以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図面を参照して、本発明の第1の実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器100について説明する。カートリッジ式化粧料容器100は、カートリッジホルダー1とカートリッジ2とを備える。説明の便宜上、化粧料4が出没するカートリッジ2の先端側をカートリッジ式化粧料容器100の前側とし、カートリッジホルダー1の駆動体30の底部37側をカートリッジ式化粧料容器100の後側として、カートリッジ式化粧料容器100の前後方向を規定する。なお、カートリッジ2については、化粧料4が出没するカートリッジ2の先端側をカートリッジ2の前側とし、カートリッジホルダー1に取り付けられる側をカートリッジ2の後側とする。カートリッジホルダー1については、カートリッジ2が取り付けられる本体筒20の開口側をカートリッジホルダー1の前側とし、駆動体30の底部37側をカートリッジホルダー1の後側とする。
図1及び図2を参照して、カートリッジ式化粧料容器100の全体構成の概要について説明する。カートリッジ式化粧料容器100は、化粧料4が収容されたカートリッジ2がカートリッジホルダー1に取り付けられて使用される。カートリッジ2は、カートリッジ外筒10と、カートリッジ外筒10に収容される化粧料4と、カートリッジ外筒10に収容され化粧料4を支持する支持部材70と、カートリッジ外筒10に取り付けられるキャップ3と、を備える。
カートリッジホルダー1は、前端部にカートリッジ外筒10が着脱自在に取り付けられる本体筒20と、本体筒20の後端部において、本体筒20に対して同軸にかつ相対回転可能に設けられる駆動体30と、本体筒20に設けられ内周に雌ねじ53が形成された雌ねじ部材50と、駆動体30に設けられ雌ねじ部材50の雌ねじ53に螺合される雄ねじ61aが外周に形成された押棒60と、本体筒20に対して同軸に設けられるクッション部材80と、付勢部材としてのコイルばね7と、を備える。
押棒60は、本体筒20の中心軸方向(以下、単に軸方向と称する)に延在する軸状部材であり、基端部が駆動体30と一体に回転するように駆動体30に係合し、先端部が本体筒20内において軸方向に移動可能に配設されている。
カートリッジ2内の化粧料4は、カートリッジホルダー1に設けられる繰出機構8により押棒60が進退することで、カートリッジ2の先端から繰り出されたり、繰り戻されたりする。繰出機構8は、雌ねじ53が形成された雌ねじ部材50と、雄ねじ61aが形成された押棒60と、を有し、雌ねじ53と雄ねじ61aが螺合することで押棒60を軸方向に移動させる。
押棒60は、本体筒20と駆動体30との相対回転によって進退し、カートリッジ外筒10に収容された化粧料4を、支持部材70を介してカートリッジ外筒10の先端側の前端開口11aから出没させる。
使用者が、本体筒20に対して駆動体30を一方に回転(正回転)させると、押棒60が軸方向前方に移動し(すなわち、前進し)、押棒60に連結される支持部材70を介して、化粧料4がカートリッジ2の前端開口11aから押し出される。使用者が、本体筒20に対して駆動体30を他方に回転(逆回転)させると、押棒60が軸方向後方に移動し(すなわち、後退し)、押棒60に連結される支持部材70を介して、カートリッジ2の前端開口11aから突出されていた化粧料4がカートリッジ2の前端開口11aに引き戻される。
使用者は、カートリッジ2内の化粧料4が無くなると、その使い切ったカートリッジ2を新たなカートリッジ2に交換することで、再び、カートリッジ式化粧料容器100を使用することができる。また、使用者は、使用途中のカートリッジ2を、別の使用途中のカートリッジ2に交換することもできる。
図1、図3〜図5を参照して、カートリッジ2について詳しく説明する。カートリッジ2は、押棒60を内蔵するカートリッジホルダー1に取り付けて使用されることで繰出機構8が働き、押棒60の進退に連動して、収容した化粧料4が進退する構成とされている。
図1に示すように、カートリッジ2は、後端部がカートリッジホルダー1の本体筒20の前端部に取り付けられる。図3に示すように、カートリッジ2は、略円筒状に形成されたカートリッジ外筒10と、カートリッジ外筒10に収容され、カートリッジ外筒10の内側を軸方向に摺動可能な支持部材70と、カートリッジ外筒10に取り付けられるキャップ3と、を備える。
図4(d)に示すように、カートリッジ外筒10は、先端側の前端開口11a及び基端側の後端開口11bを連通するように、カートリッジ外筒10を前後方向に貫通する貫通孔17を有する。図3(a)に示すように、貫通孔17には、化粧料4と、化粧料4を支持する支持部材70が収容される。貫通孔17の構成の詳細については、後述する。
図4に示すように、カートリッジ外筒10は、カートリッジ式化粧料容器100の前側の外郭を構成する外郭部12と、カートリッジホルダー1の本体筒20に嵌入される嵌入部16と、を有する。外郭部12の後端には、フランジ14が設けられる。外郭部12の前端には、貫通孔17の前端開口11aが形成される。嵌入部16の後端には、貫通孔17の後端開口11bが形成される。
嵌入部16は、略円筒状に形成される。嵌入部16の内周は、外郭部12の内周に連続して形成される。嵌入部16の外周には、フランジ14から軸方向に雄ねじ15が形成される。カートリッジ2の雄ねじ15は、カートリッジホルダー1の本体筒20の雌ねじ43(図6(a)参照)に螺合される。
図3に示すように、外郭部12の外周には、リブ13aと嵌合凸部13bとが設けられる。リブ13aは、キャップ3がカートリッジ外筒10に装着されたときに、キャップ3の内周に設けられたローレット3aと係合し、キャップ3を周方向に係止する。嵌合凸部13bは、キャップ3がカートリッジ外筒10に装着されたときに、キャップ3の内周に設けられた嵌合凹部3bと嵌合し、キャップ3を軸方向に係止する。
フランジ14は、径方向外方に突出するように設けられた円環状の鍔部材であり、図1に示すように、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられたときに、本体筒20の前端の開口縁部に接して軸方向におけるカートリッジ外筒10の位置を規定する。また、フランジ14は、キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられたときに、キャップ3の後端の開口縁部に接して軸方向におけるキャップ3の位置を規定する。
図3に示すように、キャップ3は、一端が開口された有底円筒状に形成される。キャップ3は、カートリッジ外筒10の外郭部12に取り付けられて前端開口11aを閉塞する。キャップ3には、その開口端の内周に、カートリッジ外筒10のリブ13aと係合するローレット3aと、カートリッジ外筒10の嵌合凸部13bに嵌合する環状の嵌合凹部3bと、が設けられる。
支持部材70は、化粧料4を支持する部材であって、カートリッジ外筒10を軸方向に貫通する貫通孔17に挿入され、押棒60の進退に伴って貫通孔17内を軸方向に移動する。
図5(a)に示すように、支持部材70は、支持部材70の前側部分を構成する前側支持部材(先端側支持部材)70Fと、支持部材70の後側部分を構成する後側支持部材(基端側支持部材)70Rと、を備える。
図5(b)に示すように、前側支持部材70Fは、前端が開口された有底円筒状の支持筒72と、支持筒72の底部74から後方に向かって延在する嵌合筒部71と、を有する。嵌合筒部71は円筒状に形成され、支持筒72の底部74には、嵌合筒部71の内部に連通する開口部が形成される。
嵌合筒部71は、支持筒72の近傍の内周に、環状の嵌合凹部71aを有する。嵌合筒部71の内周には、嵌合筒部71の前後方向中央部から後端開口71cに亘って、軸方向に延在するローレット71bが形成される。
図5(c)に示すように、後側支持部材70Rは、円柱状の軸本体75と、軸本体75の先端(前端)において軸方向に延設される軸体部78と、軸本体75の基端(後端)に設けられる複数のベンド片77と、を有する。
軸本体75の先端部分は、前側支持部材70Fに嵌入される部分であって、軸本体75の先端近傍の外周には、環状の嵌合凸部79aが設けられる。軸本体75の外周には、嵌合凸部79aの後方から所定長さに亘って、軸方向後方に延在するリブ79bが複数形成される。軸本体75の外周には、軸本体75の基端(後端)から所定長さに亘って、軸方向前方に延在するリブ75aが複数形成される。
軸体部78は、軸本体75の先端から軸方向前方に延設されている。軸体部78は、円柱状の円柱部78bと、円柱部78bの先端に設けられた頭部78aと、を有する。頭部78aは、円柱部78bの先端から頭部78aの先端に向かうにしたがって径が大きくなる円錐台形状を呈している。
後側支持部材70Rの先端部が、前側支持部材70Fの後端開口71cから挿入され、嵌合凸部79aと嵌合凹部71aとが嵌合されると、図5(a)に示すように、前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとが連結される。なお、リブ79bがローレット71bに係合するため、前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとが相対的に回転することが規制される。
前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとが結合されることで、支持筒72の底部74から軸方向に延在する棒軸部175が形成される。棒軸部175は、前側支持部材70Fの嵌合筒部71と、後側支持部材70Rの軸本体75と、から構成される。棒軸部175の軸方向長さは、支持筒72の軸方向長さよりも長い。棒軸部175は支持筒72の底部74から軸方向に延在し、後端に押棒60の先端に当接される当接面76を有する。後述するように、当接面76が押棒60によって押され、支持部材70が押棒60とともに前進することで、支持筒72に支持される化粧料4が前端開口11aから繰り出される。
棒軸部175と、棒軸部175の先端に設けられる支持筒72とは同心である。棒軸部175の外径寸法、すなわち嵌合筒部71の外径寸法DRf及び軸本体75の外径寸法DRrは、それぞれ支持筒72の外径寸法DTよりも小さい(DT>DRf,DT>DRr)。なお、嵌合筒部71の外径寸法DRfと、軸本体75の外径寸法DRrの大小関係は、DRf>DRrである。
図1及び図5(a)に示すように、化粧料4は、支持筒72の内周面に固着され、化粧料4の外周面が支持筒72によって支持された状態が保たれる。つまり、化粧料4は、支持筒72によって保持される。軸体部78の円柱部78bが、支持筒72の底部74から支持筒72の内側に突出しているため、軸体部78の全体が化粧料4に埋設される。軸体部78の先端に設けられる頭部78aは、円柱部78bよりも大径であり、化粧料4を繰り戻す際に軸体部78の外周側面であるテーパ面に化粧料4が引っ掛かることによって、化粧料4が軸方向に抜けることが防止される。
図5に示すように、複数のベンド片77は、棒軸部175の後端(すなわち当接面76)に結合され、棒軸部175の後端から略軸方向に延在している。より詳細には、複数のベンド片77は、それぞれ基端側から先端側に向けて徐々に外側に開くように、すなわち先端側ほど支持部材70の中心軸から離れるように延在している。
ベンド片77は棒軸部175の後端から延在するベンド片本体部77cと、ベンド片本体部77cの先端部の内周面から内方に突出する突部77bと、を備える。
本実施形態では、4つのベンド片77が、支持部材70の中心軸を中心として周方向に90度間隔で設けられており、互いに対向する一対のベンド片77は、先端に向かうにしたがって一対のベンド片本体部77c間の寸法が大きくなるように、支持部材70の中心軸に対して傾斜している。
複数のベンド片77は、その外周面が棒軸部175の外周面よりも径方向外方に位置する。ここで、互いに対向する一対のベンド片本体部77cの先端間の寸法、すなわち一対のベンド片本体部77c間の最大外形寸法を開閉部外形寸法DBと定義する(図5(a)参照)。開閉部外径寸法DBは、棒軸部175の外径寸法DRf,DRrよりも大きく、支持筒72の外径寸法DTよりも小さい(DRr<DRf<DB<DT)。
複数のベンド片77は、径方向外方に開いた開状態(図1参照)と、径方向内方に閉じた閉状態(図2参照)との間で弾性変形する弾性部材である。複数のベンド片77は、弾性変形により開閉可能な開閉部として機能し、押棒60の先端と連結される部分である。ベンド片77は、基端が棒軸部175に結合された固定端であり、先端が自由端とされ、外力が作用していない状態では開状態とされている。
ベンド片77は、貫通孔17の内周面によって開閉状態が制御される。ベンド片77は、貫通孔17の内周面によって弾性変形して(撓んで)閉状態となる。ベンド片77は、閉状態のとき、開状態のときに比べてその先端が支持部材70の中心軸側に位置する。支持部材70の基端には、後述する押棒60の先端の嵌着部67(図11参照)が嵌着される凹部77p(図2参照)が形成される。当接面76が凹部77pの底面に相当し、複数のベンド片77の内周面が凹部77pの側面に相当する。
図2に示すように、棒軸部175は、支持筒72とベンド片77との間の部分のことを指す。棒軸部175の軸方向の長さ、すなわち支持筒72の底部74の外側表面から当接面76までの軸方向の長さLR1は、支持部材70の後退限(図1参照)から前進限(図2参照)までのストローク(移動量)SP1以上の長さに設定される(LR1≧SP1)。
上述のとおり、支持部材70は、化粧料4を支持する機能と、押棒60の先端と連結される機能と、を有する。図5に示すように、本実施形態では、化粧料4を支持する支持筒72を有する前側支持部材70Fとベンド片77を有する後側支持部材70Rとは、それぞれが有する機能に応じて、それぞれ異なる材料から成形される。また、本実施形態では、カートリッジ外筒10が、前側支持部材70F及び後側支持部材70Rとは異なる材料から成形される。
カートリッジ外筒10は、たとえば、耐衝撃性及び剛性に優れるABS樹脂やASA樹脂により成形される。このため、カートリッジ外筒10の内部に収容される化粧料4及び支持部材70を適切に保護することができる。
前側支持部材70Fは、カートリッジ外筒10の材料及び後側支持部材70Rの材料よりも柔軟性に優れ、かつ、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性)に優れた材料により成形される。前側支持部材70Fの材料としては、たとえば、カートリッジ外筒10及び後側支持部材70Rの材料よりも曲げ弾性率が低いポリエチレン(PE)が採用される。
一方、後側支持部材70Rは、前側支持部材70Fの材料よりも引張強さ及び曲げ強さが高く、かつ耐摩耗性に優れ、自己潤滑性を有する材料として、たとえば、ポリアセタール(POM)により成形される。
後側支持部材70Rに設けられるベンド片77は、後述するように、摺動孔17bに挿入されると閉状態となって押棒60の嵌着部67に連結され、押棒60の嵌着部67とともに摺動孔17b内を進退する。つまり、ベンド片77は、押棒60の進退に伴って摺動孔17b内を前後に摺動する。本実施形態では、自己潤滑性の優れた材料によりベンド片77が成形されるので、ベンド片77は摺動孔17bの内側をスムーズに進退することができる。その結果、カートリッジ式化粧料容器100の操作性が向上する。
また、ベンド片77は、耐摩耗性に優れた材料により成形されるので、繰り返し使用されてもベンド片77が摺動孔17bの内周面との接触により磨り減ることが防止され、結果として、カートリッジ2の寿命を向上できる。
さらに、摺動孔17b内において、押棒60が後退するときには、嵌着部67からベンド片77に強い引張力が作用することになるが、本実施形態では、引張強さ及び曲げ強さの高い材料でベンド片77が成形される。このため、ベンド片77の厚みを薄くするなどして、ベンド片77の基端部を支点としてベンド片77が変形しやすい構成とした場合であっても、ベンド片77の基端部などが損傷することを防止することができる。
図3及び図4を参照して、化粧料4及び支持部材70が収容される貫通孔17について詳しく説明する。図4(d)に示すように、貫通孔17は、カートリッジ外筒10の先端側(前端側)から基端側(後端側)に向かって順番に、先端収容孔17a、摺動孔17b、基端孔17cを有する。
摺動孔17bは、連結部99により押棒60の先端と支持部材70の基端とを連結させるための貫通孔である。摺動孔17bにおいて、連結部99はその連結が解除不能な状態で摺動する。先端収容孔17aは、化粧料4が収容される貫通孔である。基端孔17cは、連結部99による押棒60の先端と支持部材70の基端との連結が解除可能となる大きさに形成された貫通孔である。先端収容孔17aと摺動孔17bとは連通され、摺動孔17bと基端孔17cとは連通される。
先端収容孔17aは、カートリッジ外筒10の先端側に設けられる。先端収容孔17aは、支持筒72及び化粧料4が摺動する円形状の開口である。
基端孔17cは、後端開口11bと摺動孔17bとを連通するように、後端開口11bと摺動孔17bとの間に設けられる。基端孔17cは、基端孔17cにおける基端側に設けられる基端腔部17iと、基端腔部17iと摺動孔17bとの間に設けられるテーパ孔17fと、を有する。先端収容孔17a、摺動孔17b、テーパ孔17f、及び基端腔部17iは、それぞれ同心の円形断面乃至略円形断面を有している。
摺動孔17bは、カートリッジ外筒10の基端側に設けられ、複数のベンド片77で構成される略筒状の開閉部が縮径した状態で摺動する貫通孔である。摺動孔17bは、支持部材70の基端と押棒60の先端との連結部99を連結解除不能状態で進退させるための貫通孔であり、先端収容孔17a及び基端孔17cのそれぞれに連通して設けられる。基端孔17cは、摺動孔17bの後方、すなわち摺動孔17bよりもカートリッジ外筒10の基端側において、複数のベンド片77で構成される略筒状の開閉部の拡径が可能な領域である。
図3及び図4に示すように、先端収容孔17aは、支持筒72と、支持筒72に支持される化粧料4を収容する。先端収容孔17aの内径寸法DL1は、支持筒72の外径寸法DTよりも僅かに大きい(DL1>DT)。このため、先端収容孔17aの内周面と支持筒72の外周面との間には僅かな隙間が形成される。支持筒72の外周面には、径方向外方に突出する突部73が周方向に等間隔で複数設けられる。支持筒72は、突部73が先端収容孔17aの内周面に当接した状態で、先端収容孔17a内を軸方向に摺動する。
先端収容孔17aの内径寸法DL1は、摺動孔17bの内径寸法DSよりも大きい(DL1>DS)。摺動孔17bの内径寸法DSが先端収容孔17aの内径寸法DL1よりも小さいので、先端収容孔17aと摺動孔17bとの間に段部17dが形成される。摺動孔17bの内径寸法DSは、支持部材70の棒軸部175の外径寸法DRfよりも僅かに大きい(DS>DRf)。また、摺動孔17bの内径寸法DSは、支持筒72の外径寸法DTよりも小さい(DS<DT)。つまり、摺動孔17bの開口縁部である段部17dは、支持筒72がカートリッジ外筒10の基端側に移動することを規制する規制部として機能する。
基端孔17cの基端腔部17iの内径寸法DL2は、摺動孔17bの内径寸法DSよりも大きい(DL2>DS)。基端腔部17iと摺動孔17bとの間には、基端腔部17iから摺動孔17bに向かって徐々に径が小さくなるテーパ孔17fが設けられる。テーパ孔17fのテーパ面は、前端で摺動孔17bの内周面に連続し、後端で基端腔部17iの内周面に連続している。
摺動孔17bの内周面には、ローレット加工により軸方向に延在する凹凸部(平目ローレット)18が形成される。図4(b)及び図4(d)に示すように、凹凸部18は、山部と谷部とが周方向に交互に配置される波形状の断面を有し、摺動孔17bの全体に亘って連続して形成される。
本実施形態において、摺動孔17bの内径寸法DSとは、摺動孔17bにおいて、凹凸部18の複数の山部の頂部を結ぶ仮想の円形状断面の径のことを指す。凹凸部18の谷部、すなわち溝部には上述した棒軸部175のリブ75aが嵌入される。
上述したように、貫通孔17は、その内周面によってベンド片77の開閉状態を制御する。図4(d)に示すように、本実施形態では、摺動孔17bの内径寸法DSが、開閉部外形寸法DB(図3(d)参照)よりも小さい(DS<DB)。このため、摺動孔17bにベンド片77が位置しているときには、複数のベンド片77のベンド片本体部77cは、摺動孔17bにおける凹凸部18の山部の頂部によって内側に押圧され、閉状態となる(図2(b)参照)。
基端孔17cの基端腔部17iの内径寸法DL2は、開閉部外形寸法DB(図3(d)参照)よりも大きい(DL2>DB)。このため、基端腔部17iにベンド片77の先端が位置しているときには、複数のベンド片77の先端は、貫通孔17の内周面と非接触とされ、開状態とされる。なお、基端腔部17iにベンド片77の先端が位置しているときに、複数のベンド片77が開状態となって押棒60と支持部材70との連結が解除可能となればよいため、複数のベンド片77の先端は貫通孔17の内周面と接触していてもよい。この場合、基端腔部17iの内径寸法DL2は、開閉部外径寸法DB(図3(d)参照)よりも僅かに小さい(DL2<DB)。
なお、棒軸部175のリブ75aが貫通孔17の凹凸部18の谷部、すなわち溝部と係合することで、カートリッジ外筒10に対する支持部材70の周方向の移動、すなわち相対回転が不能となる。これにより、押棒60の天面62が、支持部材70の当接面76に対して回転しながら進退し、摩擦による回転力が棒軸部175に伝わり、支持部材70がカートリッジ外筒10内で相対回転することを、リブ75aと溝部の係合により防止できる。
図3〜図5を参照して、カートリッジ2の組立手順について説明する。
前側支持部材70Fは、冶具などを用いて、カートリッジ外筒10の前端開口11aから貫通孔17内に挿入される。後側支持部材70Rは、冶具などを用いて、カートリッジ外筒10の後端開口11bから貫通孔17内に挿入される。前側支持部材70Fを前端開口11aから挿入し、後側支持部材70Rを後端開口11bから挿入することで、前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとを連結することができる。
なお、前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとを予め連結してから、支持部材70を前端開口11aから挿入してもよい。この場合、支持部材70は、支持筒72の底部74が貫通孔17の段部17dに当接するまで挿入される。つまり、支持部材70の後退限は、支持筒72の底部74と段部17dによって規定される。
支持部材70を前端開口11aから挿入する場合、ベンド片77は、先端収容孔17aに位置しているときには開状態であるが、摺動孔17bまで挿入されると閉状態になる。ベンド片77は、摺動孔17bに位置しているときには閉状態であるが、摺動孔17bからテーパ孔17fに挿入されると、テーパ孔17fのテーパ面に沿って徐々に外側に拡開され、基端腔部17iまで挿入されると、開状態に戻る。
支持筒72の底部74が、貫通孔17に設けられる段部17dに当接され、段部17dにより支持筒72の後方への移動が規制される。このため、支持部材70に対して後方に向かう外力を加えたとしても、支持部材70がカートリッジ外筒10の後端開口11bから脱落することが防止される。
本実施形態では、化粧料4を支持する支持筒72の外径寸法DTを、支持筒72より延設される棒軸部175の外径寸法DRf,DRrより大径とすることで、支持筒72の底部74が段部17dに当接し、支持部材70がカートリッジ外筒10の後端開口11bから脱落することが防止される。つまり、本実施形態では、棒軸部175よりも大径に形成された支持筒72が、カートリッジ外筒10の後端開口11bへの支持部材70の脱落を防止する手段として機能する。なお、支持筒72の底部74が段部17dに当接し、先端収容孔17a内で支持筒72の位置が規定されたときの支持部材70の位置を、支持部材70の後退限と定義する。
支持筒72の外周面に設けられた複数の突部73は、カートリッジ外筒10の先端収容孔17aの内周面に圧接されている。このため、カートリッジ2の前端開口11aを真下に向けた場合に、支持部材70が自重によりカートリッジ外筒10の前端開口11aから脱落することが防止される。
支持部材70をカートリッジ外筒10に取り付けた後、カートリッジ外筒10の前端開口11aから先端収容孔17aに、加熱されて溶融した液状の化粧料4を流し込み、化粧料4を冷却固化させる。化粧料4は、固化することにより棒状の化粧料芯となる。化粧料4は、支持筒72の内周面及び軸体部78の外周面に固着される。支持筒72だけでなく、軸体部78の外周面にも化粧料4を付着させることで、支持部材70に対する化粧料4の付着力を向上できる。
このような方法でカートリッジ外筒10内に充填される化粧料4は、ゲル状などの軟質性のものが多い。このため、使用者がカートリッジ式化粧料容器100の使用時に、前端開口11aから化粧料4を出し過ぎると、化粧料芯が折れてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、押棒60の雄ねじ61aのピッチを、押棒60が微動可能なピッチに設定することで、使用者がカートリッジ式化粧料容器100の使用時に、前端開口11aから化粧料4を出し過ぎてしまうことを防止する。
上述したように、支持筒72の外周面と先端収容孔17aの内周面との間には僅かな隙間が形成されている。このため、化粧料4を前端開口11aから先端収容孔17a内に充填する際、後方へも空気を逃がすことができる。その結果、溶融した液状の化粧料4をスムーズに先端収容孔17aに流し込むことができ、作業時間の短縮を図ることができる。また、空気が化粧料内部に残ることで発生する鬆(空洞)の形成を防止する。
なお、本実施形態では、柔軟性に優れた材料により支持筒72が成形される。このため、突部73が先端収容孔17aの内周面に圧接された状態で先端収容孔17aに収容された支持筒72は、外周面が僅かに波を打つように湾曲するなどして、支持筒72の外周面の一部が先端収容孔17aの内周面に接触している。このため、突部73のみを先端収容孔17aに接触させる場合に比べて、支持部材70と先端収容孔17aとの接触面積を大きくすることができる。これにより、溶融した液状の化粧料4を先端収容孔17aに流し込む作業の際に、液状の化粧料4が支持筒72の外周面と先端収容孔17aの内周面との間の隙間から摺動孔17bや基端孔17cに浸入し、後端開口11bから漏れ出てしまうことを防止できる。
カートリッジ2は、支持部材70が挿入されて化粧料4が収容されたカートリッジ外筒10にキャップ3が取り付けられた状態(図3(a)参照)で、化粧料4を内蔵したカートリッジ2として単体で販売される。また、カートリッジホルダー1にカートリッジ2を取り付けてなるカートリッジ式化粧料容器100(図1参照)として販売してもよい。さらに、カートリッジホルダー1を単体で販売してもよい。
図6から図13を参照して、カートリッジ2が取り付けられて使用されるカートリッジホルダー1について詳しく説明する。ここで、図6に示すように、カートリッジ2がカートリッジホルダー1の本体筒20に取り付けられる前の状態における押棒60の位置を「初期位置」と称する。
図6に示すように、本体筒20は、駆動体30が相対回転可能に取り付けられる本体外筒21と、本体外筒21の内側に挿入される本体内筒40と、を備えている。
図7に示すように、本体外筒21は、前端開口22と後端開口29とを有する略円筒状に形成される。本体内筒40(図8参照)は、前端開口22から本体外筒21の内側に挿入される。駆動体30(図10参照)は、後端開口29から本体外筒21の内側に挿入される。
本体外筒21は、前端開口22の近傍の内周に、本体内筒40と嵌合する環状の嵌合凹部23を有する。本体外筒21は、後端開口29の近傍の内周に、駆動体30と相対回転自在に嵌合する環状の嵌合凹部28を有する。
本体外筒21には、その内周に、近接ガイド部(第1ガイド部)25とガイド壁部26とが設けられる。近接ガイド部25は、本体外筒21の軸方向略中央において、径方向内側に突出して形成される。ガイド壁部26は、前端開口22と近接ガイド部25との略中央から近接ガイド部25までの領域において、径方向内側に突出して形成される。
ガイド壁部26は、本体内筒40の外周に設けられる後述のガイド部45(図8参照)と係合する。ガイド壁部26とガイド部45とにより、本体外筒21に対する本体内筒40の周方向の位置が規定され、本体外筒21と本体内筒40との相対回転が不能となる。このように、ガイド壁部26は、本体内筒40が本体外筒21の内側に挿入される際に、本体内筒40を回転不能にガイドする。
近接ガイド部25は、互いに径方向に対向して一対設けられる。各近接ガイド部25は、軸方向に対して傾斜する傾斜面25aを有する。近接ガイド部25の傾斜面25aは、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられるときには、雌ねじ部材50の後述する羽根部55の後端面55b(図9参照)に接する。傾斜面25aが軸方向に対して傾斜しているので、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10とともに軸方向に移動するとともに、径方向中心へ向かって移動する。
図10に示すように、駆動体30は、前後方向に延在する円形状の開口部30aを有し、前端が開口され、後端が底部37により閉塞された、有底の略円筒状に形成される。駆動体30は、本体外筒21に嵌入される嵌入部31と、嵌入部31に連続して形成され使用者によって摘んで用いられる摘み部32と、を有する。
嵌入部31は、略円筒状に形成される。嵌入部31の基端近傍(摘み部32の付近)の外周には、本体外筒21の嵌合凹部28(図7参照)に嵌合する嵌合凸部34が環状に形成される。また、嵌合凸部34の前方における嵌入部31の外周には、環状のOリング溝33が形成される。このOリング溝33にOリング6(図6参照)を取り付けることで、本体外筒21と駆動体30との相対回転に適度な抵抗を付与することができ、使用者による操作感を向上できる。
摘み部32は、嵌入部31と比較して大径に形成される。摘み部32は、本体外筒21の外径と略同径に形成される。これにより、駆動体30が本体外筒21に組み付けられると、本体外筒21の外周面と摘み部32の外周面とが略面一となる(図6参照)。
駆動体30には、押棒60と相対回転不能に係合する複数の溝35が設けられている。
溝35は、開口部30aの内周面に設けられ、駆動体30の底部37から前端開口39まで軸方向に延在する。溝35が、後述する押棒60の鍔部63のリブ63b(図11参照)に係合すると、駆動体30と押棒60との相対回転が不能となる。本実施形態では、溝35は、4つ設けられる。
図11に示すように、押棒60は、略円柱状に形成される。押棒60は、本体筒20及び駆動体30の内側に収容される(図6参照)。押棒60は、本体筒20及び駆動体30と同軸に設けられる棒軸61と、棒軸61の一端に設けられる天面62と、棒軸61の他端に設けられる鍔部63と、鍔部63から軸方向に凹設される腔部64と、を有する。
棒軸61の外周には、雌ねじ部材50の雌ねじ53(図9参照)が螺合する雄ねじ61aが形成されている。カートリッジ2に収容された化粧料4(図1及び図2参照)は、微量ずつ押し出されて使用される。よって、雄ねじ61aのピッチは、押棒60が微動可能なピッチに設定される。
本体筒20と駆動体30との相対回転によって押棒60が前方に繰り出されると、押棒60の天面62が支持部材70を押圧して、カートリッジ外筒10内の化粧料4が前端開口11aから押し出される。押棒60の天面62は、使用開始前状態(図1参照)から、最大に押棒60が繰り出された使用限界状態(図2参照)に亘って、カートリッジ2の支持部材70の当接面76(図5参照)に当接する。このため、押棒60の後退限から前進限までのストローク(移動量)は、支持部材70の後退限から前進限までのストローク(移動量)と等しくなる。なお、使用開始前状態(図1参照)においては、押棒60の天面62と支持部材70の当接面76との間に僅かな隙間があってもよい。この場合、押棒60の後退限から前進限までのストローク(移動量)は、支持部材70の後退限から前進限までのストローク(移動量)よりも大きくなる。
鍔部63は、棒軸61と比較して大径の円板状に形成される。鍔部63は、コイルばね7が載置されるばね載置面63aと、ばね載置面63aの反対側に形成される後端面63cと、を有する。鍔部63は、駆動体30内を軸方向に移動する(図1及び図2参照)。
鍔部63の外周には、駆動体30の溝35(図6(c)及び図10参照)と摺動可能に係合する複数のリブ63bが形成される。上述したように、リブ63bが駆動体30の溝35と係合することで、押棒60と駆動体30との相対回転が不能となる。よって、使用者が駆動体30の摘み部32を摘んで回転させると、押棒60は、駆動体30と同期して回転する。
押棒60の先端には、カートリッジ2の支持部材70のベンド片77(図5参照)に連結される嵌着部67が設けられる。本実施形態では、支持部材70の基端に設けられたベンド片77と、押棒60の先端に設けられた嵌着部67とにより、連結部99が構成される(図1及び図2参照)。
嵌着部67は、円柱形状の円柱部67bと、円錐台形状の頭部67aと、を有する。円柱部67bの径は、棒軸61の径よりも小さく、かつ、頭部67aの底面の径よりも小さい。頭部67aの底面の径は、円柱部67bの径よりも大きいので、頭部67aの底面が段部67cとされている。押棒60の先端と支持部材70の基端との連結及び連結解除の方法については、後述する。
図6に示すように、コイルばね7は押棒60の鍔部63とクッション部材80との間に配置され、押棒60がコイルばね7の内側に挿通されている。図12に示すように、コイルばね7は、螺旋状に成形された弾性部材であり、その自然長は、図1に示す初期状態における押棒60のばね載置面63aとクッション部材80のばね受け凹部83との間の距離よりも長い。
カートリッジホルダー1にカートリッジ2が取り付けられた状態では、押棒60のばね載置面63aとクッション部材80のばね受け凹部83との間の距離は、図1の初期状態で最も長く、押棒60が前方に繰り出されるほど短くなる。つまり、図1及び図2に示すように、カートリッジホルダー1にカートリッジ2が取り付けられた状態では、コイルばね7は圧縮された状態であり、鍔部63とクッション部材80とを互いに離す方向に、押棒60とクッション部材80とを付勢する。つまり、コイルばね7は、押棒60を後方に付勢し、クッション部材80を前方に付勢する付勢部材である。なお、弾性体の自然長(自由長)とは、弾性体に負荷がかけられていない状態での弾性体の長さをいう。
図13に示すように、クッション部材80は、円筒状の第1円筒部81と、第1円筒部81よりも径が小さい円筒状の第2円筒部82と、を有する。第1円筒部81は、コイルばね7の径と略同じ径の円形状の貫通孔81hを有し、貫通孔81hにおける前端部に第2円筒部82の後端部が位置している。第2円筒部82は、押棒60の棒軸61の外径と略同じ径の円形状の貫通孔82hを有している。第2円筒部82の貫通孔82hと第1円筒部81の貫通孔81hとは連通しており、貫通孔81h及び貫通孔82hに押棒60が挿通される。
第2円筒部82は、第1円筒部81の前端に結合されている。第1円筒部81は、後部に駆動体30に嵌入される嵌入部86を備える。第1円筒部81の前部は駆動体30の前端開口39(図10参照)から突出した状態で本体外筒21(図7参照)の内側に収容される。
第2円筒部82の後端の外周縁部と第1円筒部81の前端の内周面との間に、コイルばね7の一端が配置されるばね受け凹部83が形成される。コイルばね7の付勢力がばね受け凹部83に作用することにより、クッション部材80は、押棒60の鍔部63から離間する方向(本体内筒40の前端開口41の方向)に付勢される。
嵌入部86の外周には、嵌入部86の軸方向全長に亘って軸方向に延在する複数のリブ84と、リブ84から径方向外方に突出して形成される突部85と、が設けられる。
リブ84は、駆動体30の溝35(図10参照)と摺動可能に係合し、駆動体30とクッション部材80との相対回転を不能にする。よって、使用者が駆動体30を摘んで回転させると、クッション部材80は、駆動体30と同期して回転する。リブ84は、軸方向に延在する溝35に係合するので、駆動体30に対するクッション部材80の軸方向への移動を拘束しない。
図10に示すように、駆動体30の前端開口39の近傍の溝35の内面には、突部38が形成される。嵌入部86を駆動体30に挿入すると、クッション部材80の突部85が溝35の突部38を乗り越える。
突部85は、嵌入部86が駆動体30に挿入された状態では、駆動体30の突部38に対して駆動体30の前端開口39とは反対側に位置する。したがって、クッション部材80が駆動体30から抜ける方向に移動すると、駆動体30の突部38がクッション部材80の突部85を係止して、駆動体30からクッション部材80が抜けることを防止する。
図8に示すように、本体内筒40は、前端開口41と後端開口48とを有する略円筒状に形成される。カートリッジ外筒10の嵌入部16(図3及び図4参照)は、前端開口41から本体内筒40の内側に挿入される。雌ねじ部材50(図9参照)は、後端開口48から本体内筒40の内側に挿入される。
本体内筒40は、内周に前端開口41から軸方向に形成される雌ねじ43と、外周に凹状に形成されるガイド部45と、後端開口48の近傍の内周に形成される離間ガイド部(第2ガイド部)44と、を有する。本体内筒40は、前端開口41の近傍の外周に、本体外筒21の嵌合凹部23(図7参照)と嵌合する環状の嵌合凸部42を有する。
雌ねじ43は、カートリッジ外筒10の雄ねじ15(図3及び図4参照)に対応して形成される。雌ねじ43と雄ねじ15との螺合により、カートリッジ外筒10が本体内筒40に固定される(図1及び図2参照)。
ガイド部45は、本体内筒40の後端面47から軸方向に延設される。ガイド部45は、本体外筒21のガイド壁部26(図7参照)に対応する位置に形成され、ガイド壁部26と係合する。これにより、本体外筒21と本体内筒40との相対回転が不能となる。
離間ガイド部44は、本体外筒21の近接ガイド部25(図7参照)に対応して一対形成される。離間ガイド部44は、近接ガイド部25と平行に形成される。離間ガイド部44は、近接ガイド部25との間に所定の隙間をあけて、近接ガイド部25よりも本体外筒21の前端開口22側に位置する。この隙間は、雌ねじ部材50の後述する羽根部55(図9参照)が挿入可能な大きさに形成される。
各離間ガイド部44は、軸方向に対して傾斜する傾斜面44aと、軸方向に沿って延在する側面44bと、を有し、径方向内側に突出する凸形状に形成される。
離間ガイド部44の傾斜面44aは、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外され雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力により軸方向に移動するときに、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aに接する。傾斜面44aが軸方向に対して傾斜しているので、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により軸方向前方に移動するとともに、中心から離れるように径方向に移動する。
本体内筒40は、本体内筒40の内周面から突出する突壁部46と、本体内筒40の内周に設けられる段部49と、を有する。突壁部46は、径方向内側に突出するように形成される。突壁部46の周方向の両側には、凹部46aが形成される。段部49は、離間ガイド部44により形成され、傾斜面44aの反対側に位置する。
図6及び図9に示すように、雌ねじ部材50は、押棒60の外周面の周方向の一部を覆うように配置される本体部51と、押棒60が挿通される孔52aを有する挿通部52と、を有する。挿通部52の一部は、本体部51から軸方向に連続して形成される。
図6に示すように、上述のクッション部材80は、本体外筒21の内側において、雌ねじ部材50とコイルばね7との間に配置される。クッション部材80の前端面(第2円筒部82の前端面)89a(図13参照)が雌ねじ部材50の後端面(挿通部52の後端面)50b(図9参照)と接し、クッション部材80のばね受け凹部83がコイルばね7の前端に接する。このため、コイルばね7は、クッション部材80を介して、雌ねじ部材50を軸方向前方に付勢する。コイルばね7の付勢力が、クッション部材80を介して、雌ねじ部材50の後端面50bに作用することにより、雌ねじ部材50は、クッション部材80とともに押棒60の鍔部63から離間する方向(本体内筒40の前端開口41の方向)に付勢される。
図1に示すように、雌ねじ部材50の前端面(本体部51の前端面)50a(図9参照)は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態では、カートリッジ外筒10の後端面(嵌入部16の後端面)19b(図3及び図4参照)に接する。つまり、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられるときに、カートリッジ外筒10によって押圧され、クッション部材80を介してコイルばね7を圧縮させながらクッション部材80及びカートリッジ外筒10とともに軸方向後方へ移動する。
コイルばね7は、軸方向前方、すなわち本体内筒40の前端開口41の方向(カートリッジ外筒10による押圧方向とは反対の方向)に、クッション部材80を介して雌ねじ部材50を付勢する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外され、カートリッジ外筒10による雌ねじ部材50への押圧が解除されたときに、コイルばね7の前方への付勢力によって、クッション部材80とともに前方へ移動する。
図9に示すように、本体部51は、断面が円弧状に形成される基部51aと、基部51aの周方向の両端から互いに平行に延在する一対の延在部51bと、を有する。延在部51bには、開口端面56aと外側面56bが設けられる。
延在部51bの外側面56bは、本体内筒40の離間ガイド部44の側面44bと対向する(図6(b)参照)。これにより、本体内筒40と雌ねじ部材50との相対回転が不能となる。
延在部51bの先端部は、開口端面56aが本体内筒40の凹部46aの底面に対向するように、本体内筒40の凹部46aに挿入される(図6(b)参照)。延在部51bは、基部51aが本体内筒40の内周面に接した状態で開口端面56aと凹部46aの底面との間に所定の隙間が形成される長さを有する(図6(b)参照)。つまり、雌ねじ部材50は、挿通部52に押棒60が挿通されていない状態では、この所定の隙間の範囲で、本体内筒40に対して径方向に移動可能である(図6(b)参照)。
挿通部52の孔52aは、断面が略楕円形状を有し、かつ略楕円形状の長軸が延在部51bの外側面56bに沿うように形成される。したがって、挿通部52に押棒60が挿通された状態でも、雌ねじ部材50は、径方向へ移動可能である。
雌ねじ部材50は、各延在部51bの外周に突出して形成される突部51dと、基部51aの内周に形成される雌ねじ53と、各延在部51bの外周に突出して形成される羽根部55と、を有する。
突部51dは、前端面50aの近傍に形成される。雌ねじ部材50にコイルばね7の付勢力が作用していない状態では、突部51dは、本体内筒40の段部49(図8参照)に載置される。これにより、組み立て作業の際、雌ねじ部材50が本体内筒40の後端開口48側から脱落するのを防止することができ、カートリッジホルダー1の組み立てが容易になる。
雌ねじ53は、押棒60の雄ねじ61aのリードと同一のリードに形成される。基部51aの内周面が押棒60の棒軸61に接することにより、雌ねじ53が雄ねじ61aと螺合する。雌ねじ53が雄ねじ61aと螺合した状態で押棒60と雌ねじ部材50とが相対回転することにより、押棒60が雌ねじ部材50に対して軸方向に進退する。
カートリッジホルダー1では、雌ねじ部材50の本体部51が周方向に途切れた形状(周方向に連続していない形状)に形成されるため、雌ねじ部材が円筒状に形成される場合と異なり、本体部51の周方向の両端部間に開口が形成される。円筒状の雌ねじ部材に雌ねじを形成する場合、金型を回転させながらねじ抜きを行う必要がある。
これに対して、本実施形態では、本体部51の周方向の両端部間に開口が形成されているので、雌ねじ部材50の成形時に、雌ねじ53を形成する金型を本体部51の開口から離型することができる。つまり、本実施形態では、雌ねじ部材50に雌ねじ53を形成する際に、金型を回転させながらねじ抜きを行う必要がない。したがって、雌ねじ部材50をより容易に成形することができる。
本実施形態のカートリッジホルダー1では、雌ねじ部材50の本体部51が周方向に途切れた形状を有し、かつ、挿通部52の孔52aの断面が略楕円形状を有するので、雄ねじ61aを雌ねじ53から離した状態で押棒60を挿通部52に挿通させることができる。つまり、雄ねじ61aと雌ねじ53とを螺合させることなく押棒60を挿通部52に挿通させることができる。そのため、雌ねじ部材50を棒軸61に組み付ける際に、押棒60と雌ねじ部材50とを相対回転させる必要がない。したがって、雄ねじ61aのリードの大きさに関わらず、実施例のように雄ねじ61aのリードが小さい場合も雌ねじ部材50を押棒60の棒軸61に容易に組み付けることができる。
羽根部55は、本体外筒21の近接ガイド部25(図7参照)と本体内筒40の離間ガイド部44(図8参照)との間に挿入される。つまり、羽根部55には、カートリッジホルダー1が組み立てられた状態で、離間ガイド部44の傾斜面44aと対向する前端面55aと、近接ガイド部25の傾斜面25aと対向する後端面55bと、が設けられる。
カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられる際には、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10により押され、クッション部材80を介してコイルばね7を圧縮して収縮させながらクッション部材80とともに後方へ移動する。このとき、羽根部55の後端面55bは、本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに摺動自在に接する。
図7に示すように、近接ガイド部25の傾斜面25aは、カートリッジホルダー1が組み立てられた状態において、押棒60に対して雌ねじ部材50の雌ねじ53側の端部25bが、雌ねじ53とは反対側の端部25cよりも前端開口22側に位置するように傾斜する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられる際には、カートリッジ外筒10により押圧されて軸方向後方に移動するとともに、雌ねじ53を雄ねじ61aに近接させる方向に案内される。このように、近接ガイド部25は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられ雌ねじ部材50がカートリッジ外筒10によって押圧された際に雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合する方向に雌ねじ部材50を案内する。
雌ねじ部材50が雌ねじ53と雄ねじ61aとを螺合させる方向に移動することにより、雌ねじ部材50の基部51aの内周面が押棒60の棒軸61に接し、雌ねじ53が雄ねじ61aと螺合する(図1参照)。つまり、雌ねじ53は、カートリッジ外筒10が本体内筒40に取り付けられる際に雌ねじ部材50がカートリッジ外筒10によって押圧されることにより、棒軸61の雄ねじ61aと螺合する。
図8に示すように、本体内筒40の突壁部46は、雌ねじ53に対向する領域に設けられる。突壁部46は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられ雌ねじ部材50が近接ガイド部25により案内された状態では、雌ねじ53とは反対側において棒軸61に接する(図1参照)。そのため、突壁部46は、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒60の雄ねじ61aとの螺合が解除される方向(以下、「螺合解除方向」とも称する)への押棒60の移動を制限する。すなわち、突壁部46は、押棒60が雌ねじ53から離れる方向へ移動することを規制する。
螺合解除方向への押棒60の移動が突壁部46により制限されるので、棒軸61が雌ねじ部材50の本体部51から離れにくく、雄ねじ61aと雌ねじ53との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒60は本体筒20と駆動体30との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰り出したり、繰り戻したりすることができる。
なお、突壁部46は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態で棒軸61に常に接するように形成される必要はなく、雌ねじ53と雄ねじ61aとが完全に螺合している状態では、突壁部46と棒軸61との間にギャップが形成されていてもよい。このギャップは、棒軸61が螺合解除方向に移動しても雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されない程度の大きさに形成される。
突壁部46は、雌ねじ53に対向する領域に設けられるので、押棒60が回転中心軸に対して傾いても、棒軸61は雌ねじ部材50の本体部51からほとんど離れない。したがって、本体内筒40の突壁部46だけで雄ねじ61aと雌ねじ53との螺合の解除を防ぐことができる。
カートリッジホルダー1は、本体筒20の本体内筒40が螺合解除方向への押棒60の移動を制限する突壁部46を有するので、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒60の雄ねじ61aとを螺合させる際に複数の雌ねじ部材50が必要とされない。コイルばね7は1つの雌ねじ部材50を付勢するので、複数の雌ねじ部材を用いる場合(たとえば、特開2014−161637号公報に記載の技術)のように雌ねじ部材に通常よりも大きい付勢力が作用することはない。そのため、雌ねじ部材50の雌ねじ53のねじ山の頂部が押棒60の雄ねじ61aのねじ山の頂部に当接しても、本体筒20へのカートリッジ外筒10の挿入が困難になることはない。
したがって、カートリッジ外筒10を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。その結果、押棒60は、本体筒20と駆動体30との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰り出したり、繰り戻したりすることができる。
仮に、カートリッジ式化粧料容器が複数の雌ねじ部材を備えていると、1つの雌ねじ部材が他の雌ねじ部材に対してずれ、雌ねじ部材同士が部分的に当接する場合がある。このような場合、当接部分に通常よりも大きな力が作用するので、コイルばねの付勢力で複数の雌ねじ部材を同時に正しい位置に戻すのは困難である。
本実施形態に係るカートリッジホルダー1は、1つの雌ねじ部材50を備えるので、雌ねじ部材50に通常よりも大きな力が作用することはない。したがって、雌ねじ部材50が軸方向に対して傾いても、コイルばね7の付勢力で雌ねじ部材50を正しい位置に戻すことができる。そのため、カートリッジ外筒10を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。
カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外される際には、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により、クッション部材80とともに軸方向前方へ移動する。このとき、羽根部55の前端面55a(図9参照)は、本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44a(図8参照)に摺動自在に接する。
図8に示すように、離間ガイド部44の傾斜面44aは、カートリッジホルダー1が組み立てられた状態において、押棒60に対して雌ねじ部材50の雌ねじ53側の端部44cが、雌ねじ53とは反対側の端部44dよりも前端開口41側に位置するように傾斜する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外される際には、クッション部材80を介してコイルばね7により付勢されて軸方向前方に移動するとともに、雌ねじ53を雄ねじ61aから離間させる方向に案内される。このように、離間ガイド部44は、カートリッジ外筒10による雌ねじ部材50への押圧が解除された際に雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除される方向に雌ねじ部材50を案内する。
雌ねじ53が雄ねじ61aから離間して雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されることにより、押棒60は、押棒60と雌ねじ部材50との相対回転に関わらず、力を受けることにより雌ねじ部材50に対して軸方向に移動可能となる。したがって、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外すことにより、押棒60を初期位置(図6参照)へ容易に移動させることができる。
コイルばね7は、鍔部63を雌ねじ部材50から離間させる方向に、すなわち軸方向後方に押棒60を付勢する。そのため、たとえば、化粧料4を使い切り(図2参照)、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外すと、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除され、押棒60は、コイルばね7の付勢力により軸方向後方に移動する。したがって、押棒60を初期位置(図6参照)へより確実に移動させることができる。
図6〜図13を参照して、カートリッジホルダー1の組み立て手順について説明する。
まず、本体内筒40の後端開口48に雌ねじ部材50の前端面50aを通し、雌ねじ部材50を本体内筒40の内側に挿入する。このとき、本体内筒40の凹部46aの底面と雌ねじ部材50の開口端面56aとが対向するように凹部46aと雌ねじ部材50の延在部51bとを係合させる(図6(b)参照)。
雌ねじ部材50をさらに本体内筒40の内側に挿入すると、雌ねじ部材50の突部51dが本体内筒40の段部49を乗り越える。突部51dが段部49を乗り越えるまで雌ねじ部材50を本体内筒40に挿入することにより、雌ねじ部材50が本体内筒40の後端開口48から脱落するのを防止することができる。
次に、本体外筒21の前端開口22に、雌ねじ部材50が組み付けられた本体内筒40の後端面47を通し、本体内筒40及び雌ねじ部材50を本体外筒21の内側に挿入する。このとき、本体内筒40のガイド部45と、本体外筒21のガイド壁部26との位置を合わせる。本体内筒40をさらに本体外筒21の内側に挿入すると、本体外筒21の嵌合凹部23と本体内筒40の嵌合凸部42とが嵌合し、本体内筒40が本体外筒21に組み付けられる。
本体内筒40を本体外筒21に挿入することにより、雌ねじ部材50の羽根部55は、本体外筒21の近接ガイド部25と本体内筒40の離間ガイド部44との間に配置される。このように、本体筒20が、本体外筒21と、本体外筒21に収容され本体外筒21と同期して回転する本体内筒40と、を有するので、雌ねじ部材50の羽根部55を本体外筒21の近接ガイド部25と本体内筒40の離間ガイド部44との間に容易に配置することができる。
次に、押棒60をコイルばね7の内側に押棒60の天面62側から挿入し、コイルばね7を押棒60のばね載置面63aに載置する。その後、押棒60を駆動体30の内側に挿入する。このとき、鍔部63のリブ63bと駆動体30の溝35とを係合させる(図6(c)参照)。
次に、押棒60の天面62をクッション部材80の後端開口81b、前端開口81aの順に通し、押棒60をクッション部材80に挿入する。クッション部材80に押棒60が挿入された状態で、クッション部材80の後端面89bを駆動体30の前端開口39に通し、クッション部材80の嵌入部86を駆動体30の開口部30aに挿入する。
クッション部材80の突部85が、駆動体30の突部38を乗り越えるまでクッション部材80を駆動体30に挿入すると、突部85と突部38との係止により、クッション部材80が駆動体30から抜けにくくなる。これにより、コイルばね7が押棒60のばね載置面63aとクッション部材80のばね受け凹部83との間に挟まれ、コイルばね7が駆動体30から飛び出すのを防止することができる。
Oリング6を駆動体30のOリング溝33に取り付ける。なお、Oリング6は、押棒60を駆動体30の内側に挿入する前にOリング溝33に取り付けてもよいし、押棒60を駆動体30の内側に挿入した後にOリング溝33に取り付けてもよい。
次に、本体外筒21の後端開口29から押棒60の天面62、クッション部材80及び駆動体30の先端を通し、駆動体30の嵌入部31を本体外筒21の内側に挿入する。駆動体30の嵌合凸部34と本体外筒21の嵌合凹部28とが嵌合することにより、図6に示すように、駆動体30が本体外筒21に組み付けられる。
このとき、カートリッジホルダー1にはカートリッジ2が取り付けられていないので、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により、本体外筒21の近接ガイド部25から離間するとともに、本体内筒40の離間ガイド部44に接する。雌ねじ部材50は、離間ガイド部44により、雌ねじ53が雄ねじ61aから離間する方向に案内され、雌ねじ53と雄ねじ61aとは螺合しない。したがって、押棒60は、押棒60と雌ねじ部材50との相対回転に関わらず、力を受けることにより雌ねじ部材50に対して軸方向に移動する。
押棒60は、コイルばね7により、軸方向後方(繰戻方向)に付勢される。そのため、押棒60は、押棒60の後端面63cが駆動体30の底部37の内面に接した状態で、本体筒20及び駆動体30の内側に収容される。
以上の手順により、カートリッジホルダー1が完成する。
図1、図3及び図6を参照して、カートリッジホルダー1へのカートリッジ2の取り付け手順について説明する。
まず、カートリッジ外筒10の後端面19bをカートリッジホルダー1の本体内筒40の前端開口41に通し、カートリッジ外筒10の嵌入部16を本体内筒40の内側に挿入する。カートリッジ外筒10の雄ねじ15を本体内筒40の雌ねじ43に螺合させながら嵌入部16を本体内筒40の内側に挿入すると、カートリッジ外筒10の後端面19bが雌ねじ部材50の前端面50aを押し、雌ねじ部材50の後端面50bがクッション部材80の前端面89aを押す。
クッション部材80は、コイルばね7を圧縮して収縮させながら軸方向に移動する。その結果、雌ねじ部材50は軸方向に移動する。
雌ねじ部材50の移動により、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aから離間するとともに、羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに接する。近接ガイド部25は、雌ねじ部材50の雌ねじ53が雄ねじ61aに近接する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部材50が後退することで、雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合する。
突壁部46が螺合解除方向への押棒60の移動を制限するので、雌ねじ部材50が本体外筒21の近接ガイド部25により押棒60に近接して押棒60が雌ねじ部材50により押されても、押棒60は移動しない。したがって、雄ねじ61aと雌ねじ53との螺合は、弱まりにくい。
以上により、カートリッジホルダー1へのカートリッジ2の取り付けが完了し、カートリッジ式化粧料容器100が完成する(図1参照)。
主に、図1及び図2を参照して、カートリッジ式化粧料容器100の使用方法について説明する。図1は、カートリッジホルダー1の使用が開始される前の状態であり、押棒60が後退限に位置しているカートリッジ式化粧料容器100の状態を示している。図2は、押棒60が前進限に位置しているカートリッジ式化粧料容器100の状態を示している。
図1に示すように、押棒60が後退限に位置している状態では、押棒60の先端と支持部材70の基端との連結部99が、連結初期部位に配置される。連結初期部位とは、押棒60の先端(本実施形態では嵌着部67)と支持部材70の基端(本実施形態ではベンド片77)との連結が解除可能な部位のことである。
連結部99が連結初期部位(連結解除可能部位)に位置しているとき、ベンド片77の先端が貫通孔17における基端孔17c内に配置され、ベンド片77が開状態となっているので、押棒60の嵌着部67と支持部材70のベンド片77とは連結されていない。図1に示すように、押棒60の鍔部63が駆動体30の底部37に当接し、押棒60の後退が規制されているときの押棒60の位置を、押棒60の後退限と定義する。
使用者が、本体筒20に対して駆動体30を一方に回転(正回転)させると、駆動体30とともに押棒60が雌ねじ部材50に対して一方に回転する。雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合しているため、押棒60が雌ねじ部材50に対して一方に回転すると、押棒60が本体筒20に対して前進する。
押棒60が前進することで、カートリッジ2の支持部材70の当接面76が押棒60の天面62により押され、支持部材70が押棒60とともにカートリッジ外筒10の貫通孔17内で前進し、カートリッジ外筒10に収容された化粧料4が前端開口11aから押し出される。なお、支持部材70のリブ75aが貫通孔17の凹凸部18の溝部に嵌入されているので、支持部材70は、カートリッジ外筒10に対して回転することなく前進する。つまり、押棒60は、支持部材70に対して回転しながら支持部材70を前方に押す。
図2に示すように、繰出機構8により押棒60が前進し、支持部材70が押棒60に押されて、貫通孔17の摺動孔17b内にベンド片77が挿入されると、ベンド片77が摺動孔17bの内周面に接触することによって撓み、閉状態となる。つまり、摺動孔17bの内周面から内側に向かう押圧力がベンド片77の先端側に作用することで、ベンド片77が基端側を支点として弾性変形し、閉状態になる。
これにより、支持部材70の基端に設けられるベンド片77と、押棒60の先端に設けられる嵌着部67とが摺動孔17b内で連結される。複数のベンド片77は、閉状態ではベンド片77の内周面に設けられる突部77bが嵌着部67の外周面に接するまで弾性変形し、嵌着部67を挟持する。嵌着部67は、複数のベンド片77及び当接面76によって形成される凹部77pに嵌着される。
開閉部であるベンド片77が、貫通孔17の内周面に接触することにより弾性変形し、閉状態となって、支持部材70の基端と押棒60の先端とが摺動孔17b内で連結されている状態のことを連結解除不能状態と称す。連結部99は、摺動孔17b内に配置され、ベンド片77が閉状態となって嵌着部67に嵌着することで、連結解除不能状態となる。連結部99が摺動孔17b内に配置されているときには、摺動孔17bの内周面によってベンド片77が拘束されることで、ベンド片77の閉状態が維持される。
連結解除不能状態では、支持部材70は、押棒60の進退に伴ってカートリッジ外筒10の貫通孔17内を前後移動する。したがって、支持部材70の基端と押棒60の先端との連結部99は、摺動孔17bを連結解除不能状態で、押棒60のストロークに伴って進退する。
連結解除不能状態では、使用者が、本体筒20に対して駆動体30を他方に回転(逆回転)させると、駆動体30とともに押棒60が雌ねじ部材50に対して他方に回転する。押棒60が雌ねじ部材50に対して他方に回転すると、押棒60が本体筒20に対して後退する。押棒60が後退することで、ベンド片77の突部77bが押棒60の嵌着部67の段部67cにより引っ張られ、支持部材70がカートリッジ外筒10の貫通孔17内で後退し、カートリッジ外筒10から外側に突出していた化粧料4が貫通孔17内に戻される。
使用を継続し、駆動体30を正回転させて押棒60を前進させると、クッション部材80の後端面89bに押棒60の鍔部63が当接し、押棒60の前方への移動が規制される。図2に示すように、押棒60の前進が規制されているときの押棒60の位置を、押棒60の前進限と定義する。
上述したように、棒軸部175の軸方向の長さLR1は、支持部材70の後退限から前進限までのストロークSP1以上の長さに設定されている。このため、図2に示すように、押棒60が前進限に位置しているときには、押棒60の先端と支持部材70の基端との連結部99は摺動孔17b内に配置されることになる。ベンド片77の先端(自由端)が摺動孔17b内に配置され、摺動孔17bの内周面により拘束されているので、押棒60が前進限に位置しているときには、連結部99は連結解除不能状態である。なお、押棒60が前進限に位置している状態では、支持部材70も前進限に位置している状態となる。押棒60及び支持部材70が前進限に位置すると、化粧料4を繰り出すことができなくなるので、カートリッジ2が使用限界状態に達していることを使用者に認識させることができる。
カートリッジホルダー1から使用済みのカートリッジ2を取り外す手順について説明する。
使用者は、予め本体筒20に対して駆動体30を逆回転させ、押棒60を後退限まで後退させる。なお、押棒60と支持部材70とは連結されているので、押棒60とともに支持部材70も軸方向後方に移動する。
使用者が本体筒20に対して駆動体30を逆回転させることで、押棒60が軸方向後方に移動するので、連結部99は、摺動孔17bから後方に脱出し、連結初期部位(連結解除可能部位)を構成する基端孔17c内に移動する。ベンド片77の先端(自由端)が基端腔部17i内に位置すると、ベンド片77は、摺動孔17bの内周面による拘束から解放され、その弾性力により開状態となる。これにより、支持部材70の基端(本実施形態ではベンド片77)と押棒60の先端(本実施形態では嵌着部67)との連結が解除可能となる。
なお、本実施形態では、押棒60が後退限に位置した段階で、押棒60の嵌着部67の段部67cよりも外側に支持部材70のベンド片77の突部77bが配置されるように、ベンド片77が外側に開いている。このため、押棒60が後退限に位置している状態では、嵌着部67とベンド片77とは、互いに接触することなく、軸方向に相対移動可能な状態となっている。
この状態で、使用者が、カートリッジ外筒10の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除するように、カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対回転させると、カートリッジ外筒10を本体筒20から分離することができる。カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対的に回転させることに伴い、コイルばね7の付勢力により、雌ねじ部材50は、カートリッジ2とともに軸方向前方に移動する。
雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力により軸方向前方に移動すると、雌ねじ部材50の羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aから離間し、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aに接する。離間ガイド部44は、雌ねじ部材50の雌ねじ53が雄ねじ61aから離間する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部材50が前進することで、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除される。
以上により、カートリッジホルダー1から使用済みのカートリッジ2の取り外しが完了する。なお、カートリッジホルダー1から使用途中のカートリッジ2を取り外す手順は、使用済みのカートリッジ2を取り外す手順と同様であるので説明を省略する。
上述では、予め本体筒20に対して駆動体30を逆回転させ、押棒60を後退限まで後退させておいてから、カートリッジ外筒10の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除して、カートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外す例について説明した。しかしながら、上述の方法とは異なる方法として、連結部99が解除不能状態のまま、カートリッジ外筒10の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除して、カートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外してもよい。
図2に示すように、押棒60が前進限に位置してカートリッジ2が使用限界の状態に達しているとき、支持部材70の基端と押棒60の先端との連結部99は連結解除不能状態とされている。使用者が、カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対回転させると、コイルばね7の付勢力により、雌ねじ部材50がカートリッジ2とともに軸方向前方に移動し、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除される。
雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されると、押棒60は、押棒60と雌ねじ部材50との相対回転に関わらず、力を受けることにより雌ねじ部材50に対して軸方向に移動できる状態となる。使用者は、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除された後、カートリッジ外筒10と本体筒20との距離が大きくなるように、カートリッジ外筒10を本体筒20から離隔させる。使用者は、たとえば、本体筒20に対してカートリッジ外筒10を前方に移動させる。このとき、支持部材70は押棒60に連結されているので、カートリッジ外筒10を本体筒20から離隔させるように前方に移動させても、支持部材70は前進限に位置する押棒60により移動が規制されるので、支持部材70は前方に移動しない。さらにカートリッジ外筒10が前方に移動し、段部17dに支持筒72の底部74が当接すると、すなわち支持部材70が後退限に位置すると、連結部99が貫通孔17の基端孔17cに位置する。
連結部99が基端孔17c内に配置されると、ベンド片77に対する貫通孔17の内周面からの拘束が解放され、ベンド片77がその弾性力により開状態となり、ベンド片77と押棒60の嵌着部67との連結が解除可能となる。したがって、使用者は、図2に示す使用限界状態にあるカートリッジ式化粧料容器100に対して、カートリッジ2の雄ねじ15とカートリッジホルダー1の雌ねじ43との螺合を解除し、カートリッジ2をカートリッジホルダー1から引き離す一連の動作を行うことで、使用済みのカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外すことができる。使用途中のカートリッジ2も同様にカートリッジホルダー1から取り外すことができる。
連結部99による押棒60と支持部材70との連結が解除され、カートリッジ2がカートリッジホルダー1から取り外されると、押棒60は、コイルばね7の付勢力により、軸方向後方に移動し、図6に示す初期位置に自動で復帰する。
なお、カートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外す過程で、段部17dに支持筒72の底部74が当接し、段部17dによって支持部材70の後方への移動が規制されるので、支持部材70がカートリッジ外筒10の後端開口11bから脱落することが確実に防止される。
以上の第1の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
(1)本実施形態のカートリッジ2は、押棒60を内蔵するカートリッジホルダー1に取り付けて使用されることで繰出機構8が働き、押棒60の進退に連動して、収容した化粧料4が進退するカートリッジである。カートリッジ外筒10は、先端側の前端開口11a及び基端側の後端開口11bを連通する貫通孔17を有する。支持部材70は、カートリッジ外筒10内に軸方向移動可能に収容される。
支持部材70は、基端が押棒60の先端に連結される棒軸部175と、棒軸部175の先端に設けられ化粧料4を支持する支持筒(支持部)72と、を有する。棒軸部175の外径は、支持筒72の外径より小径であり(DT>DRf>DRr)、棒軸部175の軸方向の長さLR1は、支持部材70の後退限から前進限までのストロークSP1以上の長さに設定される(LR1≧SP1)。
貫通孔17は、カートリッジ外筒10の先端側に設けられ、化粧料4が収容される先端収容孔17aと、カートリッジ外筒10の基端側に先端収容孔17aに連通して設けられ、押棒60の先端と支持部材70の基端との連結部99が連結解除不能状態で摺動する摺動孔17bと、摺動孔17bよりもカートリッジ外筒10の基端側において、摺動孔17bに連通して設けられ、連結部99による押棒60の先端と支持部材70の基端との連結を解除可能とする基端孔17cと、を有する。摺動孔17bの内径は、先端収容孔17aの内径より小径であり(DS<DL1)、基端孔17cの内径は、摺動孔17bの内径より大径である(DL2>DS)。摺動孔17bの内径は、支持筒72の外径より小径である(DS<DT)。
このように、本実施形態では、支持筒72の外径より摺動孔17bの内径が小径とされ、貫通孔17に段部17dが形成され、支持部材70が、基端側の後端開口11bへ脱落することが防止される。使用者が、使用途中又は使用限界まで使用した使用済みのカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外す際、本体筒20に対して駆動体30を逆回転させると、押棒60とともに支持部材70が軸方向後方に移動する。これにより、連結部99を摺動孔17bから脱出させ、基端孔17c内の連結初期部位(連結解除可能部位)に移動させることで、連結部99による連結を解除することができる。
また、使用者が使用途中又は使用限界まで使用した使用済みのカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外す際、本体筒20に対して駆動体30を逆回転させることなく、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外した場合においても、連結部99を基端孔17c内に移動させることで、連結部99による連結を解除することができる。
さらに、カートリッジホルダー1からカートリッジ2が取り外される過程で、支持部材70が基端側の後端開口11bから外側に抜け出てしまうこともない。
つまり、本実施形態によれば、支持部材70を脱落させることなく、使用途中のカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外し、たとえば、別の色の使用途中のカートリッジ2に交換することができる。カートリッジ外筒10から支持部材70が脱落することが防止されるので、使用途中のカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外した後、再び、その使用途中のカートリッジ2をカートリッジホルダー1に取り付けて使用することができる。
さらに、本実施形態によれば、連結解除不能状態において、使用者の誤操作により、不意にカートリッジ外筒10が本体筒20から外れ、支持部材70が押棒60に連結されたまま後方へ引っ張られたとしても、段部17dにより支持部材70がカートリッジ外筒10から抜け出ることが防止される。
(2)支持部材70は、リブ75aを有し、カートリッジ外筒10は、リブ75aと係合して支持部材70との相対回転が不能となる凹凸部18を有する。ここで、リブ75aが設けられていない場合、押棒60の摩擦による回転力が支持部材70に伝達され、カートリッジ外筒10に対して支持部材70及び化粧料4が回転する。化粧料4がカートリッジ外筒10内で捻れながら進退することになるので、化粧料4が折れてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態では、リブ75aと凹凸部18により、化粧料4がカートリッジ外筒10に対して相対回転することが防止されているので、化粧料4の芯折れを防止できる。
(3)連結部99は、支持部材70の基端に設けられ弾性変形により開閉可能な複数のベンド片(開閉部)77と、押棒60の先端に設けられた嵌着部67により構成される。連結部99は、摺動孔17b内に配置されると、ベンド片77が閉状態となって嵌着部67に嵌着することで連結解除不能状態となる。連結部99は、摺動孔17bから後方に脱出し、連結初期部位(連結解除可能部位)を構成する基端孔17c内に配置されると、ベンド片77が開状態となって押棒60と支持部材70との連結が解除可能となる。ベンド片77が、基端孔17cに位置することで、その弾性力により開状態となって連結が解除されるので、大きな力を必要とすることなく、カートリッジ2をカートリッジホルダー1から分離させることができる。
(4)支持部材70は、前側支持部材(先端側支持部材)70Fと、前側支持部材70Fとは異なる材料からなり、前側支持部材70Fに連結される後側支持部材(基端側支持部材)70Rと、を有する。前側支持部材70Fは、化粧料4の外周面を支持する支持筒72を有し、後側支持部材70Rは、化粧料4に埋設される軸体部78を有する。軸体部78は、支持筒72の底部74から支持筒72の内側に突出する円柱部78bと、円柱部78bの先端に設けられ円柱部78bよりも大径の頭部78aと、を有する。支持部材70を前側支持部材70Fと後側支持部材70Rの2部材で構成したので、それぞれの部材を異なる特性を持つ樹脂材料で成形することができる。これにより、カートリッジ式化粧料容器100の特性を活かした高性能な支持部材70を作製することができる。
また、支持部材70が2部材で構成されているので、たとえば、冶具などを用いて、カートリッジ外筒10の前端開口11aから前側支持部材70Fを挿入し、カートリッジ外筒10の後端開口11bから後側支持部材70Rを挿入して前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとを連結することができる。
したがって、カートリッジ2を組み立てる際に、複数のベンド片77をカートリッジ外筒10の前端開口11aから挿入し、摺動孔17bを通過させる必要がない。このため、複数のベンド片77の全てが基端孔17cにおいて、十分な開き角度とされたカートリッジ2とすることができるので、使用者は、複数のベンド片77を備えるカートリッジ2をスムーズに嵌着部67を備えるカートリッジホルダー1に取り付けることができる。
これに対して、一体成形で支持部材70を形成した場合、複数のベンド片77をカートリッジ外筒10の前端開口11aから挿入させる必要がある。この場合、複数のベンド片77のうちのいくつかが、基端孔17cにおいて十分な開き角度で開状態とならない可能性がある。十分でない開き角度のベンド片77に気が付かないまま、カートリッジ2をカートリッジホルダー1に取り付けてしまうと、ベンド片77の内周に嵌着部67を挿入できない。このため、カートリッジホルダー1への取付性の観点から、カートリッジ2の組立作業において、十分でない開き角度のベンド片77を外側に開く作業が発生し、組立作業に手間がかかってしまう。
本実施形態では、複数のベンド片77をカートリッジ外筒10の前端開口11aから挿入し、摺動孔17bを通過させる必要がないので、カートリッジ2の組み立てを容易に行うことができる。さらに、組み立てられたカートリッジ2において、ベンド片77は、十分な開き角度が保たれているので、使用者は、カートリッジ2のカートリッジホルダー1への取付を確実に行うことができる。
(5)支持部材70は、支持筒72の内部に設けられる軸体部78を備える。軸体部78は、支持筒72の底部74から軸方向前方に延在する円柱部78bと、円柱部78bの先端に設けられる頭部78aと、を有する。頭部78aの径は、円柱部78bの径よりも大きいため、化粧料4の繰り戻し時に、化粧料4が支持筒72から抜け出ることを効果的に防止できる。
(6)弾性変形により開閉可能な開閉部であるベンド片77は、支持部材70の基端に設けられる。このため、カートリッジ式化粧料容器100を長期に亘って使用することで、ベンド片77が弾性変形の繰り返しにより劣化した場合であってもカートリッジ2のみを交換すればよい。
(7)雌ねじ部材50の雌ねじ53は、カートリッジ2が本体筒20に取り付けられる際、雌ねじ部材50がカートリッジ2の端部によって押圧され、コイルばね7の付勢力に抗して後退することで雄ねじ61aと螺合する。一方、カートリッジ2が本体筒20から取り外される際、雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力によって前進することにより、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒60の雄ねじ61aとの螺合が解除される。このため、雄ねじ61aと雌ねじ53を螺合させたり、螺合を解除させたりするのに、特別な操作をする必要がなく、容易にカートリッジ2をカートリッジホルダー1に着脱することができる。
(8)本体筒20の突壁部46は、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除される方向への押棒60の移動を制限する制限部としての機能を有している。このため、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒60の雄ねじ61aとを螺合させる際に複数の雌ねじ部材が必要とされない。
コイルばね7は1つの雌ねじ部材50を付勢するので、複数の雌ねじ部材を用いる場合(たとえば、特開2014−161637号公報に記載の技術)のように雌ねじ部材50に通常よりも大きい付勢力が作用することはない。そのため、雌ねじ部材50の雌ねじ53のねじ山の頂部が押棒60の雄ねじ61aのねじ山の頂部に当接しても、本体筒20へのカートリッジ2の挿入が困難になることはない。
したがって、カートリッジ2を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。その結果、押棒60は、本体筒20と駆動体30との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ2からより確実に繰り出すことができる。
また、雌ねじ部材50を1つにすることで、複数の雌ねじ部材を本体筒へ挿入する場合と比較して、カートリッジホルダー1を細径化することができる。
(第1の実施形態の変形例1)
上記実施形態では、支持部材70が2部材で構成される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。単一部材で支持部材70を形成してもよい。この場合、支持部材70をカートリッジ外筒10に組み付ける際、複数のベンド片77をカートリッジ外筒10の前端開口11aから挿入し、摺動孔17bを通過させる。なお、上記実施形態のように、支持部材70を前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとを連結する構成とした場合、カートリッジ2を組み立てる際、摺動孔17bに複数のベンド片77を通過させる必要がないので、カートリッジ2の組み立てを容易に行うことができる。
(第1の実施形態の変形例2)
上記実施形態では、ベンド片77が基端腔部17iに位置したときに、押棒60の嵌着部67の段部67cよりも外側に支持部材70のベンド片77の突部77bが配置されるように、ベンド片77が外側に開く例について説明したが、本発明はこれに限定されない。上記実施形態よりも開き量が小さくてもよい。たとえば、ベンド片77が基端腔部17iに位置したときに、押棒60の嵌着部67の段部67cよりも内側に支持部材70のベンド片77の突部77bが配置されていてもよい。コイルばね7が強い力で押棒60を下方に付勢しているので、ベンド片77の柔軟性が高ければ、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外すことで、支持部材70と押棒60との連結を解除することができる。
(第1の実施形態の変形例3)
上記実施形態では、前側支持部材70Fをポリエチレン(PE)により成形し、後側支持部材70Rをポリアセタールにより成形する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。種々の材料で前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとを成形することができる。また、前側支持部材70Fと後側支持部材70Rとを同じ材料で成形してもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器200について説明する。なお、図中、第1の実施形態と同一もしくは相当部分には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
図14及び図15に示すように、カートリッジ式化粧料容器200は、カートリッジホルダー201と、カートリッジ202と、を備える。
第2の実施形態に係るカートリッジ202について説明する。第1の実施形態では、液状の化粧料をカートリッジ外筒10に流し込んで固化させる例について説明した。これに対して、第2の実施形態では、予め化粧料金型(不図示)を用いて化粧料芯が成形され、成形された固体の化粧料204が支持筒72に圧入されている。
第1の実施形態では、支持部材70が前側支持部材70Fと後側支持部材70Rの2部材で構成されていた(図5参照)。これに対して、第2の実施形態では、図17に示すように、支持部材270は単一部材であり、軸体部78を有していない。
また、第1の実施形態では、支持部材70の後端に複数のベンド片77が周方向に等間隔で設けられていた(図5参照)。これに対して、第2の実施形態では、図17に示すように、支持部材270の後端に単一のベンド片277が設けられている。
第1の実施形態では、貫通孔17の基端孔17cは、複数のベンド片77が配置されたときに複数のベンド片77が開状態となる大きさに形成されていた(図1参照)。これに対して、第2の実施形態では、図14及び図16に示すように、貫通孔217の基端孔217cは、単一のベンド片277が配置されたときに単一のベンド片277が開状態となる大きさに形成されている。
支持部材270は、円筒状の棒軸部275と、棒軸部275の先端(前端)に設けられる支持筒72と、棒軸部275の基端(後端)から連続して延在する円筒部に設けられるベンド片277と、を有する。
棒軸部275は、支持筒72とベンド片277との間の部分のことを指す。棒軸部275は、支持筒72より軸方向に延設されており、その軸方向の長さ、すなわち支持筒72の底部74の外側表面からベンド片277の先端面までの軸方向の長さLR2は、支持部材270の後退限(図14参照)から前進限(図15参照)までのストローク(移動量)SP2以上の長さに設定される。
支持筒72は、棒軸部275と同心の有底円筒状に形成され、底部74が棒軸部275に結合されている。支持筒72の底部74には、棒軸部275の内部に連通する開口部が形成される。
化粧料204は、支持筒72の内周面に固着され、支持筒72によって支持された状態が保たれる。つまり、化粧料204は、支持筒72によって保持される。支持部材270の後端面257bは、押棒260の先端に当接される部分である。後述するように、後端面257bが押棒260によって押され、支持部材270が押棒260とともに前進することで、支持筒72に支持される化粧料204が前端開口11aから繰り出される。
ベンド片277は、支持部材270の後端近傍の側面に略U字状に形成されたスリット277aの内側の部分である。ベンド片277は、後端面257b側が固定端とされ、先端が自由端とされる。ベンド片277は、径方向内方に閉じた閉状態(図15参照)と、径方向外方に開いた開状態(図14参照)との間で弾性変形する弾性部材である。ベンド片277は、弾性変形により開閉可能な開閉部として機能し、押棒260の先端に連結される部分である。
ベンド片277の先端の外周面には径方向外方に突出する突部277bが形成される。ベンド片277は、摺動孔17b内に位置しているときには、突部277bが摺動孔17bの内周面に接触することによって、弾性変形して(撓んで)径方向内方に閉じた閉状態となる。ベンド片277は、基端孔217cに位置しているときには、突部277bが貫通孔217の内周面と非接触とされ、閉状態のとき比べて、径方向外方に開いた開状態となる。なお、基端孔217cにベンド片277が位置しているときに、ベンド片277が開状態となって押棒260と支持部材270との連結が解除可能となればよいため、ベンド片277は貫通孔217の内周面と接触していてもよい。
第1の実施形態では、棒軸部175の基端部外周面に設けられるリブ75aが貫通孔17の凹凸部18の谷部に嵌入されることで、カートリッジ外筒10に対する支持部材70の周方向の移動(回転)が規制される構成であった。これに対して、第2の実施形態では、棒軸部275を構成する円筒状部材には、その基端から支持筒72の底部74に亘って軸方向に延在するリブ275aが設けられ、リブ275aが摺動孔17bの凹凸部18の谷部、すなわち溝部と係合することで、カートリッジ外筒210に対する支持部材270の周方向の移動、すなわち相対回転が不能となる(図15(b)参照)。
第2の実施形態に係るカートリッジホルダー201に内蔵される押棒260ついて説明する。図18に示すように、押棒260の嵌着部267は、円柱形状の円柱部267bと、円柱部267bの前端に設けられる円錐台形状の頭部267aと、円柱部267bの後端に設けられる円環状の鍔部267dと、を有する。円柱部267bの径は、棒軸61の径よりも小さく、かつ、頭部267aの径よりも小さい。頭部267aの底面の径は、円柱部267bの径よりも大きいので、頭部267aの底面が段部267cとされる。
鍔部267dは、円柱部267bの後端において、円柱部267bから径方向外方に突出するように設けられる。押棒260の先端には、ベンド片277が嵌着される凹部267pが形成される。円柱部267bの外周面が、凹部267pの底面に相当する。段部267c及び段部267cに対向する鍔部267dの前面が、凹部267pの一対の側面に相当する。
第1の実施形態では、押棒60が前進すると、押棒60の天面62が支持部材70の当接面76を押し、支持部材70が前進する。これに対して、第2の実施形態では、押棒260が前進すると、押棒260の鍔部267dが支持部材270の後端面257bを押し、支持部材270が前進する。
第1の実施形態では、押棒60が後退すると、押棒60の段部67cがベンド片77の突部77bを引っ張り、支持部材70が後退する。これに対して、第2の実施形態では、押棒260が後退すると、押棒260の段部267cがベンド片277の先端部を引っ張り、支持部材270が後退する。
つまり、第1の実施形態と第2の実施形態とでは、押棒60,260が前進する際に支持部材70,270を押す部分と、押棒60,260が後退する際に支持部材70,270を引っ張る部分の配置関係が前後逆となっている。
主に、図14及び図15を参照して、カートリッジ式化粧料容器200の使用方法について説明する。図14は、カートリッジホルダー201の使用が開始される前の状態であり、押棒260が後退限に位置しているカートリッジ式化粧料容器200の状態を示している。図15は、押棒260が前進限に位置しているカートリッジ式化粧料容器200の状態を示している。
図14に示すように、押棒260が後退限に位置している状態では、押棒260の先端と支持部材270の基端との連結部299が、連結初期部位に配置される。連結初期部位とは、押棒260の先端(本実施形態では嵌着部267)と支持部材70の基端(本実施形態ではベンド片277)との連結が解除可能な部位のことである。
連結部299が連結初期部位(連結解除可能部位)に位置しているとき、ベンド片277の先端(自由端)は貫通孔217における基端孔217c内に配置され、開状態となっているので、押棒260の嵌着部267と支持部材270のベンド片277とは連結されていない。
使用者が、本体筒20に対して駆動体30を一方に回転(正回転)させると、駆動体30とともに押棒260が雌ねじ部材50に対して一方に回転する。雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合しているため、押棒260が雌ねじ部材50に対して一方に回転すると、押棒60が本体筒20に対して前進する。
押棒260が前進することで、カートリッジ202の支持部材270の後端面257bが押棒260の鍔部267dにより押され、支持部材270が押棒260とともにカートリッジ外筒210の貫通孔217内で前進し、カートリッジ外筒210に収容された化粧料204が前端開口11aから押し出される。
図15に示すように、繰出機構8により押棒260が前進し、支持部材270が押棒260に押されて、貫通孔217の摺動孔17b内にベンド片277が挿入されると、ベンド片277が摺動孔17bの内周面に接触することによって撓み、閉状態となる。つまり、摺動孔17bの内周面から内側に向かう押圧力がベンド片277の先端側に作用することで、ベンド片277が基端側を支点として弾性変形し、閉状態になる。
これにより、支持部材270の基端に設けられるベンド片277と、押棒260の先端に設けられる嵌着部267とが摺動孔17b内で連結される。ベンド片277は、閉状態では先端部の頂面が段部267cと対向するように内側に弾性変形する。ベンド片277は、嵌着部267の円柱部267b、頭部267a及び鍔部267dによって形成される凹部267pに嵌着される。
連結部299は、摺動孔17b内に配置され、ベンド片277が閉状態となって嵌着部267に嵌着することで、連結解除不能状態となる。
連結解除不能状態では、支持部材270は、押棒260の進退に伴ってカートリッジ外筒210の貫通孔217内を前後移動する。したがって、支持部材270の基端と押棒260の先端との連結部299は、摺動孔17bを連結解除不能状態で、押棒260のストロークに伴って進退する。
上述したように、棒軸部275の軸方向の長さLR2は、支持部材270の後退限から前進限までのストロークSP2以上の長さに設定されている。このため、図15に示すように、押棒260が前進限に位置しているときには、押棒260の先端と支持部材270の基端との連結部299は摺動孔17b内に配置されることになる。ベンド片277の先端(自由端)が摺動孔17b内に配置され、摺動孔17bの内周面により拘束されているので、押棒260が前進限に位置しているときには、連結部299は連結解除不能状態である。なお、押棒260が前進限に位置している状態では、支持部材270も前進限に位置している状態となる。押棒260及び支持部材270が前進限に位置すると、化粧料204を繰り出すことができなくなるので、カートリッジ202が使用限界状態に達していることを使用者に認識させることができる。
カートリッジホルダー201から使用済みのカートリッジ202を取り外す手順は、第1の実施形態と同様である。たとえば、使用者は、予め本体筒20に対して駆動体30を逆回転させ、図14に示すように、押棒260を後退限まで後退させる。なお、押棒260と支持部材270とは連結されているので、押棒260とともに支持部材270も軸方向後方に移動する。
使用者が本体筒20に対して駆動体30を逆回転させることで、押棒260が軸方向後方に移動するので、連結部299は、摺動孔17bから後方に脱出し、連結初期部位(連結解除可能部位)を構成する基端孔217c内に移動する。ベンド片277の先端(自由端)が基端孔217c内に位置すると、ベンド片277は、摺動孔17bの内周面による拘束から解放され、その弾性力により開状態となって、支持部材270の基端(本実施形態ではベンド片277)と押棒260の先端(本実施形態では嵌着部267)との連結が解除可能となる。
なお、本実施形態では、押棒260が後退限に位置した段階で、押棒260の嵌着部267の段部267cよりも外側に支持部材270のベンド片277の突部277bが配置されるように、ベンド片277が外側に開いている。このため、押棒260が後退限に位置している状態では、嵌着部267とベンド片277とは、互いに接触することなく、軸方向に相対移動可能な状態となっている。
この状態で、使用者が、カートリッジ外筒210の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除するように、カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対回転させると、カートリッジ202をカートリッジホルダー1から取り外すことができる。
なお、カートリッジ202をカートリッジホルダー201から取り外す過程で、段部17dに支持筒72の底部74が当接し、段部17dによって支持部材270の後方への移動が規制されるので、支持部材270がカートリッジ外筒210の後端開口11bから脱落することが確実に防止される。
このような第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した(1)〜(3),(6)〜(8)と同様の作用効果を奏する。
(第2の実施形態の変形例1)
上記第2の実施形態では、開閉部であるベンド片277が支持部材270の基端側に設けられ、嵌着部267が押棒260の先端側に設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。開閉部であるベンド片277を押棒260の先端側に設け、嵌着部267を支持部材270の基端側に設けてもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器300について説明する。なお、図中、第2の実施形態と同一もしくは相当部分には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
図19及び図20に示すように、カートリッジ式化粧料容器300は、カートリッジホルダー301と、カートリッジ302と、を備える。
第3の実施形態に係るカートリッジ302について説明する。第2の実施形態では、貫通孔217の基端孔217cがテーパ孔217fを有していた(図16参照)。これに対して、第3の実施形態では、図21に示すように、貫通孔317の基端孔317cは、テーパ孔217fを有していない。
図21に示すように、化粧料204が収容される先端収容孔317aには、その内周面から径方向内方に突出する突部317mが設けられる。突部317mは、周方向に等間隔で複数(本実施形態では4つ)設けられる。突部317mは、支持筒372に設けられた環状凹部372b(図22参照)と嵌合されることで、支持部材370が軸方向に係止される。
第2の実施形態では、弾性変形により開閉可能な開閉部であるベンド片277が、支持部材270の基端に設けられていた(図17参照)。これに対して、第3の実施形態では、図23に示すように、弾性変形により開閉可能な開閉部としての連結部材390が、押棒360の先端に設けられる。
第2の実施形態では、ベンド片277が嵌着される嵌着部267が、押棒260の先端に設けられていた(図18参照)。これに対して、第3の実施形態では、図22に示すように、連結部材390が嵌着される嵌着部377が、支持部材370の基端に設けられる。
図22に示すように、嵌着部377は、有底円筒状の棒軸部375の底面375cから軸方向外方に突出した円柱形状の円柱部377bと、円柱部377bの先端に設けられる半球形状の頭部377aと、を有する。円柱部377bの径は、棒軸部375の径よりも小さく、かつ、頭部377aの径よりも小さい。
棒軸部375は、支持筒372と嵌着部377との間の部分のことを指す。棒軸部375の軸方向の長さ、すなわち支持筒372の底部74の外側表面から棒軸部375の底面375cまでの軸方向の長さLR3は、支持部材370の後退限(図19参照)から前進限(図20参照)までのストローク(移動量)SP3以上の長さに設定される。
第3の実施形態では、円柱部377bの外周面と、頭部377aの底面377cと、棒軸部375の底面375cとにより、後述する連結部材390の嵌合凸部93(図23参照)が嵌着される凹部377pを形成している。
支持筒372の外周面には、内側に窪む環状凹部372bが設けられる。環状凹部372bには、上述したカートリッジ外筒310の貫通孔317に設けられた突部317mが嵌合する。
第3の実施形態に係るカートリッジホルダー301に内蔵される押棒360について説明する。図23に示すように、押棒360は、その先端に連結部材390が取り付けられる。棒軸61の先端には、連結部材390が取り付けられる取付部367が形成される。
図23(a)及び図23(c)に示すように、取付部367は、棒軸61と同心の3つの円板部で構成される。取付部367を構成する3つの円板部は、押棒360の先端(前端)に位置する中径円板部367aと、大径円板部367cとで、小径円板部367bを挟むように配置される。中径円板部367aの径は、小径円板部367bの径よりも大きく、大径円板部367cの径は、中径円板部367aの径よりも大きい。
取付部367には、小径円板部367bの外周側面と、中径円板部367aの後端面と、大径円板部367cの前端面とにより、環状凹部367dが形成されている。
図23(b)及び図23(d)に示すように、連結部材390は、先端面92側が底部とされ、基端面97側が開口部98とされた有底円筒状部材である。連結部材390の底部には、円形開口部が形成される。この円形開口部の内周面は、連結部材390の円筒部の前端から内側に突出する嵌合凸部93の先端面を構成する。連結部材390の基端側の内周面には、径方向外方に窪む環状凹部94が形成される。
連結部材390は、先端面92から基端面97に亘って、軸方向に延在するスリット95が形成される。スリット95が形成されることで、連結部材390は、断面C字状を呈する。
連結部材390は、弾性変形により開閉可能な弾性部材により形成される。連結部材390は、スリット95を構成する一対の端面間の寸法が所定距離未満である状態が閉状態とされる。図23(b)に示すように、連結部材390は、外力が作用していないときには、閉状態である。連結部材390は、スリット95を構成する一対の端面同士が所定距離以上となるように弾性変形することで開状態となる。
本実施形態では、連結部材390が嵌着部377に嵌着されているときに、連結部材390と嵌着部377とが互いに離れるような引き抜き力が作用すると、連結部材390が弾性変形して開状態となる。連結部材390が開状態となっているときには、閉状態のときに比べてスリット95を構成する一対の端面同士の距離が大きくなるので、連結部材390と嵌着部377とを分離することができる。つまり、連結部材390が開状態とされることで、支持部材370の基端と押棒360の先端との連結が解除可能となる。
また、連結部材390と嵌着部377とが分離されているときに、連結部材390の先端面92の円形開口部から嵌着部377を挿入するように押し込み力を作用させると、連結部材390が弾性変形して開状態となる。したがって、連結部材390の先端面92の円形開口部に嵌着部377を押し込むことで、連結部材390に嵌着部377を取り付けることができる。
連結部材390の環状凹部94に、取付部367の先端の中径円板部367aが嵌合し、連結部材390の環状凹部94と基端面97との間の部分が、取付部367の環状凹部367dに嵌合する。これにより、取付部367に連結部材390が取り付けられる。
なお、連結部材390は、基端側を開くように弾性変形させることで、容易に取付部367に取り付けることができる。
主に、図19及び図20を参照して、カートリッジ式化粧料容器300の使用方法について説明する。図19は、カートリッジホルダー301の使用が開始される前の状態であり、押棒360が後退限に位置しているカートリッジ式化粧料容器300の状態を示している。図20は、押棒360が前進限に位置しているカートリッジ式化粧料容器300の状態を示している。
第3の実施形態では、カートリッジ302をカートリッジホルダー301に取り付けることで、押棒360の先端に設けられた連結部材390に嵌着部377が挿入される。これにより、連結部材390の嵌合凸部93が、嵌着部377の円柱部377b、頭部377a及び棒軸部375によって形成される凹部377pに嵌着され、支持部材370の基端と押棒360の先端とが連結される。支持部材370と押棒360とが連結された状態では、連結部材390は閉状態である。なお、連結部材390は、嵌着部377が連結部材390の先端面92の円形開口部に挿入される際、弾性変形して開状態となる。
図19に示すように、押棒360が後退限に位置している状態では、押棒360の先端と支持部材370の基端との連結部399が、連結初期部位に配置される。連結初期部位とは、押棒360の先端(本実施形態では連結部材390)と支持部材370の基端(本実施形態では嵌着部377)との連結が解除可能な部位のことである。
連結部399が連結初期部位(連結解除可能部位)に位置しているとき、連結部材390は貫通孔317における基端孔317c内に配置されている。使用者が、この状態で、カートリッジ302の雄ねじ15とカートリッジホルダー301の雌ねじ43との螺合を解除すると、嵌着部377が連結部材390から引き抜かれ、連結部材390と嵌着部377の連結が解除される。連結部材390は、嵌着部377が引き抜かれる際、弾性変形して開状態となる。
図19に示すように、連結部399が連結初期部位に位置している状態において、使用者が、本体筒20に対して駆動体30を一方に回転(正回転)させると、駆動体30とともに押棒360が雌ねじ部材50に対して一方に回転する。雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合しているため、押棒360が雌ねじ部材50に対して一方に回転すると、押棒360が本体筒20に対して前進する。
押棒360が前進することで、カートリッジ302の支持部材370における棒軸部375の底面375cが連結部材390の先端面92により押され、支持部材370が押棒360とともにカートリッジ外筒310の貫通孔317内で前進し、カートリッジ外筒310に収容された化粧料204が前端開口11aから押し出される。
図20に示すように、繰出機構8により押棒360が前進し、支持部材370が押棒360に押されて、貫通孔317の摺動孔17b内に連結部材390が挿入されると、連結部材390は摺動孔17bの内周面によって開状態となることが阻止されるように拘束される。
具体的には、連結部399が摺動孔17b内に配置されているときには、取付部367から連結部材390に押し込み力が作用したり、嵌着部377から連結部材390に引き抜き力が作用したりすると、連結部材390が外側に開くように弾性変形する。連結部材390が外側に開くように弾性変形する際、摺動孔17bの内周面から内側に向かう押圧力が連結部材390の外周面に作用する。摺動孔17bの内周面によって連結部材390に対して拘束力が作用するので、連結部材390のスリット95を構成する一対の端面間の寸法が所定距離未満となるように、連結部材390の弾性変形量が抑制され、閉状態が維持される。
これにより、支持部材370の基端に設けられる嵌着部377と、押棒360の先端に設けられる連結部材390とにより構成される連結部399が、摺動孔17b内において連結解除不能状態で摺動することになる。
本実施形態では、連結部399は、押棒360の先端に設けられ弾性変形により開閉可能な連結部材(開閉部)390と、支持部材370の基端に設けられた嵌着部377により構成される。連結部399が摺動孔17b内に配置されているときには、摺動孔17bの内周面によって連結部材390が拘束されることで、連結部材390の閉状態が維持される。
連結解除不能状態では、支持部材370は、押棒360の進退に伴ってカートリッジ外筒310の貫通孔317内を前後移動する。したがって、支持部材370の基端と押棒360の先端との連結部399は、摺動孔17bを連結解除不能状態で、押棒360のストロークに伴って進退する。
上述したように、棒軸部375の軸方向の長さLR3は、支持部材370の後退限から前進限までのストロークSP3以上の長さに設定されている。このため、図20に示すように、押棒360が前進限に位置しているときには、押棒360の先端と支持部材370の基端との連結部399は摺動孔17b内に配置されることになる。連結部材390が摺動孔17b内に配置され、摺動孔17bの内周面により拘束されているので、押棒360が前進限に位置しているときには、連結部399は連結解除不能状態である。なお、押棒360が前進限に位置している状態では、支持部材370も前進限に位置している状態となる。押棒360及び支持部材370が前進限に位置すると、化粧料204を繰り出すことができなくなるので、カートリッジ302が使用限界状態に達していることを使用者に認識させることができる。
カートリッジホルダー301から使用済みのカートリッジ302を取り外す手順について説明する。
図20に示すように、押棒360が前進限に位置してカートリッジ302が使用限界の状態に達しているとき、支持部材370の基端と押棒360の先端との連結部399は連結解除不能状態とされている。使用者が、カートリッジ外筒10の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除するように、カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対回転させると、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒360の雄ねじ61aとの螺合が解除される。
雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されると、押棒360は、コイルばね7の付勢力により、軸方向後方に移動し、図19に示すように、後退限に位置する。なお、押棒360と支持部材370とは連結されているので、押棒360とともに支持部材370も軸方向後方に移動する。支持部材370は、段部17dによって後方への移動が規制されるので、段部17dに支持筒372の底部74が当接したとき、押棒360及び支持部材370が後退限に位置することになる。
押棒360がコイルばね7の付勢力により軸方向後方に移動するので、連結部399は、摺動孔17bから後方に脱出し、連結初期部位(連結解除可能部位)を構成する基端孔317c内に移動する。このとき、連結部材390は、貫通孔317の内周面と接触しておらず、外側から拘束されていない状態であるので、カートリッジ外筒310とともに支持部材370を前方に引き抜けば、スリット95が開くように弾性変形し、連結部材390が開状態となるので、支持部材370の嵌着部377を連結部材390から取り外すことができる。
このため、使用者は、カートリッジ外筒310と本体筒20とを相対回転させ、カートリッジ外筒310の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除させ、カートリッジ302とカートリッジホルダー301とをさらに離間させることにより、カートリッジ302をカートリッジホルダー301から取り外すことができる。なお、カートリッジホルダー301から使用途中のカートリッジ302を取り外す手順は、使用済みのカートリッジ302を取り外す手順と同様であるので説明を省略する。
このような第3の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した(1),(2),(7),(8)と同様の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
(9)第3の実施形態では、カートリッジ302をカートリッジホルダー301に取り付けた時点で、基端孔317c内において、連結部399により押棒360と支持部材370とが連結される。押棒360を支持部材370に連結する際、押棒360の先端に設けられた連結部材390が、支持部材370の嵌着部377に押し付けられることで、連結部材390が開状態となり、連結部材390と嵌着部377とが連結される。
しかしながら、第3の実施形態の化粧料204は、成形芯のため硬質であり、第1の実施形態の軟質の化粧料4と異なり、先端収容孔317aの内周面に化粧料204が密着していない。このため、カートリッジ302をカートリッジホルダー301に取り付け、押棒360と支持部材370とを連結させようとしたときに、連結部材390が嵌着部377に押し付けられることで、支持部材370がカートリッジ外筒310に対して軸方向前方へ移動してしまい、押棒360と支持部材370とを連結させることができないおそれがある。
そこで、第3の実施形態では、支持筒372に環状凹部372bを設け、貫通孔317に突部317mを設け、支持部材370が後退限に位置しているときに、環状凹部372bと突部317mとが嵌合するようにした。これにより、押棒360と支持部材370とを連結させるためにカートリッジ302をカートリッジホルダー301に取り付ける過程で、支持部材370がカートリッジ外筒310に対して軸方向前方へ移動することが防止されるので、連結部材390と嵌着部377との連結を確実に行うことができる。
(10)また、連結部材390の開閉は、嵌着部377の挿入によって無理なく行われるため、カートリッジ式化粧料容器300を長期に亘って使用しても連結部材390が破損することがなく、連結部材390を交換する必要がない。
(第3の実施形態の変形例1)
上記第3の実施形態では、連結部材390が押棒360の先端に着脱自在に設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。連結部材390を押棒360の先端に溶着したり、一体成形したりして、着脱不能に設けてもよい。
以下のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上記実施形態では、弾性変形により開閉可能な開閉部としてのベンド片77,277や連結部材390を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1の実施形態において、複数のベンド片77に代えて、複数の棒状部材を設けてもよい。棒状部材は、弾性変形により開閉するものではなく、基端側がピンなどで回動可能に取り付けられ、ピンを支点に開閉する。棒状部材の先端部には、ベンド片77と同様、突部77bが設けられる。このように、開閉部には種々の構成を採用することができる。なお、上述したように、弾性変形可能な開閉部(77,277,390)により、支持部材70,270,370の基端と押棒60,260,360の先端とを連結する構成を採用することで、連結部の構成を簡素化できるので、より好適である。
(変形例2)
繰出機構8の構成、並びに、開閉部(ベンド片77,277,連結部材390)及び嵌着部67,267,377の構成は、上述したものに限定されず、種々の構成を採用できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。