JP2018150019A - エアバッグ装置 - Google Patents

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直敏 竹村
Naotoshi Takemura
直敏 竹村
敬久 菅又
Yoshihisa Sugamata
敬久 菅又
和郎 井村
Kazuo Imura
和郎 井村
勇佑 仲村
Yusuke Nakamura
勇佑 仲村
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Abstract

【課題】好適な位置に配置され、また、耐久性が向上するエアバッグ装置を提供する。【解決手段】エアバッグ装置66は、フロントピラー16の車室内側を覆う内装部材46と、非展開状態でフロントピラー16と内装部材46との間に収納され、展開状態でフロントピラー16と内装部材46との間からフロントピラー16の周方向に沿って延びて少なくともフロントピラー16の車外側の一部を覆うエアバッグ60と、エアバッグ60の展開に必要なガスを発生させるガス発生装置58と、ガス発生装置58にガス発生指令を出力してエアバッグを展開させるエアバッグECU88とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、フロントピラーの車外側をエアバッグで覆い、歩行者や二輪車の乗員等を保護するエアバッグ装置に関する。
特許文献1には、フロントガラスの車外側の側縁に設けられるエアバッグユニットが示される。このエアバッグユニットは、衝突検出時にフロントガラスの側縁から展開するエアバッグによりフロントピラーを覆い、歩行者等(歩行者や二輪車乗員等)がフロントピラーに直に当たることを防止する。
国際公開第2008/142883号パンフレット
特許文献1で示されるエアバッグユニットには次のような課題がある。例えば、車室内から前方により広い視界を確保するためには、エアバッグユニットをフロントガラスの車外側の側縁に設けない方が好ましい。また、フロントガラスの側縁は日光、風雨、埃等に直接曝されるため、エアバッグ装置の耐久性が求められる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、好適な位置に配置され、また、耐久性が向上するエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエアバッグ装置は、
フロントピラーの車室内側を覆う内装部材と、
非展開状態で前記フロントピラーと前記内装部材との間に収納され、展開状態で前記フロントピラーと前記内装部材との間から前記フロントピラーの周方向に沿って延びて少なくとも前記フロントピラーの車外側の一部を覆うエアバッグと、
前記エアバッグの展開に必要なガスを発生させるガス発生装置と、
前記エアバッグの展開を制御するエアバッグ制御装置とを備える
ことを特徴とする。
上記構成によれば、非展開状態のエアバッグはフロントピラーと内装部材との間に収納されるため、車室内から自車両前方に広い視界を確保できる。また、非展開状態のエアバッグは車室内に設けられて日光、風雨、埃等に直接曝されないため、エアバッグ装置の耐久性が向上する。
本発明に係るエアバッグ装置は、
前記フロントピラーに近接するサイドガラスを動作させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御装置とを更に備え、
前記アクチュエータ制御装置は、前記サイドガラスの開放量が所定の開放量を下回る場合に、前記アクチュエータを制御して前記サイドガラスを下降させ、
前記エアバッグ制御装置は、前記サイドガラスの開放量が前記所定の開放量となった後に、前記エアバッグを展開させ、
前記エアバッグは、展開時に前記フロントピラーと前記サイドガラスとの間を通るようにしてもよい。
上記構成によれば、例えば全閉状態のサイドガラスを下降させることによりエアバッグが通過する空間を確保するため、エアバッグの展開を円滑に行うことができる。
本発明に係るエアバッグ装置は、
前記フロントピラーに近接するサイドガラスを動作させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御装置とを更に備え、
前記エアバッグ制御装置は、
自車両と自車両周辺物との衝突の発生を予測する衝突予測部と、
ガス発生指令を出力する展開制御部を有し、
前記アクチュエータ制御装置は、前記衝突予測部により前記衝突の発生が予測される場合に、前記アクチュエータを制御して前記サイドガラスの位置を所定の開放位置以下にするか、または、前記サイドガラスを所定の開放量以上開放させ、
前記展開制御部は、前記サイドガラスの位置が所定の前記開放位置以下にあるか、または、前記サイドガラスの開放量が前記所定の開放量以上である場合に、前記エアバッグを展開させ、
前記エアバッグは、展開時に前記フロントピラーと前記サイドガラスとの間を通るようにしてもよい。
上記構成によれば、サイドガラスの位置を所定の開放位置以下にするか、または、サイドガラスの開放量を所定の開放量以上にすることによりエアバッグが通過する空間を確保するため、エアバッグの展開を円滑に行うことができる。
本発明に係るエアバッグ装置は、
前記自車両の減速度を検出する加速度センサを更に備え、
前記衝突予測部は、前記加速度センサが所定値以上の減速度を検出することを前記衝突の発生とするようにしてもよい。
上記構成によれば、自車両と自車両周辺物との衝突の発生を容易に予測できる。また、既存の装置(加速度センサ)を使用できるため、新規の装置やその設置空間を確保する必要がない。
本発明に係るエアバッグ装置は、
前記自車両の外界情報を取得する外界センサと、
前記外界情報に基づいて外界を認識する外界認識装置とを更に備え、
前記衝突予測部は、前記外界認識装置が前記自車両周辺物を歩行者または二輪車であると認識する場合に、前記衝突の発生を予測するようにしてもよい。
上記構成によれば、歩行者または二輪車の乗員がフロントピラーに直接衝突することを防止できる。また、自車周辺物が歩行者または二輪車でない場合にエアバッグの展開を行わないようにすれば、歩行者または二輪車以外との衝突後にエアバッグの交換作業が不要となる。
前記エアバッグは前記内装部材に固定され、
前記内装部材は、前記エアバッグが展開する際に前記エアバッグに当接して前記エアバッグの展開方向を規制するようにしてもよい。
上記構成によれば、簡素な構造でエアバッグの展開方向を規制することができる。
前記内装部材は、車体に対して回転自在に支持され、且つ、所定の回転位置で回転動作が規制され、前記回転位置で前記エアバッグの展開方向を前記フロントピラーの車外側に規制するようにしてもよい。
上記構成によれば、簡素な構造でエアバッグをフロントピラーの車外側に展開させることができる。
本発明によれば、非展開状態のエアバッグはフロントピラーと内装部材との間に収納されるため、車室内から自車両前方に広い視界を確保できる。また、非展開状態のエアバッグは車室内に設けられて日光、風雨、埃等に直接曝されないため、エアバッグ装置の耐久性が向上する。
図1はエアバッグが展開する前の自車両の左側面図である。 図2は図1のII−II線断面図である。 図3はエアバッグが展開した後の自車両の左側面図である。 図4は図3のIV−IV線断面図である。 図5は本実施形態に係るエアバッグ装置のブロック図である。 図6は本実施形態に係るエアバッグ装置が行うエアバッグ制御処理のフローチャートである。 図7はエアバッグが展開している最中の状態を図1および図3と同じ方向から示す断面図である。
以下、本発明に係るエアバッグ装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
[1 フロントピラー16およびその周辺の構造]
図1〜図4を用いてエアバッグ60が設けられるフロントピラー16とその周辺の構造を説明する。なお、図1においては、紙面左方向を自車両10の前方向Fとし、紙面右方向を自車両10の後方向Rとする。
図1に示されるように、自車両10はフロントピラー16を有する。フロントピラー16はルーフ12とフロントフェンダ14の間に位置し、また、サイドドア18のドアフレーム20とフロントガラス24の間に位置する。図2に示されるように、フロントピラー16とドアフレーム20との間にはウエザーストリップ26、28が介在し、ドアフレーム20とサイドガラス22との間にはウエザーストリップ30が介在する。また、フロントピラー16とフロントガラス24の間にはモール32とシーラント34が介在する。
フロントピラー16は、自車両10の車外側から車室内側に向かって並べられるピラーアウター36、スティフナー38、ピラーインナー40を有する。ピラーアウター36とスティフナー38とピラーインナー40は共に屈曲する板状部材であり、ピラーアウター36は車外側に膨らむように屈曲し、ピラーインナー40は車室内側に膨らむように屈曲する。ピラーアウター36とスティフナー38は互いに前方向Fの端部同士および後方向Rの端部同士が溶接により接続され、ピラーアウター36とスティフナー38の間に閉空間が形成される。スティフナー38とピラーインナー40は互いに前方向Fの端部同士および後方向Rの端部同士が溶接により接続され、スティフナー38とピラーインナー40の間に閉空間が形成される。
ピラーアウター36の前方向Fの端部には内装部材46の回転軸となるピボット42が形成される。ピボット42の回転軸はフロントピラー16の軸線A(図1参照)と略平行する。ピボット42はスティフナー38またはピラーインナー40に形成されてもよい。また、ピラーインナー40の後方向Rの端部であり且つフロントピラー16の軸線Aの方向の両端には第1ストラップ固定部44がそれぞれ形成される。第1ストラップ固定部44はピラーアウター36またはスティフナー38に形成されてもよい。
フロントピラー16の車室内側には内装部材46(ガーニッシュ)が配置される。内装部材46は樹脂、例えばポリプロピレンで形成される。内装部材46の前方向Fの端部にはピボット42により回転自在に支持される支持部48が形成される。また、内装部材46の後方向Rの端部にはフロントピラー16の後方向Rの端部に引っかかる鉤部50が形成される。支持部48および鉤部50により、内装部材46はフロントピラー16に対して固定される。また、内装部材46は、鉤部50がフロントピラー16の後方向Rの端部から外れた状態で、ピボット42を中心にして回動できる。内装部材46の内壁面46a、すなわちフロントピラー16の車室内側の壁面と対向する壁面のうち、2つの第1ストラップ固定部44と対向する位置には2それぞれ第2ストラップ固定部52が形成される。内装部材46の内壁面46aはエアバッグ60の反力面として機能する。
1組の第1ストラップ固定部44と第2ストラップ固定部52の間にはストラップ54が設けられる。ストラップ54の一端は第1ストラップ固定部44には固定され、ストラップ54の他端は第2ストラップ固定部52には固定される。ストラップ54は後述するエアバッグ60の非展開状態で緩み、エアバッグ60の展開状態で張る。ストラップ54が張った状態で、ピボット42を中心とする内装部材46の回転量(回転角度)は最大値となる。
内装部材46の内壁面46aにはエアバッグユニット56が取り付けられる。エアバッグユニット56はインフレータ等のガス発生装置58とエアバッグ60を有する。エアバッグ60は化学繊維の織物であり、図3、4に示されるように、展開状態でフロントピラー16の車外側の少なくとも一部を覆うような形に織られている。具体的には、フロントピラー16の車室内側からフロントピラー16および/またはドアフレーム20の周方向に沿って車外に延び、フロントピラー16の車外側の少なくとも一部およびフロントガラス24の縁を覆うような形状である。エアバッグ60は、図2に示されるように、非展開状態ではフロントピラー16と内装部材46との間に巻かれた状態で収納されており、ガス発生装置58からガスが供給されると、展開と共に内装部材46の鉤部50を開放する。エアバッグ60は、内装部材46の内壁面46aを反力面とし、フロントピラー16と内装部材46との間からフロントピラー16の周方向に沿って延びて少なくともフロントピラー16の車外側の一部を覆う。
[2 自車両10のシステム構成]
図5を用いて本実施形態に係る自車両10のシステム構成を説明する。本明細書では、自車両10として、自動運転または手動運転により走行制御が可能な自動運転車両を想定する。ここでいう「自動運転」とは、自車両10の走行制御を全て自動で行う「完全自動運転」のみならず、走行制御を部分的に自動で行う「部分自動運転」や「運転支援」も含む概念である。なお、自車両10は自動運転による走行制御を行わない手動運転車両であってもよい。
[2.1 自動運転に関するシステム構成]
自車両10は、エアバッグ装置66のほかに、運転操作ECU70と、運転操作ECU70により制御される駆動力装置72、操舵装置74、制動装置76を有する。運転操作ECU70は、1つまたは複数のECUにより構成され、記憶装置と各種機能実現部を備える。機能実現部は、CPU(中央処理ユニット)が記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより機能が実現されるソフトウエア機能部である。なお、機能実現部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路からなるハードウエア機能部により実現することもできる。以下で説明する各ECUも同様である。運転操作ECU70は、自動運転時に、自動運転に必要な情報を後述する外界認識ECU86と車両センサ80等から取得し、行動計画を作成し、その行動計画に従って走行するための制御指令を駆動力装置72、操舵装置74、制動装置76に出力する。
駆動力装置72は、駆動力ECUとエンジン・駆動モータを含む駆動源を有し、運転操作ECU70から出力される制御指令に従い加減速操作を行う。操舵装置74は、EPS(電動パワーステアリングシステム)ECUとEPSアクチュエータを有し、運転操作ECU70から出力される制御指令に従い操舵操作を行う。制動装置76は、ブレーキECUとブレーキアクチュエータを有し、運転操作ECU70から出力される制御指令に従い制動操作を行う。
[2.2 エアバッグ装置66のシステム構成]
エアバッグ装置66は、入力系装置群と、制御系装置群と、出力系装置群とから構成される。入力系装置群および出力系装置群をなす各々の装置は、制御系装置に通信線を介して接続される。また、制御系装置同士も通信線を介して接続される。
入力系装置群には、外界センサ78と、車両センサ80と、開閉スイッチ82と、エンコーダ84が含まれる。制御系装置群には、外界認識ECU86と、エアバッグECU88と、パワーウインドウECU90が含まれる。出力系装置群には、ガス発生装置58と、ガラス開閉装置92が含まれる。
[2.2.1 入力系装置群の具体的構成]
外界センサ78は、自車両10の外界状態を示す情報(以下、外界情報という。)を取得し、外界情報を外界認識ECU86に出力する。外界センサ78は、1以上のカメラ94と、レーダ96を含むほか、図示しない各装置、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、ナビゲーション装置、外部(路側機、放送局、他車両等)と通信を行う通信装置等を含む。
車両センサ80は、自車両10自体の状態を示す情報(以下、自車両情報という。)を取得し、自車両情報を運転操作ECU70とエアバッグECU88に出力する。車両センサ80は、車両速度(車速)を検出する車速センサ98と、自車両10に発生する加減速度を検出する加速度センサ100を含むほか、図示しない各センサ、例えば、自車両10と自車両周辺物との接触等により自車両10に発生する圧力を検出する圧力センサ、ヨーレートセンサ、方位センサ、勾配センサ、アクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサ、舵角センサ等を含む。
開閉スイッチ82は、サイドドア18の車室内側に設けられるスイッチである。開閉スイッチ82は、自車両10の乗員の手動操作に応じた開信号または閉信号をパワーウインドウECU90に出力する。エンコーダ84は、サイドガラス22を上下に動作させるモータ92bの回転数または回転角度を検出し、パワーウインドウECU90に出力する。
[2.2.2 制御系装置群の具体的構成]
外界認識ECU86は、カメラ94で撮影された画像の認識処理を行い、外界の認識対象、例えば、他車両、歩行者、二輪車、レーンマーク、交通標識、交通信号機、構造物等を識別する。外界認識ECU86は、認識結果を運転操作ECU70およびエアバッグECU88に出力する。
エアバッグECU88は、機能実現部として、衝突予測部102と、展開制御部104を有する。衝突予測部102は、外界認識ECU86から出力される認識結果と加速度センサ100から出力される減速度の値に基づいて自車両10と歩行者または二輪車(以下、歩行者等ともいう。)との衝突の発生を予測する。展開制御部104は、エアバッグ60の展開タイミングを制御する。展開制御部104は、衝突予測部102が衝突の発生を予測した場合に、ガス発生装置58にガス発生指令を出力する。
パワーウインドウECU90は、機能実現部として、位置判定部112と、動作制御部114を有する。位置判定部112は、エンコーダ84の出力値に基づいてモータ92bの回転数または回転角度を逐次算出し、サイドガラス22の最新の開閉状態(位置)および開放量を判定する。動作制御部114は、開閉スイッチ82から出力される開閉指令に従い、ガラス開閉装置92に通常駆動指令を出力する。また、動作制御部114は、エアバッグECU88から出力される開放指令に従い、ガラス開閉装置92に緊急駆動指令を出力する。
[2.2.3 出力系装置群の具体的構成]
ガス発生装置58は、エアバッグECU88から出力されるガス発生指令に従い、ガスを発生させてエアバッグ60に供給する。ガス発生装置58は、例えばスクイブで火薬に着火してガス発生剤を燃焼させることによってガスを発生させる。
ガラス開閉装置92は、パワーウインドウECU90から出力される通常駆動指令に従い、モータ92bに対して通常電圧を印加する。モータ92bは通常速度で回転し、サイドガラス22を上昇または下降させる。また、ガラス開閉装置92は、パワーウインドウECU90から出力される緊急駆動指令に従い、モータ92bに対して昇圧回路92aによる昇圧後の電圧を印加する。モータ92bは高速で回転し、サイドガラス22を高速で下降させる。
[3 エアバッグ装置66の動作]
図6を用いてエアバッグ装置66の動作を説明する。以下で説明する処理は、自車両10の走行中に継続して実行される。
ステップS1において、各種情報が検出される。外界センサ78に含まれる各装置(カメラ94、レーダ96等)と、車両センサ80に含まれる各センサ(車速センサ98、加速度センサ100)は、それぞれ一定周期で情報を検出する。また、エンコーダ84はモータ92bの回転数または回転角度を逐次検出する。ステップS1の後、処理はステップS2に移行する。
ステップS2において、衝突予測部102は、自車両10と歩行者または二輪車との衝突の発生が予測されるか否かを判定する。例えば、レーダ96および車速センサ98の検出結果に基づいて自車両10と歩行者等との距離を演算し、両者の距離が距離閾値以下となり、且つ、加速度センサ100から出力される減速度の値が減速度閾値以上となった場合に衝突の発生を予測する。または、レーダ96および車速センサ98の検出結果に基づいて、自車両10と歩行者等との速度差および距離を演算し、両者の速度差が速度閾値以上となり、且つ、両者の距離が距離閾値以下となった場合に衝突の発生を予測してもよい。ここで利用される距離閾値、減速度閾値、速度閾値は、エアバッグECU88の記憶装置に予め記憶される。衝突の発生が予測される場合(ステップS2:YES)、処理はステップS3に移行する。この際、エアバッグECU88は、パワーウインドウECU90に判定指令を出力する。一方、衝突の発生が予測されない場合(ステップS2:NO)、処理はステップS1に戻る。
ステップS3において、エアバッグECU88から出力された判定指令を受けた位置判定部112は、エアバッグ60がドアフレーム20とサイドガラス22との間を通過できる程度にサイドガラス22が開放されているかを判定する。ここでは、その時点におけるサイドガラス22の開放量が所定の開放量以上であるか否かを判定する。ここで使用される所定の開放量は、エアバッグ60がドアフレーム20とサイドガラス22との間を円滑に通過できるような長さであり、パワーウインドウECU90の記憶装置に予め記憶される。開放量が所定の開放量未満である場合(ステップS3:NO)、処理はステップS4に移行する。一方、開放量が所定の開放量以上である場合(ステップS3:YES)、処理はステップS5に移行する。この際、パワーウインドウECU90は、エアバッグECU88に対してサイドガラス22の開放量が十分であることを示す判定結果を出力する。なお、ステップS3ではサイドガラス22の開放量を判定する代わりに、サイドガラス22の開放位置を判定してもよい。この場合、開放位置が所定の開放位置以下であるか否かが判定される。
ステップS4において、動作制御部114は、ガラス開閉装置92に対して緊急駆動指令を出力する。ガラス開閉装置92は、モータ92bを高速で回転させて、サイドガラス22を下降させる。なお、ステップS4の処理と平行してステップS3の処理が行われる。
ステップS5において、パワーウインドウECU90から出力された判定結果を受けた展開制御部104は、ガス発生装置58に対してガス発生指令を出力する。
図7に示されるように、展開初期のエアバッグ60はフロントピラー16の車室内側の壁面と内装部材46の内壁面46aを押圧する。すると、内装部材46の鉤部50がフロントピラー16から外れる。一方、内装部材46の支持部48はピボット42により回転自在に支持されている。このため、フロントピラー16と内装部材46との接触箇所のうち、後方向Rが開放される。このとき、ストラップ54は、内装部材46が車室内側に開きすぎないように開放位置を規制すると共に、内装部材46にエアバッグ60の押圧力に抗する力を付与する。このため、内装部材46は所定の開放位置で停止し、内装部材46の内壁面46aが反力面として機能する。ストラップ54により開放位置が規制された内装部材46はエアバッグ60の展開方向を規制する。エアバッグ60の展開が進行し、最終的に図4に示されるように、エアバッグ60はフロントピラー16とフロントガラス24を部分的に覆う。
ストラップ54の長さと内装部材46の内壁面46aの形状により反力面の向きが決定する。この反力面の向きとエアバッグ60の形状とストラップ54の長さによりエアバッグ60の展開方向が決まる。本実施形態では、展開時にエアバッグ60がフロントピラー16の車室内側から車外側に回り込むように、内壁面46aの形状、エアバッグ60の形状、ストラップ54の長さが設定されている。
[4 その他の実施形態]
上述した実施形態では、エアバッグECU88の衝突予測部102が自車両10と歩行者等との衝突の発生を予測する場合に、エアバッグ60を展開させる。この実施形態においてエアバッグ60を展開させる際に、更なる判定を加えることも可能である。例えば、衝突予測部102が自車両10と歩行者等との衝突位置を予測し、予測位置に応じてエアバッグ60の展開の要否を判定してもよい。また、衝突予測部102が自車両10と歩行者等との衝突の角度を予測し、予測位置に応じてエアバッグ60の展開の要否を判定してもよい。
なお、上述した実施形態では、ドアフレーム20を有する自車両10を想定したが、本発明に係るエアバッグ装置66はドアフレームを有さない自車両10にも設けられる。
[5 本実施形態のまとめ]
エアバッグ装置66は、フロントピラー16の車室内側を覆う内装部材46と、非展開状態でフロントピラー16と内装部材46との間に収納され、展開状態でフロントピラー16と内装部材46との間からフロントピラー16の周方向に沿って延びて少なくともフロントピラー16の車外側の一部を覆うエアバッグ60と、エアバッグ60の展開に必要なガスを発生させるガス発生装置58と、エアバッグ60の展開を制御するエアバッグECU88(エアバッグ制御装置)とを備える。上記構成によれば、非展開状態のエアバッグ60はフロントピラー16と内装部材46との間に収納されるため、車室内から自車両10の前方に広い視界を確保できる。また、非展開状態のエアバッグ60は車室内に設けられて日光、風雨、埃等に直接曝されないため、エアバッグ装置66の耐久性が向上する。
エアバッグ装置66は、フロントピラー16に近接するサイドガラス22を動作させるモータ92b(アクチュエータ)と、モータ92bの動作を制御するパワーウインドウECU90(アクチュエータ制御装置)とを更に備える。パワーウインドウECU90は、サイドガラス22の開放量が所定の開放量を下回る場合に、モータ92bを制御してサイドガラス22を下降させる。エアバッグECU88は、サイドガラス22の開放量が前記所定の開放量となった後に、エアバッグ60を展開させる。エアバッグ60は、展開時にフロントピラー16とサイドガラス22との間を通る。上記構成によれば、例えば全閉状態のサイドガラス22を下降させることによりエアバッグ60が通過する空間を確保するため、エアバッグ60の展開を円滑に行うことができる。
エアバッグECU88は、自車両10と自車両周辺物との衝突の発生を予測する衝突予測部102と、ガス発生指令を出力する展開制御部104を有する。エアバッグECU88は、衝突予測部102により衝突の発生が予測される場合に、モータ92b(アクチュエータ)を制御してサイドガラス22の位置を所定の開放位置以下にするか、または、サイドガラス22を所定の開放量以上開放させる。展開制御部104は、サイドガラス22の位置が所定の開放位置以下にあるか、または、サイドガラス22の開放量が所定の開放量以上である場合に、前記エアバッグを展開させる。エアバッグ60は、展開時にフロントピラー16とサイドガラス22との間を通る。上記構成によれば、サイドガラス22の位置を所定の開放位置以下にするか、または、サイドガラス22の開放量を所定の開放量以上にすることによりエアバッグ60が通過する空間を確保するため、エアバッグ60の展開を円滑に行うことができる。
エアバッグ装置66は、自車両10の減速度を検出する加速度センサ100を更に備える。衝突予測部102は、加速度センサ100が所定値以上の減速度を検出することを衝突の発生とする。上記構成によれば、自車両10と自車両周辺物との衝突の発生を容易に予測できる。また、既存の装置(加速度センサ100)を使用できるため、新規の装置やその設置空間を確保する必要がない。
エアバッグ装置66は、自車両10の外界情報を取得する外界センサ78と、外界情報に基づいて外界を認識する外界認識ECU86(外界認識装置)とを更に備える。衝突予測部102は、外界認識ECU86が自車両周辺物を歩行者または二輪車であると認識する場合に、衝突の発生を予測する。上記構成によれば、歩行者または二輪車の乗員がフロントピラー16に直接衝突することを防止できる。また、自車周辺物が歩行者または二輪車でない場合にエアバッグ60の展開を行わないようにすれば、歩行者または二輪車以外との衝突後にエアバッグ60の交換作業が不要となる。
エアバッグ60は内装部材46に固定される。内装部材46は、エアバッグ60が展開する際にエアバッグ60に当接してエアバッグ60の展開方向を規制する。上記構成によれば、簡素な構造でエアバッグ60の展開方向を規制することができる。
内装部材46は、車体に対して回転自在に支持され、且つ、所定の回転位置で回転動作が規制され、回転位置でエアバッグ60の展開方向をフロントピラー16の車外側に規制するようにしてもよい。上記構成によれば、簡素な構造でエアバッグ60をフロントピラー16の車外側に展開させることができる。
なお、本発明に係るエアバッグ装置66は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…自車両 16…フロントピラー
22…サイドガラス 46…内装部材
58…ガス発生装置 60…エアバッグ
66…エアバッグ装置 78…外界センサ
86…外界認識ECU(外界認識装置)
88…エアバッグECU(エアバッグ制御装置)
90…パワーウインドウECU(アクチュエータ制御装置)
92b…モータ(アクチュエータ) 100…加速度センサ
102…衝突予測部 104…展開制御部

Claims (7)

  1. フロントピラーの車室内側を覆う内装部材と、
    非展開状態で前記フロントピラーと前記内装部材との間に収納され、展開状態で前記フロントピラーと前記内装部材との間から前記フロントピラーの周方向に沿って延びて少なくとも前記フロントピラーの車外側の一部を覆うエアバッグと、
    前記エアバッグの展開に必要なガスを発生させるガス発生装置と、
    前記エアバッグの展開を制御するエアバッグ制御装置とを備える
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 請求項1に記載のエアバッグ装置において、
    前記フロントピラーに近接するサイドガラスを動作させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御装置とを更に備え、
    前記アクチュエータ制御装置は、前記サイドガラスの開放量が所定の開放量を下回る場合に、前記アクチュエータを制御して前記サイドガラスを下降させ、
    前記エアバッグ制御装置は、前記サイドガラスの開放量が前記所定の開放量となった後に、前記エアバッグを展開させ、
    前記エアバッグは、展開時に前記フロントピラーと前記サイドガラスとの間を通る
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
  3. 請求項1に記載のエアバッグ装置において、
    前記フロントピラーに近接するサイドガラスを動作させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御装置とを更に備え、
    前記エアバッグ制御装置は、
    自車両と自車両周辺物との衝突の発生を予測する衝突予測部と、
    ガス発生指令を出力する展開制御部を有し、
    前記アクチュエータ制御装置は、前記衝突予測部により前記衝突の発生が予測される場合に、前記アクチュエータを制御して前記サイドガラスの位置を所定の開放位置以下にするか、または、前記サイドガラスを所定の開放量以上開放させ、
    前記展開制御部は、前記サイドガラスの位置が所定の前記開放位置以下にあるか、または、前記サイドガラスの開放量が前記所定の開放量以上である場合に、前記エアバッグを展開させ、
    前記エアバッグは、展開時に前記フロントピラーと前記サイドガラスとの間を通る
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
  4. 請求項3に記載のエアバッグ装置において、
    前記自車両の減速度を検出する加速度センサを更に備え、
    前記衝突予測部は、前記加速度センサが所定値以上の減速度を検出することを前記衝突の発生とする
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
  5. 請求項3または4に記載のエアバッグ装置において、
    前記自車両の外界情報を取得する外界センサと、
    前記外界情報に基づいて外界を認識する外界認識装置とを更に備え、
    前記衝突予測部は、前記外界認識装置が前記自車両周辺物を歩行者または二輪車であると認識する場合に、前記衝突の発生を予測する
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
  6. 請求項1に記載のエアバッグ装置において、
    前記エアバッグは前記内装部材に固定され、
    前記内装部材は、前記エアバッグが展開する際に前記エアバッグに当接して前記エアバッグの展開方向を規制する
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
  7. 請求項6に記載のエアバッグ装置において、
    前記内装部材は、車体に対して回転自在に支持され、且つ、所定の回転位置で回転動作が規制され、前記回転位置で前記エアバッグの展開方向を前記フロントピラーの車外側に規制する
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109591754A (zh) * 2019-01-07 2019-04-09 长沙理工大学 一种保护车人碰撞事故中人地碰撞损伤的方法

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