JP2018150716A - 木造建築用の補強具および補強セット - Google Patents
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Abstract
【課題】胴差の間に従前よりも長い桟を架け渡すことができ、木造建築でありながらこれまでになく広い間取りを構築することのできる補強具および補強セットが望まれている。【解決手段】補強セットSは補強具1,1と挟持部材2とから構成されている。補強具1は、木造建築の胴差などの側面にあてがわれる竪板部3と、竪板部3の上辺部分3Aから水平方向に延在して形成された掛止部4と、竪板部3の一側面3Bに掛止部4とは反対側の水平方向に突設されて断面略U字状に形成された桟受部5と、から成っている。桟受部5の外側面13Aと竪板部3の一側面3Bとが補強板6で連結されている。竪板部3の側面切欠き部7と、側面切欠き部7につながった掛止部4の上面切欠き部8とを有している。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば木造建築における胴差などの間に桟などを架け渡した接続構造を補強するための、補強具および当該補強具を備える補強セットに関するものである。
従来、鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造などよりも格段に安価で済むことから、木造建築の家屋が汎用されている。このような木造建築においては、その2階構造として、平行する胴差間に2階根太などの桟を複数架け渡す際に蟻接ぎなどの接手構造が使用されている。すなわち、図8に示すように、桟Tの両端部に蟻接ぎの蟻凸部21,21が形成され、胴差D,Dの蟻接ぎ予定位置に蟻溝20,20が形成される。そして、桟Tの蟻凸部21,21が胴差D,Dの蟻溝20,20に嵌着されることにより、胴差D,D間に桟Tが固定されるようになっている。このような蟻接ぎは、接着剤、クギ、木ネジなどで補強されることが多い。ところで、木造建築2階の間取りの大きさは桟Tの長さL0により決まってくるが、一般に慣用される桟Tの長さL0は5mが限界とされていた。そのために、施主が広い部屋が欲しいと思っても、一辺が5m以下という慣行に阻まれて広い部屋を有する木造家屋を持てないという不都合があった。
他方で、桟Tは時間が経つにつれて徐々に乾燥し両端部が矢印M,−M方向に縮んで短くなろうとする。そのために、胴差Dの蟻溝20から蟻凸部21が外れやすくなり、構造強度が低下するという不具合があった。すなわち、強い地震や台風などに遭遇した際に、木造建築は大きく歪んで揺れたりするが、図8に示した構造のように、元々弱い箇所である桟Tの両端部の接合部分H,Hと、桟Tの略中央の途中部分Gは特に損傷を受けやすかったのである。
そこで、下記の特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1開示の接続構造は、胴差の内側面の固定されている小梁受板に小梁の先端が掛止されるとともに、小梁先端の上面および胴差の上面にわたって載せられた側面視L字状の結合板片がボルトなどで固定される構造である。
また、下記の特許文献2のような技術も知られている。特許文献2開示の接続構造は、一方の梁の側面に蟻溝が形成され、他方の梁の先端に蟻凸部が形成され、側面視乙字状である爪付き接続金具が蟻溝と蟻凸部との間に介装されることにより、双方の梁が接続される構造である。
また、下記の特許文献2のような技術も知られている。特許文献2開示の接続構造は、一方の梁の側面に蟻溝が形成され、他方の梁の先端に蟻凸部が形成され、側面視乙字状である爪付き接続金具が蟻溝と蟻凸部との間に介装されることにより、双方の梁が接続される構造である。
ところで、上記した特許文献1に記載の接続構造は、胴差内側にある短幅の小梁受板に小梁の先端が単に載置支持されているだけであり、特許文献2に記載の接続構造も梁の先端が接続金具の短寸の荷重受け部に載置支持されているだけなので、いずれの技術も梁の先端が胴差から外れやすかった。また、長年の使用により桟や梁が乾燥して短くなろうとするが、これによっても桟や梁が胴差から外れやすくなる。更に、従前の桟や梁より長いものはそれ自体で強度が小さくなるが、特許文献1,2で用いる接続用の金具によっては、桟や梁の強度低下を十分に補充できなかったのである。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、胴差などの間に、従前よりも長い桟などを用いることができ、木造建築でありながらこれまでになく広い間取りを構築することのできる補強具および補強セットの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る補強具は、木造建築の胴差などの側面にあてがわれる竪板部と、前記竪板部の上辺部分から水平方向に延在して形成され前記胴差などの上面に跨って掛止される掛止部と、前記竪板部の一側面に前記掛止部とは反対側の水平方向に突設されて桟などを受けるために断面略U字状に形成された桟受部と、から成ることを特徴とする構成にしてある。
また、前記構成において、桟受部の外側面と竪板部の一側面とが補強板で連結されているものである。
そして、前記した各構成において、突設された桟受部の内側に位置する竪板部が切り欠かれて形成された側面切欠き部と、掛止部が切り欠かれて形成されていて側面切欠き部につながる上面切欠き部と、を有して成るものである。
更に、前記した各構成において、長さ5mを超える前記桟などの両端部に用いられるものである。
また、本発明に係る木造建築用補強セットは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の補強具と、前記桟などの途中部分を両側から挟みつける挟持部材と、から成るものである。
本発明に係る木造建築用の補強具は、胴差などの側面にあてがわれる竪板部と、胴差などに掛止される掛止部と、桟などを受ける桟受部とから構成されているので、竪板部および掛止部が胴差などに掛止され桟受部が桟などを支持するから、平行する胴差などの間に桟などをしっかりと架け渡すことができる。そのとき、断面Uの字状の桟受部は桟などの先端部を収受しているから、これまでより長い桟などを用いた場合であっても、必要な構造強度を保持しながら架け渡すことができる。尚、前記した桟受部の長さは、桟などの長さの例えば1/20〜1/10、具体的には例えば25〜80cm程度が望ましい。桟などの長さが1/20よりも短いと、桟などを受ける受け寸法が短すぎて、桟などの経時縮退や長手方向の揺れによる桟などの脱落を招くおそれがある。一方で、桟などの長さが1/10よりも長いと、竪板部との接続位置を中心として桟受部にかかる水平方向のモーメントが大きくなりすぎて桟受部が竪板部から破断するおそれがあり、補強具の全体重量が重くなりすぎるという不具合も生じる。
また、桟受部の外側面と竪板部の一側面とが補強板で連結されているものでは、竪板部に対する桟受部の強度が大きくなるので、地震などで桟などが横揺れを受けた場合でも、竪板部に対して桟受部が曲げられたり破断されたりすることを防止できるので、更なる高強度の補強具を提供することができる。
そして、竪板部の側面切欠き部と掛止部の上面切欠き部を有するものでは、桟などの先端に蟻凸部を形成するとともに胴差などに蟻溝を形成しておき、当該蟻溝が上面切欠き部および側面切欠き部から覗く位置の胴差などに補強具の掛止部を掛止させることで、例えば蟻接ぎなどのような従来慣用の接合作業も行なうことができる。すなわち、従来と変わらぬ接合作業もが行なえるので、従来の接合手法による強度増加も加わって、よりいっそう接合強度の高い構造を提供することができる。
更に、本発明の補強具を適用する場合は、従来慣用されていた長さ5m以下の桟などに替えて、長さ5mを超える長い桟などを用いることができる。その場合でも、補強具に支持された桟などは充分な強度を保持し得るので、2階の間取りとして広い部屋を構築することができる。
また、本発明に係る木造建築用の補強セットは、前記した補強具と、桟などの途中部分を両側から挟みつける挟持部材とを備えているので、長い桟などの比較的低い強度の途中部分を挟持部材が補強するから、補強具に加えて挟持部材の存在により架け渡し構造の強度をいっそう高く保持することができ、それに加えて挟持部材の存在により桟などが大きく撓むことも防止できる。尚、前記した挟持部材の長さは、桟などの長さの1/10〜1/6、具体的には60〜150cm程度とするのが、過不足のない適正な補強度の提供および軽量化の観点から望ましい。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、図1は本発明の一実施形態に係る木造建築用の補強セットを示す斜視図、図2は前記補強セットの一部として用いる木造建築用の補強具を示す図であって(a)は平面図、(b)は底面図、図3は前記補強具を示す側面図である。但し、図8に示した従来の木造建築構造と同一の構成要素には、同一の符号を付すとともにその詳細な説明を省略することがある。
図1において、この実施形態に係る木造建築用の補強セットSは、例えば胴差Dに掛止されて例えば桟Tを支持する補強具1と、桟Tの途中部分を両側から挟みつけて補強する挟持部材2と、から構成されている。これらの補強具1と挟持部材2は安価な例えば鉄鋼板材で構成されている。但し、これらの補強具1と挟持部材2は一定以上の強度を有する材質のものであれば異存はなく、例えばステンレス鋼、カーボンファイバー材、高密度超硬合成樹脂などで構成することも可能である。ここで適用される胴差などの代表例は例えば1階と2階の間に配備される胴差Dであり、桟などの代表例は例えば2階根太(桟T)である。
図1において、この実施形態に係る木造建築用の補強セットSは、例えば胴差Dに掛止されて例えば桟Tを支持する補強具1と、桟Tの途中部分を両側から挟みつけて補強する挟持部材2と、から構成されている。これらの補強具1と挟持部材2は安価な例えば鉄鋼板材で構成されている。但し、これらの補強具1と挟持部材2は一定以上の強度を有する材質のものであれば異存はなく、例えばステンレス鋼、カーボンファイバー材、高密度超硬合成樹脂などで構成することも可能である。ここで適用される胴差などの代表例は例えば1階と2階の間に配備される胴差Dであり、桟などの代表例は例えば2階根太(桟T)である。
続いて、前記した補強セットSのうちの補強具1を、主に図1〜図3を用いて説明する。この補強具1は全体が例えば厚さ10mm程度の鋼板で構成されていて、各部は溶接付けや折り曲げなどで構築されている。すなわち、補強具1は、板面を縦向きに配置される竪板部3と、竪板部3の上辺部分3Aから水平方向に延在して形成された掛止部4と、竪板部3の一側面3Bに掛止部4とは反対側の水平向きに溶接などで突設された断面略U字状の桟受部5と、桟受部5の左右の外側面13A,13Aと竪板部3の一側面3Bとをそれぞれ連結した補強板6,6と、胴差Dや桟Tに固定するために用いられる幾組かのボルトBおよびナットNと、から構成されている。
前記の竪板部3は横長の長方形状に形成されており、桟受部5の内側のあたる竪板部3の位置に竪板部3が切り欠かれて側面切欠き部7が形成されている。また、掛止部4における横板部分10の竪板部3近傍位置が切り欠かれて上面切欠き部8が形成されており、この上面切欠き部8は前記の側面切欠き部7とつながっている。竪板部3における上辺部分3Aの近傍位置には、ボルト穴15,15,15,15が穿設されている。
前記の掛止部4は、竪板部3の上辺部分3Aから水平方向に延在して竪板部3と一体に形成された横板部分10と、横板部分10の先端辺部分から垂直方向下向きに延在して横板部分10と一体に形成された垂板部分11と、から構成されている。すなわち、掛止部4と竪板部3との一体構造は、側面から視て天地逆Lの字状に形成されている。そして、横板部分10における垂板部分11の内面11Aと竪板部3の内側面3Cとの間の寸法は、胴差Dの横幅よりもわずかに広く設定されている。すなわち、掛止部4および竪板部3は、胴差Dの長手方向に沿って装着され得るように長尺に形成されている。横板部分10における竪板部3の近傍位置には、釘穴16,16,16,16,16,16が穿設されている。竪板部3のボルト穴15,15,15,15と対向する位置の垂板部分11にも、ボルト穴15,15,15,15が穿設されている。
前記の桟受部5は、桟Tを載せて支持する底板部分12と、底板部分12の左右両辺部分から垂直方向上向きに延在して底板部分12と一体に形成された側板部分13,13と、から構成されており、上面開口14を有する正面視で略Uの字状に形成されている。すなわち、桟受部5は掛止部4および竪板部3の長手方向とは直角の方向に長尺の長さL2(図3参照)に形成されていて、補強具1全体の平面形状は略Tの字状になっている。
前記の補強板6は例えば平面視で三角形状に形成されていて、竪板部3の一側面3Bと側板部分13の外側面13Aとに溶接などで固着されている。この補強板6の存在により、竪板部3に対して桟受部5が左右の曲げ応力に耐えられるようになっている。但し、この補強板6の平面形状は三角形に限られない。
前記の補強板6は例えば平面視で三角形状に形成されていて、竪板部3の一側面3Bと側板部分13の外側面13Aとに溶接などで固着されている。この補強板6の存在により、竪板部3に対して桟受部5が左右の曲げ応力に耐えられるようになっている。但し、この補強板6の平面形状は三角形に限られない。
上記のように構成された木造建築用の補強具1の作用について、図4および図5を主に用いて説明する。
この補強具1が適用される木造建築は従来技術で示したものと同様の構造である。すなわち、平行する胴差D,D間に架け渡される桟Tの両端部に、蟻接ぎの蟻凸部21,21が形成される。一方、胴差D,Dの蟻接ぎ予定位置には、蟻溝20,20が形成される。そして、桟Tの蟻凸部21,21が胴差D,Dの蟻溝20,20に嵌着されることにより、胴差D,D間に桟Tが固定されるようになっている。ここで用いられる桟Tにおいて、両側の蟻凸部21,21を除く長さLは例えば8mである。
この補強具1が適用される木造建築は従来技術で示したものと同様の構造である。すなわち、平行する胴差D,D間に架け渡される桟Tの両端部に、蟻接ぎの蟻凸部21,21が形成される。一方、胴差D,Dの蟻接ぎ予定位置には、蟻溝20,20が形成される。そして、桟Tの蟻凸部21,21が胴差D,Dの蟻溝20,20に嵌着されることにより、胴差D,D間に桟Tが固定されるようになっている。ここで用いられる桟Tにおいて、両側の蟻凸部21,21を除く長さLは例えば8mである。
この実施形態では、先ず、各胴差Dの蟻溝20が補強具1の側面切欠き部7および上面切欠き部8から覗く位置となるように、作業者は1対の補強具1,1を胴差D,Dに配置し、それぞれ掛止部4の横板部分10を胴差Dの上面DBに跨らせて垂板部分11を胴差Dの外側面に掛止させ、竪板部3の内側面3Cを胴差Dの内側の側面DAにあてがわせる。この状態にすると、各補強具1における竪板部3のボルト穴15,・・・および垂板部分11のボルト穴15,・・・、ならびに各胴差Dのボルト穴19,・・・(図5参照)が一連に並んで連通する。そこで、作業者は各補強具1の釘穴16,16,・・・・から釘P,P,・・・・を打ち込んで各胴差Dへの位置決め固定を行なう。続いて、作業者が一連のボルト穴15,19,15にボルトBを挿通しナットNで締めることにより、各胴差Dに各補強具1が確実に固定される。
次に、作業者は、固定された各補強具1の桟受部5の上面開口14から桟Tの先端部を桟受部5内に装入する。そして、桟Tの蟻凸部22を胴差Dの蟻溝20に嵌着させると、桟Tの底面が桟受部5の底板部分12上に載る。すると、各補強具1における桟受部5の側板部分13,13のボルト穴15,・・・・・および桟Tのボルト穴19,・・・・・(図4参照)は一連に並んで連通する。このように一連に並んだボルト穴15,19,15にボルトBを挿通しナットNで締めることにより、各補強具1が桟Tに固定される。すなわち、両端の蟻接ぎに加えて1対の補強具1,1によっても、桟Tが胴差D,Dに固定されるのである。
上記した構成の補強具1によれば、竪板部3および掛止部4が胴差Dにしっかりと掛止される。それに加えて、胴差Dに対し直角方向に長く延びる桟受部5は、その底板部分12が桟Tの先端部を載せて支持するので桟Tの軸心方向の縮みや揺れに耐えられるとともに、両側の側板部分13,13が桟Tの先端部を収容して側方から保持するので桟Tの軸心と直角の横揺れにも耐えられる。これらに起因して、補強具1,1に収受・支持された桟Tは充分な強度を保持し得る。従って、長さ5mを超える長い桟Tであっても支障なく用いることができ、特に2階の間取りとして広い部屋を構築できるのである。一方で、強い地震や台風に遭遇して胴差D長手方向や桟T長手方向の横揺れがあっても、この接続構造は耐えられる。因みに、例えば木造住宅の棟上げ直後でも、桟Tの先端部が断面Uの字状の桟受部5内に収受されて乗っかっているので接続構造が崩れることがなく、1階に居る作業者に対しても安全・安心を提供することができる。
また、この補強具1は桟受部5の外側面13Aと竪板部3の一側面3Bとが補強板6で連結されているので、竪板部3に対する桟受部5の強度がいっそう高くなるから、地震などで桟Tが横揺れを受けた場合でも、竪板部3に対して桟受部5が曲げられたり破断されたりすることを防止できる。従って、更なる高強度の補強具1を提供して、木造建築の剛性を高めることができる。
そして、この補強具1は側面切欠き部7および上面切欠き部8を有しているので、予め桟Tの先端部に蟻凸部21を形成するとともに胴差Dに蟻溝20を形成しておいた場合、蟻溝20が上面切欠き部8および側面切欠き部7から覗く位置の胴差Dに補強具1の掛止部4を掛止させれば、従来慣用の蟻接ぎ作業も行なうことができる。すなわち、従来と変わらぬ接合作業が行なえるので、新たな接合手法の導入にためらいがちな大工さんであっても、補強具1,1を用いた接合作業を躊躇なく実施できる。
尚、上記の実施形態では補強具のみについて説明したが、本発明はそれに限定されるものでない。例えば図6に示すように、前記の補強具1に加えて挟持部材2を有する補強セットSも、本発明に含まれる。挟持部材2は、1対の挟持片2A,2A、ボルトB,・・・およびナットN,・・・で構成されている。各挟持片2Aは、縦向きに配置される側板部分17と、側板部分17の上辺および下辺から水平方向に延在して側板部分17と一体に構成された上下の横板部分18,18と、から断面コ字状に形成されている。各挟持片2Aの長さL1(図1参照)は例えば90cmにしてある。挟持部材2の挟持片2A,2Aは横板部分18,18を互いに内向きにして用いられ、桟Tにおける長手方向中央部である途中部分Gを両側から挟みつけるようになっている。
ところで、ここで用いる桟Tは従前品よりもかなり長いために、特に長手方向中央部(途中部分G)の剛性が低下せざるを得ないのであるが、この補強セットSによれば、桟Tの途中部分Gが1m程度の長さにわたって側方両側から挟持部材2により挟持されるので、当該弱くなる部分をしっかりと補強することができる。すなわち、両端の2つの接合部分H,Hは蟻接ぎにより固定されながら補強具1,1で更に補強・保持されており、加えて桟Tの長手方向中央の途中部分Gが挟持部材2で補強されるので、8mもの長い桟Tであっても胴差D,D間への架け渡し構造の強度を高くすることができる。そして、桟Tが大きく撓むことも挟持部材2により防止できる。従って、木造建築でありながら、これまでに無く広い間取りの2階部屋を構築できたのである。また、この挟持部材2を用いると、桟T自体の補強も短時間で安価に行なうことができる。
また、前記の実施形態では、胴差D,Dと桟Tとの接合を確実かつ高強度にするために、挟持部材2を用いた例を示したが、それ以外の部位にも挟持部材2を用いることができる。
例えば、図7(a)に示すように、或る胴差Dに別の胴差Dを鎌接ぎで接合することがある。この場合、鎌接ぎ部Jの近傍位置(慣行として距離K≦30cm)に柱Qを配して支持させることが慣わしとなっている。
そこで、図7(b)に示すように、胴差D,Dにおける鎌接ぎ部Jの近傍にボルト穴19,・・・を穿設し、更に挟持部材2の挟持片2A,2Aを用いて鎌接ぎ部Jを両側から挟み付けボルトB,・・・を挿通してナットN,・・・で締め付けると、十分かつ確実に接合部分が補強される。その場合は、従来技術で用いた柱Q(図7(b)中の2点鎖線)を省略することが可能であり、その場合でも充分な強度は得られる。但し、柱Qを従来通りに設けても構わない。
例えば、図7(a)に示すように、或る胴差Dに別の胴差Dを鎌接ぎで接合することがある。この場合、鎌接ぎ部Jの近傍位置(慣行として距離K≦30cm)に柱Qを配して支持させることが慣わしとなっている。
そこで、図7(b)に示すように、胴差D,Dにおける鎌接ぎ部Jの近傍にボルト穴19,・・・を穿設し、更に挟持部材2の挟持片2A,2Aを用いて鎌接ぎ部Jを両側から挟み付けボルトB,・・・を挿通してナットN,・・・で締め付けると、十分かつ確実に接合部分が補強される。その場合は、従来技術で用いた柱Q(図7(b)中の2点鎖線)を省略することが可能であり、その場合でも充分な強度は得られる。但し、柱Qを従来通りに設けても構わない。
そして、上記の各実施形態では蟻接ぎも同時に行なうことを前提にした補強具1を例示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、側面切欠き部7および上面切欠き部8の無い補強具(図示省略)も本発明に含まれる。このような補強具を用いる場合、蟻接ぎは行なわれず、桟Tの先端部を補強具の桟受部5内に収容して底板部分12に載置させた状態としボルトBおよびナットNで固定するのである。このような接続構造であっても、十分な接続強度を提供することができる。
また、上記の各実施形態では、平行する胴差D,D間に桟Tを架け渡した木造建築の構造を例示したが、本発明が適用される木材としてはそれらに限定されず、例えば平行する軒桁間に小屋梁を架け渡す構造や、平行する土台間に大引きを架け渡す構造などにも適用可能である。但し、大引きには途中部分に束木を用いて支持させることができるので元来は補強具1を必要としないが、少々長い大引きを用いようとする場合に本発明の補強具や挟持部材を用いれば、木造建築全体の強度が確実に高くなることは言うまでもない。
1 補強具
2 挟持部材
2A 挟持片
3 竪板部
3A 上辺部分
3B 一側面
4 掛止部
5 桟受部
6 補強板
7 側面切欠き部
8 上面切欠き部
10 横板部分
11 垂板部分
12 底板部分
13 側板部分
13A 外側面
14 上面開口
20 蟻溝
21 蟻凸部
D 胴差
DA 側面
DB 上面
G 途中部分
S 補強セット
T 桟(2階根太)
L 長さ
2 挟持部材
2A 挟持片
3 竪板部
3A 上辺部分
3B 一側面
4 掛止部
5 桟受部
6 補強板
7 側面切欠き部
8 上面切欠き部
10 横板部分
11 垂板部分
12 底板部分
13 側板部分
13A 外側面
14 上面開口
20 蟻溝
21 蟻凸部
D 胴差
DA 側面
DB 上面
G 途中部分
S 補強セット
T 桟(2階根太)
L 長さ
Claims (5)
- 木造建築の胴差などの側面にあてがわれる竪板部と、
前記竪板部の上辺部分から水平方向に延在して形成され前記胴差などの上面に跨って掛止される掛止部と、
前記竪板部の一側面に前記掛止部とは反対側の水平方向に突設されて桟などを受けるために断面略U字状に形成された桟受部と、
から成ることを特徴とする木造建築用の補強具。 - 前記桟受部の外側面と前記竪板部の一側面とが補強板で連結されている請求項1に記載の木造建築用の補強具。
- 突設された前記桟受部の内側に位置する竪板部が切り欠かれて形成された側面切欠き部と、前記掛止部が切り欠かれて形成されていて前記側面切欠き部につながる上面切欠き部と、を有して成る請求項1または請求項2に記載の木造建築用の補強具。
- 長さ5mを超える前記桟などの両端部に用いられる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の木造建築用の補強具。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の補強具と、
前記桟などの途中部分を両側から挟みつける挟持部材と、から成ることを特徴とする補強セット。
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- 2017-03-13 JP JP2017047394A patent/JP2018150716A/ja active Pending
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