本発明の実施形態に係るエレベータの群管理システム及びゲート装置(セキュリティゲート)について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(従来技術の問題点)
実施形態について説明する前に従来技術の問題点について説明する。
従来のエレベータの群管理システムにおいて、セキュリティゲートなどのゲート装置により、利用者を割り当てた割当号機の案内表示を行う方法として、以下の2つの方法がある。
(1)利用者の割り当てを受け付けてから所定期間だけ割当号機の案内表示を行う方法
(1)の方法では、ゲート装置において割当号機の案内表示を行う期間が短すぎると、利用者は割当号機を見落としてしまう可能性がある。一方、案内表示の期間が長すぎると、複数の利用者が連続してゲート装置を通過する場合に、後続の利用者が、先行の利用者の割当号機を自分の割当号機であると誤認してしまう可能性がある。
(2)利用者がIDカードをゲート装置のカードリーダなどにかざし、群管理制御装置により割当号機が割り当てられた時点で、案内表示を切り替える方法
(2)の方法では、複数の利用者が連続してゲート装置を通過する場合、後続の利用者のIDカードをカードリーダにかざすタイミングが早ければ、先行の利用者の通過中に案内表示が切り替わることとなる。このとき、先行の利用者の割当号機の表示が消えて、後続の利用者の割当号機が表示されるため、見落としや見間違えによる混乱を招く可能性がある。
以上のように、従来技術では、ゲート装置を通過する利用者が案内表示を見落としたり、他の利用者に対する案内表示を見間違えたりするおそれがある。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、利用者が自己に割り当てられたエレベータを示す情報を適切に認識することが可能となるゲート装置及びそれを備えたエレベータの群管理システムを提供することを目的とする。
(実施形態1)
1.構成
1−1.エレベータの群管理システムの概要
本実施形態に係るエレベータの群管理システムの概要について説明する。図1は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの基準階における配置を示す概略図である。図2は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの一般階における配置を示す概略図である。
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、エレベータ(A号機〜F号機。以下適宜「号機」という)60A〜60Fの走行および運行を統合的に制御する。本実施形態では、一例としてA号機からF号機の6台のエレベータ60A〜60Fが設けられている。各エレベータ60A〜60Fの搭乗口がエレベータホールに設けられており、利用者はエレベータホールからエレベータ60A〜60Fに搭乗する。
本実施形態では、ビルのロビー階などの基準階において、図1に示すように、セキュリティゲート20がエントランスとエレベータホールとの間に設置されているものとする。複数のセキュリティゲート20は、並列して設置されている。利用者は、エントランス側からセキュリティゲート20を通過してエレベータホールに進入する。
また、基準階を除く一般階においてそれぞれ、図2に示すように、行先階登録装置30がエレベータホールの入口の近傍に設置されているものとする。
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、行先階登録方式を採用する。
図2に示す一般階において、利用者は、所望の行先階を指定するために、行先階登録装置30に所定の登録操作を行う。本システムは、登録された行先階をA号機〜F号機のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかの号機に割り当て、行先階登録装置30に、割り当てた割当号機を示す割当号機情報を表示する。利用者は、登録操作中に行先階登録装置30の表示を視認することにより、自身の搭乗すべき割当号機を確認できる。
図1に示す基準階では、セキュリティゲート20において、利用者の通過中に行先階の登録を行う。本実施形態におけるセキュリティゲート20は、IDカードの利用を前提とする行先階登録機能を有する。IDカードは、そのIDカードを所持する利用者の識別番号(ID番号)および行先階(通常は、その利用者の居住階)を含む利用者情報を記録している。セキュリティゲート20において、利用者の通過中に利用者情報を読み取ることにより、利用者情報のID番号に基づく個人認証を行うとともに、利用者情報の行先階を登録する。本システムは、利用者情報の行先階をA号機〜F号機のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかの号機に割り当て、利用者情報を読み取ったセキュリティゲート20に、割り当てた割当号機を示す割当号機情報を表示する。
ここで、基準階において、利用者は、セキュリティゲート20を通過している移動中に割当号機の表示を視認することとなり、自身の搭乗すべき割当号機を確認しづらい。特に、先行の利用者や後続の利用者がいる場合、利用者間の位置関係によって割当号機の見落としや見間違いが生じやすい。この問題に対処するため、本実施形態では、セキュリティゲート20を通過する利用者の移動を検知して、利用者にとって見易い位置で表示されるようにセキュリティゲート20の表示制御を行う。具体的には、利用者がセキュリティゲート20において所定の位置まで進入すると、その利用者に対する割当号機を表示し、その表示を見易い位置を通過すると、割当号機の表示を消去するように制御する。セキュリティゲート20における表示の制御について、詳細は後述する。以下、本システムの構成について説明する。
1−2.エレベータの群管理システムの構成
本実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成を説明する。図3は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、群管理制御装置10と、複数のセキュリティゲート20と、複数の行先階登録装置30と、エレベータ制御装置40A〜40Fと、エレベータ60A〜60Fとを備える。
各エレベータ(各号機)60A〜60Fは、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり、制御部等を有する。各エレベータ60A〜60Fの各エレベータ制御装置40A〜40Fは、群管理制御装置10からの制御信号に基づいて、巻上機(モータ)の動作等を制御することにより、かごの上昇、下降、停止等を制御する。
群管理制御装置10は、セキュリティゲート20または行先階登録装置30において登録された行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる制御を行う。群管理制御装置10は、図3に示すように、群管理制御部100と、入出力インタフェース110と、記憶部120とを備える。
記憶部120は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
群管理制御部100は、群管理制御装置10の動作全体を制御する。群管理制御装置10は、群管理制御部100が記憶部120から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、後述する各種の機能を実現する。群管理制御部100は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。群管理制御部100の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース110は、セキュリティゲート20、行先階登録装置30、及びエレベータ制御装置40A〜40Fとの間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース110は、群管理制御部100から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース110は、セキュリティゲート20、行先階登録装置30、及びエレベータ制御装置40A〜40Fから入力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御部100に出力する。
セキュリティゲート20は、利用者が通過する通路を形成するゲート装置の一例である。セキュリティゲート20は、複数のエレベータ60A〜60Fが配置されたエレベータホールへの利用者の進入を案内する。具体的に、セキュリティゲート20は、利用者のIDカードに記録された利用者情報に基づいて、複数台のエレベータ60A〜60Fの中からエレベータの群管理制御装置10によって利用者の行先階が割り当てられたエレベータを示す割当号機を表示する。利用者情報とは、利用者に関する所定の情報であり、例えば利用者のID番号や、利用者の行先階を含む。セキュリティゲート20の構成の詳細は後述する。
行先階登録装置30は、利用者が行先階の登録を行うための装置である。行先階登録装置30は、所定の制御を行う制御部と、利用者が行先階を入力するための操作部と、制御部からの表示信号に基づく表示を行う表示部とを備える(図示せず)。
行先階登録装置30の制御部は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。行先階登録装置30は、制御部が所定のプログラムに基づいて種々のデータ等に対して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。行先階登録装置30の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
行先階登録装置30の操作部は、例えばテンキーで構成される。行先階登録装置30の表示部は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。また、行先階登録装置30の表示部と操作部とは、タッチパネル式表示装置として一体的に形成されてもよい。
エレベータ制御装置40A〜40Fは、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ60A〜60Fをそれぞれ駆動制御する。また、エレベータ制御装置40A〜40Fはそれぞれ、対応するエレベータ60A〜60Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報を含むかご状態信号を群管理制御装置10に出力する。なお、以下では、エレベータ制御装置40A〜40Fを総称して「エレベータ制御装置40」という場合がある。
1−3.セキュリティゲートの構成の詳細
次に、本実施形態におけるセキュリティゲート20の構成の詳細を説明する。図4は、実施形態1におけるセキュリティゲート20の外観を示す斜視図である。セキュリティゲート20は、ゲート本体200と、第1センサ202と、第2センサ204と、カードリーダ210と、表示部220とを備える。
ゲート本体200は、上記の第1センサ202と第2センサ204とカードリーダ210と表示部220とが外面に取り付けられ、内部に後述する制御部等を収納する筐体である。複数のゲート本体200は、それぞれ利用者の進行方向に沿って、所定間隔で並列に設置される(図1参照)。設置されたゲート本体200の間には、利用者が通過可能な通路PAが形成される。
カードリーダ210は、ゲート本体200において、通路PAの入口206の近傍に設けられる。カードリーダ210は、例えば電磁誘導方式の非接触型カードリーダで構成される。カードリーダ210は、IDカードの近接を検知して、検知したIDカードに記録される利用者情報を読み取る。カードリーダ210は、接触型カードリーダで構成されてもよい。カードリーダ210は、利用者情報を取得する情報取得部の一例である。
表示部220は、ゲート本体200において、カードリーダ210よりも出口208側に設けられる。表示部220は、本システムによって割り当てられた割当号機を示す割当号機情報を表示する。図4では、割当号機情報として、割当号機「A号機」が割り当てられた場合の表示例を示している。なお、表示部220には、割当号機の割当号機名(例えば「A」)のみならず、行先階が表示されてもよい。表示部220は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。
第1センサ202は、ゲート本体200の通路PA側の側面において、通路PAに沿う方向におけるカードリーダ210と表示部220との間の第1の位置に配置される。第1センサ202は、例えばカードリーダ210よりも利用者の歩幅程度の距離(例えば50cm)だけ入口206から出口208側に入った位置に配置される。第1センサ202は、セキュリティゲート20の通路PAにおいて入口206側における利用者の移動を検知する。なお、本実施形態では、第1の位置は、カードリーダ210と表示部220との間において、標準的体格を有する成人男性の利用者が通路の入口付近で腕を通路方向に沿って振った場合でも、第1センサ202によって利用者が検知されない程度に入口206から離れた位置としている。これにより、通路PAの入口206付近にいるがエレベータに乗車する意志のない利用者を、第1センサ202が、誤って検知することが抑制される。
第2センサ204は、ゲート本体200の通路PA側の側面において、通路PAに沿う方向における表示部220と出口208との間の第2の位置に設けられる。第2センサ204は、例えばモーションセンサや赤外線反射型センサで構成される。第2センサ204は、セキュリティゲート20の通路PAにおいて出口208側における利用者の移動を検知する。なお、本実施形態では、第2の位置は、表示部220と出口208との間の第2の位置において、表示部220の位置を通りすぎて出口208側に通路PAを移動する移動者が、表示部220を視認することが困難な位置としている。これにより、利用者が後続の利用者のために表示された割当号機情報を視認することが抑止される。なお、第2の位置は、本実施形態よりもより出口208側に近い位置や、出口208と同じ位置でもよい。また、第2の位置は、例えば表示部220と同じ位置であってもよく、第1の位置よりも出口208側の位置であればよい。
本実施形態において、第1センサ202及び第2センサ204は、利用者の移動方向を検知可能である。第1センサ202及び第2センサ204は、利用者の移動を検知すると、検知信号を出力する。第1センサ202は、通路PAの入口206側から出口208側への移動のときは第1位置通過検知信号、通路PAの出口208側から入口206側への移動のときは第1位置逆行検知信号を出力する。第2センサ204は、通路PAの入口206側から出口208側への移動のときは第2位置通過検知信号、通路PAの出口208側から入口206側への移動のときは第2位置逆行検知信号を出力する。第1センサ202及び第2センサ204は、例えば、モーションセンサで構成されてもよい。また、第1センサ202(及び第2センサ204)は、発光部においてビーム状の光線を出力し、受光部において発光部から出力される光線を受光し、受光状態を示す信号を出力する光電センサを2個利用して構成してもよい。この場合、隣接して配置されたゲート本体200の互いに対向する側面の一方に、第1センサ202(及び第2センサ204)の2個の発光部を通路方向に沿って例えば数cm程度の距離を設けて配置し、他方の側面の対向する位置に第1センサ202(及び第2センサ204)の2個の受光部を設ければよい。これにより、第1センサ202(及び第2センサ204)の2個の受光部から出力される受光状態を示す信号の出力タイミングに基づいて、利用者の移動方向を検知することができる。
図5は、実施形態1におけるセキュリティゲート20の電気的構成を示すブロック図である。セキュリティゲート20は、記憶部240と、ゲート制御部250と、報知部260と、入出力インタフェース270とをさらに備える。
記憶部240は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。データは、例えば、当該セキュリティゲート20の識別情報や登録階(例えばセキュリティゲート20の設置階)に関するデータを含む。また、記憶部240は、あらかじめ利用者毎に登録されたID番号を記録するID番号データテーブルを格納している。
ゲート制御部250は、セキュリティゲート20の動作全体を制御する。セキュリティゲート20は、ゲート制御部250が記憶部240に格納されたプログラムに基づいて種々のデータ等に対して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。ゲート制御部250は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。セキュリティゲート20の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
ゲート制御部250は、第1センサ202から第1位置通過検知信号を受信したときに、第1位置通過検知信号と対応する信号である第1位置通過信号を群管理制御部100に送信する。同様に、ゲート制御部250は、第1センサ202から第1位置逆行検知信号を受信したときに第1位置逆行信号を群管理制御部100に送信し、第2センサ204から第2位置通過検知信号を受信したときに第2位置通過信号を群管理制御部100に送信する。
報知部260は、ゲート制御部250からの制御信号に基づいて、所定の音声アナウンスを行う。報知部260は、例えば音声合成装置で構成される。なお、報知部260は、音声アナウンスに代えて所定のブザー音を鳴らすブザーであってもよい。また、報知部260は、音声アナウンスに代えて所定の点灯動作をする、例えばLEDなどの警報ランプであってもよい。
入出力インタフェース270は、群管理制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース270は、ゲート制御部250から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース270は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換してゲート制御部250に出力する。
2.動作
2−1.動作の概要
本実施形態に係るエレベータの群管理システムの動作の概要について説明する。本システムは、セキュリティゲート20又は行先階登録装置30によって利用者の行先階の登録を受け付ける。セキュリティゲート20又は行先階登録装置30で登録を受け付けると、群管理制御装置10によって、登録された行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる。さらに、エレベータ制御装置40によって、登録された行先階を割り当てた割当号機を、行先階の登録が行われた登録階から登録された行先階へ運行するように運行制御する。また、登録を受け付けたセキュリティゲート20又は行先階登録装置30は、割当号機を示す割当号機情報を取得し、割当号機の表示を行う。
行先階登録装置30によって利用者の行先階の登録を受け付けた場合に、本システムは、割当号機の表示を行うとともに割当号機の運行制御を行う。このとき、割当号機の運行制御は、エレベータを利用しようとする利用者の登録操作に基づいて行われることとなる。
一方、セキュリティゲート20によって利用者の行先階の登録を受け付けた場合には、利用者はセキュリティゲート20の通路PAを移動中であり、利用者がエレベータを利用するか否かは確定していない。例えば、利用者が割当号機名を見逃して、再度の確認のためにセキュリティゲート20の通路PAを引き返すなどの事態が生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、セキュリティゲート20の通路PAにおける利用者の位置に応じてエレベータの割り当て及び運行制御を行う。以下、本システムにおける各装置の動作について説明する。
2−2.群管理制御装置の動作
群管理制御装置10の動作について、図3を用いて説明する。
群管理制御装置10は、群管理制御部100によってエレベータの割当処理を行う。エレベータの割当処理は、セキュリティゲート20又は行先階登録装置30で登録された行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる処理である。具体的に、群管理制御部100は、割当依頼信号を、セキュリティゲート20又は行先階登録装置30から入出力インタフェース110を介して受信すると、エレベータの割当処理を開始する。この割当依頼信号は、セキュリティゲート20又は行先階登録装置30で登録された行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てることを要求する信号である。割当依頼信号は、利用者によって登録された行先階を示す行先階情報と、当該行先階が登録された階(出発階)を示す出発階情報、および当該行先階の登録が行われたセキュリティゲート20又は行先階登録装置30を識別する識別情報とを含む。群管理制御部100は、受信した割当依頼信号が示す行先階を、エレベータ60A〜60Fのうちのいずれかに割り当てる。
具体的には、群管理制御部100はまず、各エレベータの運行情報に基づいて、行先階を割り当てるべきエレベータ(割当号機)を選択するための評価値を、エレベータ毎に算出する。ここで、各エレベータの運行情報は、例えば、各エレベータのかご状態(かごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含む)、予測される待ち時間(割当号機が出発階に到着するまでの時間)、予測されるサービス完了時間(割当号機が行き先階に到着するまでの時間)、かごの予定される停止回数(サービス完了までの間に予定されるエレベータの停止回数)などを示す情報を含む。上記評価値の算出後、群管理制御部100は、エレベータ60A〜60Fのうちから最も高い評価値を有するエレベータを選択し、行先階を、選択したエレベータに割り当てる。群管理制御部100は、この他、一般的に知られている従来の方法を用いて行先階をいずれかのエレベータに割り当ててもよい。
行先階の登録が行先階登録装置30で行われた場合、群管理制御部100は、上記の割当処理の結果に基づいて、割当号機の出発階から行先階への走行を指示する制御信号をエレベータ制御装置40に出力する。群管理制御部100はまた、割当依頼信号の応答として、割当号機を示す割当号機情報を、入出力インタフェース110を介して、行先階の登録が行われた行先階登録装置30に送信する。
一方、行先階の登録がセキュリティゲート20で行われた場合、群管理制御部100は、割当処理の結果を、割当号機を示す割当情報として記憶部120に保持する。割当情報は、行先階の登録が行われたセキュリティゲート20の第1センサ202又は第2センサ204による検知結果を示す第1位置逆行信号又は第2位置通過信号を受信したときまで、保持される。群管理制御部100はまた、割当依頼信号の応答として、割当号機を示す割当号機情報を、入出力インタフェース110を介して、行先階の登録が行われたセキュリティゲート20に出力する。
群管理制御部100は、行先階の登録が行われたセキュリティゲート20から第2位置通過信号を受信すると、記憶部120に保持した割当情報に基づいて、割当号機の出発階から行先階への走行を指示する制御信号をエレベータ制御装置40に出力する。このようにして、群管理制御部100は、セキュリティゲート20からの第2位置通過信号に基づき、割当号機に利用者を割り当てることを最終的に確定する。
また、群管理制御部100は、行先階の登録が行われたセキュリティゲート20から第1位置逆行信号を受信すると、記憶部120に保持した割当情報を消去することで、仮の割当号機の割り当てを取り消す。
2−3.行先階登録装置の動作
行先階登録装置30は、操作部において、利用者による行先階の登録操作を受け付ける。行先階登録装置30の制御部は、利用者により登録された行先階を示す行先階情報と、その行先階を登録する操作が行われた行先階登録装置30の設置階を示す出発階情報と、当該行先階登録装置30を識別する識別情報とを含む割当依頼信号を生成する。行先階登録装置30の制御部は、生成した割当依頼信号を、群管理制御装置10に出力する。
また、行先階登録装置30の制御部は、上述の割当依頼信号の応答として、群管理制御装置10から、割当号機を示す割当号機情報を受信する。行先階登録装置30の制御部は、利用者によって登録された行先階と、割当号機情報が示す割当号機を示す情報とを、表示部に表示させる。これによって、行先階登録装置30は、登録された行先階が表示された割当号機に割り当てられたことを利用者に報知する。
2−4.セキュリティゲートの動作
2−4−1.動作の概要
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、セキュリティゲート20から受信した信号に基づいて、行先階登録処理を行う。行先階登録処理は、セキュリティゲート20によって利用者の利用者情報に基づく行先階を取得し、群管理制御装置10によってその行先階をいずれかのエレベータに割り当て、セキュリティゲート20において割当号機を表示させるとともに、割当号機の運行を制御する処理である。本実施形態に係る行先階登録処理では、第1及び第2センサ202,204の検知結果に基づいてセキュリティゲート20を通過する利用者の移動に合わせて、割当号機の表示及び運行制御を行う。行先階登録処理の詳細は後述する。以下、セキュリティゲート20において利用者の移動を検知する方法について、図6を用いて説明する。
図6は、実施形態1におけるセキュリティゲート20の検知領域を示す平面図である。図6(a)は、セキュリティゲート20における第1の位置X1及び第2の位置X2を示す。図6(b)は、第1の位置X1及び第2の位置X2によって区切られた3つのゾーンZa,Zb,Zcを示す。
第1及び第2センサ202,204は、図6(a)に示すように、セキュリティゲート20の通路PAを通過する利用者の進行方向における各位置X1,X2で、それぞれ利用者の移動を検知する。第1の位置X1は、通路PAにおけるカードリーダ210と表示部220との間で、カードリーダ210よりもエレベータホール側の位置である。第2の位置X2は、通路PAにおける表示部220と出口208との間で、表示部220よりもエレベータホール側の位置である。
セキュリティゲート20の通路PAは、図6(b)に示すように、第1の位置X1及び第2の位置X2において3つのゾーンZa,Zb,Zcに区切られる。第1ゾーンZaは、セキュリティゲート20における通路PAのエントランス側のゾーンであり、利用者がカードリーダ210にIDカードをかざす位置を含む。第2ゾーンZbは、セキュリティゲート20における通路PAにおいて、第1の位置X1と第2の位置X2との間のゾーンである。第3ゾーンZcは、セキュリティゲート20における通路PAのエレベータホール側のゾーンである。第3ゾーンZcにおいて、進行方向に向く利用者に表示部220の表示は見えない。
本実施形態に係る行先階登録処理において、セキュリティゲート20のゲート制御部250は、第1センサ202及び第2センサ204による検知結果に基づいて、割当号機の表示を制御する。具体的には、利用者が第2ゾーンZbにいる場合にその利用者の割当号機を表示し、他のゾーンZa,Zcに移動した場合にはその利用者の割当号機を表示しないように制御する。以下、行先階登録処理の詳細について説明する。
2−4−2.行先階登録処理について
行先階登録処理の流れをフローチャートに沿って説明する。図7,図8は、実施形態1におけるエレベータの群管理システムの行先階登録処理を示すフローチャートである。
本処理は、セキュリティゲート20のカードリーダ210がIDカードの近接を検知したときに開始される。近接とは、IDカードなどの検知対象物がカードリーダ210の所定の検知領域の範囲内にあることである。
まず、セキュリティゲート20のゲート制御部250は、カードリーダ210が、近接を検知したIDカードから利用者情報を読み取ったか否かを判断する(S100)。利用者情報は、上述したように、IDカードを所持する利用者のID番号情報、および行先階情報を含む。
カードリーダ210によって利用者情報が読み取られた場合(S100でYES)、ゲート制御部250は、読み取られた利用者情報に基づいて、カードリーダ210に近接したIDカードが不正なIDカードであるか否かを判断する(S102)。不正なIDカードであるか否かの判断は、ステップS100において読み取った利用者情報のID番号が、記憶部240に予め格納されたID番号データテーブルに記録されているID番号に含まれているか否かを判断することにより行われる。ステップS100において読み取った利用者情報のID番号がID番号データテーブルのID番号に含まれていない場合、ゲート制御部250は、不正なIDカードであると判断する。
ゲート制御部250は、カードリーダ210に近接したIDカードが不正なIDカードであると判断した場合(S102でYES)、報知部260に「カードが不正です」という音声アナウンスをさせて(S106)、本IDカードに対する行先階登録処理を終了する。
一方、ゲート制御部250は、カードリーダ210に近接したIDカードが不正なIDカードでないと判断した場合(S102でNO)、受付拒否フラグの値が、受付を拒否することを示す1であるか、受付を拒否しないことを示す0であるかを判断する(S104)。受付拒否フラグの値が1であるとき、ゲート制御部250は、カードリーダ210から新たな利用者情報を受信しても、当該利用者情報を破棄(例えば当該利用者情報を記憶部240等に格納しないことにより破棄)する。そのため、当該利用者情報に基づく割当依頼信号が生成されない。
受付拒否フラグが1である場合(S104でYES)、ゲート制御部250は報知部260に「しばらくしてから再度IDカードをかざして下さい」という音声アナウンスをさせる(S110)。これにより、利用者に、しばらくしてから再度IDカードをかざす必要があることを認識させることができる。
一方、受付拒否フラグが1でない場合(S104でNO)、ゲート制御部250は、受付拒否フラグを1に設定する(S108)。
次に、ゲート制御部250は、第1センサ202によって、利用者が第1ゾーンZaから第2ゾーンZbに移動したことが検知されたか否かを判断する(S112)。具体的に、ゲート制御部250は、第1センサ202から第1位置通過検知信号を受信したか否かに基づいて、利用者が第1ゾーンZaから第2ゾーンZbに移動したか否かを判断する。
第1ゾーンZaから第2ゾーンZbへの利用者の移動が検知されない場合(S112でNO)、ゲート制御部250は、ステップS100において利用者情報を読み取ってから所定のT1秒(例えば略2秒)の期間が経過したか否かを判断する(S116)。T1秒が経過していない場合(S116でNO)、ゲート制御部250は、ステップS112の検知処理を継続して行う。これに対し、T1秒が経過した場合(S116でYES)、ゲート制御部250は受付拒否フラグを0に設定する(S134)。
第1センサ202によって第1ゾーンZaから第2ゾーンZbへの移動が検知された場合(S112でYES)、ゲート制御部250は、割当依頼信号を群管理制御部100に送信する(S114)。割当依頼信号は、セキュリティゲート20の記憶部240に記憶された登録階を出発階として示す出発階情報を含む。また、割当依頼信号は、ステップS100で読み取られた利用者の行先階を示す行先階情報と、セキュリティゲート20を識別する識別情報とを含む。
群管理制御部100は、ゲート制御部250からの割当依頼信号に基づいて、ステップS100で読み取られた利用者情報における行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる(S118)。エレベータの割り当ては、群管理制御部100によって、ステップS100において読み取った利用者情報における行先階をエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかに割り当てることによって行われる。ゲート制御部250は、割り当てた割当号機を仮の割当号機として記憶部120に保持する。
次に、群管理制御部100は、ステップS118で割り当てたエレベータ(割当号機)を示す割当号機情報を、ステップS114において割当依頼信号を送信したセキュリティゲート20に送信する(S120)。割当号機情報を受信したセキュリティゲート20のゲート制御部250は、受信した割当号機情報を、表示部220に表示させる(S122)。
次に、ゲート制御部250は、第2センサ204によって、利用者が第2ゾーンZbから第3ゾーンZcに移動したことが検知されたか否かを判断する(S124)。具体的に、ゲート制御部250は、第2センサ204から第2位置通過検知信号を受信したか否かに基づいて、利用者が第2ゾーンZbから第3ゾーンZcに移動したか否かを判断する。
第2センサ204によって第2ゾーンZbから第3ゾーンZcへの移動が検知されていない場合(S124でNO)、ゲート制御部250は、第1センサ202によって、利用者が第2ゾーンZbから第1ゾーンZaに移動したことが検知されたか否かを判断する(S128)。第1センサ202によって第2ゾーンZbから第1ゾーンZaへの移動が検知されていない場合(S128でNO)、ゲート制御部250は、ステップS124,S128の処理を再度実行する。
第2センサ204によって第2ゾーンZbから第3ゾーンZcへの移動が検知された場合(S124でYES)、ゲート制御部250は、第2位置通過信号を群管理制御部100に送信する(S126)。第2位置通過信号は、第2センサ204が利用者の第2ゾーンZbから第3ゾーンZcへの移動を検知したことを示す信号である。
群管理制御部100は、ゲート制御部250からの第2位置通過信号に基づいて、ステップS118で仮に割り当てた割当号機を、実際の割当号機として最終的に確定する(S127)。
一方、第1センサ202によって第2ゾーンZbから第1ゾーンZaへの移動が検知された場合(S128でYES)、ゲート制御部250は、群管理制御部100に第1位置逆行信号を送信する(S129)。群管理制御部100は、ステップS118の処理における割当号機の割り当てを取り消す(S131)。
ゲート制御部250は、表示部220の表示を消去(クリア)する(S132)。さらに、ゲート制御部250は、受付拒否フラグを0に設定し(S134)、ステップS100以降の処理を行う。
2−4−3.本実施形態のセキュリティゲート及び群管理制御装置による作用及び効果
本実施形態のセキュリティゲート及び群管理制御装置による作用及び効果について、図6を用いて説明する。
2−4−3−1.表示制御における作用及び効果
(1)基本作用及び効果
本実施形態において、第1ゾーンZaにおいて利用者のIDカードがカードリーダ210にかざされると、カードリーダ210においてIDカードの利用者情報が読み取られる。カードリーダ210によって取得された利用者情報は、群管理制御装置10に送信され、送信された利用者情報に基づいて、群管理制御装置10により利用者が割り当てられる。割り当てられたエレベータを示す割当号機情報が群管理制御装置10から送信され、セキュリティゲート20において取得される。
そして、第1センサ202によって利用者の移動が検知された場合に、表示部220に取得した割当号機情報が表示され、第2センサ204によって利用者の移動が検知された場合に、表示部220に表示中の割当号機情報が消去される。つまり、利用者が第1の位置X1と第2の位置X2との間の位置にいる間のみ、当該利用者に割り当てられたエレベータを示す割当号機情報が表示される。
また、カードリーダ210によって、第1の利用者の利用者情報が取得されてから、第2センサ204によって第1の利用者の移動が検知されるまでの間に、つまり、第1の利用者が通路PAの入口206近傍と第2の位置X2との間の位置にいる間に、カードリーダ210によって第2の利用者の利用者情報が取得されると、第2の利用者の通路PA内への移動を抑止するための情報が報知部260から報知される。そのため、第2の利用者がセキュリティゲート20の通路PAに進入するのが抑止される。したがって、カードリーダ210によって第1の利用者の利用者情報が取得されてから、第2センサ204によって第1の利用者の移動が検知されるまでの間は、通路PAの入口206近傍と第2の位置X2との間の位置には、1人の利用者だけが存在することとなる。
ここで、割当号機情報が表示される第1の位置X1と第2の位置X2の間の位置は、上述した、通路PAの入口206近傍と第2の位置X2との間の、利用者が1人しか存在しない範囲に含まれる。また、第2の位置X2は、通路PA上における表示部220と出口208との間の位置である。換言すれば、第2の位置X2は、表示部220よりも出口208側の位置であり、第2の位置X2を通り過ぎて出口208側に向かって移動している利用者にとっては、表示部220を視認することが困難な位置である。そのため、表示部220に表示されている割当号機情報を視認する可能性があるのは、当該割当号機情報の割当の基礎となった利用者情報に対応する利用者、つまり現在第1の位置X1と第2の位置X2との間の位置にいる利用者のみとなる。よって、各利用者は、他人に割り当てられた割当号機情報を視認することはなく、自己に割り当てられた割当号機情報のみを視認することとなる。したがって、本実施形態によれば、各利用者は、自己に割り当てられたエレベータを示す割当号機情報を適切に認識することができる。
ところで、利用者は、セキュリティゲート20の通路PAに一旦進入した後、何らかの必要性から、引き返す場合がある。この場合において、利用者が第1の位置X1よりも出口208側まで進入していると、表示部220に割当号機情報が表示されていることとなるが、本実施形態においては、利用者が引き返すと、第1センサ202によって通路PAの出口208側から入口206側へ向かう方向の利用者の移動が検知されることにより、前記表示部に表示中の割当号機情報が消去される。そのため、後続の利用者が、先行する利用者の割当号機情報を視認することが抑止される。
2−4−3−2.割当制御における作用及び効果
利用者が第1ゾーンZaから第2ゾーンZbに進行すると、第1センサ202によって当該利用者の移動が検知され、割当依頼信号がセキュリティゲート20から群管理制御装置10に送信される。そのため、例えば、利用者がカードリーダ210にIDカードをかざしたがセキュリティゲート20を通過せずに立ち去った場合には、割当依頼信号が送信されることはない。したがって、立ち去った利用者に対してはエレベータの割り当てが行われない。よって、利用しない利用者に対する無駄な割当てが生じず、エレベータ60A〜60Fの輸送効率が向上する。
また、本実施形態においては、利用者が通路PA内に進入して第2ゾーンZbにまで移動したが、何らかの必要により第2ゾーンZbから引き返すと、第1センサ202によって当該利用者の移動が検知され、割当号機の割り当てが取り消される。一方、利用者が第2ゾーンZbから第3ゾーンZcへ移動すると、割当号機の割当てが最終的に確定される。そのため、実際にエレベータに乗車する意志を有する利用者のみがエレベータに割り当てられる。そのため、利用しない利用者に対する無駄な割当てが生じることがなく、エレベータ60A〜60Fの輸送効率が向上する。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係るセキュリティゲート20は、複数のエレベータ60A〜60Fが配置されたエレベータホールへの利用者の進入を案内する。セキュリティゲート20は、ゲート本体200と、カードリーダ210と、表示部220と、第1センサ202と、第2センサ204と、ゲート制御部250と報知部260とを備える。ゲート本体200は、エレベータホールへの通路PAを形成する。カードリーダ210は、ゲート本体200において通路PAの入口206の近傍に設けられ、利用者から利用者に関する所定の情報である利用者情報を取得する。ゲート制御部250は、カードリーダ210によって取得された利用者情報の行先階情報に基づいて、群管理制御装置10から利用者に割り当てられたエレベータを示す割当号機情報を取得する。表示部220は、ゲート本体200においてカードリーダ210よりも通路PAの出口208側に設けられ、割当号機情報を表示する。第1センサ202は、通路PA上におけるカードリーダ210と表示部220との間の第1の位置X1を通過する利用者の移動を検知する。第2センサ204は、通路PA上における第1の位置X1と出口208との間の第2の位置X2を通過する利用者の移動を検知する。ゲート制御部250は、第1センサ202によって利用者の移動が検知されたときに、表示部220に取得した割当号機情報を表示させる。ゲート制御部250は、第2センサ204によって利用者の移動が検知されたときに、表示部220に表示中の割当号機情報を消去させ、かつ、カードリーダ210によって第1の利用者の利用者情報が取得されてから、第2センサ204によって第2の利用者の移動が検知されるまでの間に、カードリーダ210によって第2の利用者の利用者情報が取得されると、第2の利用者の通路内への移動を抑止するための情報を報知部260に報知させる。
本実施形態に係るセキュリティゲート20によれば、2−4−3−1.の表示制御における作用及び効果で説明したように、各利用者は、自己に割り当てられたエレベータを示す情報を適切に認識することができる。
また、本実施形態では、第2の位置X2は,通路PA上における表示部220と出口208との間の位置である。換言すれば、第2の位置X2は、表示部220よりも出口208側の位置であり、第2の位置X2を通り過ぎて出口208側に向かって移動している利用者にとっては、表示部220を視認することが困難な位置である。そのため、表示部220に表示されている割当号機情報を視認する可能性があるのは、当該割当号機情報の割当の基礎となった利用者情報に対応する利用者、つまり現在第1の位置X1と第2の位置X2との間の位置にいる利用者のみとなる。よって、各利用者は、自己に割り当てられたエレベータを示す情報をより適切に視認することができる。
また、本実施形態では、第1センサ202は、第1の位置X1を通過する利用者の移動の移動方向を検知可能である。ゲート制御部250は、第1センサ202が通路PAの入口206から出口208へ向かう方向の利用者の移動を検知した後において、第1センサ202が出口208から入口206へ向かう方向の利用者の移動を検知した場合、表示部220に、表示中の割当号機情報を消去させる。これにより、例えば利用者がセキュリティゲート20に一旦進入した後で引き返した場合に割当号機情報の表示が消去されるので、後続の利用者が見間違えることを抑制することができる。
また、本実施形態では、ゲート制御部250は、第1センサ202によって利用者の移動が検知されたときに、カードリーダ210によって取得された利用者情報の行先階情報に基づく割当依頼信号を群管理制御装置10に送信する。そのため、利用者がセキュリティゲート20に進入するまでカードリーダ210によって取得された利用者情報に基づく割当依頼信号を送信しない。これにより、例えば利用者が第1ゾーンZaから引き返した場合などにエレベータ60A〜60Fの無駄な割り当てが生じず、エレベータの運行制御を的確に行える。
また、本実施形態では、カードリーダ210によって取得された第1の利用者の利用者情報が群管理制御装置10に送信された場合において、ゲート制御部250は、カードリーダ210が第2の利用者の利用者情報を取得したときは、第1センサ202又は第2センサ204によって第1の利用者の移動が検知された後に、当該第2の利用者の利用者情報を群管理制御装置10に送信する。これにより、第1及び第2の利用者が連続してセキュリティゲート20を通過する場合に、第1の利用者が第1の位置X1と第2の位置X2との間の位置から移動した後で、当該第2の利用者の利用者情報が群管理制御装置10に送信される。そのため、利用者間の割当号機情報の見間違えを抑制できる。
また、本実施形態では、カードリーダ210は、利用者情報が記録されたIDカードに記録された利用者情報を読み取るカードリーダである。これにより、利用者はIDカードをカードリーダ210にかざすことで利用者情報を読み取らせることができ、ユーザの利便性が向上する。
また、本実施形態では、利用者情報は、利用者の行先階を示す行先階情報を含む。これにより、利用者はカードリーダ210に利用者情報を読み取らせることで行先階を登録でき、ユーザの利便性が向上する。
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、セキュリティゲート20と、群管理制御装置10とを含む。群管理制御装置10は、セキュリティゲート20から送信された、利用者情報に基づく割当依頼信号に基づいて、複数台のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに利用者情報が示す利用者を割り当てられる。これにより、セキュリティゲート20を利用して、エレベータの割当制御を行うことができる。
また、本実施形態では、ゲート制御部250は、第2センサ204によって利用者の移動が検知されたときに、第2位置通過信号を群管理制御装置10に送信するように構成される。群管理制御装置10は、セキュリティゲート20から送信された利用者情報の行先階情報に基づく割当依頼信号に基づいて、複数台のエレベータのうちのいずれかのエレベータに、割当依頼信号が示す利用者を割り当てた場合において、利用者によるセキュリティゲート20の通過を検知したことを示す第2位置通過信号をセキュリティゲート20から受信した場合に、その利用者へのエレベータの割り当てを確定し、確定したエレベータの運行制御を行う。そのため、例えば利用者がカードリーダ210にIDカードをかざしたが、セキュリティゲート20を通過せずに立ち去った場合にも、無駄なエレベータの割り当てが生じない。したがって、エレベータの運行制御を効率的に行える。
(実施形態2)
実施形態2に係るエレベータの群管理システム及びセキュリティゲートについて説明する。実施形態1では、第1及び第2センサ202,204の検知結果に基づいて、割当号機の表示及び運行制御を行う。実施形態2では、セキュリティゲートはゲートフラッパをさらに備え、ゲート制御部は、第1及び第2センサ202,204の検知結果に基づいて、さらにゲートフラッパの開閉制御を行う。
なお、本実施形態の説明において、実施形態1に係るエレベータの群管理システム及びセキュリティゲートと同様の構成、動作の説明は適宜、省略する。
1.構成
本実施形態に係るエレベータの群管理システムにおけるセキュリティゲートの構成を説明する。図9は、実施形態2におけるセキュリティゲートの外観を示す斜視図である。図10は、実施形態2におけるセキュリティゲートの電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態におけるセキュリティゲート20Aは、実施形態1におけるセキュリティゲート20と比較して、ゲートフラッパ230をさらに備える。
ゲートフラッパ230は、開閉自在の扉である。ゲートフラッパ230は、ゲート本体200の通路PA側の側面において第1センサ202と第2センサ204との間に設けられる。ゲートフラッパ230は、開いた状態において、利用者がセキュリティゲート20Aを通過することを可能とする。ゲートフラッパ230は、閉じた状態において、利用者がセキュリティゲート20Aを通過することを妨げる。
図11は、実施形態2におけるセキュリティゲート20Aの開閉状態を示す平面図である。図11(a)は、ゲートフラッパ230が閉じた状態を示す。図11(b)は、ゲートフラッパ230が開いた状態を示す。
ゲートフラッパ230は、第2ゾーンZbに設けられている。ゲートフラッパ230は、通常時、閉じた状態にある。ゲートフラッパ230は、図11(a)に示すように閉じた状態において、利用者が第2ゾーンZbを通過することを妨げる。ゲートフラッパ230が図11(b)に示すように開いた状態になると、利用者は第2ゾーンZbを通過可能になる。
2.動作
2−1.ゲートフラッパ開閉処理について
本実施形態におけるセキュリティゲート20Aのゲート制御部250は、実施形態1に係る行先階登録処理とともに、ゲートフラッパ開閉処理を行う。ゲートフラッパ開閉処理は、セキュリティゲート20Aにおいて所定の条件を満たす利用者のみを通過可能にするために、ゲートフラッパ230の開閉を制御する処理である。所定の条件とは、本実施形態では、利用者情報のID番号が記憶部240に格納されたID番号データテーブルに記録されているID番号に含まれることである。以下、所定の条件をみたすことを「正当」という。
図12は、実施形態2におけるセキュリティゲート20Aによるゲートフラッパ開閉処理を示すフローチャートである。ゲートフラッパ開閉処理の流れをフローチャートに沿って説明する。
本実施形態のセキュリティゲート20Aは、ゲートフラッパ230が通常時閉じている方式のゲート装置であり、ゲート制御部250は、ゲートフラッパ開閉処理の制御開始時に、ゲートフラッパ230を閉じた状態とする(S200)。
ゲート制御部250は、カードリーダ210がIDカードの近接を検知して、その利用者情報を読み取ったか否かを判断する(S202)。カードリーダ210がIDカードの利用者情報を読み取っていない場合(S202でNO)、ゲート制御部250はゲートフラッパ230を閉じた状態で維持する(S200)。
カードリーダ210がIDカードの利用者情報を読み取った場合(S202でYES)、ゲート制御部250は、利用者情報に基づいて、読み取ったIDカードが不正なIDカードであるか否かを判断する(S204)。
読み取ったIDカードが不正であると判断した場合(S204でNO)、ゲート制御部250はゲートフラッパ230を閉じた状態で維持する(S200)。
一方、読み取ったIDカードが不正でないと判断した場合(S204でNO)、ゲート制御部250はゲートフラッパ230を開いた状態に制御する(S206)。
次に、ゲート制御部250は、第1センサ202によって利用者が第1ゾーンZaから第2ゾーンZbに移動したことが検知されたか否かを判断する(S208)。第1センサ202によって第1ゾーンZaから第2ゾーンZbへの移動が検知されていない場合(S208でNO)、ゲート制御部250は、T1秒が経過したか否かを判断する(S212)。T1秒が経過した場合(S212でYES)、ゲート制御部250は、ゲートフラッパ230を再度、閉じた状態に制御する(S200)。
T1秒が経過していない場合(S212でNO)、ゲート制御部250は、再度ステップS208の検知処理を行う。第1センサ202によって第1ゾーンZaから第2ゾーンZbへの移動が検知された場合(S208でYES)、ゲート制御部250は、第1センサ202及び第2センサ204の検知結果に基づいて、利用者が第2ゾーンZbから移動したか否かの判断を、以下のように行う。
まず、ゲート制御部250は、第2センサ204によって利用者が第2ゾーンZbから第3ゾーンZcに移動したことが検知されたか否かを判断する(S210)。第2センサ204によって第2ゾーンZbから第3ゾーンZcへの移動が検知されていない場合(S210でNO)、ゲート制御部250は、第1センサ202によって、利用者が第2ゾーンZbから第1ゾーンZaに移動したことが検知されたか否かを判断する(S214)。第1センサ202によって第2ゾーンZbから第1ゾーンZaへの移動が検知されていない場合(S214でNO)、ゲート制御部250は、ステップS210,S214の処理を再度実行する。
第2センサ204によって第2ゾーンZbから第3ゾーンZcへの移動が検知された場合(S210でYES)、及び第1センサ202によって第2ゾーンZbから第1ゾーンZaへの移動が検知された場合(S214でYES)、ゲート制御部250は、ゲートフラッパ230を再度、閉じた状態に制御する(S200)。
2−2.セキュリティゲートによる作用
以上のゲートフラッパ開閉処理におけるセキュリティゲート20Aの作用について、図11を用いて説明する。
ゲートフラッパ230は、通常時、閉じた状態にあり、利用者が不正でないIDカードをカードリーダ210にかざすと、開いた状態になる。これにより、利用者がゲートフラッパ230よりも出口208側にさらに移動可能となる。なお、開いた状態がT1秒以上経過しても、利用者が第1の位置X1を通過しない場合、ゲートフラッパ230は閉じた状態になる。そのため、例えば利用者がIDカードをカードリーダ210にかざしたが、セキュリティゲート20Aを通過せずに立ち去った場合に、ゲートフラッパ230が開いた状態のままになることが防止される。これにより、IDカードを持っていない利用者がエレベータホールに進入するのが抑止される。
利用者が第2ゾーンZbにいる間、ゲートフラッパ230は開いた状態で維持される。そのため、利用者は第2ゾーンZbにいる間に、ゲートフラッパ230の開閉に気を取られることなく、表示部220の表示内容を確認することができる。
また、利用者が第2ゾーンZbから第3ゾーンZcに進行すると、ゲートフラッパ230は閉じた状態になる。そのため、エレベータホールに不正な利用者が進入するのが抑止される。
なお、利用者が、何らかの必要によりエレベータに乗車するのを取りやめて、ゲートフラッパ230を出口側に通過せずに、第1ゾーンZaに戻る場合がありえる。この場合、本実施形態においては、第1センサにより移動が検知され、ゲートフラッパ230が閉じた状態になる。そのため、エレベータホールに不正な利用者が進入するのが抑止される。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係るセキュリティゲート20Aによると、ゲート本体200に第1の位置X1及び第2の位置X2の間の位置において、利用者の移動を規制するためのゲートフラッパ230がさらに備えられる。ゲート制御部250は、カードリーダ210によって利用者情報を取得した場合に、所定の条件を満たす利用者であるか否かを判断する。ゲート制御部250は、所定の条件を満たす利用者であると判断すると、ゲートフラッパ230を開いた状態に制御し、その後、第2センサ204によって利用者の移動が検知されると、ゲートフラッパ230を閉じた状態に制御する。
これにより、通路に進入して第1の位置X1に移動してきた利用者が、所定の条件を満たす正当な利用者である場合のみ、ゲートフラッパ230が開く。そのため、不正な利用者は、エレベータホール内に侵入できない。さらに、正当な利用者が、第2の位置X2に移動すると、ゲートフラッパ230が閉じるので、後続の利用者が追従して通過することを抑制できる。これにより、建物等のセキュリティ性を向上できる。
(その他の実施形態)
上記実施形態1では、ゲート装置は、利用者が不正な利用者であるか否かの判断を行うセキュリティゲート20である。しかし、本発明に係るゲート装置は、このようなセキュリティゲートに限定されない。例えば、ゲート装置は、図7,図8に示す行先階登録処理において、カードリーダ210によって読み取られたIDカードが不正なIDカードであるか否かの判断(S102)を行わないゲート装置であってもよい。
上記実施形態1,2では、情報取得部はカードリーダ210である。しかし、情報取得部はカードリーダでなくてもよい。情報取得部は、ICタグや他の情報記録媒体から利用者情報を読み取る情報読取り装置であってもよい。また、情報取得部は、顔認証や指紋認証などの生体認証により利用者情報を取得してもよく、例えば情報取得部は、顔認証を行うためのカメラであってもよい。
上記実施形態1,2では、利用者の行先階を示す行先階情報は、利用者情報に記録されている。しかし、行先階情報はIDカードに記録されていなくてもよい。例えば、セキュリティゲート20の記憶部240に、ID番号と関連付けられたデータとして記憶されてもよい。
上記実施形態1,2では、利用者情報として含まれる行先階情報とID情報に基づいて、複数のエレベータのうちのいずれかのエレベータに利用者を割り当てた。しかし、エレベータへの利用者の割り当ては、行先階情報に基づくものでなくてもよい。例えば、カードリーダ210によって読み取られた利用者情報のID番号に基づいて複数のエレベータのうちのいずれかのエレベータに利用者を割り当ててもよい。この場合、たとえば利用者を割り当てた割当号機の内部で、利用者が所望の行先階を登録する方式のエレベータの群管理システムにも、本発明は適用できる。
上記実施形態1,2では、セキュリティゲート20の表示部220に割当号機情報を表示した。しかし、ゲート装置の表示部に表示する表示情報は、割当号機情報に限定されず、利用者に対する案内表示である表示情報であってもよい。表示情報は、例えば、ゲート装置を通過した利用者の目的地までの経路を示す情報であってもよい。この場合、ゲート制御部は、情報取得部によって取得された利用者情報に基づいて、所定の記憶部から利用者に対応する目的地までの経路を示す情報を表示情報として取得する。所定の記憶部は、ゲート装置の内部に設けられてもよいし、ゲート装置の外部(例えばインターネットを介して接続された外部サーバ)に設けられてもよい。
上記実施形態1では、受付拒否フラグが1に設定されている状態のときに、カードリーダ210からゲート制御部250に後続の利用者の利用者情報が送信されると、ゲート制御部250は、「しばらくしてからIDカードを再度かざしてください」とのアナウンスを報知部260に行わせる。しかし、これに限らず、ゲート制御部250は、例えば、報知部260に、しばらくしてからIDカードを再度かざすことを促すためのブザー音等を発生させてもよい。
上記実施形態1では、行先階登録処理において、割当号機の表示制御及び運行制御を行った。しかし、割当号機の表示制御と運行制御とは、それぞれ別個に行われてもよい。つまり、実施形態1に係る行先階登録処理を、ステップS114,S118,S120,S126,S130の処理を省略して行ってもよいし、ステップS122,S132の処理を省略して行ってもよい。
上記実施形態2では、第1センサ202及び第2センサ204の検知結果に基づいて、実施形態1に係る行先階登録処理とともに、ゲートフラッパ開閉処理を行った。しかし、セキュリティゲート20Aは、ゲートフラッパ開閉処理のみを行ってもよい。また、セキュリティゲート20Aは、行先階登録処理のうちの表示制御に関する処理を省略した処理を、ゲートフラッパ開閉処理とともに行ってもよい。つまり、行先階登録処理のうちのステップS122,S132の処理を省略した処理を、ゲートフラッパ開閉処理とともに行ってもよい。これにより、エレベータの運行制御の的確性とセキュリティ性とが共に向上できる。