JP2018143195A - 水生生物の飼育システム及び水生生物の飼育方法 - Google Patents

水生生物の飼育システム及び水生生物の飼育方法 Download PDF

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Abstract

【課題】飼育水の溶存酸素濃度を過飽和状態で安定させることができる水生生物の飼育システム及び水生生物の飼育方法を提供する。【解決手段】水生生物の飼育システム100は、溶存酸素濃度が飽和した酸素飽和水W1を飼育水槽10に供給する第1の供給部と、酸素飽和水W1よりも高い溶存酸素濃度を有する高酸素濃度水W2を飼育水槽10に供給する第2の供給部と、を備える。第2の供給部は、飼育水槽10の底部から高酸素濃度水W2を供給する、こととしてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、水生生物の飼育システム及び水生生物の飼育方法に関する。
魚類等の水生生物の飼育では、飼育水中の溶存酸素濃度を維持するために、飼育水に空気を送り込む通気が行われている。飼育水における懸濁物の濃度又は微生物の密度が上昇した場合、通気を行っていても溶存酸素濃度が減少することがある。溶存酸素濃度の減少は、飼育魚の活性低下又は大量斃死を引き起こすことがある。
飼育水における溶存酸素濃度の減少を防ぐために、溶存酸素濃度が過飽和になった水が利用される。特許文献1では、原水と、酸素を原水に溶解させて得られる高濃度酸素水とを混合した飼育水で魚介類を飼育する方法が提案されている。特許文献2には、飼育水の酸素飽和度が90%以下になった場合に、高濃度酸素水を、循環している飼育水に混合する魚介類の養殖装置が開示されている。魚類に酸素を十分に供給すれば、低酸素状態によるストレスを与えることなく魚類を飼育することができる。
特開平4−237447号公報 特開2013−255449号公報
溶存酸素濃度が過飽和な状態では、活性が低下する魚種が存在する。また、溶存酸素濃度が高すぎると、魚類の体内に入り込んだ酸素が血管内等で気泡となるガス病の危険にさらされる。このため、飽和状態をわずかに超える溶存酸素濃度を安定に維持することが必要である。特許文献1及び特許文献2のように、高濃度酸素水を原水又は循環している飼育水に単に混合するだけでは、溶存酸素濃度を安定に制御できないことがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、飼育水の溶存酸素濃度を過飽和状態で安定させることができる水生生物の飼育システム及び水生生物の飼育方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る水生生物の飼育システムは、
溶存酸素濃度が飽和した第1の水を飼育水槽に供給する第1の供給部と、
前記第1の水よりも高い溶存酸素濃度を有する第2の水を前記飼育水槽に供給する第2の供給部と、
を備える。
この場合、前記第2の供給部は、
前記飼育水槽の底部から前記第2の水を供給する、
こととしてもよい。
また、上記本発明の第1の観点に係る水生生物の飼育システムは、
前記飼育水槽内に空気を供給する空気供給部をさらに備える、
こととしてもよい。
また、前記第2の水は、
前記第1の水よりも高い溶存酸素濃度を有する水に酸素をさらに溶解させた水である、
こととしてもよい。
また、前記第1の供給部は、
単位時間あたりに100体積部の第1の水を前記飼育水槽に供給し、
前記第2の供給部は、
単位時間あたりに100体積部の第2の水を前記飼育水槽に供給する、
こととしてもよい。
また、前記飼育水槽内で前記第1の水と前記第2の水とが混合された水の溶存酸素濃度は、
120〜130%である、
こととしてもよい。
また、前記水は、海水である、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る水生生物の飼育方法は、
溶存酸素濃度が飽和した第1の水を飼育水槽に供給する第1の供給ステップと、
前記第1の水よりも高い溶存酸素濃度を有する第2の水を前記飼育水槽に供給する第2の供給ステップと、
を含む。
本発明によれば、飼育水の溶存酸素濃度を過飽和状態で安定させることができる。
実施の形態に係る水生生物の飼育システムの構成を示す図である。 高酸素濃度水製造装置の構成を示す図である。 気液溶解タンクの模式的な断面を示す図である。 試験区ごとのヒラメの生残率を示す図である。 マダイ仔魚の標準体長の経時変化を示す図である。 試験区ごとのマダイ仔魚の生残率を示す図である。 飼育日数におけるマダイ稚魚の体重を示す図である。 飼育日数におけるウナギ稚魚の平均体重を示す図である。
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。
(実施の形態)
本実施の形態に係る水生生物の飼育システム100について図1を参照して説明する。飼育システム100は、飼育水槽10と、酸素飽和水貯水槽20と、水中ポンプ21と、送気管30と、エアストーン40と、水路50、60、70と、高酸素濃度水製造装置80と、高酸素濃度水貯水槽90と、を備える。
飼育水槽10は、水生生物を飼育するための水槽である。飼育される水生生物は、特に限定されず、淡水の水生生物でも海水の水生生物でもよい。水生生物としては、例えば魚類及び貝類、具体的にはマダイ、ヒラメ及びウナギ等が挙げられる。魚類の場合、稚魚でも仔魚でも成魚でもよい。
酸素飽和水貯水槽20には、第1の水としての溶存酸素濃度が飽和した水(以下、単に「酸素飽和水」とする)W1が貯水される。酸素飽和水W1の溶存酸素濃度は、約100%、例えば98〜100%、99〜100%又は99.5〜100%である。酸素飽和水貯水槽20には、送気管30に接続されたエアストーン40が配設されている。送気管30は、エアポンプと接続されており、エアポンプが吸い込む空気をエアストーン40に供給する。エアストーン40から供給される気泡によって、酸素飽和水貯水槽20内の酸素飽和水W1の溶存酸素濃度は飽和した状態で維持される。溶存酸素濃度は、公知の方法、例えば隔膜電極法、ウインクラー法又は比色法等で測定できる。
酸素飽和水貯水槽20内には、水路50に連結された水中ポンプ21が設置される。酸素飽和水貯水槽20に保持されている酸素飽和水W1は、水中ポンプ21によって水路50を介して飼育水槽10に移送される。すなわち、酸素飽和水貯水槽20、水中ポンプ21及び水路50は、第1の供給部として機能し、酸素飽和水W1を飼育水槽10に供給する。
高酸素濃度水製造装置80は、酸素飽和水W1よりも高い溶存酸素濃度を有する高酸素濃度水(第2の水)W2を製造する。ここで、図2を参照して、高酸素濃度水製造装置80について説明する。高酸素濃度水製造装置80は、制御部81と、加圧ポンプ82と、気体導入管83と、酸素ボンベ84と、流入管路85と、気液溶解タンク86と、を備える。
制御部81は、水路60を介して高酸素濃度水貯水槽90と連結された加圧ポンプ82の動作を制御する。加圧ポンプ82は、気体導入管83を介して気液溶解タンク86と接続されている。制御部81は、加圧ポンプ82を作動させて、高酸素濃度水貯水槽90内の水を気体導入管83に流入させる。気体導入管83は、気体吸込口を有し、気体吸入口を介して酸素ボンベ84と連結されている。気体導入管83は、酸素ボンベ84から供給される酸素を気体吸込口より取り込む。気体導入管83において、酸素と混合された水は、加圧ポンプ82によって加圧され、流入管路85を介して気液溶解タンク86へ供給される。酸素と混合された水は、気液溶解タンク86内で加圧溶解されて気液溶解状態の高酸素濃度水W2となる。
次に、気液溶解タンク86について説明する。気液溶解タンク86は、高圧下で酸素と水との接触面積を増大させることができるため、高酸素濃度水W2の製造に好適である。図3は、気液溶解タンク86の構造を模式的に示す。気液溶解タンク86は、流入管路85に接続する吸込口1を、タンク本体2の外部に有する。吸込口1から伸びる噴出ノズル3がタンク本体2の側壁からタンク本体2内に配管されている。噴出ノズル3の噴出口4は、タンク本体2内の液面5より高い位置に配置されている。噴出口4はタンク本体2内部の上方に向けられている。
加圧ポンプ82によって供給された水は、酸素と混合された状態で吸込口1よりタンク本体2内に伸びる噴出ノズル3に吸入される。噴出ノズル3は、タンク本体2内において先絞り状のテーパー孔6を有する。吸込口1より噴出ノズル3に吸入された水は、テーパー孔6を通って噴出口4からタンク本体2内の上方に勢い良く噴出される。噴射口4から噴出された水は、衝突部7にて跳ね返り飛散して下方の液面5に落ちる。タンク本体2内は、加圧ポンプ82によって加圧状態にあるので、水に含まれる酸素がタンク本体2の上部に充満している。このため、酸素とともに噴出した水が液面5に落ちるまでに、酸素が水に効率よく溶解する。
また、酸素と混合された水を衝突部7に衝突させることによって、局所的に高圧となる部分が形成される。高圧部分では、酸素が水に溶解し易いので、酸素の水への溶解効率が向上する。衝突部7の内側の形状は、図3に示すように、中心を高くしたドーム状に形成されている。このため、衝突部7に衝突した水は分散されて液面5へ落下する。これにより、落下する水の表面積が増加するため、水と酸素との接触面積を増大させることができる。この結果、酸素の水への溶解効率がさらに向上する。高酸素濃度水W2の溶存酸素濃度は、吐出口8からの吐出流量と気体導入管83に投入する酸素量で適宜調整できる。高酸素濃度水W2の溶存酸素濃度は、例えば、約300〜500%、320〜450%又は350〜420%である。
タンク本体2内の高酸素濃度水W2は、吐出口8から水路70を介して飼育水槽10に供給される。すなわち、図1に戻って、高酸素濃度水製造装置80及び水路70は、第2の供給部として機能し、酸素飽和水W1より高い溶存酸素濃度を有する高酸素濃度水W2を飼育水槽10に供給する。飼育水槽10に供給された酸素飽和水W1及び高酸素濃度水W2は、飼育水槽10で混合され、飼育水W3となる。
高酸素濃度水W2を飼育水槽10に保持された飼育水W3の水面付近の上部から供給すると、高酸素濃度水W2に溶存する酸素が飼育水槽10の水面付近で気化してしまうおそれがある。飼育水槽10の水面付近での高酸素濃度水W2の溶存酸素の気化を極力防ぐため、高酸素濃度水W2は、飼育水槽10の底部から飼育水槽10に供給される。こうすることで、飼育水槽10に保持された飼育水W3の溶存酸素濃度を安定して維持することができる。
飼育水槽10は底部に排水口を有している。水生生物の糞及び残餌等を含む飼育水W3の一部は排水口からサイフォン式で排出される。また、飼育水槽10内の底部には、送気管30に接続されたエアストーン40が配設されている。エアストーン40は、空気供給部として機能し、飼育水槽10内に空気を供給する。これにより、飼育水槽10に保持された飼育水W3に空気が送り込まれ、飼育水W3に対して通気が行われる。また、高酸素濃度水W2は、酸素を多く含むため、飼育水槽10内の底部に留まる傾向がある。これに対し、エアストーン40から放出される気泡によって、飼育水槽10内の高酸素濃度水W2が撹拌され、飼育水W3の溶存酸素濃度を均一にすることができる。
高酸素濃度水製造装置80で製造された高酸素濃度水W2の一部は、水路70を介して連結された高酸素濃度水貯水槽90に貯水される。高酸素濃度水貯水槽90に保持されている高酸素濃度水W2の溶存酸素濃度は、酸素飽和水W1よりは高い溶存酸素濃度で維持される。高酸素濃度水貯水槽90に保持された高酸素濃度水W2は、加圧ポンプ82によって、水路60を介して高酸素濃度水製造装置80に再び供給される。したがって、高酸素濃度水製造装置80は、酸素飽和水W1よりも高い溶存酸素濃度を有する水に酸素をさらに溶解させて高酸素濃度水W2を得ることができる。こうすることで、高酸素濃度水製造装置80は、高酸素濃度水W2をより効率よく製造することができる。
飼育水槽10への酸素飽和水W1及び高酸素濃度水W2の供給量は、バルブ等で任意に調整される。例えば、単位時間あたりに酸素飽和水W1が飼育水槽10に100体積部供給されるのに対して、高酸素濃度水W2が飼育水槽10に単位時間あたりに100体積部供給される。飼育水槽10への酸素飽和水W1及び高酸素濃度水W2の供給量は、飼育水槽10内の飼育水W3の溶存酸素濃度に基づいて調整してもよい。好ましくは、飼育水W3の溶存酸素濃度は、例えば120〜130%である。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る飼育システム100によれば、酸素飽和水W1及び高酸素濃度水W2を用いることで、飼育水W3の溶存酸素濃度を過飽和状態で安定させることができる。酸素飽和水W1及び高酸素濃度水W2の混合比を適宜調整することで、飼育する水生生物に望ましい溶存酸素濃度の飼育水W3が容易に得られる。
また、飼育システム100に用いる水は、飼育水槽10で飼育する水生生物に応じて海水であってもよい。水の飽和した溶存酸素濃度は、水温、気圧及び溶存する塩等の濃度によって変化する。使用する水が海水であっても、酸素飽和水W1及び高酸素濃度水W2の飼育水槽10への供給量を調整することで、飼育水W3の溶存酸素濃度を調整することができる。
上述の高酸素濃度水製造装置80としては、例えば、三相電機社製の高濃度気体溶解装置UDG型等が挙げられる。気液溶解タンク86の衝突部7には、液面5に向かって伸びる複数の環状のリブが配設されていてもよい。これにより、酸素と混合された水と各リブとの衝突で局所的な高圧部分が形成され、酸素の水への溶解効率が向上する。ここで、衝突部7の中央付近のリブの高さを低く、周縁に向かってリブの高さを順次高くすることでさらに酸素の水への溶解効率をさらに向上させることができる。
なお、上記実施の形態では、高酸素濃度水W2は、酸素飽和水W1よりも高い溶存酸素濃度が得られるのであれば任意の方法で製造してもよい。例えば、ミキサーで攪拌している水に酸素を供給することで水に酸素を溶解させてもよいし、高圧下で水に酸素を溶解させてもよい。
また、水路50、60、70は、水の流路となるものであれば特に限定されず、塩化ビニル管、チューブ又は配管等で形成されてもよい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:ヒラメの飼育)
上述の高酸素濃度水製造装置80と同様の構成である高濃度気体溶解装置(UDG型、三相電機社製)を使用して、溶存酸素濃度約400%の海水(以下、「高酸素濃度海水」とする)を調製した。飼育水槽として、100L円形黒色ポリエチレン水槽を1試験区につき複数個使用した。本実施例に係る飼育システムでは、飼育水槽への飼育水の給水系として、高酸素濃度海水の給水系及び通気のみを施した酸素飽和海水(溶存酸素濃度約100%)の給水系の2系統を設置した。酸素飽和海水には、セラミック製エアストーンとビニールチューブを用いて通気を行った。
高酸素濃度海水の給水系では、ろ過した海水を貯留した貯水槽Aに、高濃度気体溶解装置の流入管路に連結された吸水口を挿入した。高濃度気体溶解装置の吐出口から飼育水槽までの給水系として塩化ビニル管で主配管を配置した。各飼育水槽へは、主配管からの分枝による給水管を設けた。各飼育水槽への給水量は給水管に配設したラブコックで調整した。飼育水槽への給水口を、飼育水の水面下で飼育水槽の底面から2〜3cm上に配置した。主配管は飼育設備を周回させ、使用しなかった高酸素濃度海水を貯水槽Aに戻すようにした。貯水槽Aへの排水口も飼育水槽と同様に水面下となるように設置した。
酸素飽和水の給水系では、ろ過した海水を貯留した貯水槽B内に水中ポンプ(CSA−100、寺田ポンプ製作所社製)を設置し、水中ポンプから塩化ビニル管で構成された主配管を各飼育水槽までの給水系として配置した。各飼育水槽へは、主配管からの分枝による給水管を設けた。各飼育水槽への給水量は給水管に設置したラブコックで調整した。飼育水槽への給水口を、飼育水の水面下で水面下2〜3cmに配置した。主配管は飼育設備を周回させ、使用しなかった酸素飽和海水を貯水槽Bに戻すようにした。
飼育水槽の排水口には、排水用フィルター(約240μm目合)で覆った金枠及び排水ホースを取り付けた。排水方式はサイフォン式とした。飼育水には、セラミック製エアストーンとビニールチューブを用いて通気を行った。通気強度は微弱とし、試験魚の成長に伴って徐々に強くした。エアストーンの設置位置は、飼育水槽の底面から2〜3cm上とした。
飼育実験では、ヒラメ(Paralichthys olivaceus)の受精卵として自然産卵されたヒラメ卵(MBC開発社製)を用いた。飼育試験は20日齢まで行った。試験区は、飼育水が酸素飽和海水のみの1:0試験区、酸素飽和海水と高酸素濃度海水とを体積比率1:1で混合した飼育水の1:1試験区、酸素飽和海水と高酸素濃度海水とを体積比率1:2で混合した飼育水の1:2試験区、及び酸素飽和海水と高酸素濃度海水とを体積比率1:3で混合した飼育水の1:3試験区の4試験区とした。
1:0試験区及び1:1試験区の飼育水槽の数をそれぞれ3個とし、1:2試験区及び1:3試験区の飼育水槽の数をそれぞれ2個とした。各飼育水槽のヒラメ卵の収容個数は2000粒とした。4日齢までは止水で飼育を行い、5日齢から注水を行った。注水量は5日齢で1.2ml/s、6日齢以降は3.5ml/sになるようにした。光周期は明期12時間、暗期12時間とした。
ヒラメの初期餌料にはスーパー生クロレラで栄養を強化したL型ワムシを用いた。ワムシの栄養強化では、ワムシを含む培養水を入れた30Lポリカーボネート水槽内にタウリン強化栄養剤アクアプラスET(日新丸紅社製)を添加して24時間経過後にワムシを回収した。給餌はヒラメの開口が確認された2日齢から実験終了の20日齢まで行った。16日齢以降は、すじこ乳化油(マリンテック社製)で栄養を強化したアルテミアを、ワムシに加えて給餌した。7時と15時30分に給餌し、給餌と同時刻に飼育水槽内の塩分濃度、pH、溶存酸素濃度及び水温を計測した。また、飼育水槽内のワムシ栄養劣化の防止と水質安定のため、給餌時間と同時刻に、冷凍されたナンノクロロプシスオキュラータ(Nannochloropsis oculata)を飼育水に添加した。
柱状サンプリングを0日齢及び2日齢において各飼育水槽5点で行い、初期収容尾数を推定した。また、21日齢にヒラメの全数を計数した。計数したヒラメの最終的な生残数では、サンプリングのために取り除かれたヒラメの数が考慮されていない。このため、自然要因を死亡原因とするヒラメの死亡率の大きさの指標である自然死亡係数を決定することは困難である。したがって、自然死亡係数は、次のように、取り除かれたサンプル数を含むよう設定された自然死亡係数のモデルを用いて計算した。
一般に、自然集団の減少は、以下の式1で示される。
dN/dt=−mN (式1)
ここでNは母集団の数であり、mは自然死亡係数である。Nがt=0でのNの初期値であるとき、上記の式1は次のようになる。
=N−mt (式2)
各サンプリング時のサンプル数を考慮して、すべてのサンプリング後の母集団の数は、次の式3によって示される。
=e−mT(N−ΣNSnmdn) (式3)
ここで、Tは総飼育期間を表し、dnはn番目のサンプリングイベントまでの飼育期間を表し、Snはn番目のサンプリング時のサンプル数を表す。サンプル数及び最終生残数は既知の値である。したがって、上記式3のmの値を逐次近似で置き換えて、自然死亡係数を推定し、その値から実際の生残数を算出した。
(結果)
1:0試験区、1:1試験区、1:2試験区及び1:3試験区の飼育水の溶存酸素濃度は、それぞれ約100%、約125%、約150%及び約200%に安定に維持されていることを確認した。図4は試験区別の生残率を示す。1:1試験区では、1:0試験区、1:2試験区及び1:3試験区と比較して、生残率が安定して高い傾向があった。
(実施例2:マダイ仔魚の飼育)
上記実施例1と同様の飼育設備でマダイ(Pagrus major)の仔魚を同様に飼育した。マダイの受精卵として自然産卵されたマダイ卵(緒方水産社製)を用いた。試験区は1:0試験区及び1:1試験区で、飼育水槽の数をそれぞれ3個とした。マダイには、DHA栄養強化剤スーパー生クロレラV12(クロレラ工業社製)で栄養強化した海産ツボワムシ類L型小浜株を給餌した。
マダイ仔魚の生残率は上記実施例1と同様に算出した。マダイ仔魚の標準体長は、マダイ仔魚の画像を、画像解析ソフトで用いて解析することで測定した。マダイ仔魚の画像は、光学顕微鏡(ECLIPSE 55i、Nikon社製)を用いてカメラ(DIGITAL CAMERA D5100、Nikon社製)で撮影した。
(結果)
図5は、マダイ仔魚の標準体長の経時変化を示す。1:1試験区のマダイ仔魚は、1:0試験区と比較して、標準体長が若干長い傾向があった。図6は、試験区別のマダイ仔魚の生残率を示す。1:0試験区の生残率は53.3%であったのに対し、1:1試験区の生残率は56.7%であった。また、1:1試験区の生残率の変動係数(CV)は0.142で、1:0試験区の生残率のCV(0.468)よりも小さかった。このことから、1:1試験区は、1:0試験区よりも高い生残率が安定して得られることが示された。
(実施例3:マダイ稚魚の飼育)
鹿児島大学水産学部鴨池海洋生産実験場で飼育したマダイの稚魚を上記実施例1と同様の飼育設備で同様に飼育した。試験区は、1:0試験区、1:1試験区、及び飼育水が高酸素濃度海水のみの0:1試験区とした。各試験区の飼育水槽の数はそれぞれ3個とした。マダイ稚魚には、配合飼料として珊瑚S−7(ヒガシマル社製)を給餌した。なお、0:1試験区の飼育水の溶存酸素濃度は、約300%に維持されていた。マダイ稚魚の体重は、電子天秤CP622(ザルトリウス・ジャパン社製)で計測した。
(結果)
図7は、飼育日数ごとの各マダイ稚魚の体重を示す。1:1試験区のマダイ稚魚の体重は、1:0試験区に対して有意に大きかった(FisherのPLSD法でp<0.05)。一方、0:1試験区のマダイ稚魚の体重は、1:0試験区に対して有意に小さかった(FisherのPLSD法でp<0.05)。
(実施例4:ウナギ稚魚の飼育)
上記実施例1と同様の飼育設備において海水を水に置換して、ウナギ(Anguilla japonica)の稚魚(鹿児島鰻社製)を同様に飼育した。試験区は、1:0試験区、1:1試験区及び0:1試験区とした。各試験区の飼育水槽の数はそれぞれ3個とした。ウナギ稚魚には、ウナギ用配合飼料成鰻用N21(日新丸紅飼料社製)を給餌した。マダイ稚魚の体重は、電子天秤CP622(ザルトリウス・ジャパン社製)で計測した。
(結果)
図8は、飼育日数ごとのウナギ稚魚の平均体重を示す。1:0試験区のウナギ稚魚の体重は、飼育日数が経過してもほぼ変化しなかった。一方、1:1試験区及び0:1試験区におけるウナギ稚魚の体重は、若干の増加傾向があった。
以上により、本実施例に係る飼育システムによって、過飽和の水又は海水を安定的に供給できることが示された。該飼育システムでは、酸素飽和海水と高酸素濃度海水との混合比率を調整することで多様な種類の水生生物の飼育に適した溶存酸素濃度を有する飼育水を継続して供給できる。このため、本実施例に係る飼育システムは、水生生物の飼育又は養殖の安定化に寄与する。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、水生生物の飼育及び養殖に好適である。
1 吸込口
2 タンク本体
3 噴出ノズル
4 噴出口
5 液面
6 テーパー孔
7 衝突部
8 吐出口
10 飼育水槽
20 酸素飽和水貯水槽
21 水中ポンプ
30 送気管
40 エアストーン
50、60、70 水路
80 高酸素濃度水製造装置
81 制御部
82 加圧ポンプ
83 気体導入管
84 酸素ボンベ
85 流入管路
86 気液溶解タンク
90 高酸素濃度水貯水槽
100 飼育システム
W1 酸素飽和水
W2 高酸素濃度水
W3 飼育水

Claims (8)

  1. 溶存酸素濃度が飽和した第1の水を飼育水槽に供給する第1の供給部と、
    前記第1の水よりも高い溶存酸素濃度を有する第2の水を前記飼育水槽に供給する第2の供給部と、
    を備える、水生生物の飼育システム。
  2. 前記第2の供給部は、
    前記飼育水槽の底部から前記第2の水を供給する、
    請求項1に記載の水生生物の飼育システム。
  3. 前記飼育水槽内に空気を供給する空気供給部をさらに備える、
    請求項1又は2に記載の水生生物の飼育システム。
  4. 前記第2の水は、
    前記第1の水よりも高い溶存酸素濃度を有する水に酸素をさらに溶解させた水である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の水生生物の飼育システム。
  5. 前記第1の供給部は、
    単位時間あたりに100体積部の第1の水を前記飼育水槽に供給し、
    前記第2の供給部は、
    単位時間あたりに100体積部の第2の水を前記飼育水槽に供給する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の水生生物の飼育システム。
  6. 前記飼育水槽内で前記第1の水と前記第2の水とが混合された水の溶存酸素濃度は、
    120〜130%である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の水生生物の飼育システム。
  7. 前記水は、海水である、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の水生生物の飼育システム。
  8. 溶存酸素濃度が飽和した第1の水を飼育水槽に供給する第1の供給ステップと、
    前記第1の水よりも高い溶存酸素濃度を有する第2の水を前記飼育水槽に供給する第2の供給ステップと、
    を含む、水生生物の飼育方法。
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