JP2018139578A - 梅酒飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、適度な酸味が感じられ、梅果実に由来する好ましい香味を備えた梅酒飲料を提供することである。【解決手段】本発明によって、飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlであり、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸含有量/クエン酸含有量)が、下記の関係:0.95≦Y≦−1.61X+10.1を満たす、容器詰め梅酒飲料が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、梅酒飲料に関する。特に本発明は、適度な酸味が感じられ、梅果実に由来する好ましい香味を備えた梅酒飲料に関する。
梅酒の香味を向上させる技術に関しては、例えば、従来の製法で熟成させた梅酒に、青梅の梅果汁等を添加することによって、フレッシュ感のある香味を付与することが提案されている(特許文献1)。また、特許文献2は、梅の濃縮エキスや梅の香気成分を添加することによって香気成分を補うことが記載されている。
さらに、非特許文献1には、梅酒には梅の実や種に由来する多くの成分が含まれていること、ベンズアルデヒドは梅酒らしい香りに関連する香気成分であることが記載されている(非特許文献1)。特許文献3には、梅酒ではないアルコール飲料にベンズアルデヒド、ベンジルアルコール及びフルフラールなどの特定の成分を含有することによって、熟成することなく梅酒特有の香味を備えた梅酒様アルコール飲料を得られることが開示されている。
特開2004−337039号公報 特開昭61−35778号公報 特開2013−017420号公報
蟻川トモ子、大島さゆり、高垣仁志:「梅酒の香気成分と貯蔵による変化」、日本家政学会誌、Vol.48、No.4、295−301頁(1997年)
梅酒独自のべったり、もったりした甘さをすっきり飲みやすい香味に改善するために糖を減らすと厚みがなくなってしまうため、梅酒の酸味を強くして厚みやキレを出そうとすると、味わいの中盤に酸味の独特のひっかかりを感じて飲みにくくなってしまう。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、梅のフレッシュな香味を有しつつ、ボディ感や厚みなどの呈味が強化された飲みやすい梅酒飲料およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、梅酒飲料に含まれる酸について種々検討し、飲料中のリンゴ酸をクエン酸より多く配合することによって飲み応えのある梅酒飲料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。特に本発明は、酸度が一定の領域においてリンゴ酸/クエン酸の重量比を大きくすることによって、すっきりとして飲みやすく、かつ後味の厚みが付与された飲み応えのある梅酒飲料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlであり、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸含有量/クエン酸含有量)が、下記の関係:
0.95≦Y≦−1.61X+10.1
を満たす、容器詰め梅酒飲料。
(2) リンゴ酸の濃度が1500〜10500mg/Lである、(1)に記載の飲料。
(3) クエン酸の濃度が400〜4500mg/Lである、(1)または(2)に記載の飲料。
(4) アルコール含有量が7〜14v/v%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
(5) べンズアルデヒドを2mg/L以上含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の飲料。
(6) 梅酒飲料のブリックス値が10〜20である、(1)〜(5)のいずれかに記載の飲料。
(7) 飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlであり、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸含有量/クエン酸含有量)が、下記の関係:
0.95≦Y≦−1.61X+10.1
を満たすように梅酒飲料を調整することを含む、容器詰め梅酒飲料の呈味向上方法。
本発明によれば、すっきりとして飲みやすく、かつ後味に厚みが付与された飲み応えのある梅酒飲料を得ることができる。
図1は、実験2の各サンプルについて、酸度およびリンゴ酸/クエン酸比をプロットしたグラフである(●は官能評価の評点が3点以上のサンプル、▲は3点未満のサンプル)。
クエン酸およびリンゴ酸
本発明に係る梅酒飲料は、クエン酸およびリンゴ酸を含有する。特に本発明に係る梅酒飲料においては、飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlであり、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸/クエン酸)が、下記の関係:
0.95≦Y≦−1.61X+10.1
を満たす。すなわち、本発明においては、特定の範囲内でクエン酸に対して同等かそれ以上のリンゴ酸を梅酒飲料に配合することによって、すっきりとして飲みやすいことはもちろん、後味の厚みがあり飲み応えのある梅酒飲料を得ることができる。
本発明に係る梅酒飲料は、好ましい態様において、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(リンゴ酸/クエン酸)は1.0〜10.0であり、より好ましくは2.0〜8.0であり、さらに好ましくは3.0〜7.0である。このようにクエン酸に対して比較的多くのリンゴ酸を配合することによって、梅酒飲料の呈味を特に大きく向上させることができる。
本発明の梅酒飲料においては、例えば、リンゴ酸の濃度を1500mg〜10500mg/L、クエン酸の濃度を400mg〜12900mg/Lとすることができる。好ましい態様において、クエン酸の濃度は400mg〜10500mgであり、より好ましくは600mg〜9400mg、さらに好ましくは800mg〜3800mgである。また、好ましい態様において、リンゴ酸の濃度は1600mg〜9400mgであり、より好ましくは2200mg〜7200mgである。またリンゴ酸の濃度を1620mg〜10500mg/Lとしたり、クエン酸の濃度を500mg〜2840mg/Lとすることができる。好ましい態様において、リンゴ酸の濃度は2820mg〜9380mg/Lがより好ましく、4390mg〜7170mg/Lがさらに好ましい。クエン酸の濃度は710mg〜1520mg/Lがより好ましく、780mg〜1440mg/Lがさらに好ましい。
本発明において、クエン酸濃度やリンゴ酸濃度、リンゴ酸/クエン酸の重量比は、原料の配合を調整することによって変化させることができ、また、クエン酸やリンゴ酸を飲料に添加して調整することもできる。本発明においてリンゴ酸は、L体、D体またはDL体のいずれも使用可能であるが、好ましくはL体またはDL体であり、さらに好ましくはDL体である。また、本発明においてクエン酸を添加する場合、例えば、無水クエン酸を好適に使用することができる。
なお、飲料に含まれるクエン酸とリンゴ酸は、公知の方法によって定量することができる。具体的には、液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量することができる。
酸度(総酸)
本発明の飲料の酸度(X)は、クエン酸換算で0.39〜1.4g/100mlである。このような範囲であると、適度な酸味が感じられ、飲み応えもあり、美味しい梅酒飲料とすることができる。本発明に係る梅酒飲料の酸度は、0.5〜1.3g/100mlが好ましく、0.49〜1.2g/100mlがより好ましく、0.48〜1.0g/100mlがさらに好ましい。また梅酒飲料の酸度は、0.39〜1.28g/100mlが好ましく、0.49〜1.13g/100mlがより好ましく、0.56〜0.83g/100mlがさらに好ましい。このような範囲であると、適度な酸味によって特に飲みやすい飲料とすることができる。
飲料の酸度(g/100ml)は、一般的な滴定法によってpH=8.2となるまで滴定し、その滴定量から算出することができる。具体的には、飲料の酸度(クエン酸換算)は、電位差自動滴定装置(例えば、京都電子工業製AT−500N)などを用いて中和滴定法によって測定することができる。例えば、飲料サンプル20mlに蒸留水を加えて総量50mlとした後、撹拌しながら水酸化ナトリウム溶液(0.1N、容量分析用試薬)をpHが8.2になるまでビュレットから滴下する。次いで、下式に基づいて、クエン酸換算の酸度を算出すればよい。
「飲料全体の酸度(w/w%)」=滴定量(ml)×F×A×(100/サンプル量(g))
・F:1.00(0.1N水酸化ナトリウム溶液のファクター)
・A:0.0064(水酸化ナトリウム溶液1mlに相当するクエン酸のグラム数)
梅酒飲料
本発明は梅酒飲料に関するが、本発明における梅酒飲料とは、少なくとも梅酒を含むものだけでなく、梅エキスや梅果汁などを配合した飲料や香料などによって梅酒のような香味を実現した飲料を含む。好ましい態様において本発明の梅酒飲料は梅酒を含有するが、本発明の飲料に用いる梅酒は、アルコールに梅を浸漬して熟成させたものをいう。梅酒としては、香料や人工酸味料を添加した合成梅酒であっても、香料や人工酸味料を添加していない本格梅酒であってもよく、また、蒸留梅酒を用いることもできる。
本発明に係る梅酒の原料として用いられる梅は、特に制限されず、未成熟の青梅でも、完熟したものでもよい。梅の代表的な品種としては、例えば、南高、白加賀、鶯宿などが挙げられる。また、原料の梅果実は、粉砕したり、冷凍したりすることも可能である。
梅酒を浸漬する酒類は特に制限されないが、好ましい態様において、蒸留酒(ホワイトリカー、焼酎、ブランデーなど)である。
また、本発明に係る梅酒飲料は、好ましい態様において、梅から得られる梅果汁や梅エキスを配合してもよい。梅エキスは公知の方法によって製造すればよく、特に製造方法は限定されないが、例えば、また梅果汁を加熱濃縮処理することによって得ることができる。また典型的には、梅の果実を冷凍して冷凍梅果実を得て、そして当該冷凍梅果実を糖液に浸漬して糖抽出エキスを得ることを含む方法によって梅エキスを製造することができる。
好ましい態様において、本発明は、ベンズアルデヒドを2mg/L以上含有する梅酒飲料に関する。ベンズアルデヒドの濃度は特に制限されないが、例えば、4〜70mg/Lが好ましく、5〜65mg/Lがより好ましく、10〜30mg/Lとしてもよい。ベンズアルデヒドは、ガスクロマトグラフィーなどの公知の方法によって定量することができる。
本発明に係る梅酒飲料は、アルコールを含有するアルコール飲料である。アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料のことであるが、ここでいうアルコールとは、特に断らない限り、エチルアルコール(エタノール)を意味する。
本発明に係るアルコール飲料は、アルコールを含有していれば特に種類は問わないが、アルコール原料としては、蒸留酒を用いても醸造酒を用いてもよい。具体的には、例えば、スピリッツ類(ラム、ウオッカ、ジン等)、リキュール類、ウイスキー、ブランデー又は焼酎などが挙げられ、さらにはビールなどの醸造酒類を用いてもよい。これらのアルコール原料については、それぞれ単独又は併用して用いることができる。好ましい態様において、本発明に係る飲料には、果実酒由来の蒸留酒であるブランデーを配合すると優れた香味の飲料とすることができるため好適である。
飲料のアルコール含有量は特に制限されないが、22v/v%以下が好ましく、18v/v%以下がより好ましく、14v/v%以下がさらに好ましい。アルコール濃度の下限は特に制限されないが、1v/v%以上が好ましく、3v/v%以上がより好ましく、5v/v%以上がさらに好ましく、7v/v%以上がよりさらに好ましい。特に好ましい態様において、本発明の飲料のアルコール濃度は、7〜14v/v%である。
本発明に係る飲料は、炭酸ガスを含有する炭酸飲料としてもよい。炭酸ガスの圧力は、炭酸ガスに由来する爽快感が感じられる程度の圧力であることが好ましく、液温が20℃において0.5〜4.5kgf/cmが好ましく、1.0〜4.0kgf/cmがより好ましく、1.5〜3.5kgf/cmがさらに好ましい。本発明に係る飲料は、梅浸漬酒、梅エキス、梅果汁を配合せず、アルコール、香料、酸味料、甘味料などで梅酒様の香味を実現させた飲料であってもよい。
(その他の成分)
本発明の梅酒飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の飲料と同様に、各種添加剤などを配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、酸味料、香料、ビタミン類、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、増粘剤、品質安定剤などを挙げることができる。
本発明の飲料は、ぶどう糖をはじめとする糖類を含有してもよい。本発明の飲料は、天然甘味料や人工甘味料を1つまたは複数使用することができる。好ましい態様において、本発明の飲料は、果糖ぶどう糖液糖を含む。
(容器詰飲料)
本発明の梅酒飲料は、容器詰めの形態で提供されるが、容器の形態は特に制限されず、例えば、瓶、缶、樽、またはペットボトルなどの樹脂製容器が挙げられる。本発明に係る梅酒飲料は、密封容器に充填して、殺菌等の工程を経て容器入り飲料とすることができる。
例えば、飲料を容器に充填した後に熱水シャワー殺菌等の加熱殺菌を行う方法や、飲料を殺菌してから容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。
本発明の容器詰飲料は、好ましい態様においてアルコールを含めたブリックス値(Brix)が10〜25であり、より好ましくは11〜20であり、さらに好ましくは12〜18である。アルコールを含めた飲料のブリックス値は、上限値を31としてもよく、下限値を7としてもよい。糖度計や屈折計などを用いて得られるブリックス値によって可溶性固形分濃度を評価することができ、ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
本発明の飲料は、可能性固形分濃度の低い低溶質飲料であってもよく、「糖類ゼロ」、「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」等と表示される、いわゆるカロリーオフタイプ飲料であってもよい。なお、「糖類ゼロ」、「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」等の表示は、健康増進法の規定による栄養表示基準に定義されている。例えば、「糖類ゼロ」との表示は、飲料に含まれる糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)の量が、飲料100gあたり0.5g未満のものに対して付与されるものである。また、「糖質ゼロ」との表示は、飲料に含まれる糖質の濃度が0.5g/100mL未満である場合に表示される。糖質は、3大栄養素の炭水化物の一つであり、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称である。
本発明の飲料は、長期保存や微生物汚染の観点から、好ましい態様においてそのpHを酸性側に調整すると好ましい。具体的には、飲料のpHを1.5〜5.0とすることが好ましく、pH1.8〜4.5がより好ましく、pH2.1〜4.0がさらに好ましく、pH2.4〜3.5が最も好ましい。
(製造方法)
一つの態様において、本発明は飲料の製造方法と理解することもできる。本発明の飲料はリンゴ酸およびクエン酸を含有するが、本発明に係る飲料の製造方法は、酸度を一定の範囲にしつつリンゴ酸/クエン酸の重量比を所定の範囲に調整する工程を含むものである。具体的には、飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlとしつつ、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸含有量/クエン酸含有量)が、下記の関係:
0.95≦Y≦−1.61X+10.1
を満たすように飲料を調整する。容器詰飲料を製造する場合は、調製した飲料を容器に充填する工程を少なくとも備える。
本発明の飲料は、従来公知の方法を用いて製造することができる。当業者であれば、配合方法、必要に応じ殺菌方法、容器充填方法の条件を、適宜設計することができる。
一つの態様において本発明は、酸度を一定の範囲に保ちつつリンゴ酸/クエン酸の重量比を1〜8に調整することによる、梅酒飲料の呈味向上方法と理解することもできる。
以下、具体的な実験例を示しつつ、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実験例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、濃度などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:梅酒飲料の製造と評価(酸の種類)
(1)梅酒飲料の製造
梅酒飲料に、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、リン酸を添加し、酸の種類や組み合わせによる香味への影響を評価した。具体的には、下表に基づいて、アルコール濃度が約10v/v%の梅酒飲料を製造した。
具体的には、梅酒(アルコール濃度10%)200mlへ、各種酸および果糖ぶどう糖液糖100gを添加し、ニュートラルスピリッツと純水を用いてアルコール度数が10%になるよう調整して梅酒飲料1000mlを製造した。すべてのサンプルについて、pHは約2.8、酸度は約0.56g/100ml、ブリックス値は約13.8、ベンズアルデヒド含有量は13.88mg/Lであった。
(2)梅酒飲料の分析
各有機酸は、HPLCを用いて、下記の条件で分析した。なお、ピーク面積は、標準物質の検出時間をもとに垂直分割して算出した。
(分析装置) Agilent 1200 infinity
(使用カラム) Bio-Rad アミネックス HPX-87H カラム
(カラム温度) 40℃
(サンプル投入量) 5μL
(流量) 0.600ml/min
(検出器) 可変波長検出器(VWD)214nm
飲料中のベンズアルデヒドについては、ガスクロマトグラフィーを用いて、下記の条件で定量した。
(前処理) EXtrelut NT 1(商標、メルク社)を用いてジエチルエーテルで抽出
(分析装置) Agilent6890 Series GC
(使用カラム) HP-FFAP 50 m×0.032 mm
(カラム温度) 50℃(1分間保持)→5℃/minで昇温→220℃(5分間保持)
(キャリアガス) 窒素
(サンプル投入量) 2μl
(検出器) 水素炎イオン化型検出器(FID)280℃
また、梅酒飲料の酸度(クエン酸換算)については、電位差自動滴定装置(京都電子工業製AT−500N)を用いて中和滴定法によって測定した。すなわち、飲料サンプル20mlに蒸留水を加えて総量50mlとした後、撹拌しながら水酸化ナトリウム溶液(0.1N、容量分析用試薬)をpHが8.2になるまでビュレットから滴下する。次いで、下式に基づいて、クエン酸換算の酸度を算出する。
「飲料全体の酸度(w/w%)」=滴定量(ml)×F×A×(100/サンプル量(g))
・F:1.00(0.1N水酸化ナトリウム溶液のファクター)
・A:0.0064(水酸化ナトリウム溶液1mlに相当するクエン酸のグラム数)
(3)梅酒飲料の評価
得られた梅酒飲料について、専門パネリスト5名によって官能評価を行った。添加した各酸と梅酒との相性について、『梅酒らしさ、飲料としての美味しさ』の観点で評価し(非常に感じる=5点、よく感じる=4点、感じる=3点、わずかに感じる=2点、感じない=1点)、評価点の平均に応じて、以下の5段階の評価 を設けた。
平均点 1以上2未満:「−」
平均点 2以上3未満:「±」
平均点 3以上4未満:「+」
平均点 4以上5:「++」
評価した結果を表に示す。サンプル3,4,5では梅酒らしさに欠け、美味しさの評価も低かった一方、リンゴ酸とクエン酸を両方含むサンプル1,2において非常に梅酒らしさや飲料としての美味しさが引き立っており、特に、リンゴ酸がクエン酸より多く含むサンプル2では非常によい評価が得られた。
実験2:梅酒飲料の製造と評価(クエン酸とリンゴ酸の重量比)
実験1において、クエン酸とリンゴ酸の両方が存在すると好ましいこと、さらには、リンゴ酸がクエン酸と同程度以上含まれていると梅酒飲料の香味が優れたものになることが明らかになった。本実験では、梅酒飲料の香味に関して、クエン酸に対するリンゴ酸の重量比(リンゴ酸/クエン酸)の影響を検討した。
具体的には、主に実験1と同様にして、アルコール濃度が約10v/v%の容器詰梅酒飲料を製造した。酸の種類についてはクエン酸とリンゴ酸を使用し、下表のように各サンプルの酸度及びクエン酸・リンゴ酸の量を変化させて複数のサンプルを製造した。なお、表2−1は酸度が0.39g/100ml以下、表2−2は酸度0.5g/100ml程度、表2−3は酸度0.8〜1.7g/100mlのデータをそれぞれまとめた。この実験においては、糖酸比がほぼ一定となるように果糖ぶどう糖液糖を配合した。ここでは下記の式によって糖酸比を算出した。
・糖酸比=(ブリックス値(%)−アルコール度数(v/v%)/3−酸度)÷酸度
次いで、得られた飲料について、専門パネリスト5名による官能評価を行った。『すっきりさがあるか』『飲みごたえがあるか』の観点で5段階評価し、評価点の平均を算出した(5点満点:「非常に感じる 」=5点、「よく感じる」=4点、「感じる」=3点、「わずかに感じる」=2点、「感じない」=1点)。
また、『飲料としての美味しさ』という総合評価の点でも下記の基準で評価を行った。
◎:非常においしい
○:美味しい
△:美味しさに欠ける
×:美味しくない
表2−1(酸度:0.29g/100mlおよび0.39g/100ml)に示したように、酸度0.39g/100mlにおいてはリンゴ酸/クエン酸の重量比が1.08(サンプル2−4)、4.46(サンプル2−5)において、梅酒らしいすっきり感や飲みごたえが感じられた。一方、酸度が0.29g/100mlのサンプル2−1においては、好ましい味わいが得られなかった。
表2−2に酸度が0.5g/100ml程度である場合の結果を示す。サンプル2−7においては、香味が淡泊であるいう評価となったが、その他のサンプルについては複雑味が付与されており、良好な香味であった。
表2−3(酸度:0.8〜1.7g/100ml)の結果から、酸度が1.4g/100ml以上となるとすっぱさや苦味が目立つ傾向が明らかとなった。また、酸度が1.27g/100mlであっても、リンゴ酸/クエン酸の重量比が18.2であるサンプル2−15については、すっぱさや苦味が目立った。
実験3:梅酒飲料の製造と評価(酸度)
本実験では、リンゴ酸/クエン酸比を一定とした際の、梅酒飲料の香味に対する酸度(総酸)の影響を検討した。
具体的には、実験1と同様にして、アルコール濃度が約10v/v%の容器詰梅酒飲料を製造した。ただし、本実験においては、酸としてクエン酸およびリンゴ酸を表3に示す濃度に調整し、糖酸比がほぼ一定となるように果糖ぶどう糖液糖を配合した。ここでは下記の式にて算出したものを糖酸比とする。
・糖酸比=(ブリックス値(%)−アルコール度数(v/v%)/3−酸度)÷酸度
得られた梅酒飲料の香味を、実験2と同様にして評価した結果を表に示す。実験3においても実験2で導いた良好な香味を呈する領域内で3点以上、領域外で3点未満という評価となった。サンプル3−8や3−9においては酸度が強すぎて飲みにくく、サンプル3−1では酸が少なすぎて淡泊で物足りないという評価となった。
実験4:梅酒飲料の製造と評価(甘味料)
本実験では、果糖ぶどう糖液糖に代えて高甘味度甘味料を配合した以外は実験1と同様にして容器詰め梅酒飲料を製造した。梅酒(アルコール濃度10%)200mlへ、下表の成分を配合し、ニュートラルスピリッツと純水を用いてアルコール度数が10%になるよう調整して梅酒飲料1000mlを製造した(pH:約2.8、酸度:約0.82g/100ml、ベンズアルデヒド含有量:約13.88mg/L、ブリックス値:7.2%)。
次いで、得られた容器詰め梅酒飲料の香味を、実験2と同様にして、官能試験によって評価した。結果を下表に示すが、甘味料を含有する飲料においても、本発明によれば、適度な酸味が感じられ、梅果実に由来する好ましい香味を備えた梅酒飲料が得られた。実験2のサンプル2−12(甘味料として果糖ぶどう糖液糖を配合)と比較しても、複雑味が感じられ美味しい飲料となった。
飲料の酸度(g/100ml)は、一般的な滴定法によってpH=8.2となるまで滴定し、その滴定量から算出することができる。具体的には、飲料の酸度(クエン酸換算)は、電位差自動滴定装置(例えば、京都電子工業製AT−500N)などを用いて中和滴定法によって測定することができる。例えば、飲料サンプル20mlに蒸留水を加えて総量50mlとした後、撹拌しながら水酸化ナトリウム溶液(0.1N、容量分析用試薬)をpHが8.2になるまでビュレットから滴下する。次いで、下式に基づいて、クエン酸換算の酸度を算出すればよい。
「飲料全体の酸度(w/w%)」=滴定量(ml)×F×A×(100/サンプル量(g))
・F:1.00(0.1N水酸化ナトリウム溶液のファクター)
・A:0.0064(水酸化ナトリウム溶液1mlに相当するクエン酸のグラム数)
梅酒飲料
本発明は梅酒飲料に関するが、本発明における梅酒飲料とは、少なくとも梅酒を含むものだけでなく、梅エキスや梅果汁などを配合した飲料や香料などによって梅酒のような香味を実現した飲料を含む。好ましい態様において本発明の梅酒飲料は梅酒を含有するが、本発明の飲料に用いる梅酒は、アルコールに梅を浸漬して熟成させたものをいう。梅酒としては、香料や人工酸味料を添加した梅酒であっても、香料や人工酸味料を添加していない本格梅酒であってもよく、また、蒸留梅酒を用いることもできる。

Claims (7)

  1. 飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlであり、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸含有量/クエン酸含有量)が、下記の関係:
    0.95≦Y≦−1.61X+10.1
    を満たす、容器詰め梅酒飲料。
  2. リンゴ酸の濃度が1500〜10500mg/Lである、請求項1に記載の飲料。
  3. クエン酸の濃度が400〜4500mg/Lである、請求項1または2に記載の飲料。
  4. アルコール含有量が7〜14v/v%である、請求項1〜3のいずれかに記載の飲料。
  5. べンズアルデヒドを2mg/L以上含む、請求項1〜4のいずれかに記載の飲料。
  6. 梅酒飲料のブリックス値が10〜20である、請求項1〜5のいずれかに記載の飲料。
  7. 飲料100mlあたりの酸度(X)が0.39〜1.4g/100mlであり、リンゴ酸含有量とクエン酸含有量の重量比(Y=リンゴ酸含有量/クエン酸含有量)が、下記の関係:
    0.95≦Y≦−1.61X+10.1
    を満たすように梅酒飲料を調整することを含む、容器詰め梅酒飲料の呈味向上方法。
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