JP2018149152A - 割裂低減性に優れたループ面ファスナー - Google Patents

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Abstract

【課題】係合力の高いループ面ファスナーであるにもかかわらず、係合を剥がす際に、取り付け材等の破損等を伴うことなく速やかに剥がすことができるループ面ファスナーを提供する。【解決手段】基布の表面にマルチフィラメントからなるループ状係合素子が多数存在しているループ面ファスナーにおいて、ループ状係合素子が存在している同一面に領域(1)と領域(2)が並存しており、領域(1)に存在しているループ状係合素子の密度が領域(2)に存在しているループ状係合素子の密度より低いおよび/または領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さが領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さより低いことを特徴とするループ面ファスナー。【選択図】図3

Description

本発明は、面ファスナーで取り付けられた内装部材等を取り付け面から剥離する際に、取り付けた内装部材等が割れたり裂けたり折れたりすることなく取り外すことが可能な割裂低減性に優れたループ面ファスナーに関する。
より具体的には、フック面ファスナーとループ面ファスナーを重ね合わせて係合させると、垂直方向への剥離強力は高い係合強力を発現するにもかかわらず、割裂方向への剥離が容易にでき、そのような面ファスナーを用いて天井や壁面や床面等に取り付けた天井材や壁材や床材等の内装材を取り付け面から剥離する際に、面ファスナーの係合力の点で内装材が割れたり裂けたり折れたりすることなく容易に内装材を剥離することができる割裂低減性に優れたループ面ファスナーに関する。
従来から、物体の表面に対象物を取り付ける手段の一つとして、物体と対象物のいずれか一方の表面に、フック状係合素子を表面に有するフック面ファスナーを取り付け、もう一方の表面に、ループ状係合素子を表面に有するループ面ファスナーを取り付け、両者を重ね合わせることにより、フック状係合素子とループ状係合素子を係合させて、物体の表面に対象物を取り付ける方法が用いられている。
そして、最近は、自動車の車体の天井に天井材や自動車のトランクルームの表面に化粧板等を取り付ける手段として、あるいは家屋の天井材や壁材を家屋の構造材に取り付ける手段として、このようなフック面ファスナーとループ面ファスナーの組み合わせを用いる方法が広く一般に用いられている。
このような面ファスナーにより車体の表面に天井材や化粧板を取り付ける、あるいは家屋の構造材に天井材や壁材を取り付ける際の作業として、まず、天井材や化粧板等が所定の正しい位置に取り付けられることとなるか否かを確認するために、位置合わせと称して、一方の面ファスナーを取り付けた車体や構造材の表面に、もう一方の面ファスナーを取り付けた天井材や化粧板や壁材等を近づけて簡単に係合させて位置合わせする方法が行われている。
ところが、その際に所定の位置からズレている場合には、一旦係合を剥がして、再度、正確な位置に天井材や化粧板や壁材等を固定し直す必要があり、面ファスナーの係合力が高いと、係合を剥がす際に、天井材や化粧板や壁材等が割れたり裂けたり折れたり等の破損を生じることとなる。
その一方で天井材や化粧板や壁材等を車体や家屋の構造材等に固定するためには、高い係合力が必要であり、係合力が低い場合には、振動等により自然落下したり、あるいは何か拍子で剥がれたりすることとなる。
したがって、車体の表面に天井材や化粧板を取り付ける、あるいは家屋の構造材に天井材や壁材を取り付けるのに用いられる面ファスナーは、係合力が高いこととともに、係合を剥がす際に、天井材や化粧板、壁材等を破損しない、すなわち剥離し易いものであることが求められる。
特に、自動車の天井材や化粧板、家屋の天井材や壁材のように取り付けるものが面積の大きいものである場合には、剥がす際に天井材や化粧板等が折れたり、曲がったりしないようにするために、剥がす作業は慎重を要し、剥がす作業に多大な手間と時間を要することとなる。しかも自動車の組立作業の場合には、一定速度で流れる組立ラインの途中で、剥がすとともに新たに取り付け直すという手間と時間を要する作業が新たに生じるために、場合によっては組立ラインを一時的に止める必要が生じ、生産性が大きく低下することとなる。
したがって位置合わせの際に係合が生じた場合には、係合を剥がし再度位置合わせする作業が、取り付け材の破損を伴うことなく速やかに行うことができることが必要となる。
このような位置合わせの際に不要な係合が生じ難いループ面ファスナーとして、ループ状係合素子を太いフィラメントからなるマルチフィラメントを用い、そしてこのようなループ状係合素子の素子密度を高くし、さらにこのようなループ状係合素子を特定の同一方向に向くように揃えたものが公知である(特許文献1)。
確かに、このループ面ファスナーを使用すると、軽く重ね合わせただけでは係合が生じ難く、位置合わせができることとなるが、取り付け物が大きいものである場合には、均一な力で軽く正確な位置に重ね合わせることが難しく、部分的に過度の力が掛かり易く、強固な係合が生じることとなり、このような係合が生じた場合には、剥がす際に天井材や壁材等が破損しないように慎重に、手間を掛けて剥がすことが必要となる。
また衣類やサポーター、日用雑貨や医療品等に使用される面ファスナーに関しても、一方の面ファスナーにもう一方の面ファスナーの端部をまず重ね合せて正しい位置に重ね合されていることを確認した上で、強く両方の両ファスナーを押さえ付けて係合させる方法が用いられている場合が多く、その際に、端部が正しい位置で重ね合されていない場合には、端部の係合を剥がして、再度位置合わせを行う方法が用いられている。
したがって、このような場合においても、端部の係合は簡単に剥がすことができる程度の軽い係合であり、そして正しい位置に重ね合されていることが確認した上で強く押さえ付けることにより生じる係合は強固なものであることが作業性の点で好ましいこととなる。
このような課題とは関係のないフック面ファスナーに関するものであるが、フック面ファスナーの両サイドに存在するフック状係合素子の素子密度を高め、さらに同フック状係合素子の高さを中央部に存在しているフック状係合素子よりも高くしたフック面ファスナーが公知である(特許文献2)。
しかしながら、この文献に記載されているフック面ファスナーは、モールドイン成形を行う際に樹脂液がフック面ファスナーのフック状係合素子面まで浸入しないように両サイドの係合素子密度を高め、さらにモールドイン成形の際に面ファスナー中央部に存在しているフック状係合素子が押し倒されないように両サイドの係合素子の高さを高くしたものであり、モールドイン成形に使用されることのないループ面ファスナーに関する本発明の参考となるものではなく、さらに係合させた後で係合を剥がす際の問題点を解決するという本発明の課題を示唆するものではない。
国際公開2013/088649号(請求項1および0002〜0005段落) 登録実用新案第3181929号公報(請求項1および0013段落)
本発明者等は、係合力の高いループ面ファスナーであるにもかかわらず、係合を剥がす際に、取り付け材等の破損等を伴うことなく速やかに剥がすことができるループ面ファスナー、あるいはフック面ファスナーに近づけただけでは、軽い係合が生じるだけで容易に剥がすことができ、正しい位置に重ねられていることを確認した上で強く重ね合わせることにより強固な係合が生じることとなるループ面ファスナーを提供することにある。
より具体的には、本願発明は、フック面ファスナーと係合させた場合に、垂直方向への剥離強力は高いにもかかわらず、割裂方向への剥離強力に関しては低くすることにより、強く押さえ付けて係合させた場合であっても容易に取り外すことができるループ面ファスナー、或いは単にフック面ファスナーを軽く近づけただけでは軽い係合しか生じずに容易に剥がすことができ、正しい位置に重ね合わされていることが確認できた状態で強く押さえ付けることにより初めて強固な係合が生じるループ面ファスナーであって、従来公知のものと比べて剥がすのが容易でより一層位置合わせし易いループ面ファスナーを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、基布の表面にマルチフィラメントからなるループ状係合素子が多数存在しているループ面ファスナーにおいて、ループ状係合素子が存在している同一面に領域(1)と領域(2)が並存しており、領域(1)に存在しているループ状係合素子の密度が領域(2)に存在しているループ状係合素子の密度より低いおよび/または領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さが領域(2)に存在しているループ状素子の高さより低いことを特徴とするループ面ファスナーである。
そして、このようなループ面ファスナーにおいて、好ましくは、領域(1)が端部となっている場合であり、より好ましくは、領域(2)を挟んで、その両サイドに領域(1)が存在している場合であり、より一層好ましくは、領域(2)の周囲を領域(1)が囲っている場合である。また、上記のループ面ファスナーにおいて、好ましくは、領域(2)の面積が領域(1)と領域(2)の合計面積の52〜90%である場合である。
また、このようなループ面ファスナーにおいて、好ましくは、領域(2)のループ状係合素子密度が領域(1)のループ状係合素子密度より30〜90個/cm高い場合であり、領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さが領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さよりも0.2〜1.4mm高い場合である。
さらにまた、好ましくは、上記のループ面ファスナーにおいて、基布を構成する経糸およびループ状係合素子用糸がいずれもポリエステル系繊維からなる糸であり、緯糸がポリエステル系熱融着性繊維からなる糸であり、ループ状係合素子用糸がこの熱融着性繊維の溶融により基布に固定されている場合である。
本発明のループ面ファスナーは、上記したように、面ファスナーの端部に領域(2)に比べてループ状係合素子密度の低いおよび/または係合素子の高さが低いループ状係合素子を表面に有する領域(1)が存在しており、したがってループ面ファスナーの割裂方向への剥離強さを弱めることとなり、容易に係合を割裂方向へ剥離することができることとなる。
そして、それにもかかわらず面ファスナー中央部には剥離強さの高い領域(2)が存在していることから全体の係合力に関しては従来のものと殆ど変わらず高い剥離強さが得られることとなる。したがって、位置合わせが容易にできることとなる。
このように、本発明のループ面ファスナーは、垂直方向への剥離強度を維持しつつ、かつ割裂方向への剥離強度を低減させることができる。その結果、位置合わせ時に正確でない場所に係合させた場合には、領域(1)の存在により容易に割裂方向に剥離でき、さらに正確な位置であることを確認した後の本止めにより領域(2)の係合が生じるように強く押さえ付けることで強固な係合が得られることとなる。
なお、本発明でいう垂直方向への剥離強力とは、フック面ファスナーとループ面ファスナーをそれぞれ板に貼り付け、面ファスナーを係合させ、板面に対して垂直方向に引っ張り剥離させる強度を意味する。また割裂方向への剥離強力とは、フック面ファスナーとループ面ファスナーをそれぞれ板に貼り付け、面ファスナーによって係合させたそれぞれの板の端部を掴み、それぞれの端部を180度離れた方向に板同士を開くように引っ張って係合を剥離させる際の強度を意味する。
本発明により、垂直方向への剥離強力は高い係合強力を発現するが、割裂方向への剥離強力に関しては低く、強く押さえ付け係合させた状態でも容易に取り外しができることとなる理由に関しては、領域(2)が存在していることにより垂直方向への高い剥離強力が得られ、さらに領域(1)が存在していることにより割裂方向への剥離を容易にするきっかけを作るものと考えられる。
現に、領域(1)に存在しているループ状係合素子をなくした場合、すなわち係合素子が全く存在しない領域(1)を領域(2)の周りに設けた場合には、本発明で規定するような領域(1)が存在している場合と比べて割裂方向の剥離強力は高く、取り外し易さは殆ど改善されない。
つまり、割裂方向への剥離の場合には、周りに係合力の低い領域(1)が存在し、その領域から剥離が始まり、次に係合力の高い領域(2)の剥離が生じることから、剥離に要する力が領域(1)から領域(2)へと漸次増加することが理由であると考えられる。
本発明のループ面ファスナーの好適な一例を模式的に示した斜視図である。 図1のX−Y部分で切断した厚さ方向の切断面の一例を模式的に表した断面図である。 図1のX−Y部分で切断した厚さ方向の切断面の他の一例を模式的に表した断面図である。 本発明のループ面ファスナーの好適な他の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明のループ面ファスナーの好適な他の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明のループ面ファスナーの好適な他の一例を模式的に示した斜視図である。
以下本発明のループ面ファスナーについて詳細に説明する。図1は、本発明のループ面ファスナーの好適な一例を模式的に示したものであり、図2および図3は、図1のX−Y部分で切断した厚さ方向の切断面を模式的に示した断面図である。
本発明のループ面ファスナーでは、図2や図3に示すように基布(3)の表面から立ち上がるループ状係合素子(4)が多数存在している。そして、ループ状係合素子が存在している同一面に、図2や図3の場合には、ループ状係合素子密度の低い領域(1)とループ状係合素子密度の高い領域(2)が存在している。その結果、割裂方向への剥離強さが領域(2)より領域(1)の方が低いこととなる。
図2は、領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さと領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さが同一で、領域(1)に存在しているループ状係合素子密度が領域(2)に存在しているループ状係合素子の密度よりも低い状態で同一面に並存したループ面ファスナーを示している。
図3は、領域(1)に存在しているループ状係合素子密度が領域(2)よりも低く、さらに領域(1)のループ状係合素子の高さが領域(2)のループ状係合素子よりも低い状態で同一面に並存したループ面ファスナーを示している。
その結果、図2や図3のものでは、割裂方向への剥離強さが領域(2)より領域(1)の方が低く、図2のものでは係合するように垂直方向にフック面ファスナーを近づけるようにした場合には、素子密度の高い領域(2)により容易には係合せず、容易に位置合わせができ、さらに押さえ込んで係合させた場合には、割裂方向への剥離強さの低い領域(1)が存在していることから、それがきっかけで領域(1)に続いて領域(2)についても割裂方向への剥離が容易にできることとなる。
このような領域(1)と領域(2)を同一面に有するループ面ファスナーは、図1に示すように、領域(2)がループ面ファスナーの中央部で、領域(1)が端部に存在していることにより、領域(2)で垂直方向の係合強力を保持し、領域(1)により、割裂方向の剥離強力を低減させることが容易となる。
本発明のループ面ファスナーでは、領域(1)のループ状係合素子密度が領域(2)のループ状係合素子密度より低いことにより、あるいは領域(1)のループ状係合素子高さを領域(2)のループ状係合素子高さより低くすることにより、あるいはこれら両者を併用することにより、割裂方向への剥離強さが領域(2)より領域(1)の方が低くなっている。具体的には、領域(1)の割裂方向への剥離強力が、領域(2)の割裂方向への剥離強力より4〜10N/cm低いのが好ましい。また垂直方向への剥離強力に関しては、領域(1)の剥離強力が、領域(2)の剥離強力より5〜16N/cm低いのが好ましい。
なお、本発明でいう剥離強さの測定方法は、係合相手のフック面ファスナーとして広く市販されているクラレファスニング社製フック面ファスナーL20740を用い、サンプル数10個から垂直方向の剥離強力をJIS K6849に記載されている方法に準じ、接着剤を面ファスナーに変更し測定、また割裂方向への剥離強力をJIS K6853に記載されている方法に準じ、接着剤を面ファスナーに変更し測定し、所定の幅のループ面ファスナーが得られない場合には、その幅での剥離強さを求め、換算することにより求める。また、領域(1)または領域(2)のループ状係合素子状態を全面に有する面ファスナーを別々に作製し、それらを測定してもよい。
本発明のループ面ファスナーでは、領域(2)は、図1のように一定の間隔でループ面ファスナー長さ方向に不連続で存在していても、あるいは図4のように、ループ面ファスナー長さ方向に連続して存在していてもよい。より好ましくは、図1のように不連続で存在している場合であり、このような場合には、領域(2)の四辺のいずれもが領域(1)に囲まれ、しかも所定の長さに近いループ面ファスナーが容易に得ることができる。
なお、図1、図4〜6では、基布面に存在しているループ状係合素子を省略して記載している。実物では、これら図の領域(1)および領域(2)には、ともにループ状係合素子が存在している。
本発明において、領域(2)の四辺がいずれも領域(1)で囲まれ、領域(1)が端部となっている場合には、どの端部からでも容易に割裂方向に剥離できることとなり、本発明の効果が増大する。もちろん、本発明のループ面ファスナーは、図1や図4に示すようなテープ状のものの他に、図5や図6に示すような縦横の差が少ない矩形のものでもよい。
さらに、このようなループ面ファスナーにおいて、基布を構成する経糸およびループ状係合素子用糸がいずれもポリエステル系繊維からなる糸であり、緯糸がポリエステル系熱融着性繊維からなる糸であり、ループ状係合素子用糸がこの熱融着性繊維の溶融により基布に固定されている場合には、基布が柔軟であることからより剥がし易いこととなり、好ましい。
従来のループ面ファスナーの場合には、ループ状係合素子が係合剥離の際に基布から引き抜かれるのを阻止するために、バックコート層と称して接着剤を基布裏面に塗布している。そのため基布が樹脂で固められて剛直となる。上記したように、ループ状係合素子用糸が熱融着性繊維により基布に固定されている場合には、バックコート層を裏面に塗布する必要がなく、その結果、基布が柔軟となり、割裂方向への剥離強さの低い領域(1)の存在と相まって、より一層剥がし易いこととなる。
以上、領域(1)と領域(2)とで、ループ状係合素子密度に差を有している場合について主として説明したが、これ以外に、ループ状係合素子の高さに差を設けることによっても領域(1)の方の割裂方向への剥離強さを領域(2)よりも低くすることも可能である。すなわち、領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さを領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さよりも低くすることにより領域(1)の方の割裂方向への剥離強さを領域(2)よりも低くすることができる。
もちろん、これら素子密度、ループ状係合素子高さを組み合わせて領域(1)の方の割裂方向への剥離強さを領域(2)の剥離強さより低くすることも可能である。
以下本発明のループ面ファスナーについて具体的に説明する。
本発明のように織物からなる基布を有するループ面ファスナーは、主として、経糸、緯糸およびループ状係合素子用糸からなる。そして、ループ状係合素子用糸としてマルチフィラメント糸が用いられる。本発明のループ面ファスナーにおいて、基布を構成する経糸およびループ状係合素子用糸がいずれもポリエステル系繊維からなる糸であり、緯糸がポリエステル系の熱融着性繊維からなる糸であるのが前記したように好ましい。
従来から、織物を基布とする面ファスナーに関しては、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド系の繊維からなる糸が広く一般に用いられているが、ポリアミド系繊維の糸を用いた場合には、経糸や緯糸としてナイロン系熱融着性繊維を用いてループ状係合素子用糸を基布に融着固定させる方法を用いても、ナイロン系熱融着性繊維による基布固定力は低く、十分な係合素子の剥離耐久性を得ることはできない。したがってポリアミド系繊維を用いた面ファスナーの場合には、バックコート層を設けることが必須となるが、バックコート層が存在している場合には、前記したように、基布が硬くなり、剥離することが困難となる。
本発明において、好ましくは、経糸とループ状係合素子用糸は、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーまたはポリブチレンテレフタレートホモポリマーから形成されている場合である。いずれにしても、後述する緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分を融着させるための熱処理温度で、溶融しない高い融点を有するポリエチレンテレフタレート系ポリエステルやポリブチレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。
経糸としてはマルチフィラメント糸が好ましく、そして経糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、16〜96本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜250デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜48本のフィラメントからなるトータルデシテックスが100〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
緯糸としてもマルチフィラメント糸が好ましく、緯糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、24〜72本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜300デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜48本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
そして、緯糸には、バックコート層を不要とするために、熱融着性繊維を含んでいるのが好ましく、熱融着性繊維の具体例として、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維が用いられる。緯糸が熱融着性繊維を含んでいることにより、ループ状係合素子用糸を基布に強固に固定することが可能となる。
緯糸に熱融着性繊維を用いることに代えて、経糸に熱融着性繊維を用いることによりループ状係合素子用糸を基布に固定することも可能であるが、ループ状係合素子用糸は経糸に平行に基布に打ち込まれることから、経糸はループ状係合素子用糸と交差する箇所が緯糸に比べて極端に少なく、したがって熱融着性繊維を経糸のみに用いた場合にはループ状係合素子用糸が基布に強固に固定され難い。さらに経糸に熱融着性繊維を用いた場合には、面ファスナーを連続生産する上で、走行する基布に掛かる張力を一定に保つことが難しく、一定品質の面ファスナーを安定に連続生産することが困難となり易い。
上記した芯鞘型の熱融着性繊維としては、鞘成分を溶融させてループ状係合素子の根元を基布に強固に固定できるポリエステル系の樹脂からなるものが用いられ、具体的には、芯成分は熱処理条件下では溶融しない高融点ポリエステル樹脂からなり、鞘成分は溶融する低融点または低軟化点のポリエステル樹脂からなる芯鞘型の断面を有するポリエステル系繊維が挙げられる。
より具体的には、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーを芯成分とし、イソフタル酸やアジピン酸等で代表される共重合成分を多量に共重合、例えば15〜30モル%共重合することにより融点又は軟化点を大きく低下させた共重合ポリエチレンテレフタレートを鞘成分とする芯鞘型断面を有するポリエステル繊維がその代表例として挙げられる。
鞘成分の融点または軟化点としては100〜200℃であり、かつ経糸や芯成分やループ状係合素子用マルチフィラメント糸の融点より20〜150℃低いのが好ましい。芯鞘型熱融着性繊維の断面形状としては、同心芯鞘であっても、偏心芯鞘であっても、あるいは1芯芯鞘であっても、多芯芯鞘であってもよい。
さらには、緯糸を構成する繊維中に占める芯鞘型熱融着性繊維の割合は、特に緯糸の全てが実質的に芯鞘型の熱融着性繊維で形成されている場合、つまり緯糸が芯鞘型の熱融着性のフィラメントからなるマルチフィラメント糸である場合には、ループ状係合素子用糸が強固に基布に固定されることとなるため好ましい。
緯糸を構成する繊維が芯鞘断面形状ではなく、繊維断面の全てが熱融着性のポリマーで形成されている場合には、溶けて再度固まった熱融着性ポリマーは脆く割れやすくなり、縫製した場合等は縫糸部分から基布が裂け易くなる。したがって、熱融着性繊維は、鞘成分が融ける温度では熱溶融されない樹脂を繊維長さ方向に連続して含んでいることが好ましく、熱融着性の点で芯鞘の断面形状を有していることが好ましいということになる。そして、芯成分と鞘成分の重量比率は20:80〜80:20の範囲、特に40:60〜60:40の範囲が好ましい。
ループ状係合素子用糸は、高い剥離強さが得られることから、ポリエチレンテレフタレート系またはポリブチレンテレフタレート系ポリエステルから構成され、かつ上記熱融着性繊維を熱融着させる際の温度では溶融しない融点、すなわち共重合されていないポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸が好ましい。
特に、領域(1)に存在するループ状係合素子としてポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなるマルチフィラメント、領域(2)に存在するループ状係合素子としてポリブチレンテレフタレート系ポリエステルからなるマルチフィラメントを用いると、領域(2)の剥離強さが領域(1)の剥離強さより高くなり、本発明に適したループ面ファスナーが得られる。
ループ状係合素子用糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、5〜15本のフィラメントからなるトータルデシテックスが150〜300デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に7〜12本のフィラメントからなるトータルデシテックスが16〜280デシテックスであるマルチフィラメント糸が特に好ましい。
領域(1)と領域(2)の剥離強さの差を、ループ状係合素子を形成しているマルチフィラメントのフィラメント本数により生じさせることも可能で、その場合には、領域(1)に存在するループ状係合素子を形成しているマルチフィラメントの本数を領域(2)に存在するループ状係合素子を形成しているマルチフィラメントの本数よりも3〜10本少なくするのが好ましい。
次に、以上の経糸、緯糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸から、ループ面ファスナーを製造する方法について説明する。
まず以上述べた経糸、緯糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸からループ面ファスナー用織物を織成する。織物の織組織としては、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸を経糸の一部とした平織が好ましい。
ループ状係合素子用糸は、経糸と平行に存在しつつ、組織の途中で基布面から立ち上がり、経糸を跨ぐことなくループを形成し、経糸に平行に存在している織組織が、フック状係合素子と係合し易いことから好ましい。
そして、経糸の織密度としては、熱処理後の織密度で45〜90本/cmが、また緯糸の織密度としては、熱処理後の織密度で15〜30本/cmが好ましい。そして、緯糸の重量割合としては、ループ面ファスナーを構成するループ状係合素子用糸と経糸および緯糸の合計重量に対して15〜40%が好ましい。
またループ状係合素子用マルチフィラメント糸の打ち込み本数は、経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸またはループ状係合素子用マルチフィラメント糸を含む)に対して3〜8本程度が好ましい。
なお、領域(1)と領域(2)の割裂方向への剥離強さの差を、ループ状係合素子用糸の打ち込み本数差により生じさせることも可能で、その場合には、領域(1)に存在するループ状係合素子用糸の打ち込み本数を領域(2)に存在するループ状係合素子用糸の打ち込み本数よりも減らすことより達成される。具体的には、領域(1)に存在しているループ状係合素子を構成しているマルチフィラントの本数の方が、領域(2)に存在しているループ状係合素子を構成しているマルチフィラメントの本数より、3〜10本/cm少ない程度が好ましい。打ち込み本数を領域(1)と領域(2)で変えることにより両領域でループ状係合素子の密度に差を付けることができる。
打ち込み本数を変える以外に、ループ状係合素子用糸の基布面からの立ち上がり頻度を領域(1)で減らすことによっても、ループ状係合素子密度に差を付けることができ、その結果、領域(1)の割裂方向への剥離強さを領域(2)より低くすることができる。具体的には、領域(2)のループ状係合素子密度より領域(1)のループ状係合素子密度の方が30〜90個/cm低くするのが好ましく、特に40〜80個/cm低くするのが好ましい。なお、領域(1)のループ状係合素子の素子密度としては、10〜90個/cm、領域(2)のループ状係合素子の素子密度としては、40〜120個/cmの範囲が好ましい。
特に領域(2)のループ状係合素子密度を従来の一般的なループ面ファスナーより多めの50〜120個/cmとすることにより、位置合わせ時の不要な係合を抑えることが可能となり、領域(1)の係合が選択的に生じるようにすることができる。また、ループ状係合素子密度の差により領域(1)と領域(2)の特長を出す場合には、領域(2)のループ状係合素子密度を70〜120個/cm、領域(1)のループ状係合素子密度を10〜40個/cmの範囲とすることが、本発明の特長を顕著に発現できることから好ましい。
このように領域(1)と領域(2)を有するループ面ファスナーは、領域(1)と領域(2)が経糸方向および緯糸方向に交互かつ領域(1)が格子状の連続域で領域(2)が格子に囲まれた不連続域として存在しているように規則的に形成し、領域(1)の部分の中間部で切断することにより、領域(2)の周りを領域(1)が囲っているループ面ファスナーが得られる。
具体的な製造方法として、ループ状係合素子の形成用である綜絖枠の往復運動を、電気信号によって制御されたループ形成装置を用いることにより簡単に実施でき、本発明には好適な装置である。すなわち、上記3種の糸を用いて、ループ状係合素子を形成する綜絖枠の往復運動を電気信号によって制御することで極めて多くの緯糸本数を用いた周期の組織で構成される装置を用いることで容易に製造できる。
なお、通常の織機では綜絖枠の往復運動は、一般にカードと呼ばれる部品の高さが綜絖枠の上下位置を決め、カードをチェーン状につないで回転させることで、綜絖枠の往復運動を繰り返している。しかしながら、カードをチェーン状につなぐ場合は、織機に内蔵可能な長さにしなければならないため、往復運動の周期には物理的制限が発生する。長さの制限は織機の種類によって多様であるが、緯糸を打込む本数が50本程度までの周期で組織を組むのが限界である場合が多い。
綜絖枠の往復運動を電気信号によって制御するとは、カードをチェーン状につなぐ部品を電気信号によって制御する部品に置き換えることである。すなわちカードをチェーン状につなぐ場合の長さの制限がなくなり、たとえば緯糸打込み本数が千本以上の極めて多くの緯糸本数を打込む組織を組むことが可能となる。そして、電気信号によって綜絖枠の往復運動を制御する場合の織機は、電気磁石またはモーター等を用いて綜絖枠を上下させる。
例えば、緯糸30〜80本分には、ループ状係合素子用糸は緯糸3本を浮沈したのちにループを形成するようにして、基布上にループを形成して領域(I)とし、それに続く緯糸100〜250本分には、ループ状係合素子用糸は緯糸1本を潜ったのちにループを形成するように基布中に織り込み、領域(2)とし、さらに経糸70〜160本分を隔てた経糸30〜60本分には、常に緯糸3本を浮沈した後にループを形成するループ状係合素子用糸を織り込み、領域(1)とし、得られたループ面ファスナーの所定長さおよび幅に近い領域(1)の中間部で切断することにより、領域(2)の周りを領域(1)が囲っている本発明の好適な面ファスナー用織物は製造される。
なお、本発明において、ループ面ファスナーは4辺全てが領域(1)により囲まれており、そしてこの領域(1)がループ面ファスナーの端部に位置しているのが、どの辺からも剥離し易いことから好ましいということになるが、4辺全てが領域(1)で囲まれている必要はなく、少なくとも1辺が領域(1)で覆われており、そしてこの領域(1)が面ファスナーの端部に位置している場合には、その辺を用いて割裂方向への剥離を行えば、容易に剥離できることとなる。
なお本発明のループ面ファスナーにおいて、領域(2)の面積が領域(1)と領域(2)の合計面積の52〜90%であるのが、面ファスナーに要求される剥離強さを保つ上で好ましい。より好ましくは60〜80%の範囲である。
また領域(2)の広さとしては、幅10〜100mm、長さ5mm以上が好ましく、より好ましくは、幅15〜50mm、長さ15〜50mmである。また領域(1)の広さとしては、幅2〜20mm、特に幅2〜10mmが好ましい。
このようにして得られた面ファスナー用織物に、次に熱処理して緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分のみを溶融させてループ状係合素子用のマルチフィラメント糸を基布に強固に固定させる。これにより、従来の面ファスナーで行われていたバックコート層付与処理が不要となる。熱処理の際の温度としては、鞘成分が溶融または軟化するがそれ以外の糸や芯成分は溶融しない温度である150〜250℃が一般的に用いられ、より好ましくは185〜220℃の範囲、さらに好ましくは190〜210℃の範囲である。
本発明において、領域(1)と領域(2)に存在するループ状係合素子の高さにより、領域(1)と領域(2)が存在する特長を発現させる場合には、領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さが領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さよりも0.2〜1.4mm、特に0.3〜1.0mm高くするのが、効果を発現させる上で好ましい。
なお、領域(1)に存在するループ状係合素子の高さとしては1.2〜3.0mm、領域(2)に存在するループ状係合素子の高さとしては1.4〜4.0mmの範囲が好ましい。また、本発明でいうループ状係合素子の高さとは、基布面からループ状係合素子の頂部までの距離であり、任意に選んだループ状係合素子10本の平均値である。
このようにして得られた割裂低減性に優れた本発明のループ面ファスナーは、周囲に割裂方向への剥離強さの低い領域(1)が存在していることから、しっかりと係合させた後であっても、係合を剥がし再度位置合わせを行う際には、割裂方向への剥離強力を低減させることができる。
このように、領域(1)のループ状係合素子の高さを領域(2)のループ状係合素子高さより低くするおよび/または領域(1)のループ状係合素子密度を領域(2)のループ状係合素子密度より低くすることにより、領域(1)が領域(2)より優先的に割裂方向への剥離が容易になるきっかけを作り、容易に剥がすことができ、正しい位置に取付け直すことができる。
本発明のループ面ファスナー、すなわち領域(2)のみの面ファスナーではなく領域(1)が存在することにより優先的に割裂方向への剥離が容易となるきっかけを作るようにした割裂低減性に優れるループ面ファスナーは、自動車や家屋の天井材や壁材、内装材等のように大型の対象物を取り付けるのに用いるループ面ファスナーとして優れている。さらに、それ以外の自動車分野や建材、土木等の分野にも好適に用いられ、また端部に存在している領域(1)が柔軟である場合が多いことから、面ファスナー端部が触れ易く、柔軟な手触りが愛好される日用雑貨、衣類、医療品等の分野にも好適に用いられる。
以下本発明を実施例により説明する。
実施例1
面ファスナーの基布を構成する経糸、緯糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸として次の糸を用意した。
[経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167dtexで30本
[緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)
・鞘成分:イソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
(軟化点:190℃)
・芯鞘比率(重量比):70:30
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:99dtexで24本
[ループ状係合素子用マルチフィラメント]
・ポリブチレンテレフタレート繊維(融点:220℃)
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:265dtexで7本
上記3種の糸を用いて、織装置として、ループ状係合素子を形成する綜絖枠の往復運動は電気信号により制御される装置を用い、以下の条件でループ面ファスナーを製造した。
織組織として平織を用い、織密度(熱処理後)が経糸50本/cm、緯糸20本/cmとなるように織った。そして、経糸4本に1本の割合でループ状係合素子用マルチフィラメント糸を、経糸を跨ぐことなく経糸に平行に打ち込んだ。そして、緯糸40本からなる領域(2)には、緯糸1本を潜ったのちにループを形成するように基布上にループを形成した列と、緯糸3本を浮沈したのちにループを形成した列を交互に織り込み、その前後に存在している緯糸12本分の領域(1)には、緯度3本を浮沈したのちループを形成するようにした。
さらに経糸100本毎の経糸24本分の幅の部分に、ループ状係合素子が緯糸3本を浮沈する後にループを形成する領域を作製し、この領域も領域(1)とした。そして、このようにしてループ面ファスナー用織物を織り上げた。このループ面ファスナー用織物を200℃で熱処理した。その結果、ループ状係合素子用糸は緯糸として用いた芯鞘型熱融着性繊維の融着物により基布に強固に固定された。
得られたループ面ファスナーは2cm四方の領域(2)が不連続状態で存在しており、領域(2)に挟まれている領域(1)の幅は0.5cmで緯糸方向への幅は0.25cmの領域(1)が存在している。
図1のように得られたループ面ファスナーの領域(2)に挟まれた領域(1)の部分の中間を切断し、図5のような領域(2)の周りを領域(1)が囲っている、長さおよび幅が2.5cmと2.5cmのループ面ファスナーを製造した。領域(2)の面積割合は、領域(1)および領域(2)の合計面積に対して64%であった。
得られたループ面ファスナーの領域(1)のループ状係合素子密度が30個/cm、領域(2)のループ状係合素子密度が90個/cmであり、ループ状係合素子の高さは領域(1)と領域(2)共に2.4mmであった。
得られたループ面ファスナーを用い、係合相手としてフック面ファスナー(クラレファスニング製L20740)を使用し、両者をそれぞれプラスチック板に貼り合わせ、両者を重ね合わせ、垂直方向の剥離強力をJIS K6849に記載されている方法に準じ、接着剤を面ファスナーに変更し測定、また割裂方向への剥離強力をJIS K6853に記載されている方法に準じ、接着剤を面ファスナーに変更し測定し、割裂方向の実測値が31Nで単位あたり12N/cm、垂直方向の実測値が95Nで単位あたり15N/cmであり、実測値の数値だけで比較すると垂直方向に対して33%の強さで割裂方向に剥がせる結果となった。また強く押さえ付けて係合させた場合でも、割裂強力に使用したプラスチック板も折れ曲がったり、破損したりすることはなかった。
なお、このループ面ファスナーの領域(1)と領域(2)のそれぞれの垂直方向への剥離強力および割裂方向への剥離強力を、上記領域(1)のみからなるループ面ファスナーと領域(2)のみからなるループ面ファスナーをそれぞれ作製し、これから求めたところ、領域(1)の垂直方向への剥離強力および割裂方向への剥離強力は6N/cmと10N/cmであり、一方領域(2)の垂直方向への剥離強力および割裂方向への剥離強力は20N/cmと18N/cmであった。
実施例2
上記実施例1において、領域(1)に存在するループ状係合素子の高さを1.9mmに変更し、さらに同領域および領域(2)でのループ状係合素子用糸が緯糸を浮沈する本数を変更することにより素子密度を60個/cmに変更し、得られたループ面ファスナーは3.5cm四方の領域(2)が不連続状態で存在しており、領域(2)に挟まれている領域(1)の幅は0.5cmで緯糸方向への幅は0.25cmの領域(1)が存在している。得られたループ面ファスナーのループ状係合素子密度は、領域(1)、領域(2)のともに60個/cmであり、ループ状係合素子の高さは領域(1)が1.9mmで、領域(2)が2.4mmであった。
図1のように得られたループ面ファスナーの領域(2)に挟まれた領域(1)の部分の中間を切断し、図5のような領域(2)の周りを領域(1)が囲っている、長さおよび幅が4.0cmと4.0cmのループ面ファスナーを製造した。領域(2)の面積割合は、領域(1)および領域(2)の合計面積に対して77%であった。これら以外は実施例1と同様に製造した。
このループ面ファスナーにて実施例1と同様の測定を行った所、割裂方向の実測値が32Nで単位あたり8N/cm、垂直方向の実測値が93Nで単位あたり6N/cmであり、実測値の数値だけで比較すると垂直方向に対して34%の強さで割裂方向に剥がせる結果となった。また強く押さえ付けて係合させた場合でも、割裂強力に使用したプラスチック板も折れ曲がったり、破損したりすることはなかった。
なお、このループ面ファスナーの領域(1)と領域(2)のそれぞれの垂直方向への剥離強力および割裂方向への剥離強力を、上記領域(1)のみからなるループ面ファスナーと領域(2)のみからなるループ面ファスナーをそれぞれ作製し、これから求めたところ、領域(1)の垂直方向への剥離強力および割裂方向への剥離強力は5N/cmと7N/cmであり、一方領域(2)の垂直方向への剥離強力および割裂方向への剥離強力は12N/cmと12N/cmであった。
比較例1
上記実施例2で用いたループ面ファスナーを、通常の、領域(1)および領域(2)の区別を有していない、同一のループ状係合素子が同一密度で表面全面に均一に存在しているループ面ファスナー(クラレファスニング社製B9750Y−00:ループ状係合素子高さ2.7mm、ループ状係合素子密度120個/cm)に置き換えて、長さおよび幅が2.0cmと2.0cmのループ面ファスナーにて実施例1と同様の測定を行ったところ、割裂方向の実測値が47Nで単位あたり24N/cm、垂直方向の実測値が98Nで単位あたり24N/cmであり、実測値の数値だけで比較すると垂直方向に対して48%の強さで割裂方向に剥がせる結果となった。この割裂方向剥離強度は、場合によっては貼り付けた板が折れ曲がるほど強いものであった。
以上の結果より、実施例と比較例を比較しても解るように、本発明のループ面ファスナーは、垂直方向の強力を維持させた状態で割裂方向への剥離強力を低減させることができた。またこれにより、しっかりと係合させた後で、係合を剥がし再度位置合わせを行う際には手間や時間がかからず、さらに壁板等が折れたりすることがなく、隙間なく所定位置に正確かつ強固に取り付けることができることを意味している。
1:領域(1)
2:領域(2)
3:基布
4:ループ状係合素子

Claims (8)

  1. 基布の表面にマルチフィラメントからなるループ状係合素子が多数存在しているループ面ファスナーにおいて、ループ状係合素子が存在している同一面に領域(1)と領域(2)が並存しており、領域(1)に存在しているループ状係合素子の密度が領域(2)に存在しているループ状係合素子の密度より低いおよび/または領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さが領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さより低いことを特徴とするループ面ファスナー。
  2. 領域(1)が端部となっている請求項1に記載のループ面ファスナー。
  3. 領域(2)を挟んで、その両サイドに領域(1)が存在している請求項1または2に記載のループ面ファスナー。
  4. 領域(2)の周囲を領域(1)が囲っている請求項1〜3のいずれかに記載のループ面ファスナー。
  5. 領域(2)の面積が領域(1)と領域(2)の合計面積の52〜90%である請求項1〜4のいずれかに記載のループ面ファスナー。
  6. 領域(2)のループ状係合素子密度が領域(1)のループ状係合素子密度より30〜90個/cm高い請求項1〜5のいずれかに記載のループ面ファスナー。
  7. 領域(2)に存在しているループ状係合素子の高さが領域(1)に存在しているループ状係合素子の高さよりも0.2〜1.4mm高い請求項1〜6のいずれかに記載のループ面ファスナー。
  8. 基布を構成する経糸およびループ状係合素子用糸がいずれもポリエステル系繊維からなる糸であり、緯糸がポリエステル系熱融着性繊維からなる糸であり、係合素子用糸がこの熱融着性繊維の溶融により基布に固定されている請求項1〜7のいずれかに記載のループ面ファスナー。
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