JP2018144547A - 車両用シート - Google Patents

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Tomoyuki Katayama
智行 片山
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Abstract

【課題】車両用シートにおいて、乗降性を向上させる。【解決手段】車両用シート10は、車両の乗降口に隣接して設けられたシートクッション1Aと、棒状の把手部2aを有する手摺部材2とを備えている。手摺部材2は、シートクッション1A内に格納された格納状態と、シートクッション1A内から乗降口側に突出した突出状態とに切替可能である。【選択図】図2

Description

本発明は、乗員が乗降時に支えとして利用可能な手摺部材を備えた車両用シートに関する。
車両には、乗降性を高めるために手摺部材が設けられることがある。一般的に、このような手摺部材は、乗員が把持可能な棒状に形成され、乗降口の周辺(例えばピラーの車内側の面)に固定されている。乗員は、乗降時にこの手摺部材を支えとして利用することにより、乗降しやすくなる。
従来、上述したような手摺部材を車両用シートのシートクッションに設けることが提案されている。例えば特許文献1には、シートクッションの端部に立設されたサポート部材(手摺部材)が記載されている。特許文献1の技術によれば、乗員が降車時にシートクッション上の着座位置からサポート部材を支えにして体重移動することができるため、降車動作をスムースに実施できるとされている。また、乗車時はサポート部材を支えにして腕で体を支えることで、着座動作をゆっくりかつ安全に行なえるとされている。
特開2010-202120号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような技術では、手摺部材の機能が十分に発揮されない虞がある。例えば、子供は車外から手を伸ばしてもシートクッションの端部まで届かないことがあるため、上述したようにシートクッションの端部に立設された手摺部材では、子供が乗車する際に支えとして機能しない虞がある。また、同様の理由で、シートクッションの端部に立設された手摺部材では、子供が降車する際にも支えとして機能しない虞がある。なお、子供が乗降する場合に限らず、例えば車高が高い車両において大人が乗降する場合にも同様の課題が生じうる。
本件の車両用シートは、上述したような課題に鑑み創案されたものであり、乗降性を向上させることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
(1)ここで開示する車両用シートは、車両の乗降口に隣接して設けられたシートクッションと、棒状の把手部を有するとともに前記シートクッション内に格納された格納状態と前記シートクッション内から前記乗降口側に突出した突出状態とに切替可能な手摺部材と、を備えている。
(2)前記手摺部材は、棒状に形成されて一端部が前記シートクッション内に保持されるとともに他端部が前記把手部の両端部にそれぞれ結合された一対の支持部を有することが好ましい。
(3)前記把手部及び前記一対の支持部が、上面視でU字状に設けられていることが好ましい。また、前記車両用シートが、前記手摺部材の下方に設けられるとともに前記格納状態と前記突出状態とに切替可能な箱型形状のトレイを備えていることが好ましい。
(4)前記車両用シートが、前記手摺部材を前記格納状態と前記突出状態とに切り替えるために操作される操作手段と、前記操作手段への操作に応じて前記手摺部材を移動させる移動機構と、を備えていることが好ましい。
(5)前記車両用シートが、前記突出状態における前記手摺部材の前記把手部が掴まれたか否かを検出する検出手段を備えていることが好ましい。また、前記移動機構は、前記検出手段で前記把手部が掴まれたことが検出された場合に、前記手摺部材を前記シートクッション内に引き込むことが好ましい。
(6)前記車両用シートが、前記乗降口がドアで閉じられた状態である場合に前記手摺部材を前記格納状態に保持する保持手段を備えていることが好ましい。
開示の車両用シートよれば、手摺部材をシートクッション内から乗降口側に突出させることで、乗降性を向上させることができる。
実施形態に係る車両用シートが適用された車両の斜視図である。 図1の車両用シートの斜視図であり、手摺部材及びトレイが共に格納状態である場合を示している。 図1の車両用シートの斜視図であり、手摺部材及びトレイが共に突出状態である場合を示している。 図1の車両用シートに備えられた移動機構を上方から視た模式的な部分断面図である。 図1の車両用シートに係る機能を示すブロック図である。 図1の車両用シートに係る制御内容を例示したフローチャートである。 変形例に係る車両用シートの斜視図であり、手摺部材及びトレイが共に格納状態である場合を示している。
図面を参照して、実施形態としての車両用シートについて説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の説明では、本車両用シートが搭載された車両を基準にして前後方向及び左右方向を定める。また、重力の方向を下方といい、この逆方向を上方という。
[1.装置構成]
本実施形態に係る車両用シート10は、図1に示す車両20に搭載されている。車両20は、前後二列のシート群と、各シート群の左右両側に設けられた合計四つのドアとを有している。本実施形態では、車両10の後部左側に位置する車両用シート10(以下、単に「シート10」という)について詳述する。
車両20には、シート10の左方の乗降口21を閉鎖可能なドア22の開閉状態を検出する開閉センサ23と、開閉センサ23を含む様々な車載センサで検出された各種情報が伝達されるECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)24とが設けられる。ECU24は、車両10を統合制御するコンピュータであり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車載ネットワークの通信ラインに接続される。
シート10は、シート本体1と手摺部材2とトレイ3とを備えている。シート本体1は、乗員が着座するためのシートクッション1Aと、シートクッション1Aに着座した乗員の背面及び頭部をそれぞれ支持するためのシートバック1B及びヘッドレスト1Cとで構成される。なお、シートバック1Bの下部には、その傾倒角度を調節するための調節機構1Dが設けられる。
シートクッション1Aは、適度な柔軟性及び反発性を有する素材により、厚み(上下方向の寸法)を持つとともに前後方向及び左右方向に広がった形状に形成される。シートクッション1Aは、車室床面に固定された脚部材1Eやシートフレーム1Fで下方から支持される。
シートクッション1Aは、乗降口21に隣接して設けられる。本実施形態では、乗降口21がシートクッション1Aの左方に隣接して位置する。ドア22が乗降口21を完全に開いた状態(開状態)では、シートクッション1Aの左側の側面における略全域が乗降口21から車両20の外部に露出する。
図2に示すように、本実施形態のシートクッション1Aは、内部に空洞1hを有する。この空洞1hは、手摺部材2及びトレイ3を格納することに利用される。また、空洞1hは、シートクッション1Aの左側の側面に形成された開口部1gを通じて外部と連通している。開口部1gは、手摺部材2及びトレイ3を空洞1hに対して出し入れするための出入口として機能する。
手摺部材2は、乗員が乗降口21から乗降する際に支えとして利用可能なものである。すなわち、手摺部材2は、乗員の乗降動作を補助する機能を持つ。また、トレイ3は、例えば傘や靴のように車内で使用しない荷物をしまっておくための付属品である。トレイ3は、上方に開放された箱型形状に形成され、手摺部材2の下方に設けられる。
図2及び図3にそれぞれ示すように、手摺部材2及びトレイ3は、シートクッション1A内の空洞1hに格納された格納状態と、シートクッション1Aよりも乗降口21側に突出した突出状態とに切替可能に構成される。本実施形態では、乗降口21がシートクッション1Aの左方に位置することから、手摺部材2及びトレイ3は、格納状態から左方へ移動することで突出状態に切り替わり、突出状態から右方へ移動することで格納状態に切り替わる。
なお、手摺部材2及びトレイ3の夫々について、格納状態とは、全ての部位がシートクッション1A内に収まる位置(以下、格納位置という)にある状態を指す。また、突出状態とは、大部分がシートクッション1Aの外部に露出する位置(以下、突出位置という)にある状態を指す。本実施形態では、手摺部材2とトレイ3との夫々に対して、格納位置と突出位置とが予め設定されている。
図3及び図4に示すように、手摺部材2は、乗員が手で握るための把手部2aと、把手部2aを支持する一対の支持部2b,2cとを有する。本実施形態の把手部2a及び支持部2b,2cは、上面視でU字状に設けられている。把手部2aは、乗員が把持可能な太さの棒状に形成され、前後方向に延設される。本実施形態の把手部2aは、手摺部材2が突出位置にある場合に、乗降口21よりも左方(車外)に位置する。
一対の支持部2b,2cは、把手部2aにかかる荷重を支持可能な太さの棒状に形成され、左右方向に延設される。支持部2b,2cは、前後に並んで設けられ、互いに平行に配置される。以下、前方の支持部2bを「前支持部2b」ともいい、後方の支持部2cを「後支持部2c」ともいう。
前支持部2bは、右端部(一端部)がシートクッション1A内に保持され、左端部(他端部)が把手部2aの前端部に結合されている。前支持部2bには、後述する移動機構4の一要素であって、雄ねじ加工が施された螺子部4dが設けられる。また、後支持部2cは、右端部(一端部)がシートクッション1A内に保持され、左端部(他端部)が把手部2aの後端部に結合されている。後支持部2cは、その外周面の全体が滑らかな曲面とされる。
図4に示すように、本実施形態に係るシート10は、電動のモータ(保持手段)4Aと、一対のガイド部材4B,4Cとを備えている。モータ4A及びガイド部材4B,4Cは、上述した前支持部2bの螺子部4dとともに、手摺部材2を移動させる移動機構4を構成する。なお、本実施形態では、手摺部材2を移動させる移動機構4について詳述するが、同様の機構でトレイ3を移動させるようにしてもよい。
移動機構4は、モータ4Aを回転させることで手摺部材2を左右方向に移動させ、モータ4Aを回転させないことで手摺部材2の位置を保持する。つまり、モータ4Aは、回転しているオン状態では手摺部材2を格納状態と収納状態とに切り替える機能を持ち、回転していないオフ状態では手摺部材2を格納状態と収納状態との何れかに保持する機能を持つ。
モータ4Aは、シートクッション1A内(空洞1h)に配置される。モータ4Aのオン,オフ状態と回転軸の回転方向とは、ECU24で制御される。なお、本実施形態のECU24は、後述するスイッチ5への操作に応じてモータ4Aの作動状態を制御することから、移動機構4はスイッチ5への操作に応じて手摺部材2を移動させるものといえる。
一対のガイド部材4B,4Cは、手摺部材2が移動する場合に支持部2b,2cをそれぞれガイドするものであって、何れもパイプ状に形成される。ガイド部材4B,4Cは、シートクッション1A内(空洞1h)において左右方向に延設され、支持部2b,2cと同様に前後に並んで設けられるとともに互いに平行に配置される。以下、前方のガイド部材4Bを「前ガイド部材4B」ともいい、後方のガイド部材4Cを「後ガイド部材4C」ともいう。
前ガイド部材4Bには、前支持部2bの螺子部4dと螺合可能な雌ねじ加工が施されている。前ガイド部材4Bは、少なくともその左端部が螺子部4dと螺合した状態に設けられる。前ガイド部材4Bは、例えばシートフレーム1Fによって支持され、左右方向の変位が防止されるとともに、軸まわりに回転可能に設けられる。
前ガイド部材4Bは、モータ4Aの回転軸と接続され、モータ4Aの作動状態に応じて回転する。前ガイド部材4Bが回転すると、螺子部4dが前ガイド部材4Bに対して進退することから手摺部材2が移動する。なお、手摺部材2の移動方向は、前ガイド部材4Bの回転方向に応じた左右何れかの方向となる。
一方、後ガイド部材4Cは、その内周面の全体が滑らかな曲面とされ、少なくとも左端部に手摺部材2の後支持部2cが挿入された状態に設けられる。後ガイド部材4Cは、例えばシートフレーム1Fに固定されることで、左右方向の変位が防止される。後ガイド部材4Cは、後支持部2cを左右方向に摺動自在に支持する。
図5に示すように、本実施形態に係るシート10は、手摺部材2を格納状態と突出状態とに切り替えるために操作されるスイッチ(操作手段)5と、突出状態の手摺部材2の把手部2aが乗員によって掴まれたか否かを検出する把持センサ(検出手段)6とを備えている。なお、本実施形態では、手摺部材2を格納状態と突出状態とに切り替えるために操作されるスイッチ5について詳述するが、同様のスイッチでトレイ3を格納状態と突出状態とに切り替え可能に構成してもよい。あるいは、上述した手摺部材2を移動させるスイッチ5に、トレイ3を格納状態と突出状態とに切り替える機能を付加してもよい。
スイッチ5は、乗員が操作可能な適宜の場所に設けられる。スイッチ5を設ける具体的な場所としては、例えば、シートバック1Bの側面や、車両20の運転席の近傍や、ドア22をロック,アンロックするための携帯式の電子キーや、ドア22の車内側の面等が挙げられる。なお、スイッチ5は、本実施形態に係るシート10の一要素であるが、シート本体1から離隔した場所に設けられてもよい。
スイッチ5は、その操作位置がオン位置とオフ位置とに切り替え可能に構成される。スイッチ5の操作位置がオン位置である場合は、手摺部材2が突出状態とされ、オフ位置である場合は、手摺部材2が格納状態とされる。スイッチ5は、その操作位置の情報をECU24に伝達する。なお、スイッチ5の具体的な種類や構成は特に限定されないが、例えば、ボタンスイッチやトグルスイッチを適用しうる。
把持センサ6は、例えば、手摺部材2の把手部2aに所定値以上の荷重が付与されたか否かを検出する荷重センサであり、把手部2aにかかる荷重を検出可能な適宜の位置に設けられる。乗員が乗降時に突出状態の手摺部材2を支えとして利用する場合、把手部2aには所定値以上の荷重がかかる。このため、把持センサ6は、把手部2aに所定値以上の荷重が付与された場合に把手部2aが掴まれたことを検出し、それ以外の場合に把手部2aが掴まれていないことを検出する。把持センサ6は、検出した情報をECU24に伝達する。
[2.制御構成]
本実施形態では、手摺部材2を格納状態にする格納制御と、手摺部材2を突出状態にする突出制御とについて詳述する。これらの制御は何れもECU24によって実施される。
まず、突出制御について説明する。突出制御は、下記の条件1〜3が全て成立する場合に実施される。
<条件1>: ドア22が開状態
<条件2>: スイッチ5がオン位置
<条件3>: 手摺部材2の把手部2aが掴まれていない
ECU24は、開閉センサ23,スイッチ5,把持センサ6から伝達された情報に基づいて、条件1〜3の成否をそれぞれ判定する。そして、ECU24は、条件1〜3が全て成立していると判定した場合に、手摺部材2が突出状態となるようにモータ4Aを制御する。具体的には、ECU24は、手摺部材2の位置が突出位置となるようにモータ4Aのオン,オフ状態と回転方向とを制御する。なお、条件1〜3の全てが成立する場合に手摺部材2が既に突出状態であれば、ECU24はモータ4Aをオフ状態に保持する。
次に、格納制御について説明する。格納制御は、上記の条件1〜3の少なくとも何れか一つが成立しない場合に実施される。本実施形態の格納制御には、通常制御と補助制御との二種類が含まれる。通常制御は、手摺部材2をシートクッション1A内に速やかに格納するための制御である。通常制御では、手摺部材2が、シートクッション1A内に引き込まれる際に、格納位置まで一気に(途中で停止することなく)移動する。一方、補助制御は、手摺部材2を使用する乗員の乗車動作を補助するための制御である。補助制御では、手摺部材2が、シートクッション1A内に引き込まれる際に、格納状態となる直前で一時的に停止する。
格納制御として通常制御と補助制御との何れを実施するのかは、上記の条件3の成否に基づいて決定される。具体的には、条件3が成立し、かつ、条件1,2の少なくとも一方が成立しない場合には通常制御が実施され、条件3が成立しない場合には条件1,2の成否に関わらず補助制御が実施される。
ECU24は、条件1,2の少なくとも一方が成立しておらず、条件3が成立していると判定した場合に、手摺部材2が一気に格納状態となるようにモータ4Aを制御する。具体的には、ECU24は、手摺部材2の位置が途中で保持されることなく格納位置となるように、モータ4Aのオン,オフ状態と回転方向とを制御する。このように通常制御が実施されるのは、例えば、乗員が手摺部材2の把手部2aを掴まずに、スイッチ5をオフ位置に切り替え操作した場合である。
一方、ECU24は、条件3が成立していないと判定した場合に、手摺部材2が格納状態となる直前で一旦停止した後に格納状態となるようにモータ4Aを制御する。具体的には、ECU24は、手摺部材2の位置が格納位置よりもやや乗降口21側の停止位置で一定期間だけ保持された後に格納位置となるように、モータ4Aのオン,オフ状態と回転方向とを制御する。このように補助制御が実施されるのは、例えば、乗員が乗降口21から乗車する際に、突出状態の手摺部材2の把手部2aに手をかけて重心移動を始めた場合である。
上記の停止位置は、例えば、把手部2aのみがシートクッション1Aの外部に露出するような手摺部材2の位置として予め設定される。手摺部材2が停止位置で一定期間だけ停止することで、手摺部材2が格納状態となる直前に、乗員が把手部2aから手を離すための期間が確保される。
なお、条件1〜3の少なくとも一つが成立しない場合に手摺部材2が既に格納状態であれば、ECU24はモータ4Aをオフ状態に保持する。また、条件2が成立する場合に格納制御が実施されたら(すなわち、スイッチ5がオン位置である場合に手摺部材2が格納状態にされたら)、スイッチ5はオフ位置に切り替えられる。
[3.フローチャート]
図6は、ECU24で実施される制御内容を例示したフローチャートである。このフローチャートは、ECU24において所定の演算周期で繰り返し実施される。
ステップS1では、スイッチ5,把持センサ6,開閉センサ23から各種情報が入力され、ステップS2では、手摺部材2の把手部2aが掴まれていないか(条件3の成否)が判定される。把手部2aが掴まれていなければ、続くステップS3,S4で、ドア22が開状態であるか否か(条件1の成否)と、スイッチ5の操作位置がオン位置であるか否か(条件2の成否)とがそれぞれ判定される。
ステップS3,S4の各判定処理でYESルートに進んだ場合は、ステップS5で突出制御が実施され、このフローをリターンする。一方、ステップS3,S4の少なくとも一方の判定処理でNOルートに進んだ場合は、ステップS6で通常制御が実施され、このフローをリターンする。また、ステップS2の判定処理でNOルートに進んだ場合は(把手部2aが掴まれていれば)、ステップS7で補助制御が実施され、このフローをリターンする。
[4.効果]
(1)上述したシート10には、棒状の把手部2aを有し、シートクッション1A内に格納された格納状態と、シートクッション1A内から乗降口21側に突出した突出状態とに切替可能な手摺部材2が設けられている。このため、図3に示すように手摺部材2を突出状態とすることで、乗員が手摺部材2の把手部2aを掴みながら乗降動作をすることが可能となる。したがって、乗降性を向上させることができる。また、図2に示すように手摺部材2を格納状態とすることで、乗降時以外はシートクッション1A内の空洞1hを活用して手摺部材2が邪魔になることを防止でき、スペース効率を高めることができる。
(2)上述した手摺部材2には、左端部がシートクッション1A内に保持されるとともに右端部が把手部2aの両端部にそれぞれ結合された一対の支持部2b,2cが設けられる。このため、一対の支持部2b,2cで把手部2aを支持することができ、手摺部材2の剛性を確保しやすくすることができる。これにより、手摺部材2に乗員の体重がかかる場合にも手摺部材2の位置を安定化することができる。
(3)上述したシート10では、手摺部材2の把手部2a及び支持部2b,2cが上面視でU字状に設けられ、この手摺部材2の下方に格納状態と突出状態とに切替可能な箱型形状のトレイ3が設けられる。このため、図3に示すようにトレイ3を突出状態とすることでトレイ3への荷物の出し入れが可能となり、乗員はトレイ3に荷物を置くことができる。したがって、シート10の利便性を高めることができる。
また、トレイ3に加えて手摺部材2を突出状態とすることで、トレイ3に収納可能な荷物の高さ制限の目安として手摺部材2を利用することができる。さらに、図2に示すようにトレイ3を格納状態とすることで、荷物を出し入れする場合以外はシートクッション1A内の空洞1hを活用してトレイ3が邪魔になることを防止でき、スペース効率を高めることができる。
(4)上述したシート10には、手摺部材2を格納状態と突出状態とに切り替えるために操作されるスイッチ5と、スイッチ5への操作に応じて手摺部材2を移動させる移動機構4とが設けられている。このため、乗員はスイッチ5を操作するだけで手摺部材2を移動させることができる。したがって、例えば子供にとっても手摺部材2を格納状態と突出状態とに切り替え操作しやすくすることができる。
また、スイッチ5をシート10とは別の場所に設ければ、シート10と離れた場所からでも手摺部材2を移動させることが可能となるため、例えば子供が乗降口21から乗降する際に、親が子供を遠くから見守りつつ、スイッチ5を操作することで子供の乗降動作を補助することができる。したがって、利便性をより高めることができる。
(5)上述した移動機構4は、手摺部材2の把手部2aが掴まれたことが把持センサ6で検出された場合に手摺部材2をシートクッション1A内に引き込むため、乗員が乗降口21から乗車する際の重心移動に合わせて手摺部材2を移動させることができる。つまり、手摺部材2の把手部2aに手をかけた乗員をシートクッション1Aに向けて誘導することができる。このため、より乗車しやすくすることができる。
また、このように手摺部材2の把手部2aが掴まれたことをトリガーにして手摺部材2をシートクッション1Aに引き込む際に、手摺部材2が格納状態となる直前で手摺部材2を一旦停止させれば、把手部2aから手を離すための期間を確保することができる。つまり、手摺部材2がもうすぐシートクッション1A内に格納されることを乗員に注意喚起することができる。このため、より適切なタイミングで把手部2aから手を離しやすくすることができる。
(6)上述したシート10では、ドア22が閉状態である場合に、手摺部材2が格納状態に保持されるようにモータ4Aが制御される。言い換えると、モータ4Aは、乗降口21がドア22で閉じられた状態である場合に、手摺部材2を格納状態に保持する。これにより、ドア22が閉状態である場合に、例えばスイッチ5が誤操作されたとしても、手摺部材2が誤ってシートクッション1A内から出てくることを防止できる。
(7)上述したシート10では、手摺部材2が突出状態である場合に、把手部2aが乗降口21よりも左方(車外)に位置するため、乗員が乗降口21を通じて乗降する際に、シートクッション1Aと車外との間にわたって手摺部材2を支えとして利用することができる。すなわち、乗員の乗降動作の最初から終わりまでを手摺部材2で補助することができる。したがって、乗降性をより向上させることができる。
[5.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述した実施形態では、車両20の後部左側に設けられたシート10について詳述したが、上述したシート10の構成は車両20の他のシートに対しても適用可能である。つまり、上述したシート10が車両20において設置される位置は特に限定されない。また、上述したシートバック1B及びヘッドレスト1Cやトレイ3はシート10から省略されてもよい。シート10は、少なくともシートクッション1Aと手摺部材2とを備えていれば、上述したように乗降性を向上させることができる。
また、上述した実施形態では、シート10が一つのシート本体1を有する場合を示したが、例えば図7に示すように、シート10が左右方向に連設された複数のシート本体1を有していてもよい。すなわち、シート10が左右方向に並んで設けられた複数のシートクッション1Aを有していてもよい。なお、図7には、上述した実施形態で説明した要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付けて示している。
シート10に複数のシートクッション1Aが設けられる場合、これらのシートクッション1A内の空洞1hを貫通させ、より大きな手摺部材2′を格納させることで、手摺部材2′のリーチを拡大することができる。また、複数のシートクッション1Aにおける空洞1hの夫々にトレイ3を設けることで、収容可能な荷物の容量を増やすことができる。なお、トレイ3に仕切りやフック等(何れも図示略)を追加すれば、荷物をより整理しやすくすることができ、利便性を高めることができる。
また、シート10の左右両側に乗降口が設けられる場合には、図7に示すようにシートクッション1Aの左右両側の側面に開口部1gを設けて、左右何れの開口部1gからも手摺部材2′及びトレイ3が出入り可能となるように構成してもよい。この場合、手摺部材2′は、上面視で矩形を囲む枠状に形成されることが好ましい。
このように手摺部材2′がシートクッション1A内から左右何れの乗降口側にも突出可能であれば、左右何れの乗降口からの乗降時にも乗降性を高めることができる。同様に、トレイ3がシートクッション1A内から左右何れの乗降口側にも突出可能であれば、左右何れの乗降口からもトレイ3を出入りさせることができるため、利便性を向上させることができる。
上述した実施形態では、シート10に手摺部材2を移動させる移動機構4が設けられる場合について説明したが、手摺部材2及びトレイ3は、例えば手動によりスライド移動可能に設けられてもよい。この場合、移動機構4が不要となるため、構成を簡素化することができる。また、移動機構4を省略する場合は、上述した制御構成が不要となるため、コスト削減に寄与することができる。
なお、ドア22が閉状態である場合に手摺部材2を格納状態に保持する保持手段は、上述したモータ4Aに限定されない。例えば移動機構4を省略する場合には、保持手段として、手摺部材2の移動を規制可能なロック機構をシートクッション1A内に設けて、このロック機構により、ドア22が閉状態である場合に手摺部材2を格納状態に保持するようにしてもよい。
なお、移動機構4は、少なくともスイッチ5への操作に応じて手摺部材2を移動させるものであればよく、上述した構成のものに限定されない。例えば、上述した前ガイド部材4Bの構成と後ガイド部材4Cの構成とを入れ替えて、モータ4Aにより後ガイド部材4Cを回転させることで手摺部材2を移動させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、手摺部材2及びトレイ3のそれぞれについて格納位置と突出位置とが予め設定されている場合について説明したが、これに代えて、乗員が手摺部材2及びトレイ3の位置を任意に設定できるようにしてもよい。例えば、上述したスイッチ5にモータ4Aのオン,オフ状態と回転方向とを切り替える機能を持たせ、乗員がスイッチ5を操作することで手摺部材2の位置を任意に変更できるようにしてもよい。
この場合、シート10を使う乗員の身長や腕の長さ等に合わせて手摺部材2の突出量を調整することが可能となるため、乗降性をより向上させうる。また、トレイ3についても同様に、収納する荷物の大きさに合わせてトレイ3の突出量を調整することが可能となるため、利便性をより向上させうる。
上述したECU24による制御内容は一例である。補助制御では、上述したように手摺部材2を停止位置で一旦停止させてから一定期間が経過した後に格納状態とすることに代えて、手摺部材2を停止位置で一旦停止させた状態のまま、スイッチ5がオフ位置に切り替えられるまで待機させるようにしてもよい。あるいは、手摺部材2を停止位置で一旦停止させることなく、格納位置まで一気に移動させるようにしてもよい。
また、補助制御を省略し、格納制御として上述した通常制御のみをECU24に実施させてもよい。この場合、把持センサ6を省略可能である。さらに、把持センサ6及び開閉センサ23を何れも省略して、乗員によるスイッチ5の操作のみに基づいて手摺部材2を移動させるようにしてもよい。なお、把持センサ6は、突出状態における手摺部材2の把手部2aが掴まれたか否かを検出可能なものであればよく、上述したような荷重センサに限定されない。
1 シート本体
1A シートクッション
2,2′ 手摺部材
2a 把手部
2b 前支持部(支持部)
2c 後支持部(支持部)
3 トレイ
4 移動機構
4A モータ(保持手段)
5 スイッチ(操作手段)
6 把持センサ(検出手段)
10 シート(車両用シート)
20 車両
21 乗降口
22 ドア

Claims (6)

  1. 車両の乗降口に隣接して設けられたシートクッションと、
    棒状の把手部を有し、前記シートクッション内に格納された格納状態と前記シートクッション内から前記乗降口側に突出した突出状態とに切替可能な手摺部材と、を備えた
    ことを特徴とする、車両用シート。
  2. 前記手摺部材は、棒状に形成されて一端部が前記シートクッション内に保持されるとともに他端部が前記把手部の両端部にそれぞれ結合された一対の支持部を有する
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両用シート。
  3. 前記把手部及び前記一対の支持部が、上面視でU字状に設けられ、
    前記車両用シートが、前記手摺部材の下方に設けられるとともに前記格納状態と前記突出状態とに切替可能な箱型形状のトレイを備えている
    ことを特徴とする、請求項2記載の車両用シート。
  4. 前記手摺部材を前記格納状態と前記突出状態とに切り替えるために操作される操作手段と、
    前記操作手段への操作に応じて前記手摺部材を移動させる移動機構と、を備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用シート。
  5. 前記突出状態における前記手摺部材の前記把手部が掴まれたか否かを検出する検出手段を備え、
    前記移動機構は、前記検出手段で前記把手部が掴まれたことが検出された場合に、前記手摺部材を前記シートクッション内に引き込む
    ことを特徴とする、請求項4記載の車両用シート。
  6. 前記乗降口がドアで閉じられた状態である場合に前記手摺部材を前記格納状態に保持する保持手段を備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用シート。
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