JP2018150500A - 両親媒性共重合体、毛髪化粧料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1ブロックと第2ブロックとが所定の連結部位で連結した両親媒性共重合体である。第1ブロックは所定のモノマー(A)由来の繰り返し構成単位とモノマー(B)由来の構成単位とを含む。第2ブロックは所定のモノマー(c)由来の繰り返し構成単位とモノマー(D)由来の繰り返し構成単位とを含む。
【選択図】なし
Description
カルボキシ基及びエポキシ基の少なくとも一方を有するビニルモノマー(c)由来の繰り返し構成単位と、疎水性ビニルモノマー(D)由来の繰り返し構成単位と、を含む第2ブロックと、を有し、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとは、前記第1ブロックにおける前記連結モノマー(A)由来の構成単位と前記第2ブロックにおける前記ビニルモノマー(c)由来の構成単位とで連結しており、
水中での粒度分布測定による体積基準での10%累積分布粒子径D10、50%累積分布粒子径D50、及び90%累積分布粒子径D90が、0.5≦{(D90−D10)/D50}≦1.5の関係を満足する、両親媒性共重合体。
前記式(2)中、R6は水素原子又はメチル基を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、及び水酸基を有する炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基から選ばれる1種の1価の基を表す。
前記式(3)中、R9は水素原子又はメチル基を表し、R10は分岐構造を有する炭素数8〜22のアルキル基である。
前記式(5)中、R15は水素原子又はメチル基を表し、R16は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは酸素原子又はNHを表し、Zは置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、rは1〜100の整数を表す。
カチオン界面活性剤0.1〜20質量%と、
高級アルコール0.1〜20質量%と、を含む、毛髪化粧料組成物。
アニオン界面活性剤5〜40質量%と、を含む、毛髪化粧料組成物。
また、両親媒性共重合体において、第1ブロックと第2ブロックとは、第1ブロックにおける連結モノマー(A)由来の構成単位と第2ブロックにおけるビニルモノマー(c)由来の構成単位とで連結している。すなわち、連結モノマー(A)のラジカル重合性ビニル系官能基が第1ブロックと結合し、連結モノマー(A)の非ラジカル重合性ビニル系官能基が第2ブロックと結合する。
さらに本発明に係る両新媒性共重合体は、水中での粒度分布測定による10%累積分布粒子径D10、50%累積分布粒子径D50、及び90%累積分布粒子径D90が、0.5≦{(D90−D10)/D50}≦1.5の関係を満足する。
第1ブロックは、親水性ビニルモノマー(B)由来の繰り返し構成単位と連結モノマー(A)由来の構成単位とを含む。第1ブロックは、例えば疎水性の部分を有してもよいが、全体としては例えば親水性の領域であり、親水性ブロックということもできる。以下適宜、連結モノマー(A)及び親水性モノマー(B)をそれぞれモノマー(A)、モノマー(B)という。また、連結モノマー(A)の好ましい態様として連結モノマー(a)、親水性モノマー(B)の好ましい態様として親水性モノマー(b)が挙げられる。連結モノマー(a)、親水性モノマー(b)の詳細は後述するが、これらを単にモノマー(a)、モノマー(b)という。
第1ブロック中の繰り返し構成単位の合計100重量部に対して、モノマー(B)由来の繰り返し構成単位が90重量部以上であることが得られる両親媒性共重合体の水中での分散度が1.0に近いエマルション状態をとることができるという点から好ましく、92重量部以上がより好ましく、95重量部以上がより好ましい。また、両親媒性共重合体が安定なエマルション状態を形成することができるという点から100重量部以下が好ましく、99重量部以下がより好ましい。
モノマー(B)由来の構成単位100質量部に対するモノマー(A)由来の構成単位の含有量は0.8質量部を超えることが好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、2.9質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましい。
連結モノマー(A)の好ましい態様として下記式(1)で表される連結モノマー(a)が挙げられる。モノマー(a)は、下記式(1)で表される通り、ラジカル重合性ビニル系官能基とオキサゾリン系官能基とを有する。式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2〜R5はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、又はアルコキシアリール基を表し、Aは任意の2価の連結基又は直接結合を表す。
親水性ビニルモノマー(B)の好ましい態様として式(2):CH2=C(R6)−CO−NR7R8で表される親水性ビニルモノマー(b)が挙げられる。
式(2)中、R6は水素原子又はメチル基を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、及び水酸基を有する炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基から選ばれる1種の1価の基を表す。
R7、R8における「炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。「水酸基を有する炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基」としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−2−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルエチル基等が挙げられ、中でも2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
第2ブロックは、ビニルモノマー(c)由来の繰り返し構成単位と疎水性ビニルモノマー(D)由来の繰り返し構成単位とを含む。第2ブロックは、例えば親水性の部分を有していてもよいが、全体としては例えば疎水性の領域であり、疎水性ブロックということもできる。以下適宜、ビニルモノマー(c)及び疎水性ビニルモノマー(D)をそれぞれモノマー(c)、モノマー(D)という。また、疎水性ビニルモノマー(D)の好ましい態様として疎水性ビニルモノマー(d)が挙げられる。疎水性ビニルモノマー(d)の詳細は後述するが、これを単にモノマー(d)という。
第2ブロック中の繰り返し構成単位の合計100重量部に対して、モノマー(c)由来の繰り返し構成単位は20重量部以上であることが好ましい。この場合には、モノマー(c)が後述のカルボキシ基を有していても、両親媒性共重合体が水中にて分子内水素結合による安定的なコアを形成しやすく、分散状態を保持できるエマルジョンの分子構造をとることができる。その結果、両親媒性共重合体が水中で不溶化したり、沈降したりすることをより防止できる。したがって、取り扱いがより容易になり、水を溶媒とする毛髪化粧料組成物などに適用し易くなる。この効果をより高めるという観点から、25質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、35質量部以上であることがさらにより好ましく、40重量部以上がより一層好ましい。また、第2ブロック中の繰り返し構成単位の合計100質量部に対して、モノマー(c)由来の構成単位の含有量は90質量部以下であることが好ましい。この場合には、共重合体の疎水性相互作用が弱まることを防止できる。そのため、安定的なコアが形成され易くなり、両親媒性共重合体が製造時の溶媒中でゲル化、不溶化することをより防止できる。その結果、両親媒性共重合体の取り扱いがより容易になる。また、水中での不溶化もより防止できる。その結果、両親媒性共重合体を例えば毛髪化粧料組成物などにより適用し易くなる。ゲル化、不溶化をより回避するためにはモノマー(c)由来の構成単位の含有量は80質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましく、60質量部以下であることがさらにより好ましく、50質量部以下であることがさらにより一層好ましい。
モノマー(c)は、カルボキシ基及びエポキシ基の少なくとも一方を有するビニルモノマーである。カルボキシ基を少なくとも有するビニルモノマー(c)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フタル酸2−メタクロイルオキシエチル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2(2−カルボキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸テレフタレート等が挙げられる。
CH2=C(R22)−COO−(CH2)e−OCO−Q−COOH・・・(8)
(式中、R22は水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4の整数を表し、Qは置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
疎水性ビニルモノマー(D)の好ましい態様として、式(3):CH2=C(R9)−COO−R10で表される疎水性ビニルモノマー(d)が挙げられる。
モノマー(d)は、式(3):CH2=C(R9)−COO−R10で表される。モノマー(d)由来の構成単位によって両親媒性共重合体には疎水性部位(親油性部位)が付与される。この疎水性部位が疎水的な例えばコンディショニング剤等と強く相互作用することにより、両親媒性共重合体のコンディショニング剤等への親和性が向上する。さらに、疎水性部位の効果により両親媒性共重合体自体にサラサラ等の感触を付与する効果を与えることができ、両親媒性共重合体を含有する毛髪化粧料組成物が配合された各種製品にサラサラとした使用感等を付与することができる。モノマー(d)としては、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
第2ブロックは、さらに式(4):CH2=C(R11)−X−(SiR12R13−O)n−R14で表されるビニルモノマー(e)を含有することができる。なお、以下適宜、ビニルモノマー(e)をモノマー(e)という。モノマー(e)は、モノマー(d)と同様に、両親媒性共重合体に疎水性部位(親油性部位)を付与することができる。
−COO−R25− ・・・(4a)
−CONH−R26− ・・・(4b)
−O−R27− ・・・(4c)
−R28− ・・・(4d)
第2ブロックは、さらに式(5):CH2=C(R15)−CO−Y−(Z−O)r−R16で表されるビニルモノマー(f)由来の繰り返し構成単位を含有することができる。なお、以下適宜、ビニルモノマー(f)をモノマー(f)という。モノマー(f)由来の構成単位によって両親媒性共重合体には適度な親水性が付与される。そのため、両親媒性共重合体は、使用時のなめらかさ等の感触を損なうことなく、ダメージ毛への親和性を高めることができ、ダメージ毛に吸着しやすくなる。このため、指通りが良好になる。モノマー(f)としては、式(5)で表される物質のうち、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
R15はメチル基が好ましい。また、モノマー(f)は適度な親水性のあるものが好ましいため、R16は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基であることがより好ましい。Yは好ましくは酸素原子である。rは好ましくは2以上の整数であり、一方、好ましくは10以下の整数であり、より好ましくは6以下の整数であり、更に好ましくは4以下の整数である。
第1ブロック、第2ブロックはいずれも、本発明の効果を損なわない範囲において、モノマー(a)〜(f)以外にも、他のビニルモノマー由来の構成単位を含有することができる。その他のビニルモノマーとしては、例えば、ノニオン性モノマー、両性モノマー、半極性モノマー、カチオン性モノマー等が用いられうる。但し、これらその他のモノマーには、前記の各モノマー(a)〜(f)は含まないものとする。
通常、両親媒性共重合体の全質量に対してその他のモノマーに由来する構成単位は40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
両親媒性共重合体は、モノマー(B)由来の繰り返し構成単位とモノマー(A)由来の構成単位とを含む第1ブロックと、該第1ブロックから分岐して伸びる1つ以上の第2ブロックとを有する。例えば、モノマー(b)由来の繰り返し構成単位とモノマー(a)由来の構成単位とを含む第1ブロックと、該第1ブロックから分岐して伸びる1つ以上の第2ブロックとを有する。第1ブロックのことを主鎖、第2ブロックのことを分岐鎖ということもできる。
第2ブロックは、モノマー(c)由来の繰り返し構成単位と、モノマー(D)由来の繰り返し構成単位とを有し、好ましくはモノマー(c)由来の繰り返し構成単位と、モノマー(d)由来の繰り返し構成単位とを有する。
第1ブロックと第2ブロックとは、第1ブロック中のモノマー(A)、好ましくはモノマー(a)と、分岐鎖中のモノマー(c)との共有結合により連結されている。第2ブロックは、第1ブロック中のモノマー(A)、好ましくはモノマー(a)由来の構成単位との連結部位に上述のように少なくともモノマー(c)由来の構成単位を含み、さらにモノマー(c)由来の構成単位の繰り返し構造よりなる領域、モノマー(c)由来の構成単位を主成分とする領域、モノマー(D)、好ましくはモノマー(d)由来の構成単位の繰り返し構造よりなる領域、モノマー(D)、好ましくはモノマー(d)由来の構成単位を主成分とする領域、モノマー(c)及びモノマー(D)、好ましくはモノマー(d)のランダム共重合体よりなる領域等を含むことができると考えられる。
両親媒性共重合体において、モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(D)、モノマー(a)、モノマー(b)、モノマー(c)、モノマー(d)、モノマー(e)、モノマー(f)、及びその他のモノマーに由来するそれぞれの構成単位の含有量は、例えばIR吸収、ラマン散乱、1H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、GPC(つまり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)、GC(つまり、ガスクロマトグラフィ)、元素分析等により測定することができる。
連結モノマー(A)及び連結モノマー(a)由来の構成単位の含有量を除く、第1ブロック、第2ブロックの全成分の分析方法としては、例えば以下の方法がある。具体的には、まず、重合体を含む溶液、固体などをエタノールや水などの溶媒で希釈し、フィルター膜を通して高分子量成分を除去する。その後、ガスクロマトグラフ(つまりGC)分析や高速液体クロマトグラフ(つまりHPLC)分析により、保持時間から残存モノマーが同定できる。また、HPLCを用いて、残存モノマー成分を分取・精製し、核磁気共鳴(つまりNMR)分析によりモノマーの構造解析をする。また、高分解能NMR分析を用いることにより共重合体中でのモノマー由来の構成単位の組成比を知ることも可能である。なお、共重合体は、加水分解することにより、モノマー(A)又はモノマー(a)とモノマー(c)とが分離するため、第1ブロックと第2ブロックとを分離することができる。
連結モノマー(A)及び連結モノマー(a)由来の構成単位の含有量の分析方法としては、例えば以下の方法がある。
架橋点が上述の式(6)の場合、まず、共重合体をHPLCや再沈殿等により精製し、高分解能NMR分析(1H、13C、14N)を行う。次いで、塩基性条件下において水と反応させてエステル側を加水分解し、第1ブロックと第2ブロックを解離させる。その後、例えばHPLCにより第1ブロックのみを分取・濃縮し、高分解能NMR分析を行う。モノマー(A)として例えばモノマー(a)に該当する2−ビニル−2−オキサゾリンを用いると、該モノマーは開環・加水分解後にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドと同じ構造になることから、両NMR分析を比較することによって、架橋密度が算出できる。
一方、上述の架橋点が式(7)の場合、上記同様、共重合体を高分解能NMR分析する。そして、この場合には、架橋点に特徴的な5員環が2種類あるため特徴的なスペクトルを示す。そのため、この特徴的なスペクトルに基づいて架橋密度が算出できる。
本発明に係る両親媒性共重合体は、水中でエマルジョン化し、ナノレベルで微分散することができる(ナノエマルジョン化)。また、粒子径のバラツキも小さくすることができる。このような水性エマルジョンは従来存在せず、前記両親媒性共重合体を用いることにより達成しうる。水性エマルジョンは、長時間経過しても沈殿や析出が起こりにくく、コンディショナーの有効成分との親和性が良好となる。水中での両親媒性共重合体の粒子径は、動的光散乱法により測定され、累積分布粒子径により規定できる。測定方法については実施例にて後述する。
両親媒性共重合体の水中での粒度分布測定による10%累積分布粒子径D10(体積基準)、50%累積分布粒子径D50(体積基準)、及び90%累積平均粒子径D90(体積基準)が、0.5≦{(D90−D10)/D50}≦1.5の関係を満足する。この範囲とすることにより、両親媒性共重合体を例えば毛髪化粧料組成物として用いた場合に、コンディショニング成分の健常毛への付着量を抑制しつつ、ダメージ毛への付着量を増大させることができる。また、毛髪の櫛通りをより滑らかにすることができる。この効果をより高めるために、0.7≦{(D90−D10)/D50}≦1.3を満足することがより好ましく、0.9≦{(D90−D10)/D50}≦1.1を満足することがさらに好ましい。
両親媒性共重合体の水中での粒度分布測定による10%累積分布粒子径D10(体積基準)及び90%累積平均粒子径D90(体積基準)が、(D90−D10)≦200nmの関係を満足することが好ましく、(D90−D10)≦150nmの関係を満足することがより好ましい。この範囲とすることにより、両親媒性共重合体を例えば毛髪化粧料組成物として用いた場合に、コンディショニング成分の健常毛への付着量をより抑制しつつ、ダメージ毛への付着量をより増大させることができる。
両親媒性共重合体は、水中での粒度分布測定による50%累積分布粒子径D50(体積基準)がD50≦500nmの関係を満足することが好ましい。この範囲とすることにより、両親媒性共重合体を例えば毛髪化粧料組成物として用いた場合に、コンディショニング成分の健常毛への付着量をより抑制しつつ、ダメージ毛への付着量をより増大させることができる。また、毛髪の櫛通りをより滑らかにすることができる。
この効果をより高めるために、D50≦400nmの関係を満足することがより好ましく、D50≦300nmの関係を満足することがさらに好ましく、D50≦200nmの関係を満足することが特に好ましい。50%累積分布粒子径D50は、例えば上述の各モノマーの配合組成を変更することに調整可能である。実現困難性の観点から、D50≧10nmが好ましく、D50≧20nmがより好ましく、D50≧30nmがさらに好ましい。
式(2)で表される親水性ビニルモノマー(b)由来の繰り返し構成単位と、式(1)で表される連結モノマー(a)由来の構成単位と、を含む第1ブロックと、
カルボキシ基及びエポキシ基の少なくとも一方を有するビニルモノマー(c)由来の繰り返し構成単位と、式(3)で表される疎水性ビニルモノマー(d)由来の繰り返し構成単位と、を含む第2ブロックと、を有し、
第1ブロックと第2ブロックとは、第1ブロックにおける連結モノマー(a)由来の構成単位と第2ブロックにおけるビニルモノマー(c)由来の構成単位とで連結しており、
親水性ビニルモノマー(b)由来の構成単位100質量部に対する連結モノマー(a)由来の構成単位の含有量が0.7質量部を超えかつ3.0質量部未満である。
この両親媒性共重合体は、0.5≦{(D90−D10)/D50}≦1.5の関係を満足し、水系エマルジョンとして分散状態が良好で沈降しにくい。そのため、両親媒性共重合体を例えば毛髪化粧料組成物として用いた場合に、コンディショニング成分との配合状態が良好となる。
前記D10、前記D50、及び前記D90が、0.5≦{(D90−D10)/D50}≦1.5の関係を満足する両親媒性共重合体である発明の第1の態様のほかにも、D50≦200nm及び(D90−D10)≦200nmの少なくとも一方の関係を満足する両親媒性共重合体である発明の第2の態様もまた本発明の課題を解決することができる。発明の第2の態様のその他の条件は、発明の第1の態様と同様である。
両親媒性共重合体のHLB値は10以上かつ16以下であることが好ましい。この場合には、両親媒性共重合体の疎水性と親水性とのバランスをより確実により良好にすることができる。そのため、両親媒性共重合体が、例えば疎水性のコンディショニング成分等に親水的な性質をより十分に付与することができる。その結果、コンディショニング成分のダメージ毛への吸着量をより増大させることができる。その一方で、親水性をより適度なものにすることができる。つまり、親水性が過剰になるか、疎水性が不十分になるか、あるいは、親水性が過剰かつ疎水性が不十分になることをより防止することができる。その結果、両親媒性共重合体の乳化能が過剰になり、例えば疎水性のコンディショニング成分が乳化したまま毛髪に付着できずに水などの溶媒中にとどまり、溶媒と共に流されてしまうことをより防止することができる。
HLB値は10.5〜15であることがより好ましく、11〜14.5であることがさらに好ましい。
VHLB=7+11.7log(F1/F2) ・・・(I)
親水部の式量の総和F1は、重合組成物中の各親水性モノマーの式量(W1、W2、W3、・・・)と仕込み時における各親水性モノマーのモル比率(w1、w2、w3、・・・)とをそれぞれ乗じた値の総和である。すなわち、F1は下記の式(II)で表される。
F1=W1×w1+W2×w2+W3×w3+W4×w4+・・・ ・・・(II)
疎水部の式量の総和F2は、重合組成物中の各疎水性モノマーの式量(O1、O2、O3、・・・)と仕込み時における各疎水性モノマーのモル比率(o1、o2、o3、・・・)とをそれぞれ乗じた値の総和である。すなわち、F2は下記の式(III)で表される。
F2=O1×o1+O2×o2+O3×o3+O4×o4+・・・ ・・・(III)
両親媒性共重合体の溶解度パラメータ値(すなわち、SP値)は10.0〜15.7であることが好ましい。この範囲であれば疎水的なコンディショニング成分と水との界面に共重合体が偏在しやすくなり、コンディショニング成分の表面部分を若干親水性にすることができる。即ちSP値が前記範囲内にある場合には、親水的なダメージ毛にはコンディショニング成分の吸着を促進させ、疎水的な健常毛にはコンディショニング成分の吸着を抑制させることができる。
一方、SP値が15.7を超える場合には、疎水的なコンディショニング成分に過度な親水性を付与してしまうことがある。そのため、洗浄水により洗い落とされ易くなり、コンディショニング効果が十分に得られなくなる。
そのため、SP値は、11.0〜15.0であることがより好ましく、11.5〜14.3であることがさらに好ましい。
(1)下記の参考文献(I)及び参考文献(II)で定められている結合毎の蒸発エネルギーとモル体積を結合数でかけて合計することで、反応後のモノマーの蒸発エネルギーとモル体積とをそれぞれ算出する。蒸発エネルギーとモル体積は文献値を用いることができる。具体的には、以下の文献(I)及び文献(II)を参考にすることができる。算出にあたっては、二重結合がラジカル反応をおこして開裂した状態としてみなす。たとえば「CH2=CHX」は「−CH2−CHX」とみなす。
参考文献(I)・・・ロバート・エフ・ヒョードルス(Robert F.Fedors)著、液体の溶解度パラメータ及びモル体積推定方法(A Method for Estimating both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids)、ポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer Engineering & Science)、独国、ワイリー(Willey)社、1974年、14巻(volume14)2号(issue2)、p.147−154
参考文献(II)・・・「ポリマーハンドブック第2版(Polymer Handbook Second Edition),ワイリー(Willey)社、1974年、セクションIV(Section IV)、パート15(part15)、『溶解度パラメータ値(Solubility Parameter Values)』、IV、p.337−359
EV/VM=δm 2 ・・・(IV)
例えばアクリル酸はCH2=CHCOOHであるので、−CH2−CHCOOHとみなされるため、各結合蒸発エネルギーE及び結合モル体積Vは、次の通りであり、
−CH2−×1・・・EV:1180cal/mol、VM:16.1cm3/mol
−CH−×1・・・EV:820cal/mol、VM:−1.0cm3/mol
−C(O)−×1・・・EV:4150cal/mol、VM:10.8cm3/mol
−OH×1・・・EV:7120cal/mol、VM:10.0cm3/mol
前記の値の合計からアクリル酸の反応後モノマーの蒸発エネルギーEVは、13270cal/molであり、反応後モノマーのモル体積VMは、35.9cm3/molである。したがって、アクリル酸については、関係式(IV)からδm 2=369.64である。
VM×M=Vn ・・・(V)
また、各モノマーの体積Vnを合計することにより、共重合体の体積VPが算出され、Vnと、VPと、共重合体中の各モノマーの分体積Vdとが次の関係式(VI)を満足する。
Vn/VP=Vd ・・・(VI)
δp=√Σ(Vd×δm 2) ・・・(VII)
式(VII)において、Σ(Vd×δm 2)は、共重合体における各モノマーの分体積と各モノマーのSP値の二乗との積の総和を表し、√Σ(Vd×δm 2)はその総和の平方根を表す。具体的には、共重合体のSP値は、{(モノマーAの分体積)×(モノマーAのδmの二乗)+(モノマーBの分体積)×(モノマーBのδmの二乗)+・・・}1/2により、算出される。
両親媒性共重合体の重量平均分子量は、5,000〜10,000,000であることが好ましく、10,000〜1,000,000であることがより好ましく、20,000〜100,000であることが更に好ましい。この場合には、共重合体のコンディショニング効果をより向上させることができる。
両親媒性共重合体をエタノール溶媒又はエタノール−水混合溶媒に溶解した溶液の温度25℃での粘度は、5mPa・s〜20000mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜10000mPa・sであることがより好ましく、15mPa・s〜5000mPa・sであることが更に好ましい。この場合には、ハンドリングが良好になる。この粘度はB型粘度計等を用いて測定することが可能である。
両親媒性共重合体は、好ましい態様であるモノマー(a)〜(d)をそれぞれ用いた場合、例えば以下の第1重合工程と第2重合工程とを行うことにより製造できる。
モノマー(a)とモノマー(b)とを溶媒中で重合させることにより、反応中間体を得る。このとき、モノマー(b)100質量部に対するモノマー(a)の配合量Aを、上述のように0.7質量部を超えかつ3質量部未満に調整することが好ましい。これにより、水中での安定な分散化が可能になるという効果や、両親媒性共重合体を例えば毛髪化粧料組成物に用いた場合に、シリコーンなどのコンディショニング成分が健常毛に付着し難く、ダメージ毛に付着し易くなるという効果が得られる。この効果をより高めるという観点から、配合量Aは、好ましくは0.8質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上、更により好ましくは1.4質量部以上である。同様に、上述の効果を高めるという観点から、好ましくは2.9質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
第1重合工程において得られる反応中間体に対して、さらにモノマー(c)とモノマー(d)とを共重合させることにより、両親媒性共重合体を得ることができる。
重合反応は、親水性溶媒中で行うことが好ましい。親水性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでもアルコール系溶媒を用いることが好ましい。
第2重合工程後に得られる両親媒性共重合体は、溶媒に溶解又は分散されている。第2重合工程後に、両親媒性共重合体を含む溶媒を乾燥させる乾燥工程を行うことができる。この場合には、固体状の両親媒性共重合体を得ることができる。さらに成型などを行うことにより、例えば、ペレット状、フィルム状、粉末状等の様々な形状に加工することも可能である。固体状の両親媒性共重合体は、溶媒中に分散又は溶解させることにより、両親媒性能、界面活性能を発揮することができる。両親媒性共重合体は、溶液状、溶媒中に分散された分散体状、粉末状、フィルム状、ペレット状等の様々な性状及び形状をとりうる。
毛髪化粧料組成物は、上述の両親媒性共重合体を含有し、その他に、溶媒、分散媒、各種用途に適した添加剤などを含有することができる。本明細書において、毛髪化粧料組成物とは、毛髪及び頭皮に使用する任意の化粧料用の組成物を意味する。具体的には、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、染毛剤、パーマ剤、アウトバス用トリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、ヘアフォーム、スタイリング剤等に用いられる。また、その使用形態も、毛髪や頭皮等に塗布し全体によくなじませた後に洗い流す(濯ぐ)ものや、洗い流さないもの等があり、いずれの使用形態でもよい。
毛髪化粧料組成物中の両親媒性共重合体の含有量が0.05〜20質量%であることが好ましい。この場合には、肌や毛髪に対する共重合体の吸着力が向上し、濯ぎ時のなめらかさや乾燥後のサラサラ感等のコンディショニング効果がより良好になる。さらに、この場合には、乾燥後のゴワツキ感がより抑制され、しっとり感を向上させることができる。
毛髪化粧料組成物は、両親媒性共重合体を溶解可能な溶媒、又は両親媒性共重合体を分散可能な分散媒を含有することができる。これらの溶媒又は分散媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール、水が挙げられる。これらの溶媒、分散媒は、1種又は2種以上を併用することができる。毛髪化粧料組成物は、水を含有することが好ましい。
毛髪化粧料組成物が浴室内で用いられる場合、すなわち、インバス系用途の場合には、毛髪化粧料組成物中の水の含有量は55〜99.6質量%以上であることが好ましい。この場合には、粘度が高くなりすぎるのを抑え、取り扱い性や塗布時の使用感を向上させることができる。一方、毛髪化粧用組成物がアウトバストリートメント等の浴室外で用いられる場合には、毛髪化粧料組成物中の水の含有量は0.1〜99質量%であることが好ましい。
カチオン界面活性剤としては、特に制限されないが、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。カチオン界面活性剤は1種のみでも2種以上を組み合わせても使用可能である。
毛髪化粧料組成物は、高級アルコールを含有することができる。「高級アルコール」とは炭素数12〜24のアルコールを意味する。高級アルコールとしては、1価のアルコールが好ましい。高級アルコールの具体例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
毛髪化粧料組成物は、カチオン界面活性剤の代わりにアニオン界面活性剤を含有することもできる。すなわち、毛髪化粧料組成物は、共重合体0.05〜20質量%と、アニオン界面活性剤5〜40質量%とを含有することが好ましい。この場合には、毛髪化粧料組成物が浴室内等で使用される毛髪洗浄剤(すなわち、シャンプー)に好適になる。
毛髪化粧料組成物は、さらにシリコーンオイルを含有することが好ましい。この場合には、毛髪化粧料組成物が毛髪へのなめらかさ、すべり感を発揮することができる。また、毛髪化粧料組成物は、ダメージ毛に対する親和性に優れた部位とシリコーンオイルとの親和性に優れた部位とを有する上述の共重合体を有している。そのため、ダメージ毛に対して選択的にシリコーンオイルを供給させることができる。シリコーンオイルは、特に、先述した毛髪化粧料組成物が浴室内等で使用されるコンディショニング剤(すなわち、リンス)、毛髪洗浄剤(すなわち、シャンプー)や、アウトバストリートメント剤に対してより好適に用いられる。
毛髪化粧料組成物中のシリコーンオイルの含有量は10質量%以下であることが好ましい。この場合には、乾燥後の毛髪が重い感触になることを防止することができる。より好ましくはシリコーンオイルの含有量は8質量%以下がよい。シリコーンオイルの含有量の下限値には特に制限が無く、ノンシリコーン系の毛髪化粧料に用いられる場合には、0(つまり、シリコーンオイルを含有しない)である。シリコーン系の毛髪化粧料に用いられる場合には、シリコーンオイルの含有量0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
これらのアミノ変性ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンとアミノアルキル基を有するシロキサンとを共重合させるか、又はポリジメチルシロキサンを、アミノアルキル基を有する化合物で後変性してポリジメチルシロキサン骨格にアミノアルキル基を導入することにより得られる。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして最も好ましくは、ジメチルシロキサンと、前記共重合体骨格のオキシアルキレン基を有するシロキサンとを共重合させて得られるシロキサンである。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの市販品としては、例えば、「KF945A」、「KF351A」、「KF354A」(信越化学工業株式会社製)、「SH3771C」、「SH3749」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、「L−7602C」、「L−720」(日本ユニカー株式会社製)、「SF1066」(ゼネラル・エレクトリックス・カンパニー製)等がある。
毛髪化粧料組成物は、その効果を損なわない限り、上述の両親媒性共重合体、水、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、高級アルコール、シリコーンオイル以外にも、他の任意成分を含有することができる。このような任意成分としては、カチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤以外の各種界面活性剤、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子等の高分子、炭化水素油分、保湿剤(すなわち、水溶性高分子)、pH調整剤、防腐剤、増粘剤等を適宜組み合わせて使用することができる。
また、アニオン性高分子やノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、植物由来の天然高分子(グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ヒアルロン酸等)が、そして両性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。なお、以上に挙げたカチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子及び両性高分子には本発明の共重合体は含まれないものとする。これらの保湿剤を用いる場合には1種のみでも、複数種を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて使用することも。毛髪化粧料組成物全体中のこれらの高分子の含有量は5質量%以下であることが好ましい。
毛髪化粧料組成物は毛髪化粧料として特に有用である。毛髪化粧料とは、特に限定されないが、例えば、リンス、コンディショナー、トリートメント等のインバストリートメント;シャンプー等のインバス洗浄剤;ヘアオイル、ヘアミルク、ヘアウォーター、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアスプレー等のアウトバストリートメント;ヘアパック、ヘアフォーム、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアスプレー等のスタイリング剤:ヘアカラー等の染毛剤等が挙げられる。これらのうち、インバストリートメント、インバス洗浄剤、アウトバストリートメントが好ましい。
本例においては、本発明の実施例にかかる両親媒性共重合体を製造する。本例の共重合体は、以下のようにして製造した。
モノマー類の組成を表1及び表2に示すように変更した点を除いては、実施例1と同様にして共重合体を合成した。
比較例6は、共重合体のない所謂ブランク品である。
各実施例、比較例の両親媒性共重合体について、SP値、HLB値、重量平均分子量Mw、粘度、水中での粒子径(D10、D50、D90)を下記のようにして測定した。その結果を表1及び表2に示す。
各共重合体のSP値は既述の方法にしたがって算出した。ただし、PEG9MA、PEG23MAはそれぞれ単一モノマーと仮定した場合の数値である。PEG9MA、PEG23MAのSP値は、上述の製品情報に基づいて、式(5)におけるrの値を、それぞれr=9、r=23として、算出した。
各共重合体のHLB値は既述の方法にしたがって算出した。ただし、PEG9MA、PEG23MAはそれぞれ単一モノマーと仮定した場合の数値である。PEG9MA、PEG23MAのHLB値は、上述の製品情報に基づいて、式(5)におけるrの値を、それぞれr=9、r=23として、算出した。
各共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(すなわちGPC)法により測定した。測定装置としては、東ソー株式会社製の「DP−8020(送液ポンプ)、CO−8020(カラムオーブン)、AS−8020(オートサンプラー)、SD−8022(デガッサー)、RI−8020(屈折率検出器)」を用い、測定用カラムとしては和光純薬工業株式会社の「Wakopak(WakobeadsG−50)」を用いた。また、展開溶媒としては、水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41(質量比)の混合溶媒を用いた。重量平均分子量は、標準物質で校正した値であり、標準物質としては、ポリエチレングリコールを用いた。重量平均分子量が測定不能な場合に表中に「i.m」と表記した。
粘度の測定は、B型粘度計を用い、ローターNo.2を使用して30rpm、25℃で実施した。各共重合体の30%エタノール溶液における測定結果を表1及び表2に記載した。粘度が測定不能な場合に表中に「i.m」と表記した。
水中における粒度分布測定は、マイクロトラック・ベル社製 ナノトラック(商標) 150(Nanotrac(商標) 150)を使用して、動的光散乱法により実施した。データの測定及び解析にはマイクロトラック・ベル社製ソフトウェア「マイクロトラック アプリケーション ver.10.3.3−202C(Microtrac Application ver.10.3.3−202C)」を使用した。
測定は透過モードで測定を行った。測定にあたっては、まず、各共重合体のエタノール溶液を精製水によって希釈して、10%水分散液を作製した。次いで、この分散液を、Nanotrac(商標) 150の測定セル中に充填し、精製水によって希釈を行い、10%累積分布粒子径(D10)、50%累積分布粒子径(D50)、90%累積分布粒子径(D90)を測定した。なお、各累積分布粒子径は、いずれも体積基準である。測定温度は室温(23℃付近)で行った。各共重合体の希釈水溶液は超音波処理を実施せずに、測定に用いた。
計算方法として、粒子は透過性を有するものとし、粒子屈折率を1.5、形状は非球形、粒子密度は1.00であると仮定した。さらに、溶媒屈折率を1.333、高温30℃時の溶媒粘度を0.797、低温20℃時の溶媒粘度を1.002と設定した。また、粒子径の分散度として(D90−D10)/D50の値、D90−D10の値を算出した。各粒子径の測定に用いた各実施例、比較例の両親媒性共重合体の粒度分布を図1及び図2にそれぞれ示す。
両親媒性共重合体又は比較例6のブランク品を用いて、毛髪化粧料組成物を各々作製し、健常毛及びダメージ毛に対するシリコーンの吸着量を比較評価した。まず、共重合体、又は比較例6のブランク品1.0質量部と、エタノール2.4質量部と、水6.6質量部と、市販品コンディショナー90.0質量部とを混合することにより、毛髪化粧料組成物を作製した。
市販品コンディショナーとは、例えばロレアル パリ(株)製のエルセーヴ ダメージケアPROEX コンディショナー〈リンス〉、プロクター&ギャンブル(株)製のパンテーン エクストラ ダメージケア コンディショナー、ユニリーバ(株)製のラックス スーパーダメージリペア コンディショナー等の市販品の毛髪用コンディショナー剤が該当する。
比較例6については、健常毛とダメージ毛を市販品シャンプーで処理した後、共重合体未配合の市販品コンディショナー90質量部、水10質量部を混合したコンディショナーを使用した場合のシリコーン吸着量を表2に示す。本評価における市販品としては、具体的には、プロクター&ギャンブル(株)製のパンテーン エクストラダメージケア コンディショナーを採用した。また、各実施例及び比較例の共重合体と、市販品シャンプーを混合することでも、毛髪化粧料組成物を作製できる。
「健常毛」として、人毛黒髪(100%)根本揃え(未処理毛、10g×30cm、(株)ビューラックス社製)を準備した。この健常毛をラウロイル(EO)3硫酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)で洗浄した後、乾燥させた。乾燥後の毛束5gを束ね、これを健常毛のサンプル毛束とした。
人毛黒髪(100%)根本揃え(未処理毛、10g×30cm、(株)ビューラックス社)をブリーチ処理したものを「ダメージ毛」として使用した。具体的には、まず、ヘンケルジャパン(株)製「カラーアクシス エクストラデベロッパーa 6%(過酸化水素6%クリーム)」12g及び(株)メロス化学製「パウダーブリーチMR2」6gを混合してブリーチ剤を作製した。次いで、このブリーチ剤を人毛黒髪に塗布し、1時間放置した。次いで、水洗し、ラウロイル(EO)3硫酸ナトリウムで洗浄した後、乾燥させた。乾燥後の毛束5gを束ね、これをシリコーンオイル吸着量測定用のダメージ毛のサンプル毛束とした。
まず、健常毛及びダメージ毛の各サンプル毛束に対して、プロクター&ギャンブル(株)製のパンテーン エクストラダメージケア シャンプーを使用して洗浄・すすぎを実施した。次いで、各実施例及び比較例の共重合体を用いて上述のように作製した各化粧料組成物を塗布した後、温度40℃の流水中で毛束を濯いだ。その後、毛髪に吸着したシリコーンオイルを抽出し、抽出液のNMR測定を行うことによりポリジメチルシロキサンの吸着量を測定した。NMR測定においては、1H−NMRにより、Si−CH3のHを定量した。
なお、シリコーンオイルの抽出は、サンプル毛束をクロロホルム/メタノール=4/1(体積比)の混合溶媒に浸して超音波処理をすることにより行った。そして、抽出溶媒を減圧乾燥した後、残留物を重クロロホルムに溶解させ、内部標準としてテレフタル酸ジメチルを添加してその濃度を求め、ポリジメチルシロキサンの吸着量をこの濃度で示した。なお、後述の表2の比較例6は、シリコーンオイルを含有する市販品のコンディショナーを用いた例である。市販品のコンディショナーとしては、プロクター&ギャンブル(株)製のパンテーン エクストラダメージケア コンディショナーを用いた。表1及び表2には、吸着量として、比較例6に対する各実施例、比較例の相対値(シリコーン相対吸着量)を示す。
まず、健常毛及びダメージ毛の各サンプル毛束に対して、プロクター&ギャンブル(株)製のパンテーン エクストラ ダメージケア シャンプーを使用して洗浄・すすぎを実施した。次いで、各実施例及び比較例の共重合体を用いて上述のように作製した各化粧料組成物を塗布した後、温度40℃の流水中で毛束を濯いだ。それらを充分に乾燥させた後に、根元から毛先に向かう毛並み方向に櫛を通した時の抵抗値を(株)イマダ製のロードセル ZTA−DPU−20Nを用いて測定した。測定値は20回の測定値の平均値を採用した。表1及び表2には、櫛通し荷重として、比較例6に対する各実施例、比較例の相対値を示す。
また、比較例8はモノマー(c)の含有量が少ない共重合体である。比較例8はエタノール中でゲル化して相分離し、粒子径を測定することができなかった。
Claims (21)
- 親水性ビニルモノマー(B)由来の繰り返し構成単位と、連結モノマー(A)由来の構成単位と、を含む第1ブロックと、
カルボキシ基及びエポキシ基の少なくとも一方を有するビニルモノマー(c)由来の繰り返し構成単位と、疎水性ビニルモノマー(D)由来の繰り返し構成単位と、を含む第2ブロックと、を有し、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとは、前記第1ブロックにおける前記連結モノマー(a)由来の構成単位と前記第2ブロックにおける前記ビニルモノマー(c)由来の構成単位とで連結しており、
水中での粒度分布測定による体積基準での10%累積分布粒子径D10、50%累積分布粒子径D50、及び90%累積分布粒子径D90が、0.5≦{(D90−D10)/D50}≦1.5の関係を満足する、両親媒性共重合体。 - 前記10%累積分布粒子径D10及び前記90%累積分布粒子径D90が、(D90−D10)≦200nmの関係を満足する、請求項1に記載の両親媒性共重合体。
- 前記50%累積分布粒子径D50が、D50≦500nmの関係を満足する、請求項1又は2に記載の両親媒性共重合体。
- 前記連結モノマー(A)が下記式(1)で表される連結モノマー(a)であり、前記親水性ビニルモノマー(B)が下記式(2)で表される親水性ビニルモノマー(b)であり、かつ前記疎水性ビニルモノマー(D)が下記式(3)で表される疎水性ビニルモノマー(d)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
CH2=C(R6)−CO−NR7R8 ・・・(2)
(前記式(2)中、R6は水素原子又はメチル基を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、及び水酸基を有する炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基から選ばれる1種の1価の基を表す。)
CH2=C(R9)−COO−R10 ・・・(3)
(前記式(3)中、R9は水素原子又はメチル基を表し、R10は分岐構造を有する炭素数8〜22のアルキル基である。) - 前記ビニルモノマー(c)由来の構成単位と前記疎水性ビニルモノマー(d)由来の構成単位との合計量100質量部に対する前記疎水性ビニルモノマー(d)由来の構成単位の含有量が10〜95質量部である、請求項4に記載の両親媒性共重合体。
- 前記第2ブロックが、さらに下記式(5)で表されるビニルモノマー(f)由来の繰り返し構成単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
CH2=C(R15)−CO−Y−(Z−O)r−R16 ・・・(5)
(前記式(5)中、R15は水素原子又はメチル基を表し、R16は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは酸素原子又はNHを表し、Zは置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、rは1〜100の整数を表す。) - 前記ビニルモノマー(f)由来の構成単位の含有量は、前記ビニルモノマー(c)由来の構成単位と前記疎水性ビニルモノマー(d)由来の構成単位との合計量100質量部に対して35〜75質量部である、請求項6に記載の両親媒性共重合体。
- 前記ビニルモノマー(c)が少なくとも(メタ)アクリル酸からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
- 前記第1ブロック中の繰り返し構成単位の合計100質量部に対して、前記親水性ビニルモノマー(B)由来の繰り返し構成単位が90質量部以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
- 前記第2ブロック中の繰り返し構成単位の合計100質量部に対して、前記ビニルモノマー(c)由来の繰り返し構成単位が20質量部以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
- 前記両親媒性共重合体の重量平均分子量が5,000〜10,000,000である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
- 前記両親媒性共重合体が、溶液状、分散液状、ペレット状、粉末状、フィルム状である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体0.05〜20質量%と、
カチオン界面活性剤0.1〜20質量%と、
高級アルコール0.1〜20質量%と、を含む、毛髪化粧料組成物。 - 更に、シリコーンオイルを10質量%以下含む、請求項13に記載の毛髪化粧料組成物。
- 請求項13又は14に記載の毛髪化粧料組成物からなる、コンディショニング剤。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体0.05〜20質量%と、
アニオン界面活性剤5〜40質量%と、を含む、毛髪化粧料組成物。 - 更に、シリコーンオイルを10質量%以下含む、請求項16に記載の毛髪化粧料組成物。
- 請求項16又は17に記載の毛髪化粧料組成物からなる、毛髪洗浄剤。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の両親媒性共重合体0.05〜20質量%を含む、毛髪化粧料組成物。
- 更に、シリコーンオイルを10質量%以下含む、請求項19に記載の毛髪化粧料組成物。
- 請求項19又は20に記載の毛髪化粧料組成物からなる、アウトバストリートメント剤。
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