JP2018140941A - α−(ハロメチル)アクリル化合物、重合体、重合体の製造方法、硬化物の製造方法及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、アクリル酸エステルのα位を機能化した報告例は少ない。
本発明者らは、α−(ハロメチル)アクリル酸エステルの求核的共役置換(SN2’)反応が与える生成物が、さらにマイケル付加を受容することに注目し、ジチオールを求核モノマーとする重合方法について報告している(非特許文献1)。
求核的共役置換(SN2’)反応は、化合物のオレフィン部分を求核攻撃する反応機構であり、室温、空気中で定量的に進行する。このため高分子合成分野ではα−機能化アクリルモノマーを得る反応として利用されてきた(非特許文献2参照)。
しかしながら、より効率的な反応とするためには改良の余地があった。非特許文献1に記載の重合反応は求核(SN2’)反応とマイケル付加反応を連続的に実施しているため(換言すれば異なる反応を連続的に行うため)、溶媒等の重合条件に制約があるという課題があった。また、既存の求電子モノマーとの共重合ができないという課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、特殊な重合条件をすることなく、既存の求電子モノマーと共重合が可能である、α−(ハロメチル)アクリル化合物、該α−(ハロメチル)アクリル化合物を用いた重合体及び該重合体の製造方法を提供することを課題とする。
[1]下記一般式(1)で表されるα−(ハロメチル)アクリル化合物。
[2]下記一般式(1)−1で表されるα−(ハロメチル)アクリル化合物。
[3][1]又は[2]に記載のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとの重合体。
[4]前記求核モノマーが、ジチオール、ビスフェノール又は1級アミンからなる群より選ばれる1つ以上である、[3]に記載の重合体。
[5]機能性基を含む、[3]又は[4]に記載の重合体。
[6][1]又は[2]に記載のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとをSN2’反応により重合する重合工程を有する、重合体の製造方法。
[7][1]又は[2]に記載のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、ジチオールとをSN2’反応により重合する重合工程と、重合末端保護工程とを有する、重合体の製造方法。
[8]前記重合工程を、クロロホルムの存在下で行う、[6]又は[7]に記載の重合体の製造方法。
[9]さらに、機能性基を導入する工程を有する、[6]〜[8]のいずれか1つに記載の重合体の製造方法。
[10][3]〜[5]のいずれか1つに記載の重合体を硬化する工程を有する硬化物の製造方法。
[11][3]〜[5]のいずれか1つに記載の重合体を硬化した硬化物。
本発明は、一般式(1)で表されるα−(ハロメチル)アクリル化合物(以下、「本発明の化合物」と記載する場合がある)である。本発明の化合物は、α置換基としてハロゲン原子等を有する。このため、2価フェノール、チオール、1価アミン等の種々の求核モノマーと空気中、室温の穏やかな条件で重合することができる。さらにこの重合反応は、使用する溶媒等の重合条件の制約が少なく、重合生成物の修飾反応までOne−Potで実施できるため、効率的に反応させることができる。
以下、本発明の化合物の好ましい実施形態について説明する。以下の実施形態は本発明の一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
本実施形態は、下記一般式(1)で表されるα−(ハロメチル)アクリル化合物である。
一般式(1)中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はフェニル基である。R1、R2のアルキル基は、例えば、直鎖状、又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
本実施形態において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
一般式(1)中、Rはハロゲン原子、トシル基又はメシチル基である。Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
一般式(1)中、Xはn価の連結基である。Xとしては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から、n個の水素原子を除いた基が挙げられる。また、ヘテロ原子を有するn価の連結基であってもよい。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。
芳香族炭化水素基として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を有するn価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−S−、等を含む連結基が挙げられる。
一般式(1)中、nは2〜4の自然数であり、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
本実施形態は、下記一般式(1)−1で表されるα−(ハロメチル)アクリル化合物である。
一般式(1)−1中のR1、R2、Rに関する説明は、前記一般式(1)におけるR1、R2、Rについての説明と同様である。複数あるR1、R2は同一であってもよく異なっていてもよいが、合成し易さの観点からR1、R2はそれぞれ同一であることが好ましい。
一般式(1)−1中、X1は2価の連結基である。X1は、前記一般式(1)において説明したXのうち、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から、2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
X1としては炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましい。
本実施形態は、下記一般式(1)−2で表されるα−(ハロメチル)アクリル化合物である。
≪第4実施形態≫
本実施形態は、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとの重合体である。本実施形態に用いる求核モノマーは、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物と重合可能であるモノマーであれば特に限定されないが、ジチオール、ビスフェノール又は1級アミンからなる群より選ばれる1つ以上であることが好ましい。
本実施形態に好適に用いることができるジチオールの例を以下に記載する。
本実施形態に好適に用いることができる1級アミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
本実施形態は、前記第5実施形態の重合体のうち、さらに機能性基を含む重合体である。
本実施形態における機能性基とは、例えば、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ハロゲン化アリール基等を意味する。
本実施形態の重合体は、後述する本発明の重合体の製造方法により製造することができる。
≪第6実施形態≫
本実施形態は、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとをSN2’反応により重合する重合工程を有する、重合体の製造方法である。本実施形態によれば、重合活性を有するビニル基を有する不飽和ポリエステルエステルを得ることができる。
本実施形態における重合工程は、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物を溶媒に溶解し、該溶媒にアミン化合物と求核モノマーと滴下することにより行うことが好ましい。
重合時間は通常1分間〜24時間、好ましくは5分間〜12時間である。本実施形態においては、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物を用いているため、重合は短時間で進行し、10時間以下、5時間以下、又は1時間以下で反応を完結することができる。
重合温度は、0℃〜25℃の室温の範囲内で行うことができる。
本実施形態の重合体の製造方法は、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、ジチオールとをSN2’反応により重合する重合工程と、重合末端保護工程とをこの順で有する。本実施形態によれば、重合活性を有するビニル基を有する不飽和ポリエステルエステルを得ることができる。
求核モノマーとしてジチオールを用いる場合、重合工程の後には重合末端に反応性が高いSH基が残存する。このSH基が重合体中の二重結合に結合して自己架橋することを防止するため、重合末端のSH基を保護する保護工程を行う。SH基を保護するために用いる化合物としては、臭化アリル、臭化ベンジル、安息香酸クロリド等のハロゲン系化合物、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル等の共役エステル類、およびこれらの特徴を併せ持つ、α−(クロロメチル)アクリル酸メチル、α−(ブロモメチル)アクリル酸エチル等の化合物が使用できる。
本実施形態の重合体の製造方法は、前記本発明のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとをSN2’反応により重合する重合工程と、機能性基を導入する工程とをこの順で有する。本実施形態によれば、重合活性を有するビニル基を有する不飽和ポリエステルエステルを得ることができる。
求核モノマーとしてジチオールを用いる場合には、重合工程の後、機能性基を導入する工程の前に、前記第8実施形態において説明した重合末端保護工程を有することが好ましい。
本実施形態では、重合工程又は重合末端保護工程の後に、機能性基とメルカプト基を有する化合物を使用することにより、重合体に機能性基を導入することができる。
機能性基とメルカプト基を有する化合物としては、ベンジルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、システイン等が挙げられる。
本実施形態においては、上記本発明の重合体をさらに常法に従って硬化反応に付することにより硬化物を製造することができる。
本実施形態は、前記本発明の重合体を硬化した硬化物である。
本実施形態の硬化物としては、繊維強化プラスチック樹脂原料、熱硬化性樹脂原料、反応性生分解ポリマー原料等の樹脂原料が挙げられる。
1H NMRスペクトルは、重クロロホルム(Across Organics)溶液としてAVANCE 400(Bruker)分光計で測定し、化学シフト値はテトラメチルシランを標準物質として較正した。分子量とその分布はPL−gel Mixed C(300mm×7.5mm)(Polymer Laboratories)を2本直列に接続したEXTREMAクロマトグラフ(日本分光)に、溶離液として40℃のテトラヒドロフランを0.8mL/minで流したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定し、紫外光検出器(UV−4070,日本分光)および示差屈折率計(RI−4030,日本分光)により検出した。
分子量値は標準ポリスチレン試料(TSKゲルオリゴマーキット、東ソー、分子量:1.03×106,3.89×105,1.82×105,3.68×104,1.36×104,5.32×103,3.03×103,8.73×102)により較正した。赤外吸収スペクトルはダイアモンドATRアタッチメント(1回反射型)を接続したCary 630 FTIR分光光度計により測定した。
融点はMPA100型融点測定装置(Stanford Research Systems)により測定した。
≪α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸tert-ブチルの合成≫
アクリル酸tert−ブチル(51.3g,400mmol)を1,4−ジオキサン(300mL)に溶解し,蒸留水(300mL)と1,4−ジアザ[2,2,2]ビシクロオクタン(DABCO,9.62g,85.8mmol)を加えた。37質量%ホルムアルデヒド水溶液(35.8g,441mmol)を加え、60℃で33時間撹拌した。
ヘキサン(600mL)により生成物を抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[ワコーゲル(登録商標)C−400−HG、溶離液:酢酸エチル/ヘキサン(v/v=1/4)]で精製して、真空乾燥によりα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸tert−ブチル(37.0g,収率57.2%)を無色液体として得た。
1H NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 6.16−6.15(m,1H,CHH=),5.76(dd,J1=1.6Hz,J2=1.2Hz,1H,CHH=),4.28(ddd,J1=6.4Hz,J2=1.2Hz,J3=0.8Hz,2H,CH2),2.70(t,J=6.4Hz,1H,OH),1.50(s,9H,tBu).
上記で得られたα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸tert−ブチル(57.6g,496mmol)に塩化チオニル(53mL,740mmol)を滴下し、室温で16時間撹拌した。余剰の塩化チオニルを減圧留去した後、減圧蒸留(沸点78−89℃/14.7Pa)によりα−(クロロメチル)アクリル酸クロリド(23.1g,収率80.1%)を無色液体として得た。
氷浴中,1,4−ブタンジオール(7.38g,81.9mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(35mL,200mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を、α−(クロロメチル)アクリル酸クロリド(22.7g,164mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に滴下した。反応溶液を3時間撹拌し、蒸留水(100mL)を加えて反応を停止させた。生成物をジクロロメタン(300mL)により抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[ワコーゲル(登録商標)C−400−HG、溶離液:酢酸エチル/ヘキサン(v/v=1/8)]で精製して、真空乾燥により1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](4.54g,収率18.8%)を無色針状結晶として得た。
1H NMRスペクトル (400MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 6.38(s,2H,CHH=),5.98(dd,J1=1.8Hz,J2=1.0Hz,2H,CHH=),4.29(d,J=1.0Hz,4H,CH2Cl),4.28−4.25(m,4H,OCH2),1.84−1.82(m,4H,CH2).
13CNMRスペクトル(100MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 164.8,136.8,128.7,64.5,42.5,25.2.
IRスペクトル(KBr):υ/cm−1 3039(CH2=),2972(C−H),2959(C−H),2922(C−H),2984(C−H),2855(OCH2),1714(C=O),1626(C=C),1336(C−O),1192(C−O),1144(C−O),816(C−Cl)、融点44.4−48.3℃
実施例1で得た1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](0.118g,0.400mmol)のクロロホルム(0.3mL)溶液に,トリエチルアミン(0.10g,1.0mmol)と1,10−デカンジチオール(83mg,0.50mmol)のクロロホルム(0.50mL)溶液をゆっくり滴下した。時間毎に適量を採取し、メタノールに沈殿させ、沈殿物の分子量の変化をサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。図4に反応時間と分子量の相関を示す。反応開始から15分後の数平均分子量Mnは18000であり、1時間後には22000に達し、一定となった。このことから、重合は少なくとも1時間以内には完結することが確認できた。
実験例2と同様にして反応溶液を調製し、1時間撹拌した。その後,反応溶液にα−(クロロメチル)アクリル酸メチル(16mg,0.12mmol)のクロロホルム(0.4mL)溶液を加え、3時間撹拌した.反応溶液をメタノール(50mL)に滴下し、析出した沈殿を吸引濾過によりグラスフィルター上に回収した後、真空乾燥して、不飽和ポリエステル(153mg,収率89.5%)を得た。
1H NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26°C):δ/ppm 6.19(d,J=1.1Hz,2H,CHH=),5.64(d,J=1.1Hz,2H,CHH=),4.24−4.21(m,4H,OCH2),3.37(d,J=0.6Hz,4H,C=CCH2S),2.44(t,J=7.2Hz,4H,SCH2CH2),1.82−1.79(m,4H,OCH2CH2),1.61−1.54(m,4H,SCH2CH2),1.39−1.27(12H,3,4,5,6,7,8−CH2).
Mn=17000,Mw/Mn=2.05
実施例2の1,10−デカンジチオールを2,3−ジチオエリトリトール(61mg,0.40mmol)とし、他は同様にして反応溶液を調製し、24時間撹拌した。1M塩酸(5mL)で反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮後、真空乾燥して、不飽和ポリエステル(137mg,収率91.9%)を得た。
1H NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 6.22(s,2H,CHH=),5.72(s,2H,CHH=),4.24(br,4H,OCH2),3.73−3.68(m,2H,CHOH),3.43(d,J=6.0Hz,4H,=CCH2S),2.84(dd,J1=14Hz,J2=2.8Hz,2H,SCHHCH),2.60(dd,J1=14Hz,J2=8.0Hz,2H,SCHHCH),1.82−1.80(m,OCH2CH2).
Mn=12000,Mw/Mn=1.43
実施例2の1,10−デカンジチオールを2,3−ブタンジチオール(49mg,0.40mmol)とし、他は同様にして反応溶液を調製し、24時間撹拌した。1M塩酸(5mL)で反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮後、真空乾燥して、不飽和ポリエステル(0.120g,収率87.0%)を得た。
1H NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 6.20(d,J=0.8Hz,0.67H,CHH=),6.19(d,J=0.8Hz,1.33H,CHH=),5.72(d,J=0.8Hz,0.67H,CHH=),5.69(d,J=0.8Hz,1.33H,CHH=),4.23(t,J=3.2Hz,OCH2),3.46and3.45(s,J=5.6Hz,1.33H,CH2S),3.41and3.40(d,J=3.6Hz,2.67H,CH2S),3.01−2.96(m,0.67H,CH),2.92−2.84(m,1.33H,CH),1.81(quin,J=3.2Hz,OCH2CH2),1.32(d,J=6.8Hz,2H,CH3),1.25(d,J=6.8Hz,4H,CH3).
Mn=12000,Mw/Mn=1.84
実施例2の1,10−デカンジチオールを4,4−チオビスベンゼンジチオール(100mg,0.40mmol)とし、他は同様にして反応溶液を調製し、24時間撹拌した。1M塩酸(5mL)で反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮後、真空乾燥して、不飽和ポリエステル(0.183g,収率97.3%)を得た。
1H NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 7.23(dd,J1=10.4Hz,J2=8.2Hz,8H,Ar−H),6.17(s,2H,CHH=),5.58(s,2H,CHH=),4.23(br,4H,OCH2),3.75(s,4H,CH2S),1.80(br,4H,OCH2CH2).
Mn=8200,Mw/Mn=1.84
実施例2の1,10−デカンジチオールを3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール(74mg,0.41mmol)とし、他は同様にして反応溶液を調製し、1時間撹拌した。反応溶液にα−(クロロメチル)アクリル酸メチル(19mg,0.14mmol)のクロロホルム(0.4mL)溶液を加え、3時間撹拌した。反応溶液をメタノール(50mL)に滴下し、析出した沈殿を遠心分離により回収後、真空乾燥して、不飽和ポリエステル(137mg,収率84%)を得た。
1HNMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26℃):δ/ppm 6.21(d,J=0.8Hz,2H,CHH=),5.68(d,J=0.8Hz,2H,CHH=),4.24−4.21(m,4H,OCH2),3.65(t,J=6.6Hz,4H,SCH2CH2O),3.61(s,4H,OCH2CH2O),3.43(d,J=0.8Hz,4H,C=CCH2S),2.65(t,J=6.6Hz,4H,SCH2CH2),1.83−1.78(m,4H,OCH2CH2).
Mn=17000,Mw/Mn=2.08
約0.6Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)にビスフェノールA(94mg,0.41mmol)を溶かし、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(20mg,88mmol)を加えた。ここに1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](0.122g,0.413mmol)のジクロロメタン(0.80mL)溶液を加えて24時間激しく撹拌した。反応溶液にジクロロメタン(10mL)と蒸留水(10mL)を加え、有機層を濃縮し、残渣を真空乾燥して不飽和ポリエステル(0.137g,収率73.7%)を得た。
Mn=2800,Mw/Mn=1.56
ビスフェノールA(91mg,0.40mmol)、1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](0.120g,0.407mmol)、炭酸カリウム(0.141g,1.02mmol)をはかり取り、アセトニトリル(0.80mL)を加えて24時間激しく撹拌した。反応液に蒸留水(5mL)を加えて洗浄し、有機層を濃縮、残渣を真空乾燥して不飽和ポリエステル(0.178g,収率97.8%)を得た。
Mn=19000,Mw/Mn=1.95
ビスフェノールA(91mg,0.40 mmol)、1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](0.118g,0.400mmol)、トリエチルアミン(0.105g,1.03mmol)をクロロホルム(0.80mL)に溶解し24時間撹拌した。蒸留水(5mL)を加えて反応を停止し、有機層を濃縮し、残渣を真空乾燥して不飽和ポリエステル(0.168g,収率93.3%)を得た。
Mn=32000,Mw/Mn=1.98
1HNMRスペクトル(400MHz,CDCl3,26°C):δ/ppm 7.13(d,J=8.8Hz,4H,Ar−H),6.81(d,J=8.8Hz,4H,Ar−H),6.37(d,J=1.2Hz,2H,CHH=),5.99(d,J=1.2Hz,2H,CHH=),4.71(s,4H,CH2S),4.24(br,4H,OCH2),1.80(br,4H,OCH2CH2),1.62(s,6H,CH3).
硫化ナトリウム九水和物(96mg,0.040mmol)のジメチルホルムアミド(0.20mL)溶液に、1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)] (117mg,0.395mmol)のジメチルホルムアミド(0.6mL)溶液をゆっくり滴下した。反応溶液を20時間撹拌した.反応溶液を蒸留水(50mL)に滴下し、生成した沈殿をデカンテーションにより回収後、真空乾燥してポリマー(64mg、収率59.3%)を得た.
Mn=3200,Mw/Mn=2.40
1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](118mg,0.400mmol)のクロロホルム(0.80mL)溶液に,プロピルアミン(23.6mg,0.407mmol)、トリエチルアミン(0.122g,1.21mmol)を加えて24時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えた後,クロロホルム(30mL)でポリマーを抽出した。有機層を濃縮し、残渣を真空乾燥して不飽和ポリエステル(108mg、収率85.0%)を得た。
Mn=990,Mw/Mn=1.86
1,4−ブタンジオールビス[α−(クロロメチルアクリレート)](0.119g,0.403mmol)の1,4−ジオキサン(0.3mL)溶液に、プロピルアミン(24mg、0.41mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(156mg,1.02mmol)の1,4−ジオキサン(0.50mL)溶液を滴下して24時間撹拌した。反応液に蒸留水(10mL)を加え、ジクロロメタン(30mL)で抽出した後、蒸留水(30mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣を真空乾燥して不飽和ポリエステル(103mg,収率90.3%)を得た。
Mn=2000,Mw/Mn=1.88
実施例3と同様の操作で不飽和ポリエステルを合成し、単離精製したポリマー(86mg)のクロロホルム(0.8mL)溶液を調製した。トリエチルアミン(11mg,0.11mmol)およびベンジルメルカプタン(75mg,0.60mmol)のアセトニトリル(0.4mL)溶液をポリマー溶液に滴下し、24時間撹拌した。反応溶液をヘキサン(50mL)に滴下し、析出した沈殿をデカンテーションにより回収後、真空乾燥して機能化ポリエステル(0.118g、収率87%)を得た。1H NMRスペクトルのO−メチレン基に対する残存ビニリデン基の信号強度から求めた反応度は82%であった。
実施例3と同様にして反応溶液を調製し、1時間撹拌した。その後、反応溶液にα−(クロロメチル)アクリル酸メチル(16mg,0.12mmol)のクロロホルム(0.4mL)溶液を加えて3時間撹拌し、末端チオール基を反応させた。反応溶液にベンジルメルカプタン(0.191g,1.50mmol)のアセトニトリル(0.6mL)溶液を滴下し、24時間撹拌した。反応溶液をヘキサンに滴下し、生成した沈殿を回収してクロロホルム(10mL)に溶かし、蒸留水(30mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣を真空乾燥して機能化ポリエステル(0.114g,収率42.1%)を得た。1H NMRスペクトルにおいてビニリデン基の信号が観測されなかったことから、反応が定量的に進行したことがわかった。
Claims (11)
- 請求項1又は2に記載のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとの重合体。
- 前記求核モノマーが、ジチオール、ビスフェノール又は1級アミンからなる群より選ばれる1つ以上である、請求項3に記載の重合体。
- 機能性基を含む、請求項3又は4に記載の重合体。
- 請求項1又は2に記載のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、求核モノマーとをSN2’反応により重合する重合工程を有する、重合体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のα−(ハロメチル)アクリル化合物と、ジチオールとをSN2’反応により重合する重合工程と、重合末端保護工程とを有する、重合体の製造方法。
- 前記重合工程を、クロロホルムの存在下で行う、請求項6又は7に記載の重合体の製造方法。
- さらに、機能性基を導入する工程を有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の重合体を硬化する工程を有する硬化物の製造方法。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の重合体を硬化した硬化物。
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