JP2018142648A - 無機マイクロディスク及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低しきい値でレーザー発振が可能な無機マイクロディスクを提供すること。【解決手段】シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素とを含むインクにより形成されたことを特徴とする無機マイクロディスク。【選択図】図2

Description

本発明は、無機マイクロディスク及びその製造方法に関する。
マイクロディスク共振器は、極めて高いQ値や周回方向に安定したWGMs(whispering−gallery modes)をサポートするため、光周波数コムや高感度バイオセンサーなど広く応用研究が行われている。このマイクロディスクの作製には、従来、フォトリソグラフィー法といった減算的手法が一般的に用いられている(非特許文献1〜3参照)。この方法では、高精度なものを得ることができるが、大きな設備や装置を必要とする上、作製過程において刺激の強い薬品や高熱処理が必要であり、プロセスが煩雑であることが欠点であった。
これに対し、本出願人は、国際公開第2016/039259号(特許文献1)において、インクジェット技術を利用し、室温・大気圧下で容易に印刷できる手法を提案した。このインクジェット印刷法は、卓上システムでありながら、液相プロセスのため高い表面精度を実現できるものである。また、所定のインクを基板上に必要な分だけ印刷していく加算的手法であるため、コスト的に優位であり、オンデマンドに作製することも可能であった。
しかし、上記インクジェット印刷法で作製されるマイクロディスクは、有機系のマイクロディスクであり、一般的なシリコンやシリカ等を用いた無機マイクロディスクほどの耐久性を有するものは得られていない。また、インクジェット印刷法で無機マイクロディスクを作製した例も報告されていない。
国際公開第2016/039259号
OPTICS EXPRESS, Vol. 19, No.12, pp.11451 (2011) Applied Physics Letters 97, 063304 (2010) OPTICS EXPRESS, Vol.19, No.10, pp.10009 (2011)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、新規な無機マイクロディスク及びインクジェット印刷を用いたその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素とを含むインクを用いることで、低しきい値でレーザー発振が可能な無機マイクロディスクが得られることを見出した。また、無機マイクロディスクの作製方法としてインクジェット印刷法を採用し、かつ印刷をする基板としてフッ素樹脂基板を採用することにより、高い表面精度を有する無機マイクロディスクを簡便に得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、無機マイクロディスク及びその製造方法を提供する。
1. シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素とを含むインクにより形成されたことを特徴とする無機マイクロディスク。
2. 周縁部がリング状に隆起した円板状である1の無機マイクロディスク。
3. 直径が5〜500μmである1又は2の無機マイクロディスク。
4. 上記異形シリカ微粒子の窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積(m2)から、平均粒子径=(2,720/比表面積)の式によって与えられる平均粒子径が1〜25nmである1〜3のいずれかの無機マイクロディスク。
5. 1〜4のいずれかの無機マイクロディスクを用いたレーザー共振器。
6. シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素と、溶剤とを含むインクをインクジェット印刷法によってフッ素樹脂基板上に印刷する印刷工程を含むことを特徴とする無機マイクロディスクの製造方法。
7. 上記印刷工程が、ワンショット印刷で行われる6の無機マイクロディスクの製造方法。
8. 上記フッ素樹脂基板が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選ばれるいずれかである6又は7の無機マイクロディスクの製造方法。
本発明の無機マイクロディスクは、低しきい値でレーザー発振できるものであり、その特性を利用して、超低しきい値で発振できる微小レーザー、光信号処理、集積光学回路、バイオセンサ等の高感度センサ類などとして好適に用いることができる。また、本発明の製造方法は、インクジェット印刷法で高い表面精度を有する上記無機マイクロディスクを簡便に製造できるものであり、生産性の向上やコスト削減に寄与できるものである。
本発明に係る無機マイクロディスクの製造方法の一例を示す概略図である。 上記無機マイクロディスクの形状を模式的に表した概略断面図である。 実施例1で作製した無機マイクロディスクの外観を観察した画像である。(A)は上方から撮影した光学顕微鏡画像、(B)は斜め上方から撮影した電子顕微鏡画像である。 実施例1で作製した無機マイクロディスクのレーザー発振スペクトル測定結果及び入出力特性を示す図である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る無機マイクロディスクは、シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素とを含むインクにより形成されるものである。
上記シロキサンオリゴマーは、下記式[1]で表されるアルコキシシランAと、下記式[2]で表されるアルコキシシランBとを必須のアルコキシシラン単位として少なくとも含み、これらを加水分解縮合させることにより得られるものである。
Figure 2018142648
上記式[1]中、R1はラジカル重合性二重結合を有する1価の有機基を表し、R2はメチル基又はエチル基を表し、aは1又は2を表す。
また、式[2]中、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基(上記アルキル基はフッ素原子、少なくとも炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたアミノ基、少なくともフェニル基で置換されたアミノ基、又はウレイド基で置換されていてもよい。)又はフェニル基を表し、好ましくはR3はフッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、R4はメチル基又はエチル基を表し、bは0〜2の整数を表す。
上記式[1]中のR1のラジカル重合性二重結合を有する1価の有機基として、ビニル基又は(メタ)アクリル基を有する1価の有機基であることが好ましい。なお、本発明では(メタ)アクリル基とは、アクリル基とメタクリル基の両方をいう。
また、上記式[2]中のR3が表す炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基はフッ素原子、少なくとも炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたアミノ基、少なくともフェニル基で置換されたアミノ基、又はウレイド基で置換されていてもよい。)としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
また、上記式[2]中のR3が表す少なくとも炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
さらに、上記式[2]中のR3が表す少なくともフェニル基で置換されたアミノ基としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
上記式[1]で表されるアルコキシシランAの中でも、下記式[3]で表される化合物が好ましい。
Figure 2018142648
式中、R2は上記式[1]における定義と同じ意味を表し、R5は水素原子又はメチル基を表し、L1は炭素原子数1〜10のアルキレン基、好ましくは炭素原子数1〜8のアルキレン基、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。
上記L1が表す炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、トリメチレン基が好ましい。
このようなアルコキシシランAの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=メチル=ジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=メチル=ジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
また、上記式[2]で表されるアルコキシシランBの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジペンチルジメトキシシラン、ジペンチルジエトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、(フェニルアミノ)メチルトリメトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピル=メチル=ジメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリエトキシシランが好ましい。
上記シロキサンオリゴマーは、上記アルコキシシランA単位を、全アルコキシシラン単位のうち10〜99mol%含むものであることが好ましく、特に、下記式[4]で表される構造単位を、全構造単位中少なくとも10〜99mol%含むものであることが好ましい。
Figure 2018142648
式中、R2、R5及びL1は上記式[3]における定義と同じ意味を表す。
上記シロキサンオリゴマーを得る方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記アルコキシシランA及びアルコキシシランBを含むアルコキシシランを有機溶媒中で縮合させて得られる。アルコキシシランを重縮合する方法としては、例えば、アルコキシシランをアルコール又はグリコールなどの溶媒中で加水分解・縮合する方法が挙げられる。その際、加水分解・縮合反応は、部分加水分解及び完全加水分解の何れであってもよい。完全加水分解の場合は、理論上、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5倍モルの水を加えればよいが、通常は0.5倍モルより過剰量の水を加えるのが好ましい。本発明においては、上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5〜2.5倍モルであるのが好ましい。
また、通常、加水分解・縮合反応を促進する目的で、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、クエン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、サリチル酸、没食子酸、フタル酸、メリト酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の無機酸及びその金属塩;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン等のアルカリなどの触媒が用いられる。加えて、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、更に、加水分解・縮合反応を促進させることも一般的である。その際、加熱温度及び加熱時間は所望により適宜選択できる。例えば、50℃で24時間加熱・撹拌する方法、還流下で1時間加熱・撹拌する方法などが挙げられる。
また、別法として、例えば、アルコキシシラン、溶媒及びシュウ酸の混合物を加熱して重縮合する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめアルコールにシュウ酸を加えてシュウ酸のアルコール溶液とした後、該溶液を加熱した状態で、アルコキシシランを混合する方法である。その際、用いるシュウ酸の量は、アルコキシシランが有する全アルコキシ基の1モルに対して0.05〜5モル%とすることが好ましい。この方法における加熱は、液温50〜180℃で行うことができる。好ましくは、液の蒸発、揮散などが起こらないように、還流下で数十分〜十数時間加熱する方法である。
上記の各方法で得られるシロキサンオリゴマーの固形分濃度は、原材料の種類や重合条件等によって変動するものであるため一概には規定できないが、反応のコントロールのし易さの観点から、本発明では概ね1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましい。
シロキサンオリゴマーの重量平均分子量(Mw)としては、特に限定されるものではないが、本発明では、100〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である(以下同様)。
上記異形シリカ微粒子は、真球状とは見なされない形状を有するシリカ微粒子であり、特に細長形状のシリカ微粒子であることが好ましい。上記細長形状のシリカ微粒子とは、シリカ微粒子がシロキサン結合などの化学結合により連続して鎖状となったものをいい、直線状に伸びた形状であっても、二次元的、もしくは三次元的に湾曲した形状であっても構わない。
上記細長形状のシリカ微粒子は、そのサイズが小さすぎると球状の微粒子の形状に近づくため、適度なサイズの微小隙間(空隙)を多数形成することが困難になる。一方、そのサイズが大きすぎると形成される硬化膜の透明性を損なうことになる。従って細長形状のシリカ微粒子としては、これらの不都合が生じないように適度なサイズのものを選択すべきである。
例えば、細長形状のシリカ微粒子の平均粒子径は、細長形状のシリカ微粒子同士の空隙の体積を大きくし、屈折率を小さくするという観点から1nm以上が好ましく、無機マイクロディスク表面の算術平均粗さ(Ra)を小さくすると共に、ヘイズを抑制して透明性を確保する観点から25nm以下が好ましい。
また、細長形状のシリカ微粒子の平均長さは、細長形状のシリカ微粒子同士の空隙の体積を大きくし、屈折率を小さくするという観点から30nm以上が好ましく、無機マイクロディスク表面の算術平均粗さ(Ra)を小さくし、ヘイズを抑制、透明性を確保する観点から平均長さが500nm以下が好ましい。
なお、ここでいう平均粒子径とは、窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積(m2)から、平均粒子径=(2,720/比表面積)の式によって与えられた値である。また、平均長さとは、動的光散乱法(DLS法)による測定により得られたものである。
上記異形シリカ微粒子としてはコロイド溶液のものを好ましく使用し得、該コロイド溶液は、シリカ微粒子を分散媒に分散させたもの(シリカゾル)でもよいし、市販品のコロイダルシリカであってもよい。
前述のシリカ微粒子の分散媒としては、水及び有機溶媒を挙げることができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のグリコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類などを挙げることができる。
上記細長形状のシリカ微粒子のシリカゾルは、例えば、国際公開第2008/093422号公報に記載の製造方法にて、製造することができる。
上記細長形状のシリカ微粒子の市販品の例としては、例えば、日産化学工業(株)製:スノーテックス(登録商標)UP、同OUP、同PS−S、同PS−SO、同PS−M、同PS−MO、同IPA−ST−UP、同PGM−ST−UP、同PGM−ST−UP−MA等;日揮触媒化成(株)製:ファインカタロイドF−120等;扶桑化学工業(株)製:クォートロン(登録商標)PL−1等が挙げられる。これらの細長形状のシリカ微粒子は、三次元的に湾曲した形状を有する。
上記無機マイクロディスクの作製に使用するインクにおいて、上記異形シリカ微粒子の含有量は、上記シロキサンオリゴマー100質量部(固形分)に対して、固形分換算で10〜1,000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましく、50〜250質量部が特に好ましい。
レーザー色素としては、特に限定されるものではなく、従来公知の色素から適宜選択して用いればよい。
その具体例としては、アントラセン誘導体,テトラセン誘導体,ピレン誘導体,ルブレン誘導体,デカシクレン誘導体,ペリレン誘導体等の炭素縮合環系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素、クマリン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、スチリル系色素、フェノキサゾン系色素、金属または無金属のフタロシアニン、ベンジジン、イリジウム錯体、Al、Zn、Beまたは希土類金属からなる中心金属および配位子から構成される金属錯体などが挙げられるが、これらの中でも有機色素が好ましく、特に、本発明の無機マイクロディスクにおいては、キサンテン系色素がより好ましく、ローダミン色素がより一層好ましい。
ローダミン色素は、市販品として入手可能であり、市販品としては、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン19、ローダミン101、ローダミン110、ローダミン123等が挙げられる。
上記インク中における色素の濃度は、特に限定されるものではないが、本発明では、インク中に0.1〜20mM程度であり、0.5〜15mM程度が好ましく、1〜10mM程度がより好ましい。
本発明では、特に制限されるものではないが、必要に応じて、基板に対する濡れ性等の物性を調整する目的で、上記インクに重合開始剤、界面活性剤等の添加剤を配合してもよい。
重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物等が挙げられる。これらの中でもアルキルフェノン類、特にα−ヒドロキシアルキルフェノン類が好ましい。
より具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン、1−{1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エチリデンアミノオキシ}エタノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの中でも、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンは、少量でも電離放射線の照射による重合反応を開始し促進するため好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらは市販品として入手可能である。
上記重合開始剤の配合量は、上記シロキサンオリゴマー100質量部(固形分)に対して、0.1〜25質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
上記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤を好適に使用できる。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー(例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物およびパーフルオロアルキルオキサイド付加物)等を挙げることができる。
これらは市販品として入手可能であり、例えば、DIC(株)製:メガファックR−40、同R−41、同F−171、同F−172、同F−173、同F−176、同F−177、同F−141、同F−142、同F−143、同F−144、同F−437、同F−479、同F−482、同F−554、同F−780;スリーエム ジャパン(株)製:フロラードFC−4430、FC−430、同FC−431;AGCセイミケミカル(株)製:サーフロンS−241、同S−242、同S−243、同S−420、同S−611、同S−651、同S−386;ジェムコ(株)製:エフトップEF301、同EF303、同EF351、同EF352等が挙げられる。
上記フッ素系界面活性剤の配合量は、上記シロキサンオリゴマー100質量部(固形分)に対して、0.001〜100質量部が好ましく、0.01〜50質量部がより好ましく、0.1〜20質量部が特に好ましい。
上記インクに用いられる溶媒としては、フッ素樹脂基板に対する濡れ性を考慮した上で、上記の各成分を溶解又は分散でき、印刷時に安定した液滴を形成し得るものが好ましく、水や有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン系炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式化合物系溶媒が挙げられ、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒が好適である。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、上記インクの粘度は、インクジェット印刷が可能な粘度であることと、基板に対する濡れ性を考慮して適宜設定することができ、25℃で1〜30mPa・sが好ましく、3〜20mPa・sがより好ましい。
なお、上記の粘度は、細管式、落球式及び回転式等の一般的な粘度計により測定される粘度である。
本発明の無機マイクロディスクは、インクジェット印刷法によって製造することができる。より具体的には、上述したシロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素と、溶剤とを含むインクをインクジェットノズルからフッ素樹脂基板上に吐出して印刷することによって得られる。
本発明において、インクジェット印刷に用いるインクジェット印刷機としては、特に限定されるものではなく、コンティニュアス型でも、オンデマンド型でもよい。また、オンデマンド型の場合、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式のいずれでもよいが、ピエゾ方式が好ましい。
また、上記無機マイクロディスク形成時のインクジェット印刷の回数は、1回でも複数回でもよい。本発明では、1回の印刷(ワンショット印刷)で十分な直径や厚さを有するものを高い表面精度で得ることができるが、複数回インクを吐出して必要とする直径や厚さに調整してもよい。
本発明の製造方法で用いる基板としては、インクとの接触角を考慮してフッ素樹脂基板を用いる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等からなるフッ素樹脂基板を用いることができ、本発明では、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる基板を好適に使用できる。ここで、上記接触角は、乾燥前のインクとフッ素樹脂基板との間の接触角を意味する。
以下、本発明の無機マイクロディスクの製造方法について、図面を用いてより具体的に説明する。
図1に本発明の無機マイクロディスクの製造方法の一例を示す概略図を示した。また、本発明で得られる無機マイクロディスクの断面形状を図2に示した。
図1に示すように、本発明の無機マイクロディスク1は、上述したシロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素と、溶剤とを含むインク2をインクジェットノズル3からフッ素樹脂基板4上に吐出して印刷することによって得られる。
上記インクジェットノズル3の径は、特に限定されるものではなく、インク2の粘度や目的とする無機マイクロディスク1の大きさに応じて適宜選定することができるが、通常、10〜100μm程度が好ましく、50〜70μmがより好ましい。
フッ素樹脂基板4上に印刷されたインク2は、当該基板4上に濡れ広がり、インク2に含まれる溶剤が乾燥する過程でコーヒーリング効果によって、図2に示すような、周縁部がリング状に隆起した隆起部11を有する円板状となる。
この際、得られる無機マイクロディスクにおいて後述するテーパー角θを得るために、インク2とフッ素樹脂基板4との接触角は、5〜90度が好ましく、15〜60度がより好ましい。
なお、溶媒の除去は、コーヒーリング効果によって、その周縁部がリング状に隆起した円板状とするために、自然乾燥により行うことが好ましい。
上記のコーヒーリング効果は、主に基板上に吐出されたインクの液滴(図示省略)の中央部と周縁部とで溶媒の蒸発量が異なることによって生じるものである。液滴の周縁部での蒸発が速ければ、溶媒は中央から周縁部へと供給され、それに伴い物質(媒質)は周縁部に向かって移動する。これにより、インク中の媒質が周縁部に濃縮されることになり、周縁部がリング状に隆起した隆起部11を有する円板状の無機マイクロディスク1となる。
上記インク2を上記フッ素樹脂基板4上にインクジェット印刷する際のスポット径は、使用する上記インクジェットノズル3の径、インクの組成及び基板の種類等によっても変動するものであるため一概には規定できないが、本発明では、5〜500μm程度が好ましく、10〜350μm程度がより好ましく、50〜200μm程度がより好ましい。
本発明では、印刷時のスポット径を上記の範囲とすることにより、得られる無機マイクロディスク1の直径Dは、好ましくは5〜500μm程度、より好ましくは10〜350μm程度、特に好ましくは50〜200μm程度となる。
テーパー角θは、上記隆起部11の外周面と上記フッ素樹脂基板4のなす角であり、インク2の組成とフッ素樹脂基板4との組み合わせによって適宜調整し得るが、光の導波の観点から、5〜90度が好ましく、15〜60度がより好ましい。
上記無機マイクロディスク1の厚さtは、インク2の組成とフッ素樹脂基板4との組み合わせによって適宜調整し得るが、光の導波の観点から、0.5〜3μmが好ましく、0.8〜2μmがより好ましい。
本発明の無機マイクロディスクは、低しきい値でレーザー発振できるものであり、その特性を利用して、超低しきい値で発振できる微小レーザー、光信号処理、集積光学回路、バイオセンサ等の高感度センサ類などとして好適に用いることができる。また、本発明の製造方法を採用することにより、インクジェット印刷法で高い表面精度を有する上記無機マイクロディスクを簡便に製造することができ、生産性の向上やコスト削減に寄与できるようになる。
以下、合成例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。実施例で用いた各試薬及び各測定装置は以下のとおりである。
[試薬]
MPTES:3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製、信越シリコーン(登録商標)KBE−503
PGM−ST−UP−MA:プロピレングリコールモノメチルエーテル分散細長形状シリカゾル、日産化学工業(株)製、SiO2:15質量%、平均粒子径:12nm、平均粒子長さ:60nm
R−40:フッ素系界面活性剤、DIC(株)製
Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製、IRGACURE 184
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
Rhodamine6G:赤色蛍光材料
(1)インクジェット印刷
装置:インクジェットヘッド(マイクロジェット社製、IJK−200S)、高精度卓上ロボット(武蔵エンジニアリング社製、SHOTmini SL)、ピエゾドライバー(ハンテック社製、MC6)、圧力ドライバー(SMC社製、CN03)による複合装置
インクジェット印刷プロセスは室温(25℃)、大気圧下で行った。
印刷中における、基板とインクジェットノズルの間隔は〜1mmに維持した。
インクジェットヘッドの移動速度は、空気乱流による吐出インクの乱れを抑えるため2mm/sの低速に設定した。また、インクジェット吐出の際のパルス電圧は74.4V、パルス幅は59.8μsとした。
(2)外観観察
[光学顕微鏡]
装置:ECLIPSE TE2000−U、(株)ニコン製
[走査型電子顕微鏡(SEM)]
装置:リアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800、(株)キーエンス製
[原子間力顕微鏡(AFM)]
装置:ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000、(株)キーエンス製
(3)レーザー発振スペクトル測定
装置:励起光源(受動QスイッチNd:YAGレーザー、PNG−002025−040、Nanolase社製)、観測顕微鏡(光学顕微鏡、ECLIPSE TE2000−U、(株)ニコン製、)、分光器(ファイバー結合型分光器、MS7504、Solar TII社製)による測定光学系システム
マイクロディスクレーザーの発振評価は、室温(25℃)で行った。
[合成例1]シロキサンオリゴマー(ZO−2)の合成
300mLの反応フラスコに、TEOS37.5g、MPTES29.8g、及びエタノール43.2gを仕込み、10分間撹拌した。この溶液へ、別途調製したシュウ酸[関東化学(株)製]0.32g、水18.9g及びエタノール43.2gの混合溶液を、30分間かけて滴下した。この溶液を10分間撹拌後、内液が還流するまで(およそ80℃)加熱し1時間撹拌した。反応混合物を30°Cまで冷却し、ZO−2のエタノール溶液を得た。
ZO−2の重量平均分子量Mwは1,200、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.1であった。
[製造例1]インクの製造
合成例1で得たZO−2 40.000質量部(固形分換算値、固形分濃度40.0質量%)、PGM−ST−UP−MA60.000質量部(固形分換算値、固形分濃度15.5質量%)、R−40 0.1質量部、IRG.184 5.000質量部、溶媒(PGME31.635質量部、水1.665質量部)を300mLフラスコに順次投入し、室温で3時間混合した。次に、得られた混合物を孔径2μmのフィルターでろ過して、本発明で使用するインクを得た。なお、Rhodamine6Gは、インク中に5mMになる量で添加した。
[実施例1]無機マイクロディスクの作製
まず、フッ素樹脂基板として、30mm×30mm、厚さ100μmのFEPフィルムを用意し、これをエタノール溶液で丁寧に洗浄した。次に、上記インクジェット印刷において、内径50μmのピエゾ駆動型インクジェットノズル(MD−K−130, microdrop Technologies GmbH)を用い、製造例1で得られたインクを、上記フッ素樹脂基板上に1ショット印刷又は2ショット印刷し、無機マイクロディスクを作製した。なお、印刷の際、インクは自然乾燥により乾燥させた。
作製した無機マイクロディスクについては、外観の観察及びWGM(whispering−gallery modes)レーザー発振特性の評価を行った。
(1)外観の観察
作製した無機マイクロディスクを、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により観察した。得られた光学顕微鏡画像を図3(A)に、走査型電子顕微鏡画像を図3(B)にそれぞれ示す。なお、光学顕微鏡観察では、1ショット印刷して作製した無機マイクロディスクを用い、走査型電子顕微鏡観察では、2ショット印刷して作製した無機マイクロディスクを用いた。
図3(A)に示した光学顕微鏡画像からは、インクジェット印刷法によって直径約85μmの比較的小さな直径を有する円板状の無機マイクロディスクが得られたことが確認された。そして、図3(B)に示した電子顕微鏡画像からは、作製した無機マイクロディスクが、大きなコーヒーリング効果によって、その周縁部がはっきりとリング状に隆起した構造を有するものとなっていることが確認された。また、直径が約185μmであり、2ショット印刷することにより、直径を調整できることも確認された。更に、インクのフッ素樹脂基板に対する高い接触角により、約30度の大きなテーパー角を有することも確認された。
この小さな直径かつ周縁部がはっきりとリング状に隆起した構造は、フッ素樹脂基板が有する高い撥水性に起因するものである。
また、原子間力顕微鏡(AFM)測定により、自乗平均面粗さ(r.m.s.値)が5.83nmの高い表面精度が得られたことが確認できた。
(2)WGM(whispering−gallery modes)レーザー発振評価
評価には、2ショット印刷により作製した無機マイクロディスク(直径185μm、隆起部の厚さ6.5μm、テーパー角約30度)を用いた。励起光源には、受動QスイッチNd:YAGレーザー(PNG−002025−040,Nanolase Corp.)の第二次高調波(波長532nm、パルス幅〜5ns、繰り返し周波数100Hz)を用いた。
この光を焦点距離2cmの平凸レンズによりスポット径300μmまで絞って無機マイクロディスクに照射した。
無機マイクロディスクのエッジから放出したwhispering−gallery mode(WGM)をもつレーザー光は、倍率100倍の顕微鏡を用いて集光し、分光器を用いた30秒間露光測定によりレーザー発振スペクトルを測定した。レーザー発振スペクトルの測定結果及び入出力測定結果を図4に示す。
図4に示した結果より、作製した無機マイクロディスクでは、8.39μJ/mm2(波長599.2nm)の低いWGMレーザー発振しきい値が得られたことが確認された。
1 無機マイクロディスク
11 隆起部
2 インク
3 インクジェットノズル
4 フッ素樹脂基板
D 直径
t 厚さ
θ テーパー角

Claims (8)

  1. シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素とを含むインクにより形成されたことを特徴とする無機マイクロディスク。
  2. 周縁部がリング状に隆起した円板状である請求項1記載の無機マイクロディスク。
  3. 直径が5〜500μmである請求項1又は2記載の無機マイクロディスク。
  4. 上記異形シリカ微粒子の窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積(m2)から、平均粒子径=(2,720/比表面積)の式によって与えられる平均粒子径が1〜25nmである請求項1〜3のいずれか1項記載の無機マイクロディスク。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の無機マイクロディスクを用いたレーザー共振器。
  6. シロキサンオリゴマーと、異形シリカ微粒子と、レーザー色素と、溶剤とを含むインクをインクジェット印刷法によってフッ素樹脂基板上に印刷する印刷工程を含むことを特徴とする無機マイクロディスクの製造方法。
  7. 上記印刷工程が、ワンショット印刷で行われる請求項6記載の無機マイクロディスクの製造方法。
  8. 上記フッ素樹脂基板が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選ばれるいずれかである請求項6又は7記載の無機マイクロディスクの製造方法。
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