JP2018155620A - ムーブメント及びそれを備えた時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な刻時精度を有し長時間駆動可能な機械時計用ムーブメントを提供する。【解決手段】香箱車1、二番車、三番車3、四番車4からなる第1輪列と、第1輪列からの動力が伝えられるエスケープメントと、エスケープメントを介して香箱車1からの駆動力が伝達されるテンプ9と、分針が取り付けられる筒かな、時針が取り付けられかつ筒かなと同軸である筒車35、及び、筒かなと筒車35とに噛合う日の裏車31を、含む表示部と、二番車の回転軸とは異なる共通軸を有しかつ相互に摩擦結合した第1、第2伝達車を含む第2輪列であって、共通軸は第1輪列には含まれず、第1輪列の回転が第1伝達車に伝達され第2伝達車の回転は筒かなに伝達される第2輪列と、時刻修正時に竜頭からのトルクを表示部に伝達する第3輪列とを有するムーブメント。【選択図】図2

Description

本発明は、腕時計や携帯用機械式時計に使用される、良好な刻時精度を有し長時間駆動可能なムーブメント及びそれを備えた時計に関する。
図8は、機械式時計ムーブメントの先行技術における、時分秒の表示部を示す部分断面図である。図8において、二番車112の回転は分を示し、二番車112の外周と筒かな137の内周とが、図8のFr面で摩擦結合している。二番車112の回転は、摩擦結合Frを介して筒かな137を回転させ、筒かな137には分針Bが取り付けられている。一方、二番車112の回転は、日の裏車131で時を表示するように減速されて、筒車135に伝達される。筒車135には、時針Cが取り付けられている。四番車の軸は、秒針軸161であり、この秒針軸161は、通常の中三針(時分秒の三針が時計のセンタに配置)の輪列機構では、図8に示すように、二番車112の中心孔を貫通して、先端に秒針Aが取り付けられている。100は地板である。
機械式時計には多くの輪列が配置されている。表示部を駆動する輪列は、いわゆる裏輪列(時計の文字盤側に配置)として呼ばれ、よく知られた機構である。一方、香箱車に内蔵されたゼンマイばねを巻き上げる輪列は、いわゆる手巻き機構と呼ばれている。竜頭の回転は、一般にはつづみ車及び小鉄車及びカム機構及びきち車で構成されるクラッチ切換機構に最初に伝えられる。手巻き式の機械式時計では、竜頭を巻くと、つづみ車ときち車を介して単一方向のみに手巻き機構を駆動して香箱車に内蔵されたゼンマイばねを巻き上げる。一方、竜頭を引いた状態では、つづみ車と小鉄車を介して裏輪列より日の裏車131を駆動し、針合わせを行うことができる。
図8の先行技術に示すような、一般的な時計の表示部の構造では、時計又はムーブメントの中心軸Oに二番車112や筒かな137などが重ねて組み込まれている。手巻き時計が長時間作動するように、香箱車を大きくしてパワーリザーブを大きくする場合、香箱車とムーブメントの中心軸Oがオーバーラップしてしまうことがある。このため、二番車や筒かななどが重なった中心軸Oを香箱車の上に配置するしかなく、そうするとムーブメントの厚みが大きくなってしまい不都合であった。そこで、特許文献1では、香箱車の横に二番車を配置することで厚みを抑えるようにした。この二番車は、二つの別体の伝達車の歯車が上下に組み合わされた構造となっており、通常の時刻運針時には二つの歯車が一体で回転するようになっている。二つの歯車うちの一方の伝達車の歯車は、竜頭に繋がっており、時刻修正時に竜頭からの強いトルクが加わると、他方の歯車に対し回転し針合わせのために時分車を回転させ、時分針を所定の時刻に合わせることができるようになっている。
しかしながら、この二番車は、エスケープメント(がんぎ車・アンクル・振り石)に繋がっているため、時刻修正の際に二つの歯車の摩擦面(摩擦バネで接合)が滑り合って回転するようになっていることで、二番車の製作時の誤差が増大し、エスケープメントに伝わる動力に影響を与え、歩度やテンプの振幅に影響を及ぼしていた。すなわち、特許文献1では、摩擦面の平面度公差によって傾くと、摩擦バネの押す力が斜めに作用するため、歯車の軸方向のみでなく径方向にもバネ力の成分が生じ、二番車の軸が動いて(いわゆるホゾガタ)、香箱歯車と二番かなの噛み合い効率や、二番歯車と三番かなの噛み合い効率にも変化を来たすことになる。そうなると、テンプに伝わるトルクが変動してしまい振幅が変化し、刻時精度(歩度)に影響が出てしまう。さらに、摩擦面は、時刻修正によって相互のポジションが変化し、平面度も変化し、上記影響が時刻修正操作毎に変化してしまうことになる。このため、特許文献1のような従来技術では良好な刻時精度が得られず、刻時精度の高い長時間駆動可能な機械式時計用ムーブメントが求められていた。同時に、薄型ムーブメントを実現し、時計全体の厚みを改善して薄型時計の実現が求められていた。
特許第5395933号公報
上記課題を解決するために、良好な刻時精度を有し長時間駆動可能なムーブメント及びそれを備えた時計を提供する。
本発明は、香箱車、二番車、三番車、四番車からなる第1輪列と、前記第1輪列からの動力が伝えられるエスケープメントと、前記エスケープメントを介して前記香箱車からの駆動力が伝達されるテンプと、分針が取り付けられる筒かな、時針が取り付けられかつ前記筒かなと同軸である筒車、及び、前記筒かなと前記筒車とに噛合う日の裏車を、含む表示部と、前記二番車の回転軸とは異なる共通軸を有しかつ相互に摩擦結合した第1、第2伝達車を含む第2輪列であって、前記共通軸は前記第1輪列には含まれず、前記第1輪列の回転が前記第1伝達車に伝達され前記第2伝達車の回転は前記筒かなに伝達される第2輪列と、時刻修正時に竜頭からのトルクを前記表示部に伝達する第3輪列と、を有するムーブメントである。
本発明の第1実施形態の時計ムーブメントの部分側面図である。 図1において上方(時計の文字盤側)から見た平面図である。 図1において下方(時計の裏蓋側)から見た平面図である。 図2の輪列機構を模式的に表した平面図である。 本発明の第1実施形態の香箱車を除いた輪列機構を下方から見た斜視図である。 本発明の第1実施形態における摩擦結合した第1、第2伝達車を示す側面図である。 本発明の第2実施形態の香箱車を除いた輪列機構を下方から見た斜視図である。 先行技術の時分秒の表示部を示す部分断面図である。
以下、各図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のムーブメントの部分側面図である。図2は、図1において上方から見た平面図である。図3は、図1において下方から見た平面図である。(図3は、図2の紙面裏側から見た図であり、輪列を理解する上で図2とほぼ鏡像となっている。)図4は、図2の輪列機構を模式的に表した平面図である。図5は、本発明の第1実施形態の香箱車を除いた輪列機構を下方から見た斜視図である。図6は、本発明の第1実施形態における摩擦結合した第1、第2伝達車を示す側面図である。なお、ムーブメントの時分秒針が設置される側を、以下「表側」と称し、その反対側を「裏側」と称す。表側は文字盤が設置される側であり、裏側は時計ケースの裏蓋側でもある。
第1実施形態においては、図1〜6に示す機械式時計のムーブメントに本発明を適用した一例で説明する。本実施形態においては、表示部の筒かな及び筒車の同軸(通常はムーブメントの中心軸O)が、香箱車1の投影面(文字盤を平面と仮定した場合にそれと平行面)の内部に存在する場合で説明したが、必ずしもこれに限定されず、この同軸が香箱車の投影面の外部に存在する場合であっても本実施形態に含まれる。本実施形態では、時分秒の3針で説明したが、これに限定されるものではなく、時分のみの2針時計であっても適用可能である。スモールセコンド(秒針が時分針のある中心軸Oにない場合)については第2実施形態として後述する。また、本実施形態では、手巻き機械式腕時計のムーブメントを念頭において記載しているが、これに限定されず、携帯用の懐中時計であっても適用可能であり、手巻き時計であっても自動巻き時計であっても本実施形態は適用可能である。これらの点は、以下の実施形態においても適用される。
「輪列」とは、複数の歯車から構成される歯車列のことを指すが、ここでは少なくとも1つの歯車から構成されるものも含み使用する。輪列の複数の歯車間の結合には、歯車間の噛み合わせに限らずその他の機構や結合で連結している場合も含まれてよい。「かな」とは、径の比較的小さいピニオンを指す時計特有の用語である。多くの場合大径の歯車の軸に一体的に成形された径の比較的小さいピニオンを指すことが多い。「伝達車」、「伝え車」、「中間車」とは、いずれも配置上や回転方向の制約などにより設けられた歯車を指す。ここでは複数の部材名称の呼称を敢えて識別するためにそれぞれ用いられている。「地板」、「受け」とは腕時計のような機械式時計の場合によくつかわれる呼称で、ハウジングのことを指している。以上これまで述べた点は、第1実施形態に限らず各実施形態においても適用される。
まず、図2〜図4を参照して、表輪列の一部を構成する第1輪列について説明する。第1輪列は、時を正確に刻むための輪列である。
香箱車1には内部にゼンマイばねが内蔵されている。巻き上げられたゼンマイばねが生むトルクは、エスケープメント(アンクル脱進機の場合、がんぎ車7、アンクル8、テンプの天真に固定された振り座の振り石などから構成される)を介してテンプ9が失うエネルギーを補い、テンプ9を規則正しく振動させる。
二番車2、三番車3、四番車4、がんぎ車7は、それぞれ、二番かな12と二番歯車72、三番かな13と三番歯車73、四番かな14と四番歯車74、がんぎかな17とがんぎ歯車77で構成され、それぞれの軸に同軸で一体的に取り付けられている。巻き上げられたゼンマイばねの駆動力は、香箱車1の香箱車歯車11を回転させる。香箱車歯車11には、図3にみられるように二番かな12が噛合っている。図2、3を参照して、順次、二番かな12、二番歯車72、三番かな13、三番歯車73、四番かな14、四番歯車74、がんぎかな17(図3参照)、がんぎ歯車77と伝達され、エスケープメントを介してテンプ9を振動させる。これらの香箱車1からの駆動力をテンプ9に伝達する輪列を第1輪列という。第1輪列には、香箱車、二番車、三番車、四番車、がんぎ車に至る間に、適宜中間車が挿入される場合も含まれる。本実施形態の脱進機はアンクル脱進機と言われる代表的なものであるが、これに限定されるものではなく、その他の脱進機が適用されても良い。
次に、二番車2から表示部に至る第2輪列について説明する。表示部とは、少なくとも、分針Bが取り付けられる筒かな37と、時針Cが取り付けられる筒車35と、筒かな37と筒車35とに噛合う、日の裏車31とからなる。本実施形態では、秒針Aが取り付けられる秒針軸61が表示部に含まれ、秒針軸61(図1参照)は、二番車2からの回転が、後述する第4輪列を介して伝達される。
図4にみられるように、本実施形態の二番車2の軸Mには、3枚の歯車が一体化されている。二番車2の表側には、二番車伝達歯車20が軸Mに取り付けられており、二番車伝達歯車20は、図4、5に示すように第1伝達車39と噛合っている。一方、二番車2の裏側には、図3に示すように、二番かな12が軸Mに取り付けられており、二番かな12は、香箱車歯車11と噛合っている。上述したように、二番かな12は、香箱車1からの駆動力をテンプ9に伝達する輪列として機能する。したがって、二番車2は、一方でテンプ9に伝達する第1輪列に連結し、他方で、二番車2から二番車伝達歯車20を介して分岐して、表示部に至る第2輪列と連結している。二番車2から二番車伝達歯車20を介して伝達された回転(分を表示)は、第1伝達車39を回転させる。二番車2の軸Mには、3枚の歯車が単純に一体化されて組み込まれているにすぎないので、製造上の誤差は余り影響を受けない。
以下、図6を参照して、二番車の回転軸Mとは異なる共通軸Nを有しかつ相互に摩擦結合した第1、第2伝達車39、41を説明する。第1伝達車39は軸Nに一体化しており、軸Nを共通軸として第2伝達車41が、軸Nに回転可能に設けられている。軸Nは、地板(又は受け)101、103に回転可能に軸支されている。第1伝達車39と地板103の間には、ばね69が設置されており、ばね69は、第1伝達車39の第1伝達車接合板139を、第2伝達車41の第2伝達車接合板141に摩擦結合するように、押し付けている。
本実施形態では、第1伝達車39は軸Nに一体化させているが、第2伝達車41を軸Nに一体化させて、軸Nを共通軸として第1伝達車39を、軸Nに回転可能に設けても良い。すなわち、第1、第2伝達車39、41の歯車のうち一方は、回転を支持するための一体化した軸を持ち、もう一方には軸を通すための穴を中心に持つ。ばね69は、第1、第2伝達車39、41を互いに押さえつけ、摺動面に適切な摩擦力を与えるために存在する。ばね69には、例えば皿ばねを用いる。皿ばね以外、コイルばねなどの周知のばねであっても良い。また、摺動面の摩耗が進行し、第1、第2伝達車が薄くなった場合にも、ばねの力によって第1、第2伝達車間に隙間ができることや、摩擦力が減少し常に摺動して動力伝達が不能となることを防ぐ。
第1、第2伝達車39、41の摩擦結合は、上述した第1、第2伝達車接合板139、141間の摩擦結合に限定されるものではない。これらの接合板がなく、一方の歯車の穴と、それに嵌合する他方の歯車軸(他方の歯車と一体化した軸)との間で、嵌め合い嵌合させて摩擦結合させても良い。
第1伝達車39の回転は、第1、第2伝達車接合板139、141間の摩擦結合を介して、第2伝達車41を回転させ、図4、5に示すように、表示部を構成する筒かな37を回転させる。二番車2の回転が第1伝達車39に伝達され、第2伝達車41の回転が筒かな37に伝達される第2輪列は、本実施形態では、第1、第2伝達車39、41からなる歯車によって構成されているが、そのほかにさらに中間歯車が第2輪列に含まれていても良い。
第1伝達車39の第1伝達車接合板139を、第2伝達車41の第2伝達車接合板141に摩擦結合させた機能については、後程詳説するが、時刻修正を行うときに、竜頭に与えられた回転が、日の裏車31に伝わる。このとき、第2伝達車41にも筒かな37を介して動力が伝達される。この場合、通常運針時よりも大きな回転力が発生し、第2伝達車41と第1伝達車39との間にスリップが発生する。
次に、表示部及び第3輪列について述べる。
表示部とは、少なくとも、分針Bが取り付けられる筒かな37と、時針Cが取り付けられる筒車35と、筒かな37と筒車35とに噛合う、日の裏車31とからなる。本実施形態では、表示部には、秒針が取り付けられる秒針軸が含まれる。第1輪列において、二番車2の回転は「分」の情報を持っている。本実施形態においては、この二番車2の回転の「分」の情報を、それぞれ減速又は増速させて、「時」や「秒」の回転情報を生成させている。「分」の情報を「時」の情報に減速変換している歯車列が、筒かな37から日の裏車31を介し筒車に至る経路であり、「分」の情報を「秒」の情報に増速変換しているのが第4輪列である。
図4を参照して、前述した第2輪列により、二番車2の回転は、二番車伝達歯車20、第1伝達車39、第2伝達車41、筒かな37の順に伝達される。日の裏車31は、日の裏車かな33と一体に構成されている。したがって、筒かな37に伝えられた回転は、日の裏車31、日の裏車かな33を経て減速されて、筒車35を回転させる。筒車35と筒かな37は、同軸で相互に回転を干渉しないように設置されている。筒車35の中央筒部の上端部65(図1参照)には時針が取り付けられる。一方、筒かな37の中央筒部の上端部63(図1参照)には分針が取り付けられる。
次に、「分」の情報を「秒」の情報に変換している第4輪列について述べる。
香箱車1を大きくする場合(パワーリザーブを大きくするため)、香箱車1とムーブメントの中心軸Oがオーバーラップしてしまう。このため、二番車2の回転軸Mを、香箱車1と重ならないように、香箱車2の投影面の外側に配置せざるを得なくなる。本実施形態は、このように香箱車1を大きくする場合の実施形態である。通常、時計の多くはセンターセコンドであり、時分秒針はムーブメントの中心軸Oに設置される。このため、本実施形態では、表示部は香箱車2の投影面の内側かつ上側に配置されている。第4輪列は、二番車2からの「分」の情報を増速変換し秒針軸61に伝達して、秒針軸61(図1参照)を中心軸Oに持ってくるために設置されている。
二番車2の回転(分を表示)は、二番車伝達歯車20を介して伝達され、二番車伝達歯車20は、第1伝達車39を回転させる。図4、5にみられるように、第4輪列において、この第1伝達車39に噛合う第1秒伝え車かな43から始まって、第1秒伝え車かな43と一体に形成された第1秒伝え車45、第2秒伝え車かな47、第2秒伝え車48の順に歯車は噛合い回転を増速して伝達する。第2秒伝え車48の回転は、秒かな49を回転させて、秒かな49に一体的に取り付けられた秒針軸61(図1参照)を回転させる。秒の情報をもつ四番車4から直接、伝達車により、中心軸Oにある秒針軸61に回転を伝達しても良い。
本実施形態では、二番車2の回転軸Mを、香箱車1と重ならないように、香箱車2の投影面の外側に配置しているので、中心軸Oには、主に筒かな37と、筒車35と、日の裏車31が配置され、二番車2は配置されていないので、香箱車1を大きくしても、ムーブメントの厚みを押さえることができる。なお、本実施形態のムーブメントに、香箱車のゼンマイばねの付勢力を表示するパワーリザーブインジケータを付加させても良い。
次に、針合わせの機構、すなわち、第3輪列について述べる。
時刻修正時には、竜頭を、時計ケースに押し込まれた1段目の位置から、引いて2段目の位置にする。竜頭には、巻き芯19がネジで固定されており、図1に示すように、巻き芯19には、きち車25が、回転自在に嵌装されており、つづみ車26は、回転はしないが摺動可能に嵌装されている。つづみ車26はクラッチとしての機能を有し、図1では中心軸側に位置(第2段目の位置)して、小鉄車23と噛合っている。つづみ車26は竜頭を2段目に位置に引くと、つづみ車26の円周溝にはかんぬきレバーが係合しており、このかんぬきレバーが、つづみ車26を図1に示すように小鉄車23と噛み合わせる(一段目においては、つづみ車26はきち車25と係合している)。この2段目の状態は、図2においても示されている。なお、1段目と2段目の間にもう一段追加し、カレンダー表示の修正を行ってもよい。
巻き芯19が竜頭によって回転されると、つづみ車26が回転し、それと噛合っている小鉄車23を回転させる。図4を参照して、小鉄車23の回転は、第3伝達車27、第4伝達車かな29、第4伝達車30の順で回転が伝達される。第4伝達車30は日の裏車31に噛合うので、前述したように、筒かな37(分針)と筒車35(時針)を回転させて、針合わせを行うことができる。時刻修正時に竜頭からのトルクを日の裏車31に伝達する輪列を、第3輪列という。
ここで、本実施形態の特徴の1つである、第1伝達車39の第1伝達車接合板139と、第2伝達車41の第2伝達車接合板141とが摩擦結合している点について、述べる。
時刻修正時に、第3輪列によって竜頭からのトルクを日の裏車31に伝達するとそのトルクが第1輪列に対して、スリップする機構が必要である。図8の先行技術では、二番車112の外周と筒かな137の内周とが、Fr面で摩擦結合しており、ここで竜頭からのトルクがスリップされる。特許文献1の従来技術では、二番車の軸上にスリップ機構が設けられている。この特許文献1の従来技術の二番車は、エスケープメント(ガンギ車・アンクル・振り石)に繋がっており、時刻修正の際には、二番車内に設けられたスリップ機構が滑り合って回転するように構成されている。これにより、二番車に設けられたスリップ機構の製造誤差や摩擦面の平面度公差が、香箱車と2番かなの噛み合い、及び2番歯車と3番かなの噛み合いにおけるトルクの伝達効率を乱してしまうため、エスケープメントに伝わる動力に影響し、歩度やテンプの振幅に影響を及ぼしていた。一方、本実施形態では、第1、第2伝達車39、41の共通軸Nは、二番車の回転軸Mとは異なるとともに、エスケープメントに繋がる第1輪列には含まれない。したがって、本実施形態ではエスケープメントには上記したような影響が及ばない。
第1、第2伝達車39、41を共通軸Nとして摩擦結合するように組立てる場合、各部品に傾き、偏心、製造公差などで誤差が大きくなる。しかしながら、本実施形態では、時計の精度に最も影響を及ぼす第1輪列には、第1、第2伝達車39、41は含まれず、エスケープメントに伝わる第1輪列に、製作時の誤差などの影響を及ぼすことがない。したがって、本実施形態のこの構成は、歩度やてんぷの振幅への影響を低減する効果を奏するものである。
竜頭が1段目の位置にあるときは、竜頭を回転させると香箱車1内のゼンマイばねを巻き上げる。この輪列は表輪列としてよく知られたものである。図3はムーブメントを裏側から見た図であるので、表輪列が分かり易く表示されている。巻き芯19が竜頭によって回転されると、つづみ車26が回転し、それと噛合っているきち車25を回転させる。図2、3を参照して、きち車25の回転は、丸穴車51、第1巻き伝え車53(図2)、第2巻き伝え車かな55(図2)、第2巻き伝え車57、角穴車59の順で回転が伝達される。角穴車59は香箱真を回転させてゼンマイばねを巻き上げる。
以上述べたように、香箱からエスケープメントまでの動力経路にではないところに、滑らせる機能を有する第1、第2伝達車39、41を設けたので、エスケープメントに伝わる動力に、製作時の誤差などの影響を及ぼす要因を減らし、歩度やてんぷの振幅への影響を低減することができる。また、中心軸Oには、二番車2や二階層の摺動部品は配置されていないので、香箱車1を大きくすることができるとともに、中心軸回りに配置する部品の層数を減らすことができるため、ムーブメントの厚みを押さえることができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の香箱車を除いた輪列機構を下方から見た斜視図である。
本発明の第2実施形態は、第1実施形態の第4輪列を省略して、四番車4の軸を秒針軸61として、秒針Aを取り付けた実施形態(いわゆるスモールセコンド)である。その他の点は第1実施形態と同じである。第2実施形態では、図7にみられるように、図5に存在する第4輪列が存在しない。第1伝達車39に噛合う第1秒伝え車かな43から始まって、第1秒伝え車かな43と一体に形成された第1秒伝え車45、第2秒伝え車かな47、第2秒伝え車48の歯車が存在していない。このため構造がシンプルになり、ムーブメントの厚みを一層薄くできる。その他の作用効果は、第1実施形態と同じである。なお、パワーリザーブインジケータやカレンダー表示を付加させても良い。
以上の実施形態の説明においては、パワーリザーブを念頭において記載したが、必ずしも、本発明は、筒かな37と筒車35の同軸は、香箱車1の投影面の内側にある場合に限定されるものではない。筒かな37と筒車35の同軸が、香箱車1の投影面の外側にある場合も、本発明に含まれる。上記各実施形態では、手巻き時計のムーブメントで説明したが、自動巻き時計に本発明を適用することもできる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的構成はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
1 香箱車
2 二番車
3 三番車
4 四番車
7 がんぎ車
8 アンクル
9 テンプ
31 日の裏車
35 筒車
37 筒かな
39 第1伝達車
41 第2伝達車

Claims (5)

  1. 香箱車、二番車、三番車、四番車からなる第1輪列と、
    前記第1輪列からの動力が伝えられるエスケープメントと、
    前記エスケープメントを介して前記香箱車からの駆動力が伝達されるテンプと、
    分針が取り付けられる筒かな、時針が取り付けられかつ前記筒かなと同軸である筒車、及び、前記筒かなと前記筒車とに噛合う日の裏車を、含む表示部と、
    前記二番車の回転軸とは異なる共通軸を有しかつ相互に摩擦結合した第1、第2伝達車を含む第2輪列であって、前記共通軸は前記第1輪列には含まれず、前記第1輪列の回転が前記第1伝達車に伝達され前記第2伝達車の回転は前記筒かなに伝達される第2輪列と、
    時刻修正時に竜頭からのトルクを前記表示部に伝達する第3輪列と、を有するムーブメント。
  2. 前記筒かなと前記筒車の前記同軸は、前記香箱車の投影面の内側にあることを特徴とする請求項1に記載のムーブメント。
  3. 前記表示部に、秒針が取り付けられる秒針軸が含まれ、
    該秒針軸は、前記筒かな及び前記筒車と同軸に設けられ、
    前記第1伝達車の回転を、前記秒針軸に伝達する第4輪列を有することを特徴とする請求項2に記載のムーブメント。
  4. 前記四番車に秒針が取り付けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のムーブメント。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のムーブメントを備えた時計。
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