JP2018147597A - 気流発生装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】絶縁寿命が顕著に改善された気流発生装置の提供。
【解決手段】誘電体と、誘電体の一方の面または一方の面近傍に設けられた第1の柱状電極と、誘電体の内部に設けられた第2の柱状電極と、を備え、第1の柱状電極と、第2柱状の電極とは、互いに離間し、かつ第1の柱状電極の長手方向と、第2の柱状電極の長手方向が平行となるように配置され、第1の柱状電極および第2の柱状電極間であって、誘電体を垂直上方向から見たときに誘電体の第2の柱状電極の位置と重なる部分が多層構造であることを特徴とする、気流発生装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、気流発生装置およびその製造方法に関するものである。
近年、全地球規模で再生エネルギー発電システムの導入が進められている。風力発電はその代表的な発電方式のひとつであるが、風速変動や風向変動によって発電量が左右されるため、発電出力を安定維持することが困難であり、風力発電システム自体を安定かつ高効率に運用する技術が強く望まれている。
こうした背景のもと、風車翼面にバリア放電プラズマによる気流を発生させる装置を設置することで風速変動や風向変動に対応した制御が可能な、風車翼、風力発電システムが考案されている(特許文献1)。
また風車が設置されるような屋外環境でも長時間使用可能であるように耐候性に優れ、機器の変形に追従可能である柔らかな素材で構成されたプラズマ気流発生装置が考案されている(特許文献2)。
ここで、気流発生装置は、流体機器表面に配置された電源ケーブルなどと接続することにより、電圧を印加し、作動させる。流体機器周辺における気流を制御する誘起流を発生させるため、気流発生装置を構成する誘電体には高電圧が印加される。
特許文献1および2において開示される従来公知の気流発生装置は、その製造時などにおいて、誘電体の表面に、誘電体内部の電極付近または電極まで貫通する傷などの凹部や、ピンホールが発生し、これにより、絶縁耐力が低下してしまい、汚染や湿潤環境下での絶縁破壊の発生や、絶縁寿命の短縮につながる可能性がある。
特開2008−25434号公報 特開2014−226621号公報
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、誘電体の表面に、誘電体内部の電極付近または電極まで貫通する傷などの凹部や、ピンホールが存在せず、絶縁寿命が顕著に改善された気流発生装置を提供しようとするものである。
実施形態による気流発生装置は、誘電体と、誘電体の一方の面または一方の面近傍に設けられた第1の柱状電極と、誘電体の内部に設けられた第2の柱状電極と、を備え、第1の柱状電極と、第2柱状の電極とは、互いに離間し、かつ第1の柱状電極の長手方向と、第2の柱状電極の長手方向が平行となるように配置され、第1の柱状電極および第2の柱状電極間であって、誘電体を垂直上方向から見たときに誘電体の第2の柱状電極の位置と重なる部分が多層構造であることを特徴とするものである。
実施形態による気流発生装置の製造方法は、 第1の誘電体表面に多層構造を形成する工程と、
第1の誘電体の両表面に第1の柱状電極と第2の柱状電極を接合する工程と、
前記第2の柱状電極を挟み込むように、第2の誘電体部材を積層する工程と、
金型により、加熱加圧し前記第2の柱状電極および第1の誘電体部材と第2の誘電体部材とを密着させる工程とを備え、
前記多層構造を、前記第1の誘電体部材を垂直上方向から見たときに前記第2の柱状電極の位置と重なる部分に配置することを特徴とする。
本発明によれば、誘電体の表面に、誘電体内部の電極付近または電極まで貫通する傷などの凹部や、ピンホールが存在せず、絶縁寿命が顕著に改善された気流発生装置を実現することができる。
実施形態による気流発生装置を示す模式断面図である。 実施形態による気流発生装置を示す模式断面図である。 実施形態による気流発生装置を示す模式断面図である。 実施形態による気流発生装置を示す模式断面図である。 実施形態による気流発生装置の製造方法を説明するための模式断面図である。 実施形態による気流発生装置の製造方法を説明するための模式断面図である。 実施形態による風力発電システムを示す斜視図である。 実施形態による風車翼を示す模式断面図である。 実施形態による風車翼を示す斜視図である。
本発明を図面を参照しながら説明すると以下の通りである。
[気流発生装置]
一実施形態において、気流発生装置10は、
誘電体11と、
誘電体11の一方の面または該一方の面近傍に設けられた第1の柱状電極12と、
誘電体11の内部に設けられた第2の柱状電極13と、を備えてなり、
第1の柱状電極12および第2の柱状電極13間であって、誘電体11を垂直上方向から見たときに誘電体11の第2の柱状電極13の位置と重なる部分が多層構造11Aを有している(図1参照)。
一実施形態において、気流発生装置20は、
第1の誘電体部材21と、
第1の誘電体部材21の一方の面または該一方の面近傍に設けられた第1の柱状電極22と、
第1の誘電体部材21の他方の面に設けられた第2の柱状電極23と、
第2の柱状電極23を覆うように設けられた第2の誘電体部材24と、を備えてなり、
第1の誘電体部材21を垂直上方向から見たときに、第1の誘電体部材21の少なくとも第2の柱状電極23の位置と重なる部分が多層構造21Aを有している(図2参照)。
誘電体を第1の誘電体部材および第2の誘電体部材からなる構成とすることにより、気流発生装置の製造過程において、第2の柱状電極を二つの誘電体部材で挟み込むことによって、第2の柱状電極が誘電体に埋設した構造を容易に形成させることができる。
一実施形態において、接地する風車翼の大きさに応じ、本発明の気流発生装置を直列に連結し、使用してもよい。
[誘電体]
本発明の実施の形態において、気流発生装置は、誘電体を備えてなる。
一実施形態において、誘電体は、第1の柱状電極および第2の柱状電極間に位置している。そして誘電体の、垂直上方向から見たときに前記第2の柱状電極の位置と重なる部分が多層構造を有している。
なお、誘電体が、第1の誘電体部材および第2の誘電体部材からなる場合、第1の誘電体部材が多層構造を有する。
このような多層構造としては、図1に示すように、誘電体11の垂直上方向から見たときに第2の柱状電極13の位置と重なる部分が多層となる構造11A、または図3に示すように、誘電体31の垂直上方向から見たときに、誘電体31を垂直上方向から見たときに、誘電体31の第1の柱状電極32と重なる部分の少なくとも一部分まで延伸している構造、例えば、第1の柱状電極32および第2の柱状電極33の位置と重なる構造31Aといった、誘電体31の短手方向の一部が多層となる構造が挙げられる。
また、これに限定されず、例えば、図4に示すように、誘電体41の短手方向全体に渡り多層となる構造41Aが挙げられる。
また、図1等において、誘電体は、2層からなる多層構造を有するが、これに限定されるものでなく、絶縁寿命向上という観点からは、3層以上とすることが好ましい。また、実用性、製造コストという観点からが、10層以下とすることが好ましい。
誘電体の層を形成させる場合、その層に深い傷や層を貫通するピンホールなどの欠陥が形成されることがある。ピンホールは絶縁性を低下させる原因となり、深い傷も運用によってさらに傷が深くなり、結果的に貫通孔となって絶縁性を低下させる原因となる。誘電体の層を形成させる場合に、このような欠陥の発生は比較的低いものの、完全に防ぐことが難しい。しかし、誘電体の層を上記したような多層構造を有することにより、多層構造を構成する層のそれぞれの表面に、傷などの凹部や、ピンホールなどの欠陥が存在したとしても、それぞれの層における欠陥の位置が一致する可能性が非常に低くなり、凹部や、ピンホールが誘電体内部の第2の電極付近まで到達してしまう欠陥が発生することを防止することができ、絶縁寿命を顕著に改善することができる。
気流発生装置においては、第1の柱状電極の気流発生方向端部の電界が最も高くなるため、この付近に、第2の電極付近まで到達する凹部や、ピンホールが存在すると、絶縁破壊が発生してしまう可能性が高い。図3および4に示す多層構造とすることにより、これを効果的に防止することができ、絶縁寿命をより改善することができる。
一実施形態において、誘電体は、可撓性材料を含んでなり、誘電体へ電気絶縁性を付与することができることから、可撓性材料は樹脂材料であることが好ましい。
樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑樹脂および架橋ゴムなどが挙げられ、これらの中でも、気流発生装置の機械的強度や安定性を考慮すると、架橋ゴムが好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられる。また、架橋ゴムとして、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴムなどが挙げられる。誘電体は、上記樹脂材料を1種または2種以上含んでいてもよい。多層構造において、各層に含まれる樹脂材料は、同一であっても、異なるものであってもよいが、接着性および機械的特性という観点からは、同一であることが好ましい。
一実施形態において、誘電体は、スメクタイト群、カオリン群、マイカ群またはバーミキュライト群に属する層状ケイ酸塩などの無機微粒子を含んでなる。スメクタイト群に属する層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライト、ステブンサイトおよびノントロナイトなどが挙げられる。カオリン群に属する層状ケイ酸塩としては、カオリナイト、ナクライト、ディッカイトおよびハロサイトなどが挙げられる。マイカ群に属する層状ケイ酸塩としては、マスコバイト、マーガライト、イライト、クリントナイト、アナンダイト、バイオタイトおよびレピドライトなどが挙げられる。バーミキュライト群に属する層状ケイ酸塩としては、トリオクタヘドラルバーミキュライトおよびジオクタヘドラルバーミキュライトなどが挙げられる。これらのうちでも、分散性などの点からスメクタイト群に属する層状ケイ酸塩を用いることが望ましい。誘電体は、上記無機微粒子を1種または2種以上含んでいてもよい。
誘電体における上記無機微粒子の含有量は、上記樹脂材料100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。無機微粒子の含有量を上記数値範囲内とすることにより、無機微粒子同士の距離を適切なものに保つことができ、微粒子の凝集体形成に伴う、気流発生装置の機械的強度の低下を防止することができるとともに、好適な電気的特性を与えることができる。より好ましくは1〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜5質量部である。ここでいう電気的特性とは、たとえば絶縁破壊強度や耐放電侵食性などのことを指し、機械的特性とは、たとえば破壊靱性のことを指す。
無機微粒子の平均一次粒子径は、1000nm以下、1nm以上であることが好ましく、500nm以下、5nm以上であることがより好ましい。無機微粒子の平均一次粒子径を上記数値範囲内とすることにより、無機微粒子のアスペクト比が大きくなりすぎてしまうことを防止することができ、また、それに伴う上記樹脂材料との混合物の粘度の増加を抑制することができるため、作業効率の低下を防止することができる。なお、この平均粒子径は、積算分布(累積分布)の中位径(累積分布曲線で累積量が50%時の粒子径)である。また、無機微粒子の大きさは、レーザー回折散乱法や動的光散乱法、誘電泳動現象と回折光を利用した方法などにより測定することができる。
また、一実施形態において、誘電体は、水酸化物を含んでなる。誘電体の表面が汚損した場合、第1の柱状電極と汚損部分との間にアーク放電が発生し、最終的にトラッキングを引き起こしてしまうおそれがある。誘電体が水酸化物を含むことにより、アーク放電時おける熱を逃がすことができ、トラッキングの発生を防止することができる。
水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム三水和物などの金属酸化物の水和物などが挙げられる。誘電体は、上記水酸化物を1種または2種以上含んでいてもよい。
誘電体における上記水酸化物の含有量は、上記樹脂材料100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましく、30〜300質量部であることがより好ましい。水酸化物の含有量を上記数値範囲内とすることにより、トラッキングの発生をより効果的に防止することができる。
一実施形態において、多層構造の最表面の層、すなわち、最も第1の電極との距離が近い層は、上記した樹脂材料ならびに、無機微粒子および/または水酸化物を含んでなることが好ましい。
一実施形態において、多層構造の中間層は、無機化合物を含むことが好ましい。無機化合物としては、シリカ、層上ケイ酸塩やマイカなどが挙げられる。
中間層における無機化合物の含有量は、10〜100質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。これにより、耐放電性をより向上させることができる。
また、一実施形態において、中間層は、上記した樹脂材料を含んでなる。中間層が、樹脂材料を含むことにより、接着性および吸湿性を向上させることができる。
中間層における樹脂材料の含有量は、10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。これにより、耐放電性の向上と、接着性および吸湿性の向上を両立させることができる。
誘電体の多層構造における各層を構成する材料は接着性という観点からは同一であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
誘電体が、第1の誘電体材料および第2の誘電体材料からなる場合、これらを構成する材料は同一であっても、異なるものであってもよいが、接着性向上という観点からは、同一の材料により構成されることが好ましい。
誘電体の表面は、接着性向上の観点から、コロナ処理やカップリング処理などによる表面活性化処理が施されることが好ましい。
一実施形態において、誘電体の厚さは、0.05〜5mmとすることができる。
また、第2の柱状電極上の誘電体の厚さは、0.025〜2.5mmであることが好ましく、0.05〜1mmであることがより好ましい。これにより、絶縁寿命をより改善することができる。
誘電体が第1の誘電体部材および第2誘電体部材からなる場合、第1の誘電体部材の厚さは、0.025〜2.5mmであることが好ましく、0.05〜1mmであることがより好ましい。第1の誘電体部材の厚さを上記数値範囲とすることにより、絶縁寿命をより改善することができる。
一実施形態において、多層構造の最表面の層の厚さは、1〜1000μmであることが好ましく、25〜500μmであることがより好ましい。多層構造の最表面の層の厚さを上記数値範囲とすることにより、絶縁寿命をより改善することができる。
[第1の柱状電極]
気流発生装置が備える第1の柱状電極は、誘電体または第1の誘電体部材の表面または表面近傍に設けられる。
第1の柱状電極は、第2の柱状電極と、誘電体または第1の誘電体部材を介して離間し、かつ第1の柱状電極の長手方向と、第2の柱状電極の長手方向が平行となるように配置される。
これは第1および第2の柱状電極の間隔が一定で無いと、電極間隔の狭い部分で電界集中が起こる可能性があるためである。また、第1の柱状電極は、第2の柱状電極よりも、その長手方向の長さが、長いことが好ましい。
また、図1および2においては、誘電体11または第1の誘電体部材21の垂直上方向から見たときに、第1の柱状電極12または22の端部と、第2の柱状電極13または23の端部とが、位置L1において重なるように、両電極が配置されているが、これに限定されるものではなく、両電極の端部を離して配置してもよい。
実施形態による気流発生装置は、風車翼などに適用することを意図したものである。このため、風車翼の長手方向に向かう気流を発生させることが好ましいので、電極は一定の長さを有する柱状形状であることが好ましい。また、柱状電極の断面形状は、特に限定されず、例えば、四角形、半円形、半楕円形、円形および楕円形などが挙げられる。具体的には実施形態における、柱状電極とは、円柱状、角柱状、板状などの形状を有することができる。また、柱状電極の末端部分は、一般的には頂点が存在するが、末端部分を丸めて頂点を有さない形状とすることもできる。実施形態に用いられる第1の柱状電極は、これらのうちから目的に応じて適切な形状を有するものとすることができる。
第1の誘電体の表面には、第1の柱状電極および第2の柱状電極にケーブル配線を介して電圧を印加した際、放電プラズマが発生する。また、第1の柱状電極は、誘電体または第1の誘電体部材の表面または表面近傍に設けられるため、長時間外気と触れる。
これらを考慮し、第1の柱状電極は、耐放電性や耐酸化性を有する導電性材料を含んでなることが好ましい。第1の柱状電極が含んでなる導電性材料としては、例えば、ニッケル、ステンレス、チタン、モリブデン、タングステンおよびこれらの合金などの金属材料が挙げられる。これらの中でも、耐酸化性および耐放電性に特に優れるため、タングステンおよびチタンが好ましい。
[第2の柱状電極]
一実施形態において、気流発生装置が備える第2の柱状電極は、誘電体内部に設けられる(図参照)。
また、誘電体が、第1の誘電体部材および第2の誘電体部材からなる場合、気流発生装置が備える第2の柱状電極は、第1の誘電体部材の第1の柱状電極が設けられた面とは反対の面に設けられる。
一実施形態において、第2の柱状電極は、第1の柱状電極を構成する材料と同様の材料から構成される。また、これに限定されるものではなく、カーボンナノチューブや導電性セラミックスなどの無機良導電体や、導電性プラスチックなどの有機良導電体などを含んでいてもよい。
第2の柱状電極の形状は、前記した第1の柱状電極の項において述べたものから選択することができる。なお、第2の柱状電極の形状は、第1の柱状電極の形状と同一である必要は無い。
[気流発生装置の製造方法]
一実施形態における気流発生装置の製造方法を説明すると以下の通りである。
まず、図5に示すように、第1の誘電体部材54の凹状部に少なくとも可撓性材料を含む塗工液57を1層以上塗布し、上金型と、下金型により、加熱加圧し、第1の誘電体部材54を垂直上方向から見たときに、第2の柱状電極53の位置と重なる部分が多層構造54Aである第1の誘電体部材54を形成する。
続いて、第1の誘電体部材54の両表面に第1の柱状電極59と第2の柱状電極53を接合させる。接合方法としては、例えば、第1の誘電体部材における第1の柱状電極と接合する面をコロナ処理、プラズマ処理、UV照射などの乾式処理や、アルコキシシラン化合物などを塗布する湿式処理、またはそれらの組み合わせにより表面処理を施し、加熱することで化学的に結合し接着させる。アルコキシシラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
続いて、第2の柱状電極53を覆うように、第2の誘電体部材52を配置し、上金型58と、下金型51により、加熱加圧し、一体化させる。
多層構造の第1の誘電体部材の形成方法はこれに限定されず、第1の誘電体部材の凹状部に、可撓性材料や無機化合物等を含むシートを従来公知の接着剤や液体樹脂を介して積層することにより形成させてもよい。この場合、第1の誘電体材料の凹状部をコロナ処理
、プラズマ処理、UV照射などの乾式処理や、シランカップリング剤塗布による湿式処理などによる表面処理を施し、接着性を向上させることが好ましい。例えば、無機化合物からなるシートを積層することにより耐放電性を向上させることができる。
各層表面に凹部や、ピンホールが形成されたとしても、その後に引き続いて次の層を形成させる際に、それら欠陥を充填することができ、絶縁寿命を顕著に改善することができることから、多層構造の形成は、前者の方法により行うことが好ましい。
また、これらの方法を組み合わせてもよい。
別の実施形態における気流発生装置の製造方法を説明すると以下の通りである。
まず、図6に示すように、第1の誘電体部材64上に、可撓性材料を少なくとも含む塗工液66を1層以上塗布し、上金型と、下金型により、加熱加圧し、短手方向全体に渡り多層構造64Aの第1の誘電体部材64を形成する。
続いて、第1の誘電体部材64の両表面に第1の柱状電極67と第2の柱状電極63を接合させる。接合方法は、上記した通りである。
続いて、第2の柱状電極63を覆うように、第2の誘電体部材62を配置し、上金型と、下金型により、加熱加圧し、一体化させる。
[風力発電システム]
図7は、一実施形態における風力発電システム70を示す斜視図である。図7に示される様に、風力発電システム70において、地面71に設置されたタワー72の頂部に発電機(図示しない)などを収容したナセル73が取り付けられている。また、ナセル73から突出した発電機の回転軸に風車翼74が取り付けられている。さらに、ナセル73の上面には、風邪の風向や風速を計測する風向風速計75が設けられている。
また、一実施形態において、図8に示されるように、気流発生装置の第1の柱状電極80および第2の柱状電極81には、ケーブル配線82を介して、これら電極間に電圧を印加する放電用電源83が設置される。放電用電源83から第1の柱状電極80と第2の柱状電極81との間に電圧が印加され、一定の閾値以上の電位差となると、第1の柱状電極80と第2の柱状電極81との間に誘電体バリア放電が起こり、この誘電体バリア放電に伴って、放電プラズマが生成される。図8に示すように、この誘電体バリア放電によって、第1の柱状電極80および第2の柱状電極91の長手方向と垂直な一方向に、誘電体の表面に沿って気流AFが発生する。なお、図8においては、誘電体表面の垂直上方からみたときに、第2の柱状電極81から第1の柱状電極80に向かう方向に気流AFが発生しているが、これに限定されるものではなく、電極に印加する電圧、周波数、電流波形、デューティ比、などの電流電圧特性を変化させたり、電極の設置方法を変更することにより制御することができる。また、気流の大きさについても同様に制御することが可能である。
[風車翼]
図9は、一実施形態における風車翼90を示す斜視図である。図9に示されるように、風車翼90は、風車翼本体91と、風車翼本体91に配置された気流発生装置92と、を含んでなる。
一実施形態において、風車翼本体は、グラスファイバを合成樹脂により固形化したGFRP(グラスファイバ強化樹脂)などの誘電材料を含んでなる。なお、風車翼は、全体が誘電材料により構成されるものに限定されず、気流発生装置を配置される部分のみが誘電性材料により構成されるものであってもよい。
また、実施形態による気流発生装置は、風車翼以外にも各種の用途に適用することができる。例えば列車、自動車、または航空機の運行時に発生する空気抵抗を低減させるために、機体等の表面に発生する気流の整流に用いることもできる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10:気流発生装置、11:誘電体、11A:多層構造、12:第1の柱状電極、13:第2の柱状電極、20:気流発生装置、21:第1誘電体部材、21A:多層構造、22:第1の柱状電極、23:第2の柱状電極、24:第2の誘電体部材、30:気流発生装置、31:誘電体、31A:多層構造、32:第1の柱状電極、33:第2の柱状電極、40:気流発生装置、41:誘電体、41A:多層構造、42:第1の柱状電極、43:第2の柱状電極、44:第2の誘電体部材、51:下金型、52:第2の誘電体部材、53:第2の柱状電極、54:第1の誘電体部材、54A:多層構造、55:凸状部、56:凸状部を有する上金型、57:塗工液、58:凸状部を有しない上金型、59:第1の柱状電極、61:下金型、62:第2の誘電体部材、63:第2の柱状電極、64:第1の誘電体部材、64A:多層構造、65:上金型、66:塗工液、67:第1の柱状電極、70:風力発電システム、71:地面、72:タワー、73:ナセル、74:風車翼、75:風向風速計、80:第1の柱状電極、81:第2の柱状電極、82:ケーブル配線、83:放電用電源、90:風車翼、91:風車翼本体、92:気流発生装置、AF:気流

Claims (9)

  1. 誘電体と、
    前記誘電体の一方の面または前記一方の面近傍に設けられた第1の柱状電極と、
    前記誘電体の内部に設けられた第2の柱状電極と、を備え、
    前記第1の柱状電極と、前記第2柱状の電極とは、互いに離間し、かつ前記第1の柱状電極の長手方向と、前記第2の柱状電極の長手方向が平行となるように配置され、
    前記誘電体の、前記第1の柱状電極および前記第2の柱状電極の間にあって、前記誘電体を垂直上方向から見たときに前記第2の柱状電極の位置と重なる部分が多層構造であることを特徴とする、気流発生装置。
  2. 前記多層構造が、前記誘電体を垂直上方向から見たときに、前記誘電体の前記第1の柱状電極と重なる部分の少なくとも一部分まで延伸している、請求項1に記載の気流発生装置。
  3. 前記多層構造の最表面の層の厚さが、25μm〜500μmである、請求項1または2に記載の気流発生装置。
  4. 前記最表面の層が、樹脂材料ならびに、無機微粒子および/または水酸化物を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気流発生装置。
  5. 前記第2の柱状電極上の前記誘電体の厚さが、25μm〜2.5mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気流発生装置。
  6. 第1の誘電体表面に多層構造を形成する工程と、
    第1の誘電体の両表面に第1の柱状電極と第2の柱状電極を接合する工程と、
    前記第2の柱状電極を挟み込むように、第2の誘電体部材を積層する工程と、
    金型により、加熱加圧し前記第2の柱状電極および第1の誘電体部材と第2の誘電体部材とを密着させる工程とを備え、
    前記多層構造を、前記第1の誘電体部材を垂直上方向から見たときに前記第2の柱状電極の位置と重なる部分に配置することを特徴とする、気流発生装置の製造方法。
  7. 前記多層構造の形成が、
    前記第1の誘電体部材表面にあらかじめ設けられた凹状部に、少なくとも可撓性材料を含む塗工液を塗布する工程と、
    加熱加圧し、多層構造を形成する工程と、により行われる、請求項6に記載の方法。
  8. 請求項6記載の前記多層構造の形成が、
    前記第1の誘電体部材表面に少なくとも可撓性を有する固体材料を埋設する工程と、
    加熱加圧し、多層構造を形成する工程と、により行われる、請求項6に記載の方法。
  9. 前記多層構造が、前記第1の誘電体部材を垂直上方向から見たときに、前記第1の柱状電極と重なる部分の少なくとも一部分まで延伸された位置に配置する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
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