JP2018153748A - 付着物除去方法 - Google Patents

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JP2018153748A JP2017052221A JP2017052221A JP2018153748A JP 2018153748 A JP2018153748 A JP 2018153748A JP 2017052221 A JP2017052221 A JP 2017052221A JP 2017052221 A JP2017052221 A JP 2017052221A JP 2018153748 A JP2018153748 A JP 2018153748A
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Hitoshi Nishijima
仁 西嶋
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Abstract

【課題】基材の表面に付着した付着物を除去する方法であって、あらゆる種類の付着物を効率よく除去し、且つ基材の損傷を低減する方法を提供する。【解決手段】この付着物除去方法は、基材の硬度の0を含まず1/2以下であり、且つ単一材料からなる噴射材を用意する工程と、前記噴射材を圧縮空気と共に固気二相流として室温にて前記付着物に向けて噴射する工程と、前記付着物に向けて噴射された噴射材が基材に衝突する際の衝突エネルギーによって付着物を除去する工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、付着物除去方法に関する。
基材の表面に付着した皮膜等の付着物を除去する方法として、薬剤に浸漬させて付着物を溶解させることで除去する方法が知られている。しかし、付着物を除去するためには長時間薬剤に浸漬する必要があることや、基材の材質によっては薬剤によって腐食する場合があることや、使用済の薬剤を排水として処理する必要があること、などの制約がある。
また、別の方法として、ブラスト加工によって付着物を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1)。ブラスト加工は砥粒を皮膜に向けて噴射し、その衝撃力で付着物の除去を行うので、効率よく付着物を除去できるメリットがある。しかしながら、基材自体は付着物が除去された途端に非常に強い加工状態に曝されることになるので、基材の表面が大きな損傷を受ける。
噴射材は金属(鋳鉄、ステンレス、亜鉛、等)、セラミックス(アルミナ、炭化ケイ素、ジルコン、等)、樹脂(ユリア樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、等)、ガラス、植物種子(クルミ殻、桃種、杏子種、等)、重曹、ドライアイス、弾性体であるコアの表面に砥粒を担持させたもの、など幅広い材料から付着物や基材の性状に合わせて選択されるが、経験と試行錯誤によって選定されるのが現状である。
また、基材の受傷が少ない付着物の除去方法として、ドライアイスの粒子を噴射材としたブラスト加工方法が知られている。この方法では衝撃力によるダメージが少なくてもサーマルショックにより基材がダメージを受ける場合があり、基材の性状によっては採用することができない。
特開昭54−133692号公報
上記に鑑みて鋭意研究した結果、基材の表面に付着した付着物を除去する方法であって、あらゆる種類の付着物を効率よく除去し、且つ基材の損傷を低減する方法を見出した。即ち、本発明は付着物の形態や基材の性状を問わず、基材の損耗を低減し、且つ付着物を効率よく除去する方法を提供する。なお、本発明における付着物とは、単に基材に付着しているものばかりでなく、あらゆる成膜プロセスを経て得られた皮膜を指す。また、乾燥した状態の付着物に対して適用される。
本発明の一側面は、薄膜結晶成長による成膜プロセスにて使用する基材に付着する付着物を前記基材から除去する付着物除去方法である。この付着物除去方法は、次の(1)〜(3)の工程を含む。
(1)基材の硬度の0を含まず1/2以下であり、且つ単一材料からなる噴射材を用意する。
(2)噴射材を圧縮空気と共に固気二相流として室温にて付着物に向けて噴射する。
(3)付着物に向けて噴射された噴射材が基材に衝突する際の衝突エネルギーによって付着物を除去する。
基材の硬度の0を含まず1/2以下であり、且つ単一材料からなる硬度の噴射材を用いることで、噴射材が基材に衝突しても基材を傷つけずに付着物を除去することができる。また、砥粒及び噴射材が室温であるので、サーマルショックにより基材がダメージを受けることがない。
一実施形態では、反発弾性率が0を含まず18%以下である樹脂から成る樹脂を用いてもよい。適切な弾性力を有する樹脂を用いることで、基材を傷つけることなく、効率よく付着物のみを除去することができる。
一実施形態では、付着物が多結晶構造の皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜15μmであってもよい。多結晶体の皮膜は、結晶同士の間には不連続な境界面(結晶粒界)が存在する。一実施形態では、噴射材が基材に衝突する際の衝突エネルギーによって衝突エネルギーは結晶粒界で破壊の起点を生じさせると共に、さらなる衝突エネルギーの付与により付着物である皮膜を結晶粒界から脱離させて除去することができる。この際、噴射材が基材に衝突する際の衝突エネルギーは結晶粒界で破壊の起点を生ずる程度であるので、基材への衝撃を小さくすることができる。
一実施形態では、付着物が単結晶構造の皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜15μmであってもよい。単結晶体の皮膜は、比較的硬質な皮膜である。衝突エネルギーによって基材と皮膜の界面に破壊の起点を生じさせると共に、さらなる衝突エネルギーの付与により付着物である皮膜を除去することができる。この際、噴射材が基材に衝突する際の衝突エネルギーは基材と皮膜との界面で破壊の起点を生ずる程度であるので、基材への衝撃を小さくすることができる。
一実施形態では、付着物が鍍金法で形成された皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜1000μmであってもよい。衝撃力によって圧縮応力を付与することで、衝撃力によって基材と皮膜の界面に破壊の起点を生じさせることで、基材と皮膜の界面に破壊の起点を生じさせると共に、さらなる衝突エネルギーの付与により付着物である皮膜を除去することができる。この際、噴射材が基材に衝突する際の衝突エネルギーは基材と皮膜との界面で破壊の起点を生ずる程度であるので、基材への衝撃を小さくすることができる。
一実施形態では、付着物が塗布法又はゾル−ゲル法にて形成された皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜150μmであってもよい。塗布法で形成された皮膜は、液相法や気相法による皮膜に比べて比較的脆く、且つ基材との密着力が低い。衝突エネルギーによって皮膜自体にマイクロクラックを生じさせる、若しくは基材と皮膜の界面に破壊の起点を生じさせる、と共に、さらなる衝突エネルギーの付与により付着物である皮膜を除去することができる。
本発明の一側面及び一実施形態により、基材の損傷を低減し、効率よく付着物を除去できる付着物除去方法を提供することができる。
一実施形態で用いた加工装置を説明するための模式図である。 一実施形態の付着物除去方法を示すフローチャートである。 一実施形態のワークの走査軌跡を説明するための模式図である。 多結晶構造の皮膜が除去されている様子を示すSEM写真である。 一実施形態の付着物除去方法で皮膜を除去した場合と基材より硬質な噴射材を用いて皮膜を除去した場合を比較したSEM写真である。 一実施形態における単結晶構造の皮膜の除去における初期の段階を示すSEM写真である。 一実施形態における塗布法またはゾル−ゲル法によって形成された皮膜の剥離途中の様子を示すSEM写真である 一実施形態における実験例の結果を示すグラフである。
本発明における付着物除去方法の一実施形態として、図を参照して説明する。本発明は本実施形態に限定されず、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加えることができる。なお、説明における左右上下方向は特に断りのない限り図中の方向を指す。
図1に、本実施形態で使用した加工装置01を示す。加工装置01は、筐体10と、定量供給機構20と、分離機構30と、吸引機構40と、ノズル50と、制御機構60と、を備えている。
筐体10は内部に加工室Rが形成されており、正面に設けられた扉11を開けることで作業者は処理室Rにアクセスすることができる。処理室Rには、ノズルを固定するためのノズル固定基材12と、ノズルに対向してワークW(付着物が付着している基材)を載置する処理テーブル13と、処理テーブル13に連結された移動機構14と、が設けられている。
ノズル固定基材12は、ノズル50とワークWとの距離を自在に調整できるように構成されている。
移動機構14は、処理テーブル13(即ち、ワークW)をノズルに対して水平方向(図1における左右方向と紙面に対する垂直方向)に自在に移動するための機構である。例えばX−Yステージ等公知の機構を適宜選択できる。
移動機構15はノズル50の下方に設けられた架台15に固定されている。本実施形態では、多数の穴が設けられた板とした。ノズル50より噴射された噴射材を含む粉粒体が底部に向かって通過することができる。
処理室Rの上部には、所定量の噴射材をノズル50に定量で供給するための定量供給機構20が配置されている。定量供給機構20は、噴射材を定量で切り出すことができればその構造は特に限定されない。例えば、スクリュフィーダ、振動フィーダ、テーブルフィーダ等がある。本実施形態ではスクリュフィーダを用いた。
定量供給機構20は、分離機構30に連結された貯留ホッパ31と連結されている。分離機構30は、輸送管Pを介して筐体10の底部と連結されているので、処理室Rと貯留ホッパは輸送管Pを介して連続した空間を形成している。なお、本実施形態では分離機構30としてサイクロン式分級機を用いたが、その他の風力式分級機やスクリーン式分級機を用いても良い。
粒子を噴射するノズルとして吸引式と直圧式が知られており、どちらを選択してもよい。本実施形態では、吸引式を選択した。本実施形態のノズル50は、ノズルホルダとこのノズルホルダに挿入されたエアノズルで構成されている。エアノズルはエアホースH1を介してコンプレッサ(図示せず)と連結されており、ノズルホルダは噴射材ホースH2を介して貯留ホッパ20と連結されている。コンプレッサを作動させてエアノズルから圧縮空気を噴射することでノズルホルダ内に発生する負圧によって噴射材はノズル内に吸引され、内部で圧縮空気と混合されて固気二相流として噴射される。
制御機構60は、上記各機構などの動作を制御する。制御機構としては、パーソナルコンピュータなどの各種演算装置、プログラマルロジックコントローラ(PLC)及びデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのモーションコントローラ、高機能携帯端末及び高機能携帯電話、等を用いることができる。
(付着物除去方法)
次に、本実施形態の加工装置01による付着物除去方法について、更に図2を用いて説明する。一態様に係る付着物除去方法は、基材の損傷を可能な限り抑制した上で付着物の態様に関わらず効率よく付着物を除去する方法を提供するものである。本実施形態では、多結晶構造の皮膜、単結晶構造の皮膜、鍍金皮膜、塗布法による皮膜、がそれぞれ付着物として形成された基材を用いた。
<S1:ワークの予備洗浄>
ワークWは比較的付着力の弱い付着物を刷毛等で予め除去してもよい。この工程は、省略してもよい。
<S3:加工装置の準備>
吸引機構40を作動して、加工室Rを吸引する。次いで、扉11の施錠を解除して、扉11を開ける。次いで、所定量の噴射材を加工室Rに投入し、輸送管P及び分離機構30を介して噴射材を貯留ホッパ20に移送する。その後、扉11を閉め、施錠する。加工室Rは吸引機構40により吸引されているので負圧となり、外部と連通するように設けられた吸引孔(図示せず)より外気が処理室Rに流入する。
加工装置01の制御機構60を操作して圧縮空気をノズル50に供給する経路に設けられた電磁弁(図示せず)を「開」、定量供給機構20を「ON」にする。この動作により噴射材はノズル50に供給されてノズル50より噴射される。ここで、噴射材の噴射速度を調整するが、その調整方法は特に限定されない。例えば、噴射材の物性(種類や粒子径等)と噴射圧力と噴射速度との相関関係を予め測定しておき、その結果に基づいて所望の噴射速度となるように噴射圧力を調整してもよい。本実施形態では、粒子流速測定法(Particle Image velocimetry:PIV)により、噴射材の物性に対する噴射圧力と噴射速度の関係を予め測定し、圧縮空気の供給圧力を調整するバルブ(図示せず)を操作して、噴射材の噴射速度が所望の速度となるように調整した。
噴射速度を調整後、表面処理装置01の制御機構60を操作し、前述の電磁弁を「閉」、定量供給機構20を「OFF」にそれぞれ切り替える。この操作により、噴射材の噴射が停止する。扉11を開け、ワークWを処理テーブル13に載置し、固定する。その後、固定基材12によりノズル50とワークWとの距離を調整する。これらの作業が終了したら、扉11を閉めて施錠する。
制御機構60に、ワークWの移動の軌跡(図3におけるX方向、Y方向の距離)、移動速度、走査回数、等の加工条件を入力する。
ここで、噴射材について説明する。基材に衝突した際に基材へ与えるダメージを抑えた上で効率よく皮膜を除去するためには噴射材の硬度が重要であり、基材の硬度に対する噴射材の硬度の比(以後、「硬さ比」と記す)を、1/2とすることを見出した。硬さ比が1/2を超えると基材の材質によっては基材が損耗する。一方、硬さ比が低すぎると皮膜を除去するための衝突エネルギーが不足するので、硬さ比を1/10以上としてもよい。
また、噴射材の反発弾性率が低すぎると皮膜ばかりでなく基材に対しても過剰に衝突エネルギーが付与されるので、皮膜の除去効率は良くなるが基材はその材質によって損耗が発生する。反発弾性率が高すぎると噴射材の変形により衝突エネルギーが皮膜に十分に伝達されない。これを考慮して、噴射材の反発弾性率を18%以下としてもよい。反発弾性率が18%以上の物質として、例えば各種ゴムが例示される。
噴射材の形状は特に限定されない。角部を有していると付着物の除去効率は高くなるが、加工装置01との接触によって噴射材の表面に金属成分が付着しやすくなる恐れがある。より金属成分の残留をなくすために、噴射材の形状は凸曲線で形成されていてもよい。この形状の場合、基材に衝突した際に衝撃力が分散されるので、結果として基材の損傷を軽減することができる。
噴射材は、小さすぎると付着物を除去できず、大きすぎると基材にダメージを与える。本実施形態では、平均粒子径d50を50〜400μmとした。
以上を考慮したうえで、噴射材は、基材及び皮膜の硬度や性状に合わせて金属(鋳鉄、ステンレス、亜鉛、等)、セラミックス(アルミナ、炭化ケイ素、ジルコン、等)、樹脂(ユリア樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、等)、ガラス、植物種子(クルミ殻、桃種、杏子種、等)、重曹、ドライアイス、等から適宜選択してもよい。
<S3:付着物を除去>
加工装置01の制御機構60を操作して前述の電磁弁を「開」、定量供給機構20を「ON」にして、噴射材を噴射する。次いで、移動機構14を「ON」にして、ワークWをノズルに対して相対的に水平移動させる。例えば、図3に示すようにワークWの中心Cの走査軌跡Tは、ワークWの端部から噴射材の噴射領域AにX方向に走査し、所定のピッチでY方向にずらした後にX方向に戻すことを繰り返して櫛歯状に走査する軌跡である。ノズルに対してワークWをこのように移動することで、ワークの全面に対して噴射材を衝突させることができる。ここで、ノズル50の噴射口が長方形状に形成されている場合には、長辺がY方向となるように配置することにより、1回のX方向の走査による噴射材の噴射幅を増大させることができるので、噴射処理の効率を向上させることができる。
基材がノズル50の噴射口の下方まで移動すると、噴射材がワークWに衝突し、皮膜に衝突エネルギーが付与される。そして、更に噴射材が衝突することで付着物が除去される。なお、噴射材及び圧縮空気は室温であるので、サーマルショックにより基材がダメージを受けることはない。
噴射材及び加工によって生じた粉塵(除去された付着物や再使用できないサイズとなった噴射材)は吸引機構40の吸引力によって分離機構30に移送される。分離機構30にて、再使用可能な噴射材(第一)と粉塵とに分離され、再使用可能な噴射材(第一)は貯留ホッパ20に堆積される。貯留ホッパ20に堆積された再使用可能な噴射材(第一)は、ノズル50に移送されて再び噴射される。一方、重量の軽い粉塵は、吸引機構40に吸引され、吸引機構40の内部にセットされた捕集フィルタに捕集される。
なお、付着物が除去されるメカニズムは皮膜の性状によって異なる。以下に、皮膜の性状による剥離の状態を以下に説明する。
(1)多結晶構造の皮膜
本実施形態では、有機金属気相成長法(MOCVD法)にて石英板にGaNの皮膜を形成した。ワークWがノズル50の噴射口の下方まで移動すると、噴射材がワークWに衝突する。衝突の初期では、噴射材の衝突エネルギーによって結晶界面での破壊の起点が形成される。その後、更に噴射材が衝突することで、この起点より結晶粒子が剥離する。皮膜が厚すぎると結晶粒界で破壊の起点を形成するのに多大な時間を要する。多結晶構造の皮膜の場合、厚みを1〜15μmとしてもよい。
結晶粒界で剥離している様子を示すSEM写真を図4に示す。加工前は表面に結晶粒が観察されるが深さ方向には結晶が緻密に堆積して皮膜を形成しているのが分かる(図中の「加工前」)。本実施形態の加工により、皮膜は結晶粒界で剥離しているのが分かる(図中の「加工中」)。その後、付着物が基材表面より完全に除去される(図中の「加工後」)。ここで、表面に凹凸が形成されているのは皮膜形成時に基材が受けたダメージであると推測される。薬剤によって付着物を除去した基材の表面をSEMにて観察し、同様の凹凸が形成されていることを確認している。
図5に、本実施形態の方法にて皮膜を除去した結果と、基材より硬質の噴射材を衝突させて皮膜を除去した結果と、を比較したSEM写真を示す。基材より硬質の噴射材を用いた場合、基材の表面が噴射材で切削されていることが観察される。また、この方法で皮膜を除去した場合、表面粗さ・輪郭形状統合測定機により、基材の表面が噴射材で切削されていることも確認されている。従って、本実施形態の方法では、基材の損傷を抑えて付着物を除去できる。
(2)単結晶構造の皮膜
本実施形態では、液相エピタキシャル成長法(LPE)にて石英板にInPの皮膜を形成した。ワークWがノズル50の噴射口の下方まで移動すると、噴射材がワークWに衝突する。衝突の初期では、噴射材の衝突エネルギーによって皮膜と基材の界面でマイクロクラックが生じる。皮膜には内部応力が存在しているので、マイクロクラックが生じると皮膜の変形が促進され、クラックが大きくなる。その後、更に噴射材が衝突することで、このクラックを起点として皮膜が徐々に剥離する。皮膜が厚すぎると、皮膜と基材との界面に衝突エネルギーを効率よく伝搬できず、マイクロクラックを生じさせることができない、もしくは多大な時間を要する。単結晶構造の皮膜の場合、厚みを1〜15μmとしてもよい。
初期において、皮膜と基材の界面で破壊の起点が形成されている様子を示すSEM写真を図6に示す。下方の基材に対して、皮膜の一部が基材より剥離している様子が観察される。
(3)鍍金法で形成された皮膜
本実施形態では、無電解鍍金にて石英板にCuの皮膜を形成した。ワークWがノズル50の噴射口の下方まで移動すると、噴射材がワークWに衝突する。この衝突により皮膜が切削され、膜厚が徐々に薄くなる。また、同時に噴射材の衝突エネルギーによって皮膜と基材の界面でマイクロクラックが生じる。皮膜に存在している内部応力により皮膜が変形しようとすることで皮膜の変形が促進され、クラックが大きくなる。その後、更に噴射材が衝突することで、このクラックを起点として皮膜が徐々に剥離する。即ち、この皮膜は、皮膜の切削及び、皮膜と基材との界面からの剥離の相互作用により除去される。皮膜が厚すぎると皮膜と基材の界面に衝突エネルギーを効率よく伝搬できず、マイクロクラックを生じさせることができない、もしくは多大な時間を要する。さらに、皮膜を切削するのに多大な時間を要する。鍍金法で形成された金属質の皮膜の場合、厚みを1〜1000μm以下としてもよい。さらに、1〜150μmと薄い皮膜に対しても一実施形態の付着物除去方法を好適に用いることができる。
(4)塗布法またはゾル−ゲル法による皮膜
塗布法は、スプレー法やスクリーン印刷法等が含まれ、ゾル−ゲル法はスピンコーティング法やディップコーティング法が含まれる。本実施形態では、スピンコーティング法にて石英板にSiOの皮膜を形成した。SiO粒子はバインダーによって結合している。ワークWがノズル50の噴射口の下方まで移動すると、噴射材がワークWに衝突する。衝突の初期では、噴射材の衝突エネルギーによって皮膜自体にマイクロクラックが発生する、もしくは皮膜と基材との界面でマイクロクラックが発生する。その後、更に噴射材が衝突することで、これらのクラックを起点として皮膜が剥離する。皮膜が厚すぎると破壊の起点となるマイクロクラックを形成するのに多大な時間を要する。塗布法またはゾル−ゲル法によって形成された皮膜の場合、厚みを1〜150μmとしてもよい。
この皮膜の剥離途中の様子を示すSEM写真を図7に示す。皮膜はランダムに残留しており、残留している皮膜の輪郭が明確であることから、切削ではなく皮膜自体にマイクロクラックが生じ、このマイクロクラックを起点として皮膜が剥離した様子が観察される。
また、(1)〜(4)のいずれのタイプの皮膜においても厚みが低すぎる場合は、皮膜は上述のような形態で剥離されず、いずれも噴射材による切削によって徐々に剥離される。
<S4:ワークを回収>
所定の加工が終了したら、制御手段により、移動手段14が「OFF」、前述の電磁弁が「閉」、定量供給機構20が「OFF」にそれぞれ切り替えられる。その後、扉11の施錠を解除して扉11を開け、ワークWを回収する。このワークWに付着した噴射材や粉塵をエアブローや超音波洗浄機等で除去して、一連の加工が完了する。
次に、この付着物除去方法によりワークより付着物を除去した結果について説明する。
石英板(2インチ×t1.0mm。ビッカース硬さはHv900。)を基材とした。ノズルと基材との距離を100mmとして、またワークに対する噴射流の角度が90°となるようにノズルをセットした。
硬さ比が0.2〜2.0となるように噴射材を選定し、ワークに向けて噴射材をそれぞれ5分間定点に噴射した。
加工前後で基材の重量を測定し、その結果から切削量(体積)を算出して、硬さ比と切削量の関係をグラフにプロットした。図8はその結果であり、硬さ比が1/2を上回ると切削量が大きくなるのが分かる。即ち、硬さ比が1/2を上回ると基材の損耗が著しくなることが示された。
次に、この石英板に厚さ50μmのGaNをMOCVD法で形成したものをワークとして、皮膜の除去試験を行った。実験は、前述と同様の条件にて行った。
加工後、EDXによる分析により付着物が除去されているかを確認した。その結果、いずれもGaNの成分が確認されないので、皮膜が除去できていることが示された。
(変更例)
基材の形状や付着物の状態によっては、基材上に付着物が残留する場合がある。付着物の残留がある場合には、以下のS5〜S8の工程をさらに行ってもよい。付着物の残留がない場合は、当然これらの工程を省略することができる。以下、図2を参照しながら説明する。
<S5:ワークを加熱>
庫内が所定の温度に保持された恒温器を準備し、ワークWを庫内にセットする。基材と付着物とはそれぞれ膨張係数が異なることから、所定の温度に加熱することで基材と付着物との密着力が低下する。すなわち、後述のS7の工程にて付着物を除去できる程度まで密着力が低下すればよく、過剰に加熱することはエネルギーの損失に繋がる。さらに、例えば基材の軟化点近傍に加熱すると基材に熱ダメージを加えることになる。加熱する温度は500〜1000℃としてもよく、800〜1000℃としてもよい。
<S6:ワークを冷却>
ワークWを室温まで冷却する。冷却速度が早いと付着物に微細なクラックが発生するので、後のS7の工程にて付着物を容易に除去することができるが、基材にも熱ダメージを加えることになる。S7の工程にて付着物を容易に除去でき、且つ基材に熱ダメージがないよう、冷却速度を決定する。なお、この二側面を満足しさえすれば室内に放置することで冷却してもよい。
<S7:付着物を除去>
S1〜S3の工程と同様の操作で、ワークWに向けて噴射材を噴射する。前述の通り、基材よりも軟質の噴射材を用いると、基材へのダメージが抑制されるので、S3の工程にて使用した噴射材と同じものを使用してもよい。付着物は加熱により基材との密着力が低下しており、かつ硬脆性があるので噴射材の衝突により付着物にクラックが発生し、このクラックを起点として付着物が除去される。
<S8:ワークを回収>
S4の工程と同様の操作にてワークWを回収し、このワークWに付着した噴射材や粉塵をエアブローや超音波洗浄機等で除去して、一連の加工が完了する。
一実施形態では、(1)多結晶構造の皮膜、(2)単結晶構造の皮膜、(3)鍍金法による皮膜、(4)塗布法またはゾル−ゲル法による皮膜、についてそれぞれ成膜方法を例示したが、成膜方法はこれらに限定されない。上述以外の成膜方法として、(1)多結晶構造の皮膜及び(2)単結晶構造の皮膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD)や熱CVDやプラズマCVD等の化学的気相成長法(CVD)等、あらゆる結晶成長による成膜プロセスが例示される。(3)鍍金法による皮膜は、電気鍍金や化成処理や陽酸化処理や溶融鍍金などが例示される。(4)塗布法またはゾル−ゲル法による皮膜は、塗布法はスプレー法やスクリーン印刷法等、ゾル−ゲル法はディップコーティング法等が、それぞれ例示される。
01 加工装置
10 筐体
11 扉
12 ノズル固定基材
13 処理テーブル
14 移動機構
15 架台
20 定量供給機構
30 分離機構
31 貯留ホッパ
40 吸引機構
50 ノズル
60 制御機構
A 噴射領域
H1 エアホース
H2 噴射材ホース
R 加工室
T 走査軌跡
W ワーク

Claims (6)

  1. 基材の表面に付着した付着物を除去する方法であって、
    単一材料からなる噴射材を準備する工程と、
    前記噴射材を圧縮空気と共に固気二相流として室温にて前記付着物に向けて噴射する工程と、
    前記付着物に向けて噴射された噴射材が前記付着物に衝突する際の衝突エネルギーによって前記付着物を除去する工程と、
    を含み、
    前記噴射材の硬度は前記基材の硬度に対して0を含まず1/2以下であることを特徴する付着物除去方法。
  2. 前記噴射材は、反発弾性率が0を含まず18%以下である樹脂から成ることを特徴とする請求項1に記載の付着物除去方法。
  3. 前記付着物は多結晶構造の皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜15μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の付着物除去方法。
  4. 前記付着物は単結晶構造の皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜15μmの厚みであることを特徴とする請求項1または2に記載の付着物除去方法。
  5. 前記付着物は鍍金法で形成された皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜1000μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の付着物除去方法。
  6. 前記付着物は塗布法又はゾル−ゲル法にて形成された皮膜であり、当該皮膜の厚みは1〜150μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の付着物除去方法。
JP2017052221A 2017-03-17 2017-03-17 付着物除去方法 Pending JP2018153748A (ja)

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