耐環境応力亀裂性の向上は、1種以上のエンジニアリング樹脂を使用して達成される。高濃度の(複数種の)エンジニアリング樹脂を使用する場合(例えば約75重量パーセント以上のエンジニアリング樹脂)、良好な力学的特性を有する組成物も得られる。組成物は、主要なエンジニアリング樹脂として、カーボネートポリマーを主材としている。耐環境応力亀裂性の向上は、ポリエステル(例えばポリエステルエンジニアリング樹脂)、ケイ素含有ゴム(シリコーン基を含むゴム等)、相溶化剤、またはオレフィン系エラストマー等の1種以上のさらなる成分の使用に基づく。
カーボネートポリマー
カーボネートポリマーは、2種以上のポリマー(例えば、各々が異なるメルトフローレートを有する2種以上のポリカーボネート)の組合せを含んでもよい。カーボネートポリマーは、1種以上の分岐ポリマー、1種以上の直鎖ポリマー、またはその両方を含んでもよい。
本発明において使用されるカーボネートポリマーの例としては、米国特許第3,036,036号;同第3,036,037号;同第3,036,038号及び同第3,036,039号において記載されているトリチルジオールカーボネート等の芳香族カーボネートポリマー;米国特許第2,999,835号;同第3,028,365号及び同第3,334,154号において記載されているような、芳香族置換誘導体及び脂肪族置換誘導体を含めた、ビス(芳香族ヒドロキシフェニル(arhydroxyphenyl))‐アルキリデン(ビスフェノール−A型ジオールとも呼ばれる)のポリカーボネート;ならびに米国特許第3,169,121号において記載されているような、他の芳香族ジオールから誘導されるカーボネートポリマーが挙げられる。カーボネートポリマーは、ホモポリマーよりもカーボネートコポリマーまたはインターポリマーが所望される場合は、(1)2種以上の異なる二価フェノール、または(2)二価フェノールとグリコール、もしくはヒドロキシ末端ポリエステルもしくは酸末端ポリエステル、もしくは二塩基酸から誘導してもよい。1種以上のカーボネートポリマーは、1種以上の上記カーボネートポリマーを含むかまたは1種以上の上記カーボネートポリマーからなるブレンドを含んでもよい。本発明において使用されてもよいカーボネートポリマーのさらなる例としては、米国特許第3,169,121号;同第4,105,633号;同第4,156,069号;同第4,225,556号;同第4,260,731号;同第4,287,787号;同第4,330,662号;同第4,355,150号;同第4,360,656号;同第4,374,973号;及び同第4,388,455号において記載されているエステル/カーボネートコポリマー等のエステル/カーボネートコポリマーが挙げられる。好ましいカーボネートポリマーとしては、ビスフェノール−Aのコポリカーボネートを含めた、ビスフェノール−A及び誘導体のポリカーボネートが挙げられる。さらなる例示としては、カーボネートポリマーの例はEP0496258B1において記載されており、当該特許は参照により本明細書に援用される。カーボネートポリマーは、米国特許第5,904,673号において記載されるようなカーボネートポリマーを含んでもよく、当該特許は参照により本明細書に援用される。例えば、そのような特に好ましいカーボネートポリマーとしては、分岐ポリカーボネートと直鎖ポリカーボネートのブレンドが挙げられる。カーボネートポリマーの調製方法は周知されており、例えばいくつかの好適な方法が前述の特許において開示されている。当該特許は参照によりその全体が援用される。
本発明において使用される好ましい分岐鎖カーボネートポリマーは、任意の好適なプロセスによって調製してもよい。例えば、三価及び/または四価フェノールの存在下で二価フェノールをホスゲンと反応させて生成させてもよい。米国特許第3,544,514号はプロセスの詳細を開示しており、当該特許は参照により本明細書に援用される。ブロー成形可能な樹脂とその望ましい特性は、米国特許第4,652,602号及び同第4,474,999号において教示されており、当該特許は参照により本明細書に援用される。米国特許第6,613,869号;同第5,597,887号;及び同第5,198,527号も参照のこと。当該特許はいずれも参照により援用される。例えば、米国特許第6,613,869号は、分岐ポリカーボネート調製の可能なアプローチを記載しており、その調製に従って、3官能性分岐剤(例えば1,1,1‐トリス(4‐ヒドロキシフェニル)エタン;3,3‐ビス(3‐メチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐2‐オキソ‐2,3‐ジヒドロインドール;またはその両方)と共に溶融エステル交換法が使用されている。
カーボネートポリマーは、組成物の複数のポリマーの総重量に基づき、好ましくは約40重量パーセント以上、より好ましくは約45重量パーセント以上、最も好ましくは約50重量パーセント以上の量で存在する。カーボネートポリマーは、組成物の総重量に基づき、好ましくは約98重量パーセント以下、より好ましくは約96重量パーセント以下、さらにより好ましくは約95重量パーセント以下、最も好ましくは約90重量パーセント以上の量で存在する。
カーボネートポリマーは、ISO1133に従って300℃/1.2kgで測定した場合に、好ましくは約0.5g/10分以上、より好ましくは約1.0g/10分以上、さらにより好ましくは約2g/10分以上、最も好ましくは約5g/10分以上のメルトフローレートを有する。カーボネートポリマーは、好ましくは約150g/10分以下、より好ましくは約80g/10分以下、さらにより好ましくは約55g/10分以下、最も好ましくは約35g/10分以下のメルトフローレートを有する。
カーボネートポリマーは、ポリマーが脆性でないよう十分大きい分子量を有することが好ましい。カーボネートポリマーは、ポリマーが容易に加工され得るよう(例えば押出し及び/または射出成形され得るよう)十分小さい分子量を有することが好ましい。カーボネートポリマーは、好ましくは約3,000以上、より好ましくは約6,000以上、さらにより好ましくは約10,000以上、最も好ましくは約15,000以上の重量平均分子量(MW)を示す。カーボネートポリマーは、好ましくは約150,000以下、より好ましくは約80,000以下、さらにより好ましくは約50,000以下、最も好ましくは約43,000以下の重量平均分子量(MW)を示す。本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」は液体クロマトグラフィー法に従って決定される。液体クロマトグラフィー法では、試料を10mLのクロロホルムと8時間以上混合することにより、0.02グラムの試料を調製する。次いでこの混合物を0.2μシリンジフィルターにより濾過し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析する。分子量既知の基準物質を対照として、結果を分析する。試料は、紫外光検出器(例えばApplied Biosystemsから入手可能なModel757等のクロマトグラフィー吸光度検出器)を連結した2つの混床カラム(例えばVarian,Inc.から入手可能)を使用して特性評価する。カラム温度は約35℃で維持する。試料の流速は、約1ml/分である。テトラヒドロフラン溶離液を使用し、試料サイズをそれぞれ約15μlで与える。分子量の測定単位は、通常、ダルトンである。
本明細書において使用するカーボネートポリマーの好ましい特性及び特徴としては、通常、約1800MPa以上(より好ましくは約2200MPa以上)の、ASTM D790−07による曲げ弾性率(接線);約3000MPa以下(より好ましくは約2700MPa以下)の曲げ弾性率;約105℃以上(より好ましくは約125℃以上、最も好ましくは約130℃以上)の、ASTM D648−07による荷重たわみ温度(DTUL)(1.81MPa);約80%以上(より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約100%以上)の、ASTM D638−03(ISO527−1)による引張破壊伸び;約300%以下(例えば約200%以下)の引張破壊伸び;約20kJ/m2以上(より好ましくは約45kJ/m2以上、最も好ましくは約75kJ/m2以上)の、ISO180/A(23℃)によるノッチ付アイゾッド衝撃強さ;または約180kJ/m2以下(例えば約130kJ/m2以下)のノッチ付アイゾッド衝撃強さのうちの1つ以上、または任意の組合せが挙げられるであろう。
市販のカーボネートポリマーの例としては、CALIBRE(登録商標)という名称でStyron LLC及びその系列会社から入手可能なカーボネートポリマーが挙げられ、例えば200シリーズまたは300シリーズ(例えば等級300−10、301−10、または201−10)等である。
相溶化剤(例えばエチレンとアクリル酸エチルのコポリマー)に対するカーボネートポリマー(例えばビスフェノール−Aのカーボネート)の重量比は、好ましくは約10以上、より好ましくは約15以上、さらにより好ましくは約20以上、最も好ましくは約30以上である。相溶化剤(例えばエチレンとアクリル酸エチルのコポリマー)に対するカーボネートポリマー(例えばビスフェノール−Aのカーボネート)の重量比は、好ましくは約350以下、より好ましくは約250以下、さらにより好ましくは約150以下、最も好ましくは約120以下である。組成物に1種以上のポリエステルを使用する場合、相溶化剤の重量に対する、カーボネートポリマーとポリエステルの総重量の比は、好ましくは約10以上、より好ましくは約15以上、最も好ましくは約30以上である。このような組成物は、好ましくは約350以下、より好ましくは約250以下、最も好ましくは約120以下の、相溶化剤の重量に対するカーボネートポリマーとポリエステルの総重量の比を有する。
オレフィン系エラストマー(例えばプロピレン−エチレンコポリマー)に対するカーボネートポリマー(例えばビスフェノール−Aのカーボネート)の重量比は、好ましくは約4以上、より好ましくは約7以上、さらにより好ましくは約10以上、最も好ましくは約15以上である。相溶化剤(例えばエチレンとアクリル酸エチルのコポリマー)に対するカーボネートポリマー(例えばビスフェノール−Aのカーボネート)の重量比は、好ましくは約250以下、より好ましくは約150以下、さらにより好ましくは約100以下、最も好ましくは約70以下である。組成物に1種以上のポリエステルを使用する場合、相溶化剤の重量に対する、カーボネートポリマーとポリエステルの総重量の比は、好ましくは約5以上、より好ましくは約8以上、最も好ましくは約16以上である。このような組成物は、好ましくは約250以下、より好ましくは約150以下、最も好ましくは約90以下の、相溶化剤の重量に対するカーボネートポリマーとポリエステルの総重量の比を有する。
カーボネートポリマーに対するポリエステルの重量比は、約0以上、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、または約0.5以上であってもよい。カーボネートポリマーに対するポリエステルの重量比は、好ましくは約3以下、より好ましくは約2以下、さらにより好ましくは約1.5以下、最も好ましくは約1.0以下である。
相溶化剤
組成物は、組成物中の異なる2種のポリマー間の相溶性を向上させるのに好適な、1種以上の相溶化剤を含む。例えば、相溶化剤は、カーボネートポリマーとケイ素含有ゴムとの間の相溶性を向上させること、カーボネートポリマーとオレフィン系エラストマーとの間の相溶性を向上させること、またはその両方によって機能を果たしてもよい。好ましい相溶化剤は、カーボネートポリマーとオレフィン系エラストマーとの間の相溶性を向上させる。相溶化剤は、相溶化剤が(例えばオレフィン系エラストマーと比較して)カーボネートポリマーと比較的良好な相溶性を有するよう、十分な量の官能性モノマーまたは他の官能基(例えばグラフト化した官能基)を含むことが好ましい。好ましい官能性モノマー及び好ましい官能基は、1個以上の酸素原子、1個以上の窒素原子、またはその両方を含む。
相溶化剤は、アクリル酸エステルモノマーと1種以上のα‐オレフィンとを含むかまたは本質的にアクリル酸エステルモノマーと1種以上のα‐オレフィンとからなるコポリマー、アクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとを含むかまたは本質的にアクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとからなるコポリマー、オキサゾリン官能性オレフィン、1種以上のアルキルアクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとを含むかまたは本質的に1種以上のアルキルアクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとからなるコポリマー、メタクリル酸グリシジルとα‐オレフィンとを含むかまたは本質的にメタクリル酸グリシジルとα‐オレフィンとからなるコポリマーまたはターポリマー、無水マレイン酸と1種以上のα‐オレフィンとを含むコポリマー、及び1種以上のα‐オレフィンと官能性グラフトとを含むか、本質的に1種以上のα‐オレフィンと官能性グラフトとからなるか、または完全に1種以上のα‐オレフィンと官能性グラフトとからなる主鎖を有するグラフトポリマーを含んでもよく、上記の官能性グラフトは、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、アクリル酸、オキサゾリン、またはメタクリル酸グリシジルである。
相溶化剤は、1種以上のオレフィンと、1種以上の官能性モノマーとを含むコポリマーを含んでもよい。相溶化剤に有用な官能性モノマーの例としては、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸アルキル)、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸グリシジル(例えばメタクリル酸グリシジル)、無水マレイン酸、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。好ましいアクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸ブチルが挙げられる。1種以上のオレフィンは、1種以上のα‐オレフィンを含むか、本質的に1種以上のα‐オレフィンからなるか、または完全に1種以上のα‐オレフィンからなることが好ましい。α‐オレフィンは、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜8個の炭素原子、最も好ましくは2〜6個の炭素原子を含む。例えば、1種以上のα‐オレフィンは、エチレン、プロピレン、1‐ブテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。エチレン及びプロピレンは、特に好ましいα‐オレフィンである。相溶化剤の1種以上のオレフィン(例えば1種以上のα‐オレフィン)の濃度は、相溶化剤の総重量に基づき、約10重量パーセント以上、約20重量パーセント以上、約25重量パーセント以上、約40重量パーセント以上、約50重量パーセント以上、約60重量パーセント以上、約70重量パーセント以上、約75重量パーセント以上、または約78重量パーセント以上であってもよい。相溶化剤の1種以上のオレフィン(例えば1種以上のα‐オレフィン)の濃度は、相溶化剤の総重量に基づき、約95重量パーセント以下、約93重量パーセント以下、約90重量パーセント以下、または約85重量パーセント以下であってもよい。特に好ましい相溶化剤は、約10〜90重量パーセントの濃度の1種以上のアクリル酸アルキルと、10〜90重量パーセントの1種以上のα‐オレフィンとを含む。アクリル酸アルキルとα‐オレフィンの総重量は、相溶化剤の総重量に基づき、約50重量パーセント以上、約80重量パーセント以上、約95重量パーセント以上、約98パーセント以上、またはさらには約100%であってもよい。例えば、相溶化剤は、70重量パーセント以上のα‐オレフィン(例えばエチレン)とアクリル酸アルキル(例えばアクリル酸エチル)とを含むか、本質的に70重量パーセント以上のα‐オレフィン(例えばエチレン)とアクリル酸アルキル(例えばアクリル酸エチル)とからなるか、または完全に70重量パーセント以上のα‐オレフィン(例えばエチレン)とアクリル酸アルキル(例えばアクリル酸エチル)とからなってもよい。
相溶化剤が存在しない場合、組成物は、オレフィン系エラストマーが低濃度であっても、押出しするとオレンジ皮のような外観を示してもよい。相溶化剤は、押出しによってオレンジ皮のような外観を示すことなく、組成物中のオレフィン系エラストマーの量が約0.5重量パーセント以上、約1.0重量パーセント以上、約1.5重量パーセント以上、約2.0重量パーセント以上、または約2.5重量パーセント以上であってもよいよう、十分な濃度で存在することが好ましい。相溶化剤の濃度は、相溶化剤の大きなドメイン(例えば5μm以上)への相分離が防がれるよう、十分低いことが好ましい。相溶化剤は、ポリカーボネートブレンド組成物のポリマーの総重量に基づき、且つ/またはポリカーボネートブレンド組成物の総重量に基づき、約0.1重量パーセント以上、好ましくは約0.25重量パーセント以上、より好ましくは約0.50重量パーセント以上、さらにより好ましくは約0.75重量パーセント以上、最も好ましくは約1重量パーセント以上の濃度で存在してもよい。相溶化剤は、ポリカーボネートブレンド組成物のポリマーの総重量に基づき、且つ/またはポリカーボネートブレンド組成物の総重量に基づき、約20重量パーセント以下、好ましくは約15重量パーセント以下、より好ましくは約10重量パーセント以下、さらにより好ましくは約8重量パーセント以下、最も好ましくは約5重量パーセント以上の濃度で存在してもよい。例えば、相溶化剤は、0.1〜10重量パーセント、1.0〜5.0重量パーセント、または2〜4重量パーセントの濃度で存在してもよい。
相溶化剤は、好ましくは約50℃以上、より好ましくは約60℃以上、最も好ましくは約70℃以上の融点を有する。相溶化剤は、カーボネートポリマーの融点未満の融点を有することが好ましい。相溶化剤の融点は、好ましくは約200℃以下、より好ましくは約150℃以下、さらにより好ましくは約130℃以下、最も好ましくは約110℃以下である。相溶化剤の融点は、示差走査熱量測定を使用して測定してもよい。
相溶化剤は、約0.1以上、約0.5以上、約2以上、または約5以上のメルトフローレートを有してもよい。相溶化剤は、約1000以下、約100以下、約40以下、または約30以下のメルトフローレートを有してもよい。メルトフローレートは、ASTM D1238に従って測定してもよい。メルトフローレートを測定する条件は、相溶化剤の組成に依存することが理解されるであろう。例えば、50重量%以上のエチレンを含む相溶化剤では、メルトフローレートは190℃/2.16kgで測定されるであろう。50重量%以上のプロピレンを含む相溶化剤では、メルトフローレートは230℃/2.16kgで測定されるであろう。
組成物は、グラフトコポリマーである相溶化剤を実質的に含まないか、または完全に含まないことが好ましい。使用する場合、任意の相溶化グラフトコポリマーの量は、相溶化グラフトコポリマーとカーボネートポリマーの総重量に基づき、好ましくは約3重量パーセント以下、より好ましくは約2重量パーセント以下、さらにより好ましくは約1重量パーセント以下である。
オレフィン系エラストマー
オレフィン系エラストマーは、驚くべきことに1つ以上のポリカーボネートポリマーを含む組成物に使用すると改善された耐化学薬品性(例えば、MCT類に対する抵抗性)をもたらす。オレフィン系エラストマーは、好ましくは室温で可撓性材料である。前記材料は、概して、周囲条件で低い結晶化度を有する。好ましくは、オレフィン系エラストマーは、例えば、組成物から一部を生成する工程で組成物を溶融状態から冷却する際に内部応力が減少または最小化するよう十分に低い結晶化度を有する。オレフィン系エラストマーは完全に非晶質または周囲条件で若干の結晶化度を有してもよい。好ましくは、オレフィン系エラストマーは、ニートオレフィン系エラストマーが流動性ペレットへの形成が可能なように十分な結晶化度を有する。当該技術の任意の公知な方法でオレフィン系エラストマーの望ましい結晶化度を達成してもよい。例えば、オレフィン系エラストマーは2つまたはそれ以上のα-オレフィンを含む、あるいは、これらから本質的または全面的になるホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ランダムコポリマー)でもよい。好ましいコポリマーは、1つの第一級モノマー及び1つ以上の第二級モノマーを含み、第一級モノマー濃度は望ましい結晶化度を達成するように選択する。前記コポリマー(例えば、ランダムコポリマー)は当該技術の任意の公知な方法で重合してもよい。第一級モノマー量は重合法により異なる可能性があることは理解できるであろう(例えば、いくつかの重合法は他法よりモノマーの不規則分布が増加する)。ランダムコポリマーの好ましい調製方法として、シングルサイト触媒で特徴付けられる触媒及び/またはメタロセン触媒で特徴付けられる触媒を使用する方法が挙げられる。
オレフィン系エラストマーは、好ましくはその結晶化度を相溶化剤の結晶化度と類似するように選択する。オレフィン系エラストマーと相溶化剤との結晶化度の相違の絶対値ΔXCは、好ましくは約25%以下、より好ましくは約15%以下、更により好ましくは約10%以下、更により好ましくは約5%以下、最も好ましくは約3%以下である。例えば、15%の結晶化度を有する相溶化剤及び20%の結晶化度を有するオレフィン系エラストマーはΔXC=5%を有する。相溶化剤とオレフィン系エラストマーは同じか異なる結晶化度を有してもよい。相溶化剤の結晶構造はオレフィン系エラストマーの結晶構造と同じか異なってもよい。例証として、オレフィン系エラストマーはプロピレン反復単位の結晶構造を有してもよく、相溶化剤はエチレン反復単位の結晶構造を有してもよい。もう1つの例として、オレフィン系エラストマーと相溶化剤は共にエチレン反復単位の結晶構造特性を有してもよい。
好適なオレフィン系エラストマーとして、相対的に高い結晶化度を有するハードブロックとハードブロックの結晶化度より低い結晶化度を有するソフトブロックを含むオレフィン系ブロックコポリマーが挙げられる。
オレフィン系ブロックコポリマーは、逐次的に2つまたはそれ以上のブロック(例えば、ハードブロックとその後のソフトブロック)を重合する方法で調製してもよい。ハードブロックは、概して、構造の中に配列された高濃度の第一級モノマーを含むため、例えば、ニートオレフィン系ブロックコポリマーがペレット凝集を起こさずに(例えば、ポリオレフィン熱可塑性樹脂の貯蔵条件)ペレットとして貯蔵し得る十分な結晶化度を有する。ハードブロック及びソフトブロックは本質的に同じモノマー組成を含んでもよく、または異なるモノマー組成を含んでもよい。例えば、オレフィン系ブロックコポリマーは、α‐オレフィンの第一級モノマー(例えば、プロピレン)を有する(あるいは、それから本質的または全面的になる)ブロックを含んでもよく、その場合にハードブロックは相対的に高アイソタクチック構造に配向されたα‐オレフィンモノマーを含み、ソフトブロックは低アイソタクチック構造に配向されたα‐オレフィン(例えば、アタクチック構造)を含む。もう1つの例として、オレフィン系ブロックコポリマーは相対的に高濃度の第一級モノマーを含む(例えば、第一級モノマーから本質的または全面的になる)ハードブロックを含んでもよく、ソフトブロックは比較的に低濃度の第一級モノマー(例えば、ソフトブロックの結晶化度が減少または解消するのに十分な第一級モノマー濃度)を有してもよい。オレフィン系ブロックコポリマーは、当該技術の公知な方法で調製してもよい。例えば、オレフィン系ブロックコポリマーは、異なる触媒サイトをもつ複数の触媒、または異なる触媒サイトをもつ1つの触媒を使用する方法で調製してもよく、1つの触媒サイトがハードブロックの重合に使用されて、2番目の触媒サイトがソフトブロックの重合に使用される。前記の方法は、好ましくは、1つの触媒サイトで重合工程が停止し、異なる触媒サイトで第2重合工程の重合反応が継続するように好適な試薬を使用する。好ましいオレフィン系ブロックコポリマーはポリマー分子当たり2つまたはそれ以上のハードブロック(例えば、3つまたはそれ以上のハードブロック)と平均1つ以上(例えば、2つまたはそれ以上、あるいは3つまたはそれ以上)のソフトブロックを含む。
好ましいオレフィン系エラストマーとして、オレフィン系ブロックコポリマー(例えば、エチレン/α‐オレフィンインターポリマーまたはエチレン/α‐オレフィンインターポリマー等の低級α‐オレフィン/α‐オレフィンインターポリマー)、実質上直鎖状または直鎖状エチレンポリマー(「S/LEP」)、プロピレンエラストマーまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
オレフィン系エラストマーは、好ましくは約40℃以上の温度で液相転移する1つ以上の固相を有する。例えば、オレフィン系エラストマーは融解温度をもつ半結晶性高分子であってもよい。好ましいオレフィン系エラストマーは、約50℃以上または約60℃以上の融解温度を有する。オレフィン系エラストマーは、約170℃以下、140℃以下、約100℃以下または約85℃以下の融解温度を有してもよい。オレフィン系エラストマーの融解温度は、約220℃〜約0℃を約10℃/分の速度で冷却した試料を示差走査熱量測定によって約10℃/分の加熱速度で測定し、ピーク融解温度としてもよい。
オレフィン系エラストマーは低ガラス転移温度(例えば、約10℃以下、約−10℃以下、または約−30℃以下)で特徴づけられる。概して、ガラス転移温度は約−100℃以上(例えば、約−60℃以上)である。オレフィン系エラストマーは室温で相対的に(例えば、ISO178に従って2mm/分で測定した曲げ弾性率をカーボネートポリマー及び/またはポリエステルと比較して)柔軟である。オレフィン系エラストマーは、約2重量%より大きい、好ましくは約3重量%より大きい、更に好ましくは約5重量%より大きい、最も好ましくは約7重量%より大きい(例えば、約10重量%より大きい)結晶化度を有してもよい。第二のオレフィン系エラストマーは約44重量%未満、好ましくは約40重量%未満、より好ましくは約35重量%未満、最も好ましくは約30重量%未満(例えば、約20重量%未満)の結晶化度を有してもよい。例えば、オレフィン系エラストマーは、約2〜約44重量%、好ましくは約2〜約40重量%、より好ましくは約5〜約35重量%、最も好ましくは約7〜約30重量%(例えば、約10〜約20重量%)の結晶化度を有してもよい。オレフィン系エラストマーの結晶化度は、約220℃〜約0℃を約10℃/分の速度で冷却した試料を示差走査熱量測定によって約10℃/分の加熱速度で測定してもよい。
オレフィン系エラストマーは、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%以上、好ましくは約1重量%以上、より好ましくは約1.5重量%以上、最も好ましくは約2.0重量%以上の量で存在してもよい。オレフィン系エラストマーは、組成物の総重量に基づいて、約10重量%以下、好ましくは約7.5重量%以下、より好ましくは約6.0重量%以下、最も好ましくは約5.0重量%以下の量で存在してもよい。
好ましいオレフィン系エラストマーは、1つ以上のα-オレフィンを含む、あるいは、それらから本質的または全面的になる。オレフィン系エラストマー中の1つ以上のα-オレフィン濃度は、オレフィン系エラストマーの総重量に基づいて、約80重量パーセント以上、好ましくは約95重量パーセント以上、より好ましくは約97重量パーセント以上、最も好ましくは約99重量パーセント以上でもよい。オレフィン系エラストマー中の1つ以上のα-オレフィンの総重量は、オレフィン系エラストマーの総重量に基づいて約100重量%以下または99.5重量%以下でもよい。特に、好ましいオレフィン系エラストマーは1つ以上のα-オレフィンから全面的になる。例証として、オレフィン系エラストマーは2つのα-オレフィン(例えば、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン、エチレンとヘキセン、エチレンとオクテン、プロピレンとブテン、プロピレンとヘキセン、またはプロピレンとオクテン)を含んでもよく、2つのα-オレフィンの総濃度は、オレフィン系エラストマーの総重量に基づいて、80重量パーセント以上、95重量パーセント以上、97重量パーセント以上、または99重量パーセント以上である。1つ以上のα-オレフィンは、オレフィン系エラストマーのモノマー単位総数に基づいて好ましくは約50モルパーセント以上、及びオレフィン系エラストマーの総重量に基づいて好ましくは約50重量パーセント以上の濃度を有する第一級α-オレフィンを含む。第一級α-オレフィンは、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンからなる群から選択される。より好ましくは、第一級α-オレフィンはエチレンまたはプロピレンである。概して、エチレンの第一級α-オレフィンを有した好ましいオレフィン系エラストマーはポリエチレンの結晶特性を有する。概して、プロピレンの第一級α-オレフィンを有した好ましいオレフィン系エラストマーはポリプロピレンの結晶特性を有する。
オレフィン系エラストマーには1つ以上のα-オレフィン軟質熱可塑性樹脂(例えば、α-オレフィンエラストマー)、例えば、1つ以上の直鎖状エチレンコポリマー(「LEP」としても公知)、1つ以上の実質上直鎖状エチレンコポリマー(「SLEP」としても公知)または両方を使用してもよい。本明細書で使用するとき、「S/LEP」は、概して、LEP及び/またはSEPを含む。実質上直鎖状エチレンコポリマーと直鎖状エチレンコポリマー及びそれらの調製方法は、その全体が米国特許番号5,272,236及び5,278,272に記載され、その全ての開示内容が参照によって本願に組み込まれる。好ましいS/LEPは2つまたはそれ以上のα-オレフィンを含む、あるいはそれらから本質的または全面的になる。前記ポリマーは、S/LEPの総重量に基づいて約50重量パーセント以上の濃度を有する第一級α-オレフィンを含む。好ましいS/LEPは第一級α-オレフィンのエチレンと1つ以上の第二級α-オレフィンをもつ。好ましい第二級α-オレフィンはブテン、ヘキセン及びオクテンからなる群から選択されるコモノマーである。例えば、S/LEPはエチレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンを含む、あるいはそれらから本質的または全面的になってもよい。特に好ましいS/LEPは、エチレンとオクテンを含み、あるいはそれらから本質的または全面的になる。好ましいS/LEPは約80重量%以下、より好ましくは約75重量%以下、最も好ましくは約70重量%以下の濃度で第一級α-オレフィンを含む。第一級α-オレフィンの濃度は、オレフィン系エラストマーが望ましい結晶化度(例えば、本明細書の教示に応じた結晶化度)を有するように選択してもよい。例証として、S/LEPは約2〜約14%、約3〜約11%または約4〜約9%の結晶化度を有してもよい。
オレフィン系エラストマーに使用するためのS/LEPは、ASTM D 792−00に従って測定したときに、一般に約0.8〜約0.9g/cm3(例えば、約0.855〜約0.895g/cm3)の密度を有する。好適なS/LEPは、少なくとも0.850、好ましくは少なくとも0.855、より好ましくは少なくとも0.860、最も好ましくは少なくとも0.867g/cm3の密度を有してもよい。S/LEPの密度は、約0.908未満、好ましくは約0.900未満、より好ましくは約0.890未満、最も好ましくは約0.880g/cm3であってもよい。密度は、ASTM D 792−00による測定で確定する。好適なS/LEPはASTM D−1238−04(190℃、2.16kg)に従って測定したメルトインデックスで特性化してもよく、少なくとも約0.2、好ましくは少なくとも約0.5、より好ましくは少なくとも約1.0、更により好ましくは少なくとも約5g/10分である。また、メルトインデックスは約600g/10分以下、好ましくは約150g/10分以下、より好ましくは約80g/10分以下、最も好ましくは約60g/10分以下でもよい。
オレフィン系エラストマーは、ポリプロピレンエラストマーを含む、またはポリプロピレンエラストマーから本質的になってもよい。好適なポリプロピレンエラストマーは、ポリプロピレンエラストマーの重量に基づいて、約50重量%より大きい、好ましくは約65重量%より大きい、より好ましくは約70重量%より大きい、最も好ましくは約80重量%より大きい(例えば、少なくとも85重量%)濃度でプロピレンモノマーを含有してもよい。また、ポリプロピレンエラストマーは、ポリプロピレンエラストマーの総重量に基づいて、約5重量%より大きい、好ましくは約7重量%より大きい、より好ましくは9重量%より大きい、最も好ましくは約12重量%より大きい濃度で1つ以上の更なるC2−12α-オレフィンのコモノマー(例えば、エチレンを含むコモノマー、またはエチレンからなるコモノマー、またはブテンを含むコモノマー、またはブテンからなるコモノマー)を含有してもよい。例えば、コモノマー量はポリプロピレンエラストマー組成物の重量の約5〜約40重量パーセント、より好ましくはポリプロピレンエラストマー組成物の重量の約7〜約30重量パーセント、更により好ましくはポリプロピレンエラストマー組成物の重量の約9〜約15重量パーセントの範囲であってもよい。ポリプロピレンエラストマーは、好ましくは本明細書の教示に応じた結晶化度を有した半結晶性高分子である。好適なポリプロピレンエラストマーは、約220℃〜約0℃を約10℃/分の速度で冷却した試料を示差走査熱量測定により約10℃/分の加熱速度で測定したときに、約130℃以下、好ましくは約115℃以下、最も好ましくは約100℃以下の融解温度を有してもよい。
プロピレンエラストマーは、好ましくは、プロピレンの第一級モノマーを含む、またはプロピレンの第一級モノマーからなるコモノマー、エチレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンからなる群から選択した1つ以上のコモノマーである。例えば、プロピレンエラストマーはプロピレンとエチレン、ブテンまたはオクテンのコモノマーでもよい。最も好ましくは、プロピレンエラストマーは、エチレン、ブテンまたは両方と一緒にプロピレンを含む、またはこれらから本質的になる。
ポリプロピレンエラストマーは、少なくとも約40、より好ましくは少なくとも約50、更により好ましくは少なくとも約65のASTM D 2240−05に従って測定したショアA硬度(すなわち、デュロメータ)を示してもよい。また、ショアA硬度は、約97未満、好ましくは約95未満、更により好ましくは約92未満、更により好ましくは約85未満(例えば、約80未満)でもよい。例えば、ポリプロピレンエラストマーは、約40〜約97、より好ましくは約50〜約95、更に好ましくは約65〜約95のショアA硬度を有してもよい。好適なポリプロピレンエラストマーはASTM D1238に従って230℃/2.16kgで測定したときに、少なくとも0.5、好ましくは少なくとも約1、より好ましくは約3、最も好ましくは少なくとも約5g/10分のメルトフローレートを有してもよい。高分子組成物に好適なプロピレンエラストマーは、これらに限定されることはないが、1500g/10分未満、好ましくは約150g/10分未満、より好ましくは約100g/10分未満、最も好ましくは約60g/10分未満のメルトフローレートを有してもよい。ポリプロピレンエラストマーは少なくとも若干の結晶化度を示すことが好ましい。例えば、結晶化度はポリプロピレンエラストマー材料の少なくとも約2重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、更により好ましくは少なくとも約7重量パーセントでもよい。好適ポリプロピレンエラストマーは、これに限定されることはないが約50重量%未満の結晶化度を有してもよい。例えば、プロピレンエラストマーの結晶化度は、ポリプロピレンエラストマー材料の約40重量パーセント未満、好ましくは約35重量パーセント未満、より好ましくは約28重量パーセント未満、更により好ましくは約20重量パーセント未満でもよい。概して、好適なポリプロピレンエラストマーは約2〜約50重量%の結晶化度を有してもよい。例えば、結晶化度は、ポリプロピレンエラストマーの約2〜約40重量パーセント、より好ましくは約5〜約35重量パーセント、更により好ましくは約7〜約20重量パーセントの範囲でもよい。
ポリプロピレンエラストマーがプロピレンとエチレンのコポリマー(すなわち、コモノマーはエチレンである)の場合は、プロピレンエラストマーを含む優先結果物の組成物全体が一定のエチレン量(すなわち、総エチレン量)を有することは上記から理解されるであろう。例えば、一態様において、最終的に得られた組成物全体のエチレン量は、得られた組成物全体の約2重量パーセントより大きく、好ましくは約3重量パーセントより大きく、より好ましくは約4重量パーセントより大きくてもよい。しかし、本発明の当該態様では、得られた組成物全体の総エチレン濃度は、概して、組成物全体の約35重量パーセント未満、好ましくは約25重量パーセント未満、より好ましくは約20重量パーセント未満、更により好ましくは約10重量パーセント未満が予想される。ポリプロピレンエラストマーがプロピレンとC4−C12α-オレフィン(例えば、ブテン、ヘキセンまたはオクテン)のコポリマーの場合は、プロピレンエラストマーを含む優先結果物の組成物(すなわち、高分子組成物)全体が総C4−C12α-オレフィンを有することは上記から理解されるであろう。例えば、一態様において、最終的に得られた組成物の総C4−C12α-オレフィン量は、得られた組成物全体の約2重量パーセントより大きく、好ましくは約3重量パーセントより大きく、より好ましくは約4重量パーセントより大きくてもよい。しかし、本発明の当該態様では、一般に、得られた組成物全体の総C4−C12α-オレフィン濃度は、組成物全体の約35重量パーセント未満、好ましくは組成物全体の約25重量パーセント未満、より好ましくは組成物全体の約20重量パーセント未満、更により好ましくは組成物全体の約10重量パーセント未満であることが予想される。
本出願の教示に応じて使用してもよい好適プロピレンエラストマーとして、これらに限定されないが、2002年5月6日出願の国際特許出願公開番号WO03/040201 A1号、2002年5月5日出願の米国特許出願公開番号2003/0204017、及び2003年2月25日交付の米国特許番号6,525,157に開示されたものが挙げられ、その全てが参照によって本願に組み込まれる。例えば、プロピレンエラストマーは、参照によって本願に組み込まれる2003年2月25日交付の米国特許番号6,525,157で教示された低弾性エチレン−プロピレンコポリマー(すなわち、LEEPコポリマー)のような低弾性α-オレフィン−プロピレンコポリマーでもよい。2003年2月25日交付の米国特許番号6,525,157の第2欄15行〜第3欄54行に記載されたようなLEEPは、単一定常状態反応器においてメタロセン触媒と活性剤の存在下で製造する際に曲げ弾性率、引っ張り強さ及び弾性の驚くべき予期せぬ均衡を示す(LEEP)コポリマーの可能性がある。更に、(LEEP)コポリマーのこれらの特性と他の特性は、アイソタクチックポリプロピレンとエチレン−プロピレンコポリマーのブレンドのような従来型ポリマーブレンドと比較して驚くべき相違を示す。1つの実施形態において、(LEEP)コポリマーは、プロピレンとエチレン誘導単位の総重量に基づいて、エチレン誘導単位が5重量%または6重量%または8重量%または10重量%の下限〜20重量%または25重量%の上限、プロピレン誘導単位が75重量%または80重量%の下限〜95重量%または94重量%または92重量%または90重量%の上限を含む。コポリマーは実質的にジエン誘導単位を含まない。
使用してもよいプロピレンエラストマーの別の例は、米国特許出願公開番号2003/0204017(公開日2003年10月30日)に記載されたプロピレン−エチレンコポリマー(すなわち、R―EPEコポリマー)を含むリージョンエラー(region―error)である。
米国特許出願公開番号2003/0204017(2003年10月30日公開)段落[0006]に開示されたR―EPEコポリマーは、少なくとも約60重量%(wt%)のプロピレン誘導単位、約0.1−35重量%のエチレン誘導単位、及び0〜約35重量%の1つ以上の不飽和コモノマー誘導単位を含むことで特徴付けてもよいが、エチレン誘導単位と不飽和コモノマー誘導単位を合せた重量パーセントは約40を超えない。これらのコポリマーは、以下の特性の少なくとも1つを有することでも特徴付けられる:(i)約14.6ppmと約15.7ppmにリージョンエラー(regio―error)に相当するおよそ等強度の13C−NMRピーク、(ii)コポリマーのコモノマー量、すなわちエチレン及び/または不飽和コモノマー誘導単位が少なくとも約3重量%のときに1.4より大きいB値、(iii)約−1.20より大きいひずみ度指数Six、(iv)コモノマー量、すなわちコポリマーのエチレン及び/または不飽和コモノマー誘導単位が増加するにつれて減少するTmax及び殆ど完全にそのまま残るTmeをもつDSC曲線、(v)チーグラー・ナッタ(Z−N)触媒で調製される同等のコポリマーよりガンマ結晶形が大きいと報じられているX線回折パターン。概して、この実施形態のコポリマーは、これらの特性の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは5つ全てで特徴付けられる。
オレフィン系エラストマーはオレフィン系ブロックコポリマーを含んでもよい。そのようなブロックコポリマーは、相対的に高い結晶化度をもつハードブロックとハードブロックより低い結晶化度をもつソフトブロックを含む複数のブロックを有したマルチブロックポリマーで特徴付けてもよい。マルチブロックポリマー(例えば、マルチブロックオレフィンポリマー)は、本質的に規定量(例えば、1つ)のα-オレフィンモノマーを含むホモポリマー、または2つのα-オレフィンモノマーを含むコポリマー、3つまたはそれ以上のモノマーを含むターポリマー(概して、少なくとも2つのα-オレフィンモノマーを含み、3つでもよい)、あるいは4つまたはそれ以上のα-オレフィンモノマーを含んでもよい。マルチブロックホモポリマーは、同じモノマーを有したハードブロックとソフトブロックを含み、ブロックのモノマー規則性に相違(例えば、ハードブロックはソフトブロックより規則的に配向したモノマーを含むためにより高い結晶化度を有している)があってもよい。オレフィン系ブロックコポリマーは異なるモノマー濃度を有するブロックを含んでもよい。例えば、オレフィン系ブロックコポリマーは、高濃度の第一級α-オレフィンモノマー(例えば、オレフィン系ブロックコポリマーの約80重量%より大きい、好ましくは約90重量%より大きい、より好ましくは約95重量%より大きい、最も好ましくは約99重量%より大きい、または100重量%さえも)と低濃度の第二級α-オレフィンモノマーを含む1つ以上のハードブロック、及び1つ以上のハードブロックにおける濃度より低濃度の第一級α-オレフィンを含む1つ以上のソフトブロックを有してもよい。好ましくは、第一級α-オレフィンは、エチレンまたはプロピレンの低級α-オレフィン(LOA)であり、そのようなオレフィン系ブロックコポリマーはLOA/α-オレフィンインターポリマーである。オレフィン系ブロックコポリマーは、これらに限定されないが、エチレン/α-オレフィンインターポリマーまたはプロピレン/α-オレフィンインターポリマーでもよい。第二ポリマー成分に使用してもよいLOA/α-オレフィンインターポリマーの例は、PCT国際特許公開番号WO2006/102155A2(2006年3月15日出願)、WO2006/101966A1(2006年3月15日出願)、及びWO2006101932A2(2006年3月15日出願)に記載されており、これらの全てが参照によって本願に組み込まれる。
オレフィン系エラストマーはエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含んでもよい。そのようなインターポリマーは、化学的または物理的特性が相違する2つまたはそれ以上の重合したモノマー単位の複合ブロックまたはセグメントに特徴がある重合形態、好ましくはマルチブロックコポリマーにおいてエチレンと1つ以上の共重合性α-オレフィンコモノマーを含んでもよい。発明の高分子組成物に使用するための好適な例示的エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、これらに限定されないが、同じ密度dをもつランダムコポリマーの融点より高い融点、Tmで特徴付けてもよい。例えば、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、少なくとも1つの融点Tm/セルシウス度及び密度d/グラム/立方センチを有し、これにおいて変数の数値は、Tm≧1000(d)−800、好ましくはTm≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、より好ましくはTm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)2、最も好ましくはTm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2の関係性と一致する。好ましくは、発明の高分子組成物に使用するための好適なエチレン/α-オレフィンインターポリマーは約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm/セルシウス度及び密度d/グラム/立方センチを有し、変数の数値はTm≧1000(d)―800、好ましくはTm≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、より好ましくはTm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)2、最も好ましくはTm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2の関係性と一致する。
使用してもよいオレフィン系エラストマーの例として、ENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマー(DOW CHEMICAL CO.から市販されている)、VERSIFY(商標)ポリオレフィンプラストマーとポリオレフィンエラストマー(DOW CHEMICAL CO.から市販されている)、AFFINITY(商標)ポリオレフィンエラストマー(DOW CHEMICAL CO.から市販されている)、INFUSE(商標)オレフィン系ブロックコポリマー(DOW CHEMICAL CO.から市販されている)、EXACT(商標)プラストマー(EXXONMOBIL CHEMICAL CO.から市販されている)、VISTAMAXX(商標)プロピレンエラストマー(EXXONMOBIL CHEMCIAL CO.から市販されている)が挙げられる。
ポリエステル
好ましい組成物は1つ以上のポリエステルを含む。カーボネートポリマー、オレフィン系エラストマー及び相溶化剤(好ましくは更にケイ素ゴムを含む)を組み合わせて組成物に使用する場合、ポリエステルの使用は組成物の耐化学薬品性(例えば、中鎖トリグリセリド耐性)を更に改善する可能性がある。ポリエステルは、ホモポリマーまたはコポリマーでもよい。好適なポリエステルは半結晶であり、約3%より大きい結晶化度を有する。好ましいポリエステルは、約80%以下、より好ましくは約60%以下、最も好ましくは約40%以下の結晶化度を有する。
好ましいポリエステルはテレフタル酸系である。ポリエステは、テレフタル酸とアルキルグリコール、例えば、エチレングリコールまたはブチレングリコール等の重合反応生成物でもよい。重合に使用する酸は、テレフタル酸を含む、またはテレフタル酸から実質的になる、またはテレフタル酸から全面的になってもよい。例えば、ポリエステルは、例えば、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物等、2つまたはそれ超の酸(例えば、2つまたはそれ超の二酸)を含んでもよい。テレフタル酸を組み合わせて使用する場合、イソフタル酸の濃度はポリエステル中の総酸量に基づいて、好ましくは約40モル%以下、より好ましくは約10モル%以下、最も好ましくは約3モル%以下である。イソフタル酸量は、ポリエステル中の総酸量に基づいて、約モル%以上、約0.3モル%以上、約0.6モル%以上、約1.0モル%以上でもよい。ポリエステルは、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたは両方を含む、あるいは、それらから本質的または全面的になってもよい。好ましくは、ポリエステルはポリエチレンテレフタレートを含む、あるいは、それから本質的または全面的になる。ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及び/またはポリブチレンテレフタレート)はホモポリマーまたはコポリマーでもよい。好ましいコポリマーは、2つまたはそれ超の酸、2つまたはそれ超のアルコールまたは両方を含む。ポリエステルは、ポリエステル中の二酸の総数に基づいて、好ましくは約60モル%以上、より好ましくは約90モル%以上、更により好ましくは約97モル%以上のテレフタル酸を含む。ポリエステルは、ポリエステル中の二酸の総数に基づいて、約100%以下、約99.7%以下、約99.4%以下、または約99.0%以下のテレフタル酸を含んでもよい。好ましいポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレート中のジアルコールの総数に基づいて、約80モル%以上、約90モル%以上または約97モル%以上のエチレングリコールを含む。そのような高分子は、約100モル%以下、約99モル%以下または約98モル%以下のエチレングリコールの濃度を含んでもよい。
好ましいポリエステル(例えば、好ましいポリエチレンテレフタレート)は約0.5以上、より好ましくは0.6以上、更により好ましくは約0.65以上、最も好ましくは約0.70以上の固有粘度を有している。好ましいポリエステル(例えば、好ましいポリエチレンテレフタレート)は約1.5以下、より好ましくは1.0以下、更により好ましくは約0.95以下、最も好ましくは約0.92以下の固有粘度を有している。ポリエステルの固有粘度は1%ジクロロ酢酸溶液で測定してもよい。好ましいポリエステル(例えば、好ましいポリエチレンテレフタレート)は、約300meq/kg以下、より好ましくは約100meq/kg以下、最も好ましくは約40meq/kg以下のカルボン酸末端基の濃度を有する。カルボン酸末端基量は約0meq/kg以上、約10meq/kg以上、または約20meq/kg以上でもよい。カルボン酸末端基の濃度はo/mクレゾール中で電位差滴定を使用して測定してもよい。ポリエステルのジエチレングリコール濃度は、ポリエステルの総重量に基づいて、約4重量%以下、より好ましくは約2重量%以下、最も好ましくは約1重量%以下である。ポリエステルのジエチレングリコール濃度は、ポリエステルの総重量に基づいて、約0重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上でもよい。
好ましい組成物は1つ以上のポリエステルを含む。ポリエステル濃度(例えば、ポリエチレンテレフタレート濃度)は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは約10重量%以上、より好ましくは約20重量%以上、更により好ましくは約25重量%以上、最も好ましくは約30重量%以上である。ポリエステル濃度(例えば、ポリエチレンテレフタレート濃度)は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは約45重量%以下、より好ましくは約40重量%以下である。
組成物は、好ましくはポリエステル濃度と比較して高濃度のカーボネートポリマーを含む。例えば、ポリエステル対カーボネートポリマー比は約1.0以上、好ましくは約1.2以上、より好ましくは約1.4以上でもよい。
1つ以上のポリエステルは任意選択でポリブチレンテレフタレートを含んでもよい。使用する場合、ポリブチレンテレフタレート量は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%以下、より好ましくは約5重量%以下、更により好ましくは約3重量%以下、最も好ましくは約1重量%以下である。ポリブチレンテレフタレート量は、組成物の総重量に基づいて、約0重量%以上または約0.5重量%以上でもよい。組成物は、ポリブチレンテレフタレートを実質的に含まなくてもよく、または全面的に含まなくてもよいことが理解されるであろう。
ポリカーボネートとポリエステルの総濃度は、ポリカーボネート混合組成物中の高分子の総重量に基づいて、及び/またはポリカーボネート混合組成物の総重量に基づいて、好ましくは約40重量パーセント以上、より好ましくは約50重量パーセント以上、更により好ましくは約75重量パーセント以上、更により好ましくは約80重量パーセント以上、最も好ましくは約85重量パーセント以上である。ポリカーボネートとポリエステルの総濃度は、ポリカーボネート混合組成物中の高分子の総重量に基づいて、及び/またはポリカーボネート混合組成物の総重量に基づいて、98重量パーセント以下、より好ましくは約97重量パーセント以下、更により好ましくは約96重量パーセント以下、最も好ましくは約95重量パーセント以下である。
本明細書の教示に応じた市販ポリエステルの例は、約0.89dl/gの固有粘度、約254℃の融解温度を有し、M&G Polymers USA, LLCから入手可能なポリエチレンテレフタレートのTRAYTUF(登録商標)8906ブランドポリエステル樹脂である。本明細書の教示に応じた他の市販ポリエステルの例として、約0.85の固有粘度を有するPET T49Hポリエチレンテレフタレート、約0.90の固有粘度を有するPET F024ポリエチレンテレフタレート、約0.89の固有粘度を有するPET F019が挙げられ、全てINVISTA RESINS & FIBERS GMBHから市販されている。
ケイ素含有ゴム
発明の好ましい態様において、組成物は1つ以上のケイ素含有ゴム(すなわち、ケイ素原子を含むゴム)を含む。好ましいケイ素含有ゴムとして、1つ以上のシロキサンを有するシリコーンゴムのようなシリコーンゴムが挙げられる。シリコーンゴムは、以下の構造、−(SiR1R2−0−)−、(R1とR2はそれぞれ互いに独立して1〜12の炭素原子、水素、及び1〜12の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される)を有した1つ以上のシロキサンを含む、あるいはそれらから本質的または全面的になる骨格を有してもよい。シリコーンゴムは1つ以上のグラフトを含んでもよい。好ましいグラフトとして、モノマー、オリゴマーまたはシリコーンゴムとカーボネートポリマー間の表面張力を低減する高分子、シリコーンゴムとポリエステル間の表面張力を低減する高分子、カーボネートポリマーと反応する高分子、ポリエステルと反応する高分子、またはそれらの任意の組み合わせの高分子が挙げられる。例えば、シリコーンゴムは、シリコーンコアとアクリルシェルを含むコア−シェル高分子のようなシリコーン−アクリルゴムでもよい。例として、好適なシリコーン−アクリルゴムはMETABLEN S(例えば、METABLEN S2200)の名前でMitsubishi Rayonから市販されている。
好ましい組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量パーセント以上、より好ましくは約1重量パーセント以上、更により好ましくは約2重量パーセント以上、最も好ましくは約4重量パーセント以上の濃度のケイ素含有ゴム(例えば、シリコーン−アクリルゴム)を含む。ケイ素含有ゴム量は、概して、変色及び/または経費検討から限られる。組成物は、好ましくは約20重量パーセント以下、より好ましくは約15重量パーセント以下、最も好ましくは約12パーセント以下の濃度でケイ素含有ゴム(例えば、シリコーン−アクリルゴム)を含む。
添加剤
本明細書に記載したポリマーブレンド組成物は種々の技術分野で開示された任意の添加剤を更に含んでもよい。例証として、潤滑剤、離型剤、安定剤(例えば、抗酸化剤、熱安定剤、光(IR、UVまたは両方)安定剤またはそれらの任意な組み合わせ)、染料、色素、加工助剤、難燃剤、有機または無機充填剤または繊維、可塑剤などの1つまたは任意の組み合わせを、それぞれが技術分野で開示された量で含むことができる。好ましくは、ポリマーブレンド組成物は潤滑剤、安定剤または両方を含むことができる。好ましい添加剤として、カーボネートポリマー含有組成物(例えば、ポリカーホネートを約80重量パーセント以上含む組成物)及び、ポリエステルポリマー組成物に用いられている物(例えば、ポリエチレンテレフタレートを約80重量パーセント以上含む組成物)が挙げられる。好ましくは、添加剤量は意図された効果を提供するのに十分である必要がある。例証として、抗酸化剤量は組成物を少なくとも物の一部に加工する間、及び/または物のライフサイクルの間に酸化を妨害または減少するのに十分でなければならない。
添加剤の例として、例えば、IRGANOX(登録商標)抗酸化剤、IRGAFOS(登録商標)加工安定剤及びUVINUL(登録商標)光安定剤等のBASF Chemical Co.から入手可能な市販安定剤が挙げられる。特に、好ましい添加剤は、IRGANOX(登録商標)1076 (CAS No. 2082−79−3;オクタデシル3,5−ジ(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)、UVINUL(登録商標) 3030 (CAS NO. 178671−58−4;ペンタエリトリトールテトラキス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート)が挙げられる。
好ましい添加剤の濃度は、約0.05重量%以上(例えば、約0.10重量%以上または約0.15重量%以上)である。添加剤の濃度は、好ましくは約10重量%以下、約4重量%以下または約1重量%以下である。
本明細書の教示に応じた組成物は、好ましくはカーボネートポリマー、相溶化剤、オレフィン系エラストマー、任意のポリエステル、任意のシリコーンエラストマー、任意の添加剤及び任意の充填剤から本質的または全面的になる。例えば、カーボネートポリマー、相溶化剤、オレフィン系エラストマー、任意のポリエステル、任意のシリコーンエラストマー、任意の添加剤及び任意の充填剤の総濃度は、組成物の総量に基づいて、好ましくは約90重量パーセント以上、より好ましくは95重量パーセント以上、最も好ましくは98重量パーセント以上、または約100重量パーセントもある。
本明細書の教示に応じた組成物は、トリグリセリド(例えば、中鎖トリグリセリド)と接触する可能性のある物、成分及びデバイス、例えば、医療器具、及び/またはトリグリセリドを含む材料に用いられてもよい。例えば、組成物は貯蔵、製造またはそのようなトリグリセリドを含有する医薬の使用に用いられてもよい。
好ましい組成物は、スチレン含有グラフトコポリマーを実質的に不含または全面的に不含である。例えば、スチレン含有グラフトコポリマー量は、スチレン含有グラフトコポリマーとカーボネートポリマーの総量に基づいて、約5重量パーセント以下、約3重量パーセント以下、約2重量パーセント以下、約1.5重量パーセント以下または約1重量パーセント以下である。
ISO 527−2/50に従って引張試験に好適な試験片を使用し、化学物質(例えば、試験流体)に対する環境抵抗を測定した。試験片に予め1%のひずみを与えて化学物質に72時間浸漬した。次いで、試験片を除去し、ISO 527−2/50に従って試験した。化学物質に曝していない試験片も試験した。引張降伏、引張破壊強さ、引張弾性率、降伏伸び及び破壊伸びを化学物質に曝した試験片と化学物質に曝さなかった試験片の両方について測定した。化学物質に曝した試験片の特性値と化学物質に曝さなかった試験片の同特性値の比に100%を乗じて保持率%を決定した。貧弱な環境抵抗性を有した組成物は試験前に張力ジグ(tensilejig)内で壊れる可能性があり、または力学的特性で低保持率%を示す可能性がある。好ましい組成物は引張試験前に壊れないし、概して、前記の力学的特性で高保持率%を示す。例えば、前記の力学的特性の1つまたは任意の組み合わせにおける保持率%は、約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上でもよい。前記の力学的特性(引張降伏、引張破壊強さ、引張弾性率、降伏伸び及び破壊伸び)の1つまたは任意の組み合わせにおける保持率%は、好ましくは約150%以下、約130%以下、約120%以下または約110%以下である。試験流体の例としては、トリグリセリド(例えば、中鎖トリグリセリド)、アルコール(例えば、70%イソプロピルアルコールと30%水を含むアルコール)、Calvicide、漂白剤(例えば、50%漂白剤水溶液)、サイデックスプラス(Cidex plus)などが挙げられる。好ましい組成物は中鎖トリグリセリドに高い抵抗性を示す。例えば、組成物は中鎖トリグリセリドのみならず、70%イソプロピルアルコール、Calvicide、50%漂白剤及びサイデックスプラスからなる群から選択され、概して病院環境で使用される1つ以上の洗浄液及び消毒液に高い抵抗性を有してもよい。好ましくは、ポリカーボネート混合組成物は、VIREX(登録商標)Tbグレード消毒剤クリーナー(COMMERCIALLY AVAILABLE from DIVERSEY,INC.)のようなド消毒剤クリーナー(例えば、四級アンモニウムを含有する消毒剤クリーナー)に高い抵抗性を有している。より好ましくは、組成物は中鎖トリグリセリド及び四級アンモニウムを含むdiseinfectantクリーナー(例えば、VIREX(登録商標)Tb)に高い抵抗性を有する組成物は、エトポシド(例えば、Veposid)、Pacitaxel、N,N−ジメチルアセトアミド含有溶液(例えば、N,N−ジメチルアセトアミド溶媒を含むBusulfex)、ジメチルスルホキシド(例えば、RIMSO―50)またはそれらの任意の組み合わせに対して更に耐性である。従って、組成物は、特に医療器具と関連する収納箱の外装への利用に有用である。
本明細書の教示に応じた組成物は、組成物の全成分を含む混和物として調製してもよい。従って、組成物は押出プロセス(プロフィール押出、シート押出またはその他)、成形プロセス、ブロー成形プロセスまたはそれらの組み合わせに用いる典型的な高分子生成装置における処理に好適な全成分含有混和物(例えば、ポリマーペレットの形態)として提供されてもよい。成分は、2つまたはそれ以上の異なる材料、例えば、2つまたはそれ以上の異なる材料の粉末ブレンドで提供されてもよく、この場合、最終組成物は溶融混合工程(例えば、スクリュウ及びバレルアセンブリを用いる溶融混合工程)で調製される。例えば、溶融混合工程は、押出プロセス、ブロー成形プロセスまたは射出成形プロセスにあってもよい。例証として、カーボネートポリマーのペレットは、組成物の他成分(及び、任意選択でカーボネートポリマーの一部を含む)を含む混和物のペレットと一緒にスクリュウ及びバレルアセンブリを備えた部品形状加工機へ投入してもよい。従って、最終組成物は、2つまたはそれ以上の異なる材料のペレットがスクリュウ及びバレルアセンブリに沿って動きながら部品形状加工機のスクリュウ及びバレルアセンブリ内で溶融され混錬される間に初めて達成される。
本明細書に列挙した任意の数値は、任意の低値と任意の高値の間に少なくとも2単位量の分離がある前提で1単位量ずつ下限値から上限値の全値が含まれる。例として、成分量またはプロセス変量(例えば、温度、圧力、時間など)が、例えば、1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70と記載されている場合は、例えば、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32の値は本明細書では明示的に列挙されていると解釈されるものとする。1単位量より少ない値に関しては、1単位量は適宜0.0001、0.001、0.01または0.1であるとみなされる。これらは、特に意図した単なる例であり、列挙された最小値と最大値の間の全数値の組み合わせは、同様な態様でこの出願において明示的に記載されているとみなすべきである。以上のように、本明細書で「parts by wheight」として表現された量の教示は重量パーセントで表現された同じ範囲を意図する。従って、発明の詳細な説明の表現「得られたポリマーブレンド組成物の重量部「x」」についての範囲は、「得られたポリマーブレンド組成物の重量パーセントで「x」量」と記載した範囲と同じであることを意図する。
他に断りがない限り、範囲は全てが端点間に端点と全数値の両方を含む。範囲に関する「約(about)」または「約(approximately)」は、範囲の両末端に適用する。従って、「約20〜30」は「約20〜約30」を網羅し、少なくとも1つの特定の端点を含むことを意図する。
全ての記事及び参照文献の開示は、特許出願及び公開を含めてその全ての開示内容が参照によって本願に組み込まれる。組み合わせを記述するための用語「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、特定の要素、原料、成分または工程ならびに組み合わせの基本的特性及び新規性に大きく影響を与えるような他の要素、原料、成分または工程を含むものとする。また、本明細書に記載した要素、原料、成分または工程の組み合わせを記述する「含む(comprising)」または「含む(including)」は、要素、原料、成分または工程から本質的になる実施形態も意図する。
複数の要素、原料、成分または工程は単一の統合された要素、原料、成分または工程で与えられる場合がある。あるいは、単一の統合された要素、原料、成分または工程が分離可能な複数の要素、原料、成分または工程に分割されるかもしれない。要素、原料、成分または工程を記述する「a」または「one」は、追加の要素、原料、成分または工程を除外することを意図しない。
前述の説明は例示であって制限的であることを意図しない。前述の説明を読むと即に、例以外の多くの実施形態及び多くの利用を準備できることが当業者には明らかであろう。それ故に、発明の範囲は前述の説明を参照して決定するのではなく、特許請求の範囲と同等な範囲について権利化される、その全範囲を併せて、添付された特許請求の範囲を参照して決定する必要がある。全ての記事及び参照文献の開示は、特許出願及び公開を含めてその全ての開示内容が参照によって本願に組み込まれる。次に掲げる特許請求の範囲における本明細書に開示した主題の任意態様の省略は、前記主題の除くクレーム(disclaimer)ではなく、発明者が前記主題を開示した発明の主題の一部であると考えないと見なされることもない。
実施例
実施例1は、表1に示すように、ISO 1133に従って300℃/1.2kgで測定した場合に約10g/10分のメルトフローレートを有するビスフェノールAの直鎖ポリカーボネートを、IRGANOX(登録商標)1076酸化防止剤及びUVINUL(登録商標)3030安定剤と溶融ブレンドすることによって調製する。組成物は、約2mmの厚さを有する小板に成形した。引張り用試料は、ISO 527−2/50に従った試験用に小片から調製する。10個の試料を、1%の曲げ歪みであらかじめ歪ませ、MCT−A中鎖トリグリセリド液体に3日間浸漬する。3日後、浸漬した試料を液体から取り出し、ISO 527−2/50に従って試験する。液体に曝していない試料も試験する。引張り試験結果を表1に示す。
MCT−Aは、CRAYHON RESEARCHからULTRA PURE MCT OILとして得た中鎖トリグリセリドであり、ココナツに基づく。カプロン酸(C6)濃度は最大2%、カプリル酸(C8)濃度は65〜80%、カプリン酸(C10)濃度は23〜33%、及びC12以上の濃度は最大2.5%である。C8〜C10の濃度は最低95%である。
実施例2は、実施例1と同じ方法を使用して調製し、試験するが、組成物はVERSIFY(商標)3401及びAMPLIFY(商標)EA101も含む。VERSIFY(商標)3401及びAMPLIFY(商標)EA101は両方ともに、DOW CHEMICAL CO.から市販されている。組成及び引張り特性を表1に示す。
実施例3は、実施例1と同じ方法を使用して調製し、試験するが、組成物はTRAYTUF(登録商標)8906ポリエチレンテレフタレート及びMETABLEN(登録商標)S2200シリコーン−アクリルゴム(コア−シェルゴムである)も含む。組成及び引張り特性を表1に示す。
実施例4は、実施例1と同じ方法を使用して調製し、試験するが、組成物はVERSIFY(商標)3401及びAMPLIFY(商標)EA101も含み、TRAYTUF(登録商標)8906ポリエチレンテレフタレート及びMETABLEN(登録商標)S2200シリコーン−アクリルゴム(コア−シェルゴムである)をさらに含む。VERSIFY(商標)3401及びAMPLIFY(商標)EA101は両方ともに、DOW CHEMICAL CO.から市販されている。組成及び引張り特性を表1に示す。
実施例5は、実施例3と同じ方法を使用して調製し、試験するが、ポリカーボネートの濃度が減り、シリコーン−アクリルゴムの濃度が増えている。組成及び引張り特性を表1に示す。
実施例6は、実施例4と同じ方法を使用して調製し、試験するが、ポリカーボネートの濃度が減り、シリコーン−アクリルゴムの濃度が増えている。組成及び引張り特性を表1に示す。
実施例6は、VIREX(登録商標)Tb等級消毒洗浄剤中での耐環境応力亀裂性についても試験する。VIREX(登録商標)Tb等級消毒洗浄剤は、DIVERSEY,INCから市販されており、四級アンモニアを含む。VIREX(登録商標)Tbは、ジエチレングリコールブチルエーテル(5〜10重量%)、n‐アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(0.1〜1.5重量%)、及びn‐アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(0.1〜1.5重量%)を含む消毒洗浄剤である。VIREX(登録商標)Tbは、約12.2のpHと、約1.012の比重とを有する。試料は、あらかじめ1%歪ませ、液体中に3日間浸漬する。測定は2セットの試料で行い、以下の結果を有する。引張降伏:46.3及び47.0MPa;引張破壊強さ:49.3及び50.8MPa、降伏伸び:4.5及び4.6%、破壊伸び:161%及び175%、引張弾性率:1945及び1960MPa、試験前に壊れた試料のパーセント:0%及び0%。この材料は、VIREX(登録商標)Tbに対し良好な耐性を有する。
実施例6のESCR耐性をCavicide液体中で測定する。試料は、1%の曲げであらかじめ歪ませ、72時間浸漬する。試料の力学的試験は、以下の測定値の結果となる。引張降伏:46.2MPa;引張破壊強さ:48.3MPa、降伏伸び:4.7%、破壊伸び:167%、引張弾性率:1975MPa、試験前に壊れた試料のパーセント:0%。この材料は、Cavicideに対し良好な耐性を有する。
以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
a.約40重量パーセント〜約98重量パーセントの1種以上のカーボネートポリマーと;
b.約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの1種以上の相溶化剤であって、該相溶化剤が1種以上のオレフィンを含む相溶化剤と;
c.約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの1種以上のオレフィン系エラストマーと
を含む複数のポリマーのブレンドを含む組成物であって;
前記オレフィン系エラストマーは、1種以上のα‐オレフィンを含み、前記オレフィン系エラストマーの前記1種以上のα‐オレフィンの合計濃度は、前記オレフィン系エラストマーの総重量に基づき、95重量パーセント〜100重量パーセントであり;
前記相溶化剤は、アクリル酸エステルモノマーと1種以上のα‐オレフィンとを含むかまたは本質的にアクリル酸エステルモノマーと1種以上のα‐オレフィンとからなるコポリマー、アクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとを含むかまたは本質的にアクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとからなるコポリマー、オキサゾリン官能性オレフィン、1種以上のアルキルアクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとを含むかまたは本質的に1種以上のアルキルアクリル酸モノマーと1種以上のα‐オレフィンとからなるコポリマー、メタクリル酸グリシジルとα‐オレフィンとを含むかまたは本質的にメタクリル酸グリシジルとα‐オレフィンとからなるコポリマーまたはターポリマー、無水マレイン酸と1種以上のα‐オレフィンとを含むコポリマー、及び1種以上のα‐オレフィンと官能性グラフトとを含むか、本質的に1種以上のα‐オレフィンと官能性グラフトとからなるか、または完全に1種以上のα‐オレフィンと官能性グラフトとからなる主鎖を有するグラフトポリマーからなる群より選択され;前記官能性グラフトは、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、アクリル酸、オキサゾリン、もしくはメタクリル酸グリシジル、またはそれらの組合せであり;
前記相溶化剤中の前記オレフィンの合計濃度は、前記相溶化剤の総重量に基づき、約10重量パーセントから95重量パーセント未満である、前記組成物。
[2]
前記組成物が、約10重量パーセント〜約45重量パーセントの1種以上のポリエステルを含み、前記カーボネートポリマーの濃度が約70重量パーセント以下であり、且つ前記ポリエステルと前記カーボネートポリマーの合計濃度が、前記組成物の総重量に基づき、約75重量パーセント〜約98重量パーセントである項目1記載の組成物。
[3]
前記ポリエステルと前記カーボネートポリマーの合計濃度が、前記組成物の総重量に基づき、約85重量パーセント〜約95重量パーセントである項目2記載の組成物。
[4]
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づき、約0.1〜約20重量パーセントの濃度でケイ素含有ゴムを含む項目1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
[5]
前記オレフィン系エラストマーが2種以上のα‐オレフィンを含む項目1記載の組成物。
[6]
前記オレフィン系エラストマーが、エチレンとプロピレンとを含むコポリマーである項目1〜5のいずれか1項に記載の組成物であって、前記オレフィン系エラストマーの総重量に基づき、プロピレンの濃度が約80重量パーセント〜約95重量パーセントであり、エチレンの濃度が約5重量パーセント〜約20重量パーセントである前記組成物。
[7]
前記オレフィン系エラストマーが、前記オレフィン系エラストマーの総重量に基づき、約97重量パーセント〜約100重量パーセントのエチレンとプロピレンの合計濃度を有する項目1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
[8]
前記相溶化剤の前記1種以上のα‐オレフィンが、2〜8個の炭素原子を有する1種以上のα‐オレフィンを含む項目1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
[9]
前記相溶化剤が、1種以上のα‐オレフィンと、1種以上のアクリル酸アルキルとを含むコポリマーである項目1〜8のいずれか1項に記載の組成物であって、前記1種以上のα‐オレフィンの濃度が、前記相溶化剤の総重量に基づき、約10重量パーセント〜約90重量パーセントである前記組成物。
[10]
前記1種以上のアクリル酸アルキルが、前記相溶化剤の総重量に基づき、約10重量パーセント〜約90重量パーセントの濃度で存在する項目9記載の組成物。
[11]
前記相溶化剤が、約70重量パーセント以上のエチレンを含む項目1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
[12]
前記相溶化剤が、エチレンとアクリル酸エチルのコポリマーである項目1〜11のいずれか1項に記載の組成物であって、エチレンとアクリル酸エチルの合計濃度は、前記相溶化剤の総重量に基づき、約95重量パーセント〜約100重量パーセントである前記組成物。
[13]
前記相溶化剤が、ASTM ISO 1133に従って190℃/2.16kgで測定した場合に、約0.5〜40g/10分のメルトインデックスを有する項目1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
[14]
前記相溶化剤が、約50℃〜約108℃の融点を有する項目1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
[15]
前記カーボネートポリマーが、カーボネートエステルか、またはホスゲンもしくはハロホルメートから選択されるカーボネート前駆体のいずれかと、1種以上の二価フェノールとを反応させることより誘導される項目1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
[16]
前記カーボネートポリマーが、ビスフェノール−Aのポリカーボネートを含む項目1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
[17]
複数のポリマーの総重量に基づき、前記カーボネートポリマーの濃度が約40重量パーセント以上であり、前記相溶化剤の濃度が約0.2重量パーセント以上であり、且つ前記オレフィン系エラストマーの濃度が約0.2重量パーセント以上である項目1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
[18]
前記組成物が、1種以上の充填剤、1種以上の添加剤、またはその両方を含む項目1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
[19]
前記組成物が、中鎖トリグリセリドに対する耐性を有する項目1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
[20]
前記組成物が、医用結核消毒洗浄剤に対する耐性を有する項目1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
[21]
前記組成物が、ポリエステル、シリコーンエラストマー、またはその両方をさらに含む項目1記載の組成物。
[22]
前記組成物が、0.1重量パーセント〜15重量パーセントのエポキシ変性シリコーンアクリルゴムと、0.1重量パーセント〜25重量パーセントのポリエチレンテレフタレートとを含む項目1記載の組成物。
[23]
前記カーボネートポリマーと任意のポリエステルの合計濃度が、前記組成物中の複数のポリマーの総重量に基づき、約85重量パーセント以上である項目1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
[24]
前記カーボネートポリマーと、前記相溶化剤と、前記オレフィン系エラストマーと、任意のポリエステルと、任意のシリコーンエラストマーと、任意の添加剤と、任意の充填剤との合計濃度が、前記組成物の総重量に基づき、約95重量パーセント〜約100重量パーセントである項目1〜23のいずれか1項に記載の組成物。
[25]
前記組成物が、スチレン含有グラフトコポリマーを含まないか、または、スチレングラフトコポリマーと前記カーボネートポリマーの総重量に基づき、約0重量パーセント〜約2重量パーセントの前記スチレン含有グラフトコポリマーを含む項目1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
[26]
前記組成物が、相溶化グラフトコポリマーを含まないか、または、前記相溶化グラフトコポリマーと前記カーボネートポリマーの総重量に基づき、約0重量パーセント〜約2重量パーセントの前記相溶化グラフトコポリマーを含む項目1〜25のいずれか1項に記載の組成物。