JP2018146093A - 流体ダンパ装置、ダンパ付き機器、および流体ダンパ装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体ダンパ装置において、ケースからのロータの抜け止めを行う部分の薄型化を図ること。
【解決手段】流体ダンパ装置10は、有底筒状のケース20に挿入されるロータ30のフランジ部42に対して金属製のワッシャーなどの環状の位置決め部材70を当接させ、ケース20の端部には、ケース20の内周面に形成された段部28との間に位置決め部材70を挟み込む固定部23を形成し、位置決め部材70を介してロータ30の抜け止めを行う。固定部23は、ケース20の端部に設けられた筒状部29を熱カシメにより変形させたカシメ部である。
【選択図】図2
【解決手段】流体ダンパ装置10は、有底筒状のケース20に挿入されるロータ30のフランジ部42に対して金属製のワッシャーなどの環状の位置決め部材70を当接させ、ケース20の端部には、ケース20の内周面に形成された段部28との間に位置決め部材70を挟み込む固定部23を形成し、位置決め部材70を介してロータ30の抜け止めを行う。固定部23は、ケース20の端部に設けられた筒状部29を熱カシメにより変形させたカシメ部である。
【選択図】図2
Description
本発明は、ケースとロータとの間に流体が充填された流体ダンパ装置、ダンパ付き機器、および流体ダンパ装置の製造方法に関する。
特許文献1には、有底筒状のケースとロータとの間にオイル等の流体が充填された流体ダンパ装置が開示される。特許文献1の流体ダンパ装置では、ロータ(回転軸)の軸線方向の一端がケースの内側に配置され、回転軸とケース内周面との間にダンパ室が形成され、回転軸の側面に設けられた弁体がダンパ室に配置される。ロータが第1方向に回転する際には、弁体の径方向の先端とケース内周面とが接している。従って、ロータの回転負荷が大きい。一方、ロータが第1方向と反対の方向に回転するときには、流体の抵抗によって弁体とケース内周面との間に隙間が空くので、この隙間を流体が通り抜けるため、ロータの回転負荷は小さい。
特許文献1の流体ダンパ装置は、ケースの開口部に固定されるカバーによってケースからのロータの抜け止めがなされている。カバーはケースと別部材であり、ケースの内周面に形成された雌ネジとカバーの外周面に形成された雄ネジとを螺合させることによってケースに固定される。しかしながら、このようなネジ締め式の固定方法は、カバーの厚さがねじピッチ×ターン分の寸法以上になるため、カバーを薄型化することができない。そのため、流体ダンパ装置の軸線方向の寸法を小さくすることができない。あるいは、カバーを薄型化できない場合、ダンパ室の軸線方向の寸法を拡げることができないため、ダンパ力を向上させることができない。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、流体ダンパ装置において、ケースからのロータの抜け止めを行う部分の薄型化を図ることにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る流体ダンパ装置は、ダンパ室を構成する有底筒状のケースと、前記ケース内に挿入される回転軸および弁体を備えるロータと、前記ダンパ室に充填される流体と、を有し、前記ロータは、前記ケースの内周面に設けられた段部に当接することによって軸線方向に位置決めされる位置決め部材を介して前記ケースからの抜け止めがなされており、前記ケースは、前記段部との間に前記位置決め部材を前記軸線方向に挟み込む固定部を備えることを特徴とする。
また、本発明は、ダンパ室を構成する有底筒状のケースと、前記ケース内に挿入される回転軸および弁体を備えるロータと、前記ダンパ室に充填される流体と、を有する流体ダンパ装置の製造方法であって、前記ロータを前記ケースに組み付ける工程では、前記ケースの端部を変形させることにより、前記ケースの内周面に設けられた段部との間に位置決め部材を軸線方向に挟み込む固定部を形成することを特徴とする。
本発明では、ケースに形成した段部と固定部との間に位置決め部材を挟み込んで固定す
るため、ケースにおいてロータの抜け止めを行う部分(固定部)を薄型化することができる。従って、固定部を含めたケースの軸線方向の寸法を短くすることができ、流体ダンパ装置の軸線方向の寸法を小型化できる。あるいは、ダンパ室の軸線方向の長さを長くすることができ、ダンパ力を向上させることができる。
るため、ケースにおいてロータの抜け止めを行う部分(固定部)を薄型化することができる。従って、固定部を含めたケースの軸線方向の寸法を短くすることができ、流体ダンパ装置の軸線方向の寸法を小型化できる。あるいは、ダンパ室の軸線方向の長さを長くすることができ、ダンパ力を向上させることができる。
また、本発明では、固定部がケースに設けられているので、別部品のカバーをネジ締めによってケースに固定する方式と比較した場合、部品点数を少なくすることができる。また、部品にねじを形成する必要がなく、部品を製造するための金型費を削減できる。従って、流体ダンパ装置のコスト削減を図ることができる。
本発明において、前記ロータは、前記位置決め部材と前記軸線方向に当接する摺動面を備えることが望ましい。このように、ロータの摺動面に位置決め部材を当接させることで摩耗を抑制でき、耐久性を向上させることができる。
例えば、前記位置決め部材は金属製であることが望ましい。金属製であれば摺動時の摩耗を抑制できるため、耐久性を向上させることができる。また、前記ケースおよび前記ロータは樹脂製であることが望ましい。
本発明において、前記位置決め部材は環状であり、前記ロータは、前記位置決め部材の貫通孔を通って前記ケースの開口部から外部へ突出することが望ましい。このようにすると、全周でロータの位置決めを行うことができる。従って、ロータを確実に位置決めできる。
本発明において、前記固定部は、前記位置決め部材を全周で固定することが望ましい。このようにすると、位置決め部材を確実に固定できる。
本発明において、前記ケースは、前記位置決め部材の外周側に配置される筒部と、前記固定部と前記筒部とを繋ぐ折り曲げ部とを備えることが望ましい。このような形状により、固定部と段部との間に位置決め部材を挟み込んで保持することができる。
本発明において、前記ロータを前記ケースに組み付ける工程では、前記ケースの端部を熱カシメにより変形させて前記固定部を形成することが望ましい。このように、ケースの開口部を熱カシメにより変形させて固定部を形成することにより、部品点数を削減できる。また、固定部の軸線方向の薄型化を図ることができる。
次に、本発明は、上記の流体ダンパ装置を備えたダンパ付き機器であって、前記回転軸には、機器本体に対して回転移動する開閉部材が取り付けられている。例えば、前記開閉部材は、洋式便器の便座である。このように、上記の流体ダンパ装置の回転軸に便座などの開閉部材を取り付けた場合には、開閉部材の回転負荷を大きくすることができる。従って、開閉部材の急な動作を抑制することができる。
本発明では、ケースに形成した段部と固定部との間に位置決め部材を挟み込んで固定するため、ケースにおいてロータの抜け止めを行う部分(固定部)を薄型化することができる。従って、固定部を含めたケースの軸線方向の寸法を短くすることができ、流体ダンパ装置の軸線方向の寸法を小型化できる。あるいは、ダンパ室の軸線方向の長さを長くすることができ、ダンパ力を向上させることができる。また、固定部がケースに設けられているため、別部品のカバーをネジ締めによって固定する方式と比較して部品点数を少なくすることができる。また、部品にねじを形成する必要がなく、部品を製造するための金型費を削減できる。従って、流体ダンパ装置のコスト削減を図ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、ロータ30の回転軸40が延在する方向を軸線L方向とし、軸線L方向において、回転軸40がケース20から突出している側を一方側L1とし、回転軸40がケース20から突出している側とは反対側を他方側L2として説明する。
(ダンパ付き機器)
図1は、本発明を適用した流体ダンパ装置10が搭載された洋式便器1を備えた洋式トイレユニット100の説明図である。図1に示す洋式トイレユニット100は、洋式便器1(ダンパ付き機器)および水タンク3を備えている。洋式便器1は、便器本体2(機器本体)、樹脂製の便座5(開閉部材)、樹脂製の便蓋6(開閉部材)、およびユニットカバー7等を備えている。ユニットカバー7の内部には、流体ダンパ装置10が便座用および便蓋用として内蔵されており、便座5および便蓋6は各々、流体ダンパ装置10を介して便器本体2に連結されている。ここで、便座5に連結された流体ダンパ装置10、および便蓋6に連結された流体ダンパ装置10としては、同一構成のものを用いることができる。以下の説明では、便座5に連結された流体ダンパ装置10について説明する。
図1は、本発明を適用した流体ダンパ装置10が搭載された洋式便器1を備えた洋式トイレユニット100の説明図である。図1に示す洋式トイレユニット100は、洋式便器1(ダンパ付き機器)および水タンク3を備えている。洋式便器1は、便器本体2(機器本体)、樹脂製の便座5(開閉部材)、樹脂製の便蓋6(開閉部材)、およびユニットカバー7等を備えている。ユニットカバー7の内部には、流体ダンパ装置10が便座用および便蓋用として内蔵されており、便座5および便蓋6は各々、流体ダンパ装置10を介して便器本体2に連結されている。ここで、便座5に連結された流体ダンパ装置10、および便蓋6に連結された流体ダンパ装置10としては、同一構成のものを用いることができる。以下の説明では、便座5に連結された流体ダンパ装置10について説明する。
図2は流体ダンパ装置10の斜視図であり、軸線L方向の一方側L1からみた斜視図である。流体ダンパ装置10は、軸線L方向に延在する円柱状の流体ダンパ装置本体10aと、流体ダンパ装置本体10aから一方側L1に突出する連結軸10bを備える。連結軸10bは便座5に連結される。連結軸10bの先端部は角柱状であるため、連結軸10bに対する便座5の空周りが防止される。連結軸10bは、便座5が倒れようとする際に軸線L周りの第1方向R1に回転し、便座5が起立しようとする際に第1方向R1と逆回りの第2方向R2に回転する。流体ダンパ装置10は、起立している便座5が便器本体2に被さるように倒れようとする際(すなわち、連結軸10bが第1方向R1に回転する際)、それに抗する力(回転負荷)を発生させ、便座5が倒れる速度を低下させる。
(流体ダンパ装置)
図3は流体ダンパ装置10を軸線Lに沿う面で切断した断面図であり、図4は流体ダンパ装置を軸線Lに対して垂直な面で切断した断面図である。なお、図4は、一方側L1から見た断面図である。また、図5は流体ダンパ装置の分解断面斜視図である。流体ダンパ装置10は、有底筒状のケース20と、ケース20に回転可能に保持されるロータ30を備える。ロータ30は、回転軸40と、回転軸40に保持される弁体50と、回転軸40の先端に取り付けられる封止用部材60を備える。本形態において、ケース20および封止用部材60は樹脂成形品である。
図3は流体ダンパ装置10を軸線Lに沿う面で切断した断面図であり、図4は流体ダンパ装置を軸線Lに対して垂直な面で切断した断面図である。なお、図4は、一方側L1から見た断面図である。また、図5は流体ダンパ装置の分解断面斜視図である。流体ダンパ装置10は、有底筒状のケース20と、ケース20に回転可能に保持されるロータ30を備える。ロータ30は、回転軸40と、回転軸40に保持される弁体50と、回転軸40の先端に取り付けられる封止用部材60を備える。本形態において、ケース20および封止用部材60は樹脂成形品である。
ケース20は、軸線L方向に延在する円筒状の胴部21と、胴部21の他方側L2の端部を塞ぐ底部22と、胴部21の一方側L1の端部に形成される環状の固定部23を備える。底部22の中央には、他方側L2に凹む円形の凹部24が形成されている。凹部24には、ロータ30の回転軸40の他方側L2の先端に設けられた軸部41が挿入される。
軸部41は、凹部24によって回転可能に保持される。一方、固定部23の中央には、ケース20の一方側L1にロータ30の端部を突出させる円形の開口部25が形成されている。固定部23は、円形の開口部25を除いてケース20の一方側L1の端部を塞いでいる。開口部25から突出したロータ30の端部は、便座5などの開閉部材が連結される連結軸10bとして用いられる。
軸部41は、凹部24によって回転可能に保持される。一方、固定部23の中央には、ケース20の一方側L1にロータ30の端部を突出させる円形の開口部25が形成されている。固定部23は、円形の開口部25を除いてケース20の一方側L1の端部を塞いでいる。開口部25から突出したロータ30の端部は、便座5などの開閉部材が連結される連結軸10bとして用いられる。
図4に示すように、胴部21の内周面には、径方向内側に突出する仕切り用凸部26が周方向で180°ずれた2箇所に形成されている。仕切り用凸部26は軸線L方向に延在し、仕切り用凸部26の他方側L2の端部は底部22と繋がっている。仕切り用凸部26は、径方向外側から内側に向かって周方向の寸法(厚さ)が薄くなっている。仕切り用凸部26は、胴部21の内側に形成されるダンパ室11を周方向に区画する。図5に示すように、仕切り用凸部26の一方側L1の端面には、径方向に延在するリブ261が形成されている。リブ261は、胴部21の円筒状内周面27と繋がっており、円筒状内周面27から仕切り用凸部26の内周側端面262まで直線状に延在する。
胴部21の内周面は、仕切り用凸部26が形成された円筒状内周面27と、円筒状内周面の一方側L1の端部に設けられた段部28を備える。段部28は、一方側L1を向く環状端面281、および、環状端面281の外周縁と繋がる大径内周面282を備える。環状端面281の内周縁は円筒状内周面27と繋がっており、大径内周面282は固定部23と繋がっている。段部28には、後述する円環状の位置決め部材70が配置される。位置決め部材70は、ケース20に形成された固定部23と、段部28の環状端面281との間に挟まれて保持される。従って、固定部23および位置決め部材70により、ケース20に組み付けられたロータ30がケース20から一方側L1に抜けないよう保持される。固定部23は、ケース20に対してロータ30を組み付ける際に、ケース20の一方側L1の端部を変形させて、変形後の形状が環状端面281との間に位置決め部材70を保持可能な形状となるように構成されている。
ロータ30の回転軸40は、全体として直線状であり、軸線L方向の中央よりも他方側L2の位置に環状のフランジ部42が形成されている。フランジ部42は、回転軸40の全周に形成されている。フランジ部42に対して他方側L2には、フランジ部42よりも小径の第1軸部43が設けられ、フランジ部42に対して一方側L1には、フランジ部42よりも小径で且つ第1軸部43よりも大径の第2軸部44が設けられている。第1軸部43および第2軸部44は略円柱状であり、第2軸部44の先端には、角柱状の第3軸部45が設けられている。第2軸部44および第3軸部45はケース20から一方側L1に突出しており、第1軸部43はフランジ部42と共にケース20の内側に配置される。第1軸部43の先端面は、ケース20の底部22と軸線L方向に対向する。ケース20の凹部24に挿入される軸部41は、第1軸部43の先端面の中央から突出する。
フランジ部42は、軸線L方向に所定の間隔を空けて配置された第1フランジ部421と第2フランジ部422を備えており、第1フランジ部421と第2フランジ部422の間には環状の周溝423が形成されている。周溝423にはOリング80が装着される。ロータ30がケース20に組み付けられると、Oリング80はケース20の円筒状内周面27に当接して押し潰される。従って、ケース20とフランジ部42との隙間が密閉され、ケース20の底部22とフランジ部42との間に外部から密閉されたダンパ室11が形成される。ダンパ室11にはオイル等の流体12(粘性流体)が充填される。
ロータ30は、周溝423の一方側L1に位置する第2フランジ部422が、ケース20の段部28に配置された環状の位置決め部材70と軸線L方向に当接することによって軸線L方向に位置決めされる。このとき、ロータ30の軸線L方向の他方側L2では、ロータ30に形成された弁体保持部46の端面とケース20の底部22とが対向する。つま
り、ロータ30の軸線L方向の位置決めは、ケース20の底部22と位置決め部材70とによってなされる。位置決め部材70としては、金属製(例えば、SUS製)のワッシャーが用いられる。この場合、位置決め部材70は、第2フランジ部422と全周で当接する。ロータ30は、第1フランジ部421および第2フランジ部422がケース20の円筒状内周面27に回転可能に保持されることにより、ケース20によって回転可能に保持される。ロータ30の第2軸部44は、位置決め部材70の中央に形成された円形の貫通孔71に回転可能に保持される。すなわち、ロータ30は、ケースの底部22とフランジ部42の2箇所で回転可能に保持される。
り、ロータ30の軸線L方向の位置決めは、ケース20の底部22と位置決め部材70とによってなされる。位置決め部材70としては、金属製(例えば、SUS製)のワッシャーが用いられる。この場合、位置決め部材70は、第2フランジ部422と全周で当接する。ロータ30は、第1フランジ部421および第2フランジ部422がケース20の円筒状内周面27に回転可能に保持されることにより、ケース20によって回転可能に保持される。ロータ30の第2軸部44は、位置決め部材70の中央に形成された円形の貫通孔71に回転可能に保持される。すなわち、ロータ30は、ケースの底部22とフランジ部42の2箇所で回転可能に保持される。
(熱カシメによる固定部23の形成)
図6はロータ30をケース20に組み付ける工程の説明図であり、図6(a)は固定部23を形成する前のケース20Aの断面図である。また、図6(b)は図6(a)のケース20Aにロータ30および位置決め部材70を組み付けた状態の断面図であり、図6(c)は熱カシメにより固定部23を形成した状態の説明図である。図6(a)、(b)において、ロータ30が組み付けられる前のケースを符号20Aで示す。ケース20Aには固定部23が形成されておらず、軸線L方向の一方側の端部には、筒状部29が形成されている。筒状部29の内周面は段部28の大径内周面282と同一径もしくは大径内周面282より大径である。
図6はロータ30をケース20に組み付ける工程の説明図であり、図6(a)は固定部23を形成する前のケース20Aの断面図である。また、図6(b)は図6(a)のケース20Aにロータ30および位置決め部材70を組み付けた状態の断面図であり、図6(c)は熱カシメにより固定部23を形成した状態の説明図である。図6(a)、(b)において、ロータ30が組み付けられる前のケースを符号20Aで示す。ケース20Aには固定部23が形成されておらず、軸線L方向の一方側の端部には、筒状部29が形成されている。筒状部29の内周面は段部28の大径内周面282と同一径もしくは大径内周面282より大径である。
ロータ30をケース20に組み付ける工程では、図6(a)のケース20Aにロータ30を挿入し、ロータ30の他方側L2の先端に設けられた軸部41をケース20Aの凹部24に挿入する。続いて、位置決め部材70をロータ30の第2軸部44の外周側に装着し、位置決め部材70をロータ30の第2フランジ部422に対して軸線L方向の一方側L1から全周で当接させる。
次に、図6(c)に示すように、熱カシメ用の治具である環状のチップ8をケース20Aの筒状部29に接触させて加熱し、他方側L2に押圧して筒状部29を変形させる熱カシメを行う。この際、固定部23がロータ30の第2軸部44と接触しないように、第2軸部44に筒状のスリーブ9を装着した状態で熱カシメを行う。熱カシメ後のケース20は、位置決め部材70の外周側を囲む筒部29aと、位置決め部材70に対して軸線L方向の一方側L1から当接する環状の固定部23と、固定部23の外周縁と筒部29aとを繋ぐ折り曲げ部29bとを備えた形状となる。
位置決め部材70は、固定部23が形成される際に他方側L2へ押圧される。その際、位置決め部材70は、第2フランジ部422に当接してロータ30を他方側L2へ押圧する。位置決め部材70がケース20の段部28に当接すると、ロータ30も軸線L方向に位置決めされる。筒状部29を熱カシメすることにより、位置決め部材70の一方側に環状の固定部23が形成される。固定部23および折り曲げ部29bは、位置決め部材70の全周に形成され、位置決め部材70を全周で固定する。位置決め部材70は、段部28の環状端面281と固定部23との間に挟み込まれた状態となる。
ロータ30において、回転軸40の他方側L2の先端には封止用部材60が取り付けられている。封止用部材60は、ケース20の底部22と軸線L方向に対向する凸部を備える。位置決め部材70を介してロータ30が軸線L方向に位置決めされる際、封止用部材の凸部は、ケース20の底部22と当接して軸線L方向に押し潰される。これにより、凸部が設けられた位置で、回転軸40とケース20との隙間が封止される。また、回転軸40に設けられた第1フランジ部421は、胴部21の内周面に設けられた仕切り用凸部26の一方側L1の端面に形成されたリブ261と接触する。
本形態では、ケース20が樹脂成形品であるため、熱カシメによって固定部を形成して
いる。ケース20として他の素材(例えば、金属)を用いる場合、熱カシメでなく塑性変形によって固定部23(カシメ部)および折り曲げ部29bを形成することもできる。塑性変形により固定部23および折り曲げ部29bを形成する場合、全周でなく周方向の一部に形成することもできる。例えば、筒状部29に代えて周方向に一定ピッチで爪部を形成しておき、この爪部を塑性変形させて固定部23および折り曲げ部29bを形成することもできる。
いる。ケース20として他の素材(例えば、金属)を用いる場合、熱カシメでなく塑性変形によって固定部23(カシメ部)および折り曲げ部29bを形成することもできる。塑性変形により固定部23および折り曲げ部29bを形成する場合、全周でなく周方向の一部に形成することもできる。例えば、筒状部29に代えて周方向に一定ピッチで爪部を形成しておき、この爪部を塑性変形させて固定部23および折り曲げ部29bを形成することもできる。
位置決め部材70と第2フランジ部422が当接する当接面は、ロータ30の回転時に摺動する摺動面である。つまり、ロータ30は、第2フランジ部422の一方側L2の面が位置決め部材70と摺動する摺動面となっている。本形態では、ロータ30の回転軸40は樹脂製であり、ケース20が樹脂製であり、位置決め部材70は金属製である。つまり、ロータ30の回転時にロータ30と摺動する面が樹脂面でなく金属面である。従って、ロータ30の回転による摺動面の摩耗を抑制できる。なお、位置決め部材70と第2フランジ部422が当接する当接面(摺動面)には、グリス等の潤滑材を塗布しておくことが好ましい。
(ダンパ室)
図4に示すように、胴部21と第1軸部43との間には、環状のダンパ室11が設けられる。胴部21の内周面から内側に突出する仕切り用凸部26の内周側端面262は、第1軸部41の外周面に当接する。従って、ダンパ室11は、2箇所の仕切り用凸部26によって同一形状の2室に区画される。第1軸部41の外周面において、周方向で180°離れた2箇所には、弁体保持部46が形成されている。2箇所の弁体保持部46は同一形状であり、第1軸部41の外周面から径方向外側に突出している。また、弁体保持部46は、第1軸部43の他方側L2の端部まで延在しており、一方側L1の端部は第1フランジ部421と繋がっている。
図4に示すように、胴部21と第1軸部43との間には、環状のダンパ室11が設けられる。胴部21の内周面から内側に突出する仕切り用凸部26の内周側端面262は、第1軸部41の外周面に当接する。従って、ダンパ室11は、2箇所の仕切り用凸部26によって同一形状の2室に区画される。第1軸部41の外周面において、周方向で180°離れた2箇所には、弁体保持部46が形成されている。2箇所の弁体保持部46は同一形状であり、第1軸部41の外周面から径方向外側に突出している。また、弁体保持部46は、第1軸部43の他方側L2の端部まで延在しており、一方側L1の端部は第1フランジ部421と繋がっている。
2箇所の弁体保持部46のそれぞれには、弁体50が保持される。弁体保持部46は、周方向の幅が径方向外側より径方向内側で狭くなっている。弁体保持部46の径方向外側の端部には、径方向内側に凹んだ弁体保持溝461が形成されている。弁体保持溝461は、周方向の一方側に位置する第1凸部462と、周方向の他方側に位置する第2凸部463の間に形成されており、軸線L方向に直線状に延在する。弁体保持溝461は、内周面が約180°を超える角度範囲にわたって湾曲した円弧状になっている。
弁体50は、弁体保持溝461に保持される基部51と、基部51から径方向外側へ突出する先端部52とを備える。弁体50の先端部52は、径方向に対して傾斜した方向に突出しており、円筒状内周面27に接触する。本形態では、第2凸部463よりも第1凸部462の方が径方向外側への突出寸法が少なく、弁体50の先端部52は、第1凸部462の外周側に被さる方へ傾いている。
流体ダンパ装置10において、図1に示す便座5が起立姿勢から平伏姿勢に回転する閉動作の際、ロータ30(回転軸40)が軸線L周りに第1方向R1(図4参照)に回転する。第1方向R1は、弁体50の基部51に対して先端部52が位置する側にロータ30が回転する方向である。この場合、弁体50は、流体12からの圧力により、弁体50の先端部52が円筒状内周面27に押し付けられる。このため、弁体50と円筒状内周面27との間を流体12が通過できず、ロータ30(回転軸40)には回転負荷が加わる。しかしながら、この場合でも、ケース20の底部22と弁体50との間には、わずかな隙間が空いているため、流体の移動がわずかに許容される。従って、ロータ30は、回転負荷が加わるものの、低速度での第1方向R1への回転が許容される。
また、図1に示す便座5が平伏姿勢から起立姿勢に回転する開動作の際、ロータ30(
回転軸40)が軸線L周りに第2方向R2に回転する。第2方向R2は、第1方向R1と逆方向である。この場合、流体12のからの圧力によって弁体50の先端部52が円筒状内周面27から離れるため、弁体50と円筒状内周面27との間を流体12が通過できるようになる。従って、ロータ30の回転負荷は小さい。
回転軸40)が軸線L周りに第2方向R2に回転する。第2方向R2は、第1方向R1と逆方向である。この場合、流体12のからの圧力によって弁体50の先端部52が円筒状内周面27から離れるため、弁体50と円筒状内周面27との間を流体12が通過できるようになる。従って、ロータ30の回転負荷は小さい。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の流体ダンパ装置10は、有底筒状のケース20に挿入されるロータ30に対して位置決め部材70を当接させ、ケース20の端部には、ケース20の内周面に形成された段部28との間に位置決め部材70を挟み込む固定部23を形成し、位置決め部材70を介してロータ30の抜け止めを行う。このように、ケース20に形成した段部28と固定部23との間に位置決め部材70を挟み込んで固定することにより、ケース20においてロータ30の抜け止めを行う部分(固定部23)を薄型化することができる。従って、固定部23を含めたケース20の軸線L方向の寸法を短くすることができ、流体ダンパ装置10の軸線L方向の寸法を小型化できる。あるいは、ダンパ室11の軸線L方向の長さを長くすることができ、ダンパ力を向上させることができる。
以上説明したように、本形態の流体ダンパ装置10は、有底筒状のケース20に挿入されるロータ30に対して位置決め部材70を当接させ、ケース20の端部には、ケース20の内周面に形成された段部28との間に位置決め部材70を挟み込む固定部23を形成し、位置決め部材70を介してロータ30の抜け止めを行う。このように、ケース20に形成した段部28と固定部23との間に位置決め部材70を挟み込んで固定することにより、ケース20においてロータ30の抜け止めを行う部分(固定部23)を薄型化することができる。従って、固定部23を含めたケース20の軸線L方向の寸法を短くすることができ、流体ダンパ装置10の軸線L方向の寸法を小型化できる。あるいは、ダンパ室11の軸線L方向の長さを長くすることができ、ダンパ力を向上させることができる。
また、本形態では、固定部23がケース20に設けられているので、別部品のカバーをネジ締めによってケース20に固定する方式と比較した場合、部品点数を少なくすることができる。また、部品にねじを形成する必要がなく、部品を製造するための金型費を削減できる。従って、流体ダンパ装置10のコスト削減を図ることができる。すなわち、本形態の固定部23は、ケース20の開口部に形成されたカシメ部であるため、部品点数を削減できる。また、カシメ部であれば、軸線L方向の薄型化を図ることができる。例えば、本形態のように、熱カシメによりケース20の端部を変形させて固定部23を形成することにより、固定部23を薄型化することができる。
本形態のロータ30は、位置決め部材70と軸線L方向に当接する第2フランジ部422を備えており、第2フランジ部422に位置決め部材70と摺動する摺動面が設けられている。本形態では、ケース20とロータ30(回転軸40)は樹脂製であるが、位置決め部材70は金属製であるため、樹脂同士を摺動させる場合よりも摩耗を抑制できる。従って、耐久性を向上させることができる。
本形態では、位置決め部材70は環状であるため、全周でロータ30の位置決めを行うことができる。従って、ロータ30を確実に位置決めできる。また、固定部23は位置決め部材70を全周で固定するため、位置決め部材70を確実に固定できる。
1…洋式便器(ダンパ付き機器)、2…便器本体(機器本体)、3…水タンク、5…便座(開閉部材)、6…便蓋(開閉部材)、7…ユニットカバー、8…チップ、9…スリーブ、10…流体ダンパ装置、10a…流体ダンパ装置本体、10b…連結軸、11…ダンパ室、12…流体、20、20A…ケース、21…胴部、22…底部、23…固定部、24…凹部、25…開口部、26…仕切り用凸部、27…円筒状内周面、28…段部、29…筒状部、29a…筒部、29b…折り曲げ部、30…ロータ、40…回転軸、41…軸部、42…フランジ部、43…第1軸部、44…第2軸部、45…第3軸部、46…弁体保持部、50…弁体、51…基部、52…先端部、53…弁体の端面、60…封止用部材、70…位置決め部材、71…貫通孔、80…Oリング、100…洋式トイレユニット、261…リブ、262…内周側端面、281…環状端面、282…大径内周面、421…第1フランジ部、422…第2フランジ部、423…周溝、461…弁体保持溝、462…第1凸部、463…第2凸部、L…軸線、L1…軸線方向の一方側、L2…軸線方向の他方側、R1…第1方向、R2…第2方向
Claims (11)
- ダンパ室を構成する有底筒状のケースと、
前記ケース内に挿入される回転軸および弁体を備えるロータと、
前記ダンパ室に充填される流体と、を有し、
前記ロータは、前記ケースの内周面に設けられた段部に当接することによって軸線方向に位置決めされる位置決め部材を介して前記ケースからの抜け止めがなされており、
前記ケースは、前記段部との間に前記位置決め部材を前記軸線方向に挟み込む固定部を備えることを特徴とする流体ダンパ装置。 - 前記ロータは、前記位置決め部材と前記軸線方向に当接する摺動面を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体ダンパ装置。
- 前記位置決め部材は金属製であることを特徴とする請求項2に記載の流体ダンパ装置。
- 前記ケースおよび前記ロータは樹脂製であることを特徴とする請求項3に記載の流体ダンパ装置。
- 前記位置決め部材は環状であり、
前記ロータは、前記位置決め部材の貫通孔を通って前記ケースの開口部から外部へ突出することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の流体ダンパ装置。 - 前記固定部は、前記位置決め部材を全周で固定することを特徴とする請求項5に記載の流体ダンパ装置。
- 前記ケースは、前記位置決め部材の外周側に配置される筒部と、前記固定部と前記筒部とを繋ぐ折り曲げ部とを備えること特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の流体ダンパ装置。
- 請求項1から7の何れか一項に記載の流体ダンパ装置を備えたダンパ付き機器であって、
前記回転軸には、機器本体に対して回転移動する開閉部材が取り付けられていることを特徴とするダンパ付き機器。 - 前記開閉部材は、洋式便器の便座であることを特徴とする請求項8に記載のダンパ付き機器。
- ダンパ室を構成する有底筒状のケースと、前記ケース内に挿入される回転軸および弁体を備えるロータと、前記ダンパ室に充填される流体と、を有する流体ダンパ装置の製造方法であって、
前記ロータを前記ケースに組み付ける工程では、前記ケースの端部を変形させることにより、前記ケースの内周面に設けられた段部との間に位置決め部材を軸線方向に挟み込む固定部を形成することを特徴とする流体ダンパ装置の製造方法。 - 前記ロータを前記ケースに組み付ける工程では、前記ケースの端部を熱カシメにより変形させて前記固定部を形成することを特徴とする請求項10に記載の流体ダンパ装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017044714A JP2018146093A (ja) | 2017-03-09 | 2017-03-09 | 流体ダンパ装置、ダンパ付き機器、および流体ダンパ装置の製造方法 |
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JP2018146093A true JP2018146093A (ja) | 2018-09-20 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018146093A (ja) |
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2017
- 2017-03-09 JP JP2017044714A patent/JP2018146093A/ja active Pending
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