二番歯車)との間にスリップを生じさせて秒車(四番車)に回転が伝わるのを防ぐ。
筒かなと分歯車との間にスリップを生じさせる機構として、例えば、特許文献1には、歯車に形成した一対の弾性腕部の湾曲部が歯車軸を弾性的に挟持している時計用車に所定以上のトルクが加わったときに、歯車と歯車軸とが摺動するようにしたスリップ機構が記載されている。
ところで、スリップ機構は、一定以上のトルクがかかることにより、歯車等の時計用車を軸部材に対してスリップ(摺動)させる。時計用車と軸部材とをスリップさせるのに要するトルク(スリップトルク)が所望のトルクに対して大きすぎる場合には、時計用車と軸部材とのスリップが繰り返されると、時計用車および軸部材が摩耗する。すると、時計用車や軸部材において、接触圧の低下や、不均一な摩耗による接触圧の不安定化が生じる場合がある。時計用車と軸部材との接触圧が低下すると、スリップトルクが低下する。このため、例えば軸部材が時計用車に対して回転し、軸部材に取り付けられた針が意図せずに動くおそれがある。また、時計用車と軸部材との接触圧の不安定化が生じると、時計用車と軸部材との相対位置によってスリップトルクが変動する。このため、例えばりゅうずを回転させて軸部材に取り付けられた針を回転させる際に、針回しの感覚に変動が生じ、使用感が悪化する。したがって、従来技術のスリップ機構においては、時計用車と軸部材との間の摩耗を低減させ、スリップトルクの低下や変動を抑制するという点で改善の余地がある。
そこで本発明は、所望のスリップトルクを維持することができるスリップ機構、ムーブメントおよび時計を提供するものである。
本発明のスリップ機構は、軸部材を前記軸部材の径方向の外側から囲む環状部材と、前記環状部材に支持されるとともに、前記軸部材をスリップ可能に保持する軸保持部と、を備え、前記軸保持部は、前記軸部材の軸方向で異なる位置に設けられて前記軸部材に圧接する複数のバネ部を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、軸部材をスリップ可能に保持する軸保持部が軸方向で異なる位置に設けられた複数のバネ部を備えるので、各バネ部同士を干渉させることなくバネ長を長くする等、軸方向における1箇所に設けられたバネ部により軸部材を保持する構成と比較して、軸方向から見た各バネ部の平面視形状の設計自由度が向上する。このため、軸部材に対する各バネ部の接触圧を容易に調整できる。これにより、軸保持部と軸部材とをスリップさせるのに要するスリップトルクが所望のトルクに対して大きくなりすぎることを抑制でき、軸保持部と軸部材との摩耗が抑制される。したがって、スリップトルクの低下や変動を抑制でき、所望のスリップトルクを維持することができる。
上記のスリップ機構において、前記バネ部は、前記軸部材に接触する接触部と、撓み変形可能に形成され、一端において前記環状部材に接続するとともに、他端において前記接触部に接続し、前記接触部を前記軸部材に圧接させる付勢部と、を備える、ことが望ましい。
本発明によれば、付勢部の形状を適宜調整することで、軸部材に対する接触部の接触圧を容易に調整できる。これにより、軸保持部と軸部材とをスリップさせるのに要するスリップトルクが所望のトルクに対して大きくなりすぎることを抑制でき、軸保持部や軸部材の摩耗が抑制される。したがって、スリップトルクの低下や変動を抑制できる。
上記のスリップ機構において、前記複数のバネ部のそれぞれは、前記軸部材をスリップ可能に保持する、ことが望ましい。
本発明によれば、バネ部のそれぞれが軸部材を保持するので、バネ部を複数備える軸保持部は、軸部材を安定してスリップ可能に保持することができる。
上記のスリップ機構において、前記軸部材に作用する前記複数のバネ部の力の合力は、前記軸方向から見て0である、ことが望ましい。
本発明によれば、複数のバネ部を支持する環状部材の中心が所望の位置からずれることを防止できる。
上記のスリップ機構において、前記複数のバネ部は、前記軸方向で互いに離間している、ことが望ましい。
本発明によれば、バネ部同士の接触が防止される。これにより、バネ部同士が干渉して軸部材に対するバネ部の接触圧が変動することを防止できる。したがって、軸部材に作用する複数のバネ部の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部により軸部材を確実に保持することができる。
上記のスリップ機構において、前記環状部材は、環状に形成され、前記バネ部が1つずつ接続されるとともに、前記軸方向に並んで配置された複数の内枠部材と、前記複数の内枠部材を前記径方向の外側から囲んで保持する外枠部材と、を備える、ことが望ましい。
本発明によれば、バネ部が1つずつ接続された複数の内枠部材をそれぞれ外枠部材に固定することで、環状部材と複数のバネ部を有する軸保持部とを備えたスリップ機構を形成することができる。
上記のスリップ機構において、前記環状部材は、前記バネ部が1つずつ接続され、前記軸方向に並んで配置された複数の分割環状部材を備え、前記複数の分割環状部材を前記軸方向に貫通する貫通孔と、前記複数の分割環状部材の前記貫通孔に挿通される位置決めピンと、を備える、ことが望ましい。
本発明によれば、位置決めピンにより複数の分割環状部材間の相対変位が規制されるので、分割環状部材に接続された複数のバネ部間の相対変位を規制できる。これにより、複数のバネ部が所望の位置からずれて配置されることを防止できる。したがって、軸部材に作用する複数のバネ部の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部により軸部材を確実に保持することができる。
上記のスリップ機構において、前記環状部材は、前記バネ部が1つずつ接続され、前記軸方向に並んで配置された複数の分割環状部材を備え、一の前記分割環状部材から、前記一の分割環状部材と前記軸方向で隣り合う他の前記分割環状部材に向かって突出した凸部と、前記他の分割環状部材に形成され、前記凸部が挿入される凹部と、を備える、ことが望ましい。
本発明によれば、凸部を凹部に挿入することで、軸方向で隣り合う分割環状部材間の相対変位が規制されるので、分割環状部材に接続された複数のバネ部間の相対変位を規制できる。これにより、複数のバネ部が所望の位置からずれて配置されることを防止できる。したがって、軸部材に作用する複数のバネ部の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部により軸部材を確実に保持することができる。
上記のスリップ機構において、前記複数のバネ部は、前記環状部材と一体的に形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、部品点数を削減することができる。また、各バネ部が環状部材に対して位置ずれすることを防止できるので、軸部材に作用する複数のバネ部の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部により軸部材を確実に保持することができる。
上記のスリップ機構において、前記環状部材の外周には、歯が形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、環状部材および軸保持部により歯車を形成することができる。したがって、所望のスリップトルクを維持することができる歯車を提供できる。
本発明のムーブメントは、上記のスリップ機構を備えることを特徴とする。
本発明の時計は、上記のムーブメントを備えることを特徴とする。
本発明の時計は、上記のムーブメントを備えることを特徴とする。
本発明によれば、所望のスリップトルクを維持することができるスリップ機構を備えるので、軸部材に取り付けられた針が意図せずに動く等の不具合が防止されたムーブメントおよび時計を提供できる。
本発明によれば、所望のスリップトルクを維持することができるスリップ機構を提供できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態の時計1、ムーブメント3およびスリップ機構50について説明する。なお、以下の実施形態では、時計の一例として機械式のアナログ時計を例に挙げて説明する。
最初に、第1実施形態の時計1、ムーブメント3およびスリップ機構50について説明する。なお、以下の実施形態では、時計の一例として機械式のアナログ時計を例に挙げて説明する。
図1は、第1実施形態に係る時計の外観図である。
図1に示すように、時計1は、時計ケース2内に、ムーブメント3や文字板4、各種指針(時針5、分針6および秒針7)等が組み込まれて構成されている。時計ケース2は、胴11と、裏蓋(不図示)と、ガラス12と、を備えている。胴11の側面のうち、3時位置にはりゅうず15が設けられている。りゅうず15は、胴11の外側からムーブメント3を操作するためのものである。りゅうず15は、胴11内に挿通された巻真19に固定されている。時針5、分針6および秒針7は、中心軸O回りに回転する。
図1に示すように、時計1は、時計ケース2内に、ムーブメント3や文字板4、各種指針(時針5、分針6および秒針7)等が組み込まれて構成されている。時計ケース2は、胴11と、裏蓋(不図示)と、ガラス12と、を備えている。胴11の側面のうち、3時位置にはりゅうず15が設けられている。りゅうず15は、胴11の外側からムーブメント3を操作するためのものである。りゅうず15は、胴11内に挿通された巻真19に固定されている。時針5、分針6および秒針7は、中心軸O回りに回転する。
図2は、第1実施形態に係るムーブメントの断面図である。なお、図2では、後述する二番歯車31bの構造を簡略化して図示している。
図2に示すように、ムーブメント3は、ムーブメント3の基板を構成する地板21と、複数の歯車を地板21とともに回転可能に支持する輪列受22と、地板21に組み込まれた巻真19、運針用輪列30および修正輪列40と、を備えている。なお、以下の説明では、地板21に対して時計ケース2のガラス12側(文字板4側)をムーブメント3の「裏側」と称し、裏蓋側(文字板4側とは反対側)をムーブメント3の「表側」と称する。
巻真19は、時刻の修正等に用いられる。巻真19は、その軸線回りに回転可能、かつ軸線方向に移動可能とされている。
図2に示すように、ムーブメント3は、ムーブメント3の基板を構成する地板21と、複数の歯車を地板21とともに回転可能に支持する輪列受22と、地板21に組み込まれた巻真19、運針用輪列30および修正輪列40と、を備えている。なお、以下の説明では、地板21に対して時計ケース2のガラス12側(文字板4側)をムーブメント3の「裏側」と称し、裏蓋側(文字板4側とは反対側)をムーブメント3の「表側」と称する。
巻真19は、時刻の修正等に用いられる。巻真19は、その軸線回りに回転可能、かつ軸線方向に移動可能とされている。
運針用輪列30は、香箱車(不図示)と、二番車31と、三番車32と、四番車33と、日の裏車34と、筒車35と、を備えている。
香箱車は、内部に時計1の動力源となる図示しない主ぜんまいを有している。主ぜんまいは、例えば巻真19を回転させることにより巻き上げられる。香箱車は、主ぜんまいが巻き戻される際の回転力により回転する。
香箱車は、内部に時計1の動力源となる図示しない主ぜんまいを有している。主ぜんまいは、例えば巻真19を回転させることにより巻き上げられる。香箱車は、主ぜんまいが巻き戻される際の回転力により回転する。
二番車31は、中心軸O上に回転可能に配置されている。二番車31は、筒かな31a(軸部材)および二番歯車31bを備えている。筒かな31aは、筒状に形成され、中心パイプ39に回転可能に挿通されている。中心パイプ39は、地板21に形成された貫通孔に取り付けられている。筒かな31aは、地板21よりも表側に位置するかな部31cと、表側の端部に位置する取付部31dと、を備えている。かな部31cには、上述した香箱車が噛み合っている。取付部31dの外周面は、中心軸Oの軸方向(以下、単に軸方向という。)に延在する円周面状に形成されている。二番歯車31bは、取付部31dに外挿されている。二番歯車31bは、取付部31dに対するスリップ機構50(図3参照)を備えている。これにより、二番歯車31bは、筒かな31aに対してスリップ可能に設けられている。スリップ機構50については後述する。筒かな31aの裏側の端部には、分針6が取り付けられる。
三番車32は、中心軸Oとは異なる位置に軸心を備えている。三番車32は、三番歯車32aおよび三番かな32bを備えている。三番かな32bは、二番車31の二番歯車31bに噛み合っている。
四番車33は、二番車31と同軸に配置されている。四番車33は、筒かな31aの内部に回転可能に挿通された車軸38と、二番車31よりも表側において車軸38に設けられた四番かな33aおよび四番歯車33bと、を備える。車軸38の裏側の端部には、秒針7が取り付けられる。四番かな33aは、三番車32の三番歯車32aに噛み合っている。
日の裏車34は、三番車32と同軸に配置されている。日の裏車34は、三番車32の裏側の端部を回転可能に支持している。日の裏車34は、地板21に形成された貫通孔に挿通され、地板21に回転可能に支持されている。日の裏車34は、日の裏歯車34aおよび日の裏かな34bを有している。日の裏歯車34aは、地板21よりも表側において二番車31の筒かな31aのかな部31cに噛み合っている。日の裏かな34bは、地板21よりも裏側に位置している。
筒車35は、二番車31と同軸に配置され、中心パイプ39に回転可能に外挿されている。筒車35は、筒歯車35aを有する。筒歯車35aは、日の裏車34の日の裏かな34bに噛み合う。筒車35の裏側の端部には、時針5が取り付けられる。
修正輪列40は、つづみ車41および小鉄車42を備えている。
つづみ車41は、巻真19と同軸に配置され、中央に形成された係合孔内に巻真19が挿通されている。つづみ車41は、巻真19に対して回転不能、かつ巻真19に対して巻真19の軸線方向に移動可能に設けられている。つづみ車41は、巻真19が最も押し込まれた状態から引き出されることで、時計1の中心側(中心軸O側)に向かって変位する。
つづみ車41は、巻真19と同軸に配置され、中央に形成された係合孔内に巻真19が挿通されている。つづみ車41は、巻真19に対して回転不能、かつ巻真19に対して巻真19の軸線方向に移動可能に設けられている。つづみ車41は、巻真19が最も押し込まれた状態から引き出されることで、時計1の中心側(中心軸O側)に向かって変位する。
小鉄車42は、つづみ車41よりも時計1の中心側に配置されている。小鉄車42は、日の裏車34の日の裏歯車34aに噛み合っている(不図示)。また、小鉄車42には、巻真19が引き出されて時計1の中心側に向かって変位したつづみ車41が噛み合う。これにより、巻真19の回転は、つづみ車41および小鉄車42を介して日の裏車34に伝達される。日の裏車34の回転力は、筒かな31aおよび筒車35に伝達される。筒かな31aは、二番歯車31bに対してスリップしながら相対的に回転する。これにより、巻真19の回転に伴って分針6を回転させることができ、分針6の時刻修正を行うことができる。また、巻真19の回転に伴って筒車35も回転するので、時針5も回転させることができ、時針5の時刻修正を行うことができる。
次に、二番歯車31bに設けられたスリップ機構50について詳述する。
図3は、第1実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。図4は、第1実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の断面図である。なお、図3では、二番歯車31bの歯を簡略化して図示している(以下の斜視図も同様)。
図3に示すように、二番歯車31bのスリップ機構50は、環状部材51と、軸保持部55と、複数(本実施形態では2個)の位置決めピン57と、を備えている。
図3は、第1実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。図4は、第1実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の断面図である。なお、図3では、二番歯車31bの歯を簡略化して図示している(以下の斜視図も同様)。
図3に示すように、二番歯車31bのスリップ機構50は、環状部材51と、軸保持部55と、複数(本実施形態では2個)の位置決めピン57と、を備えている。
環状部材51は、中心軸Oを中心とする円環状に形成されている。環状部材51は、筒かな31aをその径方向の外側から囲む(図4参照)。環状部材51は、複数(本実施形態では3個)の内枠部材52(分割環状部材)と、外枠部材53と、を備えている。
複数の内枠部材52は、中心軸Oを中心とする円環状に形成されている。複数の内枠部材52は、軸方向に並んで配置されている。内枠部材52の内径は、筒かな31aの取付部31dの外径よりも十分に大きい(図4参照)。各内枠部材52には、位置決めピン57が挿通される一対の位置決め孔52aが形成されている。各位置決め孔52aは、軸方向に貫通している。各内枠部材52において、一対の位置決め孔52aは、中心軸O周りの周方向(以下、単に周方向という。)における例えば180°ずれた位置に形成されている。各内枠部材52には、後述するバネ部60が1つずつ接続されている。
図4に示すように、外枠部材53は、複数の内枠部材52を径方向の外側から囲んで保持している。外枠部材53は、軸方向に沿って延在する周壁部53aと、周壁部53aの一端部から軸方向に直交する径方向(以下、単に径方向という。)の内側に向かって張り出す内フランジ部53bと、を備えている。周壁部53aの内周面は、中心軸Oを中心とする円周面状に形成され、複数の内枠部材52の外周面に対向している。周壁部53aの内径は、内枠部材52の外径と略一致している。周壁部53aの外周には、二番歯車31bの歯を構成する歯53cが形成されている。内フランジ部53bの内径は、筒かな31aの取付部31dの外径よりも大きい。内フランジ部53bにおける周壁部53aの内側に面する主面上には、位置決めピン57の先端が挿入される位置決め凹部53dが形成されている。位置決め凹部53dは、位置決めピン57の個数に対応して複数(本実施形態では2つ)形成されている。位置決め凹部53dの位置は、位置決め孔52aの位置に対応する。
軸保持部55は、圧入された筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。軸保持部55は、複数(本実施形態では3個)のバネ部60を備え、複数のバネ部60により筒かな31aの取付部31dを挟持している。各バネ部60は、筒かな31aの取付部31dに圧接する。各バネ部60は、軸方向で異なる位置に設けられている。
図3に示すように、各バネ部60は、それぞれ内枠部材52に接続している。これにより、軸保持部55は、環状部材51に支持されている。各バネ部60は、筒かな31aの取付部31d(図4参照)に接触する接触部61と、接触部61を筒かな31aの取付部31dに圧接させる付勢部63と、を備えている。
接触部61は、周方向に沿って延在している。接触部61は、中心軸O回りに約180°延在し、半円筒状に形成されている。接触部61の内周面は、軸方向および周方向の双方向に沿う凹曲面状に形成されている。接触部61の内周面の内径は、筒かな31aの取付部31dの外径と略一致している。接触部61の内周面は、筒かな31aの取付部31dの外周面に面接触する。
付勢部63は、径方向に沿って直線状に延在し、撓み変形可能に形成されている。付勢部63は、径方向外側の端部において内枠部材52に接続するとともに、径方向内側の端部において接触部61の端部に接続している。付勢部63は、接触部61および内枠部材52と一体的に形成されている。内枠部材52およびバネ部60は、例えば電鋳やレーザー加工、機械加工等により形成される。
図5は、第1実施形態に係る二番歯車の平面図である。
図5に示すように、複数のバネ部60は、その個数(本実施形態では3個)をnとしたときに、軸方向から見て中心軸Oについてn回対称となるように設けられている。各バネ部60から筒かな31aの取付部31dに作用する力(図中の矢印参照)の合力は、軸方向から見て0である。
図5に示すように、複数のバネ部60は、その個数(本実施形態では3個)をnとしたときに、軸方向から見て中心軸Oについてn回対称となるように設けられている。各バネ部60から筒かな31aの取付部31dに作用する力(図中の矢印参照)の合力は、軸方向から見て0である。
図4に示すように、各位置決めピン57は、複数の内枠部材52の位置決め孔52aに挿通されている。これにより、位置決めピン57および位置決め孔52aは、周方向における複数のバネ部60間の相対変位を規制している。また、各位置決めピン57の先端は、外枠部材53の位置決め凹部53dに挿入される。位置決めピン57は、位置決め孔52aおよび位置決め凹部53dに圧入されている。これにより、複数の内枠部材52と外枠部材53とが位置決めピン57を介して互いに固定される。
このように、本実施形態のスリップ機構50では、筒かな31aをスリップ可能に保持する軸保持部55が軸方向で異なる位置に設けられた複数のバネ部60を備える。この構成によれば、従来技術のように軸方向における1箇所に設けられたバネ部により軸部材を保持する構成と比較して、各バネ部同士を干渉させることなくバネ長を長くする等、軸方向から見た各バネ部60の平面視形状の設計自由度が向上する。このため、筒かな31aに対する各バネ部60の接触圧を容易に調整できる。これにより、軸保持部55と筒かな31aとをスリップさせるのに要するスリップトルクが所望のトルクに対して大きくなりすぎることを抑制でき、軸保持部55と筒かな31aとの摩耗が抑制される。したがって、スリップトルクの低下や変動を抑制でき、所望のスリップトルクを維持することができる。
特に、スリップ機構が小型化する場合には、小型化するに従ってバネ長が短くなるので、バネ力を小さくすることが困難となり、スリップトルクが所望のトルクに対して大きくなりすぎるおそれがある。本実施形態によれば、従来技術と比較して各ばね部60の軸方向から見た平面視形状の設計自由度が向上する。これにより、筒かな31aに対する各バネ部60の接触圧を容易に調整でき、スリップトルクが所望のトルクに対して大きくなりすぎることを抑制できるので、スリップ機構50を小型化する場合に好適である。
また、バネ部60は、筒かな31aに接触する接触部61と、撓み変形可能に形成され、一端において環状部材51に接続するとともに、他端において接触部61に接続し、接触部61を筒かな31aに圧接させる付勢部63と、を備える。この構成によれば、付勢部63の形状を適宜調整することで、筒かな31aに対する接触部61の接触圧を容易に調整できる。これにより、上述したスリップトルクが所望のトルクに対して大きくなりすぎることを抑制でき、軸保持部55と筒かな31aとの摩耗が抑制される。したがって、スリップトルクの低下や変動を抑制できる。
また、筒かな31aに作用する複数のバネ部60の力の合力は、軸方向から見て0なので、複数のバネ部60を支持する環状部材51の中心が所望の位置(中心軸O)からずれることを防止できる。
また、スリップ機構50は、バネ部60が1つずつ接続された複数の内枠部材52と、複数の内枠部材52を保持する外枠部材53と、を備える。このため、バネ部60が1つずつ接続された複数の内枠部材52をそれぞれ外枠部材53に固定することで、環状部材51と、複数のバネ部60を有する軸保持部55と、を備えたスリップ機構50を形成することができる。
また、スリップ機構50は、内枠部材52を軸方向に貫通する位置決め孔52aと、複数の内枠部材52の位置決め孔52aに挿通される位置決めピン57と、を備える。この構成によれば、位置決めピン57により複数の内枠部材52間の相対変位が規制されるので、内枠部材52に接続された複数のバネ部60間の相対変位を規制できる。これにより、複数のバネ部60が所望の位置からずれて配置されることを防止できる。したがって、筒かな31aに作用する複数のバネ部60の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部55により筒かな31aを確実に保持することができる。
また、環状部材51の外周(外枠部材53の外周)には、歯53cが形成されているので、環状部材51および軸保持部55により二番歯車31bを形成することができる。したがって、所望のスリップトルクを維持することができる二番歯車31bを提供できる。
そして、本実施形態の時計1およびムーブメント3は、所望のスリップトルクを維持することができるスリップ機構50を備えるので、筒かな31aに取り付けられた分針6が意図せずに動く等の不具合を防止できる。
なお、本実施形態のスリップ機構50では、位置決めピン57の圧入により複数の内枠部材52と外枠部材53とが互いに固定されているが、これに限定されない。複数の内枠部材52を外枠部材53の内側に圧入することにより、複数の内枠部材52と外枠部材53とを互いに固定してもよい。
[第1実施形態の第1変形例]
図6は、第1実施形態の第1変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。
図6に示すように、複数のバネ部60のうちいずれか1つのバネ部60が外枠部材53と一体的に形成されていてもよい。つまり、1つのバネ部60は、付勢部63の径方向外側の端部において外枠部材53に接続していてもよい。これにより、部品点数を削減することができる。
図6は、第1実施形態の第1変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。
図6に示すように、複数のバネ部60のうちいずれか1つのバネ部60が外枠部材53と一体的に形成されていてもよい。つまり、1つのバネ部60は、付勢部63の径方向外側の端部において外枠部材53に接続していてもよい。これにより、部品点数を削減することができる。
[第1実施形態の第2変形例]
図7は、第1実施形態の第2変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。
上記第1実施形態では、軸保持部55が3個のバネ部60を備えているが、これに限定されない。軸保持部55は筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持できればよく、例えば図7に示すように、一対のバネ部60をそれぞれ内枠部材52に1つずつ接続された状態で備えていてもよい。
図7は、第1実施形態の第2変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。
上記第1実施形態では、軸保持部55が3個のバネ部60を備えているが、これに限定されない。軸保持部55は筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持できればよく、例えば図7に示すように、一対のバネ部60をそれぞれ内枠部材52に1つずつ接続された状態で備えていてもよい。
なお、軸保持部55が一対のバネ部60を備える場合であっても、各バネ部60から筒かな31aの取付部31d(図5参照)に作用する力の合力が軸方向から見て0となるように、各バネ部60を配置する。例えば、一対のバネ部60を、軸方向から見て中心軸Oについて2回対称となるように設けることで、各バネ部60から筒かな31aの取付部31dに作用する力の合力が軸方向から見て0となる。これにより、一対のバネ部60を支持する環状部材51の中心軸が所望の位置(中心軸O)からずれることを防止できる。
[第1実施形態の第3変形例]
図8は、第1実施形態の第3変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の斜視図である。
第1実施形態の第2変形例では、一対のバネ部60のそれぞれが内枠部材52に接続されているが、これに限定されない。図8に示すように、環状部材51が外枠部材53のみにより構成され、一対のバネ部60の両方が付勢部63の径方向外側の端部において外枠部材53に接続していてもよい。これにより、部品点数を削減することができる。また、バネ部60が環状部材51に対して位置ずれすることを防止できるので、筒かな31a(図5参照)に作用する複数のバネ部60の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部55により筒かな31aを確実に保持することができる。
図8は、第1実施形態の第3変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の斜視図である。
第1実施形態の第2変形例では、一対のバネ部60のそれぞれが内枠部材52に接続されているが、これに限定されない。図8に示すように、環状部材51が外枠部材53のみにより構成され、一対のバネ部60の両方が付勢部63の径方向外側の端部において外枠部材53に接続していてもよい。これにより、部品点数を削減することができる。また、バネ部60が環状部材51に対して位置ずれすることを防止できるので、筒かな31a(図5参照)に作用する複数のバネ部60の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部55により筒かな31aを確実に保持することができる。
また、図8に示す第1実施形態の第3変形例では、一対のバネ部60は、軸方向で互いに離間している。これにより、バネ部60同士の接触が防止されるので、バネ部60同士が干渉して筒かな31aに対するバネ部60の接触圧が変動することを防止できる。したがって、筒かな31aに作用する一対のバネ部60の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部55により筒かな31aを確実に保持することができる。
[第1実施形態の第4変形例]
第1実施形態では、複数のバネ部60は、その個数をnとしたときに、軸方向から見て中心軸Oについてn回対称となるように設けられているが、これに限定されない。複数のバネ部は、各バネ部から筒かな31aの取付部31dに作用する力の合力が軸方向から見て0となるように設けられていればよい。
第1実施形態では、複数のバネ部60は、その個数をnとしたときに、軸方向から見て中心軸Oについてn回対称となるように設けられているが、これに限定されない。複数のバネ部は、各バネ部から筒かな31aの取付部31dに作用する力の合力が軸方向から見て0となるように設けられていればよい。
図9は、第1実施形態の第4変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。
図9に示すように、軸保持部155は、複数のバネ部160A〜160Cを備えている。複数のバネ部160A〜160Cは、第1バネ部160Aと、第2バネ部160Bと、第3バネ部160Cと、である。複数のバネ部160A〜160Cは、それぞれ筒かな31aの取付部31d(図5参照)に圧接する。複数のバネ部160A〜160Cは、軸方向で異なる位置に設けられている。複数のバネ部160A〜160Cは、第1バネ部160A、第2バネ部160B、第3バネ部160C、の順に軸方向に並んでいる。
図9に示すように、軸保持部155は、複数のバネ部160A〜160Cを備えている。複数のバネ部160A〜160Cは、第1バネ部160Aと、第2バネ部160Bと、第3バネ部160Cと、である。複数のバネ部160A〜160Cは、それぞれ筒かな31aの取付部31d(図5参照)に圧接する。複数のバネ部160A〜160Cは、軸方向で異なる位置に設けられている。複数のバネ部160A〜160Cは、第1バネ部160A、第2バネ部160B、第3バネ部160C、の順に軸方向に並んでいる。
第1バネ部160Aは、接触部61と、付勢部63と、を備えている。第2バネ部160Bは、接触部61と、一対の付勢部63と、を備えている。第2バネ部160Bの一対の付勢部63は、中心軸Oを挟んで配置されている。第2バネ部160Bの一方の付勢部63は、接触部61の一端部に接続している。第2バネ部160Bの他方の付勢部63は、接触部61の他端部に接続している。第2バネ部160Bの一対の付勢部63は、第1バネ部160Aの付勢部63の2倍程度の力で、第1バネ部160Aの付勢部63とは反対方向に向かって接触部61を付勢する。第3バネ部160Cは、接触部61と、付勢部63と、を備えている。第3バネ部160Cの付勢部63は、第1バネ部160Aの付勢部63とは中心軸Oを挟んで反対側に設けられている。第3バネ部160Cの付勢部63は、第1バネ部160Aの付勢部63と略同等の力で、第1バネ部160Aの付勢部63と同じ方向に向かって接触部61を付勢する。各バネ部160A〜160Cから筒かな31aの取付部31dに作用する力の合力は、軸方向から見て0である。
図10は、第1実施形態の第4変形例に係るスリップ機構の作用を説明する図であって、中心軸を通る二番歯車の断面図である。
図10に示すように、第1バネ部160Aおよび第3バネ部160Cは、第2バネ部160Bを軸方向で挟んだ位置において、第2バネ部160Bとは反対方向に筒かな31aを押圧している(図中の矢印参照)。このため、複数のバネ部160A〜160Cから筒かな31aに作用する力が、軸方向において第2バネ部160Bを挟んで対称となる。これにより、軸保持部155は、環状部材51が筒かな31aに対して傾くことを抑制しつつ、筒かな31aを安定してスリップ可能に保持することができる。
図10に示すように、第1バネ部160Aおよび第3バネ部160Cは、第2バネ部160Bを軸方向で挟んだ位置において、第2バネ部160Bとは反対方向に筒かな31aを押圧している(図中の矢印参照)。このため、複数のバネ部160A〜160Cから筒かな31aに作用する力が、軸方向において第2バネ部160Bを挟んで対称となる。これにより、軸保持部155は、環状部材51が筒かな31aに対して傾くことを抑制しつつ、筒かな31aを安定してスリップ可能に保持することができる。
[第1実施形態の第5〜第9変形例]
第1実施形態では、軸保持部55は、複数のバネ部60により筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持しているが、これに限定されず、複数のバネ部のそれぞれが筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持してもよい。
第1実施形態では、軸保持部55は、複数のバネ部60により筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持しているが、これに限定されず、複数のバネ部のそれぞれが筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持してもよい。
図11から図15は、第1実施形態の第5〜第9変形例に係るバネ部の平面図である。
例えば、図11に示すように、バネ部260は、筒かな31aを挟持する一対の副バネ部265を備えている。一対の副バネ部265は、軸方向から見て中心軸Oについて2回対称となるように配置されている。各副バネ部265は、接触部61と、一対の付勢部63と、を備えている。各接触部61は、中心軸O回りに180°未満の角度範囲に亘って延在している。一対の接触部61は、中心軸Oを囲うように配置され、それぞれ一対の付勢部63により中心軸Oに向かって付勢されている。これにより、バネ部260は、筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。
例えば、図11に示すように、バネ部260は、筒かな31aを挟持する一対の副バネ部265を備えている。一対の副バネ部265は、軸方向から見て中心軸Oについて2回対称となるように配置されている。各副バネ部265は、接触部61と、一対の付勢部63と、を備えている。各接触部61は、中心軸O回りに180°未満の角度範囲に亘って延在している。一対の接触部61は、中心軸Oを囲うように配置され、それぞれ一対の付勢部63により中心軸Oに向かって付勢されている。これにより、バネ部260は、筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。
また、図12に示すように、バネ部360は、筒かな31aを挟持する3個の副バネ部365を備えている。3個の副バネ部365は、軸方向から見て中心軸Oについて3回対称となるように配置されている。各副バネ部365は、接触部61と、一対の付勢部63と、を備えている。各接触部61は、中心軸O回りに120°未満の角度範囲に亘って延在している。3個の接触部61は、中心軸Oを囲うように配置され、それぞれ一対の付勢部63により中心軸Oに向かって付勢されている。これにより、バネ部360は、筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。
また、図13に示すように、バネ部460は、接触部61と、一対の付勢部63と、を備えている。接触部61は、中心軸O回りに180°より大きく360°より小さい角度範囲に亘って延在している。各付勢部63は、接触部61を縮径させる方向に付勢している。これにより、接触部61は、筒かな31aの取付部31dに圧接する。そして、バネ部460は、筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。
また、図14に示すように、バネ部560は、筒かな31aを挟持する一対のアーム567を備えている。各アーム567は、直線状に延在し、両端において内枠部材52に接続している。一対のアーム567は、軸方向から見て中心軸Oについて2回対称となるように、互いに平行に設けられている。一対のアーム567の間隔は、筒かな31aの取付部31dの外径よりも狭くなっている。これにより、バネ部560は、撓んだ一対のアーム567の復元力により筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。
また、図15に示すように、バネ部660は、筒かな31aを挟持する一対のアーム667と、一対のアーム667の端部同士を接続する一対の経絡部669と、を備えている。各アーム667は、直線状に延在している。一対のアーム667は、軸方向から見て中心軸Oについて2回対称となるように、互いに平行に設けられている。一対のアーム667の間隔は、筒かな31aの取付部31dの外径よりも狭くなっている。一方の経絡部669は、一方のアーム667の一端部と、他方のアーム667の一端部と、の間に配置され、一対のアーム667を接続している。他方の経絡部669は、一方のアーム667の他端部と、他方のアーム667の他端部と、の間に配置され、一対のアーム667を接続している。これにより、バネ部660は、撓んだ一対のアーム667の復元力により筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。各経絡部669には、軸方向に貫通した一対の位置決め孔669aが形成されている。各位置決め孔669aには、位置決めピン57(図3参照)が挿通される。これにより、各バネ部660の相対変位を規制できる。バネ部660は、環状部材51(例えば外枠部材53)の内側に、例えば圧入されて固定される。
このように、バネ部260〜660は、それぞれが筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持するので、バネ部260〜660を複数備える軸保持部は、筒かな31aを安定してスリップ可能に保持することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のスリップ機構750について説明する。
図16は、第2実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。図17は、第2実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の断面図である。
図16に示す第2実施形態では、環状部材751が軸方向に分割されている点で、第1実施形態と異なっている。
次に、第2実施形態のスリップ機構750について説明する。
図16は、第2実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の分解斜視図である。図17は、第2実施形態に係るスリップ機構を備えた二番歯車の断面図である。
図16に示す第2実施形態では、環状部材751が軸方向に分割されている点で、第1実施形態と異なっている。
図16および図17に示すように、二番歯車31bのスリップ機構750は、環状部材751と、軸保持部755と、凸部771と、凹部773と、を備えている。
図16に示すように、環状部材751は、軸方向に並んで配置された複数(本実施形態では3個)の分割環状部材759を備えている。分割環状部材759は、中心軸Oを中心とする円環板状に形成されている。分割環状部材759の外周には、歯759aが形成され、複数の分割環状部材759が軸方向に並んで配置されることで、歯759aが二番歯車31bの歯を構成している。各分割環状部材759には、後述するバネ部760が1つずつ接続されている。
図16に示すように、環状部材751は、軸方向に並んで配置された複数(本実施形態では3個)の分割環状部材759を備えている。分割環状部材759は、中心軸Oを中心とする円環板状に形成されている。分割環状部材759の外周には、歯759aが形成され、複数の分割環状部材759が軸方向に並んで配置されることで、歯759aが二番歯車31bの歯を構成している。各分割環状部材759には、後述するバネ部760が1つずつ接続されている。
図17に示すように、軸保持部755は、筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。軸保持部755は、複数(本実施形態では3個)のバネ部760を備え、各バネ部760それぞれが筒かな31aの取付部31dをスリップ可能に保持する。
図16に示すように、バネ部760は、筒かな31a(図16参照)を挟持する一対のアーム767を備えている。各アーム767は、直線状に延在し、両端において分割環状部材759に接続している。一対のアーム767は、軸方向から見て中心軸Oについて2回対称となるように、互いに平行に設けられている。各アーム767には、筒かな31aの取付部31dに接触する接触凹部767aが形成されている。接触凹部767aは、軸方向から見て中心軸Oを中心とする円弧状に窪んでいる。接触凹部767aは、その略全体において筒かな31aの取付部31dの外周面に接触する。複数のバネ部760は、その個数(本実施形態では3個)をnとしたときに、軸方向から見て中心軸Oについてn回対称となるように設けられている。
図17に示すように、凸部771は、一の分割環状部材759から、一の分割環状部材759と軸方向で隣り合う他の分割環状部材759に向かって突出している。つまり凸部771は、分割環状部材759から軸方向の一方側に向かって突出している。本実施形態では、凸部771は、分割環状部材759に対して2個ずつ設けられている。本実施形態では、凸部771は、最も軸方向の一方側に位置する分割環状部材759を除く各分割環状部材759に設けられている。凸部771は、分割環状部材759と一体的に形成されていてもよいし、分割環状部材759と別体で形成されて分割環状部材759に取り付けられていてもよい。なお、凸部771は、全ての分割環状部材759に設けられていてもよい。
凹部773は、分割環状部材759に形成されている。凹部773は、軸方向で隣り合う分割環状部材759から突出した凸部771が挿入される。つまり、凹部773は、軸方向の一方側に向かって窪んでいる。凹部773は、各分割環状部材759に対し、凸部771に対応して2つずつ設けられている。凸部771と凹部773とを圧入等により固定することで、複数の分割環状部材759が互いに接触した状態で固定される。
このように、本実施形態によれば、環状部材751は、軸保持部755の複数のバネ部760が1つずつ接続された複数の分割環状部材759を備えるので、分割環状部材759を軸方向に並べて互いに固定することにより、スリップ機構750を備えた二番歯車31bを形成できる。
また、スリップ機構750は、分割環状部材759から突出した凸部771と、分割環状部材759に形成され、凸部771が挿入される凹部773と、を備える。この構成によれば、凸部771を凹部773に挿入することで、軸方向で隣り合う分割環状部材759間の相対変位が規制されるので、分割環状部材759に接続された複数のバネ部760間の相対変位を規制できる。これにより、複数のバネ部760が所望の位置からずれて配置されることを防止できる。したがって、筒かな31aに作用する複数のバネ部760の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部755により筒かな31aを確実に保持することができる。
[第2実施形態の変形例]
図18は、第2実施形態の変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車および筒かなの部分断面図である。
第2実施形態では、複数の分割環状部材759が軸方向で互いに接触しているが、複数の分割環状部材759、および複数の各バネ部760は、軸方向で互いに離間していてもよい。図18に示すように、スリップ機構850は、凸部871の先端のみが凹部773に挿入されるように形成されている。具体的に、凸部871の基端は、凹部773の内径よりも大きくなるように、先端よりも拡径している。これにより、凸部871は、先端のみが凹部773に挿入されるので、隣り合う分割環状部材759間に隙間が形成され、複数の分割環状部材759、および複数の各バネ部760は、軸方向で互いに離間する。なお、凸部を凹部773の深さよりも長く形成することにより、凸部の先端のみが凹部に挿入される構成を実現してもよい。
図18は、第2実施形態の変形例に係るスリップ機構を備えた二番歯車および筒かなの部分断面図である。
第2実施形態では、複数の分割環状部材759が軸方向で互いに接触しているが、複数の分割環状部材759、および複数の各バネ部760は、軸方向で互いに離間していてもよい。図18に示すように、スリップ機構850は、凸部871の先端のみが凹部773に挿入されるように形成されている。具体的に、凸部871の基端は、凹部773の内径よりも大きくなるように、先端よりも拡径している。これにより、凸部871は、先端のみが凹部773に挿入されるので、隣り合う分割環状部材759間に隙間が形成され、複数の分割環状部材759、および複数の各バネ部760は、軸方向で互いに離間する。なお、凸部を凹部773の深さよりも長く形成することにより、凸部の先端のみが凹部に挿入される構成を実現してもよい。
さらに、筒かな31aの外周面に、各バネ部760が入り込む括れ部880を複数設けてもよい。括れ部880は、軸方向の一方側から他方側に向かって漸次縮径する傾斜面881と、傾斜面881における軸方向の他方側の端部から径方向外側に向かって延びる段差面883と、を備えている。括れ部880の軸方向の寸法は、バネ部760における筒かな31aに接触する部分の軸方向の寸法よりも大きい。これにより、バネ部760は、括れ部880に入り込んで、軸方向の変位が規制される。したがって、複数の各バネ部760は、軸方向で互いに離間した状態を維持できる。
このように、本変形例によれば、複数のバネ部760は、軸方向で互いに離間しているので、バネ部760同士の接触が防止される。これにより、バネ部760同士が干渉して筒かな31aに対するバネ部760の接触圧が変動することを防止できる。したがって、筒かな31aに作用する複数のバネ部760の力のバランスが崩れることを防止でき、軸保持部755により筒かな31aを確実に保持することができる。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、機械式時計に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、アナログクォーツ式の時計に本発明を適用してもよい。
例えば、上記実施形態においては、機械式時計に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、アナログクォーツ式の時計に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、付勢部63が直線状に延在しているが、これに限定されず、例えば湾曲していてもよい。
また、上記実施形態では、二番歯車31bが備えるスリップ機構について説明したが、これに限定されず、軸部材に対してスリップ可能に設ける必要がある歯車やレバー等の各種時計部品に適用してもよい。
また、上記実施形態では、二番歯車31bが備えるスリップ機構について説明したが、これに限定されず、軸部材に対してスリップ可能に設ける必要がある歯車やレバー等の各種時計部品に適用してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…時計 3…ムーブメント 31a…筒かな(軸部材) 50,750,850…スリップ機構 51,751…環状部材 52…内枠部材(分割環状部材) 52a…位置決め孔(貫通孔) 53…外枠部材 53c,759a…歯 55,155,755…軸保持部 57…位置決めピン 60,260,360,460,560,660,760…バネ部 61…接触部 63…付勢部 160A…第1バネ部(バネ部) 160B…第2バネ部(バネ部) 160C…第3バネ部(バネ部) 759…分割環状部材 771,871…凸部 773…凹部
Claims (12)
- 軸部材を前記軸部材の径方向の外側から囲む環状部材と、
前記環状部材に支持されるとともに、前記軸部材をスリップ可能に保持する軸保持部と、を備え、
前記軸保持部は、前記軸部材の軸方向で異なる位置に設けられて前記軸部材に圧接する複数のバネ部を備える、
ことを特徴とするスリップ機構。 - 前記バネ部は、
前記軸部材に接触する接触部と、
撓み変形可能に形成され、一端において前記環状部材に接続するとともに、他端において前記接触部に接続し、前記接触部を前記軸部材に圧接させる付勢部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のスリップ機構。 - 前記複数のバネ部のそれぞれは、前記軸部材をスリップ可能に保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスリップ機構。 - 前記軸部材に作用する前記複数のバネ部の力の合力は、前記軸方向から見て0である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスリップ機構。 - 前記複数のバネ部は、前記軸方向で互いに離間している、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスリップ機構。 - 前記環状部材は、
環状に形成され、前記バネ部が1つずつ接続されるとともに、前記軸方向に並んで配置された複数の内枠部材と、
前記複数の内枠部材を前記径方向の外側から囲んで保持する外枠部材と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスリップ機構。 - 前記環状部材は、前記バネ部が1つずつ接続され、前記軸方向に並んで配置された複数の分割環状部材を備え、
前記複数の分割環状部材を前記軸方向に貫通する貫通孔と、
前記複数の分割環状部材の前記貫通孔に挿通される位置決めピンと、
を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のスリップ機構。 - 前記環状部材は、前記バネ部が1つずつ接続され、前記軸方向に並んで配置された複数の分割環状部材を備え、
一の前記分割環状部材から、前記一の分割環状部材と前記軸方向で隣り合う他の前記分割環状部材に向かって突出した凸部と、
前記他の分割環状部材に形成され、前記凸部が挿入される凹部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のスリップ機構。 - 前記複数のバネ部は、前記環状部材と一体的に形成されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスリップ機構。 - 前記環状部材の外周には、歯が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のスリップ機構。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載のスリップ機構を備えることを特徴とするムーブメント。
- 請求項11に記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017052444A JP2018155587A (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | スリップ機構、ムーブメントおよび時計 |
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